JP6602626B2 - ヒアルロナンを含む複合粒子を含有する乳化組成物 - Google Patents

ヒアルロナンを含む複合粒子を含有する乳化組成物 Download PDF

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Description

本発明は、微粒子化したヒアルロナンを皮膚に浸透させるための乳化組成物に関する。
皮膚外用剤の有効成分を角質細胞層内に送達するためには、従来以下のような点が問題とされてきた。
皮膚の角質細胞層は、外界からの異物の侵入を防ぐためにバリア機能を有しており、有効成分が角質細胞層内に到達しにくい。
特に、有効成分が高分子化合物である場合には、高分子化合物が低浸透性であるため角質細胞層内に浸透しにくく、有効成分が皮膚表面で凝集してしまう。
このような状況において、有効成分を角質細胞層内に送達するためのキャリアとして、ナノ粒子の開発が進められてきた。
特許文献1には、核酸、オリゴ核酸、又はその誘導体;カチオン性ポリマー又はカチオン性脂質若しくはそれを含む集合体;及びアニオン性ポリマーを含む複合体の凍結乾燥体が記載されている。
特許文献2には、直径1μm未満の活性成分の投与用のナノ粒子を得る方法であって、a)ヒアルロナン塩の水溶液を調製し、b)カチオン性ポリマーの水溶液を調製し、c)ポリアニオン塩を前記ヒアルロナン塩溶液に加え、d)前記b)およびc)において得られた溶液を撹拌混合し、自然発生的にナノ粒子を得ることを含んでなり、前記a)、b)またはc)において得られた溶液のうち1つに、あるいは前記d)において得られたナノ粒子の懸濁液に、前記活性成分を溶解させ、ナノ粒子に吸着させる、方法が記載されている。
特許文献3には、生物学的に活性な分子を放出するためのナノ粒子を含んでなる系であって、前記ナノ粒子が、a)少なくとも50重量%のキトサンまたはキトサン誘導体、およびb)50重量%未満のポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体を含んでなる共役物を含んでなり、前記料成分a)とb)とが、キトサンアミノ基を介して共有結合しており、前記ナノ粒子が架橋剤により架橋していることを特徴とする系が記載されている。
国際公開第2007/132873号パンフレット 特表2007−520424号公報 特表2008−533108号公報
上述の通り、高分子化合物を皮膚に浸透させるためのナノ粒子が種々提案されている。特に皮膚の保湿性・バリア機能を担うヒアルロナンをナノ粒子化することを目的とする特許文献2に記載の技術は有用である。
しかし、本発明者の検証により、特許文献2等に記載のヒアルロナンを含むナノ粒子は、単相の水溶液の形態として塗布した場合、著しく皮膚への浸透効率が悪いことが確認された。
このような問題に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、ヒアルロナンを皮膚に効率よく浸透させるための新規の技術を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、ヒアルロナン及びカチオン性ポリマーを含む複合粒子と、LogP値が5以下である油剤を含有することを特徴とする乳化組成物である。
ヒアルロナンを含む複合粒子と、上記数値範囲のLogP値を有する油剤を含有する乳化組成物の形態で皮膚に適用することにより、ヒアルロナンを皮膚に浸透させることができる。
本発明の乳化組成物は水中油型とすることが好ましい。このような形態とすることによって、さっぱりとした使用感を有しながらも、ヒアルロナンの皮膚への浸透効率に優れた乳化組成物を提供することができる。
本発明の乳化組成物に含有させる油剤はジカルボン酸エステルであることが好ましい。
油剤としてジカルボン酸エステルを用いることにより、ヒアルロナンの皮膚への浸透効率を向上させることができる。
本発明においては、前記複合粒子は、カチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンに比して高い、ヒアルロナン以外のアニオン性ポリマーを含む形態とすることが好ましい。
上記アニオン性ポリマーを含む複合粒子はより粒径が小さく、経時安定性に優れる。その結果、かかる複合粒子を含む形態とすることにより、ヒアルロナンの浸透効率を向上させることができる。
本発明の乳化組成物は高分子乳化剤を含有する形態とすることが好ましい。
高分子乳化剤を含有することによって、ヒアルロナンの皮膚への浸透効率をより向上させることができる。
本発明によれば、ヒアルロナンを高効率で皮膚へ浸透させることが可能な組成物を提供することができる。
