JP6597715B2 - 連続鋳造スラブ、連続鋳造スラブの製造方法および高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造スラブ、連続鋳造スラブの製造方法および高張力鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車の構造部材や補強部材などの内板部品に使用される高張力鋼板の素材である連続鋳造スラブ、連続鋳造スラブの製造方法および当該連続鋳造スラブを用いて製造された高張力鋼板に関する。
地球環境保全の観点から、CO排出量を削減することが求められており、自動車業界においては、自動車々体の強度を維持しつつその軽量化を図り、自動車の燃費を改善することが、非常に重要な課題となっている。自動車々体の強度を維持しつつその軽量化を図るうえでは、自動車部品用の素材となる鋼板の高強度化によって鋼板を薄くすることが有効である。そのため、近年、高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。
鋼板を高強度化する手段の一つとして、微細な析出物を鋼板中に分散させる手法が知られている。微細な析出物を鋼板中に均一に分散させることにより、塑性変形の原因となる転位の移動が妨げられ、鋼板の高強度化が実現できる。鋼板の高強度化に寄与する析出物は、主として炭化物、窒化物及び炭窒化物である。これらの析出物は、熱間圧延後の冷却過程において鋼板中に析出する。但し、析出物が鋼板の高強度化に寄与するためには、析出物の平均粒径がナノメートルサイズであることが好ましい。したがって、析出物の平均粒径がナノメートルサイズになるように、鋼板の製造条件や化学成分が最適化されている。
鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工やバーリング加工などによって成型されるので、自動車部品用鋼板には優れた加工性(伸び及び伸びフランジ性)を安定的に発揮することが要求されている。また、部分的に強度の異なる鋼板をプレス成型すると、鋼板の強度に比例してスプリングバック量が変化し、部品がねじれる現象が生じる。つまり、所望の強度と寸法・形状精度とを有する部品を得るためには、素材となる鋼板の強度及び加工性の両立が求められているが、一般的に、鉄鋼材料は、強度の上昇に伴って加工性が低下する。
そこで、高強度且つ高加工性を有する鋼板に関して多くの研究がなされてきた。鋼板の加工性の指標である、伸び特性及び伸びフランジ特性を向上させる技術として、例えば、下記の特許文献1及び特許文献2が提案されている。
特許文献1には、実質的にフェライト単相組織であり、平均粒径10nm未満のTi及びMoを含む炭化物が分散析出している、引張強度が590MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板が開示されている。特許文献2には、質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.001〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.001〜0.2%、Al:0.001〜3%、V:0.1%を超えて1.0%までを含み、残部はFe及び不可避的不純物からなり、組織が平均粒径1〜5μmのフェライトを主相とし、フェライト粒内に平均粒径が50nm以下のVの炭窒化物が存在する、引張強度が800MPaを超える熱延鋼板が開示されている。
特許第3591502号公報 特開2004−143518号公報
I.Steinbach et al.、Phys.D94(1996)、p135−147 高宮ら、「鉄と鋼」Vol.89(2003)、No.5 鋼中固溶マイクロアロイの定量、「鉄と鋼」Vol.99(2013)、No.5、p.362
ところで、平均粒径がナノメートルサイズの炭化物や窒化物などを熱間圧延後の鋼板中に析出させるためには、熱間圧延前の連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物や窒化物を、熱間圧延前の連続鋳造スラブ(以下、単に「スラブ」とも記す)の加熱段階で固溶させる必要がある。スラブの加熱時間を長くする、或いは、加熱温度を高くすれば、連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物や窒化物を固溶させることができる。しかしながら、生産性及び設備上の制約から加熱時間や加熱温度には自ずと限界がある。また、加熱時間を長くすること、および、加熱温度を高くすることは、コスト面でも不利になる。
