本発明は、インターホンシステム、通信装置、およびプログラムに関する。より詳細には、本発明は、互いに信号を伝送するインターホンシステム、通信装置、およびプログラムに関する。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示す集合住宅用のインターホンシステム200を例示する。インターホンシステム200は、集合住宅の共用玄関(ロビー)に設置される共用部装置1(ロビーインターホン)と、集合住宅の各住戸内に設置される住戸端末2(第2通信装置)と、通信制御装置3(第1通信装置)とで構成される。
本実施形態では、集合住宅の1つの棟に共用玄関を2カ所設けており、共用部装置1は、2カ所の共用玄関のそれぞれに設置される。以降、2つの共用部装置1を区別する場合、共用部装置1a,1bと呼ぶ。共用部装置1a,1bは、通信線で構成される伝送路41a,41bにそれぞれ接続している。以降、伝送路41a,41bを区別しない場合、伝送路41と呼ぶ。
住戸端末2は、通信線で構成される伝送路42に接続している。伝送路42は、分岐器5を設けて、住戸端末2は、分岐器5で分岐された分岐線に接続している。
通信制御装置3は、伝送路41a,41b,42に接続している。そして、通信制御装置3は、共用部装置1と住戸端末2との間の通信を中継する機能を有し、さらに共用部装置1宛または住戸端末2宛のパケットを生成して送信する機能も有する。
なお、共用部装置1、住戸端末2、通信制御装置3(後述の伝送処理部17,26,31)のそれぞれは、データ(後述の画像データ、音声データ、制御データ、ブラウザデータなど)をパケット化して、伝送路41,42にパケットを送出する。すなわち、伝送路41,42では、パケットが伝送されている。そして、共用部装置1、住戸端末2、通信制御装置3(後述の伝送処理部17,26,31)のそれぞれは、受信したパケットからデータを再構築して、共用部装置1、住戸端末2、通信制御装置3内の各部にそれぞれ引き渡す。なお、パケットは、伝送路41,42に送出される信号の一形態であり、伝送路41,42に送出される信号の形態はパケットに限らず、電気信号によって形成される信号であればよい。
ただし、本発明の技術思想が適用可能なインターホンシステムは集合住宅用のインターホンシステム200に限定されるものではなく、集合住宅用のインターホンシステム200以外のインターホンシステムにも適用可能である。また、伝送媒体は金属導体からなる通信線に限定されず、電波などの無線媒体であっても構わない。
共用部装置1は、図1に示すように、制御部10、撮像装置11、映像処理部12、通話処理部13、マイクロホン14、スピーカ15、操作部16、伝送処理部17を備える。
撮像装置11は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子、レンズ、映像処理回路等で構成される。そして、撮像装置11は、共用玄関の来訪者を撮像し、デジタルの映像データを生成する。映像処理部12は、映像データに圧縮処理を施すエンコーダ機能、映像データを補正する補正機能を有して、圧縮および補正などが施された映像データを伝送処理部17へ出力する。
マイクロホン14は、来訪者の音声を集音し、集音した音声を電気信号(送話音声データ)に変換して、通話処理部13へ出力する。スピーカ15は、通話処理部13から受話音声データを入力され、受話音声を出力する。
通話処理部13は、音声スイッチやエコーキャンセラなどを具備し、伝送処理部17から入力される受話音声データ、マイクロホン14から入力される送話音声データを信号処理することでハウリングやエコーを抑制して良好なハンズフリー通話を実現する。また、通話処理部13は、受話音声データおよび送話音声データのA/D変換機能、D/A変換機能も有する。なお、通話処理部13で処理された送話音声データが伝送処理部17に出力される。
操作部16は、来訪者が訪問先の住戸の住戸番号を入力するためのテンキースイッチまたはタッチパネル等で構成される。操作部16が来訪者によって操作されると、操作部16から訪問先の住戸(の住戸端末2)に対する呼び出しの操作信号(制御データの1つ)が制御部10へ出力される。
制御部10は、操作部16から出力された操作信号、通信制御装置3から送信された制御データが入力されると、操作信号および制御データに応じた処理を実行する。また、制御部10は、住戸端末2、通信制御装置3へ送信する制御データおよびブラウザデータを生成する機能も有する。なお、ブラウザデータは、ブラウザが表示するコンテンツに関する情報を含んでいる。
伝送処理部17は、通信制御装置3との間で伝送路41を介したパケット送信を行うことができる。伝送処理部17は、制御部10で作成される制御データおよびブラウザデータ、通話処理部13で作成される送話音声データ、撮像装置11から映像処理部12を介して入力される映像データをそれぞれパケット化して、伝送路41に送出する。
また、伝送処理部17は、伝送路41を流れる電気信号をビット列に変換(復調)し、復調されたビット列からパケット(音声パケット、制御パケット)を復号化する。なお、伝送処理部17は、復号化したパケットの宛先アドレスが自己のアドレス(共用部装置1毎のアドレス)に一致しない場合は当該パケットを破棄する。一方、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部17は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が音声情報であれば、通話処理部13に受話音声データを出力する。また、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部17は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が制御情報あれば、制御部10に制御データを出力する。
住戸端末2は、図1に示すように、制御部20、通話処理部21、マイクロホン22、スピーカ23、映像処理部24、表示部25、伝送処理部26、操作部27を備える。
マイクロホン22は、来訪者と通話する家人の音声を集音し、集音した音声を電気信号(送話音声データ)に変換して、通話処理部21へ出力する。スピーカ23は、通話処理部21から受話音声データを入力され、受話音声を出力する。
通話処理部21は、音声スイッチやエコーキャンセラなどを具備し、伝送処理部26から入力される受話音声データ、マイクロホン22から入力される送話音声データを信号処理することでハウリングやエコーを抑制して良好なハンズフリー通話を実現する。また、通話処理部21は、受話音声データおよび送話音声データのA/D変換機能、D/A変換機能も有する。なお、通話処理部21で処理された送話音声データが伝送処理部26に出力される。
