JPWO2008132988A1 - X線画像分析システム及びプログラム - Google Patents

X線画像分析システム及びプログラム Download PDF

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Abstract

X線画像分析システムには、X線源とX線検出器とを有し、前記X線源からX線平均エネルギーが32KeV以下であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し被写体からX線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源から前記X線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となる位相コントラストX線単純撮影が可能であり、さらに、位相コントラストX線単純撮影により得られたX線画像から骨梁指標算出領域を設定して骨梁の状態を表す骨梁指標を算出するとともに骨肉境界指標算出領域を設定して画像データから骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標を算出する画像分析装置が備えられている。

Description

本発明は、X線画像分析システム及びプログラムに関する。
関節症は、関節の腫れ・滑膜の炎症・関節近傍の軟骨・靱帯の破壊・関節近傍の骨の微細な破壊(微細な骨棘や骨糜爛の形成、関節近傍の骨梁の減少等)から、関節近傍の骨の単純X線画像で視認可能な破壊・関節裂隙の極小化、そして、関節の脱臼・強直へと症状が進むと言われている。したがって、関節近傍の軟骨・靱帯の破壊、関節近傍の骨の微細な破壊の段階で、これらの程度を示す指標が得られれば、早期診断に有用と思われる。
また、骨には、皮質骨と呼ばれる緻密な構造の部分と、海綿骨と呼ばれる海綿状の網目構造をした部分とが有るが、骨粗鬆症は、骨の海綿質の量が減少し、網目構造を構成する棒状の骨梁が徐々に少なくなり、骨が弱くなる症状である。したがって、海綿骨全体の濃度から得られる指標ではなく、骨梁一本一本が描写された画像から指標が得られれば、早期診断に有用と思われる。
近年では、上記した指標をX線画像に基づいて取得することが開発されている。このX線画像の撮影方式としては、単純X線撮影や断層撮影等が知られている。断層撮影としては、例えば、特許文献1に記載されているように、骨梁を観察するのに十分な10μm程度の空間解像度が得られるフォーカスサイズ20μm以下、好ましくは10μm以下の微小焦点からX線を発生・照射する微小フォーカスX線断層写真撮影装置により断層撮影されるものがあり、これによって骨梁構造が確認可能なX線画像が取得される、と記載されている。
しかし、微小フォーカスX線断層写真撮影装置は、高価な上、微小フォーカスX線源のX線照射強度が低いことから、断層像を得るための撮影時間が長くなってしまい、被写体である患者を長時間拘束しなければならず、患者の負担が大きいのが難点であった。
一方、単純X線撮影であれば、断層撮影と比較しても被写体を拘束する時間が短いために、骨梁構造を視認可能とするX線画像を単純X撮影により取得することが望まれている。例えば、特許文献2には、単純X線撮影から、画像処理により骨部構造状態指標値が算出可能である、と記載されている。
特開平9−294740号公報 特開平11−112877号公報
しかしながら、単純X線撮影は、断層撮影と比べて、装置が安価で、1枚のX線画像を得るのに必要な撮影時間が短いという利点があるものの、従来の単純X線撮影のままであると、骨棘や骨糜爛の大きなものや顕著な骨梁の減少は描写されるが、微細な骨棘や骨糜爛や骨梁の減少は描画されないものである。このため、従来であると、単純X線撮影により得られたX線画像からは、有用な骨梁の状態を表す指標や、骨肉境界の平滑度を表す指標を得ることは困難であった。
そこで、本発明の課題は、断層撮影と比較しても、装置が安価で、1枚のX線画像を得るのに必要な撮影時間が短い単純X線撮影で得られるX線画像から、骨梁の状態を表す骨梁指標と、骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標の両方を算出できるようにすることである。これにより、関節症や、骨粗鬆症の早期診断が可能となると期待できる。
請求の範囲第1項記載の発明に係るX線画像分析システムは、
X線を照射するX線源と、
X線画像検出面に照射されたX線画像を検出するX線検出器と、を有し、
前記X線源から、X線平均エネルギーが32KeV以下であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し、被写体からX線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源から前記X線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となる位相コントラストX線単純撮影が可能であり、
さらに、前記位相コントラストX線単純撮影により得られたX線画像から、第一の領域設定法に基づき骨梁指標算出領域を設定し、当該骨梁指標算出領域における画像データから骨梁の状態を表す骨梁指標を算出するとともに、前記第一の領域設定法と異なる第二の領域設定法により骨肉境界指標算出領域を設定し、当該骨肉境界指標算出領域における画像データから骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標を算出する画像分析装置を有することを特徴としている。
請求の範囲第2項記載の発明は、請求の範囲第1項記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記骨梁指標算出領域における画像データから、位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを分析して前記骨梁指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第3項記載の発明は、請求の範囲第2項記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを分析して前記骨梁指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第4項記載の発明は、請求の範囲第3項記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記2以上の交差する方向の各々で分析し、各々の分析結果を比較して、前記骨梁指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第5項記載の発明は、請求の範囲第2項〜第4項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記X線強度プロファイルを分析する際、所定範囲内の骨梁像の本数に関する骨梁像本数を求めることを特徴としている。
請求の範囲第6項記載の発明は、請求の範囲第2項〜第5項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記X線強度プロファイルを分析する際、所定範囲内の骨梁像の間隔に関する骨梁像間隔を求めることを特徴としている。
請求の範囲第7項記載の発明は、請求の範囲第2項〜第6項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記X線強度プロファイルを分析する際、周波数解析を用いることを特徴としている。
請求の範囲第8項記載の発明は、請求の範囲第1項〜第7項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
前記画像分析装置は、
前記骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを分析して前記骨肉境界指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第9項記載の発明は、請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、形状を分析可能な程度、前記被写体中の骨肉境界を含み、
前記画像分析装置は、
前記骨肉境界算出領域における画像データから、骨肉境界の形状を示す骨肉境界形状データを取得し、当該骨肉境界形状データを分析して前記骨肉境界指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第10項記載の発明は、請求の範囲第9項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記画像分析装置は、
前記骨肉境界形状データを分析する際に、周波数解析を用いることを特徴としている。
請求の範囲第11項記載の発明は、請求の範囲第1項〜第10項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
前記画像分析装置は、
前記骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報を基に、前記骨肉境界指標を算出することを特徴としている。
請求の範囲第12項記載の発明は、請求の範囲第1項〜第11項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記X線撮影装置が、前記X線源と前記X線検出器との間に配置されて、前記X線源から被写体までの距離に対する前記被写体からX線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上となるように、被写体を支持する被写体台を有することを特徴としている。
請求の範囲第13項記載の発明は、請求の範囲第12項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記被写体台が、手を支持するものであることを特徴としている。
請求の範囲第14項記載の発明は、請求の範囲第1項〜第12項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
前記X線画像が、手又は足を被写体としたX線画像であることを特徴としている。
請求の範囲第15項記載の発明におけるプログラムは、
X線を照射するX線源と、
X線画像検出面に照射されたX線画像を検出するX線検出器と、
前記X線源が、X線平均エネルギーが32KeV以上であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し、被写体から前記X線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源からX線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となる位相コントラストX線単純撮影が可能であるX線撮影装置とを有するX線撮影システムの前記X線検出器から出力された演算元画像データから演算処理するコンピュータに、
前記位相コントラストX線単純撮影により得られたX線画像から、第一の領域設定法に基づき骨梁指標算出領域を設定させ、当該骨梁指標算出領域における画像データから骨梁の状態を表す骨梁指標を算出させるとともに、前記第一の領域設定法と異なる第二の領域設定法により骨肉境界指標算出領域を設定させ、当該骨肉境界指標算出領域における画像データから骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第16項記載の発明は、請求の範囲第15項記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記骨梁指標算出領域における画像データから、位置に対するX線強度プロファイルを取得させ、当該X線強度プロファイルを分析させて前記骨梁指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第17項記載の発明は、請求の範囲第16項記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを取得させ、当該X線強度プロファイルを分析させて前記骨梁指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第18項記載の発明は、請求の範囲第17項記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記2以上の交差する方向の各々で分析させ、各々の分析結果を比較させて、前記骨梁指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第19項記載の発明は、請求の範囲第16項〜第18項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記X線強度プロファイルを分析する際、骨梁像本数を求めさせることを特徴としている。
請求の範囲第20項記載の発明は、請求の範囲第16項〜第19項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記X線強度プロファイルを分析する際、骨梁像間隔を求めさせることを特徴としている。
請求の範囲第21項記載の発明は、請求の範囲第16項〜第20項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記X線強度プロファイルを分析する際、周波数解析を用いさせることを特徴としている。
請求の範囲第22項記載の発明は、請求の範囲第15項〜第21項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
前記コンピュータに、
前記骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを分析させて前記骨肉境界指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第23項記載の発明は、請求の範囲第15項〜第22項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、形状を分析可能な程度、前記被写体中の骨肉境界を含み、
前記コンピュータに、
前記骨肉境界算出領域における画像データから、骨肉境界の形状を示す骨肉境界形状データを取得させ、当該骨肉境界形状データを分析させて前記骨肉境界指標を算出させることを特徴としている。
請求の範囲第24項記載の発明は、請求の範囲第23項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記骨肉境界形状データを分析する際に、周波数解析を用いさせることを特徴としている。
請求の範囲第25項記載の発明は、請求の範囲第15項〜第24項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
前記コンピュータに、
前記骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報を基に、前記骨肉境界指標を算出させることを特徴としている。
