JP2010158258A - 軟部組織評価システム - Google Patents

軟部組織評価システム Download PDF

Info

Publication number
JP2010158258A
JP2010158258A JP2007103691A JP2007103691A JP2010158258A JP 2010158258 A JP2010158258 A JP 2010158258A JP 2007103691 A JP2007103691 A JP 2007103691A JP 2007103691 A JP2007103691 A JP 2007103691A JP 2010158258 A JP2010158258 A JP 2010158258A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soft tissue
unit
image
radiation
subject
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007103691A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Ohara
弘 大原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Original Assignee
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Medical and Graphic Inc filed Critical Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Priority to JP2007103691A priority Critical patent/JP2010158258A/ja
Priority to PCT/JP2008/056767 priority patent/WO2008126788A1/ja
Publication of JP2010158258A publication Critical patent/JP2010158258A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B6/00Apparatus for radiation diagnosis, e.g. combined with radiation therapy equipment
    • A61B6/48Diagnostic techniques
    • A61B6/484Diagnostic techniques involving phase contrast X-ray imaging
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B6/00Apparatus for radiation diagnosis, e.g. combined with radiation therapy equipment
    • A61B6/50Clinical applications
    • A61B6/505Clinical applications involving diagnosis of bone
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06TIMAGE DATA PROCESSING OR GENERATION, IN GENERAL
    • G06T7/00Image analysis
    • G06T7/0002Inspection of images, e.g. flaw detection
    • G06T7/0012Biomedical image inspection

Abstract

【課題】関節疾患の初期症状の診断における客観的な判断材料を医師等に提示することのできる軟部組織評価システムを提供する。
【解決手段】放射線を照射するX線源8と、軟部組織を含む被写体HをX線源8から照射される前記放射線の照射野内に支持する被写体台14と、被写体台14よりも放射線の照射方向前方に配置され、X線源8から被写体に対して照射され、透過した放射線の位相コントラスト画像を検出する検出器11と、検出器11で検出された位相コントラスト画像の画像信号の信号値の強弱に基づいて、軟部組織の状態を評価する制御部31と、を備えている。
【選択図】図9

Description

本発明は、軟部組織評価システムに係り、特に、位相コントラスト画像を用いて検出を行う軟部組織評価システムに関する。
日本におけるリウマチ等の関節疾患の罹患率は1%にも達しており、今や国民病ともされている。その初期症状として関節の滑膜近傍その他の軟部組織部分に腫れ等が生じることが知られている。すなわち、リウマチ等の関節疾患の初期段階では、軟部組織が変形したり、軟部組織の一部の組成が変化したりすることにより腫れ等を生じ、さらには軟骨部の磨り減り(軟骨破壊)や微細な骨形状や骨梁の変化が観察され、症状が進行したところで骨部の形状の大きな変化が観察される。したがって、関節疾患は、軟部組織の腫れ、軟骨部の形状、微細な骨形状や骨梁の変化を観察することで病状の診断が可能であり、症状の進行を止める治療方法しかない現在の段階では早期発見による治療への移行が重要である。このうち、特に軟部組織の腫れは関節疾患の代表的な初期症状であるため、この軟部組織の腫れを早期に発見することは、非常に重要といえる。
しかし、このような関節疾患の初期症状である軟部組織の腫れ等は、腫れを生じている部分と腫れを生じていない部分との組織の組成が似ており放射線吸収率にほとんど差がないため、十分なコントラスト差を得ることができず、手軽な検査方法であるX線撮影等の放射線画像撮影では描出することが非常に難しく、発症しているか否かを判断し難い。
一方、軟部組織の変化を発見するためには、最近、放射線画像撮影に代わり、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等により得られた画像を用いた診断が検討されている。また、最近では、放射線画像撮影のうち、放射線が平行に直進する放射光を取り出し、これを用いて軟骨部を撮影する技術も報告されている。しかし、MRIによる撮影は費用や診察に要する時間等の観点から被撮影者の負担が大きく、一般の定期検診等に組み込んで行うことや、初期症状でまだリウマチと診断できない患者全員に対して撮影を行うことは難しいことから、撮影を定期的に行い手指等の関節部の変化を経時的に観察することは困難であるという問題があった。
また、放射光を用いた撮影を行うためには、巨大な撮影設備が必要であり、また、撮影に数10分の時間を要する場合もあるため、一般の医療施設において診療に使用することは困難である。
一方、従来、関節疾患の初期段階においては病変の有無等を客観的に評価することができず、医師がフィルム等を観察して主観的に判断を行っていた。このようなことから、簡便に関節形状や骨形状の微細な変化や軟部組織の腫れ等、関節疾患の初期段階において、その進行具合を客観的な評価、診断ができるようにする手法が望まれている。
ここで、前記のように、例えば関節疾患の早期の診断を行うには、患部のわずかな濃度差(コントラスト差)を識別できるコントラストが高い放射線画像を撮影する必要があるわけであるが、コントラストが高い放射線画像が得られる放射線画像撮影装置としては、例えば特許文献1に示すような放射線画像撮影装置を用いて位相コントラスト画像を撮影する技術が知られている。この技術によれば、通常の吸収によって形成される放射線画像では十分なコントラストが得られない、わずかな組織の組成の差や放射線吸収の低い被写体に対しても、その辺縁部(エッジ部)のコントラストを強調した画像、すなわち、コントラストの高い画像を得ることができる。そして、この技術は前記のリウマチを代表とする関節疾患の他、そのほとんどが軟部組織であり、さらに微細な石灰化の検出が必要である乳房撮影、骨のほとんどが軟骨である小児撮影など、様々な部位に適用することができる。
また、被写体の辺縁部のコントラストをさらに強調して位相コントラスト画像を得ることができる技術として、例えば特許文献2に回折格子によるタルボ効果を用いたタルボ干渉計方式の放射線撮影装置が開示されている。また、タルボ干渉計方式を改良したタルボ・ロー干渉計方式を用いた放射線撮影方法が提案されている(非特許文献1参照)。
特開2004−248699号公報 国際公開第2004/058070号 百生敦,「X線位相イメージングの最近の展開」,Medical Imaging Technology(日本医用画像工学会誌),日本医用画像工学会,2006年11月,第24巻,第5号,p.359−366
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1に記載されているような技術によって位相コントラスト画像を得ることができても、軟部組織の中の組成の違いや形状の変化により関節疾患の進行具合を客観的に検出することは難しく、軟骨の変形等にまで至っていない、骨部周辺の軟部組織に僅かに変化が現れているに過ぎないような初期の病変段階では、病変が生じているか、また初期症状の進行具合の判断を正確に行うことは困難であった。
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、関節疾患の初期症状の診断における客観的な判断材料を医師等に提示することのできる軟部組織評価システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の軟部組織評価システムは、
放射線を照射する放射線源と、
軟部組織を含む被写体を前記放射線源から照射される前記放射線の照射野内に支持する被写体台と、
前記被写体台よりも前記放射線の照射方向前方に配置され、前記放射線源から前記被写体に対して照射され、透過した放射線の位相コントラスト画像を検出する検出器と、
前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像の画像信号の信号値の強弱に基づいて、前記軟部組織の状態を評価する軟部組織評価部と、