比較例1及び2の乳化組成物で処理したヘアレスマウスの皮膚の断面を共焦点レーザー走査型顕微鏡により撮影した写真である。 比較例3及び4の乳化組成物で処理したヘアレスマウスの皮膚の断面を共焦点レーザー走査型顕微鏡により撮影した写真である。 比較例5及び実施例1の乳化組成物で処理したヘアレスマウスの皮膚の断面を共焦点レーザー走査型顕微鏡により撮影した写真である。 FL−HAを含む複合粒子の標準水溶液と、FL−HA単独の標準水溶液をHPLC分析することで得られたチャートを示す。 FL−HAを含む複合粒子の標準水溶液をHPLC分析することにより作成した検量線を示す。 FL−HA単独の標準水溶液をHPLC分析することにより作成した検量線を示す。 実施例1と比較例5の乳化組成物で処理したヘアレスマウスの皮膚をHPLC分析することにより得られたチャートを示す。 実施例1と比較例5の乳化組成物で処理したヘアレスマウスの皮膚をHPLC分析した結果を図5及び図6の検量線に当てはめて算出した、FL−HA濃度を表す棒グラフを示す。 UVB照射を行った後、実施例1及び比較例5及び6の乳化組成物を塗布したヘアレスマウスの背部皮膚におけるTEWLの測定値を表す棒グラフを示す。対象実験として無処置のヘアレスマウスの背部皮膚におけるTEWLを測定した。
本発明の乳化組成物は、複合粒子と油剤を含む。以下、必須成分である複合粒子と油剤の説明を行ってから乳化組成物について説明を加える。
<1>複合粒子
(1)ヒアルロナン
複合粒子はヒアルロナンを含む。ヒアルロナンは、D−グルクロン酸およびD−N−アセチルグルコサミンの二糖を繰り返し単位とする多糖である。
本発明で用いられるヒアルロナンの分子量は制限されないが、好ましくは100〜2000kDa、さらに好ましくは200〜1500kDaのものを用いることができる。
600kDa以上の大きい分子量のヒアルロナンを用いても、後に詳述する、複合粒子の形態とすることによって、100nm以下のナノ粒子を形成することが可能である。
ヒアルロナンは、ヒアルロン酸、又はヒアルロン酸塩のいずれであっても良い。
ヒアルロン酸塩を形成する塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。
ヒアルロナンは、市販品を用いることが可能である。
(2)カチオン性ポリマー
本発明で用いられるカチオン性ポリマーは、少なくとも水中でカチオン性を示し、ヒアルロナンに対して親和性を有するものである。本発明で用いられるカチオン性ポリマーは、好ましくは、天然又は合成タンパク質、又は合成高分子である。
カチオン性基又は上述した官能基として、カチオン性アンモニウム基やグアニジノ基、または、陽イオン化することのできる1級、2級、または3級のアミノ基やイミノ基が挙げられる。本発明のカチオン性ポリマーは、これらの基をポリマーの側鎖、または主鎖中に含有するものである。
このようなカチオン性ポリマーを用いることにより、後述するアニオン性ポリマーとの相互作用により、形成される複合粒子を強固なものとすることができ、複合粒子が微小化され、また、粒子の安定性が高まる。
例えば、前記カチオン性ポリマーは、ポリペプチドやタンパクである。このようなポリペプチドとして、プロタミン、ポリリジン、キトサンなどが例示できる。
(3)ヒアルロナン以外のアニオン性ポリマー
本発明においては、カチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンより高い、ヒアルロナン以外のアニオン性ポリマーを複合粒子に含有させることが好ましい。
複合粒子における第三の成分としてカチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンよりも高いアニオン性ポリマーを用いることにより、形成される複合粒子を強固なものとすることができ、粒子同士の凝集を防ぐことが可能となる。
例えば、前記アニオン性ポリマーは、硫酸化ポリマー、又はカルボキシル基高含有ポリマーである。
硫酸化ポリマーとしては、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、フコイダン、ケラタン硫酸、ヘパリンなどの硫酸化多糖や、硫酸化ポリビニルアルコールなどの強酸性ポリマーが挙げられる。
カルボキシル基高含有ポリマーは、ヒアルロナンよりもカチオン性ポリマーに対して親和性が高いものとなるように多量のカルボキシル基を有しているポリマーと定義される。
カルボキシル基高含有ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリアスパラギン酸などのカルボキシル基高含有ポリマーなどが挙げられる。
本発明の複合粒子を皮膚外用剤、化粧料などに用いる場合には、その安全性から硫酸化多糖を用いることが特に好ましい。
前記アニオン性ポリマーの分子量は、特に制限されないが、コンドロイチン硫酸を用いる場合は、5〜80kDa程度のものを用いることができる。また、10〜15000kDa程度のものを用いることが可能である。
(4)複合粒子
本発明の複合粒子は、上述したヒアルロナン及びカチオン性ポリマーを必須成分として含む。