なお、前述の位相コントラストX線単純撮影とは、本発明の画像分析に有用な位相コントラスト効果があるX線単純撮影のことであり、X線源から、X線平均エネルギーが30KeV以下であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し、被写体からX線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源から前記X線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となるX線単純撮影のことである。
本発明者は、この位相コントラストX線単純撮影により、被写体でのX線屈折による位相効果と、ボケの少ない拡大撮影効果と、低エネルギーX線撮影効果があり、これらの相乗的な効果によって、被写体の微細な構造の像が良好なコントラストで得られ、これを画像分析することで、適切な骨梁指標と骨肉境界指標の両方を算出可能であることを見いだし、本発明をなしものである。
上述の焦点径(μm)は、JIS Z 4704−1994の7.4.1焦点試験の(2.2)スリットカメラに規定されている方法で測定できる。なお、この測定方法中の任意の選択条件は、X線源の性質に応じて測定原理から考えて精度が最も高くなる条件を選択した方が一層精度の高い測定が可能となることは言うまでもない。
上述の検出画素間隔は、検出する画像の画素ピッチのことである。本発明において、この検出画素間隔は、X線源から被写体までの距離に対する被写体からX線画像検出面までの距離の比Mとすると、検出画素間隔は、100×M(μm)以下である。そして、検出画素間隔は、70×M(μm)以下であることが好ましい。また、検出画素間隔は、10μm以上あることが良く、更に、X線量子ノイズの観点から、30μm以上(特に60μm以上)が好ましい。
さらに、また、この検出画素間隔は、X線検出器11が2次元画像センサの場合にはセンサの画素ピッチに相当し、輝尽性蛍光体プレートの場合には、輝尽性蛍光体プレートに蓄積された画像を読み取る読取装置の読み取り画素ピッチに相当する。
また、上述の被写体からX線画像検出面までの距離は、X線画像検出面で検出されるX線の照射範囲内で、被写体の最もX線画像検出面に近い位置からX線画像検出面までの距離である。なお、X線画像検出面は厚みを有するが非常に薄く、この距離に比べて1桁以上小さく、誤差範囲内である。
また、上述のX線源から被写体までの距離は、X線源の焦点からX線画像検出面に垂直な方向における、X線源の焦点から、X線画像検出面で検出されるX線の照射範囲内で、被写体の最もX線画像検出面に近い位置までの距離である。なお、X線源の焦点は厳密には厚みを有するが、この距離に比べて1桁以上小さく、誤差範囲内である。
また、上述の骨梁指標とは、骨梁の状態を表す指標のことである。なお、健康な骨は、骨梁が緻密で、X線の吸収率が高いが、骨の疾患を患うと、骨粗鬆症、骨嚢胞などにより、骨梁が粗になり、また、X線の吸収も低くなる傾向にある。
また、上述の骨肉境界指標とは、骨肉境界の平滑度を表す指標である。なお、健康な骨は、骨肉境界(骨の表面)が平滑であるが、骨の疾患を患うと、骨糜爛、骨棘、骨嚢胞などにより、骨肉境界が平滑でなくなる傾向にある。
上述の位置に対するX線強度プロファイルとは、位置に対するX線画像検出面に照射されたX線強度に相当する量を示す情報のことである。このX線強度プロファイルは、所定方向の位置に対するX線画像検出面に照射されたX線強度に相当する量を示す情報であることが好ましい。そして、複数の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを用いることが好ましい。
上述の骨梁像本数情報とは、所定範囲内の骨梁像の本数に関する情報である。このような骨梁像本数情報としては、例えば、位置に対するX線強度プロファイルを取った範囲内の骨梁像の本数そのもの、位置に対するX線強度プロファイルを取った範囲の中の特定の範囲内の単位長さ当たりの骨梁像の本数、複数の特定範囲内の骨梁像の本数の平均などが挙げられるが、これらに限らない。
上述の骨梁像間隔情報とは、所定範囲内の骨梁像の間隔に関する情報である。このような骨梁像間隔情報としては、例えば、位置に対するX線強度プロファイルを取った範囲の長さを、この範囲内の骨梁像の本数で割った間隔、位置に対するX線強度プロファイルを取った範囲の中の特定の範囲の長さを、この範囲内の骨梁像の本数で割った間隔、位置に対するX線強度プロファイルを取った範囲を骨梁像を示す骨梁像領域と骨梁像が無いことを示す非骨梁像領域に区分したときの各非骨梁像の長さの平均などが挙げられるが、これらに限らない。
上述の骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報とは、骨肉境界算出領域内の画像データの内、最大X線強度に対応するデータに関する情報である。このような、骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報としては、骨肉境界算出領域内の画像データの内、最大X線強度に対応する画像データ値や相対X線照射強度、骨肉境界算出領域内の画像データの内、最大X線強度に対応する画像データ値や相対X線照射強度を、例えば、素抜け部や骨肉境界算出領域外の領域の画像データ値や相対X線照射強度などで正規化した値、骨肉境界算出領域内の画像データの内、最大X線強度に所定観点で近い強度に対応する画像データの画素数などが挙げられるが、これらに限らない。
請求の範囲第1項,第15項に記載の発明であると、手を被写体とする同じX線画像から、適切な骨梁指標と骨肉境界指標とを算出することができ、関節症や、骨粗鬆症の早期診断が可能となる。
請求の範囲第2項,第16項記載の発明によれば、骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを基に骨梁指標を算出しているので、個人差の少ない骨梁指標を算出することが可能となる。何故、個人差の少ない骨梁指標を得ることができるかは、未解明な部分があるが、骨梁の多寡は個人差が大きいものの、骨梁の多寡の方向による違いは個人差よりも骨疾患の進行度に依存するからと推測される。
また、請求の範囲第8項,第22項記載の発明によれば、骨肉境界算出領域における画像データから、被写体中の骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルから骨肉境界指標を算出しているので、疾患の進行と強い相関がある骨肉境界指標を得ることができる。何故、疾患の進行と強い相関がある骨肉境界指標を得ることができるのかは未解明な部分もある。上述したように位相コントラスト効果が充分あり、X線屈折率差のある境界が明確になり、また、ボケの少ない拡大撮影効果により、被写体の微細な構造を描写でき、低エネルギーX線撮影効果で手を被写体とするX線撮影画像に最適な吸収コントラストが強くつくことの相乗効果により、骨肉境界近傍の骨部を良好に再現する画像が得られる。骨糜爛や骨棘等の疾患は、骨肉境界近傍の骨の外形が不均一となるため、骨肉境界近傍の骨部の骨量が低下し、骨肉境界近傍の骨の画像データの位置に対するX線強度プロファイルの傾きの低下という形で、疾患の進行と強い相関が生じていると推測される。
本実施形態におけるX線画像分析システムの要部構成を示す図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置の要部構成を示す側面図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置の内部構成を示す模式図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置に備わるX線検出器の斜視図である 本実施形態における手保持部に被検者が左手の手の甲を上方に向けて置いた際の平面図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置の制御構成を示すブロック図である。 本実施形態における位相コントラスト撮影の概略を説明する図である。 位相コントラスト効果について説明する図である。 本実施形態における画像処理装置の制御構成を表すブロック図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像の一例を示す図である。 本実施形態における画像処理装置の記憶部に記憶された形状リスト中の橈骨の縦横方向を示す説明図である。 図10の位相コントラスト画像で設定された骨梁指標算出領域を表す説明図である。 図12の骨梁指標算出領域内におけるプロファイル方向を示す説明図である。 図12の骨梁指標算出領域中の縦方向若しくは横方向における1ライン分のX線強度プロファイルの一例を示す線図である。 図14のX線強度プロファイルから各値を測定する際の基準を表す説明図である。 健常者15人と骨粗鬆症患者15人とにおける骨梁像本数の代表値の縦横比を比較した図である。 健常者15人と骨粗鬆症患者15人とにおける骨梁像幅の代表値の縦横比を比較した図である。 健常者15人と骨粗鬆症患者15人とにおける骨梁像深さの代表値の縦横比を比較した図である。 健常者15人と骨粗鬆症患者15人とにおける骨梁像間距離の代表値の縦横比を比較した図である。 正常な骨の骨梁と、骨粗鬆症の骨の骨梁とを比較表示した図であり、実際の骨梁図である。 正常な骨の骨梁と、骨粗鬆症の骨の骨梁とを比較表示した図であり、骨梁の模式図である。 図12の関心領域中の縦方向若しくは横方向における1ライン分のX線強度プロファイルの一例であり、健常者に対するX線強度プロファイルを示す線図である。 図12の関心領域中の縦方向若しくは横方向における1ライン分のX線強度プロファイルの一例であり、患者に対するX線強度プロファイルを示す線図である。 図21の健常者のX線強度プロファイルに対してフーリエ解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図22の患者のX線強度プロファイルに対してフーリエ解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図23の解析結果に対してバックグラウンドレベルを重ね合わせた線図である。 図24の解析結果に対してバックグラウンドレベルを重ね合わせた線図である。 図25に示す解析結果からバックグラウンドレベルを差し引いた線図である。 図26に示す解析結果からバックグラウンドレベルを差し引いた線図である。 図21の健常者のX線強度プロファイルに対してウェーブレット解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図22の患者のX線強度プロファイルに対してウェーブレット解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 健常者の吸収コントラスト画像における1ライン分のX線強度プロファイルの一例を示す線図である。 患者の吸収コントラスト画像における1ライン分のX線強度プロファイルの一例を示す線図である。 図31の健常者のX線強度プロファイルに対してフーリエ解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図32の患者のX線強度プロファイルに対してフーリエ解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図30の健常者のX線強度プロファイルに対してウェーブレット解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 図31の患者のX線強度プロファイルに対してウェーブレット解析を施した場合の解析結果を示す線図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、位相コントラスト画像の一例を示す説明図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、形状認識処理の手順を示す説明図である。 本実施形態における評価対象骨のプロファイル方向を表す説明図である。 本実施形態における骨肉境界指標算出領域内のプロファイル方向を表す図である。 図39の骨肉境界指標算出領域内におけるX線強度プロファイルの一例を表す説明図である。 本実施形態における角度指標値の種類を表す説明図であり、基準線aと基準線cとにより形成される鋭角d2、鈍角d1若しくは基準線bと基準線cとにより形成される鋭角d3、鈍角d4を角度指標値とした例を示す。 本実施形態における角度指標値の種類を表す説明図であり、境界開始点p5と境界終了点P6との間隔L1を角度指標値とした例を示す。 本実施形態における角度指標値の種類を表す説明図であり、境界開始点P5から規定距離Xだけ骨側に移動したときの信号値幅Sや、プロファイル長Yを角度指標値とした例を示す。 本実施形態における角度指標値の種類を表す説明図であり、規定距離Xの開始点の別の例を示す。 本実施形態における健常者の骨状態と骨糜爛患者の骨状態とを比較表示した説明図であり、健常者、骨糜爛患者それぞれの骨梁状態を示す。 本実施形態における健常者の骨状態と骨糜爛患者の骨状態とを比較表示した説明図であり、健常者、骨糜爛患者それぞれの骨辺縁の状態を示す。 本実施形態における骨糜爛患者のX線強度プロファイルと、健常者のX線強度プロファイルとを比較した説明図である。 健常者15人と骨糜爛患者15人とにおける角度指標値の代表値を比較した説明図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、位相コントラスト画像の一例を示す説明図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、形状認識処理の手順を示す説明図である。 本実施形態における評価対象骨の形状プロファイル取得時の処理例を示す図であり、プロファイル取得手順を示す説明図である。 本実施形態における評価対象骨の形状プロファイル取得時の処理例を示す図であり、形状プロファイルの一例を示すグラフである。 健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記の積分値Hf)を比較したものである。 本実施形態における、骨疾患患者と健常者の両者それぞれに対して関節部の形状プロファイルを取得し、当該形状プロファイルにフーリエ変換を施した結果の一例を示すグラフである。 本実施形態における関節部の疾患に関する指標の取得領域の一例を示すグラフである。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、位相コントラスト画像の一例を示す説明図である。 本実施形態におけるX線画像撮影装置により得られた位相コントラスト画像に対する処理例を示す図であり、関節部認識処理の手順を示す説明図である。 本実施形態における関節部に対する関心領域の設定例を示す説明図であり、骨肉境界指標算出部により認識された関節部の辺縁を示す。 本実施形態における関節部に対する関心領域の設定例を示す説明図であり、関節部の全体を骨肉境界指標算出領域とした例を示す。 本実施形態における関節部に対する関心領域の設定例を示す説明図であり、関節部の一部のみを骨肉境界指標算出領域とした例を示す。 健常者5人と骨糜爛患者5人とにおける指標を比較した説明図である。 健常者5人と骨糜爛患者5人とにおける別の指標を比較した説明図である。 本実施形態における関節部からなる関心領域内の各画素のX線強度をヒストグラムとしたものであり、骨疾患患者と健常者とのヒストグラムを比較表示したグラフである。 健常者5人と骨糜爛患者5人とにおける別の指標を比較した説明図である。 健常者5人と骨糜爛患者5人とにおける別の指標を比較した説明図である。 本実施形態に係るX線画像処理方法のうち、X線画像撮影装置で実行される処理を表した流れ図である。 本実施形態に係るX線画像処理方法のうち、画像処理装置で実行される処理を表した流れ図である。 本実施形態に係るX線画像処理方法のうち、画像出力装置で実行される処理を表した流れ図である。 本実施形態における通常撮影によるX線画像と位相コントラスト画像とのX線画像X線強度プロファイルを示す説明図である。
