JP6598693B2 - 有機化合物、それを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材 - Google Patents

有機化合物、それを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロクロミック性の有機化合物、それを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材に関する。
エレクトロクロミック素子は、一対の電極とこの一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層を有する素子である。一対の電極に電圧を印加することで、エレクトロクロミック層を通過する光の光量を調整することができる。
電気化学的な酸化還元反応により、物質の光学吸収の性質(呈色状態や光透過度)が変化するエレクトロクロミック(以下「EC」と省略する場合がある)材料は無機材料、高分子材料、有機低分子材料など種々の材料が知られている。
これらの材料を用いて、自動車の調光ミラーや、電子ペーパー等にEC素子を応用することが行われてきた。これらの装置は、材料の選択によって多様な色調の表示が可能であるという特性を利用している。EC素子を利用する上で、多様な色調の材料を開発することが広汎な用途への可能性を示唆している。
例えば、フルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合にはシアン、マゼンタ、黄色に着色する材料が必要となる。さらに広汎な用途への応用を考えた場合、多様な色調の着色材料が必要になる。また、着色および消色の安定性や長時間の使用による繰り返し耐久性に関しても改善の余地がある。
特許文献1には、還元状態で着色する3,4’‐ビピリジン誘導体が記載され、黄色に着色するエレクトロクロミック素子が記載されている。
特許文献2には、還元状態で着色するピリジン誘導体の有機化合物が記載されている。シアン、マゼンタ、黄色に着色するエレクトロクロミック素子が記載されている。
特開2007‐219272号公報 国際公開第2011/046222号
特許文献1には、3,4’−ビピリジン誘導体は、青色領域の波長の光を吸収し、黄色を呈する化合物、それを有するエレクトロクロミック素子が記載されている。エレクトロクロミック素子の実用化に向けて様々な化合物を検討する必要があり、特許文献1や2に記載されている化合物では不十分である。
本発明は、酸化還元反応により青色領域の波長の光の透過率が変化する有機化合物を提供することを目的とする。
そこで、本発明は下記一般式(1)または(2)で表わされることを特徴とする有機化合物を提供する。
Figure 0006598693
Figure 0006598693
一般式(1)および(2)において、XおよびXはアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。R11乃至R20は、水素原子または置換基を表わす。前記置換基は、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子、アシル基のいずれかを表わす。A およびA は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。
本発明によれば、酸化還元反応により青色領域の波長の光の透過率が変化する有機化合物を提供できる。
本実施形態に係るエレクトロクロミック素子の一例の断面模式図である。 本実施形態に係るレンズユニットの断面模式図である。 本実施形態に係る撮像装置の断面模式図である。 例示化合物A−6の着色状態と消色状態の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。 例示化合物B−6の着色状態と消色状態の紫外可視吸収スペクトルを示す図である。
本発明は、エレクトロクロミック性を有する有機化合物である。エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、エレクトロクロミック化合物とも呼ばれる。本実施形態においては、エレクトロクロミック化合物をEC化合物と称することがある。また、青色領域の波長の光を吸収する材料を、黄色を呈する材料と称することがある。本実施形態において、青色領域とは、440nm以上480nm以下である。また、本実施形態において、着色するとは、特定の波長の透過率が低くなることである。
本発明に係る有機化合物は、下記一般式(1)または(2)で表わされることを特徴とするエレクトロクロミック化合物である。
Figure 0006598693
Figure 0006598693
一般式(1)および(2)において、XおよびXはアルキル基、アラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。前記アルキル基、前記アラルキル基は置換基を有してもよい。R11乃至R20は、水素原子または置換基を表わす。前記置換基は、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子、アシル基のいずれかを表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基、前記アラルキル基、前記アリール基、前記複素環基は置換基を有してもよい。A およびA は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。
およびXは、アラルキル基であることが好ましい。
、XおよびR11乃至R20で表されるアルキル基は、炭素原子数1以上8以下が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよい。
アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、アルキル基が有する水素原子が、ハロゲン原子、エステル基、シアノ基に置き換わってもよい。ハロゲン原子に置き換わる場合は、フッ素原子が好ましい。具体的にはトリフルオロメチル基が好ましい。
また、アルキル基の末端が多孔質電極へ吸着するための吸着基を有していてもよい。吸着基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、トリアルコキシシリル基等が挙げられる。
、XおよびR11乃至R20で表されるアラルキル基は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。アラルキル基は、置換基を有していてもよく、具体的には、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上8以下のアルキルエステル基を有してよい。
11乃至R20で表されるアルコキシ基は、炭素原子数1以上8以下が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよい。アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ターシャリーブチルオキシ基、オクチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基が有する水素原子がハロゲン原子に置き換わってもよい。ハロゲン原子に置き換わる場合は、フッ素原子が好ましい。具体的にはトリフルオロメチルオキシ基が好ましい。
11乃至R20で表されるアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。
アリール基は置換基を有してよい。アリール基が置換基を有する場合は、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の少なくともいずれかを有してよい。
11乃至R20で表される複素環基は、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
複素環基は置換基を有してよい。複素環基が置換基を有する場合は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の少なくともいずれかを有してよい。
11乃至R20で表される置換アミノ基は、アミノ基の水素原子を置換基で置き換えたものである。アミノ基が有する置換基は、アルキル基、アラルキル基、アリール基のいずれかである。
置換アミノ基として、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等が挙げられる。
11乃至R20で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
11乃至R20で表されるアシル基として、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
およびA は、同じでも異なっていてもよく、PF 、ClO 、BF 、AsF 、SbF 、CFSO 、(CFSOなどの陰イオンや、Br、Cl、Iなどのハロゲン陰イオンから選ばれる。好ましくはPF 、ClO 、BF 、(CFSOのいずれかである。また、より好ましくはA とA が同一のアニオンである。
本発明に係る有機化合物は、一般式(1)または(2)で表わされる構造であるため、溶媒に溶解させた場合、高い透明性を有する化合物である。
本発明に係る有機化合物を製造する方法については特に制限はないが、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。上記一般式(1)および(2)で表わされる化合物は、下記一般式(3)、(4)で表わされる有機化合物とハロゲン化物を所定の溶媒中で反応させた後、所望のアニオンを含む塩と所定の溶媒中でアニオン交換反応させることにより得ることが出来る。また、溶媒と反応温度を選択することによって、ピリジンとイソキノリンのイミンの片方だけ反応させることもでる。反応を繰り返すことによって、ピリジンと、イソキノリンと、に互いに異なる置換基を導入することも可能である。
Figure 0006598693
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上記一般式(3)、(4)は、ピリジンのボロン酸誘導体やピリジンのスズ誘導体とイソキノリンのハロゲン体とを、パラジウム化合物の触媒と塩基の存在下、適当な溶媒中でカップリンク反応させることによって得ることができる。
以下に本発明に係る一般式(1)で表わされる有機化合物の合成ルートの一例を示す。なお、一般式(2)で表わされる有機化合物は、一般式(1)の合成ルートにおいて、R15の位置に臭素を設け、臭素の位置をR15とすれば、一般式(1)の合成ルートと同様に合成することができる。合成ルート内のR11乃至R20、XおよびX、およびA 、A は一般式(1)および(2)と同様に置換基を表わす。
Figure 0006598693
以下に本発明に係る有機化合物の具体的な構造式を例示する。但し、本発明に係る化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006598693
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本発明に係るEC性有機化合物は、エレクトロクロミック素子のエレクトロクロミック層として用いることができる。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るエレクトロクロミック素子について説明する。以下ではエレクトロクロミック素子をEC素子と表記する場合がある。
