JP2014012030A - 放射線撮影システム - Google Patents

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Abstract

【課題】関心領域に放射線高吸収部及び低吸収部を含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システムにおいて、より関心の高い放射線低吸収部の画像情報を確実に得る。
【解決手段】放射線高吸収部及び低吸収部を関心領域に含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システム10は、前記被写体に照射される放射線の進行方向に前記被写体より下流に配置される放射線画像検出器30、及び前記被写体より下流にあって前記放射線画像検出器の受像面と平行な面内に分散して配置され、各々が入射する放射線の線量を検出する複数の放射線検出素子36を含む撮影部12と、前記低吸収部を透過した放射線が入射する少なくとも一つの線量検出素子を抽出する素子抽出部37と、前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子により検出される検出線量に基づいて露光制御する制御部20と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線撮影システムに関する。
X線は、物質を構成する元素の原子番号と、物質の密度及び厚さとに依存して減衰するといった特性を有することから、被写体の内部を透視するためのプローブとして用いられている。X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。
一般的なX線撮影システムでは、X線を放射するX線源とX線画像を検出するX線画像検出器との間に被写体を配置して、被写体の透過像を撮影する。この場合、X線源からX線画像検出器に向けて放射された各X線は、X線画像検出器までの経路上に存在する被写体を構成する物質の特性(原子番号、密度、厚さ)の差異に応じた量の減衰(吸収)を受けた後、X線画像検出器に入射する。この結果、被写体のX線透過像がX線画像検出器により検出され画像化される。X線画像検出器としては、X線増感紙とフイルムとの組み合わせや輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)のほか、半導体回路を用いたフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)が広く用いられている。また、被写体によって異なる必要露光量に対して、X線画像検出器により得られる画像の濃度を安定させるため、あるいは必要以上に露光されることによる被写体の過度の被爆を防止するために、自動露光制御が行われている。自動露光制御では、一般に、被写体を透過したX線の線量が線量検出器で検出され、線量検出器で検出される線量が予め設定された閾値線量に達したところでX線の照射が停止される。
しかし、X線吸収能は、原子番号が小さい元素からなる物質ほど低くなり、生体軟部組織やソフトマテリアルなどでは、X線吸収能の差が小さく、従ってX線透過像としての十分な画像の濃淡(コントラスト)が得られないといった問題がある。例えば、人体の関節を構成する軟骨部とその周辺の関節液は、いずれも殆どの成分が水であり、両者のX線の吸収量の差が小さいため、画像のコントラストが得られにくい。
このような問題を背景に、近年、被写体によるX線の強度変化に代えて、被写体によるX線の位相変化(角度変化)に基づいた画像(以下、位相コントラスト画像と称する)を得るX線位相イメージングの研究が盛んに行われている。一般に、X線が物体に入射したとき、X線の強度よりも位相のほうが高い相互作用を示すことが知られている。このため、位相差を利用したX線位相イメージングでは、X線吸収能が低い弱吸収物体であっても高コントラストの画像を得ることができる。このようなX線位相イメージングの一種として、近年、2枚の透過回折格子(位相型格子及び吸収型格子)とX線画像検出器とからなるX線タルボ干渉計を用いたX線撮影システムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
X線タルボ干渉計は、被写体の背後に第1の回折格子(位相型格子あるいは吸収型格子)を配置し、第1の回折格子の格子ピッチとX線波長で決まる特定距離(タルボ干渉距離)だけ下流に第2の回折格子(吸収型格子)を配置し、その背後にX線画像検出器を配置することにより構成される。上記タルボ干渉距離とは、第1の回折格子を通過したX線が、タルボ干渉効果によって自己像を形成する距離であり、この自己像は、X線源と第1の回折格子との間に配置された被写体とX線との相互作用(位相変化)により変調を受ける。
X線タルボ干渉計では、第1の回折格子の自己像と第2の回折格子との重ね合わせにより生じるモアレ縞を検出し、被写体によるモアレ縞の変化を解析することによって被写体の位相情報を取得する。モアレ縞の解析方法としては、例えば縞走査法が知られている。この縞走査法によると、第1の回折格子に対して第2の回折格子を、第1の回折格子の面にほぼ平行で、かつ第1の回折格子の格子方向(条帯方向)にほぼ垂直な方向に、格子ピッチを等分割した走査ピッチで並進移動させながら複数回の撮影を行い、X線画像検出器で得られる各画素の信号値の変化から、被写体で屈折したX線の角度分布(位相シフトの微分像)を取得し、この角度分布に基づいて被写体の位相コントラスト画像を得ることができる。
そして、特許文献1には、第1及び第2の回折格子を用いた縞走査法によるX線位相イメージングにおいて、上記の自動露光制御を行うことが記載されている。
国際公開第08/102598号
線量検出器としては、例えば蛍光体と光電子倍増管との組み合わせや、イオンチェンバーなどが用いられており、それらの1つの受光部は、典型的には5cm角程である。一方、X線位相イメージングにおける関心領域として、上記のとおり関節部が例示されるが、例えば正常な膝関節部の大腿骨と脛骨との隙間(関節裂隙)は1〜2cm程であり、そこに介在する軟骨部は3〜7mm程であって、受光部のサイズに比べて小さい。そのため、関節部を形成する骨(X線の吸収が比較的大きい部分)までもが1つの受光部内に混在する場合がある。
線量検出器の1つの受光部において、X線吸収能が低い軟骨部などの軟部組織の部分と、X線吸収能が高い骨などの硬組織の部分とが混在すると、軟部組織が重なる部分のほうが入射する線量が多くなるが、それらは1つの受光部内で区別なく積算されて検出される。そのため、線量検出器で検出される線量が予め設定された閾値線量に達したところでX線の照射を停止する従来の自動露光制御によると、軟部組織のX線像を検出するX線画像検出器の画素群に対しては露光量が過多となる。その結果、軟部組織に対応する画素群が飽和してしまい、X線位相コントラストイメージングにおいてより関心の高い軟部組織の画像情報を消失する可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、関心領域に放射線高吸収部及び低吸収部を含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システムにおいて、より関心の高い放射線低吸収部の画像情報を確実に得ることを目的とする。
放射線高吸収部及び低吸収部を関心領域に含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システムであって、前記被写体に向けて照射される放射線の進行方向に前記被写体より下流に配置される放射線画像検出器と、前記被写体より下流にあって前記放射線画像検出器の受像面と平行な面内に分散して配置され、各々が入射する放射線の線量を検出する複数の放射線検出素子と、前記低吸収部を透過した放射線が入射する少なくとも一つの線量検出素子を抽出する素子抽出部と、前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子により検出される検出線量に基づいて露光制御する制御部と、を備える放射線撮影システム。
本発明によれば、複数の線量検出素子を分散して配置し、関心領域の放射線低吸収部を透過した放射線が入射する線量検出素子を抽出し、抽出した線量検出素子によって検出される線量に基づいて露光制御することで、放射線低吸収部に対応する画素に対して適正な露光が可能となり、放射線位相イメージングにおいてより関心の高い放射線低吸収部の画像情報を確実に得ることができる。
本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの一例の構成を示す模式図である。 図1の放射線撮影システムの制御ブロック図である。 図1の放射線撮影システムの放射線画像検出器の構成を示す模式図である。 図1の放射線撮影システムの支持台に設けられる指標の一例を示す模式図である。 図1の放射線撮影システムの線量検出部の構成を示す模式図である。 図1の放射線撮影システムの撮影部の斜視図である。 図1の放射線撮影システムの撮影部の側面図である。 第1及び第2の格子の重ね合わせによるモアレ縞の周期を変更するための機構を示す模式図である。 被写体による放射線の屈折を説明するための模式図である。 縞走査法を説明するための模式図である。 縞走査に伴う放射線画像検出器の画素の信号を示すグラフである。 図1の放射線撮影システムの変形例に関し、被写体の関心領域の放射線低吸収部と重なる線量検出素子の抽出方法を説明するための模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例に関し、その放射線画像検出器の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例の構成を示す模式図である。 図14の放射線撮影システムにおける撮影方法を示すフローチャートである。 図14の放射線撮影システムの変形例に関し、その放射線画像検出器の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例の構成を示す模式図である。 図18の放射線撮影システムにおいて、被写体上に投影される指標の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例に関し、第1の格子及び格子パターンを放射線照射野の軸を中心に回転させる回転機構を示す模式図である。 本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例に関し、その演算部の構成を示すブロック図である。 図21の放射線撮影システムの演算部における処理を説明するための放射線画像検出器の画素の信号を示すグラフである。