上記従来技術は、熱間圧延前の連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物や窒化物を、熱間圧延前に固溶させるという点について何ら配慮しておらず、加工性(伸び特性及び伸びフランジ特性)に優れた高張力鋼板を安定して製造する及び生産性を高めて製造するという観点からは、未だ改善すべき点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、微細な析出物を利用して加工性に優れた高張力鋼板を製造するにあたり、高張力鋼板の素材である連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物や窒化物などを、熱間圧延前のスラブ加熱の段階で、加熱温度を高くすることなく、短時間で連続鋳造スラブ中に固溶させることができ、加工性に優れた高張力鋼板を安定して得ることのできる連続鋳造スラブを提供することであり、また、この連続鋳造スラブを用いて製造された高張力鋼板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、連続鋳造スラブ中の炭化物や窒化物などの析出物を熱間圧延前のスラブ加熱時に短時間で固溶させることを目的として、熱間圧延前のスラブ加熱について、非可逆過程における材料ミクロ組織の時間変化を再現することに定評のあるフェーズフィールド法に基づくシミュレーションを実施した。
図1は、フェーズフィールド法シミュレーションにおける各相の初期設定を示す概略図である。TiCが多数析出した状態のFe−C−Mn−Ti成分系鋼材のオーステナイト相マトリックス中を対象とし、図1(A)に示すTiC分布の初期設定と、図1(B)に示すオーステナイト粒界の初期設定とを組み合わせた、図1(C)に示す初期設定の条件下で、図2に示す加熱パターン、つまり、30℃/sの昇温速度で800℃から1250℃まで加熱して1250℃で保持した。加熱中のTiCの溶解挙動とオーステナイト粒の成長挙動とを、非特許文献1に記載されるMulti Phase Field法に基づく計算コードMicressによって、フェーズフィールド法シミュレーションを行った。なお、図1において、円形で示すものがTiCである。また、以下、オーステナイトを「γ」とも表示する。
図3は、計算開始時点からほぼTiCが溶解し終わった52秒経過後までのシミュレーション結果を示す概略図である。図3に示すように、4秒経過した時点辺りから、溶解途中の残存したTiCによってオーステナイト粒界の移動が阻害されている現象(ピン止め効果)が生じていることが確認できる。
図4は、オーステナイト粒の成長挙動を示す概略図である。図4に示すように、TiCによってオーステナイト粒界の移動が妨げられており、オーステナイト粒の成長挙動はTiCの影響を受けることがわかる。また、「ピン止め効果」に関わっているTiCは、初期設定の状態(球形)から変化し、形状が真円ではなく、先端が尖り、中心部が膨らんだ紡錘形の形状をしている。そのために、TiC/γ相の界面の曲率半径が大きくなっている。これが、後述するように、TiCの固溶時間に影響してくると考えられる。
図5は、TiCモル分率とTiCの溶解時間との関係を示す図である。縦軸が0(ゼロ)になる時の時間が、TiCが固溶する時間である。図5に示すように、TiC固溶のみの場合よりも、オーステナイト粒の成長挙動を連成させた場合のほうが、TiCが固溶するまでの時間(固溶時間)が長くなることがわかる。また、両者に差が生じ始める時間は、残存TiCによるオーステナイト粒界の「ピン止め効果」が明確になってくる時間(図4参照)に対応していることが認められた。即ち、「ピン止め効果」は、オーステナイト粒の成長挙動だけではなく、TiCの溶解挙動にも影響を及ぼすことが明らかになった。その原因として、以下の事柄を考察した。
一般に、界面エネルギーの単位は[J/m]で表されるが、[J/m]=[Nm/m]=[N/m]に変形できることから、「系全体の界面エネルギーの最小化」は「系全体の界面長さの最小化」と解釈し直すことができる。即ち、界面は常に長さを最小化しようと張力が印加された状態であるといえる。
図6は、TiC溶解時の表面張力とオーステナイト界面との関係を示す概略図である。オーステナイト粒界とTiC/γ界面との三重点に注目すると、図6に示すように、各界面の張力の釣り合いから、TiC/γ界面は、オーステナイト粒界に引っ張られたような形となり、その結果、TiCは、上述したように紡錘形のような形状となる。したがって、TiCは、溶解が進むにつれて、真円状態と比べて曲率半径が大きくなっていく。
TiCの曲率半径(R)が大きくなると、TiCが有するギブスの自由エネルギー(G)は小さくなる(ギブス・トムソン効果;G∝1/R)。TiCが溶解するときの駆動力は、このギブスの自由エネルギー(G)であり、ギブスの自由エネルギー(G)が小さくなることで溶解の駆動力が小さくなる。即ち、TiCの曲率半径(R)が大きくなるとギブスの自由エネルギー(G)は小さくなるために、TiCの溶解の進行が遅くなり、その結果、固溶時間が長くなったと考えられる。したがって、オーステナイト粒界の密度が高いほど、「ピン止め効果」に関与するTiCの割合が増え、TiCの固溶時間は長くなる。
フェーズフィールド法シミュレーションによる、これらの結果から、以下の(イ)、(ロ)、(ハ)の知見を得た。
(イ)スラブ加熱前の時点で連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物及び窒化物により、スラブ加熱によるフェライトの変態で生成するオーステナイト粒界の移動が妨げられる(いわゆる「ピン止め効果」)。
(ロ)上記(イ)に記載したオーステナイト粒界との相互作用によって炭化物や窒化物の形態が変化し、炭化物や窒化物は、その曲率半径が大きくなっていきながら固溶していく。