上記2成分により複合粒子を構成する場合には、各成分の割合は、以下を基準とすることができる。なお、以下の基準は、仕込み質量%である。
ヒアルロナン:好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%
カチオン性ポリマー:好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%
複合粒子は、さらにカチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンよりも高いアニオン性ポリマーを含む形態とすることが好ましい。
該アニオン性ポリマーを含む3成分により複合粒子を構成する場合には、各成分の割合は、以下を基準とすることができる。なお、以下の基準は、仕込み質量%である。
ヒアルロナン:好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは25〜45質量%、より好ましくは30〜40質量%
カチオン性ポリマー:好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%
アニオン性ポリマー:好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは25〜45質量%、より好ましくは30〜40質量%
(5)複合粒子の製造方法
本発明では、上述した成分の水溶液を混合撹拌することにより複合粒子を製造することができる。
以下、具体的な実施形態について、説明する。
(I)ヒアルロナン溶液の調製
ヒアルロナン水溶液を調製する。
ヒアルロナン水溶液におけるヒアルロナンの濃度は、好ましくは5〜5000μg/mLであり、より好ましくは10〜1000μg/mLであり、さらに好ましくは200〜1000μg/mLである。
このような濃度に調節しておくことにより、後の工程でカチオン性ポリマーと混合した際に、粒子の不要な凝集を回避することができる。
(II)カチオン性ポリマー溶液の調製
カチオン性ポリマー水溶液を調製する。
カチオン性ポリマー水溶液におけるカチオン性ポリマーの濃度は、好ましくは5〜5000μg/mL、さらに好ましくは10〜1000μg/mLである。
このような濃度に調節しておくことにより、後の工程でヒアルロナン水溶液、アニオン性ポリマー水溶液と混合した際に、粒子の不要な凝集を回避することができる。
(III)アニオン性ポリマー溶液
ヒアルロナン以外のアニオン性ポリマーを含む複合粒子を調製する場合には、アニオン性ポリマーの濃度が、好ましくは5〜5000μg/mL、さらに好ましくは10〜1000μg/mLとなるように水溶液を調製することが好ましい。
このような濃度に調節しておくことにより、後の工程でヒアルロナン水溶液、カチオン性ポリマー水溶液と混合した際に、粒子の不要な凝集を回避することができる。
(IV)各溶液の混合
続いて、調製したヒアルロナン溶液、カチオン性ポリマー溶液、好ましい形態ではさらにアニオン性ポリマー溶液を混合する。
各溶液の混合割合は、例えば以下を基準として決定することが好ましい。
カチオン性ポリマーの量は、カチオン性基(カチオンになりうる官能基)が、ヒアルロン酸とこれ以外のアニオン性ポリマーのアニオン性基(アニオンになりうる官能基)の総和のモル比にして0.6倍〜10倍程度となるような量とすることが好ましい。
混合後の溶液に対するヒアルロナンの濃度が、好ましくは3〜3000μg/mL、より好ましくは10〜500μg/mL、さらに好ましくは100〜500μg/mLである。
混合後の溶液に対するカチオン性ポリマーの濃度が、好ましくは3〜3000μg/mL、さらに好ましくは10〜500μg/mLである。
さらにカチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンよりも高いアニオン性ポリマーを含む複合粒子を調製する場合には、混合後の溶液に対する該アニオン性ポリマーの濃度が、好ましくは3〜3000μg/mL、さらに好ましくは10〜500μg/mLである。
また、溶液における各成分の濃度は、荷電官能基の濃度にして0.03mMより大きくすること、例えば0.1〜2mM程度とすることが、複合粒子の製造効率の点から好ましい。また、上述した3成分を用いることで、上記のような濃度範囲で調整しても微粒子を製造することが可能となる。
混合の方法としては、各溶液を一度に混合する方法、一つの溶液に、他の溶液を滴下する方法などが挙げられる。いずれも、溶液を撹拌しながら混合を行うことが、凝集を回避する観点から好ましい。
ヒアルロナン、カチオン性ポリマー、及びカチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンよりも高いアニオン性ポリマーの3成分を含有する複合粒子を調製する場合には、これらの水溶液の混合の順序は特に制限されないが、アニオン性ポリマー溶液を、予めヒアルロナン溶液と混合しておいて、ここに、カチオン性ポリマー溶液を混合する方法が、作製される粒子を微小化する観点から特に好ましい。