映像処理部24は、伝送処理部26から入力された映像データをデコードして表示部25へ出力する。表示部25は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示デバイスを有しており、映像処理部24が表示部25を駆動して映像を表示させる。
また、映像処理部24は、伝送処理部26から入力されたブラウザデータを表示部25へ出力する。さらに表示部25は、伝送処理部26から出力されるブラウザデータに基づいて、コンテンツ画像を表示することもできる。
操作部27は、タッチパネル、押釦スイッチなどの入力デバイスを有する。操作部27が住戸内の家人によって操作されると、操作部27から、操作入力に応じた操作信号が制御部20へ出力される。
制御部20は、操作部27から出力された操作信号、共用部装置1、通信制御装置3から送信された制御データが入力されると、操作信号および制御データに応じた処理を実行する。また、制御部20は、共用部装置1、通信制御装置3へ送信する制御データを生成する機能も有する。
伝送処理部26は、通信制御装置3との間で伝送路42を介したパケット送信を、時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式によって行うことができる。伝送処理部26は、制御部20で作成される制御データ、通話処理部21で作成される送話音声データをそれぞれパケット化して、伝送路42に送出する。
また、伝送処理部26は、伝送路42を流れる電気信号をビット列に変換(復調)し、復調されたビット列からパケット(音声パケット、制御パケット、映像パケット、ブラウザパケット)を復号化する。なお、伝送処理部26は、復号化したパケットの宛先アドレスが自己のアドレス(住戸端末2毎のアドレス)に一致しない場合は当該パケットを破棄する。一方、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部26は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が音声情報であれば、通話処理部21に受話音声データを出力する。また、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部26は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が制御情報であれば、制御部20に制御データを出力する。また、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部26は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が映像情報であれば、映像処理部24に映像データを出力する。また、宛先アドレスが自己のアドレスに一致する場合、伝送処理部26は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報がブラウザ情報であれば、映像処理部24にブラウザデータを出力する。
通信制御装置3は、図1に示すように、制御部30、伝送処理部31、記憶部32を備える。
制御部30は、共用部装置1または住戸端末2から送信された制御データが入力されると、制御データに応じた処理を実行する。また、制御部30は、共用部装置1、住戸端末2へ送信する制御データおよびブラウザデータを生成する機能も有する。
伝送処理部31は、共用部装置1との間で伝送路41を介したパケット伝送を制御し、住戸端末2との間で伝送路42を介したパケット伝送を制御する。伝送処理部31は、制御部30で作成される制御データおよびブラウザデータをパケット化して、伝送路41,42にそれぞれ送出する。
また、伝送処理部31は、伝送路41,42を流れる電気信号をビット列に変換(復調)し、復調されたビット列からパケット(音声パケット、制御パケット、映像パケット、ブラウザパケット)を復号化する。なお、伝送処理部31は、復号化したパケットの宛先アドレスが自己のアドレス(通信制御装置3のアドレス)に一致する場合、伝送処理部31は、復号化したパケットの情報フィールドに含まれる情報が制御情報であれば、制御部30に制御データを出力する。
さらに、伝送処理部31は、伝送路41の共用部装置1から受信したパケットの宛先アドレスが住戸端末2である場合、当該パケットを伝送路41の共用部装置1から伝送路42の住戸端末2へ中継する中継処理を行う。また、伝送処理部31は、伝送路42の住戸端末2から受信したパケットの宛先アドレスが共用部装置1である場合、当該パケットを伝送路42の住戸端末2から伝送路41の共用部装置1へ中継する中継処理を行う。
記憶部32は、伝送処理部31が中継処理するパケットを一時的に格納しておく。すなわち、記憶部32は、共用部装置1が住戸端末2へ送信した映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを一時的に格納する。そして、伝送処理部31は、記憶部32から映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを読み出して、住戸端末2へ送信する。また、記憶部32は、住戸端末2が共用部装置1へ送信した音声パケットおよび制御パケット、を一時的に格納する。そして、伝送処理部31は、記憶部32から音声パケット、制御パケットを読み出して、共用部装置1へ送信する。
また、記憶部32は、伝送路41上の共用部装置1のアドレス情報、伝送路42上の住戸端末2のアドレス情報を格納している。伝送処理部31は、記憶部32に格納されているアドレス情報を参照して、通信制御を行うことができる。
ところで、通信制御装置3と複数の住戸端末2とが伝送路42を共用している。さらに、複数の住戸端末2のそれぞれは、分岐器5を介して互いに接続されている。伝送路42を伝送される信号は、分岐器5を通過するときに減衰量が大きくなり、この結果、住戸端末2は、他の住戸端末2と直接通信できない隠れ端末となる可能性が高い。
