JP6598069B2 - シート給送装置、画像形成装置及び画像読取装置 - Google Patents

シート給送装置、画像形成装置及び画像読取装置 Download PDF

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Description

本発明は、シート給送装置、画像形成装置及び画像読取装置に関するものである。
従来、積載されたシート束からシートを一枚ずつ送り出す分離パッド方式のシート給送装置であって、シート給送時にシートと分離パッドとの断続的なスリップであるスティックスリップに起因した異音を防止する構成を有するものが知られている。分離パッド方式は、シートを送り出すように回転駆動される給送ローラと、その給送ローラに押し当てるように配設された分離パッドとによって、シートを一枚ずつ分離して送り出す方式である。
特許文献1には、かかる分離パッド方式のシート給送装置であって、次のように給紙コロの側面に振動抑制部材を設けたシート給送装置が開示されている。このシート給送装置では、分離パッドに対する給紙ローラの位置決めを行うように給紙ローラの軸と同軸上に分離パッドに接触する給紙コロが設けられ、その給紙コロの側面に、給紙コロの振動を抑制する振動抑制部材を設けられている。このシート給送装置によれば、前記振動抑制部材によって給紙コロの振動の共振点を変化させる等によって給紙コロの振動が抑制される。このように振動が抑制された給紙コロがシートに接触することにより、上記スティックスリップによって発生するシートの振動を抑制するとともにシートから伝わる振動による給紙コロの振動を抑制できるため、それらの振動による異音の発生を抑制できるとされている。
しかしながら、上記分離パッド方式のシート給送装置について発明者らが実験検討を行ったところ次のような課題があることがわかった。すなわち、シートと分離パッドとのスティックスリップによって発生したシートの振動が給送ローラ及びその軸支持部を介して、軸支持部が設けられたフレーム部材に伝播してフレーム部材が共振し、異音が発生するおそれがあることがわかった。
上述した課題を解決するために、本発明は、シートを給送するように回転駆動される給送部材と、前記給送部材に押し当てるように配設されたシート分離部材と、前記給送部材の回転軸を回転可能に保持する軸支持部と、を備えるシート給送装置であって、前記軸支持部が設けられたフレーム部材に、該フレーム部材の振動を抑制する振動抑制部材を設けたことを特徴とするものである。
本発明によれば、シート給送時に給送部材で送り出したシートと分離パッドとのスティックスリップに起因したフレーム部材の共振による異音を防止することができる。
本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの全体構成の一例を示す外観斜視図。 同レーザプリンタの概略構成断面図。 給紙トレイの斜視図。 給紙装置の側面図。 実施例1に係る給紙ローラ及び制振材を支持する給紙ステーの斜視図。 図5の給紙ステーを上から見た上面図。 図6中の給紙ステーの矢視A−A断面図。 上カバー、転写カバーを閉じた状態を示すレーザプリンタの概略構成断面図。 上カバー、転写カバーを開いた状態を示すレーザプリンタの概略構成断面図。 図9の状態から中間転写ユニット、プロセスカートリッジを引き抜いて、制振材に上方からアクセス可能となった状態を示すレーザプリンタの概略構成断面図。 (a)は従来の給紙部構成におけるシート搬送時の振動加速度を測定したグラフ、(b)は実施例1の給紙部構成における振動加速度を測定したグラフ。 シートを搬送している状態を示す給紙装置の側面図。 実施例2に係る給紙ステーの斜視図。 図13の給紙ステーの上面図。 実施例3に係る給紙ステーの斜視図。 図15の給紙ステーの上面図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す外観斜視図である。また、図2は、本実施形態の画像形成装置の構成を概略的に示す構成断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1は、シートSを積載・収容する給紙トレイ2、機内から排出されたシートSを積載する上カバー3、開閉可能な転写カバー4を備えている。また、図2に示すように、レーザプリンタ1は、機枠体の内部に4つのプロセスカートリッジ5B,C,M,Y、中間転写ユニット6、定着ユニット7、搬送ローラ対21、転写ローラ22、排紙ローラ対23、光学ユニット24を備えている。また、レーザプリンタ1は、給紙トレイ2に積載されたシートSを一枚ずつ分離して給送する給送部材としての給紙ローラ60を備えている。
