JP6598368B2 - 炭化珪素焼結体原料の製造方法、及び炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
その基盤技術として炭化珪素単結晶の成長技術の研究開発が精力的に進められている。
(1)容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造において用いられる原料の製造方法であって、
前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を配し、
炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成されたガス通路を有する炭化珪素原料の焼結体を得ることを特徴とする炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(2)前記通路形成材料がSi、SiN、Si及びSiNの混合物、又は、これらとSiCの混合物のいずれかであることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(3)前記加熱の温度が1400℃〜2100℃であることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(4)前記通路形成材料が前記容器の中心軸に対して対称に配されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(5)前記ガス通路が複数形成されるように、前記通路形成材料が炭化珪素原料粉末内に配されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(6)前記通路形成材料を固めて直棒状の通路形成材料棒とし、前記容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の径が端部側に位置する通路形成材料棒の径よりも大きくなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末内に配することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一つに記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(7)前記通路形成材料を固めて直棒状の通路形成材料棒とし、前記容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の密度の方が端部側に位置する通路形成材料棒の密度よりも高くなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末内に配することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一つに記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
(8)容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造において用いられる、炭化珪素原料の焼結体からなる炭化珪素焼結体原料であって、原料ガスが通るガス通路が規則的に形成された炭化珪素焼結体原料。
(9)容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であって、
前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を配し、
炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成された通路を有する炭化珪素原料の焼結体からなる炭化珪素焼結体原料を作製した後に、該炭化珪素焼結体原料を用いて炭化珪素単結晶の成長を行うことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
(10)容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であって、原料ガスが通るガス通路が規則的に形成された炭化珪素焼結体原料を原料として用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
本発明の炭化珪素焼結体原料の製造方法は、容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造において用いられる原料の製造方法であって、前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を配し、炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成されたガス通路を有する炭化珪素原料の焼結体を得るものである。
図1に示す坩堝3は円筒状であり、台座4はその中心軸が円筒状の坩堝3の中心軸に一致するような円柱状の形状で蓋部3aから下方に向かって突き出ている。台座4の下面に炭化珪素種結晶Wが固定されると、炭化珪素種結晶Wはその中心軸がほぼ円筒状の坩堝3の中心軸に一致することになる。炭化珪素原料粉末は坩堝3の下部に装填されるので、装填された炭化珪素原料粉末全体の中心軸が炭化珪素種結晶Wの中心軸にほぼ一致する。
また、本発明の炭化珪素焼結体原料の製造方法は別の装置で実施してもよく、製造した炭化珪素焼結体原料を炭化珪素単結晶製造用として供給することもできる。
本発明の炭化珪素焼結体原料の製造方法では、図2に示すようにまず、容器(坩堝)3内の下部3bに炭化珪素原料粉末11を装填すると共に、その装填面11aから炭化珪素原料粉末11内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料13を配する。
次いで、炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、通路形成材料13を溶融、蒸発または昇華させると共に、通路形成材料13が抜けて形成されたガス通路14を有する炭化珪素原料の焼結体15を得る(図3参照)。