図1は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの一例の構成を示し、図2は、図1の放射線撮影システムの制御ブロックを示す。
X線撮影システム10は、被検者Hを座位ないし臥位状態で撮影するものであって、図には、座位状態で被検者Hの膝関節部(被写体)を撮影する例が示されている。
X線撮影システム10は、被検者Hが載る支持台としてのベッド61と、被検者Hの撮影部位にX線を放射するX線源11と、X線源11に対向配置され、X線源11から被写体を透過したX線を検出して画像データを生成する撮影部12と、操作者の操作に基づいてX線源11の曝射動作や撮影部12の撮影動作を制御するとともに、撮影部12により取得された画像データを演算処理して位相コントラスト画像を生成するコンソール13とに大別される。
X線源11は、天井から吊り下げられたX線源保持装置14により保持されている。X線源保持装置14は、天井に設置された天井レール(図示せず)により水平方向(z方向)に移動自在に構成された台車部14aと、上下方向に連結された複数の支柱部14bとからなる。台車部14aには、支柱部14bを伸縮させて、X線源11の上下方向に関する位置を変更するモータ(図示せず)が設けられている。
X線源11は、X線源制御部17の制御に基づき、高電圧発生器16から印加される高電圧に応じてX線を発生するX線管18と、X線管18から発せられたX線のうち、被検者Hの撮影部位の撮影に寄与しない部分を遮蔽するように照射野を制限する可動式のコリメータ19aを備えたコリメータユニット19とから構成されている。X線管18は、陽極回転型であり、電子放出源(陰極)としてのフィラメント(図示せず)から電子線を放出して、所定の速度で回転する回転陽極18aに衝突させることによりX線を発生する。この回転陽極18aの電子線の衝突部分がX線焦点18bとなる。
コンソール13には、CPU、ROM、RAM等からなる制御装置20が設けられている。制御装置20には、操作者が撮影指示やその指示内容を入力する入力装置21と、撮影部12により取得された画像データを演算処理してX線画像を生成する演算処理部22と、X線画像を記憶する記憶部23と、X線画像等を表示するモニタ24と、X線撮影システム10の各部と接続されるインターフェース(I/F)25とがバス26を介して接続されている。
入力装置21としては、例えば、スイッチ、タッチパネル、マウス、キーボード等を用いることが可能であり、入力装置21の操作により、被写体の種別、被写体に応じたX線管電圧や後述する線量検出部で検出されるX線の線量に対する閾値線量などのX線撮影条件、撮影タイミング等が入力される。モニタ24は、液晶ディスプレイ等からなり、制御装置20の制御により、被写体種別やX線撮影条件などを示す文字やX線画像を表示する。
撮影部12は、撮影部位を介してX線源11に対向するように、ベッド61の天板62の下面側に取り付けられている。撮影部12には、半導体回路からなるフラットパネル検出器(FPD)30、撮影部位によるX線の位相変化(角度変化)を検出し位相イメージングを行うための第1の吸収型格子31及び第2の吸収型格子32、そして線量検出部35が設けられている。
また、撮影部12には、第2の吸収型格子32を水平方向(x方向)に並進移動させることにより、第1の吸収型格子31に対する第2の吸収型格子32の相対位置関係を変化させる走査機構33が設けられている。この走査機構33は、例えば、圧電素子等のアクチュエータにより構成される。
FPD30は、検出面がX線源11から照射されるX線の光軸Aに直交するように配置されている。詳しくは後述するが、第1及び第2の吸収型格子31,32は、FPD30とX線源11との間に配置されている。また、線量検出部35は、第2の吸収型格子32とFPD30との間に配置され、被写体の下流でかつ第2の吸収型格子32の上流に位置している。
図3は、図1の放射線撮影システムの放射線画像検出器の構成を示す。
放射線画像検出器としてのFPD30は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素40がアクティブマトリクス基板上にxy方向に2次元配列されてなる受像部41と、受像部41からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路42と、各画素40に蓄積された電荷を読み出し、電荷を画像データに変換して記憶する読み出し回路43と、画像データをコンソール13のI/F25を介して演算処理部22に送信するデータ送信回路44とから構成されている。なお、走査回路42と各画素40とは、行毎に走査線45によって接続されており、読み出し回路43と各画素40とは、列毎に信号線46によって接続されている。
各画素40は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)でX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタ(図示せず)に蓄積する直接変換型の素子として構成することができる。各画素40には、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)スイッチ(図示せず)が接続され、TFTスイッチのゲート電極が走査線45、ソース電極がキャパシタ、ドレイン電極が信号線46に接続される。TFTスイッチが走査回路42からの駆動パルスによってON状態になると、キャパシタに蓄積された電荷が信号線46に読み出される。
なお、各画素40は、酸化ガドリニウム(Gd)やヨウ化セシウム(CsI)等からなるシンチレータ(図示せず)でX線を一旦可視光に変換し、変換された可視光をフォトダイオード(図示せず)で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。また、X線画像検出器としては、TFTパネルをベースとしたFPDに限られず、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子をベースとした各種のX線画像検出器を用いることも可能である。
読み出し回路43は、積分アンプ回路、A/D変換器、補正回路、及び画像メモリ(いずれも図示せず)により構成されている。積分アンプ回路は、各画素40から信号線46を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換して、A/D変換器に入力する。A/D変換器は、入力された画像信号をデジタルの画像データに変換して補正回路に入力する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正、ゲイン補正、及びリニアリティ補正を行い、補正後の画像データを画像メモリに記憶させる。なお、補正回路による補正処理として、X線の露光量や露光分布(いわゆるシェーディング)の補正や、FPD30の制御条件(駆動周波数や読み出し期間)に依存するパターンノイズ(例えば、TFTスイッチのリーク信号)の補正等を含めてもよい。
図4は、図1の放射線撮影システムの支持台に設けられる指標の一例を示す。なお、図には、支持台に載置された被写体を破線で、また、X線照射野を二点鎖線で示している。
支持台としてのベッド61の天板62の表面には、被写体の関心領域が配置されるべき位置を示す種々の指標が被写体種別毎に設けられている。指標の一例としての指標64は膝関節部に対応する指標であって、天板62の表面に描画されたx方向に延びる直線で構成されており、膝関節部の関心領域(大腿骨及び脛骨、並びにその間に介在する膝関節)はこの指標64に沿って載置される。図中、二点鎖線で示されるX線照射野65のx方向及びy方向のサイズは、後述する第1及び第2の吸収型格子31,32の各方向のサイズに略一致し、指標64は、X線照射野65内に設けられている。
図5は、図1の放射線撮影システムの線量検出部の構成を示す。なお、図には、放射線焦点を視点として被写体を線量検出部の表面に投影した投影像を破線で示している。
線量検出部35は、入射するX線を電荷に変換して出力する複数の線量検出素子36を有している。これらの線量検出素子36は、FPD30の検出面に平行な面内でxy方向に2次元配列され、X線照射野の全域に亘って分散して配置されている。線量検出素子36のxy方向の配列におけるピッチは、被写体の関心領域の各部を透過したX線を検出可能なピッチで適宜設定される。例えば、被写体の一例としての膝関節部において、関心領域は大腿骨及び脛骨並びにそれらの間に介在する膝関節であり、大腿骨と脛骨との隙間(関節裂隙)は正常な場合に1〜2cmであり、膝関節の軟骨部が磨り減ると関節裂隙が狭まることから、数mmのピッチで配列される。
各線量検出素子36は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)でX線を電荷に直接変換し、変換層を間に挟む一対の電極間にバイアス電圧を印加して、変換層に生じた電荷を一方の電極に収集する直接変換型のX線検出素子として構成されている。なお、FPD30の画素40と同様に、間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。ただし、各線量検出素子36は、FPD30における画素40と異なり、スイッチングなしで読み出し回路37に接続され、電荷を常に出力することができるよう構成されている。各線量検出素子36から読み出される電荷は、読み出し回路37において素子毎に加算され、それにより、各線量検出素子36に入射するX線量が検出される。
線量検出部35は、各線量検出素子36の一対の電極間に印加されるバイアス電圧を素子毎に制御する制御器38を更に有し、一部の線量検出素子36を選択的に機能させることができるように構成されている。選択される線量検出素子36の群は、コンソール13で入力された被写体種別に基づいて指定される。コンソール13の制御装置20(図2参照)は、被写体種別毎に使用する線量検出素子36のパターンを記憶しており、入力された被写体種別に対応するパターンに基づいて、使用する線量検出素子36を指定する制御信号を制御器38に送出する。制御器38は、この制御信号に基づいて各線量検出素子36へのバイアス電圧の印加を制御し、指定された線量検出素子36の群を機能させる。被写体種別に応じて選択された線量検出素子36の群は、X線焦点18bを視点として、ベッド61の天板62の表面に設けられた同被写体種別の指標と重なる位置にあり、その指標に沿って配置された被写体の関心領域と重なる。天板62に指標が設けられていることにより、選択された線量検出素子36の群に対する被写体の関心領域の位置あわせが容易となる。