上記構成のレーザプリンタ1において、印刷ジョブが投入されると、給紙トレイ2に積載されているシートSが、給紙ローラ60により搬送路に給送され、搬送ローラ対21を介して図2中の鉛直方向の上方に位置する転写ローラ22に搬送される。また、プロセスカートリッジ5B,C,M,Yは光学ユニット24によって露光されて画像を形成し、この画像は中間転写ユニット6を介して転写ローラ22で、搬送されてきたシートSに転写される。さらに、シートSは定着ユニット7で画像を熱と圧力とにより定着され、上カバー3に排出される。
次に、給紙トレイ2に収容されたシートSを一枚ずつ送り出すためのシート給送装置としての給紙装置について説明する。図3は、給紙トレイ2の斜視図であり、図4は、分離パッド方式を用いた一般的な給紙装置の給紙分離部の側面図である。
給紙トレイ2は図3に示すように、後述するフレーム部材としての給紙ステー61に回転可能に支持されている給紙ローラ60が、シートSを収容していない積載板54に当接している状態を示している。
給紙装置は図4に示すように、給紙ローラ60、積載板54、積載板54上のシートSを給紙ローラ60側に付勢する圧縮バネ56、受台52、受台52に配設された分離パッド51、受台52を給紙ローラ60側に付勢する分離バネ55から構成されている。給紙ローラ60はモータ等の駆動源によって図中矢印方向に回転駆動される。また、上記分離パッド51は、給紙ローラ60に押し当てるように配設されたシート分離部材としての機能を有している。なお、図4は、受台52が回動軸52bを支点として回動する回動方式の分離パッド構成の給紙装置を図示しているが、回動方式の分離パッド構成に限られるものではなく、受台52が上下方向に平行移動する直動方式の分離パッド構成であってもよい。
給紙トレイ2内の積載板54に積載されたシートSは、圧縮バネ56の加圧力によって、その最上位の用紙上面が給紙ローラ60に押し付けられ、給紙ニップを形成し、給紙ローラ60の駆動により最上位のシートSが一枚ずつ搬送される。ここで、積載板54を給紙ローラ60側に加圧して付勢する手段として圧縮バネ56を用いているが、給紙ローラ60と積載板54とが接触して押圧力が加わる構成であればどのような手段であってもよい。
上記給紙装置において、給紙ローラ60で積載板54に積載されたシートSが複数枚送られた場合、複数枚のシートSは給紙ローラ60と分離パッド51との間の分離ニップに挟み込まれる。この分離ニップは分離バネ55により所定の圧力がかかった状態に維持されている。ここで、給紙ローラ60とシートSとの間の摩擦係数をμr、用紙S相互間の摩擦係数をμp、用紙Sと分離パッド51との間の摩擦係数をμfとすると、これら3つの摩擦係数の大小関係は、μr>μf>μpとなるように設定されている。これにより、複数枚送られたシートSのうち給紙ローラ60に接触している最上位のシートSのみが摩擦分離され、搬送ローラ対21に向けて給送される。また、受台52の材質としては、シートSの搬送性を良好にするため分離パッド51より摩擦係数が低く安価な樹脂材を選定することができる。
〔実施例1〕
次に、給紙ローラ60及び制振材63の支持構造の一例について説明する。
図5は、本実施形態の実施例1に係る給紙ローラ60及び制振材63を支持するフレーム部材としての給紙ステー61の斜視図である。図6は、図5の給紙ステー61を上から見た上面図である。また、図7は、図6中の矢視A−A断面図である。
本実施例1において、給紙ローラ60は、図7に示すように、外周を覆うゴムローラ部60aとハブ部60bとで構成される。ハブ部60bの両端には、支持軸60c,60dが設けられている。支持軸60cは給紙ステー61に一体的に設けられたボス部61aに回転可能に支持され、支持軸60dは給紙ステー61に一体的に設けられた穴部61bに回転可能に支持される。これらの支持軸60c及びボス部61a、並びに、支持軸60d及び穴部61bが、給紙ローラ60を回転可能に保持する保持部としての機能を有する。
また、ハブ部60bの支持軸60dの内周に給紙軸62の先端部が固設されている。この給紙軸62は、給紙ステー61の外側で、ギヤ等を介したモータ等の駆動部と接続されており、図7中の矢印方向に給紙ローラ60とともに回転駆動する。駆動部から給紙軸62を介して給紙ローラ60に駆動が伝わることで、給紙ローラ60が回転してシートSが搬送される。