(ハ)上記(ロ)に関連して、オーステナイト粒界との相互作用により、炭化物や窒化物が固溶する時間は長くなる。つまり、オーステナイト粒界の密度が高いほど、炭化物や窒化物が固溶する時間は長くなる。
これらの知見から、熱間圧延前のスラブ加熱時に析出物を固溶させるための時間を短くするには、析出物による「ピン止め効果」が起こりにくい条件にすればよいことがわかる。
「ピン止め効果」が起こりにくい条件にするためにまず考えられることは、スラブ中の析出物を減らすこと、つまり、鋳造時及び鋳造後にスラブ中に析出する析出物の元となる化学成分を減らすことである。しかし、この方策は二つの意味で困難である。一つは、TiやVなどの析出物を形成する元素の含有量を減らすことは、最終製品である鋼板の機械特性低下に直結するので単純には採用することができない。もう一つは、ピン止め効果を発揮する析出物として窒化物や硫化物が挙げられるが、これらを形成する素となるNやSは高強度薄鋼板において積極的に入れられる成分系ではなく、製鋼段階においてすでに数十ppmレベルまで除去する手段がとられていることである。そこから更に数ppmレベルまでSやNを除去する手段を講じるのは過大なコスト増加を招くため、これもやはり単純に採用することはできない。
一方、析出物による「ピン止め効果」を起こりにくくするもう一つの方策としては、オーステナイトの粒界密度を減じること、つまり、スラブ加熱時に生成するオーステナイト粒径を大きくすることが考えられる。スラブ加熱時に生成するオーステナイトの粒径を大きくするには、スラブ加熱前、即ち鋳造された段階でのスラブのフェライト粒径を大きくすれば良い。これは、スラブ加熱時にフェライトがオーステナイトへと変態する際に、オーステナイト粒は、まずフェライト粒界から発生することから、スラブのフェライト粒径を大きくすることで、スラブのフェライト粒界の密度が小さくなり、オーステナイト粒の発生頻度も減るからである。
スラブのフェライト粒径を大きくする方策として考えられるのが、鋳造後スラブ冷却時の冷却速度を遅くすること、すなわち徐冷化である。更にいえば、Ar3変態点以下の温度域でフェライト粒が成長する時間を充分に確保することにより、フェライト粒径を大きくできる。
ただし、鋳造後スラブの徐冷化には、スラブ中の析出物が過度に粗大化するという問題点がある。析出物のうちTiCは、鋳造後、熱間圧延前のスラブ加熱工程でほぼ固溶するので特に問題は無い。しかし、TiNやMnSなどの難固溶性析出物が粗大に析出すると、TiCの固溶を想定したスラブ加熱温度(通常の高強度鋼板で1200℃程度)および加熱時間内では完全には固溶しない。難固溶性析出物がスラブ中に固溶するメカニズムは、TiCの固溶と同じと推測されるが、固溶しづらいため、スラブ中に残存した粗大なTiNやMnSなどの難固溶性析出物は、熱延鋼板中に残存し、熱延鋼板の機械特性の大幅な低下を招く。また、TiNやMnSなどの析出物が粗大化すると、以下2点の理由で固溶に必要な時間が長時間化するので好ましくない。
固溶に必要な時間が長時間化する1つ目の理由は、前述したように、析出物が粗大化して析出物の曲率半径(R)が大きくなると、ギブス・トムソン効果(ギブスの自由エネルギー:G∝1/R)の影響で溶解の駆動力となる自由エネルギー(G)が小さくなり析出物が固溶しにくくなることである。また、2つ目の理由は、析出物が同じ量だけ析出したと仮定した時、析出物が粗大化し析出物の曲率半径(R)が大きくなると、析出物の界面が減るので固溶しにくくなることである。すなわち、界面が減るとその分だけ界面エネルギーも減少し、その結果、溶解の駆動力が減少するので析出物が固溶しにくくなる。
従って、スラブ加熱中のオーステナイト粒径を大きくすることを目的としてスラブ冷却速度を遅くするには、TiNやMnSが過度に粗大化する、という問題を解決する必要がある。本発明者らは、スラブ中の空孔密度や転位密度を増加させれば、析出物の析出サイトが増えてTiNやMnSが微細化するので、NやSの含有量を減らすことなく、上記問題が解決できると考えた。
この考えに基づき検討を行ったところ、鋳造中のスラブに適度に荷重を与えると、析出物の析出サイトが増え、その結果、TiNやMnSなどを微細化させることができる、という知見を得た。さらに、スラブ鋳造後の冷却速度を遅くしてフェライト粒径を粗大化させると、スラブ加熱時に生成するオーステナイト粒径を粗大化させることができる。これらの手段により、析出物による「ピン止め効果」が起こりにくくなるので、スラブ加熱時にスラブ中の析出物を短時間で固溶することができると同時に、熱延鋼板の機械特性の劣化をも抑制できる、という知見を得た。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.08%以下、S:0.006%以下、N:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.06〜0.3%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、熱間圧延工程における加熱前の段階で、フェライト粒の平均結晶粒径が70μm以上であり、析出したTiNおよびMnSの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、連続鋳造スラブ。