従来の隠れ端末対策としては、RTS/CTS方式と呼ばれるアクセス制御方式、TDMA方式(時分割方式)、ポーリング方式などがある。しかしながら、音声パケットのようなショートパケットにRTS/CTS方式を用いた場合、RTS/CTSパケットのオーバヘッドが大きくなり、通信効率が悪くなる。また、映像パケットにH.264のようなコーデックを用いた場合、映像情報長がフレーム(たとえばIフレーム、Pフレーム)毎に異なる。したがって、TDMA方式を採用した場合、映像情報の最大長を考慮したスロット割当が必要となり、大容量の映像情報を送信することが困難であった。また、ポーリング方式は、ポーリングトラフィックによりオーバヘッドが大きくなり、大容量の映像情報を送信するには不向きであった。さらに、ポーリング方式は、ポーリングのタイミングによって伝送遅延が大きくなる可能性があり、リアルタイム性が必要な映像パケットおよび音声パケットの通信には不向きであった。
ここで、集合住宅用のインターホンシステム200では、住戸端末2から通信制御装置3への(上り方向の)パケット送信は隠れ端末が発生する。しかし、通信制御装置3から複数の住戸端末2への(下り方向の)パケット送信は隠れ端末が発生しない。なお、上述の上り方向は、第1方向に相当し、音声パケットのみ(あるいは、音声パケットおよび制御パケットのみ)が送信される。上述の下り方向は、第2方向に相当し、映像パケット、音声パケット(あるいは、映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケット)が送信される。
そこで、通信制御装置3と住戸端末2とは、以下の通信を行う。なお、通信制御装置3が第1通信装置に相当する。また、住戸端末2が第2通信装置に相当する。
まず、通信制御装置3と住戸端末2とは、送信フレームF1を用いて通信を行う。送信フレームF1は、図2に示す仮想的な通信時間割りであり、伝送路42上の通信装置は、任意の時間ではなく、所定のタイミングにのみ送受信可能となる。
送信フレームF1は、ビーコン用スロットBS、音声スロットUSが設定されている。送信フレームF1は、ビーコン用スロットBS、音声スロットUS以外の期間を、通信ウィンドウDWとする。図2の送信フレームF1は、音声スロットUSとして、複数の音声スロットUS1,複数の音声スロットUS2のそれぞれを含んでいる。音声スロットUS1,US2のスロット幅T1は、たとえば500μsecであるが、スロット幅T1の具体的な値は限定されない。また、音声スロットUS1と音声スロットUS2とはスロット間隔T2ごとに交互に設けられている。スロット間隔T2は、たとえば10msecであるが、スロット間隔T2の具体的な値は限定されない。
ビーコン用スロットBSは、送信フレームF1の先頭のスロットである。ビーコン用スロットBSは、通信制御装置3から住戸端末2への下り方向の通信が可能であり、通信制御装置3の伝送処理部31が住戸端末2へビーコン信号を送信することができる。ビーコン信号は、通信制御装置3−住戸端末2間の通信同期に用いられる。なお、ビーコン用スロットBSの出現周期(ビーコン信号の送信周期)を、ビーコン周期L1と呼ぶ。
音声スロットUSは、住戸端末2から通信制御装置3への上り方向の通信が可能であり、住戸端末2の伝送処理部26が通信制御装置3へ音声パケットを送信することができる。図2において、音声スロットUS1は、住戸端末2aから通信制御装置3への上り方向の通信が可能であり、住戸端末2aが通信制御装置3へ音声パケットを送信することができる。音声スロットUS2は、住戸端末2bから通信制御装置3への上り方向の通信が可能であり、住戸端末2bが通信制御装置3へ音声パケットを送信することができる。
通信ウィンドウDWは、住戸端末2および通信制御装置3による上り方向および下り方向の通信が可能である。住戸端末2の伝送処理部26は、通信ウィンドウDWにおいて、制御パケットを通信制御装置3へ送信することができる。また、通信制御装置3の伝送処理部31は、通信ウィンドウDWにおいて、映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを住戸端末2へ送信することができる。
通信制御装置3が送信するビーコン信号は、ビーコン周期情報、スロット割当情報などを含んでいる。
ビーコン周期情報は、ビーコン周期L1の値の情報である。
スロット割当情報は、音声スロットUSの情報であり、音声スロットUSが割り当てられた住戸端末2のアドレス、音声スロットUSの開始タイミングなどの情報である。たとえば、図2では、音声スロットUS1,US2のそれぞれが割り当てられた住戸端末2a,2bのアドレス、音声スロットUS1,US2のそれぞれの開始タイミングなどである。
すなわち、通信制御装置3の伝送処理部31は、ビーコン信号に含まれるビーコン周期情報、スロット割当情報などを設定することによって、送信フレームF1の構造を決定できる。
住戸端末2は、ビーコン信号を受信することで、送信フレームF1の情報を取得でき、通信制御装置3との間で音声スロットUSおよび通信ウィンドウDWの同期をとることができる。
通信制御装置3は、共用部装置1から映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを受信すると、記憶部32に格納しておく。そして、伝送処理部31は、送信フレームF1の通信ウィンドウDWで、キャリア検知多重アクセス衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式によって映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを宛先の住戸端末2へ送信する。すなわち、伝送処理部31は、通信ウィンドウDWにおいて、競合によってアクセス権を取得して、下り方向の映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットを送信することができる。また、住戸端末2の伝送処理部26は、送信フレームF1の通信ウィンドウDWで、CSMA/CA方式によって制御パケット、およびブラウザパケットを通信制御装置3へ送信することができる。
また、住戸端末2において共用部装置1へ送信する音声データが発生した場合、伝送処理部26は、送信フレームF1の音声スロットUSで音声パケットを通信制御装置3へ送信する。すなわち、伝送処理部26は、通信制御装置3から割り当てられた音声スロットUSを用いたTDMA方式で音声パケットを送信することができる。
上述のように、住戸端末2から通信制御装置3へ送信される上り方向の音声パケットは、TDMA方式で割り当てられた音声スロットUSで送信される。また、通信制御装置3から住戸端末2へ送信される下り方向の映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットは、音声スロットUSが割り当てられていない期間である通信ウィンドウDWにおいてCSMA/CA方式で送信される。
