JP2001020030A - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents
伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板Info
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- JP2001020030A JP2001020030A JP11189736A JP18973699A JP2001020030A JP 2001020030 A JP2001020030 A JP 2001020030A JP 11189736 A JP11189736 A JP 11189736A JP 18973699 A JP18973699 A JP 18973699A JP 2001020030 A JP2001020030 A JP 2001020030A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高強度且つ優れた伸びフランジ性の熱延鋼板
を提供すること。 【解決手段】 C:0.01〜0.10%、Si:2%
以下(0%を含む)、Mn:0.5〜2%、P:0.0
8%以下(0%を含む)、Al:0.01〜0.1%、
NとSが、4S(ppm)+5N(ppm)≦240の
範囲で含有し、Ti:0.1〜0.5%、Nb:0.8
%以下(0%を含む)を含み、グラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織又は/及びベイニティック・フ
ェライト組織が面積率95%以上を占める、高強度で伸
びフランジ性の著しく改善された熱延鋼板を開示する。
を提供すること。 【解決手段】 C:0.01〜0.10%、Si:2%
以下(0%を含む)、Mn:0.5〜2%、P:0.0
8%以下(0%を含む)、Al:0.01〜0.1%、
NとSが、4S(ppm)+5N(ppm)≦240の
範囲で含有し、Ti:0.1〜0.5%、Nb:0.8
%以下(0%を含む)を含み、グラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織又は/及びベイニティック・フ
ェライト組織が面積率95%以上を占める、高強度で伸
びフランジ性の著しく改善された熱延鋼板を開示する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸びフランジ性に
優れた高強度熱延鋼板に関し、その優れた加工性を活か
して自動車部品、例えばメンバー類やアーム類などの足
周り部品やシャーシなどの材料として有効に活用でき
る。
優れた高強度熱延鋼板に関し、その優れた加工性を活か
して自動車部品、例えばメンバー類やアーム類などの足
周り部品やシャーシなどの材料として有効に活用でき
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や産業機械などの分野では
部材の軽量化の要望が強く、それに伴い高強度熱延鋼板
の要望が増大している。それらの用途においては、加工
性の観点から優れた伸びフランジ性も求められている。
部材の軽量化の要望が強く、それに伴い高強度熱延鋼板
の要望が増大している。それらの用途においては、加工
性の観点から優れた伸びフランジ性も求められている。
【0003】従来より高強度鋼板としては金属組織を複
合組織とし、フェライト組織中にマルテンサイト組織を
導入したDualPhase鋼板が用いられている。ま
た、伸びフランジ性の優れた鋼板として、フェライト・
ベイナイト組織を有する鋼板(特開昭57−10164
9、特開昭61−130454)なども提案されてい
る。
合組織とし、フェライト組織中にマルテンサイト組織を
導入したDualPhase鋼板が用いられている。ま
た、伸びフランジ性の優れた鋼板として、フェライト・
ベイナイト組織を有する鋼板(特開昭57−10164
9、特開昭61−130454)なども提案されてい
る。
【0004】ところで、自動車の足周り部品等として用
いられる鋼板には、最終部品として高強度が求められる
他、複雑な形状への加工を容易にするための高い加工性
が必要であり、特に高レベルの伸びフランジ性(穴拡げ
性)が求められる。しかし上記DualPhase鋼板
等では、高強度かつ優れた伸びフランジ性という相反す
る両特性を同時に満たすことができない。
いられる鋼板には、最終部品として高強度が求められる
他、複雑な形状への加工を容易にするための高い加工性
が必要であり、特に高レベルの伸びフランジ性(穴拡げ
性)が求められる。しかし上記DualPhase鋼板
等では、高強度かつ優れた伸びフランジ性という相反す
る両特性を同時に満たすことができない。
【0005】こうした状況の下で、本出願人はかねてよ
り熱延鋼板の強度と伸びフランジ性を共に改善すべく研
究を進めており、特に低炭素鋼を対象として鋼材の化学
成分や金属組織などを主体にした研究の成果として特開
平06−172924、同07−011382、同07
−070696などを提案している。
り熱延鋼板の強度と伸びフランジ性を共に改善すべく研
究を進めており、特に低炭素鋼を対象として鋼材の化学
成分や金属組織などを主体にした研究の成果として特開
平06−172924、同07−011382、同07
−070696などを提案している。
【0006】これらの発明では、強度と伸びフランジ性
の両特性について一応の改善効果を得ているが、伸びフ
ランジ性に関してはより高レベルの要請があり、更なる
改善が求められる。
の両特性について一応の改善効果を得ているが、伸びフ
ランジ性に関してはより高レベルの要請があり、更なる
改善が求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、特に
伸びフランジ性が良好で加工性に優れた高強度熱延鋼板
を提供することにある。
情に着目してなされたものであって、その目的は、特に
伸びフランジ性が良好で加工性に優れた高強度熱延鋼板
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の熱延鋼板とは、質量%で、C:0.0
1〜0.10%、Si:2%以下(0%を含む)、M
n:0.5〜2%、P:0.08%以下(0%を含
む)、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.1〜0.
5%、Nb:0.8%以下(0%を含む)を満たす他、
NとSの含有量が下記式(1)の関係を満たし、且つ断
面金属組織のうちグラニュラー・ベイニティック・フェ
ライト組織又は/及びベイニティック・フェライト組織
が面積率95%以上を占める伸びフランジ性に優れた高
強度熱延鋼板である。
のできた本発明の熱延鋼板とは、質量%で、C:0.0
1〜0.10%、Si:2%以下(0%を含む)、M
n:0.5〜2%、P:0.08%以下(0%を含
む)、Al:0.01〜0.1%、Ti:0.1〜0.