符号の説明
1 X線画像撮影装置
2 支持台
3 支持基台
4 撮影装置本体部
5 支持軸
6 駆動装置
7 保持部材
8 X線源
9 電源部
11 X線検出器
12 X線検出器保持部
13 X線量検出部
14 被写体台
22 制御装置
24 操作装置
29 X線検出器識別部
30 画像処理装置
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 通信部
35 画像処理部
36 骨梁指標算出部
37 骨肉境界指標算出部
50 画像出力装置
100 X線画像分析システム
R 骨梁指標算出領域
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
なお、本欄は、発明を実施するために発明者が最良と認識している形態を示すものであり、発明の範囲や、特許請求の範囲に用いられている用語を一見、断定又は定義するような表現もあるが、これらは、あくまで、発明者が最良と認識している形態を特定するための表現であり、発明の範囲や、特許請求の範囲に用いられている用語を特定又は限定するものではない。また、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に、本実施形態におけるX線画像分析システム100の構成例を示す。本実施形態においてX線画像分析システム100は、X線を照射することにより撮影対象の画像を生成するX線画像撮影装置1と、X線画像撮影装置1によって生成された画像の画像処理等を行う画像処理装置30と、画像処理装置30によって画像処理等が行われた画像等を表示又はフィルム出力等する画像出力装置50とから構成されており、各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という。)Nに接続されている。このX画像撮影装置1と画像処理装置30とが本発明に係る画像分析装置である。
なお、X線画像分析システム100の構成は、ここに例示したものに限定されず、例えば、画像処理装置30と画像出力装置50とが一体化されて、1つの装置によって画像処理と画像処理された画像の出力(表示又はフィルム出力等)とを行うように構成してもよい。
[X線撮影システム]
まず、図2から図8を参照しつつX線画像撮影装置1について説明する。
図2及び図3に、X線画像撮影装置1の構成例を示す。X線画像撮影装置1には、支持基台3が支持台2に対して昇降自在に設けられている。支持基台3には、撮影装置本体部4が、支持軸5を介してCW方向及びCCW方向に回動自在に支持されている。支持基台3には、その昇降及び支持軸5の回動を駆動する駆動装置6が備えられている。駆動装置6は、図示しない公知の駆動モータ等を備えている。支持基台3及び撮影装置本体部4は、被写体Hの位置に応じて昇降するようになっている。被写体Hの位置とは、被検者が腕を後述する被写体台14に載せて疲れにくい姿勢をとることができるような位置に調整可能となっている。
撮影装置本体部4には、上下方向に沿って保持部材7が備えられている。保持部材7の上部には、被写体Hに低管電圧でX線を放射するX線源8が取り付けられている。X線源8には、管電圧及び管電流を印加する電源部9が、支持軸5、支持基台3及び撮影装置本体部4を介して接続されている。X線源8のX線放射口には、X線照射野を調節する絞り10が、開閉自在に設けられている。また、X線源8の焦点径は、後述する撮影方式に対応して変更されるようになっている。
[X線源]
X線源8としては、例えば、医療現場や非破壊検査施設で広く用いられている回転陽極X線管などのクーリッジX線管が挙げられる。なお、回転陽極X線管においては、陰極から放射される電子線が陽極に衝突することでX線が発生する。これは自然光のようにインコヒーレント(非干渉性)であり、また平行光X線でもなく発散光である。電子線が陽極の固定した場所に当たり続けると、熱の発生で陽極が傷むので、通常用いられているX線管では陽極を回転して陽極の寿命の低下を防いでいる。電子線を陽極の一定の大きさの面に衝突させ、発生したX線はその一定の大きさの陽極の平面から被写体Hに向けて放射される。この照射方向(被写体方向)から見た平面の大きさを実焦点(フォーカス)と呼ぶ。
なお、X線源8は、X線管に限定されず、例えば特開平9−171788号公報、特開2000−173517号公報、特開2001−273860号公報などに記載のマイクロフォーカスX線源や、例えば特開平5−217696号公報、特開2002−221500号公報などに記載のシンクロトロン放射光X線源や、例えば特開昭47−24288号公報、特開昭64−6349号公報、特開昭63−304597号公報、特開昭63−304596号公報、特開平1−109646号公報、特開昭58−158842号公報などに記載のプラズマX線源、例えば特許3490770号公報などに記載のレーザX線源などであってもよいが、これに限られない。
X線のX線平均エネルギーが、13KeV以上(特に16KeV以上)であることが、被写体Hが生きた動物や靱帯であっても、吸収被爆が少なくなり、十秒以上といった長時間照射も不要となって、更に、撮影時間中に被写体Hのブレも抑えられ、好ましい。また、X線のX線平均エネルギーは32KeV以下(特に25KeV以下)であることが、骨による屈折が充分検出でき、得られた画像を診断等に有効に用いることが可能となり、好ましい。
なお、X線管としては、例えば医療現場で広く用いられているグーリッジX線管や、回転陽極X選管が好ましく用いられる。その際、X線管球のターゲット(陽極)に乳房撮影で使用されるMo(モリブデン)を用いた場合、一般に管電圧の設定値が32kVpではX線平均エネルギーが17〜18KeVのX線が照射され、管電圧の設定値が39kVpでX線平均エネルギーが20KeVのX線が照射される。また、ターゲットに一般撮影で使用されるW(タングステン)を用いた場合、管電圧の設定値が30kVpでX線平均エネルギーが22KeVのX線が照射され、設定値が50kVpでX線平均エネルギーが32KeVのX線が照射される。
また、X線源8の焦点径は、上記範囲のX線平均エネルギーのX線を照射でき、かつ実用上の出力強度が得られるように20μm以上(特に30μm以上)であることが好ましい。また、X線源8の焦点径は、150μm以下(特に100μm以下)であることが、撮影装置のサイズの制約がある中、鮮明な画像を得るために好ましい。
[X線検出器]
保持部材7の下方であってX線検出器保持部12の下面には、照射されたX線量の検出をX線検出器11により行うX線量検出部13が設けられている。
X線検出器11は、X線源8から照射され被写体Hを透過したX線をX線画像検出面で検出するための輝尽性蛍光体プレート、二次元画像センサなどである。
二次元画素センサとしては、例えば2次元配置された多数の画素毎に、X線照射量に基づいた信号を取得するFPD(flat panel detector)が好ましい。このようなFPDとしては、X線を直接電荷に変換して検出するアレイセンサを有する直接型FPDであってもよいし、X線を光に変換するシンチレータと、このシンチレータにより変換された光を電荷に変換して検出するアレイセンサとを有する間接型FPDであってもよい。そして、間接型FPDとしては、柱状結晶蛍光体を有するものや、特許第3661196号公報等に記載のアレイセンサと画素単位に形成された箱に蛍光体を詰めたものや、蛍光体の粒を分散した媒体を塗布して設けたもの等が挙げられるが、これらに限らない。
なお、シンチレータの厚さは、熱いほど感度が高くなり、シンチレータの厚さが薄いほど空間分解能が高くなる。また、シンチレータの種類によって分光感度が異なる。また、シンチレータの蛍光体としては、CsI:Tlなどハロゲン化アルカリ金属又はハロゲン化アルカリ土類金属が好ましい。
X線検出器11の構造について、FPDを例に図4を用いて説明する。図4は、X線検出器11の斜視図である。X線検出器11は、内部を保護する筐体61を備えており、カセッテとして携帯可能に構成されている。
筐体61の内部には、照射されたX線を電気信号に変換する撮像パネル62が層を成して形成されている。この撮像パネル62におけるX線の照射面側には、入射されたX線の強度に応じて発光を行う発光層(図示せず)が設けられている。
発光層は、一般にシンチレータ層と呼ばれるものであり、例えば、蛍光体を主たる成分とし、入射したX線に基づいて、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を出力する。
この発光層のX線が照射される側の面と反対側の面には、発光層から出力された電磁波(光)を電気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積された電気エネルギーに基づく画像信号の出力を行う光電変換部がマトリクス状に配列された信号検出部600が形成されている。なお、1つの光電変換部から出力される信号が、X線画像データを構成する最小単位となる1画素に相当する信号となる。信号検出部600では、蓄積された電気エネルギーをスイッチングにより電気信号として取り出すとともに所定の増幅割合(ゲイン)で電気信号を増幅したのち、電気信号をデジタルデータに変換する。このようにして、撮像パネル62によりX線画像データが作成される。
X線源8とX線検出器保持部12の間には、被写体Hである被検者の手指を下から保持する平板状の被写体台14が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。被写体台14は、位相コントラスト撮影時の撮影倍率調整(高さ方向の位置調整)のために、保持部材7に対する位置を変更するモータ等を備える位置調整装置15と接続されている。
被写体台14は、X線検出器保持部12の他端より被検者側に突出するように形成されている。被写体台14の上方には、被写体Hを上部から圧迫して固定するための圧迫板21が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。圧迫板21は保持部材7に沿って移動自在である。圧迫板21の移動は、自動又は手動のいずれも適用可能である。圧迫板21の被検者側の端面は、略垂直方向に配置されたX線源8及びX線検出器11(有効画像端面)より若干被検者側に突出するように配置されている。したがって、被検者の撮影対象範囲(例えば右手)を、圧迫板21より保持部材7側に位置するように配置すれば、骨梁指標算出領域(撮影対象範囲)の画像欠損を生じることがなく好ましい。また、被写体台14の端面を曲面形状とし、平均的な体型の高齢の被検者が椅子Xに座った状態で被写体台14に上半身をあずけられるようにするのが好ましい。
また、本実施形態において、被写体台14の下面には、被撮影者が脚をぶつけることなく撮影位置につくことができるように、プロテクター25が、ほぼ鉛直方向に延在して設けられている。これにより、被検者は椅子Xに座った状態で、X線検出器保持部12に脚をぶつけることなく撮影位置につくことができるようになっている。また、患者の体の一部分がX線照射領域内に入り、無用な被爆を被ることを防ぐことができる。なお、圧迫板及びプロテクター25は必須の構成要素ではなく、圧迫板及びプロテクター25を用いない構成としてもよい。
図5に示すように、被写体台14には、被検者の手指を保持する手保持部16が、X線照射経路と交差して備えられている。手保持部16の大きさは、被検者の手指が載置可能であれば特に制限は無い。手保持部16の上面には、被検者が手保持部16に手指を置いた状態で親指と人差指の間に添えて配置される三角マグネット17が備えられている。手保持部16には、三角マグネット17の載置箇所を検知して撮影方向情報として被検者の親指の位置を判別する撮影方向判別手段18(図6参照)が備えられている。
ここで、手の骨関節撮影時の照射野Qは、関節を挟んだ2本の指骨が収まるように予め設定されている(図5参照)。これは、後述するように骨関節撮影時には鮮鋭度の高い低管電圧の位相コントラストによりX線画像が取得されることにより、一箇所の関節の画像であっても十分に経過観察に耐えうる解析値が得られるためである。
なお、上記では、手の被写体台14を例示して説明したが、後述する位相コントラストX線単純撮影で骨梁指標と骨肉境界指標とを得るには足でもよく、これに応じて被写体台も足を載せやすい被写体台としてもよい。
図6に示すように、撮影装置本体部4には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)により構成される制御装置22が備えられている。制御装置22には、X線量検出部13、電源部9、駆動装置6、位置調整装置15、情報付帯手段26、撮影方向判別手段18及びX線検出器識別部29がバス23を介して接続されている。また、制御装置22には、撮影条件等の入力を行うキーボードやタッチパネル(図示省略)、被写体台14の位置の調整を行うための位置調整スイッチ等を備える入力装置24a及びCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置24bを有する操作装置24等が接続されている。なお、撮影装置本体部4には、その他に、バーコード等を読み取ることにより患者情報等を取得する情報取得手段が設けられていてもよい。
制御装置22のROMには、X線画像撮影装置1各部を制御するための制御プログラム及び各種処理プログラムが記憶されており、CPUは、この制御プログラム及び各種処理プログラムとの協働によりX線画像撮影装置1各部の動作を統括的に制御し、位相コントラスト撮影を行い、位相コントラスト画像の画像データを生成する画像データ生成部として機能する。
例えば、CPUは、撮影方向判別手段18による判別結果や、被検者の撮影条件等に基づいて、駆動装置6を制御して撮影装置本体部4を被検者の身長等に合わせた高さに昇降させるとともに、X線照射角度を調節するために支持軸5を回動させる。そして、位置調整装置15により被写体台14の位置を調整し、位相コントラスト撮影の拡大率を調整する。その後、撮影装置本体部4は、撮影処理を実行し、電源部9により、X線源8に管電圧を印加して被写体Hに対してX線を照射させ、X線量検出部13から入力されたX線量が予め設定されたX線量に達すると、電源部9によりX線源8からのX線の照射を停止させる。また、X線の照射条件をあらかじめ設定しておき、その条件でX線を照射するようにしてもよい。
情報付帯手段26には、前述のように、撮影方向判別手段18によって取得された撮影方向情報や、入力装置24aから入力された左右情報が、制御装置22を介して出力される。また、本実施形態においては、操作装置24や図示しない情報取得手段等から、被写体Hに関する患者情報(被撮影者情報)や撮影の日時等の情報(撮影時情報)、撮影された被写体Hが患者のどの部位であるのかを示す撮影部位に関する部位情報等が入力されるようになっており、入力された情報は制御装置22を介して情報付帯手段26に出力される。なお、制御装置22がタイマー機能を備えているような場合には、撮影時情報を改めて入力しなくても、撮影を行うと自動的に制御装置22が撮影時刻を取得し、当該撮影時刻を当該画像データに付帯させる撮影時情報として情報付帯手段26に出力するようになっていてもよい。