を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軟部組織評価システムにおいて、
前記放射線源は、17keV〜35keVの平均放射線エネルギーの放射線を照射するものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の軟部組織評価システムにおいて、
前記軟部組織評価部により評価される前記軟部組織の状態は、前記軟部組織部分の組成及び/又は形状であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の軟部組織評価システムにおいて、
前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像内に所定の関心領域を設定する関心領域設定部と、
前記関心領域設定部により設定された前記関心領域内における前記画像信号の信号値の強度プロファイルを取得するプロファイル取得部と、を備え、
前記軟部組織評価部は、前記プロファイル取得部により取得された前記信号値の強度プロファイルに基づいて前記軟部組織の状態を評価するものであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の軟部組織評価システムにおいて、
前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像内に所定の関心領域を設定する関心領域設定部と、
前記関心領域設定部により設定された前記関心領域内における画像信号のヒストグラム解析を行うヒストグラム解析部と、を備え、
前記軟部組織評価部は、前記ヒストグラム解析部による解析結果に基づいて前記軟部組織の状態を評価するものであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の軟部組織評価システムにおいて、
前記軟部組織評価部による評価結果を出力する評価結果出力部をさらに備えていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、位相コントラスト画像を得るものであるため、放射線吸収率に大きな差異のない軟部組織同士でも、十分なコントラストを得ることができ、この位相コントラスト画像の画像信号の信号値の強弱に基づいて、軟部組織の状態を評価することができる。これにより、軟骨の変形等にまで至っていない、骨部周辺の軟部組織に僅かに変化が現れているに過ぎないような関節疾患の初期の病変段階においても、放射線画像撮影により病変が生じているかについての客観的な判断材料を医師等に提供することができるとの効果を奏する。
また、このように一般の集団検診(定期検診)等に用いられる放射線画像撮影によって軟部組織の状態を評価することができるので、MRI等による検査を行う場合と比較して患者等の負担も少なく、簡易にリウマチ等の関節疾患の初期症状の診断を行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、放射線源から照射される放射線の平均放射線エネルギーが17keV〜35keVとなるような低管電圧での撮影を行うので、軟部組織の組成の差異や形状等の軟部組織の状態のわずかな差を明確に描出することができるとの効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、放射線吸収率に大きな差異のない軟部組織同士でも、その組成の差異、形状を検出することができる。これにより、軟部組織の中の組成の違いや軟部組織が腫れる等により形状が変化した場合のように、軟骨の変形等にまで至っていない、骨部周辺の軟部組織に僅かに変化が現れているに過ぎないような関節疾患の初期の病変段階においても、放射線画像撮影により病変が生じているかについての客観的な判断材料を医師等に提供することができるとの効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、位相コントラスト画像の関心領域内における画像信号の信号値の強度プロファイルを取得して、この信号値の強度プロファイルに基づいて軟部組織部分の組成の差異、形状等、軟部組織の状態を検出する。これにより、軟部組織の状態を客観的に評価することができるとの効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、位相コントラスト画像の関心領域内における画像信号のヒストグラム解析を行い、この解析結果に基づいて軟部組織部分の組成の差異、形状等、軟部組織の状態を検出する。これにより、軟部組織の状態を客観的に評価することができるとの効果を奏する。
請求項6に記載の発明によれば、評価結果を評価結果出力部から出力させることができるので、医師等のユーザは、出力されたものを確認することにより病変箇所等を把握して正確な診断を行うことができるとの効果を奏する。
以下に、図を参照しつつ、本発明に係る軟部組織評価システム100の一実施形態について説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に、本実施形態における軟部組織評価システム100の構成例を示す。本実施形態において軟部組織評価システム100は、放射線であるX線を照射することにより撮影対象の画像を生成する放射線画像撮影装置1と、放射線画像撮影装置1によって生成された画像の画像処理等を行う画像処理装置30と、画像処理装置30によって画像処理等が行われた画像等を表示又はフィルム出力等する画像出力装置50とから構成されており、各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という。)Nに接続されている。
なお、軟部組織評価システム100の構成は、ここに例示したものに限定されず、例えば、画像処理装置30と画像出力装置50とが一体化されて、1つの装置によって画像処理と画像処理された画像の出力(表示又はフィルム出力等)とを行うように構成してもよい。
まず、図2から図8を参照しつつ放射線画像撮影装置1について説明する。
図2及び図3に、放射線画像撮影装置1の構成例を示す。放射線画像撮影装置1には、支持基台3が支持台2に対して昇降自在に設けられている。支持基台3には、撮影装置本体部4が、支持軸5を介してCW方向及びCCW方向に回動自在に支持されている。支持基台3には、その昇降及び支持軸5の回動を駆動する駆動装置6が備えられている。駆動装置6は、図示しない公知の駆動モータ等を備えている。支持基台3及び撮影装置本体部4は、被写体Hの位置に応じて昇降するようになっている。被写体Hの位置とは、被検者が腕を後述する被写体台14に載せて疲れにくい姿勢をとることができるような位置に調整可能となっている。
撮影装置本体部4には、図2における上下方向に沿って保持部材7が備えられている。保持部材7は、上下方向に移動可能となっている。
保持部材7の上部には、被写体Hに低管電圧で放射線を放射する本発明に係る放射線源としてのX線源8が取り付けられている。X線源8は、保持部材7に沿って上下方向に移動可能に構成されていることが好ましい。X線源8には、管電圧及び管電流を印加する電源部9が、支持軸5、支持基台3及び撮影装置本体部4を介して接続されている。X線源8の放射線放射口には、放射線照射野を調節する絞り10が、開閉自在に設けられている。また、X線源8の焦点径は、後述する撮影方式に対応して変更されるようになっている。
X線源8としては、回転陽極X線管とすることが好ましい。この回転陽極X線管においては、陰極から放射される電子線が陽極に衝突することでX線が発生する。このX線は自然光のようにインコヒーレント(非干渉性)であり、また平行光X線でもなく発散光である。電子線が陽極の固定した場所に当り続けると、熱の発生で陽極が傷むので、通常用いられるX線管では陽極を回転して陽極の寿命の低下を防いでいる。電子線を陽極の一定の大きさの面に衝突させ、発生したX線はその一定の大きさの陽極の平面から被写体Hに向けて放射される。この照射方向(被写体方向)から見た平面の大きさを焦点(フォーカス)と呼ぶ。焦点径D(μm)は、焦点が正方形の場合はその一辺の長さを、焦点が長方形や多角形の場合はその長辺または短辺の長さを、焦点が円形の場合はその直径をさす。一般的に、焦点径Dは、大きくなるほど多くの放射線量を照射することができる。
本実施形態では、X線管の陽極は、放射線画像の形成に寄与しない低エネルギー成分の少ないタングステン陽極を用いる。これは、通常医療用の一般撮影に使用されるものであり、比較的低い被曝線量での放射線撮影が可能となる。
本実施形態の放射線画像撮影装置1では、手指の放射線画像を得る際には平均放射線エネルギーが17keV〜35keVの範囲内のエネルギー量、より好ましくは、23keV〜30keVの範囲内のエネルギー量となるように、管電圧を調整してX線源8に印加する。
ここでX線源8は、IEC60522−1976規格の固有ろ過が2.5mmアルミ等量以上であることが好ましく、タングステン陽極が用いられることが、骨関節の疾患の程度を表す指標を算出するに堪える位相コントラスト放射線画像を得る上でより好ましい。X線源8に印加する管電圧は、本発明では20kVp〜150kVpが使用されうるが、特に25kVp以上であり39kVp以下であることが好ましい。管電圧が低すぎると、照射されたX線が被写体の骨部にすべて吸収されて測定に必要な透過X線量が得られない。また管電圧が高すぎると得られる被写体コントラストが低くなるため測定精度が劣化する。
管電圧をこのように設定することにより、17keV〜35keVの範囲内の低放射線エネルギー(より好ましくは、23keV〜30keVの範囲内の低放射線エネルギー)のX線による画像撮影を行うことができる。なお、放射線画像撮影装置1において照射されるX線は、低放射線エネルギーのX線であればよく、必ずしも20〜150kVpの範囲内にある場合に限定されない。
X線エネルギーは、例えばIEC60522−1976規格の固有ろ過が2.5mmアルミ等量であるタングステン陽極では、17keVのX線エネルギーの場合は管電圧20kVpの設定で得ることができ、35keVのX線エネルギーの場合は管電圧60kVpの設定で得ることができる。また、より好ましい範囲である23keVのX線エネルギーの場合は管電圧30kVp設定で、また30keVの場合は39kVp設定で得ることができる。