図1のEC素子は、一対の透明電極11と、この一対の電極の間に配置されている電解質と本発明に係るEC性有機化合物とを有するEC層12と、を有するEC素子である。一対の電極は、スペーサー13によって、電極間距離が一定となっている。このEC素子は、一対の電極が一対の透明基板10の間に配置されている。
EC層12は、本発明に係る有機化合物を有している。このEC層は、EC化合物からなる層と、電解質からなる層とを有していてもよい。また、EC化合物と電解質とを有する溶液としてEC層を設けてもよい。本実施形態に係るEC素子は、EC層が溶液であるEC素子であることが好ましい。
次に、本実施形態に係るEC素子を構成する部材について説明する。
電解質としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。中でも電子供与性を有する電解質が好ましい。これら電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。
電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などがあげられる。
具体的にはLiClO、LiSCN、LiBF、LiAsF、LiCF3SO、LiPF、LiI、NaI、NaSCN、NaClO、NaBF、NaAsF、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CHNBF、(CNBF、(n−CNBF、(n−CNPF、(CNBr、(CNClO、(n−CNClO等の4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
EC性有機化合物および電解質を溶かす溶媒としては、EC性有機化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。
具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
さらに、上記EC媒体に、さらにポリマーやゲル化剤を含有させて粘稠性が高いもの若しくはゲル状としたもの等を用いることもできる。
上記ポリマーとしては、特に限定されず、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)などが挙げられる。
次に、透明基板および透明電極について説明する。透明基板10としては、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性樹脂が用いられる。なお、本実施形態において透明とは、可視光の透過率が90%以上の透過率であることを示す。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
電極材料11としては、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロムなどの金属や金属酸化物、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン等の炭素材料などを挙げることができる。
また、ドーピング処理などで導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。
さらに、電極上に多孔質電極を有していてもよい。多孔質電極は表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、ロット形状、ワイヤ形状等表面積が大きい材料が好ましい。
多孔質電極の材料は、例えば、金属、金属酸化物、カーボン等が適用できる。
より好ましくは酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、酸化ストロンチウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化コバルト等の金属酸化物である。
スペーサー13は、一対の電極11の間に配置されており、本発明のEC性有機化合物を有する溶液12を収容するための空間を与えるものである。具体的には、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等を用いることができる。このスペーサーにより、EC素子の電極間距離を保持することが可能である。
本実施形態に係るEC素子は、一対の電極とスペーサーとによって、形成される液体注入口を有していてもよい。液体注入口からEC性有機化合物を有する組成物を封入したのちに、封止部材により注入口を覆い、さらに接着剤等で密閉することで素子とすることができる。
封止部材は、接着剤とEC性有機化合物が接触しないように隔離する役割も担っている。封止部材の形状は、特に限定されないが、楔形等の先細り形状が好ましい。
本実施形態に係るEC素子の形成方法は特に限定されず、一対の電極基板の間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって予め調製したEC性有機化合物を含有する液体12を注入する方法を用いることができる。
本実施形態に係るEC素子は、本発明に係る有機化合物と、この有機化合物とは別種の第2の有機化合物とを有してもよい。第2の有機化合物は、一種類でも複数種種類でもよく、酸化状態で着色する化合物でも、還元状態で着色する化合物でも、その双方の性質を有する化合物であってもよい。本発明に係る有機化合物は還元状態において着色する化合物なので、第2の有機化合物は、酸化状態で着色する化合物であることが好ましい。
酸化状態で着色する化合物とは、酸化状態における可視光の透過率が、還元状態における可視光の透過率よりも低い化合物である。