情報付帯手段26は、生成される位相コントラスト画像の画像データに、これらの各種情報(撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等)を付帯情報として対応付けるようになっている。なお、情報付帯手段26によって画像データに付帯される付帯情報はこれに限定されない。例えば、患者(被撮影者)のID情報等も付帯させることとしてもよい。また、情報付帯手段26は、ここに例示した全ての情報を付帯させるものに限定されず、これらの情報のうちのいずれかを付帯させるものであってもよい。
X線検出器識別部29は、X線検出器保持部12内に内蔵されており、当該X線検出器保持部12にセットされたX線検出器11が通常撮影用であるか、位相コントラスト撮影用であるか、高拡大位相コントラスト撮影用であるかを識別するものである。具体的には、X線検出器識別部29は、X線検出器11の筐体等に設けられた識別用のマーク(凹凸部)や、導通部、RFID、バーコード等を読み取ることで識別する。そして、X線検出器識別部29は、例えば操作装置24から入力される撮影条件と比較して、今後行われるX線撮影に適したものであるか否かを判断して、その識別結果を制御装置22に出力する。この識別結果が不適合である場合は、制御装置22は、表示装置24bを制御して警告する旨の表示をさせる。つまり、本実施形態では本発明に係る報知部は表示装置24bである。なお、報知部は視覚的な報知でなくとも、聴覚的な報知を行うものであってもよい。
また、制御装置22は、入力装置24aに対する撮影切替指示によって、通常撮影、位相コントラスト撮影、高拡大位相コントラスト撮影のそれぞれが実行されるように各部を制御する。
ここで、通常撮影は一般的に行われている、被写体HをX線検出器11に密着させる撮影条件である。この場合、制御装置22により、通常撮影用のX線検出器11が装着されるように適合X線検出器を「通常撮影用」とする。
広い範囲の手を撮影する位相コントラスト撮影においては、後述する拡大率Mが1.5〜3倍に対応して、位相コントラスト撮影が実行されるように、X線源8の焦点径Dは0.1mm、平均X線エネルギーは26keVとなっている。さらに位相コントラスト撮影においては、通常撮影の場合に比べて、X線検出器11に照射されるX線の照射量(線量)に対するX線検出器11から出力される信号値の割合を中程度に高いものとしている。これは、X線管とX線検出器間距離が長くなること、及び平均X線エネルギーが低くなるため、X線検出器11への到達X線量が減少することなどに起因する。
照射したX線の線量に対してX線検出器11から出力される信号値の割合を高いものとするためには、感度の高いX線検出器11を選択してX線検出器保持部12に装着する、又はX線検出器11から出力される信号の増幅割合(ゲイン)を高いものとする、あるいはこれらを組み合わせるなどの方法が考えられる。X線検出器11の感度を高くするためには、例えば、X線検出器11に収納されている輝尽性蛍光体シートあるいは撮像パネル62に用いられる発光層を、低X線線量においても高輝度で発光するものにする。また、ゲインを高いものとするためには、例えば、信号検出部600における電気信号の増幅割合を高いものとしたり、X線が照射された輝尽性蛍光体シートを読み取ってX線画像データを出力する読取装置において、輝尽性蛍光体シートを読み取った電気信号の増幅割合を高いものとしたりする。また、X線検出器11や読取装置から出力されたX線画像データを増幅する割合を高くするようにしてもよい。本実施形態においては、制御装置22により、通常撮影用のX線検出器11よりも高感度及び高ゲインの位相コントラスト撮影用のX線検出器11が装着されるように適合X線検出器を「位相コントラスト撮影用」としている。この位相コントラスト撮影が骨粗鬆症の定量的な診断に適用される。一方、リウマチ疾患のための定量的な骨関節の変形の診断で適用される高拡大位相コントラスト撮影においては、拡大率Mが3〜10倍に対応して、位相コントラスト撮影が実行されるように、X線源8の焦点径Dは0.05mm、平均X線エネルギーは23keVとなっている。さらに高拡大位相コントラスト撮影においては、位相コントラスト撮影に比べて、感度、ゲインともに高いものとしている。すなわち制御装置22により、高拡大位相コントラスト撮影用のX線検出器11が装着されるように適合X線検出器を「高拡大位相コントラスト撮影用」とする。これは、高拡大位相コントラスト撮影においては、被写体HとX線検出器11とが位相コントラスト撮影より離間していること、及び平均X線エネルギーを低いものとしていることに起因する。
[位相コントラスト単純X線撮影]
次に、位相コントラスト単純X線撮影について説明する。図7は、位相コントラスト単純X線撮影の概略を説明する図である。図7に示すように、通常の撮影方法の場合、被写体HとにX線検出器11が接する位置に被写体Hが配置されている(図7の密着撮影位置)。この場合、そのX線検出器11に記録されるX線画像(潜像)はライフサイズ(被写体Hと同一サイズであることをいう)とほぼ等サイズとなる。
これに対し、位相コントラスト単純X線撮影は、被写体HとX線検出器11間に距離を設けるものであり、X線源8からコーンビーム状に照射されたX線により、ライフサイズに対して拡大されたX線画像(以下、拡大画像という)の潜像がX線検出器11で検出されることとなる。
ここで、拡大画像のライフサイズに対する拡大率Mは、X線源8の焦点aから被写体Hまでの距離をR1(m)、被写体HからX線検出器11のX線画像検出面までの距離をR2(m)、X線源8の焦点aからX線検出器11のX線画像検出面までの距離をL(L=R1+R2)(m)とすると、下記式(1)により求めることができる。
M=L/R1・・・(1)
なお、X線源8から被写体Hまでの距離R1に対する被写体HからX線画像検出面までの距離R2の比Mが1.5以上であることが好ましい。
位相コントラスト拡大画像では、図8に示すように、被写体Hの辺縁を通過することにより屈折したX線が被写体Hを介さずに通過したX線とX線検出器11上で重なり合い、重なった部分のX線強度が強くなる。一方で、屈折したX線の分だけ、被写体Hの辺縁内側の部分においてX線強度が弱くなる現象が生じる。そのため、被写体Hの辺縁を境にしてX線強度差が広がるエッジ強調作用(エッジ効果ともいう)が働き、辺縁部分が鮮鋭に描写された視認性の高いX線画像を得ることができる。
撮影室内等、距離Lの設定に制限がある場合には、距離L(m)を固定し、その固定した距離Lの中で距離R1(m)、R2(m)の比率を変えて最適な条件で撮影することができる。例えば、L=3.0(m)に決定した場合、この距離Lに対し、R1=1.0、R2=2.0とする。一般的な撮影室の広さを考慮すると、0.2≦R1≦2.0、0.3≦R2≦2.0、0.8≦L≦3.0の範囲とし、拡大率Mを1.5≦M≦10、焦点径D(μm)を5≦D≦150の範囲とし、この範囲内で拡大画像の視認性との関係を見ながら、経験的、実験的に最適な距離L、R1、R2及び拡大率M、焦点径Dを決定すればよい。焦点径Dをこのような範囲とすることで、X線強度が強く、短時間の撮影が可能となり、被写体Hの動きによる運動ボケを小さくさせることができる。なお、より好ましい距離としては、0.5≦R1≦1.2、0.5≦R2≦1.2、1.0≦L≦2.4の範囲を満たし、拡大率Mを3≦M≦8、焦点径D(μm)を30≦D≦80の範囲を満たす設定とすることができる。
拡大率Mは高い方がより微細な画像情報を得ることができるので、定量結果の精度も高いものとなる。一方、高拡大率撮影には、より小さな焦点径のX線管が必要になるが、出力が低くなり撮影時間が長くなるので、被写体の動きによるボケが生じやすくなり、画質の鮮明さが損なわれ、精度の高い解析ができなくなるので、現実的には上記の範囲が最適になる。
[画像処理装置]
次に、図9を参照しつつ、本実施形態における画像処理装置30について説明する。
本発明に係る画像処理装置30は、X線画像撮影装置1により生成されたX線画像のデータに画像処理を施して、診断に適した画像を生成するものである。画像処理装置30は、図9に示すように、制御部31、記憶部32、入力部33、通信部34、画像処理部35、骨梁指標算出部36、骨肉境界指標算出部37等を備えて構成されており、これら各部はバス38を介して互いに接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等(何れも図示せず)を備えており、CPUが、RAMの所定領域を作業領域としてROMまたは記憶部32に記憶されている各種プログラムに従い、上記各部に制御信号を送ることにより画像処理装置30の動作全般を集中制御し、後述する画像抽出処理等の各種処理を実行するようになっている。なお、画像処理部35、骨梁指標算出部36、骨肉境界指標算出部37も制御部31と同様に、CPUが各種プログラムに従い動作するものである。
記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、光ディスク等の磁気的あるいは光学的記憶媒体や半導体メモリ等の図示しない記憶媒体を固定的又は着脱自在に備え、画像処理プログラム等、画像処理装置30にかかる各種プログラムの他、これらの処理プログラム実行時に使用される各種データを格納している。
また、本実施形態においては、記憶部32には、X線画像撮影装置1によって撮影され画像処理装置30に送られたX線画像の画像データが記憶される。本実施形態において、X線画像の画像データには、前述のように、X線画像撮影装置1の情報付帯手段26によって、撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等が付帯情報として付帯された状態で画像処理装置30に送られるようになっており、記憶部32はこれらの情報を画像データに付帯させた状態で記憶する。
また、記憶部32には、骨梁指標算出部36や、骨肉境界指標算出部37で算出された各算出指標(骨梁指標、骨肉境界指標)の評価基準値が記憶されており、制御部31が算出指標と評価基準値とを比較することで、算出指標の評価を行うようになっている。
また、記憶部32には、各骨の形状リストが記憶されている。
さらに記憶部32には、算出指標とともに、当該患者の識別情報が関連付けされて記憶されている。
入力部33は、例えば図示しないカーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成されており、画像処理条件等を入力可能となっている。入力部33は、キーボードに対するキー操作やマウス操作等により入力された指示信号を制御部31に出力するようになっている。なお、この入力部33を作業者が操作することで、位相コントラスト画像中に映る各骨から骨糜爛の評価が実行される評価対象骨が指定(評価対象骨指定指示)されるようになっている。
通信部34は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークNに接続されたX線画像撮影装置1や画像出力装置50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。即ち、通信部34は、ネットワークNを通じて、X線画像撮影装置1によって生成されたX線画像の画像データを受信し、また、適宜画像出力装置50等の外部装置に画像処理の完了した画像の画像データを送信するものである。
[骨梁指標]
骨梁指標算出部36は、骨梁の状態を表す骨梁指標を算出する骨梁指標算出領域を設定し、当該骨梁指標算出領域における画像データから骨梁指標を算出するものである。具体的には骨梁指標算出部36は、骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向に位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを基に骨梁指標を算出するものである。ここで、本実施形態では、2以上の交差する方向として、骨梁指標算出領域の縦方向と、当該縦方向に直交する横方向とを例示しているが、2以上の交差する方向はこれに限定されるものではない。
そして、骨梁指標算出部36には、骨梁指標算出領域設定部361、骨梁用方向判断部362、骨梁用プロファイル取得部363、骨梁評価部364が設けられている。
骨梁用骨方向判断部362は、X線検出器11で検出された位相コントラスト画像中の各骨から、評価対象となる骨を選別し、当該骨の縦横方向を判断するものである。図10に示すように、手の位相コントラスト画像G1が取得されると、骨梁用方向判断部362は、画像中の各骨の形状を認識する。この認識方式には、例えばX線強度プロファイルから骨部分と肉部分とを判別することで骨の辺縁を追い、形状を認識する方式等がある。形状認識後には、その認識した形状と、記憶部32中の各骨の形状リストとを比較して、画像中の各骨の種類を特定する。形状の特定が完了すると、骨梁用方向判断部362は、評価対象となる骨(骨粗鬆症の症状が現れやすい骨(例えば橈骨B1等))を選別する。その後、骨梁用方向判断部362は、記憶部32中の橈骨の形状リストに基づいて、位相コントラスト画像中の橈骨B1の縦横方向を判断する。具体的には、図11に示すように、形状リスト中の橈骨B2は、長手方向に沿う中心軸が縦方向T1とされ、当該縦方向T1に直交する方向が横方向T2とされている。そして、骨梁用方向判断部362は、画像中の橈骨B1と、形状リスト中の橈骨B2とを重ね合わせることで、両者の傾きを検知し、その傾きで形状リストの橈骨B2の縦横方向を補正することで、画像中の橈骨B1の縦横方向を決定する。
骨梁指標算出領域設定部361は、骨梁用方向判断部362で縦横方向が特定された橈骨B1の位相コントラスト画像から、骨梁指標を算出するための領域を第一の領域設定法に基づき設定するものである。第一の領域設定法は種々考えられ、例えば、入力部33により矩形枠を指定して骨梁指標算出領域を設定したり、X線画像に対し画像解析を行って自動で設定したりすることができる。自動で設定する場合には、例えば、図12に示すように、位相コントラスト画像中の橈骨B1の尖端P1から第1所定距離(例えば10mm)下の位置(ラインL1)を決定し、尖端P1から縦方向に引いたラインL2と交差した点から第2所定距離(例えば5mm)だけ内側の点を骨梁指標算出領域Rの中心点P2とする。その中心点P2を中心とした所定辺長(例えば1cm)角の正方形を骨梁指標算出領域Rと決定する。ここで、骨梁指標算出領域Rの対向する1対の辺は、縦方向若しくは横方向に平行とする。
なお、第1所定距離、第2所定距離、所定辺長は、種々の実験、シミュレーション等により決定される値である。
骨梁用プロファイル取得部363は、骨梁指標算出領域設定部361により設定された骨梁指標算出領域R内の縦方向のX線強度プロファイルと、横方向のX線強度プロファイルとを取得するものである。具体的には、骨梁用プロファイル取得部363は、図13に示すように位相コントラスト画像における骨梁指標算出領域R内のX線信号強度を基に、縦横方向それぞれのX線強度プロファイルを取得する。縦方向のX線強度プロファイルも横方向のX線強度プロファイルも等間隔Kで複数、骨梁指標算出領域Rから取得する。
なお、本実施形態では、実測されたX線強度プロファイル1ライン分を、後述する骨梁像本数を算出する際における1ライン分のX線強度プロファイルとして使用しているが、実測された連続する複数ライン分のX線強度プロファイルの平均値を、骨梁像本数を算出する際における1ライン分のX線強度プロファイルとしてもよい。このように平均化されるとノイズが低減されたX線強度プロファイルで、骨梁像本数を算出することができ、より算出精度を高めることができる。この場合においても、平均化されたX線強度プロファイルを複数使用することが好ましい。