(2)更に、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、(1)に記載の連続鋳造スラブ。
(3)更に、質量%で、Cr:0.005〜0.3%、Mo:0.005〜0.3%、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の連続鋳造スラブ。
(4)更に、質量%で、B:0.0002〜0.005%を含有することを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1つに記載の連続鋳造スラブ。
(5)更に、質量%で、Ca:0.0005〜0.02%、REM(希土類元素):0.0005〜0.02%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、(1)から(4)のいずれか1つに記載の連続鋳造スラブ。
(6)(1)から(5)のいずれか1つに記載の連続鋳造スラブの製造方法であって、連続鋳造機での鋳造後、前記連続鋳造スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から100℃になる時点まで、35℃/h以下の冷却速度で冷却することを特徴とする、連続鋳造スラブの製造方法。
(7)前記連続鋳造機での鋳造後、前記連続鋳造スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から1100℃の間に前記連続鋳造スラブを圧下率0.5〜3.0%で軽圧下を行うことを特徴とする、(6)に記載の連続鋳造スラブの製造方法。
(8)(1)から(5)のいずれか1つに記載の連続鋳造スラブを用いて製造されたことを特徴とする、高張力鋼板。
本発明によれば、TiNやMnSなどの析出物を過度に粗大化させることなく、熱間圧延工程における加熱前の連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にできるので、連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物などの析出物を、熱間圧延工程におけるスラブ加熱処理で、加熱温度を高くすることなく短時間でオーステナイトに固溶させることができる。この結果、微細な析出物の析出を利用した、加工性(伸び特性及び伸びフランジ特性)に優れた高張力鋼板を安定して製造できるだけでなく、熱間圧延工程におけるスラブ加熱時間を短縮することもできる。なお、スラブ中には、TiC、TiNやMnS以外の析出物も存在するが、一般に炭化物は固溶しやすいので、スラブ加熱ではあまり問題にならず、窒化物はTiN、硫化物はMnSが主体なので、TiNとMnSの粒径を制御すればフェライト粒径を制御でき、これによりスラブ加熱時間も制御できる。
フェーズフィールド法シミュレーションにおける各相の初期設定を示す概略図である。 フェーズフィールド法シミュレーションにおける材料の加熱パターンを示す図である。 計算開始時点からほぼTiCが溶解し終わった52秒経過後までのシミュレーション結果を示す概略図である。 オーステナイト粒の成長挙動を示す概略図である。 TiCモル分率とTiCの溶解時間との関係を示す図である。 TiC溶解時の表面張力とオーステナイト界面との関係を示す概略図である。 加熱前スラブにおけるフェライト粒の平均結晶粒径とTi析出物の固溶時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明を発明の実施の形態を通じて具体的に説明する。尚、各元素の含有量を示す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。まず、本実施形態に係る連続鋳造スラブの化学成分について説明する。
C(炭素):0.02〜0.15%
Cは、主に固溶強化によって鋼板の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、C含有量を0.02%以上とする必要がある。一方、C含有量が0.15%を超えると、伸びフランジ特性を大きく低下させる。そのため、C含有量は0.05〜0.15%とする必要があり、好ましくは0.07〜0.11%とする。
Si(珪素):2.0%以下
Siは、固溶強化により鋼板の強度を安定させるとともに、延性向上にも寄与する元素である。一方、Si含有量が2.0%を超えると、表面性状を低下させるだけでなく、板厚中央部のMnの偏析を助長するとともに、Si自身も偏析する元素である。そのため、Si含有量は2.0%以下とする必要があり、好ましくは0.05〜0.8%とする。
Mn(マンガン):0.5〜2.0%
Mnは、主に固溶強化によって鋼板の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、Mn含有量を0.5%以上とする必要がある。一方、Mn含有量が2.0%を超えると、Mnの中心偏析が著しくなり、種々の特性、例えば鋼板の伸びフランジ性を劣化させる原因となる。そのため、Mn含有量は0.5〜2.0%とする必要があり、好ましくは1.0〜1.6%とする。
P(燐):0.08%以下
Pは、粒界に偏析して伸びを低下させる元素である。そのため、P含有量は、0.08%以下とするが、できる限り低減させることが好ましい。好ましくは0.02%以下とし、更に好ましくは0.01%以下とする。なお、Pの含有量は、0(ゼロ)であっても問題ない。