なお、上記保持部は上記構成に限らず、給紙ローラ60の支持軸60c,60dをそれぞれ、ボールベアリングなどの軸受を介して給紙ステー61で回転可能に支持する構成であってもよい。
また、上記給紙ステー61は、両側に設けられた側板70,71に保持されている。さらに、給紙ステー61は、給紙ローラ60上部を覆うような上壁61cを一体的に設けている。
上記構成の給紙装置において、シート搬送時にシートSと分離パッド51とのスティックスリップによりシートSに微小な振動が発生することがある。すると、この微小な振動が給紙ローラ60を介して給紙ステー61へ伝播し、給紙ステー61が共振することで異音が発生するおそれがある。
ここで、分離パッド51の受台52や給紙トレイ2に制振部材を設けて振動を抑制する場合は、分離パッド51、その受台52及び給紙トレイ2の振動を抑制することができるが、上記スティックスリップによりシートSの微小な振動に起因した給紙ステー61の共振による異音の発生は抑制できない。
また、前述の特許文献1には、制振材(振動抑制部材)を受台や給紙トレイではなく、分離パッドに対する給紙ローラの位置決めのために給紙ローラと同軸に設けられた給紙コロの側面に制振材を設けたシート給送装置が開示されている。しかしながら、特許文献1のシート給送装置でも、上記スティックスリップによりシートSの微小な振動に起因した給紙ステー61の共振による異音の発生は抑制できない。しかも、特許文献1のシート給送装置では、給紙コロの側面に制振材を設けているため給紙コロの重心位置がずれて回転ムラが発生し、その給紙コロと同軸に設けられている給紙ローラにも回転ムラが発生し、異常画像や異常音が発生するおそれがある。更に、特許文献1のシート給送装置では、給紙ローラと同軸に設けた給紙コロの重量を重くして振動を抑制するようにしているため、給紙ローラの駆動トルクが増加し、このトルク増加による経時での摩耗や破損、それに伴う低寿命化や搬送不良が生じるおそれもある。また、制振材の部品の剛性や質量等にもよるが、給紙ローラが共振しなくなるまで固有振動数を変化させるために必要な制振材の質量が大きく、制振材の十分な設置スペースを給紙コロの側面内に確保することができない場合がある。この場合、給紙コロ及び給紙ローラを大型化する必要が生じてしまう。
本実施例1では、シート給送装置としての給紙装置における分離給送時の給紙ステー61の共振による異音を防止するために、給紙ステー61に振動抑制部材としての制振材63を設置している。制振材63を設置して給紙ステー61に加わる荷重を増やすことによって、給紙ステー61の固有振動数を変化させて共振を防止することができる。この際、制振材63で給紙ステー61の固有振動数を変化させるためには、できる限り質量を増やす必要があり、効率的に異音防止効果を得るためには制振材63の材料は比重が大きいことが望ましい。そこで、本実施例1では、制振材63として樹脂材より比重の大きい金属材を用いている。なお、制振材63の形状は、図5乃至図7に示す例では長方形の板材を用いているが、棒材など別形状を用いてもよい。
次に、制振材63の最適な設置位置について説明する。
給紙ステー61の共振を抑えるためには、出来るだけ振動源に近い伝播経路の上流側で振動を抑制することが望ましい。給紙ステー61の共振の原因となる振動は、給紙ローラ60から保持部であるボス部61aと穴部61bとを介して給紙ステー61に伝播している。このため本実施例1では、図7において、給紙ローラ60の保持部であるボス部61aと穴部61bとの上部、つまり給紙ローラ60の上部を覆う上壁61cの上面側に制振材63を設置している。このように伝播経路の上流側に制振材63を設置することで、異音防止の効果をより高めることが可能となる。
また、給紙ステー61は、支持軸60c及びボス部61a並びに支持軸60d及び穴部61bで保持された給紙ローラ60が配置するように切り欠いた切り欠き部分としての切り欠き部61dが形成されている。本実施例1のように、1つの給紙ローラ60で給紙ニップと分離ニップとを形成する給紙機構においては、給紙部と分離部とのニップ量を確保するために、他の搬送ローラと比較して外径が大きくなってしまう。従って、給紙ステー61の切り欠き範囲も、他の搬送ローラ設置箇所と比較して大きくなる。このように切り欠き部61dが大きいと周辺の剛性が低くなるため、給紙ローラ60及び給紙ステー61が共振しやすくなってしまう。そこで、給紙ステー61の剛性を補うために、給紙ステー61の給紙ローラ60が配設された切り欠き部61dの給紙ローラ60とは反対側の外面上、つまり上述した給紙ローラ60の上部を覆う上壁61cの上面側に剛性の高い制振材63を設置している。これにより給紙ステー61の剛性を確保でき、異音防止の効果をより高めることが可能となる。