本発明に係る有機化合物は還元時に黄色に着色する化合物であるが、他の色の着色材料と組み合わせることによって、EC素子として所望の色を発色することができる。着色時における別種の有機化合物は、400nm以上800nm以下の範囲に吸収波長を有することが好ましく、より好ましくは、420nm以上700nm以下に吸収波長を有することである。
吸収波長を特定の範囲に有するとは、吸収スペクトルの最大吸収ピークがその特定の範囲にあればよい。
本発明の化合物と他の化合物を複数組み合わせることによって、可視領域を全て吸収し、黒色着色するEC素子を作製することもできる。
本実施形態に係る第2の有機化合物として、例えば、下記の化合物があげられる。
酸化状態で着色する他のEC化合物としては、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン、5,10−ジヒドロ−5,10−ジエチルフェナジンなどのフェナジン化合物、フェロセン、テトラ−t−ブチルフェロセン、チタノセンなどのメタロセン化合物、N,N’,N,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン化合物、1−フェニル−2−ピラゾリンなどのピラリゾン化合物などが挙げられる。
還元状態で着色する化合物としては、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジテトラフフオロボレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジテトラフロロボレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジヘキサフロロホスフェートなどのビオロゲン化合物、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノンなどのアントラキノン化合物、フェロセニウムテトラフルオロボレート、フェロセニウムヘキサフルオロホスフェートなどのフェロセニウム塩化合物、スチリル化合物などが挙げられる。
第2の有機化合物としては、上記の中でもフェナジン化合物、フェロセン化合物、メタロセン化合物、フェニレンジアミン化合物、ピラリゾン化合物のいずれかであることが好ましい。
本実施形態に係るEC素子が有するEC層に含まれる化合物は、公知の方法により抽出し、分析することで、EC素子に含まれていることを確認することができる。例えば、クロマトグラフィーにより抽出し、NMRで分析することが挙げられる。また、エレクトロクロミック層が固体である場合は、TOF−SIMSなどにより、分析することができる。
本実施形態に係るEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材に用いることができる。本発明に係る光学フィルタは、EC素子とEC素子に接続されている能動素子を有する。能動素子は、エレクトロクロミック素子を駆動し、エレクトロクロミック素子を通過する光の光量を調整する能動素子である。能動素子は、例えば、トランジスタやMIM素子が挙げられる。トランジスタは活性領域に、InGaZnOなどの酸化物半導体を有していてもよい。
本発明に係るレンズユニットは、本発明に係る光学フィルタと、撮像光学系を有する。撮像光学系は複数のレンズを有するレンズ群である。レンズユニットが有する光学フィルタは、レンズとレンズとの間に有していてもよいし、撮像装置に取り付けられた場合に、レンズよりも撮像素子側に設けられてもてよいし、撮像装置に取り付けられた場合に、レンズよりも外側に設けられてもよい。
本発明に係る撮像装置は、光学フィルタと、光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子とを有する。本発明に係る撮像装置は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラである。本発明に係る撮像装置が有する光学フィルタは、撮像素子の直前に設けられてもよい。撮像素子の直前とは、撮像素子と光学フィルタとの間に配置されている部材がないことを意味する。撮像装置がレンズを有する場合は、レンズの外側に設けられてもよい。光学フィルタをレンズの外側に設けるとは、光学フィルタと、撮像素子との間にレンズが配置されるように光学フィルタを配置することを指す。また、撮像装置がレンズを複数有する場合は、レンズとレンズとの間に設けられてもよい。
本発明に係る窓材は、一対の透明基板と、一対の透明基板の間に配置されているEC素子と、EC素子に接続されている能動素子とを有する。一対の透明基板を透過する光の光量をEC素子により調整することができる。この窓材に、窓枠などの部材を加えれば窓になる。窓材は例えば、自動車の窓、飛行機の窓、建材の窓等に用いることができる。
図2は本実施形態の撮像装置を示す模式図である。
本実施形態の撮像装置は、レンズユニット102と、撮像ユニット103と、を有し、レンズユニット102はマウント部材(不図示)を介して撮像ユニット103に着脱可能に接続されている。
レンズユニット102は、複数のレンズあるいはレンズ群を有するユニットであり、絞りより撮像素子側でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズである。
レンズユニット102は、物体側より順に正の屈折力の第1のレンズ群104、負の屈折力の第2のレンズ群105、正の屈折力の第3のレンズ群106、正の屈折力の第4のレンズ群107、の4つのレンズ群と、第2のレンズ群105と第3のレンズ群106との間に開口絞り108と、第3のレンズ群106と第4のレンズ群107との間に光学フィルタ101と、を有する。第2のレンズ群105と第3群のレンズ群106との間隔を変化させて変倍を行うことで、第4のレンズ群107の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。第1乃至第4のレンズ群、開口絞り108、光学フィルタ101を通過した光が撮像素子に受光されるよう、各部材が配置されている。撮像素子が受光する光の光量は開口絞り108および光学フィルタ101を用いて調整を行うことができる。撮像ユニット103は、ガラスブロック109と撮像素子110を有する。