保持部材7の下部には、被写体Hを透過した放射線を検出する検出器11を保持する検出器保持部12の一端が取り付けられている。検出器11としては、例えば、輝尽性蛍光体シートを収納したカセッテ、スクリーン(増感紙)/フィルム、FPD(Flat Panel Detector)等が挙げられる。本実施形態においては、FPDを検出器11として用いる場合を例として説明する。
X線源8と検出器保持部12に保持された検出器11との距離はLとなっている(図3参照)。X線源8及び検出器保持部12はともに上下方向に移動可能となっていることが好ましく、X線源8と検出器11との相対位置は可変となっていることが好ましい。本実施形態において、被写体Hを保持する被写体台14(後述)は上下方向に移動可能となっており、撮影倍率に応じて、X線源8から被写体Hまでの間の距離R1(図3参照)及び被写体Hから検出器11までの間の距離Lの両方を可変とすることができる。
なお、Lを一定(固定)とし、撮影倍率に応じて、X線源8から被写体Hまでの間の距離R1のみを可変とする方式を採用してもよい。
検出器11の構造について、FPD(flat panel detector)を例に図4を用いて説明する。
図4は、検出器11の斜視図である。検出器11は、内部を保護する筐体61を備えており、カセッテとして携帯可能に構成されている。
筐体61の内部には、照射された放射線を電気信号に変換する撮像パネル62が層を成して形成されている。この撮像パネル62における放射線の照射面側には、入射された放射線の強度に応じて発光を行う発光層(図示せず)が設けられている。
発光層は、一般にシンチレータ層と呼ばれるものであり、例えば、蛍光体を主たる成分とし、入射した放射線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。
この発光層の放射線が照射される側の面と反対側の面には、発光層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積された電気エネルギーに基づく画像信号の出力を行う光電変換部がマトリクス状に配列された信号検出部600が形成されている。なお、1つの光電変換部から出力される信号が、放射線画像データを構成する最小単位となる1画素に相当する信号となる。信号検出部600では、蓄積された電気エネルギーをスイッチングにより電気信号として取り出すとともに所定の増幅割合(ゲイン)で電気信号を増幅したのち、電気信号をデジタルデータに変換する。このようにして、撮像パネル62により放射線画像データが作成される。
また、保持部材7の下方であって検出器保持部12の下面には、照射された放射線量の検出を行う放射線量検出部13が設けられていてもよい。
X線源8と検出器保持部12の間には、被写体Hである被検者の手指を下から保持する平板状の被写体台14が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。被写体台14は、水平方向の中心が支持軸5の軸中心と一致するように設けられることが好ましい。被写体台14は、位相コントラスト撮影時の撮影倍率調整(高さ方向の位置調整)のために、保持部材7に対する位置を変更するモータ等を備える位置調整装置15と接続されている。
被写体台14は、検出器保持部12の他端より被検者側に突出するように形成されている。被写体台14の上方には、被写体Hを上部から圧迫して固定するための圧迫板21が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。圧迫板21は保持部材7に沿って移動自在である。圧迫板21の移動は、自動又は手動のいずれも適用可能である。圧迫板21の被検者側の端面は、略垂直方向に配置されたX線源8及び検出器11(有効画像端面)より若干被検者側に突出するように配置されている。したがって、被検者の撮影対象範囲(例えば右手)を、圧迫板21より保持部材7側に位置するように配置すれば、関心領域(撮影対象範囲)の画像欠損を生じることがなく好ましい。また、被写体台14の端面を曲面形状とし、平均的な体型の高齢の被検者が椅子Xに座った状態で被写体台14に上半身をあずけられるようにするのが好ましい。
また、本実施形態において、被写体台14の下面には、被撮影者が脚をぶつけることなく撮影位置につくことができるように、プロテクター25が、ほぼ鉛直方向に延在して設けられている。これにより、被検者は椅子Xに座った状態で、検出器保持部12に脚をぶつけることなく撮影位置につくことができるようになっている。また、患者の体の一部分がX線照射領域内に入り、無用な被曝を被ることを防ぐことができる。なお、圧迫板21及びプロテクター25は必須の構成要素ではなく、圧迫板21及びプロテクター25を用いない構成としてもよい。
図5に示すように、被写体台14には、被写体Hである被検者の手指を保持する手保持部16が、放射線照射経路と交差して備えられている。手保持部16の大きさは、被検者の手指が載置可能であれば特に制限は無い。手保持部16の上面には、被検者が手保持部16に手指を置いた状態で親指と人差指の間に添えて配置される三角マグネット17が備えられている。手保持部16には、三角マグネット17の載置箇所を検知して撮影方向情報として被検者の親指の位置を判別する撮影方向判別手段18(図6参照)が備えられている。
ここで、手指の関節疾患等を検出するための撮影を行う際には、照射野Pは、少なくとも関節を挟んだ2本の指骨が収まるように予め設定されている(図5参照)。これは、後述するように本実施形態においては、低管電圧による位相コントラスト撮影を行うことにより鮮鋭度の高い放射線画像が取得されるため、一箇所の関節の画像であっても十分に経過観察に耐えうる解析値が得られるためである。
図6に示すように、撮影装置本体部4には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)により構成される制御装置22が備えられている。制御装置22には、放射線量検出部13、電源部9、駆動装置6、位置調整装置15、情報付帯手段26、撮影方向判別手段18及び検出器識別部29がバス23を介して接続されている。また、制御装置22には、撮影条件等の入力を行うキーボードやタッチパネル(図示省略)、被写体台14の位置の調整を行うための位置調整スイッチ等を備える入力装置24a及びCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置24bを有する操作装置24等が接続されている。なお、撮影装置本体部4には、その他に、バーコード等を読み取ることにより患者情報等を取得する情報取得手段が設けられていてもよい。
制御装置22のROMには、放射線画像撮影装置1各部を制御するための制御プログラム及び各種処理プログラムが記憶されており、CPUは、この制御プログラム及び各種処理プログラムとの協働により放射線画像撮影装置1各部の動作を統括的に制御し、位相コントラスト撮影を行い、位相コントラスト画像の画像データを生成する画像データ生成部として機能する。
例えば、CPUは、撮影方向判別手段18による判別結果や、被検者の撮影条件等に基づいて、駆動装置6を制御して撮影装置本体部4を被検者の身長等に合わせた高さに昇降させるとともに、放射線照射角度を調節するために支持軸5を回動させる。そして、位置調整装置15により被写体台14の位置を調整し、位相コントラスト撮影の拡大率を調整する。その後、撮影装置本体部4は、撮影処理を実行し、電源部9により、X線源8に管電圧を印加して被写体Hに対して放射線を照射させ、放射線量検出部13から入力された放射線量が予め設定された放射線量に達すると、電源部9によりX線源8からの放射線の照射を停止させる。また、X線の照射条件をあらかじめ設定しておき、その条件でX線を照射するようにしてもよい。
情報付帯手段26には、前述のように、撮影方向判別手段18によって取得された撮影方向情報や、入力装置24aから入力された左右情報が、制御装置22を介して出力される。また、本実施形態においては、操作装置24や図示しない情報取得手段等から、被写体Hに関する患者情報(被撮影者情報)や撮影の日時等の情報(撮影時情報)、撮影された被写体Hが患者のどの部位であるのかを示す撮影部位に関する部位情報等が入力されるようになっており、入力された情報は制御装置22を介して情報付帯手段26に出力される。なお、制御装置22がタイマー機能を備えているような場合には、撮影時情報を改めて入力しなくても、撮影を行うと自動的に制御装置22が撮影時刻を取得し、当該撮影時刻を当該画像データに付帯させる撮影時情報として情報付帯手段26に出力するようになっていてもよい。
情報付帯手段26は、生成される位相コントラスト画像の画像データに、これらの各種情報(撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等)を付帯情報として対応付けるようになっている。なお、情報付帯手段26によって画像データに付帯される付帯情報はこれに限定されない。例えば、患者(被撮影者)のID情報等も付帯させることとしてもよい。また、情報付帯手段26は、ここに例示した全ての情報を付帯させるものに限定されず、これらの情報のうちのいずれかを付帯させるものであってもよい。
検出器識別部29は、検出器保持部12内に内蔵されており、当該検出器保持部12にセットされた検出器11が通常撮影用であるか、位相コントラスト撮影用であるか、高拡大位相コントラスト撮影用であるかを識別するものである。具体的には、検出器識別部29は、検出器11の筐体等に設けられた識別用のマーク(凹凸部)や、導通部、RFID、バーコード等を読み取ることで識別する。そして、検出器識別部29は、例えば操作装置24から入力される撮影条件と比較して、今後行われる放射線撮影に適したものであるか否かを判断して、その識別結果を制御装置22に出力する。この識別結果が不適合である場合は、制御装置22は、表示装置24bを制御して警告する旨の表示をさせる。なお、警告は視覚的に行われる場合に限定されず、聴覚的に警告を行うものであってもよい。
また、制御装置22は、入力装置24aに対する撮影切替指示によって、通常撮影、位相コントラスト撮影、高拡大位相コントラスト撮影のそれぞれが実行されるように各部を制御する。