炭化珪素原料粉末の焼結温度は1400〜2100℃で程度であり、また、単結晶成長における炭化珪素の昇華温度は2200〜2500℃程度である。従って、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料とは、1400〜2100℃程度の温度で溶融、蒸発または昇華する材料である。
通路形成材料は、炭化珪素単結晶製造に用いる原料であることが好ましい。炭化珪素単結晶製造に用いない材料では、炭化珪素単結晶製造装置内で炭化珪素焼結体原料を製造し、そのままその炭化珪素焼結体原料を用いて炭化珪素単結晶の製造を続ける際に不純物になり得るからであり、また、仮に別の装置で炭化珪素焼結体原料を製造した場合でも、通路形成材料が炭化珪素焼結体原料内にいくらか残存していることもあり得るので、その場合にはやはり、炭化珪素単結晶製造の際に不純物になり得るからである。
ただし、通路形成材料は、炭化珪素焼結体原料を製造した化珪素単結晶製造装置内で炭化珪素焼結体原料を使って炭化珪素単結晶を製造した際に問題にならない程度に不純物を含んでいても構わない。
棒状の通路形成材料の径は一様であることが好ましいが、それには限定されない。すなわち、棒状は直棒状に限らないが、直棒状であることが好ましい。
直棒状の通路形成材料(通路形成材料棒)とする場合、その径は2mm以上であることが好ましい。2mm以上であれば、実際の炭化珪素単結晶の製造サイクルではガス通路が詰まりにくいからである。炭化珪素原料の減少の影響が少ない範囲で、3〜10mmであることがより好ましい。
炭化珪素原料粉末内に配する通路形成材料の数(通路形成材料が配された部分が他の部分と離間している場合を通路形成材料が1個として数えたもの)は、1個でもよいが、複数個の方が好ましい。
通路形成材料が抜けてできたガス通路の総容積が大きくなることはSiC原料の量が少なくなることを意味する。従って、通路形成材料の形状や数はSiC原料の量自体ができるだけ少なくならない範囲で、成長空間に露出するSiC原料の表面積を大きくするように決めることが好ましい。
SiNは、昇華温度が高く、Siのように融けないので通路形成材料を配した部分の形状に近いガス通路を形成しやすい点でSiより好ましい。SiNを通路形成材料として用いる場合、バインダーで固体状に固めたものや圧力をかけて成形したものを用いることができる。
なお、Siの融点は1414℃であり、沸点は2355℃である。SiNの昇華温度は圧力によっても変化するが概ね1400〜1900℃であり、Si及びSiNの混合物の昇華温度は混合割合に応じて1400〜1900℃であり、これらとSiCの混合物の昇華温度は混合割合に応じて1400〜2300℃である。
炭化珪素原料粉末が焼結する前に通路形成材料が消失してしまうと、所望通りの形状やサイズのガス通路は形成できないので、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上の温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を用いると共に、通路形成材料を配した後、炭化珪素焼結体原料を得るために炭化珪素原料粉末が焼結する温度以上で加熱する。かかる温度で加熱することにより、炭化珪素原料の形状が保持されたまま、通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させることができる。
通路形成材料としてSiを用いた場合には、加熱温度は1450〜2100℃であることが好ましく、また、SiNを用いた場合には、加熱温度は1600〜1900℃であることが好ましい。
炭化珪素原料粉末内に通路形成材料棒を配する際には、通路形成材料棒を容器(坩堝)の底部に向けて真っ直ぐ、すなわち、容器(坩堝)の中心軸に平行に配置するのが好ましい。容器(坩堝)の底部から台座に固定された種結晶の方に昇華ガスが流れるからである。
図4に示すように、容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の径が端部側(側壁3A側に位置する通路形成材料棒の径よりも大きくなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末21内に配することが好ましい。
図4に示す例では、側壁側3A側から中心軸に近づくにつれて大径となる3種類の径の通路形成材料棒(側壁3A側から順に符号23a、23b、23c。図において引き出し線は通路形成材料棒の一部からだけ引いている。)が配置している。
容器(坩堝)の中央部側の方が容器(坩堝)の端部側よりも温度が低いことに起因して原料の昇華速度(単位時間当たりの昇華量)が低いため、それを補うためである。
図5に示すように、容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の密度の方が端部側(側壁側)3Aに位置する通路形成材料棒の密度よりも高くなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末31内に配することが好ましい。
図5に示す例では、側壁3A側から中心軸に近づくにつれて、同径の通路形成材料棒(符号33。図において引き出し線は通路形成材料棒の一部からだけ引いている。)の密度が高くなるように配置している。
容器(坩堝)の中央部側の方が容器(坩堝)の端部側よりも温度が低いことに起因して原料の昇華速度(単位時間当たりの昇華量)が低いため、それを補うためである。
図6に示す例は、通路形成材料が容器(坩堝)の中心軸に対して環状に(側壁にほぼ平行に)、複数の通路形成材料環を配置した例である。図6に示す例では、通路形成材料は連続的につながった通路形成材料環となっているが、環状的に配置されているが連続的にはつながっていない、断続的な通路形成材料環でもよい。
図6に示す例では、側壁3A側から中心軸に近づくにつれて、通路形成材料環(側壁3A側から順に符号43a、43b、43c。)の厚みが厚くなるように配置している。