そして、線量検出部35は、選択された線量検出素子36の群のうち、X線焦点18bを視点として被写体の関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36、換言すれば、X線低吸収部を透過したX線が入射する線量検出素子36を抽出する。被写体の一例としての膝関節部において、関心領域は大腿骨及び脛骨並びにそれらの間に介在する膝関節であり、膝関節を構成する軟骨部及び関節液のX線吸収能は、膝関節を間に挟む大腿骨及び脛骨のX線吸収能より低い。よって、膝関節(X線低吸収部)を透過したX線の強度は、大腿骨及び脛骨(X線高吸収部)を透過したX線の強度より高くなる。そこで、読み出し回路37において、選択された線量検出素子36の群の(図中、二点鎖線Aで囲まれる線量検出素子36の群)各線量検出素子36の単位時間当たりの検出線量(検出強度)が比較され、検出強度が最大の線量検出素子36が、膝関節と重なる線量検出素子36として抽出される。
ここで、被写体から外れて位置し、X線が直接入射する線量検出素子36の検出強度は最も高くなる。また、被写体の非関心領域にX線低吸収部が含まれており、そこと重なる線量検出素子36の検出強度が、関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36の検出強度と同等となる場合も想定される。しかし、関心領域と重なる線量検出素子36の群が予め選択され、関心領域から外れる線量検出素子36は機能していないので、検出強度に基づいて関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36を抽出する際に、関心領域から外れる線量検出素子36が影響を及ぼすことはない。
そして、線量検出部35は、抽出した線量検出素子36の検出線量が、コンソール13で入力された閾値線量に達したところで、閾値線量に達したことを示す信号を制御装置20に送出する。この信号を受信した制御装置20は、X線の照射停止を指示する制御信号をX線源制御部17に送出し、この制御信号を受信したX線制御部17は、X線管18への電力の供給を停止するように高電圧発生器16を制御する。それにより、X線の照射が停止される。
このように、本X線撮影システム10においては、被写体の関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36が抽出され、抽出された線量検出素子36の検出線量に基づいて露光制御が行われる。それにより、関心領域のX線低吸収部のX線像を検出するFPD30の画素40の群に対して適正な露光を得ることができる。なお、例えば両膝関節部や複数の手指の関節部を撮影する場合に、関心領域が複数となるが、その場合には、線量検出素子36の検出強度に対して閾値強度を設定し、閾値強度を越える線量検出素子36を抽出することにより、各関心領域のX線低吸収部に対応する線量検出素子36を抽出することができる。その場合、抽出された複数の線量検出素子36の検出線量の平均の線量に基づいて露光制御すればよい。
図6及び図7は、図1の放射線撮影システムの撮影部の構成を示す。
第1の吸収型格子31は、基板31aと、この基板31aに配置された複数のX線遮蔽部31bとから構成されている。同様に、第2の吸収型格子32は、基板32aと、この基板32aに配置された複数のX線遮蔽部32bとから構成されている。基板31a,31bは、いずれもX線を透過させるガラス等のX線透過性部材により形成されている。
X線遮蔽部31b,32bは、いずれもX線源11から照射されるX線の光軸Aに直交する面内の一方向(図示の例では、x方向及びz方向に直交するy方向)に延伸した線状の部材で構成される。各X線遮蔽部31b,32bの材料としては、X線吸収性に優れるものが好ましく、例えば、金、白金等の重金属であることが好ましい。これらのX線遮蔽部31b,32bは、金属メッキ法や蒸着法によって形成することが可能である。
X線遮蔽部31bは、X線の光軸Aに直交する面内において、上記一方向と直交する方向(x方向)に一定の周期pで、互いに所定の間隔dを空けて配列されている。同様に、X線遮蔽部32bは、X線の光軸Aに直交する面内において、上記一方向と直交する方向(x方向)に一定の周期pで、互いに所定の間隔dを空けて配列されている。このような第1及び第2の吸収型格子31,32は、入射X線に位相差を与えるものでなく、強度差を与えるものであるため、振幅型格子とも称される。なお、スリット部(上記間隔d,dの領域)は空隙でなくてもよく、例えば、高分子や軽金属などのX線低吸収材で該空隙を充填してもよい。
第1及び第2の吸収型格子31,32は、タルボ干渉効果の有無に係らず、スリット部を通過したX線を幾何学的に投影するように構成されている。具体的には、間隔d,dを、X線源11から照射されるX線のピーク波長より十分大きな値とすることで、照射X線に含まれる大部分のX線をスリット部で回折させずに、直進性を保ったまま通過するように構成する。例えば、前述の回転陽極18aとしてタングステンを用い、管電圧を50kVとした場合には、X線のピーク波長は、約0.4Åである。この場合には、間隔d,dを、1〜10μm程度とすれば、スリット部で大部分のX線が回折されずに幾何学的に投影される。
X線源11から放射されるX線は、平行ビームではなく、X線焦点18bを発光点としたコーンビームであるため、第1の吸収型格子31を通過して射影される投影像(以下、この投影像をG1像と称する)は、X線焦点18bからの距離に比例して拡大される。第2の吸収型格子32の格子ピッチp及び間隔dは、そのスリット部が、第2の吸収型格子32の位置におけるG1像の明部の周期パターンとほぼ一致するように決定されている。すなわち、X線焦点18bから第1の吸収型格子31までの距離をL、第1の吸収型格子31から第2の吸収型格子32までの距離をLとした場合に、格子ピッチp及び間隔dは、次式(1)及び(2)の関係を満たすように決定される。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
第1の吸収型格子31から第2の吸収型格子32までの距離Lは、タルボ干渉計では、第1の回折格子の格子ピッチとX線波長とで決まるタルボ干渉距離に制約されるが、本X線撮影システム10の撮影部12では、第1の吸収型格子31が入射X線を回折させずに投影させる構成であって、第1の吸収型格子31のG1像が、第1の吸収型格子31の後方のすべての位置で相似的に得られるため、該距離Lを、タルボ干渉距離と無関係に設定することができる。
上記のように撮影部12は、タルボ干渉計を構成するものではないが、第1の吸収型格子31でX線を回折したと仮定した場合のタルボ干渉距離Zは、第1の吸収型格子31の格子ピッチp、第2の吸収型格子32の格子ピッチp、X線波長(ピーク波長)λ、及び正の整数mを用いて、次式(3)で表される。
Figure 2014012030
式(3)は、X線源11から照射されるX線がコーンビームである場合のタルボ干渉距離を表す式であり、「Atsushi Momose, et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol.47, No.10, 2008年10月, 8077頁」により知られている。
本X線撮影システム10では、撮影部12の薄型化を目的とし、上記距離Lを、m=1の場合の最小のタルボ干渉距離Zより短い値に設定する。すなわち、上記距離Lは、次式(4)を満たす範囲の値に設定される。
Figure 2014012030
なお、X線源11から照射されるX線が実質的に平行ビームとみなせる場合のタルボ干渉距離Zは次式(5)となり、上記距離Lを、次式(6)を満たす範囲の値に設定する。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
X線遮蔽部31b,32bは、コントラストの高い周期パターン像を生成するためには、X線を完全に遮蔽(吸収)することが好ましいが、上記したX線吸収性に優れる材料(金、白金等)を用いたとしても、吸収されずに透過するX線が少なからず存在する。このため、X線の遮蔽性を高めるためには、X線遮蔽部31b,32bのそれぞれの厚みh,hを、可能な限り厚くすることが好ましい。例えば、X線管18の管電圧が50kVの場合に、照射X線の90%以上を遮蔽することが好ましく、この場合には、厚みh,hは、金(Au)換算で30μm以上であることが好ましい。
一方、X線遮蔽部31b,32bの厚みh,hを厚くし過ぎると、斜めに入射するX線がスリット部を通過しにくくなり、いわゆるケラレが生じて、X線遮蔽部31b,32bの延伸方向(条帯方向)に直交する方向(x方向)の有効視野が狭くなるといった問題がある。このため、視野確保の観点から、厚みh,hの上限を規定する。FPD30の検出面におけるx方向の有効視野の長さVを確保するには、X線焦点18bからFPD30の検出面までの距離をLとすると、厚みh,hは、図7に示す幾何学的関係から、次式(7)及び(8)を満たすように設定する必要がある。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
例えば、d=2.5μm、d=3.0μmであり、通常の病院での撮影を想定して、L=2mとした場合には、x方向の有効視野の長さVとして10cmの長さを確保するには、厚みhは100μm以下、厚みhは120μm以下とすればよい。
以上のように構成された撮影部12では、第1の吸収型格子31のG1像と第2の吸収型格子32との重ね合わせにより、強度変調された像が形成され、FPD30によって撮像される。第2の吸収型格子32の位置におけるG1像のパターン周期p’と、第2の吸収型格子32の実質的な格子ピッチp’(製造後の実質的なピッチ)とは、製造誤差や配置誤差により若干の差異が生じる。このうち、配置誤差とは、第1及び第2の吸収型格子31,32が、相対的に傾斜や回転、両者の間隔が変化することによりx方向への実質的なピッチが変化することを意味している。
G1像のパターン周期p’と格子ピッチp’との微小な差異により、画像コントラストはモアレ縞となる。このモアレ縞の周期Tは、次式(9)で表される。
Figure 2014012030
このモアレ縞をFPD30で検出するには、画素40のx方向に関する配列ピッチPは、少なくとも次式(10)を満たす必要があり、更には、次式(11)を満たすことが好ましい(ここで、nは正の整数である)。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
式(10)は、配列ピッチPがモアレ周期Tの整数倍でないことを意味しており、n≧2の場合であっても原理的にモアレ縞を検出することが可能である。式(11)は、配列ピッチPをモアレ周期Tより小さくすることを意味している。