ここで、通常撮影は一般的に行われている、被写体Hを検出器11に密着させる撮影条件である。この場合、制御装置22により、通常撮影用の検出器11が装着されるように適合検出器を「通常撮影用」とする。
広い範囲の手を撮影する位相コントラスト撮影においては、後述する拡大率Mが1.5〜3倍に対応して、位相コントラスト撮影が実行されるように、X線源8の焦点径Dは0.1mm、平均放射線エネルギーは26keVとなっている。さらに位相コントラスト撮影においては、通常撮影の場合に比べて、検出器11に照射される放射線の照射量(線量)に対する検出器11から出力される信号値の割合を中程度に高いものとしている。これは、X線管と検出器間距離が長くなること、及び平均放射線エネルギーが低くなるため、検出器11への到達X線量が減少することなどに起因する。
照射した放射線の線量に対して検出器11から出力される信号値の割合を高いものとするためには、感度の高い検出器11を選択して検出器保持部12に装着する、又は検出器11から出力される信号の増幅割合(ゲイン)を高いものとする、あるいはこれらを組み合わせるなどの方法が考えられる。検出器11の感度を高くするためには、例えば、検出器11に収納されている輝尽性蛍光体シートあるいは撮像パネル62に用いられる発光層を、低放射線線量においても高輝度で発光するものにする。また、ゲインを高いものとするためには、例えば、信号検出部600における電気信号の増幅割合を高いものとしたり、放射線が照射された輝尽性蛍光体シートを読み取って放射線画像データを出力する読取装置において、輝尽性蛍光体シートを読み取った電気信号の増幅割合を高いものとしたりする。また、検出器11や読取装置から出力された放射線画像データを増幅する割合を高くするようにしてもよい。
次に、位相コントラスト撮影方法について説明する。
図7は、位相コントラスト撮影の概略を説明する図である。図7に示すように、通常の撮影方法の場合、被写体Hとに検出器11が接する位置に被写体Hが配置されている(図7の密着撮影位置)。この場合、その検出器11に記録されるX線画像(潜像)はライフサイズ(被写体Hと同一サイズであることをいう)とほぼ等サイズとなる。
これに対し、位相コントラスト撮影は、被写体Hと検出器11間に距離を設けるものであり、X線源8からコーンビーム状に照射されたX線により、ライフサイズに対して拡大されたX線画像(以下、拡大画像という)の潜像が検出器11で検出されることとなる。
ここで、拡大画像のライフサイズに対する拡大率Mは、X線源8の焦点aから被写体Hまでの距離をR1、被写体Hから検出器11までの距離をR2、X線源8の焦点aから検出器11までの距離をL(L=R1+R2)とすると、下記式(1)により求めることができる。
M=L/R1・・・(1)
位相コントラスト拡大画像では、図8に示すように、被写体Hの辺縁を通過することにより屈折したX線が被写体Hを介さずに通過したX線と検出器11上で重なり合い、重なった部分のX線強度が強くなる。一方で、屈折したX線の分だけ、被写体Hの辺縁内側の部分においてX線強度が弱くなる現象が生じる。そのため、被写体Hの辺縁を境にしてX線強度差が広がるエッジ強調作用(エッジ効果ともいう)が働き、辺縁部分が鮮鋭に描写された視認性の高いX線画像を得ることができる。
位相コントラスト画像は、X線源8の焦点aから被写体Hまでの距離をR1、被写体Hから検出器11までの距離をR2、焦点径をDとしたときに、0.1≦R1、0.3≦R2、D≦0.2(mm)の条件を満たすようにして撮影を行うことにより得ることができる。
なお、本実施形態においては、前述のように、X線源8及び検出器11も上下方向に移動可能に構成され、距離Lも可変自在となっているが、撮影室内等、距離Lの設定に制限がある場合には、距離Lを固定し、その固定した距離Lの中で距離R1、R2の比率を変えて最適な条件で撮影することができる。例えば、L=3.0(m)に決定した場合、この距離Lに対し、R1=1.0(m)、R2=2.0(m)とする。一般的な撮影室の広さを考慮すると、0.1≦R1≦2.0、0.3≦R2≦2.0、0.8≦L≦3.0の範囲とし、拡大率Mを1.5≦M≦10、焦点径Dを0.005(mm)≦D≦0.2(mm)の範囲とし、この範囲内で拡大画像の視認性との関係を見ながら、経験的、実験的に最適な距離L、R1、R2及び拡大率M、焦点径Dを決定すればよい。焦点径Dをこのような範囲とすることで、X線強度が強く、短時間の撮影が可能となり、被写体Hの動きによる運動ボケを小さくさせることができる。なお、より好ましい距離としては、0.5≦R1≦1.2、0.5≦R2≦1.2、1.0≦L≦2.5の範囲を満たし、拡大率Mを3≦M≦8、焦点径Dを0.03(mm)≦D≦0.15(mm)の範囲を満たす設定とすることができる。
拡大率Mは高い方がより微細な画像情報を得ることができるので、定量結果の精度も高いものとなる。一方、高拡大率撮影には、より小さな焦点径のX線管が必要になるが、出力が低くなり撮影時間が長くなるので、被写体の動きによるボケが生じやすくなり、画質の鮮明さが損なわれ、精度の高い解析ができなくなるので、現実的には上記の範囲が最適になる。
次に、図9を参照しつつ、本実施形態における画像処理装置30について説明する。図9は、画像処理装置30の制御構成を表すブロック図である。
本発明に係る画像処理装置30は、放射線画像撮影装置1により生成された放射線画像のデータに画像処理を施して、診断に適した画像を生成するものである。画像処理装置30は、図9に示すように、制御部31、記憶部32、入力部33、通信部34、画像処理部35、方向判定部36、関心領域設定部37、プロファイル取得部41、ヒストグラム解析部42、データ算出部43、等を備えて構成されており、これら各部はバス39を介して互いに接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等(何れも図示せず)を備えており、CPUが、RAMの所定領域を作業領域としてROMまたは記憶部32に記憶されている各種プログラムに従い、上記各部に制御信号を送ることにより画像処理装置30の動作全般を集中制御し、後述する画像抽出処理等の各種処理を実行するようになっている。なお、画像処理部35、方向判定部36、関心領域設定部37も制御部31と同様に、CPUが各種プログラムに従い動作するものである。
記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、光ディスク等の磁気的あるいは光学的記憶媒体や半導体メモリ等の図示しない記憶媒体を固定的又は着脱自在に備え、画像処理プログラム等、画像処理装置30にかかる各種プログラムの他、これらの処理プログラム実行時に使用される各種データ等を格納している。
また、本実施形態においては、記憶部32には、放射線画像撮影装置1によって撮影され画像処理装置30に送られた放射線画像の画像データが記憶される。本実施形態において、放射線画像の画像データには、前述のように、放射線画像撮影装置1の情報付帯手段26によって、撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等が付帯情報として付帯された状態で画像処理装置30に送られるようになっており、記憶部32はこれらの情報を画像データに付帯させた状態で記憶する。
また、記憶部32には、健常者(関節疾患の病変を生じていない者)の手指の各部位の軟部組織の信号値(濃度)の基準となるデータ(軟部組織の組成についての基準値)、形状等に関して基準となるデータ(軟部組織の形状についての基準値)、骨部の幅と指全体の幅との比率や骨部の幅と骨部+滑膜の幅との比率について基準となるデータ(骨部と軟部組織との比率に関する基準値)、及び、これらの軟部組織の信号値、形状、骨部と軟部組織との比率等と病変の程度とを関連付けたテーブルが記憶されている。なお、これら基準となるデータ及びテーブルは、複数の健常者から取得したデータの平均値に基づいて作成されていることが好ましく、それぞれ、年齢、性別ごとに作成されていることが好ましい。
また、被検者について指標が算出されたときには、この指標が当該被検者を特定する識別情報と対応付けられて記憶部32に記憶されるようになっている。
プロファイル取得部41によって被写体Hの関心領域T1についてのプロファイル結果が取得された際、及びヒストグラム解析部42によって関心領域T2についての解析結果が取得された際には、制御部31がこれらのプロファイル結果や解析結果と基準となるデータ又は当該被検者について過去に算出された指標とを比較することにより、軟部組織部分の組成の差異、形状等の軟部組織の状態について評価を行うようになっている。
また、記憶部32には、各指の形状リストが記憶されている。
入力部33は、例えば図示しないカーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成されており、画像処理条件等を入力可能となっている。入力部33は、キーボードに対するキー操作やマウス操作等により入力された指示信号を制御部31に出力するようになっている。
通信部34は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークNに接続された放射線画像撮影装置1や画像出力装置50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。即ち、通信部34は、ネットワークNを通じて、放射線画像撮影装置1によって生成された放射線画像の画像データを受信し、また、適宜画像出力装置50等の外部装置に画像処理の完了した画像の画像データを送信するものである。
方向判定部36は、検出器11で検出された位相コントラスト画像中から、評価対象となる指を選別し、当該指の縦横方向を判断するものである。図10に示すように、手の位相コントラスト画像G1が取得されると、方向判定部36は、画像中の各指の形状を認識する。この認識方式は特に限定されないが、例えば後述するプロファイルの結果から各指の境界を判別することで指の辺縁を追い、形状を認識する方式等がある。