上述のインターホンシステム200において、住戸端末2から通信制御装置3へ送信される上り方向の通信は、住戸端末2同士が隠れ端末となる場合がある。一方、通信制御装置3から住戸端末2へ送信される下り方向の通信は、隠れ端末が発生しない。また、住戸端末2−通信制御装置3間の通信において、上り方向は映像パケットが送信されず、音声パケットが送信されるが、下り方向は映像パケット、音声パケット、制御パケット、およびブラウザパケットが送信される。
映像パケットの圧縮方式としてH.264などが用いられた場合、映像情報のフレームごとにフレーム長が異なってしまう。すなわち、映像パケットの送信にTDMA方式が用いられた場合、最大となるフレーム長を送信できるスロットを映像パケットの送信に割り当てる必要がある。つまり、映像パケットの送信にTDMA方式を用いることは非効率となる。一方、音声パケットは、音声情報のフレーム長が一定となる。
そこで、隠れ端末の影響のある上り方向(住戸端末2→通信制御装置3)の音声パケットの送信はTDMA方式でスロット化し、隠れ端末の影響のない下り方向(通信制御装置3→住戸端末2)の通信はCSMA/CA方式で行う。この結果、インターホンシステムにおいて、通信制御装置3(第1通信端末)と住戸端末2(第2通信端末)との間の通信効率を高めることができる。
また、通信制御装置3と共用部装置1a,1bのそれぞれとの間の通信は、共用部装置1a,1bごとの専用回線である伝送路41a,41bを通して行われる。したがって、通信制御装置3と共用部装置1a,1bのそれぞれとの間の通信は、1対1で双方向の通信を行うことができる。つまり、通信制御装置3と共用部装置1a,1bとの間の通信には、隠れ端末が発生しない。したがって、通信制御装置3と共用部装置1a,1bとの間の通信に用いられる通信方式は限定されない。
なお、通信制御装置3と共用部装置1a,1bとの間の通信において、共用部装置1a,1bが互いに隠れ端末となる場合、以下の通信を行うことが好ましい。共用部装置1a,1bは、通信制御装置3へ向かう上り方向の映像パケットをRTS/CTS方式を用いて送信する。また、共用部装置1a,1bは、通信制御装置3へ向かう上り方向の音声パケットをTDMA方式を用いて送信する。一方、通信制御装置3から共用部装置1aまたは1bへ向かう下り方向の通信は隠れ端末が発生しないので、通信制御装置3は、CSMA方式を用いてパケットを送信する。
次に、本実施形態の変形例1について、図3A、図3Bを用いて説明する。
変形例1のインターホンシステムは、住戸端末2と通信制御装置3との間の通信に、送信フレームF11および送信フレームF12を切り替えて用いる。
通信制御装置3の伝送処理部31は、共用部装置1から呼び出しの操作信号のパケット(制御パケット)を受信すれば、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が開始されることを検知できる。また、伝送処理部31は、共用部装置1または住戸端末2から通話終了の操作信号のパケットを受信すれば、共用部装置1と住戸端末2との間の通話が終了したことを検知できる。すなわち、通信制御装置3は、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が生じているか否かを判定できる。
集合住宅用のインターホンシステムにおいて、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生している期間は、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生していない期間に比べて短い。したがって、通話が発生していないときに、不必要な音声スロットUSの割り当てを行うと通信効率が悪化する。
そこで、伝送処理部31は、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生していない場合、送信フレームF11のビーコン周期情報、スロット割当情報などを含むビーコン信号を送信する。
送信フレームF11は、ビーコン用スロットBSが先頭に設定されている。送信フレームF11は、ビーコン用スロットBS以外の全期間を、通信ウィンドウDWとする。すなわち、共用部装置1と住戸端末2との間で通話がない場合、住戸端末2から音声パケットが送信されないので、音声スロットUSは不要となる。そこで、通信制御装置3と住戸端末2とは、ビーコン用スロットBSと、通信ウィンドウDWのみで構成された送信フレームF11を用いて互いに通信する。したがって、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生していない場合、住戸端末2−通信制御装置3間で、通信ウィンドウDWを用いた制御パケットおよびブラウザパケットの送受信を行うことができる。なお、ブラウザパケットは、共用部装置1だけでなく、住戸端末2も作成して送信することができる。ブラウザパケットは、通信制御装置3から他の通信装置へ転送されて、ブラウザパケットを受信した他の通信装置がブラウザ情報に基づいてコンテンツ画像を表示する。
また、通信制御装置3の伝送処理部31は、通話が発生している場合、送信フレームF12のビーコン周期情報、スロット割当情報などを含むビーコン信号を送信する。
送信フレームF12は、ビーコン用スロットBS、音声スロットUSが設定されている。送信フレームF12は、ビーコン用スロットBS、音声スロットUS以外の期間を、通信ウィンドウDWとする。図3A、図3Bの送信フレームF12は、音声スロットUSとして、1つの音声スロットUS1,1つの音声スロットUS2のそれぞれを含んでいる。
図3Aは、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生していない状態から、時刻t1で通話が発生した場合の送信フレームの切替を示す。図3Aでは、時刻t1以降のビーコン信号に、送信フレームF12のビーコン周期情報、スロット割当情報などが含まれるので、送信フレームF11から送信フレームF12に切り替わっている。
図3Bは、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生している状態から、時刻t2で通話が終了した場合の送信フレームの切替を示す。図3Bでは、時刻t2以降のビーコン信号に、送信フレームF11のビーコン周期情報などが含まれるので、送信フレームF12から送信フレームF11に切り替わっている。