FPD30の画素40の配列ピッチPは、設計的に定められた値(一般的に100μm程度)であり変更することが困難であるため、配列ピッチPとモアレ周期Tとの大小関係を調整するには、第1及び第2の吸収型格子31,32の位置調整を行い、G1像のパターン周期p’と格子ピッチp’との少なくともいずれか一方を変更することによりモアレ周期Tを変更することが好ましい。
図8に、モアレ周期Tを変更する方法を示す。
モアレ周期Tの変更は、第1及び第2の吸収型格子31,32のいずれか一方を、光軸Aを中心として相対的に回転させることにより行うことができる。例えば、第1の吸収型格子31に対して、第2の吸収型格子32を、光軸Aを中心として相対的に回転させる相対回転機構50を設ける。この相対回転機構50により、第2の吸収型格子32を角度θだけ回転させると、x方向に関する実質的な格子ピッチは、「p’」→「p’/cosθ」と変化し、この結果、モアレ周期Tが変化する(FIG.8A)。
別の例として、モアレ周期Tの変更は、第1及び第2の吸収型格子31,32のいずれか一方を、光軸Aに直交し、かつy方向に沿う方向の軸を中心として相対的に傾斜させることにより行うことができる。例えば、第1の吸収型格子31に対して、第2の吸収型格子32を、光軸Aに直交し、かつy方向に沿う方向の軸を中心として相対的に傾斜させる相対傾斜機構51を設ける。この相対傾斜機構51により、第2の吸収型格子32を角度αだけ傾斜させると、x方向に関する実質的な格子ピッチは、「p’」→「p’×cosα」と変化し、この結果、モアレ周期Tが変化する(FIG.8B)。
更に別の例として、モアレ周期Tの変更は、第1及び第2の吸収型格子31,32のいずれか一方を光軸Aの方向に沿って相対的に移動させることにより行うことができる。例えば、第1の吸収型格子31と第2の吸収型格子32との間の距離Lを変更するように、第1の吸収型格子31に対して、第2の吸収型格子32を、光軸Aの方向に沿って相対的に移動させる相対移動機構52を設ける。この相対移動機構52により、第2の吸収型格子32を光軸Aに移動量δだけ移動させると、第2の吸収型格子32の位置に投影される第1の吸収型格子31のG1像のパターン周期は、「p’」→「p’×(L+L+δ)/(L+L)」と変化し、この結果、モアレ周期Tが変化する(FIG.8C)。
本X線撮影システム10において、撮影部12は、上述のようにタルボ干渉計ではなく、距離Lを自由に設定することができるため、相対移動機構52のように距離Lの変更によりモアレ周期Tを変更する機構を、好適に採用することができる。モアレ周期Tを変更するための第1及び第2の吸収型格子31,32の上記変更機構(相対回転機構50、相対傾斜機構51、及び相対移動機構52)は、圧電素子等のアクチュエータにより構成することが可能である。
X線源11と第1の吸収型格子31との間に被写体Hを配置した場合には、FPD30により検出されるモアレ縞は、被写体Hにより変調を受ける。この変調量は、被写体Hによる屈折効果によって偏向したX線の角度に比例する。したがって、FPD30で検出されたモアレ縞を解析することによって、被写体Hの位相コントラスト画像を生成することができる。
次に、モアレ縞の解析方法について説明する。
図9は、被写体Hのx方向に関する位相シフト分布Φ(x)に応じて屈折される1つのX線を示す。なお、散乱除去格子の図示は省略する。
符号55は、被写体Hが存在しない場合に直進するX線の経路を示しており、この経路55を進むX線は、第1及び第2の吸収型格子31,32を通過してFPD30に入射する。符号56は、被写体Hが存在する場合に、被写体Hにより屈折されて偏向したX線の経路を示している。この経路56を進むX線は、第1の吸収型格子31を通過した後、第2の吸収型格子32より遮蔽される。
被写体Hの位相シフト分布Φ(x)は、被写体Hの屈折率分布をn(x,z)、zをX線の進む方向として、次式(12)で表される。
Figure 2014012030
第1の吸収型格子31から第2の吸収型格子32の位置に投射されたG1像は、被写体HでのX線の屈折により、その屈折角φに応じた量だけx方向に変位することになる。この変位量Δxは、X線の屈折角φが微小であることに基づいて、近似的に次式(13)で表される。
Figure 2014012030
ここで、屈折角φは、X線波長λと被写体Hの位相シフト分布Φ(x)を用いて、式(14)で表される。
Figure 2014012030
このように、被写体HでのX線の屈折によるG1像の変位量Δxは、被写体Hの位相シフト分布Φ(x)に関連している。そして、この変位量Δxは、FPD30の各画素40から出力される信号の位相ズレ量ψ(被写体Hがある場合とない場合とでの各画素40の信号の位相のズレ量)に、次式(15)のように関連している。
Figure 2014012030
したがって、各画素40の信号の位相ズレ量ψを求めることにより、式(15)から屈折角φが求まり、式(14)を用いて位相シフト分布Φ(x)の微分量が求まるから、これをxについて積分することにより、被写体Hの位相シフト分布Φ(x)、すなわち被写体Hの位相コントラスト画像を生成することができる。本X線撮影システム10では、上記位相ズレ量ψを、下記に示す縞走査法を用いて算出する。
縞走査法では、第1及び第2の吸収型格子31,32の一方を他方に対して相対的にx方向にステップ的に並進移動させながら撮影を行う(すなわち、両者の格子周期の位相を変化させながら撮影を行う)。本X線撮影システム10では、前述の走査機構33により第2の吸収型格子32を移動させているが、第1の吸収型格子31を移動させてもよい。第2の吸収型格子32の移動に伴って、モアレ縞が移動し、並進距離(x方向への移動量)が、第2の吸収型格子32の格子周期の1周期(格子ピッチp)に達すると(すなわち、位相変化が2πに達すると)、モアレ縞は元の位置に戻る。このようなモアレ縞の変化を、格子ピッチpを整数分の1ずつ第2の吸収型格子32を移動させながら、FPD30でモアレ縞を撮影し、撮影した複数の縞画像から各画素40の信号を取得し、演算処理部22で演算処理することにより、各画素40の信号の位相ズレ量ψを得る。
図10は、格子ピッチpをM(2以上の整数)個に分割した走査ピッチ(p/M)ずつ第2の吸収型格子32を移動させる様子を模式的に示す。
走査機構33は、k=0,1,2,・・・,M−1のM個の各走査位置に、第2の吸収型格子32を順に並進移動させる。なお、同図では、第2の吸収型格子32の初期位置を、被写体Hが存在しない場合における第2の吸収型格子32の位置でのG1像の暗部が、X線遮蔽部32bにほぼ一致する位置(k=0)としているが、この初期位置は、k=0,1,2,・・・,M−1のうちいずれの位置としてもよい。
まず、k=0の位置では、主として、被写体Hにより屈折されなかったX線が第2の吸収型格子32を通過する。次に、k=1,2,・・・と順に第2の吸収型格子32を移動させていくと、第2の吸収型格子32を通過するX線は、被写体Hにより屈折されなかったX線の成分が減少する一方で、被写体Hにより屈折されたX線の成分が増加する。特に、k=M/2では、主として、被写体Hにより屈折されたX線のみが第2の吸収型格子32を通過する。k=M/2を超えると、逆に、第2の吸収型格子32を通過するX線は、被写体Hにより屈折されたX線の成分が減少する一方で、被写体Hにより屈折されなかったX線の成分が増加する。
k=0,1,2,・・・,M−1の各位置で、FPD30により撮影を行うと、各画素40について、M個の信号値(画素データ)が得られる。以下に、このM個の信号値から各画素40の信号の位相ズレ量ψを算出する方法を説明する。第2の吸収型格子32の位置kにおける各画素40の信号値をI(x)と標記すると、I(x)は、次式(16)で表される。
Figure 2014012030
ここで、xは、画素40のx方向に関する座標であり、Aは入射X線の強度であり、Aは画素40の信号値のコントラストに対応する値である(ここで、nは正の整数である)。また、φ(x)は、上記屈折角φを画素40の座標xの関数として表したものである。
次いで、次式(17)の関係式を用いると、上記屈折角φ(x)は、次式(18)のように表される。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
ここで、arg[ ]は、偏角の抽出を意味しており、各画素40の信号の位相ズレ量ψに対応する。したがって、各画素40で得られたM個の信号値から、式(18)に基づいて各画素40の信号の位相ズレ量ψを算出することにより、屈折角φ(x)が求められる。
図11は、縞走査に伴って変化する放射線画像検出器の一つの画素の信号を示す。
各画素40で得られたM個の信号値は、第2の吸収型格子32の位置kに対して、格子ピッチpの周期で周期的に変化する。図11中の破線は、被写体Hが存在しない場合の信号値の変化を示しており、図11中の実線は、被写体Hが存在する場合の信号値の変化を示している。この両者の波形の位相差が各画素40の信号の位相ズレ量ψに対応する。
そして、屈折角φ(x)は、上記式(14)で示したように微分位相値に対応する値であるため、屈折角φ(x)をx軸に沿って積分することにより、位相シフト分布Φ(x)が得られる。
以上の演算は、演算処理部22により行われ、演算処理部22は、位相コントラスト画像を記憶部23に記憶させる。なお、上記の説明では、画素40のy方向に関するy座標を考慮していないが、各y座標について同様の演算を行うことにより、x方向及びy方向における2次元的な位相シフト分布Φ(x,y)が得られる。以上の演算は、演算処理部22により行われ、演算処理部22は、算出した位相シフト分布Φ(x,y)を、位相コントラスト画像として画像記憶部23に記憶させる。
以上の演算において、位相ズレ量ψを算出するための各画素40のM個の信号値の変化は、第2の吸収型格子32の走査によってもたらされる必要がある。そのためには、X線源11から撮影部12に照射されるX線の照射線量が撮影間でほぼ一定していることが求められる。
本X線撮影システム10において、前述した露光制御に使用される線量検出素子36は、第1の吸収型格子31と第2の吸収型格子32との間に配置され、第2の吸収型格子32の上流に位置している。そのため、線量検出素子36の受光面上におけるG1像は、第2の吸収型格子32の走査によっても移動せず、線量検出素子36に単位時間当たりに入射するX線の線量は一定する。そこで、線量検出素子36の検出線量が上記の閾値線量に達するまでの時間が撮影間で一定し、撮影間の照射線量のバラツキが防止される。