ガラスブロック109はローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。
撮像素子110は、レンズユニット102を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子を使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであっても良く、光の強度あるいは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
本実施形態の撮像装置は、一例として、第二の実施形態の光学フィルタ101が光学レンズユニット内の第3のレンズ群と第4のレンズ群の間に配置されている。本発明の撮像装置は、光学フィルタ101の位置はその配置に限定されるものではなく、開口絞り108の前あるいは後のいずれに配置しても良く、第1〜第4のレンズ群のいずれの前、後、レンズ群の間であっても良い。
なお、光の収束する位置に配置することで、光学フィルタの面積を小さくできるなどの利点がある。また、本発明の撮像装置では、レンズユニットの形態も適宜選択可能であり、リアフォーカス式の他、絞りより前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であってもよく、その他方式であってもよい。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズなどの特殊レンズも適宜選択可能である。
さらに、本実施形態の撮像装置は、一例として、第二の実施形態の光学フィルタ101がレンズユニット102の内部に配置されている。本発明の撮像装置は、第二の実施形態の光学フィルタのうちのEC素子がレンズユニット内に存在し、EC素子の駆動装置はレンズユニット外、すなわち撮像ユニットに配置されていてもよい。このような場合には、配線を通してレンズユニット内のEC素子とEC素子の駆動装置が接続され、駆動制御する。
また、本発明の撮像装置では、第二の実施形態の光学フィルタ101が撮像ユニット103の内部に配置されていても良い。
図3は、第二の実施形態の光学フィルタ101が撮像ユニット103の内部に配置されている構成の撮像装置の模式図である。
光学フィルタ101は撮像ユニット103の内部のガラスブロック109と撮像素子110の間に配置されている。撮像ユニット103自体が光学フィルタ101を内蔵する場合、接続されるレンズユニット102は光学フィルタを持たなくても良いため、既存のレンズユニットを用いることができる。
なお、図3においては、光学フィルタ101は、撮像素子110とガラスブロック109の間に配置されている。図3は一例であり、撮像素子110が光学フィルタ101を通過した光を受光するよう配置されていればよく、光学フィルタ101は、撮像素子110とガラスブロック109の間以外の位置に配置されていてもよい。
このような撮像装置104は、光量調整と撮像素子の組合せを有する製品などがあげられ、例えば、カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレットなどの撮像部位であってもよい。
本実施形態では、絞りより後でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズを表している。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<例示化合物A−5の合成>
6−ブロモイソキノリン5.6g(24.6mmol)、4−ピリジンボロン酸3.7g(29.5mmol)、Pd(PPh 0.6g、炭酸ナトリウム7.9g、ジメトキシエタン50ml、水50mlを300mlナスフラスコに仕込み、窒素気流下、100℃で18時間攪拌を行った。反応終了後、反応液を濃縮した後、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧乾固を行った。シリカゲルカラムクロマト(溶離液:酢酸エチル/エタノール=20/1)で精製後、ジエチルエーテルで分散洗浄を行い6−ピリジルイソキノリンを3.0g(収率:60%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCl,500MHz) σ(ppm):9.33(s,1H),8.76(m,2H),8.61(d,1H),8.11(d,1H),8.09(s,1H),7.88(dd,1H),7.75(d,1H),7.64(m,2H).
6−ピリジルイソキノリンを412mg(2mmol)、4−(ブロモメチル)安息香酸メチル1.0g(4.4mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド20mlを反応容器に仕込み、100℃で8時間撹拌を行った。反応終了後、析出した結晶をろ過、アセトニトリルで洗浄し例示化合物A−5を1.1g(収率:83%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(DO,500MHz) σ(ppm):9.87(s,1H),9.01(d,2H),8.69(s,1H),8.59(d,1H),8.55(d,1H),8.49(d,1H),8.47(d,2H),8.35(d,1H)8.03(t,4H),7.53(dd,4H),5.98(s,2H),5.87(s,2H),3.86(s,3H),3.85(s,3H).