すなわち、変形例1では、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生していない場合、音声スロットUSの割り当てが行われず、共用部装置1と住戸端末2との間で通話が発生している場合に、音声スロットUSの割り当てが行われる。したがって、変形例1では、不必要な音声スロットUSの割り当てが行われないので、通信効率をさらに高めることができる。
また、図3A、図3Bの送信フレームF12は、通話中の2台の住戸端末2a,2bのそれぞれに対応して、1つの音声スロットUS1,1つの音声スロットUS2のそれぞれを含んでいる。しかし、通話中の住戸端末2の台数がN台であれば、送信フレームF12に含まれる音声スロットUSの数も、N台の住戸端末2のそれぞれに対応してN個となる。
また、住戸端末2a−住戸端末2b間の通話も可能である。この場合、通信制御装置3が、住戸端末2a−住戸端末2b間で伝送される音声パケットを中継する。そして、住戸端末2a−住戸端末2b間の通話が発生した場合、通信制御装置3、住戸端末2a,2bは、2台の住戸端末2a,2bのそれぞれに対応する音声スロットUS1,US2のそれぞれを含む送信フレームF12を用いる。すなわち、住戸端末2aは、音声スロットUS1で音声パケットを送信し、住戸端末2bは、音声スロットUS2で音声パケットを受信する。また、住戸端末2bは、音声スロットUS2で音声パケットを送信し、住戸端末2aは、音声スロットUS1で音声パケットを受信する。
次に、本実施形態の変形例2について、図4、図5を用いて説明する。
図4に示すように、通信制御装置3と住戸端末2とが送信フレームF1を用いて通信している。そして、音声スロットUS1の直前の時刻t11に、住戸端末2aが音声データの送信準備を完了した場合、住戸端末2aは、次の音声スロットUS1の開始時刻t12から音声パケットを送信できる。この場合、住戸端末2aにおける音声パケットの送信待ち時間T11=t12−t11となる。しかし、音声スロットUS1の直後の時刻t21に、住戸端末2aが音声データの送信準備を完了した場合、住戸端末2aは、次の音声スロットUS1の開始時刻t22まで待たないと音声パケットを送信できない。この場合、住戸端末2aにおける音声パケットの送信待ち時間T12=t22−t21となる。すなわち、送信待ち時間T11<送信待ち時間T12となって、伝送遅延が大きくなる要因となっている。
このような問題に対して、1つの送信フレームF1に含まれる音声スロットUS1,音声スロットUS2のそれぞれの数をさらに増やすことが対策として考えられる(音声スロットUS1,US2の各割当数を多くする)。しかし、音声スロットUS1,US2の各割当数が多くなると、伝送遅延は小さくなるが、使用されない音声スロットUS1,US2の数も多くなり、通信効率が低下する可能性がある。
そこで、変形例2では、音声パケットの送信に使用されていない音声スロットUSを、この音声スロットUSに割り当てられていない住戸端末2が使用することで、通信効率を高めている。具体的に、音声スロットUSは、図5に示すように前半期間T21と後半期間T22とで構成されている。
たとえば、住戸端末2bは、音声スロットUS2において送信すべき音声パケットがある場合、前半期間T21内に音声パケットの送信を開始しなければならない。住戸端末2bが前半期間T21内に音声パケットの送信を開始しなければ(すなわち、通信制御装置3が、前半期間T21内に住戸端末2bから音声パケットを受信しなければ)、通信制御装置3の伝送処理部31は解除信号のパケット(制御パケット)を伝送路42上にブロードキャストする。解除信号のパケットを受信した住戸端末2aの伝送処理部26は、送信すべきパケット(制御パケット、ブラウザパケット)があれば、音声スロットUS2の後半期間T22において、このパケットを送信することができる。
したがって、図4において、住戸端末2aは、音声スロットUS2を住戸端末2bが用いなければ、音声スロットUS2において制御パケット、ブラウザパケットを送信することができる。すなわち、音声パケットの送信に使用されていない音声スロットUSを、この音声スロットUSに割り当てられていない住戸端末2が使用することで、通信効率が向上している。
また、通信制御装置3の伝送処理部31は、送信すべきパケット(映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケット)があれば、音声スロットUS2の後半期間T22において、このパケットを送信してもよい。すなわち、伝送処理部31は、前半期間T21内に住戸端末2から音声パケットを受信しなければ、この音声パケットの送信に使用されていない音声スロットUSを用いることができる。この場合、通信制御装置3の伝送処理部31は、自装置が送信すべきパケットがない場合のみ、上述の解除信号のパケットをブロードキャストすることが好ましい。
さらには、住戸端末2bが音声スロットUS2の前半期間T21内に音声パケットの送信を開始したとしても、音声パケットの送信が完了した後であれば、住戸端末2aは、音声スロットUS2において制御パケットおよびブラウザパケットを送信できるように構成してもよい。たとえば、図6に示すように、住戸端末2bが音声スロットUS2の前半期間T21内に音声パケットVP0の送信を開始したとする。そして、通信制御装置3は、音声パケットVP0の受信が正常に完了すると、肯定応答(ACK)APを住戸端末2bへ返送する。この肯定応答APは、伝送路42上の全ての住戸端末2が検知(受信)することができるので、伝送路42上の全ての住戸端末2は、音声スロットUS2における音声パケットVP0の送信処理が完了したことを認識できる。そこで、住戸端末2aは、住戸端末2bが送信した肯定応答APを検知すると、送信すべきパケット(制御パケット、ブラウザパケット)があれば、後半期間T22の残期間T23において、このパケットを送信することができる。すなわち、住戸端末2bだけでなく、住戸端末2aも音声スロットUS2を用いて制御パケットおよびブラウザパケットを送信できるので、通信効率がさらに向上する。
また、肯定応答APを送信した通信制御装置3の伝送処理部31は、自装置が送信すべきパケット(映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケット)があれば、後半期間T22の残期間T23において、このパケットを送信してもよい。
次に、本実施形態の変形例3について、図7A、図7B、図7Cを用いて説明する。図7A、図7B、図7Cのそれぞれは、送信フレームにおける音声スロットUSの配置を示す概略図である。