5%、Nb:0.8%以下(0%を含む)を満たす他、
NとSの含有量が下記式(1)の関係を満たし、且つ断
面金属組織のうちグラニュラー・ベイニティック・フェ
ライト組織又は/及びベイニティック・フェライト組織
が面積率95%以上を占める伸びフランジ性に優れた高
強度熱延鋼板である。
【0009】 4S(ppm)+5N(ppm)≦240…(1) 上記本発明の熱延鋼板においては、C2系介在物の清浄
度(非金属系介在物の含有量)が0.050%以下、好
ましくは0.040%以下であるものが好ましく、或い
は更に、鋼中に含まれるTiNの平均サイズが20μm
以下であるものが好ましい。また上記鋼材には他の元素
として、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、
B:0.005%以下、Cu:0.5%以下、Ni:
0.5%以下、Ca:0.01%以下よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の元素を含有させることによっ
て、他の付加的機能を持たせることができる。
度(非金属系介在物の含有量)が0.050%以下、好
ましくは0.040%以下であるものが好ましく、或い
は更に、鋼中に含まれるTiNの平均サイズが20μm
以下であるものが好ましい。また上記鋼材には他の元素
として、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下、
B:0.005%以下、Cu:0.5%以下、Ni:
0.5%以下、Ca:0.01%以下よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の元素を含有させることによっ
て、他の付加的機能を持たせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは前述した様な状況の
下で、強度及び伸びフランジ性の両特性が一段と高めら
れた熱延鋼板の開発を期して鋭意研究を進めた結果、低
炭素鋼を基本組成とする熱延鋼板を対象とし、金属組織
をグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は
/及びベイニティック・フェライト組織(日本鉄鋼協会
基礎研究会 発行 『鋼のベイナイト写真集−1』参
照)主体とすると共に、さらに鋼材中のC2系介在物の
清浄度やTiNのサイズを適正に制御してやれば伸びフ
ランジ性が飛躍的に高められることを見出し、上記本発
明に想到したものである。
下で、強度及び伸びフランジ性の両特性が一段と高めら
れた熱延鋼板の開発を期して鋭意研究を進めた結果、低
炭素鋼を基本組成とする熱延鋼板を対象とし、金属組織
をグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は
/及びベイニティック・フェライト組織(日本鉄鋼協会
基礎研究会 発行 『鋼のベイナイト写真集−1』参
照)主体とすると共に、さらに鋼材中のC2系介在物の
清浄度やTiNのサイズを適正に制御してやれば伸びフ
ランジ性が飛躍的に高められることを見出し、上記本発
明に想到したものである。
【0011】以下、本発明において鋼材の化学成分や金
属組織を定めた理由を述べる。まず、鋼材の化学成分を
定めた理由は次の通りである。
属組織を定めた理由を述べる。まず、鋼材の化学成分を
定めた理由は次の通りである。
【0012】C:0.01〜0.10% Cはスラブの加熱により、固溶Tiや固溶Nbとともに
鋼中の固溶C量を高め、熱延後の冷却中に生成するグラ
ニュラー・ベイニティック・フェライト組織やベイニテ
ィック・フェライト組織を生成させるのに欠くことので
きない元素であり、こうした効果を有効に発揮させるに
は0.01%以上、より好ましくは0.03%以上含有
させる。しかしC量が多くなり過ぎると、熱延後の冷却
過程でマルテンサイト組織やM/Aconstituentの如き
伸びフランジ性を阻害する組織が生成し易くなるので、
0.10%以下、より好ましくは0.08%以下に抑え
る。
鋼中の固溶C量を高め、熱延後の冷却中に生成するグラ
ニュラー・ベイニティック・フェライト組織やベイニテ
ィック・フェライト組織を生成させるのに欠くことので
きない元素であり、こうした効果を有効に発揮させるに
は0.01%以上、より好ましくは0.03%以上含有
させる。しかしC量が多くなり過ぎると、熱延後の冷却
過程でマルテンサイト組織やM/Aconstituentの如き
伸びフランジ性を阻害する組織が生成し易くなるので、
0.10%以下、より好ましくは0.08%以下に抑え
る。
【0013】Si:2%以下(0%を含む) Siは伸びフランジ性を劣化させることなく強度を高め
るのに有効な元素であるが、多過ぎるとポリゴナル・フ
ェライトが生成しやすくなり、グラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織やベイニティック・フェライト
組織の生成が阻害される。また、熱間変形抵抗を高めて
溶接部の脆化を起こし易くなり、更には鋼板の表面性状
にも悪影響を及ぼすので、Si量は2%以下、より好ま
しくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下に抑
える。
るのに有効な元素であるが、多過ぎるとポリゴナル・フ
ェライトが生成しやすくなり、グラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織やベイニティック・フェライト
組織の生成が阻害される。また、熱間変形抵抗を高めて
溶接部の脆化を起こし易くなり、更には鋼板の表面性状
にも悪影響を及ぼすので、Si量は2%以下、より好ま
しくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下に抑
える。
【0014】Mn:0.5〜2% Mnは固溶強化元素として有効に作用する他、変態を促
進してグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織
やベイニティック・フェライト組織の生成を促進する作
用も発揮する。こうした効果を有効に発揮させるために
は、Mnを0.5%以上、より好ましくは0.7%以上
含有させる。しかし、多過ぎると、焼入れ性が高くなっ
て変態生成物が多量に生成し、高い伸びフランジ性が得
られ難くなるので、2%以下、より好ましくは1.8%
以下に抑える。
進してグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織
やベイニティック・フェライト組織の生成を促進する作
用も発揮する。こうした効果を有効に発揮させるために
は、Mnを0.5%以上、より好ましくは0.7%以上
含有させる。しかし、多過ぎると、焼入れ性が高くなっ
て変態生成物が多量に生成し、高い伸びフランジ性が得
られ難くなるので、2%以下、より好ましくは1.8%
以下に抑える。
【0015】P:0.08%以下(0%を含む) Pは延性(加工性)を劣化させることなく優れた固溶強
化作用を発揮する有効な元素であるが、多過ぎるとP偏
析を生じて加工割れなどを起こす原因になるので、0.