形状認識後には、その認識した形状と、記憶部32中に記憶されている各指の形状リストとを比較して、画像中の各指の種類を特定する。形状の特定が完了すると、方向判定部36は、評価対象となる指(例えば中指70等)を選別する。その後、方向判定部36は、記憶部32中に記憶されている中指の形状リストに基づいて、位相コントラスト画像中の中指70の縦横方向を判断する。具体的には、形状リスト中の中指は、長手方向に沿う中心軸が縦方向とされ、当該縦方向に直交する方向が横方向とされている。そして、方向判定部36は、画像中の中指70と、形状リスト中の中指とを重ね合わせることにより両者の傾きを検知し、その傾きで形状リストの中指の縦横方向を補正することで、画像中の中指70の縦横方向を決定する。
関心領域設定部37は、方向判定部36で縦横方向が特定された中指70の位相コントラスト画像から、軟部組織の評価を行うための領域を設定するものである。関心領域の設定方法は種々考えられ、例えば、入力部33により矩形枠を指定して関心領域を設定したり、放射線画像に対し画像解析を行って自動で設定したりすることができる。
本実施形態において、関心領域設定部37は、プロファイル取得部41によるプロファイルを行う際には、手指の少なくとも1つの指骨(例えば、中節骨や基節骨)又は中手骨と、当該指骨又は中手骨と隣接する骨とを繋ぐ2つの関節部分とを含む領域を関心領域T1として設定するようになっている。
また、ヒストグラム解析部42によるヒストグラム解析を行う際には、手指の少なくとも1つの指骨(例えば、中節骨や基節骨)又は中手骨と、当該指骨又は中手骨と隣接する骨とを繋ぐ少なくとも1つの関節部分とを含む領域を関心領域T2(図15参照)として設定するようになっている。
プロファイル取得部41は、関心領域設定部37により設定された関心領域T1内の縦方向(図11における矢視I方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルと、横方向(図11における矢視II又はIII方向)の信号値の強度プロファイルとを取得するものである。
具体的には、プロファイル取得部41は、まず、関心領域T1内の図11における矢視I方向の画像信号の信号値の強度プロファイルを取得する。これにより得られる信号値の強度プロファイルは、例えば図12に示すようになる。
図12において、横軸はプロファイル方向を示しており、縦軸は信号値の強弱を示している。図11における矢視I方向にプロファイルを行った場合、指先から指の最も先端に位置する指骨である末節骨までは皮膚や脂肪等からなる軟部組織であり、比較的X線の透過率が高い(X線の吸収率が低い)ため信号値は強くなる。これに対して、末節骨、中節骨、基節骨、中手骨といった骨部においては、X線の透過率が低い(X線の吸収率が高い)ため信号値は弱くなる。また、骨部と骨部との間に位置する各関節部分では、比較的X線の透過率が高い(X線の吸収率が低い)ため信号値は強くなる。
また、プロファイル取得部41は、縦方向(図11における矢視I方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルに基づいて、横方向(図11における矢視II、矢視III又は矢視IV方向)の信号値の強度プロファイルを取得する位置を決定する。
具体的には、プロファイル取得部41は、図12に示すような縦方向(図11における矢視I方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルを取得すると、信号値の強度の違いから関節部分を識別し、この関節部分を画像信号の信号値の強度プロファイル対象位置(矢視III)として決定する。また、この関節部分の中心部から次の関節部分の中心部までの距離の中心位置(関節部分と関節部分とに挟まれた骨部の中心)を算出し、この位置を関節間部分の画像信号の信号値の強度プロファイル対象位置(矢視II)として決定する。
そして、横方向(図11における矢視II、矢視III又は矢視IV方向)の信号値の強度プロファイルを取得する位置が決定すると、当該位置の信号値の強度プロファイルを取得する。
なお、関節間部分の画像信号の信号値の強度プロファイル対象位置は、関節部分と関節部分とに挟まれた骨部のいずれかの位置であればよく、図11に示す位置(矢視II)に限定されない。信号値の強度プロファイルを取得する位置は、デフォルトで予め設定されていてもよいし、医師等が任意に設定できるようにしてもよい。また、予め設定されている場合でも適宜位置を変更、調整可能としてもよい。
図13は、プロファイル取得部41によって取得される関心領域T1内の図11における矢視II方向の画像信号の信号値の強度プロファイルの例であり、図14は、プロファイル取得部41によって取得される関心領域T1内の図11における矢視III方向の画像信号の信号値の強度プロファイルの例であり、図15は、プロファイル取得部41によって取得される関心領域T1内の図11における矢視IV方向の画像信号の信号値の強度プロファイルの例である。
図13に示すように、関節間部分(図11における矢視II方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルを行った場合、指の皮膚、筋肉、脂肪等の軟部組織の部分において多少X線が吸収されるため、軟部組織に対応する部分で信号値が弱くなり、骨部ではさらに多くのX線が吸収される(X線の透過率が低い)ため、骨部に対応する部分では軟部組織に対応する部分よりも信号値がさらに弱くなるため、2段階の信号値からなるプロファイル結果が得られる。
また、関節部分(図11における矢視III方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルを行った場合には、指の皮膚、筋肉、脂肪等と骨部との間に関節部分の骨を包んでいる滑膜があり、同じ軟部組織でも滑膜部分と他の部分とではX線の吸収率が異なるため、図14に示すような3段階の信号値からなるプロファイル結果が得られる。すなわち、指の皮膚、筋肉、脂肪等の部分では多少X線が吸収されるため、これらに対応する部分で信号値が弱くなる。滑膜部分は皮膚や筋肉等よりもX線の吸収率が高い(X線の透過率が低い)ため、滑膜部分に対応する部分ではさらに信号値が弱くなる。そして、骨部はさらにX線の吸収率が高い(X線の透過率が低い)ため、骨部に対応する部分では軟部組織に対応する部分よりも信号値がさらに弱くなる。
さらに、関節部分(図11における矢視IV方向)の画像信号の信号値の強度プロファイルを行った場合には、滑膜と骨部との間に腫れ部分αがあり、同じ軟部組織でも滑膜部分と腫れ部分αとではX線の吸収率が異なるため、図15に示すような4段階の信号値からなるプロファイル結果が得られる。すなわち、指の皮膚、筋肉、脂肪等の部分では多少X線が吸収されるため、これらに対応する部分で信号値が弱くなる。滑膜部分は皮膚や筋肉等よりもX線の吸収率が高い(X線の透過率が低い)ため、滑膜部分に対応する部分ではさらに信号値が弱くなる。腫れ部分αは滑膜部分よりもX線の吸収率が高い(X線の透過率が低い)ため、腫れ部分αに対応する部分では滑膜部分よりもさらに信号値が弱くなる。そして、骨部はさらにX線の吸収率が高い(X線の透過率が低い)ため、骨部に対応する部分では軟部組織に対応する部分よりも信号値がさらに弱くなる。
なお、図15に示す信号値の強度プロファイルは一例であり、腫れ部分αのX線の透過率は当該部分を形成する組成によって異なる(例えば比重がより高い組成のものであればX線の透過率が低くなる等)。このため、腫れ部分αを形成する組成によっては、図15に示すものと異なる信号値を示す場合もあり得る。
なお、本実施形態では、実測された画像信号の信号値の強度プロファイル1ライン分を、後述するデータ算出部43による各種データの算出及び制御部31による軟部組織評価を行う際における1ライン分の信号値の強度プロファイルとして使用しているが、実測された連続する複数ライン分の信号値の強度プロファイルの平均値を、各種データの算出及び軟部組織評価を行う際における1ライン分の信号値の強度プロファイルとしてもよい。このように平均化されるとノイズが低減された信号値の強度プロファイルで、各種データの算出及び制御部31による軟部組織評価を行うことができ、より高精度の結果を得ることができる。この場合においても、平均化された信号値の強度プロファイルを複数使用することが好ましい。
ヒストグラム解析部42は、関心領域設定部37により設定された関心領域T2(図15参照)内の信号値について、ヒストグラム解析を行うものである。
図17に、ヒストグラム解析部42によるヒストグラム解析によって得られる解析結果の例を示す。図17において横軸は信号値であり、縦軸は信号値の頻度である。関心領域T2(図16参照)内には、皮膚や筋肉等の通常存在する軟部組織の他に軟部組織の組成が変化する(例えば、関節液や血液等が溜まる等、皮膚や筋肉等以外のものが存在する)等により生じた腫れ部分αが存在している。このため、関心領域T2についてヒストグラム解析を行うと、皮膚や筋肉等の通常存在する軟部組織を示す信号値及び骨部を示す信号値の他に、これらとは異なる信号値が現れ、通常存在する軟部組織及び骨部とは異なる部分が存在しているとの解析結果が得られる。なお、図17では、通常存在する軟部組織の信号値よりも腫れ部分αの信号値の方が弱い(X線の吸収率が高い)場合を例として示しているが、腫れ部分αの信号値はその組成によって異なるものであり、腫れ部分αの信号値が通常存在する軟部組織の信号値よりも強く現れる場合もありうる。このため、プロファイル解析およびヒストグラム解析の結果は必ずしも図17のようになるとは限らない。
なお、関心領域として、関節間部分を中心とした所定の範囲及び関節部分を中心とした所定の範囲を設定して、ヒストグラム解析部42によりそれぞれの関心領域についてヒストグラム解析を行ってもよい。
データ算出部43は、プロファイル取得部41によって関節間部分の信号値の強度プロファイル(図11における矢視II方向におけるプロファイル)が取得されると、得られた結果から骨部71の幅(以下「骨幅」と称する。)Aと、骨部71と軟部組織とを合わせた手指(中指70)全体の幅(以下「指幅」と称する。)Bとを算出する。さらに、データ算出部43は、「骨幅」A分の「指幅」Bを算出し、算出結果は軟部組織の腫れの程度を表す指標として記憶部32に記憶される。