なお、上記特許文献1で開示されているように給紙ローラの側面に制振材を設ける構成ではないので、給紙ローラの重心位置がずれて回転ムラが生じることはない。また、制振材の十分な設置スペースを給紙ローラ内に確保するために、給紙ローラが大型化することもない。
また、本実施例1においては、図7に示すように、制振材63を給紙ステー61にねじ64a,bで締結している。剛性の高い制振材63を給紙ステー61と連結することで、給紙ステー61の剛性を高くして振動を低減することが可能となる。また、ねじ締結により、給紙ステー61に対して制振材63の脱着が容易となる。なお、本実施例1では、給紙ステー61への制振材63の固定手段としてねじ締結を用いているが、両面テープや接着材、もしくは樹脂弾性を用いた爪による固定であってもよい。
また、制振材63の固定箇所を、上述したように出来るだけ振動源に近接した位置に設けることで、振動をより低減させることができる。本実施例1においては、制振材63をねじ締結するねじ穴61g,61hをそれぞれ、振動源に近いボス部61a、61bの近傍に設けている。このように給紙ローラ60を保持しているボス部61aと穴部61bとの両側近傍をねじ固定し、かつ、制振材63で繋ぐことで、給紙ローラ60周辺の剛性を高くして異音防止の効果をより高めることができる。
次に、制振材63を複数個(複数枚)設置可能で、かつ、脱着によって個数(枚数)調整可能な構成、すなわち制振材63の積載量を調整可能な構成について説明する。
前述したスティックスリップと呼ばれる微小な振動は、使用するシート材や環境によって発生頻度や大きさが異なる。このため使用状況によっては、給紙ステー61の振動を抑制可能な固有振動数が異なる場合がある。このような場合に備えて、制振材63を複数個(複数枚)設置可能で、かつ、ねじ締結による脱着によって個数(枚数)を調整可能とすることで、給紙ステー61の固有振動数を調整することができる。これによりユーザの使用状況に応じて、制振材63の個数(枚数)を調整し、固有振動数を変化させて、異音を抑制することが可能となる。
例えば、振動抑制効果が不足する場合は、更に制振材63を追加する対応が可能となる。一方、振動抑制効果が十分又は不要な場合には、制振材63の個数を減らしたり、無くしたりすることでマシン重量を低減することが可能である。これにより、出荷時は制振材63を取り付けず、ユーザの使用時に異音や振動が発生した場合、後から制振材63を取り付ける対応が可能となる。よって、出荷時のコストダウンや装置の軽量化が可能となる。
本実施例1においては、板状の制振材63を上に積み重ねて積載個数を調整する構成をとっており、使用する制振材63は同形状のものを使用している。制振材63の種類を一つに統一することで、個数調整時の作業が容易となる他、金型費が増えることを防止できる。また、制振材63上にはネジの貫通穴63a,63bが設けられており、複数の制振材63をまとめて給紙ステー61に締結することができる。このとき、制振材63の使用個数に応じて異なる長さのネジ64a,64bを使用してもよい。また、スペースに余裕があれば、ねじ穴61g,61hの深さを十分深くして雌ねじを形成し、1個(枚)〜最大積載個数(枚数)まで締結可能な長いねじ64a,64bを用いてもよい。さらに、給紙ステー61上の位置決めボス61e,61fの高さを制振材63の最大積載個数(枚数)の厚み以上とすることで、複数の制振材63をまとめて位置決めすることが可能になる。
次に、制振材63のアクセス性について説明する。
上述した制振材63を複数個設置可能であって個数調整可能な構成において、制振材63の個数を調整しやすくするためには、制振材63の設置箇所へのアクセスが容易であることが望ましい。一般的に給紙ローラ60は消耗品で交換可能な場合が多いが、給紙ローラ60の上側(給紙ステー61の上面側)は装置内側でアクセス困難な場合が多い。アクセス可能とするために開口部を設けると、装置全体の剛性が低下し、異常音や画像不良が発生する可能性がある。
そこで本実施例1では、脱着が必要である消耗品ユニットを外すことでアクセス可能となる位置に制振材63を設置している。このため、装置全体の剛性が下がるような開口部を設けることなく制振材63にアクセス可能となる。
上述した制振材63へのアクセスが可能な具体的構成について、図8乃至図10を用いて詳細に説明する。