S(硫黄):0.006%以下
Sは、硫化物を形成して加工性を低下させる。そのため、S含有量は、0.006%以下にするが、極力低減させることが好ましい。好ましくは0.002%以下とし、更に好ましくは0.001%以下とする。なお、Sの含有量は0(ゼロ)であっても問題ない。
Al(アルミニウム):0.005〜0.1%
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには、Al含有量を0.005%以上とする必要がある。一方、Al含有量が0.1%を超えると、鋼板中にAlの酸化物として残存し、このAlの酸化物が凝集して粗大化し易くなり、伸びフランジ性を劣化させる要因になる。そのため、Al含有量は0.005〜0.1%とする必要があり、好ましくは0.015〜0.05%とする。
N(窒素):0.005%以下
Nは、粗大な窒化物を形成して加工性を低下させる。そのため、N含有量は0.005%以下とするが、できる限り低減させることが好ましい。なお、Nの含有量は0(ゼロ)であっても問題ない。
Ti(チタン):0.06〜0.3%
Tiは、本発明において最も重要な元素であり、鋼板の高強度化に顕著な影響を及ぼす。このような効果を得るためには、Ti含有量を0.06%以上とする必要がある。一方、Ti含有量が0.3%を超えると、Tiの炭化物が粗大化する傾向が見られ、鋼板において所望の引張強度を得ることが困難となる。そのため、Ti含有量は0.06〜0.3%とする必要がある。
残部はFe(鉄)及び不可避的不純物であるが、下記の理由により、更に、下記の(a)〜(d)に示す元素を、個別にまたは同時に含有させることが好ましい。
(a)Nb(ニオブ):0.005〜0.1%、V(バナジウム):0.005〜0.1%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素。
(b)Cr(クロム):0.005〜0.3%、Mo(モリブデン):0.005〜0.3%、Cu(銅):0.005〜0.5%、Ni(ニッケル):0.005〜0.5%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素
(c)B(ボロン):0.0002〜0.005%
(d)Ca(カルシウム):0.0005〜0.02%、REM(希土類元素):0.0005〜0.02%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素
以下、それぞれ説明する。
(a)Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた少なくとも一種
Nb及びVは、いずれも炭窒化物形成元素であり、鋼を高強度化するうえで最も重要な元素である。このような効果を得るためには、それぞれの含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、それぞれの含有量が0.1%を超えると、こうした効果は飽和してコストアップを招く。そのため、Nb含有量及びV含有量は0.005〜0.1%とすることが好ましい。
(b)Cr:0.005〜0.3%、Mo:0.005〜0.3%、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%のうちから選ばれた少なくとも一種
これらの元素は、焼入れ性を向上させる作用を有し、加工性向上にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、それぞれの含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、Cr含有量が0.3%を超え、また、Mo含有量が0.3%を超えると、このような効果は飽和してコストアップを招く。また、Cu含有量やNi含有量が0.5%を超えると、熱間圧延中に表面疵が発生しやすくなる。そのため、Cr含有量は0.005〜0.3%、Mo含有量は0.005〜0.3%、Cu含有量は0.005〜0.5%、Ni含有量は0.005〜0.5%とすることが好ましい。より好ましくは、Cr含有量は0.005〜0.1%、Mo含有量は0.005〜0.1%、Cu含有量は0.005〜0.2%、Ni含有量は0.005〜0.2%である。
(c)B:0.0002〜0.005%
Bは、鋼のオーステナイトからフェライトへの変態を遅延させる元素であり、オーステナイト−フェライト変態を抑制することでTiの炭化物の析出温度を低温化し、該炭化物の微細化に寄与する。このような効果を得るためには、B含有量を0.0002%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.005%を超えると、Bによるベイナイト変態効果が強くなり、フェライト組織にすることが困難となる。そのため、B含有量は0.0002〜0.005%とすることが好ましい。より好ましくは0.0002〜0.0025%である。
(d)Ca:0.0005〜0.02%、REM(希土類元素):0.0005〜0.02%のうちから選ばれた少なくとも一種