骨梁評価部364は、縦方向のX線強度プロファイル、横方向のX線強度プロファイルのそれぞれから、縦方向の骨梁像本数及び横方向の骨梁像本数を測定し、当該測定結果に基づいて、骨梁像本数の縦横方向間の関係を求めるものである。図14は、縦方向若しくは横方向における1ライン分のX線強度プロファイルの一例を示すものである。骨梁評価部364は、骨梁用プロファイル取得部363で取得した1ライン分のX線強度プロファイルFから、基準線Jを決定する。具体的に基準線Jは、1ライン分のX線強度プロファイルFの最大信号値Fmaxと最低信号値Fminとの差分を0.5倍して、最低信号値Fminに加えることで求められる。骨梁評価部364は、この基準線JとX線強度プロファイルFとを基に、縦方向及び横方向の骨梁像本数を測定する。具体的には、骨梁評価部364は、基準線Jより下に向かって凸となる部分(図14中のQ1,Q2,Q3,Q4)を骨梁として認識し、1ラインのX線強度プロファイルF中にこの部分がいくつあるかで骨梁の本数を測定している。なお、基準線Jに対する交点が2本ない(例えば図14中のq1,q2)部分は、骨梁として認識しない。
また、骨梁評価部364は、図15に示すように、骨梁と認識した部分の基準線Jとの2交点間H1骨梁像幅として測定し、隣接する骨梁における骨梁像幅の中心間距離H2を骨梁像間距離として測定し、基準線Jから骨梁中の最低信号値までの距離H3を骨梁像深さとして測定している。
骨梁評価部364は、縦方向、横方向の全てのX線強度プロファイルから、骨梁像本数、骨梁像幅、骨梁像間距離及び骨梁像深さを測定すると、骨梁指標算出領域R内における各代表値を縦方向、横方向それぞれについて算出する。
骨梁像本数の代表値は、縦方向のX線強度プロファイルの全てにおける骨梁像本数の平均値を縦方向の代表値とし、横方向のX線強度プロファイルの全てにおける骨梁像本数の平均値を横方向の代表値とする。
また、骨梁像幅、骨梁像間距離及び骨梁像深さそれぞれの代表値は、縦方向における1ライン分のX線強度プロファイル中の最大値を全てのライン毎に求め、その平均値を縦方向における代表値とし、横方向における1ライン分のX線強度プロファイル中の最大値を全てのライン毎に求め、その平均値を横方向における代表値とする。これによって、1ラインだけに特異な値があったとしても、平均化されることになり、誤評価されることが防止されることになる。
縦方向、横方向それぞれの代表値が決定すると、骨梁評価部364は、骨梁像本数、骨梁像幅、骨梁像間距離及び骨梁像深さの代表値の縦横比(本実施形態では横方向/縦方向を縦横比とする。)を算出指標として算出する。ここで、図16〜図19は、健常者15人と骨粗鬆症患者15人とにおける各代表値の縦横比を比較したものである。なお、図中の○印は15人の平均値である。
図16に示すように、骨梁像本数の縦横比は、健常者であると約1であるのに対し、患者であると健常者よりも小さく1を下回る値となっている。図20Aは、正常な骨の骨梁と、骨粗鬆症の骨の骨梁とを比較表示した図であり、実際の骨梁図を示し、図20Bは骨梁の模式図である。図20A,20Bに示すように正常な骨であると骨梁が縦横方向でほぼ均等であるのに対し、骨粗鬆症の骨であると横方向の骨梁が特に減少していることが分かる。これが、骨梁像本数の縦横比に現出している。
図17に示すように、骨梁最大幅の縦横比は、健常者であると1を超える値であるのに対し、患者であると健常者よりも小さく1を下回る値となっている。
図18に示すように、骨梁最大深さの縦横比は、健常者であると1を少し下回る値であるのに対し、患者であると健常者よりも小さく1を大きく下回る値となっている。
図19に示すように、骨梁像間距離は、健常者であると約1であるのに対し、患者であると健常者よりも大きく1を上回る値となっている。
なお、本実施形態では、骨梁像本数の縦横比の評価基準値として1が記憶部32に記憶されている場合を例示する。
そして、制御部31は、骨梁指標算出部36で算出された各算出指標と、記憶部32に記憶された評価基準値とを比較することで、骨梁指標算出領域R内に収まる橈骨B1の骨粗鬆症の程度を判定する。
例えば、過去の算出指標が記憶部32に記憶されている被撮影者に対して骨粗鬆症の程度を判定する場合には、制御部31は、記憶部32から過去の算出指標を読み出し、当該算出指標と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定する。
一方、過去の算出指標が記憶部32に記憶されていない被撮影者に対して骨粗鬆症の程度を判定する場合には、制御部31は、記憶部32から評価基準値(本実施形態では骨梁像本数の縦横比の評価基準値1)を読み出し、当該評価基準値と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定する。
なお、評価基準値は、骨粗鬆症の初期症状が判定できる値になるように、実験やシミュレーション、過去のデータの解析などから求められている。
[その他の骨梁指標:周波数解析]
また、上述の例では、骨梁像本数、骨梁像幅、骨梁像間距離及び骨梁像深さを算出した例を示したが、位置に対するX線強度プロファイルから、周波数解析を用いて分析して骨梁指標を算出してもよい。
[周波数解析:フーリエ解析]
具体的には、骨梁指標算出部36は、骨梁指標算出領域R内の縦方向の各画素位置におけるX線信号強度に基づくX線強度プロファイルと、横方向の各画素位置におけるX線信号強度に基づくX線強度プロファイルとを取得する。具体的には、骨梁指標算出部36は、図13に示すように位相コントラスト画像における骨梁指標算出領域R内の各画素位置におけるX線信号強度を基に、縦横方向それぞれのX線強度プロファイルを取得する。縦方向のX線強度プロファイルも横方向のX線強度プロファイルも等間隔Kで複数、骨梁指標算出領域Rから取得する。例えば、図21に示すグラフが健常者に対する各画素位置のX線強度プロファイルであり、図22に示すグラフが骨疾患患者に対するX線強度プロファイルである。なお、この図21,図22のX線強度プロファイルを取得するために得られた位相コントラスト画像の撮影条件は、R1=0.65m、R2=0.49m、L=1.14m、拡大率M=1.75倍、焦点径D=0.1mm、エネルギー量E=25keVである。
そして、骨梁指標算出部36、骨梁用プロファイル取得部363で取得されたX線強度プロファイルに対し、周波数解析としてのフーリエ解析を施す。具体的には、骨梁指標算出部36は、X線強度プロファイルに対してフーリエ解析を施す場合、当該X線強度プロファイルに対して、被写体の実寸で10mm相当以下の幅の窓関数、例えば256画素(被写体の実寸で6〜7mm)の幅の窓関数を所定長さだけずらしながら乗算し、フーリエ解析する。被写体の実寸の6〜7mmの幅は、骨梁4〜5本に相当するものであるため、当該幅以下の窓関数とすると、手の骨の骨梁に相当する0.5〜2.0cycle/mmのパワースペクトルが解析結果に現出されやすくなる。なお、X線強度プロファイルは、横軸が画素単位でプロットされるために、窓関数も画素単位に変換して、フーリエ変換しなければならない。このとき、装置によって画素サイズが異なるが、いずれの画素サイズにおいても10mm以下の幅の窓関数となるように変換することが望ましい。
そして、例えば、図21、図22のX線強度プロファイルに対して上述のフーリエ解析を施すと、パワースペクトルを縦軸、空間周波数を横軸とした図23、図24に示すような解析結果が求められる。なお、解析結果を示すグラフにおいては縦軸は対数軸とする。
骨梁指標算出部36は、さらに周波数解析の結果に基づいて、骨梁指標を算出する。具体的には、骨梁指標算出部36は、フーリエ解析の解析結果としてのパワースペクトルからバックグラウンドレベルを、それぞれ対数として差し引いた後、当該差し引かれたパワースペクトルを基に、骨梁指標を算出する。例えば、図23、図24に示す解析結果が求められると、骨梁指標算出部36は、当該解析結果のパワースペクトルを対数に変換し、当該対数に対して、例えば指数近似等の周知の近似曲線作成方法を解析結果に施すことで近似曲線を求める。この近似曲線がバックグラウンドレベルとなる。図25、図26は、図23、図24のそれぞれに対して近似曲線(バックグラウンドレベルC1,C2)が重ねられたグラフである。
骨梁指標算出部36は、パワースペクトルから、バックグラウンドレベルC1,C2を差し引き、その最大値を骨の疾患の程度を表す指標とする。例えば図27、図28は、図25、図26のパワースペクトルからバックグラウンドレベルC1,C2が差し引かれた値を示すグラフである。健常者の指標は、図27に示すように0.73(最大値)となる。一方、患者の指標は、図28に示すように0.55(最大値)となる。これに基づき、本実施形態では、指標の評価基準値として0.6が記憶部32に記憶されている場合を例示する。
[周波数解析:ウェーブレット解析]
また、上記実施形態では、X線強度プロファイルに対する周波数解析として、フーリエ解析を施した例示して説明したが、ウェーブレット解析を施してもよい。この場合、骨梁指標算出部36は、X線強度プロファイルに対し、周波数解析としてのウェーブレット解析を施す。例えば、図21、図22のX線強度プロファイルに対してウェーブレット解析を施すと、ウェーブレット係数を縦軸、画素位置を横軸とした図29、図30に示すような解析結果が求められる。
そして、骨梁指標算出部36は、ウェーブレット解析の結果に基づいて、骨の疾患の程度を表す指標を算出する。具体的には、骨梁指標算出部36は、ウェーブレット解析の解析結果から、ウェーブレット係数の統計値を算出指標として算出する。ここで、統計値とは、例えばウェーブレット係数の最大値、最小値、分散、標準偏差又はある閾値以上のカウント値の少なくとも1つである。例えば、図29における健常者の場合であると、ウェーブレット係数の最大値は0.15、最小値は−0.22、分散は0.0097、標準偏差は0.0991となる。一方、図30における患者の場合であると、ウェーブレット係数の最大値は0.08、最小値は−0.08、分散は0.0012、標準偏差は0.0348となる。これらの値に基づいて、指標の評価基準値が決定されて記憶部32に記憶される。上記値を基にした各評価基準値を例示すると、最大値の場合は0.1、最小値の場合は−0.15、分散の場合は0.005、標準偏差は0.06であるが、評価基準値は、疾患の有無が判定できる値になるように、実験やシミュレーション、過去のデータの解析などから求められることになる。
また、本実施形態では、位相コントラスト画像に基づいてX線強度プロファイルを求めているが、これは通常撮影によるX線画像に比べて、位相コントラスト画像の方がX線信号強度の差が明確であり、検出精度を高めることができるからである。例えば、上述の図14、図15のX線強度プロファイルを取得した被写体の同一箇所を、吸収コントラスト撮影により撮影し、同様の方法でX線強度プロファイルを取得した。吸収コントラスト撮影の撮影条件は、R1=1m、R2=0m、焦点径D=1.2mm、エネルギー量E=33keVとした。図31は、吸収コントラスト画像により取得した健常者のX線強度プロファイルであり、図32は吸収コントラスト画像により取得した患者のX線強度プロファイルである。図30、図31のX線強度プロファイルに対し、フーリエ解析を施した解析結果が図33、図34である。この図33、図34の解析結果を比較してみても健常者と患者との差異が図23、図24の解析結果を比較したものと比しても明確でないことは明らかである。
一方、図31、図32のX線強度プロファイルに対し、ウェーブレット解析を施した解析結果が図35、図36である。この解析結果から上述の算出指標を算出すると、健常者(図35)では、ウェーブレット係数の最大値は0.06、最小値は−0.04、分散は0.0003、標準偏差は0.0169となり、患者(図36)では、ウェーブレット係数の最大値は0.03、最小値は−0.03、分散は0.0001、標準偏差は0.0119となる。このように吸収コントラスト画像であっても健常者と患者とで算出指標に差異はあるものの、上述の位相コントラスト画像における差異と比較しても僅かなものである。
これらのように、位相コントラスト画像に周波数解析を施すことで、吸収コントラスト画像よりも、微妙な症状の差異、経時変化を検出することが可能となる。
[骨肉境界指標]
骨肉境界指標算出部37は、骨糜爛や骨棘等の程度を表す骨肉境界指標を算出する骨肉境界指標算出領域を設定し、当該骨肉境界指標算出領域における画像データから骨肉境界指標を算出するものである。具体的には、骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域における画像データから、被写体H中の骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを基に骨梁指標を算出するものである。
そして、骨肉境界指標算出部37には、図9に示すように骨肉境界指標算出領域設定部371、骨肉境界用方向判断部372、骨糜爛用プロファイル取得部373、骨肉境界評価部374、骨肉境界決定部375が設けられている。
骨肉境界指標算出領域設定部371は、評価対象骨B3の位相コントラスト画像から、骨肉境界指標を算出するための領域を第一の領域設定法と異なる第二の領域設定法に基づき設定するものである。骨肉境界指標算出領域設定部371は、作業者から入力部33に評価対象骨指定指示が入力されると、当該指示内容に基づいて、位相コントラスト画像中の各骨から、評価対象骨を特定し、その形状を認識する。具体的には、図37Aに示すように手の位相コントラスト画像G2が取得されると、骨肉境界指標算出領域設定部371は、画像中の評価対象骨B3の形状を認識する。この認識方式には、図37Bに示すように、例えばX線強度プロファイルから骨部分と肉部分とを判別することで評価対象骨B3の辺縁を追い、形状を認識する。形状認識後には、その認識した形状と、記憶部32中の各骨の形状リストとを比較して、評価対象骨B3の形状及び向きを認識する。
第二の領域設定法は種々考えられ、例えば、入力部33により矩形枠を指定して骨肉境界指標算出領域を設定したり、X線画像に対し画像解析を行って自動で設定したりすることができる。自動で設定する場合には、少なくとも骨肉境界指標算出領域内に評価対象骨B3の辺縁が収まるように設定しなければならない。例えば、図38に示すように、位相コントラスト画像中の評価対象骨B3の辺縁上の所定位置P3を中心に矩形枠を指定し、当該矩形枠内を骨肉境界指標算出領域Uとする。
骨肉境界用方向判断部372は、骨肉境界指標算出領域設定部371により骨肉境界指標算出領域Uが設定されると、当該骨肉境界指標算出領域Uから評価対象骨B3のプロファイル方向を判断するものである。具体的には、プロファイル方向は、図38に示すように、評価対象骨B3の縁辺に交わりながら外側から重心P4に向かう方向H4や、評価対象骨B3の縁辺に直交する方向H5などが挙げられる。
骨糜爛用プロファイル取得部373は、骨肉境界用方向判断部372により判断されたプロファイル方向に基づいて、骨肉境界指標算出領域U内のX線強度プロファイルを取得するものである。具体的には、骨糜爛用プロファイル取得部373は、図39に示すように位相コントラスト画像における骨肉境界指標算出領域U内のX線信号強度を基に、プロファイル方向(この図39では、プロファイル方向と骨肉境界指標算出領域Uの横方向とが平行である場合を例示)のX線強度プロファイルを取得する。なお、X線強度プロファイルは、等間隔K1で複数、骨肉境界指標算出領域Uから取得する。