[実施例2]
<例示化合物A−6の合成>
例示化合物A−5を0.5g(0.76mmol)を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.0gを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物A−6を1.3g(収率:98%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCN,500MHz) σ(ppm):9.73(s,1H),8.92(m,2H),8.72(m,1H),8.62(d,1H),8.53(m,2H),8.44(m,2H),8.38(dd,1H),8.01(m,4H),7.61(dd,4H),5.96(s,2H),5.87(s,2H),3.90(s,3H),3.89(s,3H).
[実施例3]
<エレクトロクロミック素子の作製および特性評価>
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを0.1Mの濃度で炭酸プロピレンに溶解させ、次いで実施例2の有機化合物A−6を40.0mMの濃度で溶解させ、EC媒体を得た。
次いで一対の透明導電膜(ITO)付きのガラス基板の四方の端部に絶縁層(SiO)を形成した。基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックス(R)S、125μm厚)を一対の透明電極膜付きガラス基板の間に配置した後、EC媒体注入用の注入口を残してエポキシ系接着剤により基板と、PETフィルムを接着し、封止した。以上のように、注入口付き空セルを作製した。
次に前述の注入口より、上で得られたEC媒体を真空注入法により注入後、注入口をエポキシ系接着剤により封止し、EC素子とした。
作製直後の本EC素子は可視光領域全域にわたり、80%前後の透過率を示し、高い透明性を有していた。
この素子に電圧を3.0V印加すると、例示化合物A−6の還元種に由来する吸収(λmax=474nm)を示し、素子は黄色に着色した。さらに−0.5V印加すると消色した。この素子は着色状態と、消色状態と、を可逆的に変化できる。図4は、実施例3で作製した素子の紫外可視吸収スペクトルである。光源には、オーシャンオプティクス社のDH‐2000S重水素、ハロゲン光源を用いた。なお、図4および図5の650nm付近に表れているピークは、測定機器によるものであり、化合物の吸収ピークではない。
[実施例4]
<例示化合物B−5の合成>
7−ブロモイソキノリン4.0g(19.2mmol)、4−ピリジンボロン酸2.8g(23.1mmol)、Pd(PPh 0.58g、炭酸ナトリウム6.1g、ジメトキシエタン40ml、水40mlを300mlナスフラスコに仕込み、窒素気流下、100℃で18時間攪拌を行った。反応終了後、反応液を濃縮した後、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧乾固を行った。シリカゲルカラムクロマト(溶離液:酢酸エチル/エタノール=20/1)で精製後、ジエチルエーテルで分散洗浄を行い7−ピリジルイソキノリンを3.3g(収率:65%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCl,500MHz) σ(ppm):9.53(s,1H),8.74(m,2H),8.58(m,1H),8.21(s,1H),7.94(m,2H)7.70(d,1H),7.62(m,2H).
7−ピリジルイソキノリンを412mg(2mmol)、4−(ブロモメチル)安息香酸メチル1.0g(4.4mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド20mlを反応容器に仕込み、100℃で8時間撹拌を行った。反応終了後、析出した結晶をろ過、アセトニトリルで洗浄し例示化合物B−5を1.2g(収率:90%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(DO,500MHz) σ(ppm):9.93(s,1H),9.00(d,2H),8.89(s,1H),8.62(d,1H),8.57(m,1H),8.47(d,3H),8.41(d,1H),8.05(t,4H),7.55(dd,4H),6.03(s,2H),5.91(s,2H),3.89(s,3H),3.88(s,3H).
[実施例5]
<例示化合物B−6の合成>
例示化合物B−5を0.5g(0.76mmol)を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.0gを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物B−6を1.3g(収率:98%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCN,500MHz) σ(ppm):9.71(s,1H),8.89(m,3H),8.60−8.45(m,4H),8.42(d,2H),8.11(m,4H),7.60(m,4H),5.98(s,2H),5.87(s,2H),3.90(s,3H),3.89(s,3H).