このようにして作製した複合粒子は、凍結乾燥して保存することが可能である。
また、凍結乾燥後、再水和(再溶解)することも可能である。
複合粒子の平均粒子径は、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下とする。
<2>油剤
本発明に用いる油剤のLogP値は5以下であり、好ましくは4以下であり、より好ましくは1〜4である。
このようなLogP値の油剤を用いることによって、複合粒子に含まれるヒアルロナンを効率的に皮膚に浸透させることが可能になる。
ここで「LogP値」とは、水と1−オクタノールに対する有機化合物の親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の二液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数LogPで示す。すなわち、「LogP値」とは、1−オクタノール/水の分配係数の対数値であり、分子の親疎水性を表すパラメータである。
logP値は、MeylanおよびHowardによる論文「Atom/Fragment contribution method for estimating octanol−water partition coefficient」、J.Pharm.Sci.84:83〜92、1995に記載の方法に従って計算することができる。この値はまた、市販の多数のソフトウエアパッケージにより計算することができ、これは、logP値を分子構造の関数として決定する。一例として、米国環境庁からのソフトウエアEpiwin、およびthe Virtual Computational Chemistry Laboratoryソフトウエアを挙げることができる。
上記数値範囲のLogP値を有する油剤であれば特に制限なく適用することが可能であるが、より好ましくはジカルボン酸エステルである油剤を用いることが好ましい。
ジカルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジイソプロピル(LogP≒3)、セバシン酸ジイソプロピル(LogP≒4)などが好ましく挙げられる。
<3>乳化組成物
本発明の乳化組成物は複合粒子を含む水相と、LogP値が5以下である油剤を含む油相からなる。本発明の乳化組成物は水中油型であっても油中水型であってもよいが、好ましくは水中油型の乳化組成物とする。
水相における複合粒子の含有量は、特に制限されないが好ましくはヒアルロナン及び/又はその塩のモル濃度換算で、好ましくは0.001〜100mM、より好ましくは0.01〜50mM、さらに好ましくは0.05〜10mMとすることができる。
油相におけるLogP値が5以下である油剤の含有量は、特に制限されないが好ましく50〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%とすることができる。
以下、水中油型とする場合の本発明の乳化組成物の製造方法について説明する。
(I)水相の調製
上述の方法で調製した複合粒子を含む水相成分を撹拌混合し、水相を調製する。水相には乳化剤を添加することが好ましく、特に高分子乳化剤を添加することが好ましい。
本発明において高分子乳化剤とは、重合体をその構成要素として含む両親媒性の分子のことを言う。高分子乳化剤としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリグリセリン、ポリオキシエチレン又はこれらの共重合体等の重合体を親水性基として有する乳化剤を用いることが好ましく、特に好ましくはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いる。
特にゲル化効果、増粘効果を有する高分子乳化剤を用いることが好ましい。このような高分子乳化剤としては、グッドリッチ社より市販されている、ペムレンTR−1とペムレンTR−2等が好ましく例示できる。
高分子乳化剤として上のようなゲル化剤を用いる場合には、アルカリ性の化合物を水相成分に加える工程を踏むことで水相をゲル化しても良い。アルカリ性の化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好適に例示できる。
本発明の乳化組成物を水中油型とする場合には、高分子乳化剤の含有量は、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%とすることが好ましい。
また、水相にはポリオールを含有させてもよい。ポリオールとしては化粧料に適用することができるものであれば特に制限されず、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、それらの共重合体及び誘導体や、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのような低分子量のポリオールを例示することができる。