また、第1の吸収型格子31を通過したX線によって形成されるG1像は、第2の吸収型格子32が重ね合わされることによって、第2の吸収型格子32の下流のFPD30の受像面上においてはモアレ縞を形成する。一方、線量検出素子36は第2の吸収型格子32の上流に位置しており、線量検出素子36の受光面上におけるG1像はモアレ縞とはならず、そのパターン周期は、第1の吸収型格子31の格子ピッチpに対応してμmオーダーとなる。線量検出素子36の受光面のサイズは、その配列ピッチとの関係でmmオーダーとでき、線量検出素子36の受光面にはG1像における多数の明部及び暗部が重なり、それらが積算されて検出される。従って、第2の吸収型格子32に替えて第1の吸収型格子31が走査され、第1の吸収型格子31の走査に伴ってG1像が移動する場合にも、線量検出素子36に単位時間当たりに入射するX線の線量はほぼ一定する。そこで、線量検出素子36によって検出される線量が上記の閾値線量に達するまでのX線の照射時間は撮影間でほぼ一定し、撮影間の照射線量のバラツキが防止される。
上記の縞走査、及び位相コントラスト画像の生成処理は、入力装置21から操作者により撮影指示がなされた後、制御装置20の制御に基づいて各部が連係動作し、自動的に行われ、最終的に被写体Hの位相コントラスト画像がモニタ24に表示される。
以上、説明したように、本X線撮影システム10によれば、複数の線量検出素子36を分散して配置し、関心領域のX線低吸収部を透過したX線が入射する線量検出素子36を抽出し、抽出された線量検出素子36によって検出される線量に基づいて露光制御することにより、X線低吸収部のX線像を検出する画素40の群に対して適正な露光が可能となる。それにより、X線位相イメージングにおいて、より関心の高いX線低吸収部の画像情報を確実に得ることができる。
また、本X線撮影システム10によれば、線量検出素子36を第2の吸収型格子32の上流に配置することによって、G1像と第2の吸収型格子32との重ね合わせによるモアレ縞の影響を受けることなく線量を検出することができる。それにより、適切な露光制御を可能とし、高精度なX線位相コントラスト画像を生成することができる。
また、本X線撮影システム10によれば、第1の吸収型格子31で殆どのX線を回折させずに、第2の吸収型格子32に幾何学的に投影するため、照射X線には、高い空間的可干渉性は要求されず、X線源11として医療分野で用いられている一般的なX線源を用いることができる。そして、第1の吸収型格子31から第2の吸収型格子32までの距離Lを任意の値とすることができ、該距離Lを、タルボ干渉計での最小のタルボ干渉距離より小さく設定することができるため、撮影部12を小型化(薄型化)することができる。更に、本X線撮影システムでは、第1の吸収型格子31からの投影像(G1像)には、照射X線のほぼすべての波長成分が寄与し、モアレ縞のコントラストが向上するため、位相コントラスト画像の検出感度を向上させることができる。
なお、本X線撮影システム10は、被写体をX線源11と第1の吸収型格子31との間に配置して撮影するものとして説明したが、被写体が第1の吸収型格子31と第2の吸収型格子32との間に位置する場合であっても、第2の吸収型格子32の位置に形成される第1の吸収型格子31の投影像(G1像)が被写体により変形する。したがって、この場合でも、被写体に起因して変調されたモアレ縞をFPD30により検出することができ、すなわち、前述した原理で被写体の位相コントラスト画像を得ることができる。そして、第1の吸収型格子31による遮蔽により、線量がほぼ半減したX線が被写体に照射されることになるため、被写体の被曝量を約半分に低減することができる。
また、本X線撮影システム10は、第1の格子の投影像に対して縞走査を行って屈折角φを演算するものであって、そのため、第1及び第2の格子がいずれも吸収型格子であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上述のとおり、タルボ干渉像に対して縞走査を行って屈折角φを演算する場合にも、本発明は有用である。よって、第1の格子は、吸収型格子に限らず位相型格子であってもよい。また、第1の格子のX線像と第2の格子との重ね合わせによって形成されるモアレ縞の解析方法は、前述した縞走査法に限られず、例えば「J. Opt. Soc. Am. Vol.72,No.1 (1982) p.156」により知られているフーリエ変換/フーリエ逆変換を用いた方法など、モアレ縞を利用した種々の方法も適用可能である。
また、本X線撮影システム10は、位相シフト分布Φを画像としたものを位相コントラスト画像として記憶ないし表示するものとして説明したが、上記のとおり、位相シフト分布Φは、屈折角φより求まる位相シフト分布Φの微分量を積分したものであって、屈折角φ及び位相シフト分布Φの微分量もまた被写体によるX線の位相変化に関連している。よって、屈折角φを画像としたもの、また、位相シフトΦの微分量を画像としたものも位相コントラスト画像に含まれる。
また、被写体がない状態で撮影(プレ撮影)して取得される画像群から位相微分像(位相シフト分布Φの微分量)を作成するようにしてもよい。この位相微分像は、検出系の位相ムラを反映している(モアレによる位相ズレ、グリッドの不均一性、線量検出器の屈折等が含まれている)。そして、被写体がある状態で撮影(メイン撮影)して取得される画像群から位相微分像を作成し、これからプレ撮影で得られた位相微分像を引くことで、測定系の位相ムラを補正した位相微分像を得ることが出来る。
図12は、図1の放射線撮影システムの変形例に関し、被写体の関心領域の放射線低吸収部と重なる線量検出素子の抽出方法を示す。
前述したX線撮影システム10においては、関心領域から外れる線量検出素子36が、関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36の抽出に影響を及ぼす可能性があることに鑑み、関心領域と重なる線量検出素子36の群を予め選択しているが、本変形例においては、被写体の関心領域と重なる線量検出素子36の群を予め選択することなしに、関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36を抽出する。その他の構成については前述したX線撮影システム10と同一であるので説明は省略する。
本変形例において、被写体である膝関節部の関心領域(大腿骨及び脛骨、並びにその間に介在する膝関節)は、ベッド61の天板62の表面に描画されたx方向に延びる直線で構成される指標64a(図4参照)に沿って配置されている。
全ての線量検出素子36のうちからX線低吸収部と重なる線量検出素子36を抽出するに際して、まず、y方向に並ぶ線量検出素子36の列36yを順次走査し、検出強度が予め設定された閾値強度より小さい線量検出素子36を列毎に特定する。ここで特定される線量検出素子36の群は、X線高吸収部である大腿骨又は脛骨と重なる線量検出素子であり、x方向に一列(又は複列)に並ぶ。
ここで、膝関節は相対する大腿骨と頚骨との間に介在しており、よって、膝関節と重なる線量検出素子は、上記で特定された線量検出素子36の群の並びの中に存在する。そこで、上記で特定された線量検出素子36の群が並ぶx方向の各列36xにおいて、検出強度が上記の閾値強度より大きい線量検出素子36を抽出する。それによって、膝関節と重なる線量検出素子36が抽出される。
このように、本変形例によれば、関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36を抽出するに際して、関心領域と重なる線量検出素子36の群を予め選択する手間を省くことができる。
図13は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例を示す。
前述したX線撮影システム10では、第2の吸収型格子32がFPD30とは独立して設けられているが、第2の吸収型格子32あるいはそれと同等の構成をX線画像検出器自体が有していてもよい。具体的な実施態様としては、特開2009−133823号公報に開示された構成のX線画像検出器を用いることにより、第2の吸収型格子を排することができる。このX線画像検出器は、X線を電荷に変換する変換層と、変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極とを備えた直接変換型のX線画像検出器であって、各画素120の電荷収集電極121が、一定の周期で配列された線状電極を互いに電気的に接続してなる複数の線状電極群122〜127を、互いに位相が異なるように配置することにより構成されている。
画素120は、x方向及びy方向に沿って一定のピッチで2次元配列されており、各画素120には、X線を電荷に変換する変換層によって変換された電荷を収集するための電荷収集電極121が形成されている。電荷収集電極121は、第1〜第6の線状電極群122〜127から構成されており、各線状電極群の線状電極の配列周期の位相がπ/3ずつずれている。具体的には、第1の線状電極群122の位相を0とすると、第2の線状電極群123の位相はπ/3、第3の線状電極群124の位相は2π/3、第4の線状電極群125の位相はπ、第5の線状電極群126の位相は4π/3、第6の線状電極群127の位相は5π/3である。
第1〜第6の線状電極群122〜127はそれぞれ、y方向に延伸した線状電極をx方向に所定のピッチpで周期的に配列したものである。この線状電極の配列ピッチpの実質的なピッチp’(製造後の実質的なピッチ)と、電荷収集電極121の位置(X線画像検出器の位置)におけるG1像のパターン周期p’と、x方向に関する画素120の配列ピッチPとの関係は、前述したX線撮影システム10の第2の吸収型格子32と同様に、式(9)で表されるモアレ縞の周期Tに基づき、式(10)を満たす必要があり、更には、式(11)を満たすことが好ましい。
更に、各画素120には、電荷収集電極121により収集された電荷を読み出すためのスイッチ群128が設けられている。スイッチ群128は、第1〜第6の線状電極群121〜126のそれぞれに設けられたTFTスイッチからなる。第1〜第6の線状電極群121〜126により収集された電荷を、スイッチ群128を制御してそれぞれ個別に読み出すことによって、一度の撮影により、互いに位相の異なる6種類の縞画像を取得することができ、この6種類の縞画像に基づいて位相コントラスト画像を生成することができる。
このように構成されたX線画像検出器を、前述したX線撮影システム10に適用した場合に、撮影部12から第2の吸収型格子32が不要となり、更に、一度の撮影で複数の位相成分の縞画像を取得することができるため、縞走査のための物理的な走査が不要となり、走査機構33も排することができる。それにより、コスト削減とともに、撮影部のさらなる薄型化を図ることができる。なお、電荷収集電極の構成には、上記構成に代えて、特開2009−133823号公報に記載のその他の構成を用いることも可能である。