なお、本実施形態では、実測されたX線強度プロファイル1ライン分を、後述する骨肉境界部を決定する際における1ライン分のX線強度プロファイルとして使用しているが、実測された連続する複数ライン分のX線強度プロファイルの平均値を、骨肉境界部を決定する際における1ライン分のX線強度プロファイルとしてもよい。このように平均化されるとノイズが低減されたX線強度プロファイルで、骨肉境界部を決定することができ、より精度を高めることができる。
骨肉境界決定部375は、骨糜爛用プロファイル取得部373により得られたX線強度プロファイルから、骨肉境界部を決定するものである。図40は、X線信号プロファイルの一例を示す図である。この図40に示すように、X線強度プロファイルFには、肉側のプロファイルF1と、骨側のプロファイルF2とで信号値に差があり、その間(骨肉境界部F3)では急峻な変動を見せることになっている。骨肉境界決定部375は、X線強度プロファイルFを骨側端部f1から肉側に向けてスキャンしていき、所定の位置間隔で規定範囲以上の変位があった地点を境界開始点P5とする。また、骨肉境界決定部375は、X線強度プロファイルFを肉側端部f2から骨側に向けてスキャンしていき、境界開始点P5よりも骨側で所定の位置間隔あたりの変位が規定範囲内に収まる部分P7を特定する。骨肉境界決定部375は、部分P7の肉側端部を境界終了点P6とする。骨肉境界決定部375は、この境界開始点P5から境界終了点P6までの範囲を骨肉境界部として決定する。
骨肉境界評価部374は、骨肉境界決定部375により決定された骨肉境界部のX線強度プロファイルが成す角度を表す角度指標値を算出するものである。骨肉境界評価部374は、角度指標値を検出するために、X線強度プロファイルに対して種々の基準線を設定する。例えば、境界開始点P5に交わり、かつ境界開始点P5よりも肉側のX線強度プロファイルの近似直線を、骨肉境界評価部374は基準線aとして設定する。また、境界終了点P6に交わり、かつ部分P7のX線強度プロファイルの近似直線を、骨肉境界評価部374は基準線bとする。そして、骨肉境界評価部374は、境界開始点P5と境界終了点P6とを結ぶ線を基準線cとする。
基準線a,b,cの設定が完了すると、骨肉境界評価部374は、骨肉境界の形状を示す骨肉境界形状データとしての角度指標値を、各基準線a,b,cを基に算出する。角度指標値としては、X線強度プロファイルが成す角度を表す値であればいかなるものでもよいが、例えば以下のものが挙げられる。図41は、角度指標値の種類を表す説明図である。図41Aに示すように、基準線aと基準線cとにより形成される鋭角d2、鈍角d1若しくは基準線bと基準線cとにより形成される鋭角d3、鈍角d4を角度指標値としてもよい。また、図41Bに示すように、境界開始点p5と境界終了点P6との間隔L1を角度指標値としてもよい。そして、図41Cに示すように、境界開始点P5から規定距離Xだけ骨側に移動したときの信号値幅Sや、プロファイル長Yを角度指標値としてもよい。なお、図41Dに示すように、規定距離Xの開始点は、境界開始点P5でなくとも骨肉境界部のX線強度プロファイル上であればどこでも構わない。
なお、本実施形態では、骨肉境界評価部374は、図41Aにおける基準線bと基準線cとにより形成される鋭角d3を角度指標値として算出している。
骨肉境界評価部374は、骨肉境界指標算出領域Uから取得した全てのX線強度プロファイルから、角度指標値を算出すると、当該角度指標値を分析して、骨肉境界指標算出領域U内における代表値を算出する。具体的には、各X線強度プロファイルから取得した角度指標値の平均値を代表値としている。
代表値が決定すると、骨肉境界評価部374は当該代表値を評価する。ここで、図42A,42Bは、健常者の骨状態と骨糜爛患者の骨状態とを比較表示した説明図である。図42Aは健常者、骨糜爛患者それぞれの骨梁状態を表している。この図42Aに示すように骨糜爛患者においては骨梁が減少していることが分かる。一方、図42Bは健常者、骨糜爛患者それぞれの骨辺縁の状態を表している。この図42Bに示すように骨糜爛患者においては骨辺縁が鮮明さに欠けてラインが崩れてくる。これらのことにより、健常者の骨のX線強度プロファイルと、骨糜爛患者のX線強度プロファイルとを比較すると、骨糜爛患者の方が骨肉境界部での角度が小さくなるのである(図43参照。図43の境界開始点右側周辺が骨肉境界部)。
図44は、健常者15人と骨糜爛患者15人とにおける角度指標値の代表値を比較したものである。なお、図中の○印は15人の平均値である。また、角度指標値を求める際にはX線強度プロファイルをグラフ化しているが、その場合、健常者、骨糜爛患者の何れにおいても縦軸目盛り、横軸目盛りの比率は同等である。図28の角度を求める際におけるX線強度プロファイルの縦軸目盛り、横軸目盛りの比率は、縦軸(信号値[諧調])/横軸(距離[mm])=80である。
図44に示すように、角度指標値の代表値は、健常者であると30度であるのに対し、患者であると健常者よりも小さく17度程度の値となっている。このため、本実施形態では、角度指標値の代表値における評価基準値として例えば20度が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界評価部374は、算出指標(角度指標値の代表値)と、記憶部32に記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B1の骨肉境界指標算出領域Uにおける骨糜爛の程度を評価する。
例えば、過去の算出指標が記憶部32に記憶されている被撮影者に対して骨糜爛の程度を判定する場合には、制御部31は、記憶部32から過去の算出指標を読み出し、当該算出指標と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定する。
一方、過去の算出指標が記憶部32に記憶されていない被撮影者に対して骨糜爛の程度を判定する場合には、制御部31は、記憶部32から評価基準値(本実施形態では角度指標値の評価基準値20度)を読み出し、当該評価基準値と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定する。
なお、評価基準値は、骨糜爛の初期症状が判定できる値になるように、実験やシミュレーション、過去のデータの解析などから求められている。なお、この場合において、評価基準値となる角度を求める際には、画像処理装置30でプロットされるX線強度プロファイルと同等の縦横比(グラフでいう縦軸目盛りと横軸目盛りの比率)であることが前提である。
[その他の骨肉境界指標:周波数解析]
また、上述の例では、位置に対するX線強度プロファイルから、骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルの傾きを算出して骨肉境界指標とした例を示したが、これに限らず、例えば、骨肉境界の形状のデータを周波数解析して骨肉境界指標を算出してもよい。
この場合、骨肉境界指標算出部37は、評価対象骨の位相コントラスト画像から、当該対象骨の関節部の形状を認識する。骨肉境界指標算出部37は、作業者から入力部33に評価対象骨指定指示が入力されると、当該指示内容に基づいて、位相コントラスト画像中の各骨から、評価対象骨を特定し、その関節部の形状を認識する。具体的には、図45Aに示すように手の位相コントラスト画像G3が取得されると、骨肉境界指標算出部37は、画像中の評価対象骨B4の関節部が収まるように骨肉境界指標算出領域R3を設定する。その後、骨肉境界指標算出部37は、図45Bに示すように、骨肉境界指標算出領域R3内の画像データに対して画像処理を施すことで、実際の関節部の形状だけを抽出する。この抽出された関節部の外形線F4と、記憶部32内の形状リスト中の関節部の外形線F5とを照合することで、骨肉境界指標算出部37は、評価対象骨B4がどの骨であるかを特定する。
なお、骨肉境界指標算出領域の設定方法は種々考えられ、例えば、入力部33により矩形枠を指定して骨肉境界指標算出領域を設定したり、X線画像に対し画像解析を行って自動で設定したりすることができる。自動で設定する場合には、少なくとも骨肉境界指標算出領域内に評価対象骨B4の関節部辺縁が収まるように設定しなければならない。
骨肉境界指標算出部37は、骨の外形線Fから、骨B4の形状の変化を表す形状プロファイルを取得する。具体的には、図46Aに示すように、骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域R3内に収まった骨の外形線F4の左側端点を成す画素Z1を開始点として、プロファイル取得方向に向けて所定間隔毎に当該外形線F4上の各画素ZnのX座標値、Y座標値を取得し、当該外形線F4の右側端点Z2で終了する。そして、骨肉境界指標算出部37は、開始点(1番目)のX座標、Y座標を(X1,Y1)を(0,0)とし、n番目のX座標、Y座標を(Xn,Yn)として、n番目を横軸、X座標値を縦軸としたn−Xプロファイルと、n番目を横軸、Y座標値を縦軸としたn−Yプロファイルとを、形状プロファイルとして作成する。図46Bは骨疾患患者及び健常者のn−Xプロファイルの一例を示している。
骨肉境界指標算出部37は、形状プロファイルに対して、周波数解析を施す。周波数解析としては、例えばフーリエ変換による解析方式や、ウェーブレット変換による解析方式が挙げられる。図48は、骨疾患患者と健常者の両者それぞれに対して関節部の形状プロファイルを取得し、当該形状プロファイルにフーリエ変換を施した結果の一例を示すグラフである。この図48に示すように、骨疾患患者では、楕円Qに囲まれた領域でPS(パワースペクトル)が健常者よりも高まることになる。このように、関節部の形状プロファイルに対して周波数解析を施せば、健常者と患者との差が解析結果に発現することになる。
骨肉境界指標算出部37は、周波数解析の解析結果に基づいて、骨肉境界指標を算出する。具体的には、例えば図49に示すように、解析結果Q1における空間周波数5〜10cycle/mmの領域内を積分し、その積分値を骨肉境界指標として算出する。この空間周波数5〜10cycle/mmの領域は、骨疾患患者と健常者との差異が発現しやすい箇所(上記の楕円Q)内で設定されている。
そして、骨肉境界指標算出部37は、現在求められた算出指標と、記憶部32内の予め設定された評価基準値とを比較することで、骨の関節部に疾患が発症しているか否かを判断する。
例えば、図47は、健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記の積分値Hf)を比較したものである。なお、図中の○印は5人の平均値である。図47に示すように、健常者の算出指標の平均値は約25000であるのに対し、患者の算出指標の平均値は約32500である。このため、本実施形態では、評価基準値として例えば30000が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界指標算出部37は、現在算出された算出指標と、記憶部32に予め記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B4の骨肉境界指標算出領域R3における疾患の有無を評価する。
[その他の骨肉境界指標:信号強度]
また、上述の例では、骨肉境界の形状のデータを周波数解析して骨肉境界指標としたものを示したが、これに限らず、例えば、被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含む骨肉境界指標算出領域を設定し、この骨肉境界指標算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報を基に、骨肉境界指標を算出するようにしてもよい。
この場合、骨肉境界指標算出部37は、作業者から入力部33に評価対象骨指定指示が入力されると、当該指示内容に基づいて、位相コントラスト画像中の各骨から評価対象骨を特定し、その形状及び関節部を認識する。具体的には、図50Aに示すように手の位相コントラスト画像G4が取得されると、骨肉境界指標算出部37は、画像中の評価対象骨B5の全体が収まるように関節部認識領域R5を設定する。その後、骨肉境界指標算出部37は、図50Bに示すように、関節部認識領域R5内の画像データに対して画像処理を施すことで、実際の関節部の形状だけを抽出する。関節部の形状抽出では、例えばX線強度プロファイルから骨部分と肉部分と判別することで評価対象骨B5の辺縁を追うことで、形状を認識する。その後、骨肉境界指標算出部37は、抽出された関節部の外形線F6と、記憶部32内の形状リスト中の関節部の外形線F7とを照合することで、評価対象骨B5がどの骨であるかを特定し、関節部B6を認識する。
骨肉境界指標算出部37は、関節部B6からなる骨肉境界指標算出領域を設定する。具体的には、図51Aに示すように骨肉境界指標算出部37は関節部B6の辺縁を認識し、当該辺縁の内側の骨部分が骨肉境界指標算出領域となるように、つまり肉部分を含まないように骨肉境界指標算出領域を設定する。この骨肉境界指標算出領域の設定には種々考えられるが、例えば図51Bに示すように関節部B2の全体を骨肉境界指標算出領域R6としてもよいし、図51Cに示すように関節部B2の一部のみを骨肉境界指標算出領域R6としてもよい。前者の場合、骨肉境界指標算出領域R6の面積が大きいために骨肉境界指標を高精度に算出することができ、後者の場合には、各患者においても骨肉境界指標算出領域R6の面積を一定とすると、患者間のバラツキを標準化することができる。
骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域R6内の各画素のX線信号強度を検出するとともに、位相コントラスト画像G4内の各画素のX線信号強度を検出し、骨肉境界指標算出領域R6内の各画素のX線信号のうち、最大値(最大X線強度に対応する情報)を取得するとともに、位相コントラスト画像G4内の各画素のX線信号強度のうち、最大値を取得する。
骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域R6内の最大値を基に、骨肉境界指標を算出する。具体的には、骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域R6内の最大X線強度に相当するX線信号強度の最大値をSrmax、位相コントラスト画像G4内の最大X線強度に相当するX線信号強度の最大値をSimax、とすると、SrmaxとSimaxとの比を骨肉境界指標として算出する。なお、本実施形態では、前述の比としてSrmax/Simaxを例示して説明するが、Simax/Srmaxを前述の比としてもよい。
そして、骨肉境界指標算出部37は、現在求められた算出指標と、記憶部32内の予め設定された評価基準値とを比較することで、骨の関節部に疾患が発症しているか否かを判断する。
例えば、図52は、健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記のSrmax/Simax)を比較したものである。なお、図中の○印は5人の平均値である。図52に示すように、健常者の算出指標の平均値は約0.6であるのに対し、患者の算出指標の平均値は約0.7である。このため、本実施形態では、評価基準値として例えば0.65が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界指標算出部37は、現在算出された算出指標と、記憶部32に予め記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B5の骨肉境界指標算出領域R6における疾患の有無を評価する。