08%以下、より好ましくは0.06%以下に抑える。
化作用を発揮する有効な元素であるが、多過ぎるとP偏
析を生じて加工割れなどを起こす原因になるので、0.
08%以下、より好ましくは0.06%以下に抑える。
【0016】Al:0.01〜0.1% Alは、鋼を溶製する際に脱酸剤として添加され、脱酸
作用により酸化物系介在物量の低減に寄与するが、多過
ぎるとそれ自身が酸化物系介在物源になって加工性など
に悪影響を及ぼす。こうしたAlの利害得失を考慮し
て、含有量は0.01%以上、より一般的には0.02
%以上で、上限は0.1%以下、より好ましくは0.0
8%以下に抑える。
作用により酸化物系介在物量の低減に寄与するが、多過
ぎるとそれ自身が酸化物系介在物源になって加工性など
に悪影響を及ぼす。こうしたAlの利害得失を考慮し
て、含有量は0.01%以上、より一般的には0.02
%以上で、上限は0.1%以下、より好ましくは0.0
8%以下に抑える。
【0017】S、N:4S(ppm)+5N(ppm)
≦240 Sは、鋼材中のMnなどと結合してMnSの如き伸びフ
ランジ性に悪影響を及ぼす介在物の生成源となる有害元
素であるので、低含有量であることが望ましい。しか
し、脱硫などの製鋼設備上、極端な低S化はN量の増加
を招き、鋼中の多量のNがTiと反応してTiNを生成
し、伸びフランジ性を劣化させる。従ってN量の増大に
よるC2系介在物の生成を抑制しつつ低S化による伸び
フランジ性の向上と両立させるには、SとNの個々の含
有量を規定するのではなく、両者の含有量を総合的観点
から規制するのが最も効果的である。こうした観点から
更に追求した結果、後記図1で詳述する如く、SとNの
含有量を前記式(1)を満たす範囲に抑えれば、介在物
に由来する伸びフランジ性の低下が確実に抑えられるこ
とをつきとめた。
≦240 Sは、鋼材中のMnなどと結合してMnSの如き伸びフ
ランジ性に悪影響を及ぼす介在物の生成源となる有害元
素であるので、低含有量であることが望ましい。しか
し、脱硫などの製鋼設備上、極端な低S化はN量の増加
を招き、鋼中の多量のNがTiと反応してTiNを生成
し、伸びフランジ性を劣化させる。従ってN量の増大に
よるC2系介在物の生成を抑制しつつ低S化による伸び
フランジ性の向上と両立させるには、SとNの個々の含
有量を規定するのではなく、両者の含有量を総合的観点
から規制するのが最も効果的である。こうした観点から
更に追求した結果、後記図1で詳述する如く、SとNの
含有量を前記式(1)を満たす範囲に抑えれば、介在物
に由来する伸びフランジ性の低下が確実に抑えられるこ
とをつきとめた。
【0018】Ti:0.1〜0.5%及びNb:0.8
%以下(0%を含む) TiおよびNbは、熱間圧延前の高温スラブ加熱によっ
て鋼中に固溶し、この固溶Tiや固溶Nbが熱延終了後
の急冷時におけるポリゴナル・フェライトの核生成を抑
制し、転位密度の高いグラニュラー・ベイニティック・
フェライト組織やベイニティック・フェライト組織の生
成を助長する。こうした作用を有効に発揮させるにはT
iを0.1%以上、より好ましくは0.2%以上含有さ
せる。しかし、Tiが0.5%、Nbが0.8%を越え
ると、熱間加工組織がそのまま残存して適正な金属組織
が得られなくなる。しかも、TiNなどのC2系介在物
が多量に生成すると共にTiNのサイズも大きくなり、
伸びフランジ性を劣化させるのでそれ以下に抑えなけれ
ばならない。
%以下(0%を含む) TiおよびNbは、熱間圧延前の高温スラブ加熱によっ
て鋼中に固溶し、この固溶Tiや固溶Nbが熱延終了後
の急冷時におけるポリゴナル・フェライトの核生成を抑
制し、転位密度の高いグラニュラー・ベイニティック・
フェライト組織やベイニティック・フェライト組織の生
成を助長する。こうした作用を有効に発揮させるにはT
iを0.1%以上、より好ましくは0.2%以上含有さ
せる。しかし、Tiが0.5%、Nbが0.8%を越え
ると、熱間加工組織がそのまま残存して適正な金属組織
が得られなくなる。しかも、TiNなどのC2系介在物
が多量に生成すると共にTiNのサイズも大きくなり、
伸びフランジ性を劣化させるのでそれ以下に抑えなけれ
ばならない。
【0019】本発明における必須の元素は以上の通りで
あり、通常、残部はFeおよび不可避不純物とするが、
必要によっては次の様な改善効果を得るため、Mo、C
r、B、Cu、Ni、およびCaよりなる群から選ばれ
る少なくとも1種を適量含有させることも有効である。
あり、通常、残部はFeおよび不可避不純物とするが、
必要によっては次の様な改善効果を得るため、Mo、C
r、B、Cu、Ni、およびCaよりなる群から選ばれ
る少なくとも1種を適量含有させることも有効である。
【0020】Cu:Cuは固溶強化元素として強度向上
に作用するほか、グラニュラー・ベイニティック・フェ
ライト組織やベイニティック・フェライト組織の生成を
促進して伸びフランジ性の向上にも有効に作用する。し
かしそれらの効果は約0.5%で飽和し、それ以上の添
加は経済的に無駄となるばかりでなく、熱間圧延工程で
へげ疵等の表面欠陥を生じる原因になるので、0.5%
以下に抑えなければならない。
に作用するほか、グラニュラー・ベイニティック・フェ
ライト組織やベイニティック・フェライト組織の生成を
促進して伸びフランジ性の向上にも有効に作用する。し
かしそれらの効果は約0.5%で飽和し、それ以上の添
加は経済的に無駄となるばかりでなく、熱間圧延工程で
へげ疵等の表面欠陥を生じる原因になるので、0.5%
以下に抑えなければならない。
【0021】Ni:Niは上記Cuの添加によって生じ
る熱間加工時の表面欠陥を防止するうえで有効に作用す
る元素であり、特にCuを添加する場合にはCu量とほ