図8は、上カバー3、転写カバー4を閉じた状態を示すレーザプリンタ1の概略構成断面図である。図9は、上カバー3、転写カバー4を開いた状態を示すレーザプリンタ1の概略構成断面図である。また、図10は、図9の状態から中間転写ユニット6、現像ユニットであるプロセスカートリッジ5を引き抜いて、制振材63に上方からアクセス可能となった状態を示すレーザプリンタ1の概略構成断面図である。
図8において、制振材63の上方には中間転写ユニット6、プロセスカートリッジ5が配置されている。図9において、転写ローラ22や中間転写ユニット6などの転写ユニットは、転写カバー4を開いて前方向(図中右方向)に脱着することが可能である。また、プロセスカートリッジ5は、上カバー3を開いて上方向に脱着することが可能である。また、図10に示すように、中間転写ユニット6、黒色用のプロセスカートリッジ5Bを取り外すことで、制振材63に上方向からアクセス可能となる。これにより、装置の剛性を低下させることなく、他の消耗品の脱着作業と同程度の手順で、ねじ64a,b、アース板65及び制振材63の脱着作業を容易に行うことができる。
なお、本実施例1におけるプロセスカートリッジ5などの消耗部品の脱着方法は一例であり、例えばプロセスカートリッジ5を図9中で手前側に引き抜いたり、中間転写ユニット6をレーザプリンタ1本体の側面側から手前側に引き抜いたりしてもよい。このようにプロセスカートリッジ5や中間転写ユニット6は引き抜き方向が異なっていてもよく、これらが制振材63の上方に脱着可能に設けられていて、引き抜いたときに、制振材63が露出する構成であればよい。
次に、制振材63のアース構成について説明する。制振材63の材料は比重の大きい金属材料を用いており、放電による中間転写ユニット6やシートSへのノイズを防止するために制振材63をアースに接続する。本実施例1においては、アース板65の一端を最上層の制振材63と接触させて他の複数の制振材63とともにネジ固定し、他端を給紙ステー61にねじ64cで固定する。アース板65は、給紙ステー61からアースへと接続されている。積み重なった複数の制振材63同士は互いに上面と下面とで接触しており、全ての制振材63は電気的に接続されている。従って、最上層の制振材63にアースを接続すれば全ての制振材63のアースをとることが可能である。また、アース板65の材質に柔軟な薄板材を用いることで、制振材63の個数を変えてもアース板65が変形して追従するため、固定可能である。
次に、本実施例1に係る給紙装置のシート搬送時における振動加速度について、従来構成の給紙装置と比較して説明する。
図11(a)は比較例に係る給紙部構成におけるシート搬送時の振動加速度を測定したグラフ(サンプル1)であり、図11(b)は本実施例1に係る給紙部構成における振動加速度を測定したグラフ(サンプル2)である。これらの給紙部構成の相違点は制振材63の有無のみであり、その他の構造や材質等は同じ設定にした。また、図12はシートSを搬送している状態を示す給紙装置の側面図である。
図11(a),(b)に示す波形は、両構成それぞれの給紙装置を搭載したレーザプリンタにおいて、シート後端Seが給紙ニップAを抜ける前後の振動測定結果をグラフ化したものであり、横軸は時間値[s]、縦軸は振動加速度[G]を表している。縦軸の振動加速度[G]が大きければ大きいほど、給紙ステー61が大きく振動していることを示し、同時に大きな異音が発生していることを表している。本測定において、給紙ローラ60はシート後端が給紙ニップを抜けて0.12[s]程後に駆動停止する動作を行っている。
図11(a)に示すように、従来構成の給紙装置の測定結果を示すグラフ(サンプル1)では、シート後端Seが給紙ニップAを抜けてから給紙ローラ60が停止するまでの間に大きく振動して異音が発生している。このタイミングで振動が増加している原因は、給紙ニップAを抜けた後、分離ニップBにおいて摩擦係数(μ)が高い分離パッド51と給紙ローラ60とが直接摺動して給紙ローラ60に加わる負荷が増えるためである。
これに対して、図11(b)に示すように、本実施例1の給紙装置の測定結果を示すグラフ(サンプル2)では、同タイミング(シート後端Seが給紙ニップAを抜けてから給紙ローラ60が停止するまでの間)でも微小な振動しか計測されていない。