容器(坩堝)の中央部側の方が容器(坩堝)の端部側よりも温度が低いことに起因して原料の昇華速度(単位時間当たりの昇華量)が低いため、それを補うためである。
本発明の炭化珪素焼結体原料は、容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造において用いられる、炭化珪素原料の焼結体からなる炭化珪素焼結体原料であって、原料ガスが通るガス通路が規則的に形成されているものである。
ここで、「規則的に形成されている」とは、単に炭化珪素原料を焼結することで形成されるランダムに孔(連通孔を含む)が配置する多孔質の炭化珪素原料焼結体とは異なるものであることを意味するものであり、例えば、複数個の同じ径のガス通路が規則性をもって配置している場合や、複数個の異なる径のガス通路が規則性をもって配置している場合などが挙げられる。複数個の同じ径のガス通路が規則性をもって配置した炭化珪素焼結体原料は例えば、同じ径を有する通路形成材料棒を用いることにより製造することができる。また、複数個の異なる径のガス通路が規則性をもって配置した炭化珪素焼結体原料は例えば、所望の種類の径を有する通路形成材料棒を用いることにより製造することができる。
炭化珪素焼結体原料の中央部側の方が炭化珪素焼結体原料の端部側(外周側)よりも温度が低いことに起因して原料の昇華速度(単位時間当たりの昇華量)が低いので、それを補うためである。
炭化珪素焼結体原料の中央部側の方が炭化珪素焼結体原料の端部側(外周側)よりも温度が低いことに起因して原料の昇華速度(単位時間当たりの昇華量)が低いので、それを補うためである。
本発明の第1実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であって、前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を配し、炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成された通路を有する炭化珪素原料の焼結体からなる炭化珪素焼結体原料を作製した後に、該炭化珪素焼結体原料を用いて炭化珪素単結晶の成長を行うものである。
11 炭化珪素原料粉末
13 通路形成材料
14 ガス通路
15 炭化珪素焼結体原料
100 炭化珪素単結晶製造装置
Claims (8)
- 容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造において用いられる原料の製造方法であって、
前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する材料であって、Si、SiN、Si及びSiNの混合物、又は、これらとSiCの混合物のいずれかである通路形成材料を配し、
炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成されたガス通路を有する炭化珪素原料の焼結体を得ることを特徴とする炭化珪素焼結体原料の製造方法。 - 前記加熱の温度が1400℃〜2100℃であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
- 前記通路形成材料が前記容器の中心軸に対して対称に配されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
- 前記ガス通路が複数形成されるように、前記通路形成材料が炭化珪素原料粉末内に配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
- 前記通路形成材料を固めて直棒状の通路形成材料棒とし、前記容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の径が端部側に位置する通路形成材料棒の径よりも大きくなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末内に配することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
- 前記通路形成材料を固めて直棒状の通路形成材料棒とし、前記容器の中央部側に位置する通路形成材料棒の密度の方が端部側に位置する通路形成材料棒の密度よりも高くなるように、前記通路形成材料を炭化珪素原料粉末内に配することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭化珪素焼結体原料の製造方法。
- 容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であって、
前記容器内の下部に炭化珪素原料粉末を装填すると共に、その装填面から前記炭化珪素原料粉末内の下方に延びるように、炭化珪素原料粉末の焼結温度以上でかつ炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で溶融、蒸発または昇華する通路形成材料を配し、
炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で加熱して、前記通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させると共に、前記通路形成材料が抜けて形成された通路を有する炭化珪素原料の焼結体からなる炭化珪素焼結体原料を作製した後に、該炭化珪素焼結体原料を用いて炭化珪素単結晶の成長を行うことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。 - 容器内に種結晶と原料を配し、該原料を昇華させて、前記種結晶上に炭化珪素の単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であって、原料ガスが通るガス通路が規則的に形成された炭化珪素焼結体原料を原料として用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
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