ぼ等量、従って0.5%以下のNiを添加し、熱間圧延
時の表面欠陥を防止することが望ましい。
る熱間加工時の表面欠陥を防止するうえで有効に作用す
る元素であり、特にCuを添加する場合にはCu量とほ
ぼ等量、従って0.5%以下のNiを添加し、熱間圧延
時の表面欠陥を防止することが望ましい。
【0022】Mo、Cr:これらの元素は固溶強化元素
として有効に作用する他、変態を促進して、グラニュラ
ー・ベイニティック・フェライト組織やベイニティック
・フェライト組織の生成を促進する作用も有している。
それらの作用はMo、Crの添加量に対応して発揮され
るが、より明瞭には夫々0.05%程度以上含有させる
ことが推奨される。しかし、これら元素の含有量が多く
なり過ぎると、マルテンサイトやM/Aconstituentの
如き伸びフランジ性に悪影響を及ぼす低温変態生成物が
多量に生成し易くなるので、それぞれ0.5%以下に抑
えなければならない。
として有効に作用する他、変態を促進して、グラニュラ
ー・ベイニティック・フェライト組織やベイニティック
・フェライト組織の生成を促進する作用も有している。
それらの作用はMo、Crの添加量に対応して発揮され
るが、より明瞭には夫々0.05%程度以上含有させる
ことが推奨される。しかし、これら元素の含有量が多く
なり過ぎると、マルテンサイトやM/Aconstituentの
如き伸びフランジ性に悪影響を及ぼす低温変態生成物が
多量に生成し易くなるので、それぞれ0.5%以下に抑
えなければならない。
【0023】Ca:Caは、鋼中のSと結合して伸びフ
ランジ性に無害な球状硫化物CaSを生成することによ
り、穴拡げ性に悪影響を及ぼすMnSの生成を抑える作
用を発揮する。しかしその効果は約0.01%で飽和す
るので、それ以上の添加は経済的に無駄である。
ランジ性に無害な球状硫化物CaSを生成することによ
り、穴拡げ性に悪影響を及ぼすMnSの生成を抑える作
用を発揮する。しかしその効果は約0.01%で飽和す
るので、それ以上の添加は経済的に無駄である。
【0024】B:Bは、焼入れ性を向上させる元素であ
り、グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織や
ベイニティック・フェライト組織を生成するうえで有効
な元素であるが、多過ぎてもその効果が飽和するため経
済性などを考慮して、0.005%以下、より好ましく
は0.003%以下に抑える。
り、グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織や
ベイニティック・フェライト組織を生成するうえで有効
な元素であるが、多過ぎてもその効果が飽和するため経
済性などを考慮して、0.005%以下、より好ましく
は0.003%以下に抑える。
【0025】次に、金属組織と介在物について詳述す
る。
る。
【0026】まず伸びフランジ加工中のボイド発生を抑
えるには、介在物の量を低減して清浄度を高めると共
に、鋼中TiNのサイズを小さくすることが有効であ
る。特に、伸びフランジ性に顕著な悪影響を及ぼす硫化
物系および窒化物系介在物を低減させ、本発明で意図す
るレベルの伸びフランジ性を得るには、後記図1でも明
らかする様に、N量とS量が前記式(1)を満たす様に
それらの総含有量を低減すると共に、C2系介在物の清
浄度を0.050%以下、好ましくは0.040%以下
に抑え、更にはTiNのサイズを平均粒径で20μm以
下にすることが好ましい。なお、C2系介在物の清浄度
やサイズは、介在物源となるNやTi等の量を低減する
ことによって、低くすることができる他、そのサイズ
は、連続鋳造時のスラブ冷却速度を速めることによって
も小さくできる。ここで言うC2系介在物の清浄度はJ
IS法(JIS G 0555)によって求められる値を
意味する。
えるには、介在物の量を低減して清浄度を高めると共
に、鋼中TiNのサイズを小さくすることが有効であ
る。特に、伸びフランジ性に顕著な悪影響を及ぼす硫化
物系および窒化物系介在物を低減させ、本発明で意図す
るレベルの伸びフランジ性を得るには、後記図1でも明
らかする様に、N量とS量が前記式(1)を満たす様に
それらの総含有量を低減すると共に、C2系介在物の清
浄度を0.050%以下、好ましくは0.040%以下
に抑え、更にはTiNのサイズを平均粒径で20μm以
下にすることが好ましい。なお、C2系介在物の清浄度
やサイズは、介在物源となるNやTi等の量を低減する
ことによって、低くすることができる他、そのサイズ
は、連続鋳造時のスラブ冷却速度を速めることによって
も小さくできる。ここで言うC2系介在物の清浄度はJ
IS法(JIS G 0555)によって求められる値を
意味する。
【0027】ところで介在物の存在による割れ感受性
は、硬度の高い相ほど顕著に現れる。例えば従来例の如
くフェライト・ベイナイト相のような複合組織で高強度
を達成する場合は、強度の低い(硬度の低い)ポリゴナ
ル・フェライト相と共存するベイナイト相の強度(硬
度)を、高くしなければならず、該硬質のベイナイト相
中に介在物が存在する場合には、介在物による割れ感受
性は高くなる。これに対し、グラニュラー・ベイニティ
ック・フェライト組織やベイニティック・フェライト組
織の単相組織あるいはこれらの2相組織では、軟質のポ
リゴナル・フェライト相を含まないため、前述のフェラ
イト・ベイナイト鋼の例の様にベイナイト相より強度を
高くする必要がない。このため、グラニュラー・ベイニ
ティック・フェライト組織やベイニティック・フェライ
ト組織の中に含まれる介在物は、同程度の強度のフェラ
イト・ベイナイト鋼のベイナイト相中に存在する介在物
よりも、割れ感受性に及ぼす影響が小さく、その結果と