まず、図7Aにおける音声スロットUS1〜US6のそれぞれは、スロット間隔T31ごとに時間的に離間して配置されている。この場合、通信制御装置3の内部クロックと住戸端末2の内部クロックとの間に微小なずれが発生したとしても、音声スロットUS1〜US6のそれぞれを用いた音声パケットの送信処理に対する影響を低く抑えることができる。
また、図7Bにおける音声スロットUS1〜US6のそれぞれは、時間的に順に連続して配置されている。すなわち、音声スロットUS1〜US6が連続したスロット群SG1が、スロット間隔T32ごとに配置されている。この場合、互いに隣り合うスロット群SG1で挟まれた期間(ただし、ビーコン用スロットBSの期間は除く)は1つの通信ウィンドウDWとして用いられる。この結果、1つの通信ウィンドウDWの時間長さを長くできるので、通信制御装置3は、1つの通信ウィンドウDWを用いて大容量の映像情報を有する映像パケットを送信することができる。
また、図7Cにおける音声スロットUS1〜US6は、2つのスロット群SG11,SG12に分けられる。スロット群SG11は、音声スロットUS1〜US3のそれぞれが、時間的に順に連続している。スロット群SG12は、音声スロットUS4〜US6のそれぞれが、時間的に順に連続している。そして、スロット群SG11とスロット群SG12とは、スロット間隔T33で交互に配置されている。この場合、図7Aの配置と図7Bの配置とを組み合わせた配置になる。
次に、本実施形態の変形例4について、図8、図9を用いて説明する。
図8に示すように、通信制御装置3は、ビーコン信号B1を住戸端末2へ送信することで、通信制御装置3と住戸端末2との間で送信フレームの同期をとる。住戸端末2は、自己に割り当てられた音声スロットUSで音声パケットVP1,VP2をそれぞれ送信する。具体的に、住戸端末2の伝送処理部26が用いる通信プロトコルの上位層(たとえばアプリケーション層)において音声情報が時間T5ごとに発生すると仮定する。音声情報は一定の周期で生成されており、たとえば音声情報の単位時間あたりのフレーム数が50fpsであれば、時間T5=20msecとなる。そして、音声情報X1,X2が発生すれば、音声情報X1,X2は、通信プロトコルの下位層(たとえばデータ層)にそれぞれ引き渡される。この時点で、伝送処理部26は、音声パケットVP1,VP2の送信準備がそれぞれ完了する。そして、伝送処理部26は、音声パケットVP1,VP2の送信準備がそれぞれ完了した後、自己(住戸端末2)に割り当てられた音声スロットUSで音声パケットVP1,VP2をそれぞれ送信する。
しかし、音声パケットVP1,VP2のそれぞれの送信準備が完了した時点から実際に音声スロットUSで音声パケットVP1,VP2が送信されるまでに送信待ち時間T41,T42が発生する。そこで、住戸端末2の伝送処理部26は、音声パケットVP1,VP2に送信待ち時間T41,T42の情報をそれぞれ付加して送信する。
図9は、音声パケットVPのフォーマットを示す。音声パケットVPは、先頭に設けられたヘッダ101と、ヘッダ101の後段に設けられたペイロード102とを備える。音声情報は、ペイロード102に格納される。そして、住戸端末2の伝送処理部26は、音声パケットVPのヘッダ101に送信待ち時間の情報を付加する。なお、音声パケットVPがIP(Internet Protocol)パケットである場合、IPヘッダ情報などもヘッダ101に格納される。
通信制御装置3の伝送処理部31は、音声パケットVP1,VP2を受信すると、それぞれのヘッダ101に付加されている送信待ち時間の情報を読み出す。そして、伝送処理部31は、次に送信するビーコン信号B2に含めるスロット割当情報で、送信待ち時間が短くなるように、住戸端末2に対して音声スロットUSを割り当てる。
住戸端末2の伝送処理部26は、ビーコン信号B2を受信すると、新たに割り当てられた音声スロットUSで音声パケットVP3,VP4を送信する。この場合、伝送処理部26の通信プロトコルの上位層から下位層に音声情報X3,X4がそれぞれ引き渡されて、音声パケットVP3,VP4の送信準備がそれぞれ完了する。そして、音声パケットVP3,VP4のそれぞれの送信準備が完了した時点から、実際に音声スロットUSで音声パケットVP1,VP2が送信されるまでに送信待ち時間T43,T44が発生する。しかし、今回の音声スロットUSは、音声パケットVP1,VP2によって通知された送信待ち時間情報に基づいて、送信待ち時間が短くなるように設定されているので、送信待ち時間T43,T44は短時間となっている。
したがって、住戸端末2が音声パケットを送信する際の送信待ち時間が短くなるので、通信効率がさらに向上する。
なお、伝送処理部31は、送信フレームF1の通信ウィンドウDWで、キャリア検知多重アクセス衝突検出(CSMA/CD:Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)方式によって映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケットのそれぞれを宛先の住戸端末2へ送信してもよい。すなわち、伝送処理部31は、送信フレームF1の通信ウィンドウDWにおいて、キャリア検知多重アクセス(CSMA)方式で映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケットのそれぞれを送信すればよい。
また、上述の映像パケット、音声パケット、制御パケット、ブラウザパケットのそれぞれは、映像信号、音声信号、制御信号、ブラウザ信号と読み替えることができる。
上述のインターホンシステム200は、通信制御装置3(第1通信装置)と、複数の住戸端末2(第2通信装置)とを備える。通信制御装置3および複数の住戸端末2は、複数の住戸端末2の少なくとも1つから通信制御装置3へ至る第1方向(上り方向)の音声信号(音声パケット)を送信可能とする音声スロットUSを含む送信フレームF1を用いて通信を行う。複数の住戸端末2のそれぞれは、自装置が用いる送信フレームF1において自装置に割り当てられた音声スロットUSで第1方向の音声信号を送信する。通信制御装置3は、自装置が用いる送信フレームF1の音声スロットUS以外の期間において、キャリア検知多重アクセス方式によって通信制御装置3から複数の住戸端末2のいずれかへ至る第2方向の信号(パケット)を送信する。
たとえば、隠れ端末の影響のある第1方向(住戸端末2→通信制御装置3)の通信はTDMA方式でスロット化し、隠れ端末の影響のない第2方向(通信制御装置3→住戸端末2)の通信はCSMA方式で行う。この結果、インターホンシステム200において、通信制御装置3(第1通信端末)と住戸端末2(第2通信端末)との間の通信効率を高めることができる。したがって、インターホンシステム200は、隠れ端末同士による信号(パケット)の衝突を抑制し、かつ信号の授受を効率よく行うことができる。