図14は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例を示す。
本X線撮影システム70は、線量検出部35をFPD30の裏、即ち被写体の下流でかつ第2の吸収型格子32の下流に配置した点で、前述したX線撮影システム10と異なる。また、本X線撮影システム70は、被写体の関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36を抽出し、抽出した線量検出素子36の検出線量を露光制御に用いる点では前述したX線撮影システム10と共通するが、露光制御の方法が前述したX線撮影システム10と異なる。その他の構成については、前述したX線撮影システム10と同一であるので説明を省略する。
図15は、図14の放射線撮影システムにおける撮影フローを示す。
本X線撮影システム70において、第2の吸収型格子32がk=0の位置(図10参照)に置かれる1回目の撮影では、被写体の関心領域のX線低吸収部と重なる線量検出素子36によって検出される線量に基づいて露光制御が行われる。そして、第2の吸収型格子32がK=1,2・・・,M−1の各位置(図10参照)に置かれる2回目以降の撮影では、1回目の撮影に要した露光時間に基づいて露光制御が行われる。
まず、1回目の撮影では、制御装置20が、X線の照射開始を指示する制御信号をX線源制御部17に送出する。この制御信号を受信したX線制御部17は、X線管18への電力の供給を開始するように高電圧発生器16を制御する。それにより、X線の照射が開始される(ステップS1)。
線量検出部35は、抽出した線量検出素子36の検出線量が、コンソール13で入力された閾値線量に達したところで、閾値線量に達したことを示す信号を制御装置20に送出する(ステップS2)。この信号を受信した制御装置20は、X線の照射停止を指示する制御信号をX線源制御部17に送出し、この制御信号を受信したX線制御部17は、X線管18への電力の供給を停止するように高電圧発生器16を制御する。それにより、X線の照射が停止される(ステップS3)。
制御装置20は、1回目の撮影に要した露光時間T、即ち、X線源制御部17に対してX線の照射開始を指示する制御信号を送出してから照射停止を指示する制御信号を送出するまでの時間を計測しており、これを記憶する。
次いで、2回目以降の撮影では、制御装置20は、X線の照射開始を指示する制御信号をX線源制御部17に送出する。この制御信号を受信したX線制御部17は、X線管18への電力の供給を開始するように高電圧発生器16を制御する。それにより、X線の照射が開始される(ステップS4)。
ここで、2回目以降の撮影においては、第2の吸収型格子32の走査に伴いモアレ縞が移動し、第2の吸収型格子32の下流に位置する線量検出素子36の受光面とモアレ縞の暗部との重なりの程度に応じて、線量検出素子36の受光面に単位時間当たりに入射する線量が変化する。よって、2回目以降の各撮影において、線量検出素子36により検出される線量が上記の閾値線量に達するまでに要する時間は、1回目の撮影において線量検出素子36の検出線量が上記の閾値線量に達するまでに要した露光時間Tと相違する。そのため、2回目以降の各撮影においも、線量検出素子36の検出線量に基づいて露光制御を行った場合には、露光時間が撮影間でバラツキ、結果、照射線量にバラツキが生じることとなる。
そこで、制御装置20は、X線源制御部17に対してX線の照射開始を指示する制御信号を送出してからの経過時間Tを計測し、経過時間Tが、記憶している1回目の撮影に要した露光時間Tに達したところで、X線の照射停止を指示する制御信号をX線源制御部17に送出する(ステップS5)。この制御信号を受信したX線制御部17は、X線管18への電力の供給を停止するように高電圧発生器16を制御する。それにより、X線の照射が停止される(ステップS6)。
このように、本X線撮影システム70によれば、1回目の撮影では、抽出された線量検出素子36の検出線量に基づいて露光制御が行われ、2回目以降の撮影では、1回目の撮影に要した露光時間Tに基づいて露光制御が行われることにより、被写体によって異なる必要露光量が確保されると共に、撮影間の照射線量のバラツキが防止される。それにより、高精度な放射線位相コントラスト画像を生成することができる。
また、第1及び第2の吸収型格子31,32を用いた縞走査法によるX線位相イメージングでは、第2の吸収型格子32より上流にある物体でのX線の屈折は、被写体でのX線の屈折と区別なく検出されるが、本X線撮影システム70によれば、線量検出部35がFPD30の裏に配置され、第2の吸収型格子32の下流に位置しているので、線量検出部35によるX線の屈折は検出されず、被写体によるX線の屈折のみが検出される。それにより、被写体の高精度なX線位相コントラスト画像を生成することができる。
なお、X線管18への電力の供給の開始及び停止によってX線の照射と停止を切り替えるものとして説明したが、X線管18への電力の供給は継続しつつ、コリメータ19の開閉によってX線の照射と停止を切り替えてもよいし、開口部と遮蔽部とを交互に形成した円盤状(又はスリット状)のシャッター板をX線源11の出射口に設け、これをX線の照射タイミングに同期するように回転(又は並進)させることにより、X線の照射と停止を切り替えてもよい。それによれば、X線管18を安定した状態に保ち、照射線量のバラツキをより確実に防止することができる。
また、第2の吸収型格子32とFPD30との間に線量検出器35を配置することもできる。更に、線量検出部35と同等の構成をX線画像検出器自体が有していてもよく、具体的な態様としては、特開2004−130058号公報に開示された構成のX線画像検出器を用いることができ、それによって線量検出部35を排することができる。このX線画像検出器は、図16に示すように、モアレ縞を撮影するための複数の画素40とは別に、線量を検出するための複数の画素(光電変換素子)47と、これら画素47がスイッチングなしに接続される読み出し回路48とを備えている。各画素47から読み出される電荷は、読み出し回路48において素子毎に加算され、それにより、各画素47に入射するX線量が検出される。そして、これらの画素47の一対の電極間に印加されるバイアス電圧を素子毎に制御する制御器(図示せず)を更に設け、一部の画素47を選択的に機能させることができるよう構成する。
図17は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例を示す。
X線撮影システム100は、X線源101のコリメータユニット102に、マルチスリット103を配設した点が、上記第1実施形態のX線撮影システム10と異なる。その他の構成については、前述したX線撮影システム10と同一であるので説明は省略する。
前述したX線撮影システム10では、X線源11からFPD30までの距離を、一般的な病院の撮影室で設定されるような距離(1m〜2m)とした場合に、X線焦点18bの焦点サイズ(一般的に0.1mm〜1mm程度)によるG1像のボケが影響し、位相コントラスト画像の画質の低下をもたらす恐れがある。そこで、X線焦点18bの直後にピンホールを設置して実効的に焦点サイズを小さくすることが考えられるが、実効的な焦点サイズを縮小するためにピンホールの開口面積を小さくすると、X線強度が低下してしまう。本X線撮影システム100においては、この課題を解決するために、X線焦点18bの直後にマルチスリット103を配置する。
マルチスリット103は、撮影部12に設けられた第1及び第2の吸収型格子31,32と同様な構成の吸収型格子(第3の吸収型格子)であり、一方向(y方向)に延伸した複数のX線遮蔽部が、第1及び第2の吸収型格子31,32のX線遮蔽部31b,32bと同一方向(x方向)に周期的に配列されている。このマルチスリット103は、X線焦点18bから放射される放射線を部分的に遮蔽することにより、x方向に関する実効的な焦点サイズを縮小して、x方向に多数の点光源(分散光源)を形成することを目的としている。
このマルチスリット103の格子ピッチpは、マルチスリット103から第1の吸収型格子31までの距離をLとして、次式(19)を満たすように設定する必要がある。
Figure 2014012030
上記式(19)は、マルチスリット103により分散形成された各点光源から射出されたX線の第1の吸収型格子31による投影像(G1像)が、第2の吸収型格子32の位置で一致する(重なり合う)ための幾何学的な条件である。
また、実質的にマルチスリット103の位置がX線焦点位置となるため、第2の吸収型格子32の格子ピッチp及び間隔dは、次式(20)及び(21)の関係を満たすように決定される。
Figure 2014012030
Figure 2014012030
このように、本X線撮影システムでは、マルチスリット103により形成される複数の点光源に基づくG1像が重ね合わせられることにより、X線強度を低下させずに、位相コントラスト画像の画質を向上させることができる。以上説明したマルチスリット103は、前述したいずれのX線撮影システムにおいても適用可能である。
図18は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例を示す。
前述したX線撮影システム10は、ベッド61の天板62上に設けられた指標に関心領域をあわせるものとして説明したが、指標に関心領域をあわせることが困難な場合がある。例えば、膝関節を関心領域とする場合に、脊椎のような正中線(正面からみて体の中央を通る線)上の部位に比較して膝関節は正中線から離れているため、肢位変更が難しい被検者にあっては天板中央の指標に膝関節を配置することは困難である。また、脊椎を関心領域とする場合に、指標は幅の広い胸腹部で覆われて確認しづらく、よって、指標に脊椎をあわせることは困難である。
そこで、本X線撮影システム80は、被写体種別に応じて選択される線量検出素子36の群と重なる指標を可視光によって被写体上に投影する。具体的には、コリメータユニット19に可視光源81が設けられており、コリメータ19aによってX線照射野と略一致する可視光の照射野が形成される。そして、コリメータユニット19の出射口に、指標を形成する遮光体(図示せず)が設けられており、この遮光体の投影像が指標となる。また、撮影部12が、ベッド61の天板62とは分離して支持されており、天板62が、x方向、及びy方向に並進移動可能に構成されている。その他の構成については、前述したX線撮影システム10と同一であるので説明は省略する。
図19は、図18の放射線撮影システムにおいて、被写体上に投影される指標の一例を示す。