して割れが発生し難くなる。従って本発明では金属組織
をグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は
/及びベイニティック・フェライト組織に特定したうえ
で、介在物の清浄度と特にTiNのサイズを適正に制御
することが極めて重要となるのである。
は、硬度の高い相ほど顕著に現れる。例えば従来例の如
くフェライト・ベイナイト相のような複合組織で高強度
を達成する場合は、強度の低い(硬度の低い)ポリゴナ
ル・フェライト相と共存するベイナイト相の強度(硬
度)を、高くしなければならず、該硬質のベイナイト相
中に介在物が存在する場合には、介在物による割れ感受
性は高くなる。これに対し、グラニュラー・ベイニティ
ック・フェライト組織やベイニティック・フェライト組
織の単相組織あるいはこれらの2相組織では、軟質のポ
リゴナル・フェライト相を含まないため、前述のフェラ
イト・ベイナイト鋼の例の様にベイナイト相より強度を
高くする必要がない。このため、グラニュラー・ベイニ
ティック・フェライト組織やベイニティック・フェライ
ト組織の中に含まれる介在物は、同程度の強度のフェラ
イト・ベイナイト鋼のベイナイト相中に存在する介在物
よりも、割れ感受性に及ぼす影響が小さく、その結果と
して割れが発生し難くなる。従って本発明では金属組織
をグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は
/及びベイニティック・フェライト組織に特定したうえ
で、介在物の清浄度と特にTiNのサイズを適正に制御
することが極めて重要となるのである。
【0028】本発明で言う上記グラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織やベイニティック・フェライト
組織は、光学顕微鏡やSEM観察ではアシキュラー状を
呈しており、明確な違いを判定するにはTEM観察によ
る下部組織の同定が必要となる。そしてベイニティック
・フェライト組織は、ベイナイト組織が転位密度の高い
ラス状組織を持った下部組織を有しており、またグラニ
ュラー・ベイニティック・フェライトは、ラス状組織を
有していないものの転位密度の高い下部組織を有してい
る。これらは組織内に炭化物を有していない点で、ベイ
ナイト組織とは明らかに異なり、また、転位密度がない
か或いは極めて少ない下部組織を持ったポリゴナル・フ
ェライト、或いは細かいサブグレイン等の下部組織を持
った準ポリゴナル・フェライト組織とも異なっている
(日本鉄鋼協会 基礎研究会 発行『鋼のベイナイト写
真集−1』参照)。
ィック・フェライト組織やベイニティック・フェライト
組織は、光学顕微鏡やSEM観察ではアシキュラー状を
呈しており、明確な違いを判定するにはTEM観察によ
る下部組織の同定が必要となる。そしてベイニティック
・フェライト組織は、ベイナイト組織が転位密度の高い
ラス状組織を持った下部組織を有しており、またグラニ
ュラー・ベイニティック・フェライトは、ラス状組織を
有していないものの転位密度の高い下部組織を有してい
る。これらは組織内に炭化物を有していない点で、ベイ
ナイト組織とは明らかに異なり、また、転位密度がない
か或いは極めて少ない下部組織を持ったポリゴナル・フ
ェライト、或いは細かいサブグレイン等の下部組織を持
った準ポリゴナル・フェライト組織とも異なっている
(日本鉄鋼協会 基礎研究会 発行『鋼のベイナイト写
真集−1』参照)。
【0029】そして本発明における上記グラニュラー・
ベイニティック・フェライト組織及びベイニティック・
フェライト組織とは、両方が混在してもよく、それらが
トータルとして金属組織中の面積率95%以上、より好
ましくは面積率98%以上を占めるものであれば、これ
ら以外の組織が少量混在していても本発明の目的は十分
に達成できる。
ベイニティック・フェライト組織及びベイニティック・
フェライト組織とは、両方が混在してもよく、それらが
トータルとして金属組織中の面積率95%以上、より好
ましくは面積率98%以上を占めるものであれば、これ
ら以外の組織が少量混在していても本発明の目的は十分
に達成できる。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】実施例 表1に示す化学成分の鋼スラブを使用し、各鋼スラブ
を、1250℃に加熱し、30分保持した後、通常の熱
間圧延により仕上温度850℃で2.5mm(厚み)に
仕上げ圧延した。その後、空冷およびミスト冷却してか
ら、500℃以下の巻取温度で巻き取り、空冷して熱延
鋼板を製造した。実験用スラブは、溶製後の冷却条件を
変えることによって、TiNの大きさなどを変化させ
た。
を、1250℃に加熱し、30分保持した後、通常の熱
間圧延により仕上温度850℃で2.5mm(厚み)に
仕上げ圧延した。その後、空冷およびミスト冷却してか
ら、500℃以下の巻取温度で巻き取り、空冷して熱延
鋼板を製造した。実験用スラブは、溶製後の冷却条件を
変えることによって、TiNの大きさなどを変化させ
た。
【0032】得られた熱延鋼板について、JIS5号に
準じて圧延方向の引張試験、穴拡げ試験を行なうと共
に、SEMおよびTEM組織観察により組織の同定を行
った。
準じて圧延方向の引張試験、穴拡げ試験を行なうと共
に、SEMおよびTEM組織観察により組織の同定を行
った。
【0033】また清浄度は、光学顕微鏡組織からJIS
法(JIS G 0555)によってC2系介在物を観
察し、TiNの平均サイズは、上記JIS法の全視野内
で観察されるTiNについて長軸、短軸方向の長さを測
定し、両者の和を2分して個々の大きさを求め、更に全
TiNについてその平均値を求めた。
法(JIS G 0555)によってC2系介在物を観