また、通信制御装置3は、ビーコン信号を周期的に送信する。そして、ビーコン信号は、複数の住戸端末2のそれぞれに対する音声スロットUSの割り当てを示す割当情報を含むことが好ましい。
この場合、通信制御装置3を親機とし、住戸端末2を子機とするインターホンシステムを構成できる。
また、複数の住戸端末2のうち少なくとも1つの住戸端末2が音声信号(音声パケット)を送信する音声送信処理を開始してから終了するまでの通話期間においてのみ、前記少なくとも1つの住戸端末2に対して音声スロットUSが割り当てられることが好ましい。
この場合、不必要な音声スロットUSの割り当てが行われないので、通信効率をさらに高めることができる。
また、複数の住戸端末2のうちいずれかが自装置に割り当てられた音声スロットUSにおいて音声信号(音声パケット)を送信しない場合、この音声スロットUSに対する割り当てが解除され、この音声スロットUSにおいて、通信制御装置3が第2方向の信号(パケット)を送信できる、または他の住戸端末2が第1方向の信号(パケット)を送信できることが好ましい。
この場合、音声パケットの送信に使用されていない音声スロットUSを、この音声スロットUSに割り当てられていない住戸端末2および通信制御装置3が使用することで、通信効率がさらに向上する。
また、複数の住戸端末2のうちいずれかが自装置に割り当てられた音声スロットUSにおける音声信号(音声パケット)の送信が完了したとする。このとき、この音声スロットUSに対する割り当てが解除され、この音声スロットUSの残りの期間において、通信制御装置3が第2方向の信号(パケット)を送信できる、または他の住戸端末2が第1方向の信号(パケット)を送信できることが好ましい。
この場合、複数の通信装置が同一の音声スロットUSを用いてパケットを送信できるので、通信効率がさらに向上する。
また、複数の住戸端末2のそれぞれに割り当てられた音声スロットUSは、時間的に離間することが好ましい
この場合、通信制御装置3の内部クロックと住戸端末2の内部クロックとの間に微小なずれが発生したとしても、音声スロットUSを用いた音声パケットの送信処理に対する影響を低く抑えることができる。
また、複数の住戸端末2のそれぞれに割り当てられた音声スロットUSは、時間的に連続することが好ましい。
この場合、通信制御装置3は、1つの通信ウィンドウDWを用いて大容量の映像情報を有する映像パケットを送信することができる。
また、複数の住戸端末2のそれぞれは、音声信号(音声パケット)の送信準備が完了した時点から自装置に割り当てられた音声スロットUSまでの時間長さである送信待ち時間の情報を含む信号(パケット)を通信制御装置3へ送信する。そして、通信制御装置3は、送信待ち時間の情報に基づいて、送信待ち時間が短くなるように複数の住戸端末2のそれぞれに音声スロットUSを割り当てることが好ましい。
この場合、住戸端末2が音声パケットを送信する際の送信待ち時間が短くなるので、通信効率がさらに向上する。
上述の通信制御装置3は、インターホンシステム200の第1通信装置である。インターホンシステム200は、通信制御装置3と複数の住戸端末2とを備え、通信制御装置3および複数の住戸端末2が送信フレームF1を用いて通信を行う。送信フレームF1は、複数の住戸端末2の少なくとも1つから通信制御装置3(本通信装置)へ至る第1方向の音声信号(音声パケット)を送信可能とする音声スロットUSを含んでいる。通信制御装置3は、伝送処理部31を備える。伝送処理部31は、送信フレームF1の音声スロットUS以外の期間においてキャリア検知多重アクセス方式によって複数の住戸端末2のいずれかへ至る第2方向の信号(パケット)を送信する。また、伝送処理部31は、複数の住戸端末2のそれぞれから音声スロットUSで送信された第1方向の音声信号を受信する。
したがって、通信制御装置3は、インターホンシステム200における隠れ端末同士による信号(パケット)の衝突を抑制し、かつ信号の授受を効率よく行わせることができる。
上述の住戸端末2は、インターホンシステム200の第2通信装置である。インターホンシステム200は、通信制御装置3と複数の住戸端末2とを備え、通信制御装置3および複数の住戸端末2が送信フレームF1を用いて通信を行う。送信フレームF1は、複数の住戸端末2の少なくとも1つから通信制御装置3へ至る第1方向の音声信号(音声パケット)を送信可能とする音声スロットUSを含んでいる。住戸端末2は、伝送処理部26を備える。伝送処理部26は、送信フレームF1において本住戸端末2(本通信装置)に割り当てられた音声スロットUSで第1方向の音声信号を送信する。また、伝送処理部26は、送信フレームF1の音声スロットUS以外の期間においてキャリア検知多重アクセス方式によって送信されて通信制御装置3から本住戸端末2へ至る第2方向の信号(パケット)を受信する。
したがって、住戸端末2は、インターホンシステム200における隠れ端末同士による信号(パケット)の衝突を抑制し、かつ信号の授受を効率よく行わせることができる。
(実施形態2)
図10は、本実施形態のインターホンシステム201の概略構成を示しており、実施形態1の構成に中継器6(第3通信装置)をさらに設けている。なお、他の構成は、実施形態1と同様であり、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
中継器6は、伝送路42を伝送されるパケット(信号)を中継する機能を有する。この中継器6の中継機能によって、伝送路42の長距離化が可能になり、住戸端末2の台数を増やすこともできる。
そして、図11に示すように、通信制御装置3と中継器6との間の通信には、送信フレーム(第1送信フレーム)F1aが用いられる。また、住戸端末2と中継器6との間の通信には、送信フレーム(第2送信フレーム)F1bが用いられる。
送信フレームF1aは、通信制御装置3によって設定され、伝送処理部31が中継器6へ送信するビーコン信号によって、中継器6は送信フレームF1aの情報を取得できる。また、送信フレームF1bは、中継器6によって設定され、中継器6が住戸端末2へ送信するビーコン信号によって、住戸端末2は送信フレームF1bの情報を取得できる。
図11において、中継器6は、送信フレームF1bの音声スロットUS1で、住戸端末2aから音声パケットを受信する。しかし、送信フレームF1aの音声スロットUS1は、送信フレームF1bの音声スロットUS1が発生してから時間T51が経過した後に発生する。この時間T51を、転送待ち時間T51と呼ぶ。図11では、この転送待ち時間T51が長くなっており、伝送遅延が大きくなる要因となる。