Ca及びREMは、硫化物の形態制御に有効な元素である。このような効果を得るためには、それぞれの量を0.0005%以上とすることが好ましい。一方、それぞれの量が0.02%を超えると、こうした効果は飽和してコストアップを招く。そのため、Ca含有量は0.0005〜0.02%、REM含有量は0.0005〜0.02%とすることが好ましい。より好ましくは、それぞれ0.0005〜0.005%である。尚、REM(希土類元素)は、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)及びランタノイド(15元素)の合計17元素の総称である。
次に、熱間圧延工程における加熱前の段階での連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径について説明する。前述したとおり、連続鋳造スラブ中の析出物を、熱間圧延工程のスラブ加熱処理時に加熱温度を従来よりも高くすることなく、短い加熱時間でオーステナイトに固溶させるためには、連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を大きくする必要がある。
本実施形態に係る連続鋳造スラブはフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上としている。これにより、短いスラブ加熱時間で析出物をオーステナイトに固溶させることができる。つまり、生産効率を落とすことなく、析出物をオーステナイトに固溶させることが可能になる。なお、連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm未満とした場合には、析出物が固溶するのに必要な加熱時間が長くなる。
また、フェライト粒の結晶粒径のばらつきが小さく、フェライト粒が整粒組織であることが好ましい。これにより、析出物を均一に固溶させることができる。なお、フェライト粒の個数の70%以上が、平均結晶粒径±50%の範囲内にあることがより好ましい。
また、本実施形態では、さらに、スラブ中に析出したTiNおよびMnSの平均粒径を、スラブ加熱前の段階で10μm以下としている。前述の通り、過度に粗大化したTiNおよびMnSの析出物は、スラブ加熱時に固溶し切れず、最終製品まで残存するばかりでなく、スラブ加熱前のフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にすることを困難にする。したがって、TiNおよびMnSのそれぞれの平均粒径の上限を10μmとした。なお、TiNおよびMnSの平均粒径の下限は特に規定しないが、鋳造時の冷却条件や析出物の析出挙動などスラブ加熱時における析出物のピン止め挙動を考えれば、1μm程度になる。
次に、フェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にする処理について説明する。連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にするには、連続鋳造スラブの製造時における連続鋳造スラブの冷却速度を遅くする必要がある。具体的には、連続鋳造スラブの冷却速度を35℃/h以下に制御する必要がある。本実施形態では、冷却速度の最も速いスラブ表面の冷却速度を35℃/h以下に制御することで、スラブの内部を含めた全体の冷却速度を35℃/h以下に制御している。
連続鋳造スラブの冷却時、オーステナイトからフェライトへの変態は、Ar3点(スラブの化学成分にもよるが、およそ800〜910℃の範囲の或る値)で起こることから、連続鋳造スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から100℃になる時点まで、35℃/h以下の冷却速度で冷却する。35℃/h以下の冷却速度で冷却する場合、オーステナイトからフェライトへの変態はAr3点で起こり、オーステナイトからフェライトへの変態は直ちに完了するが、連続鋳造スラブの表面温度が少なくとも100℃になる時点まで35℃/h以下の冷却速度で冷却を継続する。これは、スラブの表面温度がAr3点以下になった直後は、スラブの内部はAr3点以上の高温であり、スラブの表面温度がAr3点以下になった直後からスラブ表面の冷却速度を速くすると、スラブ内部の冷却速度は35℃/hを超える可能性があるからである。つまり、スラブの内部全体がオーステナイトからフェライトへ変態するまで、スラブの内部を35℃/h以下の冷却速度で冷却するためである。
連続鋳造機でスラブを鋳造する場合に、連続鋳造機内で、スラブ内部に未凝固の溶鋼を有するスラブの表面温度がAr3点未満になることもあるが、その後、スラブ内部の未凝固の溶鋼からの熱によってスラブ表面の温度が上昇し、連続鋳造機内でスラブの表面温度がAc3点以上になる場合には問題はない。
但し、スラブ内部に未凝固溶鋼が存在しない場合は、スラブ表面の温度上昇は起こらない、または、起こっても極めて小さいので、連続鋳造機の出側に設けられた切断機で切断されて連続鋳造機から払い出される時点(この時点では、スラブ内部に未凝固溶鋼は存在しない)でのスラブの表面温度をAr3点以上にする必要がある。その後、保温ピットに装入して徐冷する、または、所定枚数のスラブを積み重ねて大気中で放冷するなどの処置を施し、スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から100℃になる時点まで、35℃/h以下の冷却速度でスラブを冷却する。