察し、TiNの平均サイズは、上記JIS法の全視野内
で観察されるTiNについて長軸、短軸方向の長さを測
定し、両者の和を2分して個々の大きさを求め、更に全
TiNについてその平均値を求めた。
【0034】なお、穴拡げ試験は、直径10mmの打ち
抜き穴を60°円錐ポンチで押し拡げ、割れが鋼板板厚
を貫通した時点での穴径dを測定し、次式により穴拡げ
率λを求めた。結果を表2,3に示す。 λ=〔(d−d0)/10〕×100(%)(d0=10
mm)
抜き穴を60°円錐ポンチで押し拡げ、割れが鋼板板厚
を貫通した時点での穴径dを測定し、次式により穴拡げ
率λを求めた。結果を表2,3に示す。 λ=〔(d−d0)/10〕×100(%)(d0=10
mm)
【0035】表2は鋼材の化学成分と熱延条件、ならび
に金属組織が物性にどのような影響を与えるかを示すも
ので,表3は金属組織などに加えて,C2系介在物清浄
度とTiNサイズが物性にどのような影響を与えるかを示
すものである。
に金属組織が物性にどのような影響を与えるかを示すも
ので,表3は金属組織などに加えて,C2系介在物清浄
度とTiNサイズが物性にどのような影響を与えるかを示
すものである。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示すように、鋼No.2はCが多いとい
う点で請求項1の要件を満足せず、鋼No.5,6,7は4S
+5Nで与えられる(1)式を満足しないという点で請
求項1の要件を満足しておらない。
う点で請求項1の要件を満足せず、鋼No.5,6,7は4S
+5Nで与えられる(1)式を満足しないという点で請
求項1の要件を満足しておらない。
【0038】
【表2】
【0039】表2における実験No.2,4,9,12
〜14,16,17は、請求項1の規定要件(断面金属
組織のうちグラニュラー・ベイニティック・フェライト
組織とベイニティック・フェライト組織の面積率総和が
95%以上を占める)を満たす実施例であり、引張り強
度(TS)、穴拡げ率(λ値)共に良好であり、高強度
でかつ優れた伸びフランジ性を有していることが分か
る。
〜14,16,17は、請求項1の規定要件(断面金属
組織のうちグラニュラー・ベイニティック・フェライト
組織とベイニティック・フェライト組織の面積率総和が
95%以上を占める)を満たす実施例であり、引張り強
度(TS)、穴拡げ率(λ値)共に良好であり、高強度
でかつ優れた伸びフランジ性を有していることが分か
る。
【0040】これらに対し、上記以外の例は請求項1で
定める要件のいずれかを欠く比較例であり、下記の如く
強度、穴拡げ率のいずれかが不良で本発明の目的を果た
すことができない。 ・No.1:ポリゴナル・フェライトを主相とするもの
で、強度が低い。 ・No.3:鋼材のC量が規定範囲を超えて過剰であ
り、金属組織がフェライト+マルテンサイトの2相組織
であり、しかも清浄度も低いためλ値が劣悪である。 ・No.5,7,8:金属組織面では請求項1の要件を
満足しているが、鋼材のS,N含有量から求められる
(1)式を満足しない鋼種No.5,6,7を用いており、λ
値が低い。伸びフランジ性に悪影響を及ぼすC2系介在
物が多く生成するためと考えている。 ・No.6,15:金属組織がフェライト+ベイナイトの2
相組織であり、λ値が劣悪である。
定める要件のいずれかを欠く比較例であり、下記の如く
強度、穴拡げ率のいずれかが不良で本発明の目的を果た
すことができない。 ・No.1:ポリゴナル・フェライトを主相とするもの
で、強度が低い。 ・No.3:鋼材のC量が規定範囲を超えて過剰であ
り、金属組織がフェライト+マルテンサイトの2相組織
であり、しかも清浄度も低いためλ値が劣悪である。 ・No.5,7,8:金属組織面では請求項1の要件を
満足しているが、鋼材のS,N含有量から求められる
(1)式を満足しない鋼種No.5,6,7を用いており、λ
値が低い。伸びフランジ性に悪影響を及ぼすC2系介在
物が多く生成するためと考えている。 ・No.6,15:金属組織がフェライト+ベイナイトの2
相組織であり、λ値が劣悪である。
【0041】
【表3】
【0042】・No.1,7〜15、17、18、19:グラニュ
ラー・ベイニティック・フェライト組織とベイニティッ
ク・フェライト組織の面積率総和が95%を満足すると共
に,C2系介在物清浄度およびTiNサイズが本発明の請求
項要件を満足し,強度およびλ値が満足すべき値を与え
ている。 ・No.2:金属組織中のベイニティック・フェライト
組織が95%以上であるにもかかわらず、鋼材の4S+
5Nで与えられる値が請求項1の要件を満足しないた
め、C2系介在物清浄度およびTiNサイズが本発明の請求
項2,3の要件を満足せず、λ値が低い。 ・No.3,4:金属組織中のベイニティック・フェラ
イト組織が100%であるにかかわらず、鋼材の4S+
5Nで与えられる値が請求項1の要件を満足しないこと
が原因となって、TiNサイズが本発明の請求項3の要件
を満足せず、λ値が低い。 ・No.5:鋼材の金属組織がグラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織とベイニティック・フェライト
組織を全く含まず、またC2系介在物清浄度も悪いた
め、λ値が低く、伸びフランジ性が悪い。 ・No.6,16:鋼材の4S+5Nで与えられる値が請
求項1の要件を満足しないことが原因となって、C2系
介在物が多く生成し、λ値が低い。 ・No.20〜22:鋼材の金属組織がグラニュラー・
ベイニティック・フェライト組織とベイニティック・フ
ェライト組織を全く含まず、フェライトとベイナイトの
みで構成されるため,λ値が低い。
ラー・ベイニティック・フェライト組織とベイニティッ