そこで、中継器6は、音声パケットのヘッダ101に転送待ち時間T51の情報を付加して通信制御装置3へ転送する。通信制御装置3の伝送処理部31は、中継器6から音声パケットを受信すると、ヘッダ101に付加されている転送待ち時間T51の情報を読み出す。そして、伝送処理部31は、転送待ち時間が短くなるように送信フレームF1aの開始タイミングを調整する。図12では、転送待ち時間T52がスロット幅に等しくなっており、転送待ち時間T51より短くなっている。したがって、本実施形態では、転送待ち時間を短くすることができ、通信効率の向上を図ることができる。
上述のインターホンシステム201は、通信制御装置3と複数の住戸端末2との間の伝送路42に中継器6(第3通信装置)をさらに備えることが好ましい。送信フレームは、送信フレームF1a(第1送信フレーム)または送信フレームF1b(第2送信フレーム)である。中継器6は、通信制御装置3との間の通信に送信フレームF1aを用い、複数の住戸端末2との間の通信に送信フレームF1bを用いる。中継器6は、送信フレームF1bにおいて複数の住戸端末2のそれぞれに割り当てられた音声スロットUSで、第1方向の音声信号(音声パケット)を複数の住戸端末2のそれぞれから受信する。中継器6は、送信フレームF1aにおいて複数の住戸端末2のそれぞれに割り当てられた音声スロットUSで、第1方向の音声信号を通信制御装置3へ送信する。また、中継器6は、送信フレームF1aの音声スロットUS以外の期間において第2方向の信号(パケット)を通信制御装置3から受信し、送信フレームF1bの音声スロットUS以外の期間において第2方向の信号を複数の住戸端末2のそれぞれへ送信する。そして、中継器6において第1方向の音声信号を受信してから転送するまでの時間長さである転送待ち時間が短くなるように、送信フレームF1aの音声スロットUSと送信フレームF1bの音声スロットUSとの時間的な相対位置が調整される。
したがって、インターホンシステム201は、中継器6による転送待ち時間を短くすることができ、通信効率の向上を図ることができる。
また、共用部装置1、住戸端末2、通信制御装置3、および中継器6は、コンピュータを備えている。コンピュータは、プログラムを実行するプロセッサを備えたデバイスと、他の装置との間で信号を授受するためのインターフェイス用のデバイスと、データを記憶するための記憶用のデバイスとを主な構成要素として備える。プロセッサを備えたデバイスは、半導体メモリと別体であるCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)のほか、半導体メモリを一体に備えるマイコンのいずれであってもよい。記憶用のデバイスは、半導体メモリのようにアクセス時間が短い記憶装置と、ハードディスク装置のような大容量の記憶装置とが併用される。
プログラムの提供形態としては、コンピュータに読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク等の記録媒体に予め格納されている形態、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給される形態等がある。
そして、共用部装置1は、コンピュータがプログラムを実行することによって、上述の制御部10、通話処理部13、および伝送処理部17の各機能が実現されている。
また、住戸端末2は、コンピュータがプログラムを実行することによって、上述の制御部20、通話処理部21、および伝送処理部26の各機能が実現されている。
また、通信制御装置3は、コンピュータがプログラムを実行することによって、上述の制御部30、および伝送処理部31の各機能が実現されている。
上述のインターホンシステム200または201の通信制御装置3が備えるコンピュータによって実行されるプログラムは、伝送処理部31の機能をコンピュータに実現させる。インターホンシステム200または201は、通信制御装置3と複数の住戸端末2とを備え、通信制御装置3および複数の住戸端末2が送信フレームF1を用いて通信を行う。送信フレームF1は、複数の住戸端末2の少なくとも1つから通信制御装置3へ至る第1方向の音声信号(音声パケット)を送信可能とする音声スロットUSを含んでいる。伝送処理部31は、送信フレームF1の音声スロットUS以外の期間においてキャリア検知多重アクセス方式によって複数の住戸端末2のいずれかへ至る第2方向の信号(パケット)を送信する。また、伝送処理部31は、複数の住戸端末2のそれぞれから音声スロットUSで送信された第1方向の音声信号を受信する。
したがって、通信制御装置3が備えるコンピュータによって実行されるプログラムは、インターホンシステム200または201における隠れ端末同士による信号(パケット)の衝突を抑制し、かつ信号の授受を効率よく行わせることができる。
上述のインターホンシステム200または201の住戸端末2が備えるコンピュータによって実行されるプログラムは、伝送処理部26の機能をコンピュータに実現させる。インターホンシステム200または201は、通信制御装置3と複数の住戸端末2とを備え、通信制御装置3および複数の住戸端末2が送信フレームF1を用いて通信を行う。送信フレームF1は、複数の住戸端末2の少なくとも1つから通信制御装置3へ至る第1方向の音声信号(音声パケット)を送信可能とする音声スロットUSを含んでいる。伝送処理部26は、送信フレームF1において住戸端末2に予め割り当てられた音声スロットUSで第1方向の音声信号を送信する。また、伝送処理部26は、送信フレームF1の音声スロットUS以外の期間においてキャリア検知多重アクセス方式によって送信されて通信制御装置3から住戸端末2へ至る第2方向の信号(パケット)を受信する。
したがって、住戸端末2が備えるコンピュータによって実行されるプログラムは、インターホンシステム200または201における隠れ端末同士による信号(パケット)の衝突を抑制し、かつ信号の授受を効率よく行わせることができる。
なお、上述の実施形態、および変形例は、適宜組み合わされることが可能である。
また、上述の実施形態および変形例は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態および変形例に限定されることはなく、この実施形態および変形例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。