上記測定結果から、本実施例1の給紙装置の構成と従来構成とでは振動加速度に大きな差があり、本実施例1の給紙装置では微小な振動しか発生しないことが確認できた。従って、本実施例1に係る給紙装置は、従来構成に比べて、明らかに振動を低減することができ、給紙ステー61の振動を抑制し、異音の発生を抑制・防止する作用効果があることが実証された。なお、振動加速度の測定に使用した機材等の詳細は、下記の表1のとおりである。
Figure 0006598069
〔実施例2〕
次に、本実施形態の実施例2について説明する。
図13は、本実施例2に係る給紙ステー61の斜視図である。また、図14は、図13の給紙ステー61を上から見た上面図である。上記実施例1と同じ構造については、説明を省略する。
図13及び図14に示すように、本実施例2に係る給紙ステー61には、複数の突起部としての4つのリブ67a,b,c,dが設けられている。制振材63は、これら4つのリブ67a,b,c,dに圧入され、さらにねじ64a,bで締結されて給紙ステー61に保持される。
本実施例2に係る給紙ステー61では、リブ67a,b,c,dを設けることにより、制振材63を保持する給紙ステー61の剛性が高まり、より振動を抑制することができる。
〔実施例3〕
次に、本実施形態の実施例3について説明する。
図15は、本実施例3に係る給紙ステー61の斜視図である。また、図16は、図15の給紙ステー61を上から見た上面図である。なお、上記実施例1と同じ構造については、説明を省略する。
図15及び図16に示すように、本実施例3に係る給紙ステー61は、制振材63をねじ締結せずに、4つのリブ67a,b,c,dに圧入して保持する構成となっている。また、複数枚の制振材63はそれぞれ互いに対向する上面と下面との間を両面テープなどの接着剤で結合されている。
また、複数個の制振材63はそれぞれ接着剤で結合されているため、制振材63自体は電気的に接続していないが、アース板68を複数の制振材63それぞれの積載側面に当接させて、複数個の制振材63をまとめてアースに接続するようになっている。
本実施例3に係る給紙ステー61では、締結用のねじを用いないため部品や組み立てコストを低減することができるとともに、複数個の制振材63それぞれを確実にアースに接続することができる。
なお、上記給紙装置は、上述したレーザプリンタ1などの画像形成装置に限らず、イメージセンサなどの画像読取部を備えたスキャナなどの画像読取装置に適用してもよい。この画像読取装置では、シートSを搬送する際の異音や振動を防止でき、高品質な画像の読み取りが可能になる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
シートSを給送するように回転駆動される給紙ローラ60などの給送部材と、給送部材に押し当てるように配設された分離パッド51などのシート分離部材と、給送部材の支持軸60c等の軸を回転可能に支持するボス部61a及び穴部61bなどの軸支持部と、を備える給紙装置などのシート給送装置であって、軸支持部が設けられたフレーム部材に、フレーム部材の振動を抑制する制振材63などの振動抑制部材を設けた。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、振動抑制部材によってフレーム部材の共振点(固有振動数)を変化させたりフレーム部材の剛性を高めたりすることでフレーム部材の振動が抑制される。このようにフレーム部材の振動が抑制されるので、シート給送時にシートと分離パッドとのスティックスリップによって発生したシートの振動が給送部材及びその軸支持部を介してフレーム部材に伝播しても、そのフレーム部材の振動が抑制される。このようにフレーム部材の振動が抑制されることにより前記スティックスリップに起因したフレーム部材の共振の発生を抑えることができる。従って、シート給送時にシートと分離パッドとのスティックスリップに起因したフレーム部材の共振による異音を防止することができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、振動抑制部材は、フレーム部材における軸支持部の近傍に設けられている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、シートとシート分離部材との間の微小振動の振動源に近い給送部材の軸支持部の近傍でフレーム部材の振動を抑制できるので、フレーム部材の振動を抑制する効果をより高めることができる。
(態様C)