ク・フェライト組織の面積率総和が95%を満足すると共
に,C2系介在物清浄度およびTiNサイズが本発明の請求
項要件を満足し,強度およびλ値が満足すべき値を与え
ている。 ・No.2:金属組織中のベイニティック・フェライト
組織が95%以上であるにもかかわらず、鋼材の4S+
5Nで与えられる値が請求項1の要件を満足しないた
め、C2系介在物清浄度およびTiNサイズが本発明の請求
項2,3の要件を満足せず、λ値が低い。 ・No.3,4:金属組織中のベイニティック・フェラ
イト組織が100%であるにかかわらず、鋼材の4S+
5Nで与えられる値が請求項1の要件を満足しないこと
が原因となって、TiNサイズが本発明の請求項3の要件
を満足せず、λ値が低い。 ・No.5:鋼材の金属組織がグラニュラー・ベイニテ
ィック・フェライト組織とベイニティック・フェライト
組織を全く含まず、またC2系介在物清浄度も悪いた
め、λ値が低く、伸びフランジ性が悪い。 ・No.6,16:鋼材の4S+5Nで与えられる値が請
求項1の要件を満足しないことが原因となって、C2系
介在物が多く生成し、λ値が低い。 ・No.20〜22:鋼材の金属組織がグラニュラー・
ベイニティック・フェライト組織とベイニティック・フ
ェライト組織を全く含まず、フェライトとベイナイトの
みで構成されるため,λ値が低い。
【0043】ところで図1は、上記表1〜3に示した実
験データの中から、鋼材中に含まれるS、N量から求め
られる[4S+5N]の値が伸びフランジ性に及ぼす影響
を整理して示したグラフであり、このグラフから、硫化
物系及び窒化物系介在物の悪影響を受けることなく高レ
ベルの伸びフランジ性を確保するには、S,N含有量を
前記式(1)の範囲内に抑える必要があることが確認で
きる。
験データの中から、鋼材中に含まれるS、N量から求め
られる[4S+5N]の値が伸びフランジ性に及ぼす影響
を整理して示したグラフであり、このグラフから、硫化
物系及び窒化物系介在物の悪影響を受けることなく高レ
ベルの伸びフランジ性を確保するには、S,N含有量を
前記式(1)の範囲内に抑える必要があることが確認で
きる。
【0044】また図2は、上記表1〜3に示した実験デ
ータの中から、金属組織別およびTiNサイズ別に、清
浄度が穴拡げ率(λ)に与える影響を示したものであ
る。このグラフからも明らかなように、清浄度が同レベ
ルであっても、金属組織がベイニティック・フェライト
組織である方が、フェライト・ベイナイト組織の場合よ
りも高い穴拡げ率(λ)を示しており、また、金属組織
がベイニティック・フェライト組織である方が、清浄度
の制御によるλ値の向上が顕著であることを確認でき
る。更に、金属組織が同じベイニティック・フェライト
組織であっても、TiNの平均サイズを20μm以下に
制御することで、より高いλ値が得られることを確認で
きる。
ータの中から、金属組織別およびTiNサイズ別に、清
浄度が穴拡げ率(λ)に与える影響を示したものであ
る。このグラフからも明らかなように、清浄度が同レベ
ルであっても、金属組織がベイニティック・フェライト
組織である方が、フェライト・ベイナイト組織の場合よ
りも高い穴拡げ率(λ)を示しており、また、金属組織
がベイニティック・フェライト組織である方が、清浄度
の制御によるλ値の向上が顕著であることを確認でき
る。更に、金属組織が同じベイニティック・フェライト
組織であっても、TiNの平均サイズを20μm以下に
制御することで、より高いλ値が得られることを確認で
きる。
【0045】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、化
学成分の特定された低炭素鋼を対象として、金属組織を
グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は/
及びベイニティック・フェライト組織主体とし、かつ鋼
の清浄度およびTiNの平均サイズを制御することによ
り、高強度で且つ卓越した伸びフランジ性を示し、例え
ば自動車用の各種部品材料等として有用な鋼材を提供し
得ることになった。
学成分の特定された低炭素鋼を対象として、金属組織を
グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は/
及びベイニティック・フェライト組織主体とし、かつ鋼
の清浄度およびTiNの平均サイズを制御することによ
り、高強度で且つ卓越した伸びフランジ性を示し、例え
ば自動車用の各種部品材料等として有用な鋼材を提供し
得ることになった。
【図1】実験で用いた鋼材中のN含有量とS含有量が穴
拡げ率に与える影響を整理して示すグラフである。
拡げ率に与える影響を整理して示すグラフである。
【図2】実験で用いた鋼材の金属組織別およびTiNの
平均サイズ別に、C2系介在物清浄度が穴拡げ率に及ぼ
す影響を整理して示すグラフである。
平均サイズ別に、C2系介在物清浄度が穴拡げ率に及ぼ
す影響を整理して示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%で C :0.01〜0.10%、 Si:2%以下(0%を含む)、 Mn:0.5〜2%、 P :0.08%以下(0%を含む)、 Al:0.01〜0.1%、 Ti:0.1〜0.5%、 Nb:0.8%以下(0%を含む)を満たす他、NとS
の含有量が下記式(1)を満たし、断面金属組織のうち
グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織又は/
及びベイニティック・フェライト組織が面積率95%以
上を占めることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高