水相におけるポリオールの含有量は、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは10〜15質量%とすることができる。
(II)乳化
水相成分と油相成分の調製の後、水相と油相を撹拌混合し乳化する。
水相と油剤の質量比は、好ましくは1:1〜10:1、より好ましくは1.5:1〜7:1、さらに好ましくは2:1〜4:1である。
<試験例1>in vitro皮膚浸透試験(I)
(1)複合粒子の作製
フルオレセインアミン標識ヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量 120万、岩井化学薬品社、以下、FL−HAとも言う)の水溶液と、プロタミン(ナカライテスク社、以下PRTとも言う)の水溶液を、調製電荷比がFL−HA:PRT=55:45、FL−HAの濃度が0.9mMとなるように混合し、15分間撹拌を続けることで複合粒子を作製した。
なお、FL−HAは文献J Gene Med 2008; 10: 70−80に記載のある方法に従い、合成することもできる。
また、FL−HA水溶液とPRT水溶液を、上と同一の調製電荷比(FL−HA:PRT=55:45)で、FL−HAの濃度が0.1mMとなるように混合し、15分間撹拌を続けることで調製した複合粒子の平均粒子径とゼータ電位を測定した結果を表1に示す。
なお、複合粒子の平均粒子径はZetasizer Nano−ZS ZEN3600、Malvern社(動的光散乱法)を用いて測定した。また、ゼータ電位はZetasizer Nano−ZS ZEN3600、Malvern社(レーザードップラー法)を用いて測定した。
調製した複合粒子のゼータ電位は表1に示すように、−27.37mVであった。ゼータ電位においてヒアルロナン単体は約−63mVであるため、表1の結果はヒアルロナンとプロタミンが複合粒子を形成していることを示している。
(2)乳化組成物の作製
表2に示す処方の乳化組成物を以下の方法により作製した。すなわち、表2に示した水酸化カリウム以外の水相成分を70℃に加熱し、ホモジナイザーで撹拌・混合(5000rpm、5分)した後、水酸化カリウムを添加することでゲル化した。この混合液に70℃に調整した油剤を加え、ホモジナイザーで混合・撹拌(10000rpm、5分)した。その後、30℃まで冷却することで乳化組成物を得た。
なお、油剤としてはLogP値がそれぞれ14、6、3であるスクワラン、流動パラフィン及びアジピン酸ジイソプロピルを用いた。また、比較例として複合粒子の水溶液に代えてFL−HA水溶液(0.9mM)を用いて乳化組成物を調製した。
(3)In vitro皮膚浸透試験(蛍光顕微鏡観察)
雄性ヘアレスマウス(系統 Hos:HR−1、7−8週齢)の全層皮膚を採取し、有効透過面積1.77cmの縦型拡散セルに装着し、レシーバー側(真皮側)にPBS 5mLを適用した。その後、実施例1及び比較例1〜5の乳化組成物をドナー側に1mL適用し、48時間の処理を行った。処理後、皮膚表層の余剰製剤を数回のテープストリップで除去した後、全層皮膚の断面を共焦点レーザー走査型顕微鏡により蛍光観察を行った。結果を図1〜3に示す。
図1及び2に示すように、油剤としてLogP値が14のスクワランと、LogP値が6の流動パラフィンを用いた乳化組成物(比較例1〜4)を適用した場合には、皮膚中にFL−HAの蛍光を観察することはできなかった。また、油剤としてLogP値が3であるアジピン酸ジイソプロピルを用いた場合であっても、FL−HA単独の水溶液を水相成分とした乳化組成物(比較例5)では皮膚中にFL−HAの蛍光を観察することはできなかった(図3)。
一方、油剤としてLogP値が3であるアジピン酸ジイソプロピルを用い、かつ、水相成分としてFL−HAを含む複合粒子を含有する乳化組成物(実施例1)を適用した場合には、皮膚中にFL−HAの蛍光を観察することができた(図3)。
これらの結果は、ヒアルロナン及び/又はその塩を含む複合粒子と、LogP値が5以下の油剤を含む乳化組成物によれば、ヒアルロナンを効率よく皮膚へ浸透させることができることを示している。
<試験例2>in vitro皮膚浸透試験(II)
濃度既知であるFL−HAを含む複合粒子の標準水溶液と、FL−HA単独の標準水溶液を以下の条件でHPLC分析し、検量線を作成した。図4にHPLC分析の結果を表すチャートを示し、図5と図6に検量線を示す。
・分析装置:RF−AXL
・カラム:YMC−Pack Diol−300、300×8.0mml.D.,S−5μm,30nm
・移動相:10mM 酢酸アンモニウム/メタノール=80/20
・流速:1.0mL/分
・温度:40℃
・波長:λex=494nm,λem=521nm