上記態様A又は態様Bにおいて、フレーム部材は、軸支持部で支持された給送部材が配置されるように切り欠いた切り欠き部分を有するように形成され、振動抑制部材は、フレーム部材における給送部材が配設された切り欠き部分の給送部材とは反対側の外面上に配設されている。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、フレーム部材の切り欠き部分の外面上に振動抑制部材を配置しているため、フレーム部材の剛性を高めつつ、フレーム部材の振動を抑制する効果がより高めることができる。
(態様D)
上記態様A乃至Cのいずれかにおいて、振動抑制部材はフレーム部材に固定されている。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、振動抑制部材をフレーム部材に固定することでフレーム部材の剛性を高めつつ、フレーム部材の振動を抑制する効果をより向上させることができる。また、振動抑制部材の落下をより確実に防止することができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、振動抑制部材は、フレーム部における軸支持部の近傍で固定されている。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、微小振動の振動源に近い給送部材の保持部の近傍で振動抑制部材とフレーム部材とを固定することで、フレーム部材の振動を抑制する効果をより高めることができる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、振動抑制部材は、フレーム部材に対して脱着可能に構成される。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、フレーム部材の共振による異音の発生状況に応じて振動抑制部材の脱着を行うことができる。例えば、出荷時は振動抑制部材を取り付けず、ユーザの使用時に異音が発生した場合、後から振動抑制部材を取り付ける対応が可能となる。また、出荷時のコストダウンや軽量化が可能となる。
(態様G)
上記態様A乃至Fのいずれかにおいて、フレーム部材は、複数の振動抑制部材を積載可能に構成される。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、フレーム部材の共振による異音の発生状況によって振動抑制部材の積載量を調整し、装置の小型化及び軽量化を図りつつ、異音を確実に防止できる。
(態様H)
上記態様A乃至Gのいずれかにおいて、シート給送装置から脱着可能に構成された中間転写ユニット6などの脱着ユニットを更に備え、脱着ユニットはフレーム部材に隣接して配置され、振動抑制部材はフレーム部材と脱着ユニットとの間に設けられている。
これによれば、上記実施形態の実施例1について説明したように、脱着ユニットを取り外して振動抑制部材が配設されたフレーム部材が露出して容易にアクセスできる。従って、振動抑制部材の脱着作業や量の調整作業を容易に行うことができる。特に、フレーム部材の上面側に振動抑制部材を配設した構成では、装置の上側から振動抑制部材の脱着作業などを行うことができ、メンテナンス性をより向上させることができる。
(態様I)
上記態様A乃至Hのいずれかにおいて、振動抑制部材は、導電性材料で形成され、アースに接続されている。
これによれば、上記実施形態の実施例1及び実施例3について説明したように、振動抑制部材が電気的にフロート状態になることによるノイズの発生を防止することができる。
(態様J)
上記態様A乃至Iのいずれかにおいて、振動抑制部材は、フレーム部材に形成されたリブ67a,b,c,dなどの複数の突起部の間に圧入されて配設される。
これによれば、上記実施形態の実施例2及び実施例3について説明したように、フレーム部材の剛性を更に高めることができるため、フレーム部材の共振を抑制する効果をより高められる。
(態様K)
上記態様A乃至Jのいずれかのシート給送装置と、そのシート給送装置から送り出されたシートSに画像を形成するプロセスカートリッジ5などの作像部と、を備える。
これによれば、上記実施形態の実施例1乃至3について説明したように、画像形成対象のシートSを作像部に向けて給送するシート給送時にシートと分離パッドとの接触部で発生した微小振動に起因したフレーム部材の共振による異音を防止することができる。
(態様L)
上記態様A乃至Jのいずれかのシート給送装置と、そのシート給送装置から送り出されるシートSの画像を読み取るイメージセンサなどの画像読取部と、を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、画像読取対象のシートSを画像読取部に向けて給送するシート給送時にシートと分離パッドとの接触部で発生した微小振動に起因したフレーム部材の共振による異音を防止することができる。