強度熱延鋼板。 4S(ppm)+5N(ppm)≦240…(1) - 【請求項2】 C2系介在物の清浄度が0.050%以
下である請求項1に記載の高強度熱延鋼板。 - 【請求項3】 鋼中に含まれるTiNの平均サイズが2
0μm以下である請求項1または2に記載の高強度熱延
鋼板。 - 【請求項4】 鋼材が、更に他の元素として、Mo:
0.5%以下、Cr:0.5%以下、B:0.005%
以下、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、C
a:0.01%以下よりなる群から選択される少なくと
も1種の元素を含むものである請求項1〜3のいずれか
に記載の高強度熱延鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11189736A JP2001020030A (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11189736A JP2001020030A (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001020030A true JP2001020030A (ja) | 2001-01-23 |
Family
ID=16246332
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11189736A Pending JP2001020030A (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001020030A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004143550A (ja) * | 2002-10-25 | 2004-05-20 | Sanyo Special Steel Co Ltd | Ti添加高強度鋼 |
EP1676932A1 (en) * | 2004-12-28 | 2006-07-05 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High strength thin steel sheet having high hydrogen embrittlement resisting property |
JP2008255484A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-10-23 | Kobe Steel Ltd | プレス加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2014043630A (ja) * | 2012-08-28 | 2014-03-13 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 熱延鋼板 |
KR101435320B1 (ko) | 2013-02-27 | 2014-08-29 | 현대제철 주식회사 | 강재 제조 방법 |
JP2018058107A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造スラブ、連続鋳造スラブの製造方法および高張力鋼板 |
WO2024019604A1 (ko) * | 2022-07-18 | 2024-01-25 | 주식회사 포스코 | 열연강판 및 그 제조방법 |
-
1999
- 1999-07-02 JP JP11189736A patent/JP2001020030A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004143550A (ja) * | 2002-10-25 | 2004-05-20 | Sanyo Special Steel Co Ltd | Ti添加高強度鋼 |
EP1676932A1 (en) * | 2004-12-28 | 2006-07-05 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High strength thin steel sheet having high hydrogen embrittlement resisting property |
JP2008255484A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-10-23 | Kobe Steel Ltd | プレス加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2014043630A (ja) * | 2012-08-28 | 2014-03-13 | Nippon Steel & Sumitomo Metal | 熱延鋼板 |
KR101435320B1 (ko) | 2013-02-27 | 2014-08-29 | 현대제철 주식회사 | 강재 제조 방법 |
JP2018058107A (ja) * | 2016-10-04 | 2018-04-12 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造スラブ、連続鋳造スラブの製造方法および高張力鋼板 |
WO2024019604A1 (ko) * | 2022-07-18 | 2024-01-25 | 주식회사 포스코 | 열연강판 및 그 제조방법 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20030408 |