また、データ算出部43は、プロファイル取得部41によって関節部分の信号値の強度プロファイル(図11における矢視III方向又は矢視IVにおけるプロファイル)が取得されると、得られた結果から骨部71の幅(以下「骨幅」と称する。)Aと、骨部71と滑膜部分までを合わせた幅(以下「滑膜間幅」と称する。)Cとを算出する。さらに、データ算出部43は、「骨幅」A分の「滑膜間幅」Cを算出し、算出結果は軟部組織の腫れの程度を表す指標として記憶部32に記憶される。例えばリウマチの初期症状として、滑膜が炎症などの原因で腫れる等により滑膜間幅が大きくなることが知られており(図11における矢視IV部分参照)、「骨幅」A分の「滑膜間幅」Cを算出することにより、このような状態を客観的な数値として捉えることができる。
さらに、データ算出部43は、ヒストグラム解析部42によって関心領域T2についてのヒストグラム解析が行われると、記憶部32に記憶されている健常者のデータを参照してヒストグラムの結果に現れている信号値のうち、通常存在する軟部組織の信号値、骨部の信号値を特定する。そして、これらのいずれでもない信号値を示している画素(腫れ部分αに対応する画素)を特定し、当該画素の位置及び当該画素によって形成される領域を特定して、その領域の幅、長さ、面積等、軟部組織の形状変化の程度を表す指標を算出する。
また、データ算出部43は、ヒストグラム解析部42によって得られた解析結果から、前記腫れ部分αに対応する画素の信号値を当該画素の周辺画素の信号値と比較し、その信号値の差(濃度差)を算出する。この算出結果は、信号値の差(濃度差)が大きいほど前記腫れ部分αの組成が周囲の他の軟部組織部分と異なっていることを示すものであり、軟部組織の組成の変化の程度を表す指標となる。
なお、腫れ部分αに対応する画素の信号値と比較する対象は当該画素の周辺画素の信号値に限定されない。例えば健常者の放射線画像の画素毎の信号値のうち、腫れ部分αに対応する位置の画素の信号値を基準値として当該腫れ部分αの画素の信号値と比較してもよい。
ヒストグラム解析部42によって得られた解析結果から算出されたこれらの軟部組織の形状変化を表す指標及び軟部組織の組成の変化を表す指標は、記憶部32に記憶される。
そして、制御部31は、データ算出43で算出された軟部組織の腫れの程度を表す指標、軟部組織の形状変化の程度を表す指標、軟部組織の組成の変化の程度を表す指標といった各種指標の算出結果と、記憶部32に記憶されている基準となるデータとを比較することにより、関心領域T内に収まる中指70の軟部組織の状態を評価する軟部組織評価部として機能する。
例えば、検査を行った被検者が過去に同一部位について指標を算出したことのある者である場合には、制御部31は、記憶部32から過去に算出された指標を基準となるデータとして読み出し、当該指標(基準となるデータ)と今回求められた指標とを比較することにより軟部組織の状態を評価する。
一方、検査を行った被検者が過去に同一部位について指標を算出したことのない者である場合には、制御部31は、記憶部32から健常者を対象として行った検査の結果得られたデータの平均値(以下「基準値」と称する。)を基準となるデータとして読み出し、当該基準値(基準となるデータ)と今回求められた指標とを比較することにより軟部組織の状態を評価する。
また、本実施形態において、記憶部32には、軟部組織の状態を表す各指標と関節疾患の各症状に応じた閾値とを対応付けたテーブルが記憶されており、制御部31は、このテーブルを参照することによりデータ算出部43による算出結果が所定の症状に該当するものであるか否かを判断する。そして、算出結果が所定の症状に該当する(症状に応じた閾値を超えている)場合には、その旨を後述する画像出力装置50に出力させるようになっている。
なお、各症状に応じた閾値は、リウマチ等の関節疾患の初期症状が判定できる値になるように、実験やシミュレーション、過去のデータの解析等から求められ、設定されている。
そして、上述の評価結果に基づいて、制御部31は、後述する画像出力装置50の表示部にその評価結果に沿った表示をさせたり、又は、評価結果に沿ったフィルム出力をさせたりするようになっている。この場合、画像出力装置50が、記憶部32内に記憶された過去の算出結果と、データ算出部43により現在求められた算出結果とを比較表示したり、記憶部32内に記憶された基準値、制御部31による評価結果等を表示したりする本発明に係る評価結果出力部である。
画像処理部35は、放射線画像の画像データに画像のコントラストを調整する階調処理、濃度を調整する処理、鮮鋭度を調整する周波数処理等の画像処理を施すものである。これにより、撮影部位等の条件に適した画像処理を行うことができる。
なお、撮影部位、撮影条件、撮影方向等の条件に対応する画像処理条件を規定する画像処理パラメータを記憶部32等に予め記憶させておき、画像処理を行うに際しては、放射線画像が身体の何れの部位を撮影したものであるか、撮影された部位、撮影方向等、画像データに付帯されている情報に応じて、これに対応する画像処理パラメータを画像処理部35が記憶部32から読み出し、読み出したパラメータに基づいて画像処理条件を決定することが好ましい。なお、画像データに撮影された部位、撮影方向等の情報が付帯していないときには、入力部33等から必要な条件を入力し、これに基づいて画像処理を行うようにしてもよい。
次に、画像出力装置50は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタ(表示部)、又は、画像データをフィルムや紙等の媒体にプリント(フィルム出力)するプリント部等の出力部と、外部機器と接続するための通信部、電源を供給する電源部等(何れも図示せず)を備えて構成される画像表示装置、プリンタ等である。画像出力装置50は、制御部31(軟部組織評価部)により、関心領域(T1又はT2)内に軟部組織の組成又は形状の変化(軟部組織の腫れ)が生じているか否かが判断された場合に、その判断結果を出力する検出結果出力手段として機能する。通信部は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークNに接続された放射線画像撮影装置1や画像出力装置50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
画像出力装置50は、通信部34がネットワークNを通じて画像処理装置30によって画像処理が行われた放射線画像の画像データを受信すると、適宜その画像を前記出力部(表示部又はプリント部)により出力させるようになっている。
また、前述のように、画像処理装置30によって表示内容が決定されている場合には、例えば、画像出力装置50の表示部にその旨が表示され、又は、フィルム出力されたものにその旨が明示されるようになっている。
なお、画像出力装置50がモニタ(表示部)を備える画像表示装置である場合には、診断用の医用画像を表示して医師等の診断に供するものであるため、一般的なPC(Personal Computer)等よりも高精細のモニタ(表示部)を備えることが好ましい。
次に、図18及び図19を参照しつつ、本実施形態における軟部組織評価システム100の作用について説明する。
まず、図示しない検査受付け等により被撮影者(患者)が検査登録(撮影オーダー登録)を行う等によって、撮影オーダー情報が登録されると、当該撮影オーダー情報に基づいて、被撮影者が左右いずれかの腕部を被写体台14に載置させ、親指と人差指の間に三角マグネット17を沿うように載置させる(ステップS1)。
その後、駆動装置6及び位置調整装置15により、放射線照射角度や照射距離、撮影倍率等の撮影条件に合わせた被写体台14の位置の調整及び撮影装置本体部4の角度の調整が行われる。本実施形態において、被写体台14の位置は、位相コントラスト撮影となるように調整される(ステップS2)。
そして、ステップS3では、制御装置22は、検出器識別部29の識別した検出器11がステップS2で設定された適合検出器と一致しない、すなわち不適合である場合にはステップS4に移行し、位相コントラスト撮影用であると識別されている場合にはステップS5に移行する。
ステップS4では、制御装置22は、表示装置24bを制御して、セットされている検出器11が本撮影には不適合である旨を表示させ、終了する。
ステップS5では、上記の被写体台14の位置及び角度の調整後、電源部9は、平均放射エネルギーが26keVとなるように管電圧をX線源8に印加し、X線源8は被写体Hに向けて放射線を照射することで、位相コントラスト撮影が行われる。
位相コントラスト画像の画像データが生成されると、生成された各画像データに撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等が付帯情報として付帯される(ステップS6)。そして、放射線画像撮影装置1は、生成された放射線画像の画像データを付帯情報とともに画像処理装置30に送信する(ステップS7)。
画像処理装置30は、放射線画像撮影装置1から画像データ及びその付帯情報を受信すると(ステップS8)、受信した画像データ及びその付帯情報を記憶部32に保存(記憶)する(ステップS9)。
その後、制御部31は、方向判定部36を制御して、画像データ中の各指の形状を認識させる(ステップS10)。
そして、制御部31は、認識した各指の形状と、記憶部32中の形状リストとから画像データ中の各指から中指70を特定し、その中指70の縦横方向を決定する(ステップS11)。
縦横方向が決定すると、制御部31は、関心領域設定部37を制御して、信号値の強度プロファイルを行う関心領域T1を設定させる(ステップS12)。
関心領域T1の設定が完了すると、制御部31は、プロファイル取得部41を制御して、関心領域T1内の縦方向(図11の矢視I方向)の信号値の強度プロファイルを取得する(ステップS13)。このとき、プロファイル取得部41は、1ライン分のプロファイルを取得してもよいし、複数ラインのプロファイルを取得してその平均値を得るものとしてもよい。
縦方向の信号値の強度プロファイルを取得すると、制御部31は、取得したプロファイルから関節部分及び関節間部分を特定し、各部分について、各種指標の算出処理を行う(ステップS14)。
ここで、図19を参照しつつ、各種指標の算出処理(ステップS14)について具体的に説明する。
なお、算出される指標としては、前述のように、軟部組織の腫れの程度を表す指標、軟部組織の形状変化の程度を表す指標、軟部組織の組成の変化の程度を表す指標があるが、これらの各種指標のすべてを算出しなくてもよい。いずれの指標を算出するかや算出の順番等はデフォルトとして設定されていてもよいし、ユーザにより任意に設定できるようになっていてもよい。