試験例1の(3)に記載した方法により、実施例1と比較例5の乳化組成物で処理した皮膚を回収し、皮膚表層の余剰製剤を数回のテープストリップで除去した後、50%メタノール水溶液中でホモジナイズした後、遠心分離した(15400×g、25℃、5分)。この上清について上述の条件でHPLC分析を行い、皮膚中に含まれるFL−HAを定量した。HPLC分析により得られたチャートを図7に示し、その結果を図5及び図6の検量線に当てはめて算出したFL−HA濃度を表す棒グラフを図8に示す。
図8に示す結果は、比較例5の乳化組成物を適用した皮膚では全くFL−HAが検出されなかった一方、実施例1の乳化組成物を適用した皮膚中にはFL−HAが含まれていることを示している。
この結果は、ヒアルロナン及び/又はその塩を含む複合粒子と、LogP値が5以下の油剤を含む乳化組成物によれば、ヒアルロナンを効率よく皮膚へ浸透させることができることを示している。
また、図7に示すように、実施例1の乳化組成物を適用した皮膚についてHPLC分析を行うと、溶出時間約6分の時点にシグナルピークが見られる。これは、図4に示した複合粒子を形成していないFL−HAのシグナルピークが観察される溶出時間と一致している。
この結果は、本発明の乳化組成物は微粒子化した複合粒子の形態でヒアルロナン及び/又はその塩を皮膚に適用するものであるが、皮膚への浸透後においては、ヒアルロナン及び/又はその塩は微粒子化されていない状態で存在することを示している。つまり、本発明によれば、内在性のヒアルロナンと同じ状態のヒアルロナンを皮膚内部に導入することができ、皮膚のバリア機能を向上させることができることを示している。
<試験例3>in vivo試験
試験例1の方法で調製した複合粒子を用いて、表3に示す処方で実施例2の乳化組成物を作製した。また、複合粒子水溶液に代えて、それぞれFL−HA水溶液(0.9mM)、精製水を含む比較例6及び比較例7の乳化組成物を作製した。
7日間予備飼育を行った雄性ヘアレスマウス(Hos:HR−1、7週齢)の背部皮膚にUVBを照射した(60mJ/cm)。その後、実施例2、比較例6及び比較例7の乳化組成物をそれぞれ塗布した。このUVBの照射と乳化組成物の塗布を一日1回、合計4日間にわたって行った。最後のUVB照射と乳化組成物の塗布から一日後に、VAPO SCAN ASーVT100 RS(アサヒバイオメッド社製)を用いて、マウスの背部皮膚におけるTEWL(Transepidermal water loss、経皮水分蒸散量)を計測した。対象実験としてUBVの照射及び乳化組成物の塗布を行っていないマウスの背部皮膚におけるTEWLも計測した。その結果を図9に示す。
図9に示すように、UVB照射の後に、比較例6及び比較例7の乳化組成物を塗布したマウス背部皮膚においては、何も処置をしていないマウスの背部皮膚に比してTEWLが3倍以上上昇していた。
一方、UVB照射の後に実施例2の乳化組成物を塗布したマウス背部皮膚のTEWLは、何も処置をしていないマウスの背部皮膚のTEWLに対して2倍程度の上昇にとどまっていた。つまり、比較例6及び比較例7を適用した場合に比べて、実施例1の乳化組成物を適用した場合では、UVB照射によるTEWLの上昇の程度が有意に低い。
この結果は、本発明の乳化組成物を適用することにより、UVBの照射による皮膚バリア機能の低下を抑制することができることを示している。
本発明は化粧料に応用することができる。

Claims (6)

  1. ヒアルロナン及びカチオン性ポリマーを含む複合粒子と、LogP値が5以下である油剤を含有し、
    複合粒子の平均粒子径が1000nm以下であり、
    前記油剤がジカルボン酸エステルであり、
    前記カチオン性ポリマーが、プロタミン、ポリリジン、キトサンから選ばれる1又は2以上であることを特徴とする乳化組成物。
  2. 水中油型であることを特徴とする、請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 前記油剤がアジピン酸ジイソプロピル及び/又はセバシン酸ジイソプロピルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. 前記複合粒子がヒアルロナン以外のアニオン性ポリマーを含み、該アニオン性ポリマーは、前記カチオン性ポリマーに対する親和性がヒアルロナンに比して高いことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の乳化組成物。
  5. 高分子乳化剤を含有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の乳化組成物。
  6. LogP値が5以下である油剤の油相における含有量が50〜100質量%であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の乳化組成物。
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