図19に示す例では、膝関節部を被写体として、被写体上に、指標としてのx方向に延びるライン64x及びy方向に延びるライン64yが投影されている。ライン64xは、膝関節部に応じて選択された線量検出素子36の群(図5において二点鎖線Aで囲まれる線量検出素子36の群)に重なり、ライン64yは、選択された線量検出素子36の群の並びの中央を通ってy方向に延びる仮想の中央線に重なる。これらのライン64x,64yは、例えば、遮蔽体としてのワイヤをコリメータユニット19の出射口に設け、その投影像によって形成することができる。
そして、被写体の関心領域(大腿骨及び脛骨並びにそれらの間に介在する膝関節)がライン64xに沿い、かつ膝関節がライン64xとライン64yの交点に位置するように、手動操作若しくは適宜な駆動手段によって天板62がx方向及びy方向に適宜並進移動される。それにより、選択された線量検出素子36の群に対する関心領域の位置あわせがなされる。
本X線撮影システム80によれば、被検者に肢位変更の負担をかけずに、選択された線量検出素子36の群に対する関心領域の位置あわせを容易に行うことができる。
なお、遮光体の投影像によって指標を形成するものとして説明したが、コリメータユニット19にレーザー光源及びポリゴンミラーを設け、ポリゴンミラーを回転させてレーザー光を走査しながらレーザー光を被写体上に投射し、それによって指標を形成するようにしてもよい。また、天板62をx方向、及びy方向に並進移動させるのに替えて、X線源11及び撮影部12を連動して並進移動させることによって、関心領域をX線照射野内に収め、関心領域と指標との位置あわせを行うようにすることもできる。
図20は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例を示す。
前述したX線撮影システム10において、縞走査により得られる位相コントラスト画像は、第1及び第2の吸収型格子31,32のX線遮蔽部の周期配列方向(x方向)のX線の屈折成分に基づくものであり、X線遮蔽部の延伸方向(y方向)の屈折成分は含まれていない。このため、被検体Hの形状と向きによっては描出できない部位が存在する。例えば、関節軟骨の荷重面の方向をy方向に合わせると、荷重面に垂直な形状を有する軟骨周辺組織(腱や靭帯など)は描出が不十分になると考えられる。被写体Hを動かすことにより、描出が不十分な部位を再度撮影することは可能ではあるが、被検体H及び術者の負担が増えることに加え、再度撮影した画像との位置再現性を担保することが難しいといった問題がある。
そこで、第1及び第2の吸収型格子31,32の格子面の中心に直交する仮想線(X線の光軸A)を中心として、第1及び第2の吸収型格子31,32を、第1の向きから一体的に回転させて、第2の向きとする格子回転機構105を設け、第1の向きと第2の向きとのそれぞれにおいて位相コントラスト画像を生成するように構成することも好適である。
なお、図示の例では、第1及び第2の吸収型格子31,32を90°回転させており、第1の向きと第2の向きとが直交しているが、第1の向きと第2の向きとが交差する限りにおいて第1及び第2の吸収型格子31,32の回転角度は90°に限られるものではない。また、この格子回転機構105は、FPD30とは別に第1及び第2の吸収型格子31,32のみを一体的に回転させるものであってもよいし、第1及び第2の吸収型格子31,32とともにFPD30を一体的に回転させるものであってもよい。更に、マルチスリット103を備える場合は、第1及び第2の吸収型格子31,32と回転が一致するように、マルチスリット103及びコリメータ109、若しくはこれらが一体で形成された放射線源を回転させる。なお、格子回転機構105を用いた第1及び第2の向きにおける位相コントラスト画像の生成は、前述したいずれのX線撮影システムにおいても適用可能である。
図21は、本発明の実施形態を説明するための放射線撮影システムの他の例に関し、その演算部の構成を示す。
前述した各X線撮影システムによれば、これまで描出が難しかったX線弱吸収物体の高コントラストな画像(位相コントラスト画像)が得られるが、更に、位相コントラスト画像と対応して吸収画像が参照できることは読影の助けになる。例えば、吸収画像と位相コントラスト画像を重み付けや階調、周波数処理などの適当な処理によって重ね合わせることにより吸収画像で表現できなかった部分を位相コントラスト画像の情報で補うことは有効である。しかし、位相コントラスト画像とは別に吸収画像を撮影することは、位相コントラスト画像の撮影と吸収画像の撮影の間の撮影肢位のズレによって良好な重ね合わせを困難にするのに加え、撮影回数が増えることにより被検者の負担となる。また、近年、位相コントラスト画像や吸収画像の他に、小角散乱画像が注目されている。小角散乱画像は、被検体組織内部の微細構造に起因する組織性状を表現可能であり、例えば、ガンや循環器疾患といった分野での新しい画像診断のための表現方法として期待されている。
そこで、本X線撮影システムは、位相コントラスト画像のために取得した複数枚の画像から、吸収画像や小角散乱画像を生成することも可能とする演算処理部190を用いる。演算処理部190は、位相コントラスト画像生成部191、吸収画像生成部192、小角散乱画像生成部193が構成されている。これらは、いずれもk=0,1,2,・・・,M−1のM個の各走査位置で得られる画像データに基づいて演算処理を行う。このうち、位相コントラスト画像生成部191は、前述の手順に従って位相コントラスト画像を生成する。
吸収画像生成部192は、画素ごとに得られる画素データI(x,y)を、図22に示すように、kについて平均化して平均値を算出して画像化することにより吸収画像を生成する。なお、平均値の算出は、画素データI(x,y)をkについて単純に平均化することにより行なっても良いが、Mが小さい場合には誤差が大きくなるため、画素データI(x,y)を正弦波でフィッティングした後、フィッティングした正弦波の平均値を求めるようにしてもよい。また、吸収画像の生成には、平均値に限られず、平均値に対応する量であれば、画素データI(x,y)をkについて加算した加算値等を用いることが可能である。
なお、被写体がない状態で撮影(プレ撮影)して取得される画像群から、吸収像を作成するようにしてもよい。この吸収像は、検出系の透過率ムラを反映している(グリッドの透過率ムラ、線量検出器の吸収の影響等の情報が含まれている)。そこで、この画像から、検出系の透過率ムラを補正するための補正係数マップを作成することが出来る。被写体がある状態で撮影(メイン撮影)して取得される画像群から、吸収像を作成し、前述の補正係数を各画素にかけることで、検出系の透過率ムラを補正した、被写体の吸収像を得ることが出来る。
小角散乱画像生成部193は、画素ごとに得られる画素データI(x,y)の振幅値を算出して画像化することにより小角散乱画像を生成する。なお、振幅値の算出は、画素データI(x,y)の最大値と最小値との差を求めることによって行なっても良いが、Mが小さい場合には誤差が大きくなるため、画素データI(x,y)を正弦波でフィッティングした後、フィッティングした正弦波の振幅値を求めるようにしても良い。また、小角散乱画像の生成には、振幅値に限られず、平均値を中心としたばらつきに対応する量として、分散値や標準偏差等を用いることが可能である。
本X線撮影システムによれば、被写体の位相コントラスト画像のために取得した複数枚の画像から吸収画像や小角散乱画像を生成するので、吸収画像や小角散乱画像の撮影の間の撮影肢位のズレが生じず、位相コントラスト画像と吸収画像や小角散乱画像との良好な重ね合わせが可能となる。
なお、前述した各X線撮影システムでは、放射線として一般的なX線を用いる場合について説明したが、本発明に用いられる放射線はX線に限られるものではなく、α線、γ線等のX線以外の放射線を用いることも可能である。
以上、説明したように、本明細書には、放射線高吸収部及び低吸収部を関心領域に含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システムであって、前記被写体に向けて照射される放射線の進行方向に前記被写体より下流に配置される放射線画像検出器、及び前記被写体より下流にあって前記放射線画像検出器の受像面と平行な面内に分散して配置され、各々が入射する放射線の線量を検出する複数の放射線検出素子を含む撮影部と、前記低吸収部を透過した放射線が入射する少なくとも一つの線量検出素子を抽出する素子抽出部と、前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子により検出される検出線量に基づいて露光制御する制御部と、を備える放射線撮影システムが開示されている。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記各線量検出素子の単位時間当たりの検出線量に基づいて、前記放射線低吸収部を透過した放射線が入射する線量検出素子を抽出する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記関心領域を透過した放射線が入射する線量検出素子群を予め選択する選択部を更に備え、前記素子抽出部は、前記線量検出素子群うちから前記放射線低吸収部を透過した放射線が入射する線量検出素子を抽出する
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記選択部が、前記線量検出素子群のパターンを被写体種別毎に記憶しており、前記被写体に対応するパターンに基づいて前記線量検出素子群を予め選択する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記被写体を支持する支持台を備え、前記支持台は、放射線焦点を視点として前記線量検出素子群と重なる指標を被写体種別毎に有する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、放射線焦点を視点として前記線量検出素子群に重なる指標を、可視光によって前記被写体に投影する投影部を更に備える。