制御部31は、予めされている設定に基づいて、関心領域T1内における横方向の信号値の強度プロファイルを取得するか否かを判断する(ステップS31)。横方向の信号値の強度プロファイルを取得すると判断した場合(ステップS31;YES)には、制御部31は、関心領域T1内の横方向の信号値の強度プロファイルを取得する位置(図11の矢視II、矢視III及び矢視IV方向)を決定する(ステップS32)。
そして、制御部31は、プロファイル取得部41を制御して、関心領域T1内の横方向(図11の矢視II、矢視III及び矢視IV方向)の信号値の強度プロファイルを取得する(ステップS33)。このとき、プロファイル取得部41は、各プロファイル位置について1ライン分ずつのプロファイルを取得してもよいし、それぞれ複数ラインのプロファイルを取得してその平均値を得るものとしてもよい。
横方向の信号値の強度プロファイルが取得されると、制御部31は、データ算出部43を制御して取得されたプロファイル結果に基づいて、「骨幅」A分の「指幅」B(図11の矢視II方向のプロファイルの場合)又は「骨幅」A分の「滑膜間幅」C(図11の矢視III及び矢視IV方向のプロファイルの場合)を算出する(ステップS34)。算出結果は軟部組織の腫れの程度を表す指標として記憶部32に記憶される(ステップS35)。
次に、制御部31は、予めされている設定に基づいて、ヒストグラム解析を行うか否かを判断する(ステップS36)。ヒストグラム解析を行うと判断した場合(ステップS36;YES)には、制御部31は、関心領域設定部37を制御して、信号値のヒストグラム解析を行う関心領域T2を設定させる(ステップS37)。
そして、制御部31は、ヒストグラム解析部42を制御して、関心領域T2内の信号値についてヒストグラム解析を行う(ステップS38)。
ヒストグラム解析の結果が取得されると、制御部31は、データ算出部43を制御して取得されたヒストグラム解析結果に基づき、軟部組織の形状変化を表す指標及び軟部組織の組成の変化を表す指標を算出する(ステップS39)。算出結果は軟部組織の腫れの程度を表す指標として記憶部32に記憶される(ステップS40)。
なお、本実施形態では、ヒストグラム解析結果に基づいて軟部組織の形状変化を表す指標及び軟部組織の組成の変化を表す指標を算出する場合を例としているが、これらの指標を算出することは必須ではなく、必要に応じて、いずれか一方のみを算出するようにしてもよい。
他方、横方向の信号値の強度プロファイルを取得すると判断した場合(ステップS31;NO)には、制御部31は、ステップS37からの処理に移行する。すなわち、関心領域設定部37を制御して、関心領域T2を設定させた後(ステップS37)、ヒストグラム解析部42によるヒストグラム解析(ステップS38)、データ算出部43による指標の算出を行い(ステップS39)、その算出結果を記憶部32に記憶させる(ステップS40)。
以上のような各種指標の算出処理(ステップS31〜ステップS40)が完了すると、図18に戻って、制御部31は、画像データに付帯する被撮影者情報を基に、当該被撮影者の過去の算出指標が記憶部32内に記憶されているか否かを判定する(ステップS15)。制御部31は、当該被験者の過去の算出指標が記憶されている場合(ステップS15;YES)にはステップS16に移行し、記憶されていない場合(ステップS15;NO)にはステップS17に移行する。
ステップS16では、制御部31は、記憶部32から検査対象である被撮影者の過去の算出指標を読み出し、当該算出指標と今回求められた指標とを比較することにより軟部組織の評価を行い、ステップS18に移行する。
ステップS17では、制御部31は、記憶部32から予め記憶されている基準値を読み出し、当該基準値と今回求められた指標とを比較することにより軟部組織の評価を行い、ステップS18に移行する。
次に、ステップS18では、制御部31は、データ算出部43によって算出された各種指標が関節疾患の各症状に対応する指標の閾値を超えているかを判断する。
そして、制御部31は、放射線画像撮影装置1から送信された画像データ、付帯情報、新たに算出された指標、基準値、制御部31による評価結果及び判断結果、さらにある場合は過去の算出指標を、通信部34を介して画像出力装置50に送信する(ステップS19)。
画像出力装置50は、画像処理装置30からデータを受信すると(ステップS20)、受信した内容を出力部に出力させる(ステップS21)。出力方法としては、前述のように、モニタ(表示部)によるビューワ表示、プリント部によるフィルム出力(ハードコピー)のいずれでもよい。これにより、画像出力装置50では、画像データ、付帯情報、新たに算出された指標、基準値、制御部31による軟部組織の評価結果、各指標が閾値を超えているか否かの判断結果及び過去の算出指標等を閲覧することができる。ここで、画像出力装置50では、新たに算出された指標と、過去の算出指標とを比較表示したり、新たに算出された指標と基準値とを比較表示したりすることもできる。
また、制御部31による判断の結果、指標が閾値を超えている場合には、その旨を警告表示させたり、軟部組織の組成に差異を生じている部分、形状が変化している部分を色付けして視覚的に分かりやすく表示させる等が可能となっていてもよい。
なお、本実施の形態においては、ステップS15において被検者の過去の算出指標が記憶されている場合にはステップS16の処理のみ行うようにしたが、ステップS17の処理を併せて行うようにしてもよい。
また、本実施形態の各種指標の算出処理(ステップS31〜ステップS40)においては、まず、横方向の信号値の強度プロファイルを取得するか否かを判断し、その後ヒストグラム解析を行うか否かの判断を行うようにしたが、判断の順序はこれに限定されない。まず、ヒストグラム解析を行うか否かの判断を行ってから、横方向の信号値の強度プロファイルを取得するか否かを判断してもよい。また、横方向の信号値の強度プロファイル及びヒストグラム解析のうち、いずれか一方のみしか行わないことが設定されている場合には、他方について行うか否かの判断をせずに処理を進めてもよい。
以上より、本実施形態における軟部組織評価システム100によれば、低放射線エネルギーで位相コントラスト撮影を行って、位相コントラスト画像を取得し、その画像信号の信号値の強度プロファイル及びヒストグラム解析の結果に基づいて、制御部31が軟部組織の評価結果、各指標が閾値を超えているか否かの判断結果を行うので、放射線吸収率に大きな差異のない軟部組織同士でも、十分なコントラストを得ることができ、この位相コントラスト画像の画像信号の信号値の強弱に基づいて、軟部組織の状態を評価することができる。
これにより、軟部組織に腫れが生じている場合のように、未だ骨部の異常に至っていないリウマチ等の関節疾患の初期症状の段階でも医師の診断に役立つような客観的な指標を得ることができる。
また、得られた指標及びこれに基づく制御部31の評価結果、指標が所定の閾値を超えているかの判断結果が画像出力装置50から出力されるので、医師等はリウマチ等の関節疾患の初期症状の診断に役立つ客観的な資料をモニタにビューワ表示させる等により容易に確認することができる。
また、本実施形態では被写体を手としているので、リウマチ等の関節疾患の初期症状が現出しやすい手指(例えば中指70)を位相コントラスト画像に収めやすい。手の撮影は簡単且つ被ばく線量が少なくて済む。さらに、骨疾患は身体の末端から先に症状が現れるため、手骨画像を用いると大腿骨や背骨よりも骨疾患の早期発見が可能となる。
なお、本実施形態では、新たに算出された指標との比較を行う基準となるデータとして、被検者の過去の算出指標及び健常者の基準値が記憶部32に保存されているものとしたが、被検者の過去の算出指標のみ、又は健常者の基準値のみが基準となるデータとして記憶され、これらと比較を行うことによって軟部組織の評価を行うようにしてもよい。
また、被検者の複数の手指について各種指標を算出して記憶部32に記憶させておき、制御部31は、これら各指の指標を相互に比較することによって、いずれかの指に軟部組織の組成や形状の変化が現れていないか等、軟部組織の評価を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、位相コントラスト画像を得るために、小焦点X線管を用い屈折コントラストを利用して撮影する構成の放射線画像撮影装置1を用いることとしたが、位相コントラスト画像を得る放射線画像撮影装置の構成はこれに限定されない。例えば、タルボ干渉等を利用して位相コントラスト画像を得る放射線画像撮影装置を用いてもよい。
また、本実施形態においては、画像処理装置30と画像出力装置50とを別体の装置として設ける場合を例として説明したが、画像処理手段、記憶手段、判断手段、及び出力手段としての表示手段又はプリント手段等を1つの装置に備え、画像処理装置30と画像出力装置50とを1台の装置で兼ねる構成としてもよい。
本実施形態における軟部組織評価システムの要部構成を示す図である。 本実施形態における放射線画像撮影装置の要部構成を示す側面図である。 本実施形態における放射線画像撮影装置の内部構成を示す模式図である。 本実施形態における放射線画像撮影装置に備わる検出器の斜視図である 本実施形態における手保持部に被検者が左手の手の甲を上方に向けて置いた際の平面図である。 本実施形態における放射線画像撮影装置の制御構成を示すブロック図である。 本実施形態における位相コントラスト撮影の概略を説明する図である。 位相コントラスト効果について説明する図である。 本実施形態における画像処理装置の制御構成を表すブロック図である。 本実施形態における放射線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像の一例を示す図である。 図10の位相コントラスト画像で設定されたプロファイルを行う関心領域を表す説明図である。 図11の矢視I方向におけるプロファイルの結果の一例を示す線図である。 図11の矢視II方向におけるプロファイルの結果の一例を示す線図である。 図11の矢視III方向におけるプロファイルの一例を示す線図である。 図11の矢視IV方向におけるプロファイルの一例を示す線図である。 図10の位相コントラスト画像で設定されたヒストグラム解析を行う関心領域を表す説明図である。 図15に示す関心領域内のヒストグラム解析の一例を示す線図である。 本実施形態における処理を表したフローチャートである。 図18における各種指標の算出処理を表したフローチャートである。