[実施例6]
<エレクトロクロミック素子の作製および特性評価>
実施例3において、例示化合物A−6の代わりに例示化合物B−6を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を3.0V印加すると、例示化合物B−6の還元種に由来する吸収(λmax=447nm)を示し、素子は黄色に着色した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着色および消色した。この素子は着色状態と、消色状態と、を可逆的に変化できる。図5は、実施例6で作製した素子の紫外可視吸収スペクトルである。
[実施例7]
<例示化合物A−14の合成>
6−ピリジルイソキノリンを412mg(2mmol)、ブロモアセトニトリル528mg(4.4mmol)、アセトニトリル20mlを反応容器に仕込み、加熱還流下で8時間撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却した反応液に酢酸エチルを加え、析出した結晶をろ過、酢酸エチルで洗浄し橙色粉末を得た。
得られた橙色粉末を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.0gを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物A−14を945mg(収率:82%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCN,500MHz) σ(ppm):9.82(s,1H),9.01(m,2H),8.83(s,1H),8.75(d,1H),8.69(d,1H),8.65(m,1H),8.57(m,2H),8.47(m,1H),5.82(s,2H),5.71(s,2H).
[実施例8]
<エレクトロクロミック素子の作製および特性評価>
実施例3において、例示化合物A−6の代わりに例示化合物A−14を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を2.0V印加すると、例示化合物A−14の還元種に由来する吸収(λmax=470nm)を示し、素子は黄色に着色した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着色および消色した。この素子は着色状態と、消色状態と、を可逆的に変化できる。
[実施例9]
<例示化合物B−2の合成>
7−ピリジルイソキノリンを412mg(2mmol)、1−ヨードヘプタン995mg(4.4mmol)、アセトニトリル20mlを反応容器に仕込み、加熱還流下で8時間撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却した反応液に酢酸エチルを加え、析出した結晶をろ過、酢酸エチルで洗浄し橙色粉末を得た。
得られた橙色粉末を50℃の水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.0gを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物B−2を1.06g(収率:76%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCN,500MHz) σ(ppm):9.65(s,1H),8.87(s,1H),8.83(m,2H),8.60−8.45(m,4H),8.41(d,2H),4.71(t,2H),4.59(t,2H),2.13−1.98(m,4H),1.47−1.26(m,16H),0.94−0.85(m,6H).
[実施例10]
<例示化合物A−4の合成>
6−ピリジルイソキノリンを412mg(2mmol)、1−ヨードヘプタン995mg(4.4mmol)、アセトニトリル20mlを反応容器に仕込み、加熱還流下で8時間撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却した反応液に酢酸エチルを加え、析出した結晶をろ過、酢酸エチルで洗浄し橙色粉末を得た。
得られた橙色粉末を50℃の水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.0gを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物A−4を1.10mg(収率:79%)得た。NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
H NMR(CDCN,500MHz) 9.64(s,1H),8.85(d,2H),8.73(s,1H),8.64(d,1H),8.53(m,2H),8.43(m,2H),8.38(m,1H),4.69(t,2H),4.59(t,2H),2.14−1.99(m,4H),1.47−1.26(m,16H),0.95−0.85(m,6H).