なお、連続鋳造機内でスラブの表面温度を一旦Ar3点未満にすると、オーステナイトからフェライトへの変態が起こり、その後、表面温度をAc3点以上にすることでフェライトからオーステナイトへ変態するが、この場合のオーステナイト粒径は、連続鋳造機内でスラブ表面温度をAr3点以上に保持し続けたときのオーステナイト粒径よりも小さくなり、その後の変態で発生するフェライト粒径も小さくなる可能性がある。したがって、連続鋳造機内でもスラブ表面温度をAr3点以上に保持し続けることが好ましい。これは、二次冷却水量及び/または鋳造速度の調整によって実現できる。このように、スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から100℃になる時点まで、35℃/h以下の冷却速度でスラブを冷却することで、連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にしている。
次に、連続鋳造スラブの軽圧下について説明する。本実施形態において、MnSやTiNの析出サイトを増やす目的で、析出物が析出する前に、スラブを軽圧下する。析出物は、主にδ/γ相変態過程時に析出すると考えられるので、少なくともAr3点以上の温度で軽圧下を行う必要がある。一方で過度に高温時に軽圧下を行っても、荷重が与えられたと同時に転位の回復がおこり、析出サイトの増加が抑制される可能性がある。そのため、軽圧下する温度には上限が存在する。この上限は、S含有量、N含有量にも影響されるが、非特許文献2より、おおよそ1100℃程度と推定される。
連続鋳造スラブの軽圧下は、圧下率0.5〜3.0%で行うことが望ましい。ここでいう圧下率とは、軽圧下開始時点での連続鋳造スラブの厚さに対する軽圧下終了時点での連続鋳造スラブの厚さの比である。ここで、圧下率が3.0%を超えてしまうと、本実施形態の連続鋳造スラブの成分範囲の場合、中心部に負偏析帯(ホワイトバンド)が形成され、最終製品の機械特性劣化を招く。また、圧延荷重が大きすぎて、設備の負担が大きくなり、最悪の場合、製造設備の損傷を招く。また、圧下率が0.5%未満では、圧下量が小さすぎて析出物の析出サイトが十分に発生しない。特に、スラブの板厚方向の中心部に析出サイトが発生しないので、スラブの中心部では析出物が粗大化し、鋳造後のフェライト粒を小さくしてしまう。これは熱間圧延以降の製品の不均一、および材質の不均一を招く。
なお、スラブへの軽圧下の方法は、スラブ鋳造中に行われるのであれば、特に限定されるものではない。
このようにして製造される連続鋳造スラブを、必要に応じて表面手入れを実施した後に熱間圧延工程に搬送する。熱間圧延工程では、加熱炉で連続鋳造スラブをAc3点以上の温度で加熱した後、所定の板厚、板幅に熱間圧延して、熱延鋼板にする。なお、そのまま熱延鋼板として使用してもよく、冷間圧延及び冷間圧延後の表面処理工程を施した冷延鋼板または表面処理鋼板として使用してもよい。
なお、Ac3点とは、フェライトからオーステナイトへの変態点温度であり、また、高張力鋼板とは、引張強度が340MPa以上の鋼板である。また、本発明の対象とする高張力鋼板は、自動車の車体向けの用途が多いことから薄鋼板が主体であるが、本実施形態に係る連続鋳造スラブを用いるのであれば、薄鋼板以外の製品であっても適用できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、熱間圧延工程における加熱前の連続鋳造スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上とするので、連続鋳造スラブ中に析出していた炭化物や窒化物などの析出物を、熱間圧延工程におけるスラブ加熱処理で、加熱温度を高くすることなく短時間でオーステナイトに固溶できる。この結果、微細な析出物を利用した、加工性(伸び特性及び伸びフランジ特性)に優れた高張力鋼板を安定して製造することが可能になるのみならず、熱間圧延工程におけるスラブ加熱時間を短縮することが可能となる。
C:0.052%、Si:0.08%、Mn:1.13%、P:0.036%、S:0.0019%、Al:0.066%、N:0.0038%、Ti:0.123%で、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する250トンの溶鋼を転炉で溶製し、その後、連続鋳造機で連続鋳造スラブに鋳造した。連続鋳造機では、スラブの表面温度をAr3点よりも高温である920℃以上1100℃以下になるように制御して、スラブを連続鋳造機から払い出した。また、下記表1に示す圧下率でスラブの軽圧下を行った。
その後、連続鋳造スラブを、保温ピットに装入して徐冷する、大気中で放冷する、送風機で送風して冷却する、空気と水とのミストを噴霧して冷却するなどして、鋳造後のスラブの冷却速度を変化させて常温まで冷却した。常温まで冷却したスラブから試料を採取して、それぞれのスラブでのフェライト粒の平均結晶粒径Dαをスラブ表面から10mmの位置で調査した。フェライト粒の平均結晶粒径の測定は、JIS G 0551:2013に準じて行った。