上記した指標以外の骨肉境界指標としては、例えば骨肉境界指標算出領域R6内の最大X線強度に相当するX線信号強度の最大値をSrmax、骨肉境界指標算出領域R6内の最小X線強度に相当するX線信号強度の最小値をSrmin、とすると、SrmaxとSrminとの比で表される指標が挙げられる。なお、本実施形態では、前述の比としてSrmax/Srminを例示して説明するが、Srmin/Srmaxを前述の比としてもよい。
この場合、骨肉境界指標算出部37は、骨肉境界指標算出領域R6の各画素のX線信号強度のうち、最小値を取得し、骨肉境界指標算出領域R6内のX線信号強度の最大値をSrmax、前記骨肉境界指標算出領域R6内のX線信号強度の最小値をSrmin、とすると、Srmax/Srminを骨肉境界指標とする。
例えば、図53は、健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記のSrmax/Srmin)を比較したものである。なお、図中の○印は5人の平均値である。図53に示すように、健常者の算出指標の平均値は約2.0であるのに対し、患者の算出指標の平均値は約1.5である。このため、この場合においては評価基準値として例えば1.8が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界指標算出部37は、現在算出された算出指標と、記憶部32に予め記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B5の骨肉境界指標算出領域R6における疾患の有無を評価する。
また、上記した指標以外の骨肉境界指標としては、例えば骨肉境界指標算出領域R6内の各画素のX線信号強度から、X線信号強度毎のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムの中心値から、骨肉境界指標算出領域R内のX線信号強度の最大値まで積分して得られた積分値で表される指標が挙げられる。
図54は、関節部B6からなる骨肉境界指標算出領域R6内の各画素のX線信号強度をヒストグラムとしたものであり、骨疾患患者と健常者とのヒストグラムを比較している。骨疾患患者のヒストグラムHcと健常者のヒストグラムHkとを比較すると、ヒストグラムHcの方が、低信号値側が減少し、高信号値側が増加していて、最大信号値(図中、円C5,C6参照)が高くなる。これは、骨梁部分が減少することで、信号値全体が高信号値側に移動するためであり、中心信号値より上のヒストグラム積分値(斜線部)が骨疾患患者の方が高くなる。
具体的に、例えば、図55は、健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記の積分値Hm)を比較したものである。なお、図中の○印は5人の平均値である。図55に示すように、健常者の算出指標の平均値は約1.27×108であるのに対し、患者の算出指標の平均値は約2.14×108である。このため、この場合においては評価基準値として例えば1.7×108が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界指標算出部37は、現在算出された算出指標と、記憶部32に予め記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B5の骨肉境界指標算出領域R6における疾患の有無を評価する。
さらに、上記した指標以外の骨肉境界指標としては、例えば骨肉境界指標算出領域R6内の各画素のX線信号強度から、X線信号強度毎のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムの中心値と、ヒストグラムの最大頻度となるX線信号強度値との差分値で表される指標が挙げられる。
ここで、上述したように、図54で骨疾患患者のヒストグラムHcと健常者のヒストグラムHkとを比較すると、ヒストグラムHcの方が、低信号値側が減少し、高信号値側が増加するが、最低信号値の変化は殆どなく中心値(Ma)と最大頻度を示すX線信号強度値(Mm)の差が大きくなる。
具体的に、例えば、図56は、健常者5人と骨疾患患者5人とにおける算出指標(上記の差分値Ss)比較したものである。なお、図中の○印は5人の平均値である。図56に示すように、健常者の算出指標の平均値は約39.0であるのに対し、患者の算出指標の平均値は約113.4である。このため、この場合においては評価基準値として例えば75が記憶部32に記憶されていて、骨肉境界指標算出部37は、現在算出された算出指標と、記憶部32に予め記憶された評価基準値とを比較することで、評価対象骨B5の骨肉境界指標算出領域R6における疾患の有無を評価する。
[その他の制御]
そして、上述の決定結果に基づいて、制御部31は、後述する画像出力装置50の表示部にその決定結果に沿った表示をさせたり、又は、決定結果に沿ったフィルム出力をさせたりするようになっている。
[画像処理部]
画像処理部35は、X線画像の画像データに画像のコントラストを調整する階調処理、濃度を調整する処理、鮮鋭度を調整する周波数処理等の画像処理を施すものである。これにより、撮影部位等の条件に適した画像処理を行うことができる。
なお、撮影部位、撮影条件、撮影方向等の条件に対応する画像処理条件を規定する画像処理パラメータを記憶部32等に予め記憶させておき、画像処理を行うに際しては、X線画像が身体の何れの部位を撮影したものであるか、撮影された部位、撮影方向等、画像データに付帯されている情報に応じて、これに対応する画像処理パラメータを画像処理部35が記憶部32から読み出し、読み出したパラメータに基づいて画像処理条件を決定することが好ましい。なお、画像データに撮影された部位、撮影方向等の情報が付帯していないときには、入力部33等から必要な条件を入力し、これに基づいて画像処理を行うようにしてもよい。
[画像出力装置]
次に、画像出力装置50は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタ、又は、画像データをフィルムや紙等の媒体にプリント(フィルム出力)するプリント部等の出力部と、外部機器と接続するための通信部、電源を供給する電源部等(何れも図示せず)を備えて構成される画像表示装置、プリンタ等である。画像出力装置50は、制御部31により、対象画像と過去画像とで各部に変化があるか否か、変化している部分(変化領域)の有無が判断された場合に、その判断結果を出力する出力手段として機能する。通信部は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークNに接続されたX線画像撮影装置1や画像出力装置50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
画像出力装置50は、通信部34がネットワークNを通じて画像処理装置30によって画像処理が行われたX線画像の画像データを受信すると、適宜その画像を前記出力部(表示部又はプリント部)により出力させるようになっている。
また、前述のように、画像処理装置30によって表示内容が決定されている場合には、例えば、画像出力装置50の表示部にその旨が表示され、又は、フィルム出力されたものにその旨が明示されるようになっている。
なお、画像出力装置50がモニタを備える画像表示装置である場合には、診断用の医用画像を表示して医師等の診断に供するものであるため、一般的なPC(Personal Computer)等よりも高精細のモニタを備えることが好ましい。
[X線画像分析プログラム及びX線画像処理方法]
次に、図57〜59を参照しつつ、本実施形態におけるX線画像分析システム100で実行されるX線画像分析プログラム及びX線画像処理方法について説明する。
まず、図57のステップS1では、図示しない検査受付け等により被撮影者(患者)が検査登録(撮影オーダー登録)を行う等によって、撮影オーダー情報が登録されると、当該撮影オーダー情報に基づいて、被撮影者が左右いずれかの腕部を被写体台14に載置させ、親指と人差指の間に三角マグネット17を沿うように載置させる。
その後、駆動装置6及び位置調整装置15により、X線照射角度や照射距離、撮影倍率等の撮影条件に合わせた被写体台14の位置の調整及び撮影装置本体部4の角度の調整が行われる。本実施形態において、被写体台14の位置は、位相コントラスト単純X線撮影となるように調整される(ステップS2)。
そして、ステップS3では、制御装置22は、X線検出器識別部29の識別したX線検出器11がステップS2で設定された適合X線検出器と一致しない、すなわち不適合である場合にはステップS4に移行し、位相コントラスト撮影用であると識別されている場合にはステップS5に移行する。
ステップS4では、制御装置22は、表示装置24bを制御して、セットされているX線検出器11が本撮影には不適合である旨を表示させ、終了する。
ステップS5では、上記の被写体台14の位置及び角度の調整後、電源部9は、平均放射エネルギーが26keVとなるように管電圧をX線源8に印加し、X線源8は被写体Hに向けてX線を照射することで、位相コントラスト単純X線撮影が行われる。
位相コントラスト画像の画像データが生成されると、生成された各画像データに撮影方向情報、左右情報、被撮影者情報、撮影時情報、部位情報等が付帯情報として付帯される(ステップS6)。そして、X線画像撮影装置1は、生成されたX線画像の画像データを付帯情報とともに画像処理装置30に送信する(ステップS7)。
画像処理装置30は、図58のステップS8に示すように、X線画像撮影装置1から画像データ及びその付帯情報を受信すると、受信した画像データ及びその付帯情報を記憶部32に保存(記憶)する(ステップS9)。
その後、制御部31は、骨肉境界指標算出部37を制御して、骨肉境界指標の算出を開始させる(ステップS10)。
骨肉境界指標の算出の開始後においては、まず、制御部31は、入力部33で指定された骨を評価対象骨B1として指定する(ステップS11)。
その後、制御部31は、骨肉境界指標算出領域設定部371を制御して、画像データ中の評価対象骨B3の形状を認識させ(ステップS12)、当該評価対象骨B3の形状と、記憶部32中の形状リストとを比較することで評価対象骨B3の形状及び方向を特定し、骨肉境界指標算出領域Uを設定させる(ステップS13)。
そして、制御部31は、骨肉境界用方向判断部372を制御して、骨肉境界指標算出領域U内におけるプロファイル方向を判断する(ステップS14)。
プロファイル方向が決定すると、制御部31は、骨糜爛用プロファイル取得部373を制御して、骨肉境界指標算出領域U内のプロファイル方向におけるX線強度プロファイルを所定間隔で複数取得する(ステップS15)。
X線強度プロファイルを取得すると、制御部31は、骨肉境界決定部375を制御して、X線強度プロファイルにおける骨肉境界部を決定する(ステップS16)。
その後、制御部31は、骨肉境界評価部374を制御して、X線強度プロファイルにおける基準線a,b,cを設定する(ステップS17)。
制御部31は、骨肉境界評価部374を制御して、骨肉境界指標(骨肉境界部におけるX線強度プロファイルの角度指標値の代表値)を算出する(ステップS18)。
制御部31は、記憶部32を制御して、骨肉境界指標を記憶させる(ステップS19)。
続いて、制御部31は、骨梁指標算出部36を制御して、骨梁指標の算出を開始させる(ステップS20)。
骨梁指標の算出の開始後においては、まず、制御部31は、骨梁用方向判断部362を制御して、画像データ中の各骨の形状を認識させる(ステップS21)。
そして、制御部31は、認識した各骨の形状と、記憶部32中の形状リストとから画像データ中の各骨から橈骨B1を特定し、その橈骨B1における骨梁指標用のプロファイル方向(縦横方向)を決定する(ステップS22)。
縦横方向が決定すると、制御部31は、骨梁指標算出領域設定部361を制御して、縦横方向に基づいた骨梁指標算出領域Rを設定させる(ステップS23)。
骨梁指標算出領域Rの設定が完了すると、制御部31は、骨梁用プロファイル取得部363を制御して、骨梁指標算出領域R内の縦方向及び横方向のX線強度プロファイルを所定間隔で複数取得する(ステップS24)。
複数の縦方向及び横方向のX線強度プロファイルを取得すると、制御部31は、骨梁評価部364を制御して、各ライン毎に基準線Jを決定する(ステップS25)。
そして、骨梁評価部364は、縦方向及び横方向のX線強度プロファイルそれぞれのラインの骨梁像本数を測定する(ステップS26)。
その後、骨梁評価部364は、各ラインの骨梁像本数を平均して、縦方向及び横方向の代表値を骨梁指標として算出する(ステップS27)。
制御部31は、記憶部32を制御して、測定された骨梁像本数と骨梁指標を記憶させる(ステップS28)。
そして、制御部31は、画像データに付帯する被撮影者情報を基に、当該被撮影者の過去の算出指標(骨肉境界指標、骨梁指標)が記憶部32内に記憶されているか否かを判定する(ステップS29)。制御部31は、当該被験者の過去の算出指標が記憶されている場合(ステップS29;YES)にはステップS30に移行し、記憶されていない場合(ステップS29;NO)にはステップS31に移行する。
ステップS30では、制御部31は、記憶部32から検査対象である被撮影者の過去の算出指標を読み出し、当該算出指標と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定し、ステップS32に移行する。
ステップS31では、制御部31は、記憶部32から評価基準値を読み出し、当該評価基準値と今回求められた算出指標とを比較表示する旨を決定し、ステップS32に移行する。
そして、ステップS32では、制御部31は、X線画像撮影装置1から送信された画像データ、付帯情報、現在の算出指標、評価基準値、決定結果及びある場合は過去の算出指標を、通信部34を介して画像出力装置50に送信する。
画像出力装置50は、図59のステップS33に示すように、画像処理装置30からデータを受信すると、受信した内容を出力部に出力させる(ステップS34)。出力方法としては、前述のように、モニタ(表示部)によるビューワ表示、プリント部によるフィルム出力(ハードコピー)のいずれでもよい。これにより、画像出力装置50では、画像データ、付帯情報、現在の算出指標、評価基準値、決定結果に基づく比較表示及び過去の算出指標が閲覧することができる。ここで、画像出力装置50では、現在の算出指標と、過去の算出指標とを比較表示したり、現在の算出指標と評価基準値とを比較表示したりすることもできる。
なお、本実施の形態においては、ステップS29において被験者の過去の算出指標が記憶されている場合にはステップS30の処理のみ行うようにしたが、ステップS31の処理を併せて行うようにしてもよい。
以上より、本実施形態におけるX線画像分析システム100によれば、位相コントラスト単純X線撮影を実行する際、当該撮影時のX線のX線平均エネルギーを32KeV以下とし、X線を照射するX線源の焦点径を150μm以下とし、被写体からX線画像検出面までの距離を0.2m以上とし、当該X線源から被写体までの距離に対する被写体からX線画像検出面までの距離の比Mを1.5以上とし、X線画像検出面上に配列された検出画素の検出画素間隔を100×M(μm)以下とすることで、被写体でのX線屈折による位相効果が充分であり、なおかつX線屈折率差のある境界が明確なX線画像を取得することができる。このX線画像は、ボケの少ない拡大撮影効果もあるために、被写体の微細な構造が描出されているとともに、低エネルギーX線撮影効果によって被写体に最適な吸収コントラストが付与されることにもなる。これら各効果の相乗効果によって、上記条件を満たした位相コントラスト単純X線撮影であると、骨梁指標や骨肉境界指標を算出可能なX線画像を取得することができる。つまり、手を被写体とする同じX線画像から、適切な骨梁指標と骨肉境界指標とを算出することができ、関節症や、骨粗鬆症の早期診断が可能となる。