[実施例11]
<エレクトロクロミック素子の作製および特性評価>
実施例3において、例示化合物A−6の代わりに例示化合物A−4を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を3.0V印加すると、例示化合物A−4の還元種に由来する吸収(λmax=473nm)を示し、素子は黄色に着色した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着色および消色した。この素子は着色状態と、消色状態と、を可逆的に変化できる。
[実施例12]
<酸化還元サイクルの耐久安定性>
耐久性の測定は、作用電極にグラッシーカーボン、対向電極に白金、参照電極に銀を用いた。炭酸プロピレン溶液(0.1mol/L)中に、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩を支持電解質として、各化合物を溶解(5.0×10−4mol/L)した溶液を作製した。この溶液について、化合物の還元電位電位以下である−1.5V(vs.Ag/Ag+)/3秒間の定電位酸化と、0V(vs.Ag/Ag+)/3秒間の定電位酸化からなる矩形波電位プログラムを10000回繰り返した。10000回の酸化還元サイクル前および後のCV測定における還元ピーク電流量の変化を表1にまとめた。ここで還元ピーク電流変化率とは、初期の電流量を100%としてそこからの変動量を加算して示したものである。
Figure 0006598693
以上のように、本発明に係る有機化合物は、10000回の酸化還元サイクル後においても還元ピーク電流量の変化は殆ど見られず、酸化還元サイクルの耐久安定性に優れた化合物である。
上述したことから明らかなように、本発明によれば、一般式(1)に示す化合物を有機EC素子に適用したことにより、安定に可逆的な着色および消色表示を行うことができる、青色領域の波長の光を吸収するエレクトロクロミック素子を提供することができる。
本発明に係る有機化合物は、還元により安定に可逆的な発消色表示を行うことができる青色領域の波長の光を吸収するエレクトロクロミック材料であり、EC素子、それを用いた光学フィルタ、レンズユニットおよび撮像装置等に利用することができる。
10 透明基板
11 透明電極
12 EC化合物を含んだ組成物
13 スペーサー
101 光学フィルタ
102 レンズユニット
103 撮像ユニット
104 正の屈折力の第1のレンズ群
105 負の屈折力の第2のレンズ群
106 正の屈折力の第3のレンズ群
107 負の屈折力の第4のレンズ群
108 開口絞り
109 ガラスブロック
110 撮像素子

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)または(2)で表わされることを特徴とする有機化合物。
    Figure 0006598693

    Figure 0006598693

    一般式(1)および(2)において、XおよびXはアルキル基、アラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。前記アルキル基、前記アラルキル基は置換基を有してもよい。
    11乃至R20は、水素原子または置換基を表わす。前記置換基は、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、置換アミノ基又はハロゲン原子、アシル基のいずれかである。
    前記アルキル基、前記アルコキシ基、前記アラルキル基、前記アリール基、前記複素環基は置換基を有してもよい。A およびA は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。
  2. 前記Xおよび前記Xが同じ置換基であることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  3. 前記R乃至前記R20がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機化合物。
  4. 前記Xおよび前記Xは、前記アラルキル基であることを特徴とする請求項2または3に記載の有機化合物。
  5. 前記A 及び前記A は、同一のアニオンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機化合物。
  6. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック層は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物を含有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  7. 前記エレクトロクロミック層は、前記有機化合物とは別種の有機化合物を有することを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記別種の有機化合物は、フェナジン化合物、フェロセン、メタロセン化合物、フェニレンジアミン化合物、ピラリゾン化合物のいずれかであることを特徴とする請求項6または7に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 420nm以上700nm以下の波長の光を吸収することを特徴とする請求項7または8に記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 前記エレクトロクロミック層は、電解質と前記有機化合物とを有する液体であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  11. 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子とを有することを特徴とする光学フィルタ。
  12. 前記能動素子は、前記エレクトロクロミック素子を駆動し、前記エレクトロクロミック素子を通過する光の光量を調整する能動素子であることを特徴とする請求項11に記載の光学フィルタ。
  13. 請求項11または12に記載の光学フィルタと、複数のレンズを有する撮像光学系と、を有することを特徴とするレンズユニット。
  14. 複数のレンズを有する撮像光学系と、請求項11または12に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
  15. 複数のレンズを有する撮像光学系を取り付け可能な撮像装置であって、
    請求項11または12に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
  16. 一対の透明基板と、前記一対の透明基板の間に配置されている請求項5乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、を有し、前記エレクトロクロミック素子により前記一対の透明基板を透過する光の光量を調整することを特徴とする窓材。
  17. 前記能動素子は、前記エレクトロクロミック素子を駆動し、前記エレクトロクロミック素子を通過する光の光量を調整する能動素子であることを特徴とする請求項16に記載の窓材。
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