符号の説明
1 放射線画像撮影装置
2 支持台
3 支持基台
4 撮影装置本体部
5 支持軸
6 駆動装置
7 保持部材
8 X線源(放射線源)
9 電源部
11 検出器
12 検出器保持部
13 放射線量検出部
14 被写体台
22 制御装置
24 操作装置
29 検出器識別部
30 画像処理装置
31 制御部(軟部組織評価部)
32 記憶部
33 入力部
34 通信部
35 画像処理部
36 方向判定部
37 関心領域設定部
38 指標算出部
41 プロファイル取得部
42 ヒストグラム解析部
43 データ算出部
50 画像出力装置
100 軟部組織評価システム
T1、T2 関心領域

Claims (6)

  1. 放射線を照射する放射線源と、
    軟部組織を含む被写体を前記放射線源から照射される前記放射線の照射野内に支持する被写体台と、
    前記被写体台よりも前記放射線の照射方向前方に配置され、前記放射線源から前記被写体に対して照射され、透過した放射線の位相コントラスト画像を検出する検出器と、
    前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像の画像信号の信号値の強弱に基づいて、前記軟部組織の状態を評価する軟部組織評価部と、
    を備えていることを特徴とする軟部組織評価システム。
  2. 前記放射線源は、17keV〜35keVの平均放射線エネルギーの放射線を照射するものであることを特徴とする請求項1に記載の軟部組織評価システム。
  3. 前記軟部組織評価部により評価される前記軟部組織の状態は、前記軟部組織部分の組成及び/又は形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軟部組織評価システム。
  4. 前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像内に所定の関心領域を設定する関心領域設定部と、
    前記関心領域設定部により設定された前記関心領域内における前記画像信号の信号値の強度プロファイルを取得するプロファイル取得部と、を備え、
    前記軟部組織評価部は、前記プロファイル取得部により取得された前記信号値の強度プロファイルに基づいて前記軟部組織の状態を評価するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の軟部組織評価システム。
  5. 前記検出器で検出された前記位相コントラスト画像内に所定の関心領域を設定する関心領域設定部と、
    前記関心領域設定部により設定された前記関心領域内における画像信号のヒストグラム解析を行うヒストグラム解析部と、を備え、
    前記軟部組織評価部は、前記ヒストグラム解析部による解析結果に基づいて前記軟部組織の状態を評価するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の軟部組織評価システム。
  6. 前記軟部組織評価部による評価結果を出力する評価結果出力部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の軟部組織評価システム。
JP2007103691A 2007-04-11 2007-04-11 軟部組織評価システム Pending JP2010158258A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007103691A JP2010158258A (ja) 2007-04-11 2007-04-11 軟部組織評価システム
PCT/JP2008/056767 WO2008126788A1 (ja) 2007-04-11 2008-04-04 軟部組織評価システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007103691A JP2010158258A (ja) 2007-04-11 2007-04-11 軟部組織評価システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010158258A true JP2010158258A (ja) 2010-07-22

Family

ID=39863886

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007103691A Pending JP2010158258A (ja) 2007-04-11 2007-04-11 軟部組織評価システム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2010158258A (ja)
WO (1) WO2008126788A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012057047A1 (ja) * 2010-10-28 2012-05-03 富士フイルム株式会社 放射線撮影システム
JP2014042769A (ja) * 2012-08-29 2014-03-13 Fujifilm Corp 骨塩定量分析方法および骨塩定量分析システム、並びに記録媒体
JP2018192281A (ja) * 2012-10-26 2018-12-06 ビューレイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッドViewRay Technologies, Inc. システム及びコンピュータプログラム製品
JP2020151270A (ja) * 2019-03-20 2020-09-24 学校法人慶應義塾 関節状態値取得装置、関節状態学習装置、関節位置特定装置、関節位置学習装置、関節状態値取得方法、関節状態学習方法、関節位置特定方法、関節位置学習方法及びプログラム

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004057804A (ja) * 2002-06-05 2004-02-26 Fuji Photo Film Co Ltd 骨関節評価方法、装置およびそのためのプログラム
JP4591142B2 (ja) * 2005-03-16 2010-12-01 コニカミノルタエムジー株式会社 医用画像システム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012057047A1 (ja) * 2010-10-28 2012-05-03 富士フイルム株式会社 放射線撮影システム
JP2014042769A (ja) * 2012-08-29 2014-03-13 Fujifilm Corp 骨塩定量分析方法および骨塩定量分析システム、並びに記録媒体
JP2018192281A (ja) * 2012-10-26 2018-12-06 ビューレイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッドViewRay Technologies, Inc. システム及びコンピュータプログラム製品
JP2020151270A (ja) * 2019-03-20 2020-09-24 学校法人慶應義塾 関節状態値取得装置、関節状態学習装置、関節位置特定装置、関節位置学習装置、関節状態値取得方法、関節状態学習方法、関節位置特定方法、関節位置学習方法及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008126788A1 (ja) 2008-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5145169B2 (ja) 医用画像の撮影支援装置及びプログラム
CN101849836B (zh) 乳腺含有率推算设备、方法和记录介质
JPWO2008132988A1 (ja) X線画像分析システム及びプログラム
JP5145170B2 (ja) 医用画像の評価装置
JP2008018060A (ja) 診断情報生成システム、診断情報生成方法及び診断情報表示方法
JP5194420B2 (ja) 放射線画像撮影装置
JP6662428B2 (ja) 動態解析システム
JP3947152B2 (ja) マンモグラフィ装置
WO2007079073A1 (en) Bone mineral density assessment using mammography system
JP2008259693A (ja) X線画像撮影システム及びプログラム
JP2010158258A (ja) 軟部組織評価システム
JP2007143982A (ja) X線撮影装置
JP2010154871A (ja) 骨疾患評価システム、骨疾患評価方法及びプログラム
US10089728B2 (en) Radiation-image processing device and method
JP2008200114A (ja) 骨梁評価システム
US20160171691A1 (en) Image area specification device and method, and x-ray image processing device and method
JP2008018059A (ja) 診断情報生成システム
JP2008206560A (ja) 骨塩量測定装置
JP5772523B2 (ja) 医用画像撮影システム、医用画像処理装置及びプログラム
JP2008125576A (ja) 放射線画像撮影装置
JP4992456B2 (ja) 骨疾患評価システム
JP2016209267A (ja) 医用画像処理装置及びプログラム
JP3947151B2 (ja) マンモグラフィ装置
JP4924712B2 (ja) 骨疾患評価システム
JP3930472B2 (ja) マンモグラフィ装置