また、上述のフローでは、骨肉境界指標を算出した後、骨梁指標を算出する例を示したが、これら複数の指標の算出の順番には、特に制約は無く、どのような順番でも良く、また、同時に算出してもよい。
また、縦方向のX線強度プロファイル、横方向のX線強度プロファイルのそれぞれから、縦方向の骨梁像本数及び横方向の骨梁像本数を測定し、当該測定結果に基づいて、骨梁像本数の縦横方向間の関係を求めているので、個人差の影響が抑えられた定量的な診断を精度高く実現することが可能となる。
また、本実施形態では、位相コントラスト画像に基づいてX線強度プロファイルを求めているが、これは通常撮影によるX線画像に比べて、位相コントラスト画像の方がX線信号強度の差が明確であり、精度高く骨梁像本数を測定できるからである(例えば図60参照:図60に示すように通常撮影によるX線画像ではX線信号強度の強弱が付き難いが、位相コントラスト画像であるとX線信号強度の強弱が付きやすく、骨梁を特定しやすい)。
そして、本実施形態におけるX線画像分析システム100によれば、骨肉境界部のX線強度プロファイルが成す角度を表す角度指標値を算出することで、骨糜爛の進行度合いを定量的に診断することができる。これによって従来よりも定量的な骨糜爛の診断精度が高められることになる。
また、本実施形態では被写体を手としているので、骨粗鬆症の症状が現出しやすい橈骨B1を位相コントラスト画像に収めやすい。骨梁の見易さでは大腿骨や背骨であるが、被ばく線量が多くなるし簡便に撮影ができない。手の撮影は簡単且つ被ばく線量が少なくて済む。さらに、骨疾患は身体の末端から先に症状が現れるため、手骨画像を用いると大腿骨や背骨よりも骨疾患の早期発見が可能となる。
そして、本実施形態では画像出力装置50により、記憶部32内に記憶された過去の評価結果と、骨梁評価部364により現在求められた評価結果とが比較表示されるので、過去の症状と現在の症状とを容易に比較でき、より効率的な診断が可能となる。
さらに、本実施形態では、画像出力装置50により、記憶部32内に記憶された評価基準値と、骨梁評価部364により現在求められた評価結果とが比較表示されるので、評価基準値と現在の症状とを容易に比較でき、より効率的な診断が可能となる。
なお、本実施形態においては、画像処理装置30と画像出力装置50とを別体の装置として設ける場合を例として説明したが、画像処理手段、記憶手段、判断手段、及び出力手段としての表示手段又はプリント手段等を1つの装置に備え、画像処理装置30と画像出力装置50とを1台の装置で兼ねる構成としてもよい。
また、上記実施形態では、骨梁像本数のみにより骨粗鬆症の程度の進行を判断する場合を例示したが、骨梁像深さ、骨梁像間距離、骨梁像幅を考慮することでより多様な評価が行えることになる。例えば、骨粗鬆症には、高骨代謝回転型と低骨代謝回転型との2タイプある。高骨代謝回転型の骨粗鬆症は、外部刺激により縦方向の骨梁は骨の形成が促されるために残存しやすく、横方向の骨梁は減少しやすいといった特徴がある。一方、低骨代謝回転型の骨粗鬆症は、骨形成が進みにくいため縦骨梁と横骨梁どちらも大きく減少し、さらに骨梁像深さの浅化が著しいといった特徴がある。従来では、骨粗鬆症のタイプを自動で評価することは困難であったが、上述したように骨梁像本数と、骨梁像深さ、骨梁像幅を考慮することで、タイプ別の判断が可能となる。
具体的には、基準線の決定の後に、画像処理装置30の骨梁評価部364は、縦方向及び横方向のX線強度プロファイルを基に、縦方向及び横方向それぞれの骨梁像本数だけでなく、骨梁像深さ、骨梁像幅を測定し、算出指標として各代表値の縦横比を算出する。その後、骨梁評価部364は、骨梁像本数の縦横比が評価基準値以下である場合には、高骨代謝回転型の骨粗鬆症の疑いが高いと判断する。一方、骨梁像本数の縦横比が評価基準値よりも大きい場合には、骨梁評価部364は、骨梁像深さの代表値若しくは骨梁像幅の代表値が所定値よりも小さいか否かを判断する。骨梁像深さの代表値若しくは骨梁像幅の代表値が所定値以上である場合には、骨梁評価部364は、健常者の可能性が高いと判断する。また、骨梁像深さの代表値若しくは骨梁像幅の代表値が所定値よりも小さい場合には、骨梁評価部364は低骨代謝回転型の骨粗鬆症の疑いが高いと判断する。
放射線画像撮影を行う分野(特に医療分野)において利用可能性がある。

Claims (25)

  1. X線を照射するX線源と、
    X線画像検出面に照射されたX線画像を検出するX線検出器と、を有し、
    前記X線源から、X線平均エネルギーが32KeV以下であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し、被写体からX線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源から前記X線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となる位相コントラストX線単純撮影が可能であり、
    さらに、前記位相コントラストX線単純撮影により得られたX線画像から、第一の領域設定法に基づき骨梁指標算出領域を設定し、当該骨梁指標算出領域における画像データから骨梁の状態を表す骨梁指標を算出するとともに、前記第一の領域設定法と異なる第二の領域設定法により骨肉境界指標算出領域を設定し、当該骨肉境界指標算出領域における画像データから骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標を算出する画像分析装置を有することを特徴とするX線画像分析システム。
  2. 請求の範囲第1項記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記骨梁指標算出領域における画像データから、位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを分析して前記骨梁指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  3. 請求の範囲第2項記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを取得し、当該X線強度プロファイルを分析して前記骨梁指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  4. 請求の範囲第3項記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記2以上の交差する方向の各々で分析し、各々の分析結果を比較して、前記骨梁指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  5. 請求の範囲第2項〜第4項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、所定範囲内の骨梁像の本数に関する骨梁像本数を求めることを特徴とするX線画像分析システム。
  6. 請求の範囲第2項〜第5項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、所定範囲内の骨梁像の間隔に関する骨梁像間隔を求めることを特徴とするX線画像分析システム。
  7. 請求の範囲第2項〜第6項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、周波数解析を用いることを特徴とするX線画像分析システム。
  8. 請求の範囲第1項〜第7項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
    前記画像分析装置は、
    前記骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを分析して前記骨肉境界指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  9. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、形状を分析可能な程度、前記被写体中の骨肉境界を含み、
    前記画像分析装置は、
    前記骨肉境界算出領域における画像データから、骨肉境界の形状を示す骨肉境界形状データを取得し、当該骨肉境界形状データを分析して前記骨肉境界指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  10. 請求の範囲第9項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記画像分析装置は、
    前記骨肉境界形状データを分析する際に、周波数解析を用いることを特徴とするX線画像分析システム。
  11. 請求の範囲第1項〜第10項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
    前記画像分析装置は、
    前記骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報を基に、前記骨肉境界指標を算出することを特徴とするX線画像分析システム。
  12. 請求の範囲第1項〜第11項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記X線撮影装置が、前記X線源と前記X線検出器との間に配置されて、前記X線源から被写体までの距離に対する前記被写体からX線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上となるように、被写体を支持する被写体台を有することを特徴とするX線画像分析システム。
  13. 請求の範囲第12項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記被写体台が、手を支持するものであることを特徴とするX線画像分析システム。
  14. 請求の範囲第1項〜第12項のいずれか一項に記載のX線画像分析システムにおいて、
    前記X線画像が、手又は足を被写体としたX線画像であることを特徴とするX線画像分析システム。
  15. X線を照射するX線源と、
    X線画像検出面に照射されたX線画像を検出するX線検出器と、
    前記X線源が、X線平均エネルギーが32KeV以上であり、焦点径が150μm以下のX線を照射し、被写体から前記X線画像検出面までの距離が0.2m以上であり、前記X線源から被写体までの距離に対する当該X線源からX線画像検出面までの距離の比Mが1.5以上で、前記X線画像検出面上での検出画素間隔が100×M(μm)以下となる位相コントラストX線単純撮影が可能であるX線撮影装置とを有するX線撮影システムの前記X線検出器から出力された演算元画像データから演算処理するコンピュータに、
    前記位相コントラストX線単純撮影により得られたX線画像から、第一の領域設定法に基づき骨梁指標算出領域を設定させ、当該骨梁指標算出領域における画像データから骨梁の状態を表す骨梁指標を算出させるとともに、前記第一の領域設定法と異なる第二の領域設定法により骨肉境界指標算出領域を設定させ、当該骨肉境界指標算出領域における画像データから骨肉境界の平滑度を表す骨肉境界指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  16. 請求の範囲第15項記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記骨梁指標算出領域における画像データから、位置に対するX線強度プロファイルを取得させ、当該X線強度プロファイルを分析させて前記骨梁指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  17. 請求の範囲第16項記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記骨梁指標算出領域における画像データから、2以上の交差する方向のそれぞれの方向の位置に対するX線強度プロファイルを取得させ、当該X線強度プロファイルを分析させて前記骨梁指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  18. 請求の範囲第17項記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記2以上の交差する方向の各々で分析させ、各々の分析結果を比較させて、前記骨梁指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  19. 請求の範囲第16項〜第18項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、骨梁像本数を求めさせることを特徴とするプログラム。
  20. 請求の範囲第16項〜第19項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、骨梁像間隔を求めさせることを特徴とするプログラム。
  21. 請求の範囲第16項〜第20項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記X線強度プロファイルを分析する際、周波数解析を用いさせることを特徴とするプログラム。
  22. 請求の範囲第15項〜第21項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
    前記コンピュータに、
    前記骨肉境界近傍の骨部の位置に対するX線強度プロファイルを分析させて前記骨肉境界指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  23. 請求の範囲第15項〜第22項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、形状を分析可能な程度、前記被写体中の骨肉境界を含み、
    前記コンピュータに、
    前記骨肉境界算出領域における画像データから、骨肉境界の形状を示す骨肉境界形状データを取得させ、当該骨肉境界形状データを分析させて前記骨肉境界指標を算出させることを特徴とするプログラム。
  24. 請求の範囲第23項に記載のプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記骨肉境界形状データを分析する際に、周波数解析を用いさせることを特徴とするプログラム。
  25. 請求の範囲第15項〜第24項のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記骨肉境界算出領域が、前記被写体中の骨肉境界近傍の骨部を含み、
    前記コンピュータに、
    前記骨肉境界算出領域における画像データの最大X線強度に対応する情報を基に、前記骨肉境界指標を算出させることを特徴とするプログラム。
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