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記指標が前記関心領域に投影されるように、放射線照射野及び前記投影部並びに前記撮影部と、前記被写体とが相対移動する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記素子抽出部が、単位時間当たりの検出線量が最大の線量検出素子を抽出する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記素子抽出部が、単位時間当たりの検出線量が予め設定される閾値より大きい線量検出素子を抽出する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記放射線低吸収部が、相対する二つの前記放射線高吸収部の間に介在しており、前記素子抽出部が、単位時間当たりの検出線量が予め設定される閾値より小さい線量検出素子の並びにあって、かつ前記閾値より大きい線量検出素子を抽出する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記制御部が、前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子が複数ある場合に、それらの線量検出素子の検出線量の平均に基づいて露光制御する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記撮影部が、前記被写体の上流又は下流に配置される第1の格子と、前記第1の格子を通過した放射線によって形成される放射線像のパターン周期と実質的に一致する周期を有し、前記放射線像に対して互いに位相の異なる複数の相対位置に置かれる格子パターンと、を更に含み、前記放射線画像検出器は、前記被写体によって変調され、前記格子パターンによってマスキングされた前記放射線像を検出する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記格子パターンが、第2の格子であって、前記撮影部は、前記第1の格子及び前記第2の格子のいずれか一方を移動させ、前記第2の格子を前記放射線像に対して前記複数の相対位置に置く走査機構を更に含む。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記放射線画像検出器が、放射線を電荷に変換する変換層と、前記変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極と、を画素毎に備え、前記電荷収集電極は、前記放射線像のパターン周期に実質的に一致する周期を有する線状電極群を複数含み、前記複数の線状電極群は、互いに位相が異なるように配列されており、前記格子パターンは、前記複数の線状電極群の各々により構成されている。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記複数の線量検出素子が、前記格子パターンの上流に配置されており、前記制御部は、前記格子パターンが互いに異なる前記相対位置に置かれる各撮影ステップにおいて、前記素子抽出部によって抽出された前記線量検出素子の検出線量が予め設定された閾値に達するまで露光を継続する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記複数の線量検出素子が、前記格子パターンの下流に配置されており、前記制御部は、前記格子パターンが互いに異なる前記相対位置に置かれる各撮影ステップにおいて、1回目の撮影ステップでは、前記素子抽出部によって抽出された前記線量検出素子の検出線量が予め設定された閾値に達するまで露光を継続し、2回目以降の撮影では、前記1回目の撮影ステップにおいて要した露光時間が経過するまで露光を継続する。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記撮影部が、放射線照射野の軸を中心として、少なくとも前記第1の格子及び前記格子パターンを一体に回転させる回転機構を更に含む。
また、本明細書に開示された放射線撮影システムは、前記放射線画像検出器で取得される放射線画像から、前記放射線画像検出器に入射する放射線の屈折角の分布を演算し、この屈折角の分布に基づいて、前記被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する演算部を更に備える。
10 X線撮影システム
11 X線源
12 撮影部
13 コンソール
20 制御装置(制御部)
30 FPD(放射線画像検出器)
31 第1の吸収型格子
32 第2の吸収型格子
33 走査機構
35 線量検出部
36 線量検出素子
37 読み出し回路(素子抽出部)
40 画素
61 ベッド(支持台)

Claims (18)

  1. 放射線高吸収部及び低吸収部を関心領域に含む被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する放射線撮影システムであって、
    前記被写体に向けて照射される放射線の進行方向に前記被写体より下流に配置される放射線画像検出器、及び前記被写体より下流にあって前記放射線画像検出器の受像面と平行な面内に分散して配置され、各々が入射する放射線の線量を検出する複数の線量検出素子を含む撮影部と、
    前記低吸収部を透過した放射線が入射する少なくとも一つの線量検出素子を抽出する素子抽出部と、
    前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子により検出される検出線量に基づいて露光制御を行う制御部と、
    を備える放射線撮影システム。
  2. 請求項1に記載の放射線撮影システムであって、
    前記各線量検出素子の単位時間当たりの検出線量に基づいて、前記放射線低吸収部を透過した放射線が入射する線量検出素子を抽出する放射線撮影システム。
  3. 請求項2に記載の放射線撮影システムであって、
    前記関心領域を透過した放射線が入射する線量検出素子群を予め選択する選択部を更に備え、
    前記素子抽出部は、前記線量検出素子群うちから前記放射線低吸収部を透過した放射線が入射する線量検出素子を抽出する放射線撮影システム。
  4. 請求項3に記載の放射線撮影システムであって、
    前記選択部は、前記線量検出素子群のパターンを被写体種別毎に記憶しており、前記被写体に対応するパターンに基づいて前記線量検出素子群を予め選択する放射線撮影システム。
  5. 請求項4に記載の放射線撮影システムであって、
    前記被写体を支持する支持台を備え、
    前記支持台は、放射線焦点を視点として前記線量検出素子群に重なる指標を被写体種別毎に有する放射線撮影システム。
  6. 請求項4に記載の放射線撮影システムであって、
    放射線焦点を視点として前記線量検出素子群に重なる指標を、可視光によって前記被写体に投影する投影部をさらに備える放射線撮影システム。
  7. 請求項6に記載の放射線撮影システムであって、
    前記指標が前記関心領域に投影されるように、放射線照射野及び前記投影部並びに前記撮影部と、前記被写体とが相対移動する放射線撮影システム。
  8. 請求項2から7のいずれか一項に記載の放射線撮影システムであって、
    前記素子抽出部は、単位時間当たりの検出線量が最大の線量検出素子を抽出する放射線撮影システム。
  9. 請求項2から7のいずれか一項に記載の放射線撮影システムであって、
    前記素子抽出部は、単位時間当たりの検出線量が予め設定される閾値より大きい線量検出素子を抽出する放射線撮影システム。
  10. 請求項2に記載の放射線撮影システムであって、
    前記放射線低吸収部は、相対する二つの前記放射線高吸収部の間に介在しており、
    前記素子抽出部は、単位時間当たりの検出線量が予め設定される閾値より小さい線量検出素子の並びにあって、かつ前記閾値より大きい線量検出素子を抽出する放射線撮影システム。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の放射線撮影システムであって、
    前記制御部は、前記素子抽出部によって抽出された線量検出素子が複数ある場合に、それらの線量検出素子の検出線量の平均に基づいて露光制御する放射線撮影システム。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の放射線撮影システムであって、
    前記撮影部は、前記被写体の上流又は下流に配置される第1の格子と、前記第1の格子を通過した放射線によって形成される放射線像のパターン周期と実質的に一致する周期を有する格子パターンと、を更に含み、
    前記放射線画像検出器は、前記被写体によって変調され、前記格子パターンによってマスキングされた前記放射線像を検出する放射線撮影システム。
  13. 請求項12に記載の放射線撮影システムであって、
    前記格子パターンは、第2の格子であって、
    前記撮影部は、前記第1の格子及び前記第2の格子のいずれか一方を移動させ、前記第2の格子を前記放射線像に対して前記複数の相対位置に置く走査機構を更に含む放射線撮影システム。
  14. 請求項12に記載の放射線撮影システムであって、
    前記放射線画像検出器は、放射線を電荷に変換する変換層と、前記変換層において変換された電荷を収集する電荷収集電極と、を画素毎に備え、
    前記電荷収集電極は、前記放射線像のパターン周期に実質的に一致する周期を有する線状電極群を複数含み、
    前記複数の線状電極群は、互いに位相が異なるように配列されており、
    前記格子パターンは、前記複数の線状電極群の各々により構成されている放射線撮影システム。
  15. 請求項13又は請求項14に記載の放射線撮影システムであって、
    前記複数の線量検出素子は、前記格子パターンの上流に配置されており、
    前記制御部は、前記格子パターンが互いに異なる前記相対位置に置かれる各撮影ステップにおいて、前記素子抽出部によって抽出された前記線量検出素子の検出線量が予め設定された閾値に達するまで露光を継続する放射線撮影システム。
  16. 請求項13に記載の放射線撮影システムであって、
    前記複数の線量検出素子は、前記格子パターンの下流に配置されており、
    前記制御部は、前記格子パターンが互いに異なる前記相対位置に置かれる各撮影ステップにおいて、1回目の撮影ステップでは、前記素子抽出部によって抽出された前記線量検出素子の検出線量が予め設定された閾値に達するまで露光を継続し、2回目以降の撮影では、前記1回目の撮影ステップにおいて要した露光時間が経過するまで露光を継続する放射線撮影システム。
  17. 請求項12から請求項16のいずれか一項に記載の放射線撮影システムであって、
    前記撮影部は、放射線照射野の軸を中心として、少なくとも前記第1の格子及び前記格子パターンを一体に回転させる回転機構をさらに含む放射線撮影システム。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の放射線撮影システムであって、
    前記放射線画像検出器で取得される放射線画像から、前記放射線画像検出器に入射する放射線の屈折角の分布を演算し、この屈折角の分布に基づいて、前記被写体の放射線位相コントラスト画像を生成する演算処理部を更に備える放射線撮影システム。
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