1 レーザプリンタ
2 給紙トレイ
3 上カバー
4 転写カバー
5B,C,M,Y プロセスカートリッジ
6 中間転写ユニット
7 定着ユニット
51 分離パッド
52 受台
54 積載板
55 分離バネ
56 圧縮バネ
60 給紙ローラ
60c,d 支持軸
61 給紙ステー
61a ボス部
61b 穴部
61c 上壁
61d 切り欠き部
62 給紙軸
63 制振材
64a,b ねじ
65,68 アース板
67a,b,c,d リブ
70,71 側板
A 給紙ニップ
B 分離ニップ
S シート
特開2006−062873号公報

Claims (11)

  1. シートを給送するように回転駆動される給送部材と、
    前記給送部材に押し当てるように配設されたシート分離部材と、
    前記給送部材の軸を回転可能に支持する軸支持部と、を備えるシート給送装置であって、
    前記軸支持部が設けられたフレーム部材に、該フレーム部材の振動を抑制する振動抑制部材を設け
    前記振動抑制部材は、導電性材料で形成され、アースに接続されていることを特徴とするシート給送装置。
  2. 請求項1のシート給送装置において、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材における前記軸支持部の近傍に設けられていることを特徴とするシート給送装置。
  3. 請求項1又は2のシート給送装置において、
    前記フレーム部材は、前記軸支持部で支持された前記給送部材が配置されるように切り欠いた切り欠き部分を有するように形成され、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材における前記給送部材が配設された切り欠き部分の該給送部材とは反対側の外面上に配設されていることを特徴とするシート給送装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかのシート給送装置において、
    前記振動抑制部材は前記フレーム部材に固定されていることを特徴するシート給送装置。
  5. 請求項4のシート給送装置において、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材における前記軸支持部の近傍で固定されていることを特徴とするシート給送装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかのシート給送装置において、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材に対して脱着可能に構成されることを特徴とするシート給送装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかのシート給送装置において、
    前記フレーム部材は、複数の前記振動抑制部材を積載可能に構成されることを特徴とするシート給送装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかのシート給送装置において、
    当該シート給送装置から脱着可能に構成された脱着ユニットを更に備え、
    前記脱着ユニットは前記フレーム部材に隣接して配置され、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材と前記脱着ユニットとの間に設けられていることを特徴とするシート給送装置
  9. 求項1乃至のいずれかのシート給送装置において、
    前記振動抑制部材は、前記フレーム部材に形成された複数の突起部の間に圧入されて配設されることを特徴とするシート給送装置。
  10. 請求項1乃至のいずれかのシート給送装置と、そのシート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する作像部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至のいずれかのシート給送装置と、そのシート給送装置から送り出されるシートの画像を読み取る画像読取部と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
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