鋳造後の冷却速度を変えることで、スラブのフェライト粒の平均粒径は変化した。つまり、鋳造後の冷却速度を遅くすることで、フェライト粒の平均結晶粒径が大きくなることを確認した。具体的には、冷却速度が35℃/h以下の場合にフェライト粒の平均粒径は70μm以上になった。
また、試料の圧延方向−板厚方向断面を埋め込み研磨し、ナイタール腐食後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて板厚1/4部を中心とし倍率1000倍として100μm×100μm領域を観察し、析出物の種類と大きさを求めた。各試料3視野、1視野あたりそれぞれ100個以上のTiNとMnSを観察し、各粒子の直径を測定し、その算術平均をTiNとMnSの平均粒径とした。
その後、それぞれのスラブから採取した複数の試料を1250℃の均熱炉で加熱し、所定の時間経過毎に試料を均熱炉から取り出し、取り出した直後に水中で冷却し、この試料の固溶Ti量を測定した。固溶Ti量の値がほぼ変化しなくなった時間を固溶時間とした。なお、固溶Ti量の評価は、非特許文献3に記載の方法に準じて行った。Ac3点以上の温度で均熱した試料を、Ar3点以上の温度から水中で急冷することで、均熱時の溶質元素の固溶状態が常温まで維持される。
調査結果を表1に示し、また、加熱前スラブにおけるフェライト粒の平均結晶粒径とTi析出物の固溶時間との関係を図7に示す。
表1及び図7に示すように、スラブの表面温度がAr3点以上であって1100℃以下の間に、圧下率が0.5〜3.0%の軽圧下を行なうことで、TiNおよびMnSの析出物の平均粒径を10μm以下にすることができた。また、スラブ段階でのフェライト粒径を大きくするには、スラブ冷却速度を遅くすればよく、特に冷却速度を35℃/h以下にすることで、フェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にすることができた。そして、このように、スラブのフェライト粒の平均結晶粒径を70μm以上にし、TiNおよびMnSの析出物の平均粒径を10μm以下にすることで、短時間で析出物を固溶できることが確認された。なお、100個以上のフェライト粒の結晶粒径を調べた結果、表1の発明例では、フェライト粒の個数の70%以上が、平均結晶粒径±50%の範囲内にあることを確認した。
このようなスラブは、熱間圧延前のスラブに析出していた析出物を、熱間圧延前の加熱段階で加熱温度を高くすることなく固溶させることができるので、当該スラブを用いることで、加工性に優れた高張力鋼板を安定して製造できることがわかる。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:2.0%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.08%以下、S:0.006%以下、N:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.06〜0.3%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、熱間圧延工程における加熱前の段階で、フェライト粒の平均結晶粒径が70μm以上であり、析出したTiNおよびMnSの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、連続鋳造スラブ。
  2. 更に、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造スラブ。
  3. 更に、質量%で、Cr:0.005〜0.3%、Mo:0.005〜0.3%、Cu:0.005〜0.5%、Ni:0.005〜0.5%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続鋳造スラブ。
  4. 更に、質量%で、B:0.0002〜0.005%を含有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の連続鋳造スラブ。
  5. 更に、質量%で、Ca:0.0005〜0.02%、REM(希土類元素):0.0005〜0.02%のうちから選ばれた少なくとも一種の元素を含有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の連続鋳造スラブ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の連続鋳造スラブの製造方法であって、連続鋳造機での鋳造後、前記連続鋳造スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から1100℃の間に前記連続鋳造スラブを圧下率0.5〜3.0%で軽圧下し、前記連続鋳造スラブの表面温度が少なくともAr3点の時点から100℃になる時点まで、35℃/h以下の冷却速度で冷却することを特徴とする、連続鋳造スラブの製造方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の連続鋳造スラブを加熱炉でA C3 点以上の温度に加熱した後、熱間圧延して製造されことを特徴とする、高張力鋼板の製造方法。
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