以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が部分的に省略される。実施形態や変形例に含まれる部分は、他の実施形態や変形例の対応する部分と置き換えて構成されることができる。また、実施形態や変形例に含まれる部分の構成や位置等は、特に言及しない限りは、他の実施形態や変形例と同様である。
図1は、本実施形態による変速機30及びクラッチの制御装置を搭載した車両10の概略の構成図である。図1に示す車両10は、変速機の一例として自動変速機のデュアルクラッチ式自動変速機(Dual Clutch Transmission:DCT)をFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプに適用した例である。
図1に示すように、車両10は、駆動部12と、駆動力伝達部14と、左右の前輪16、18とを備えている。
駆動部12は、運転者の操作に応じて、車両10を移動させる駆動力を生じさせる。駆動部12は、原動機20と、駆動軸22と、エンジン回転数センサ24と、アクセルペダル25と、アクセル開度センサ26と、ECU(Engine Control Unit)28とを有する。
原動機20の一例は、エンジンである。原動機20は、ガソリンまたは軽油等の燃料の燃焼によって駆動されて、駆動力を生じさせる。原動機20の駆動力は、駆動軸22を回転させる。
エンジン回転数センサ24は、駆動軸22に近接して設けられている。エンジン回転数センサ24は、原動機20の回転数をエンジン回転数Neとして検出して、ECU28に出力する。
アクセル開度センサ26は、運転者によるアクセルペダル25の操作によるアクセル操作量を、アクセル開度として検出して、ECU28に出力する。
ECU28は、駆動部12の制御全般を司る。ECU28は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び入出力インターフェース等を有する。ECU28は、エンジン回転数センサ24と、アクセル開度センサ26と情報を入出力可能に接続されている。具体的には、ECU28は、運転者によるアクセルペダル25の操作に対応するアクセル開度をアクセル開度センサ26から取得する。ECU28は、当該アクセル開度に応じて、原動機20の燃料噴射量を調整することによって、エンジン回転数センサ24から取得するエンジン回転数Ne及びエンジントルクを制御する。
駆動力伝達部14は、駆動部12の原動機20が生じさせた駆動力を、駆動輪である左右の前輪16、18へと伝達させる。駆動力伝達部14は、変速機30と、差動装置32と、左右の車輪軸34、36とを備えている。
変速機30は、駆動部12の原動機20と差動装置32との間の駆動力の伝達経路上に配置されている。変速機30は、クラッチ装置40と、第1入力軸42と、第2入力軸44と、変速装置46とを備える。
クラッチ装置40は、車両10の原動機20の駆動軸22と、第1入力軸42及び第2入力軸44との連結を接続と遮断との間で切り替える。尚、ここでいう接続と遮断との間は、駆動軸22と、第1入力軸42及び第2入力軸44とが完全に接続された状態と、完全に遮断された状態との間のことであって、いわゆる半クラッチ状態も含む。従って、クラッチ装置40は、駆動軸22と、第1入力軸42及び第2入力軸44との間で伝達される回転の伝達状態を切り替える。換言すれば、クラッチ装置40は、当該回転が伝達されない状態と回転が伝達される状態との間で切り替える。また、クラッチ装置40は、駆動軸22と第1入力軸42とを経由する駆動力の伝達経路と、駆動軸22と第2入力軸44とを経由する駆動力の伝達経路とを切り替える。
クラッチ装置40は、フライホイール50と、第1クラッチ52と、第2クラッチ54と、第1クラッチアクチュエータ56と、第2クラッチアクチュエータ58とを有する。
フライホイール50は、駆動軸22の出力端側に設けられている。これにより、駆動軸22が回転されると、フライホイール50が、駆動軸22とともに回転される。
第1クラッチ52は、フライホイール50と対向するように設けられている。第1クラッチ52は、フライホイール50と接続またはフライホイール50から離脱することによって、原動機20の駆動力を変速装置46へと伝達または遮断する。
第2クラッチ54は、フライホイール50と対向するように設けられている。第2クラッチ54は、フライホイール50と接続またはフライホイール50から離脱することによって、原動機20の駆動力を変速装置46へと伝達または遮断する。
第1クラッチアクチュエータ56は、第1クラッチ52を第1入力軸42の軸方向に沿って移動させる。これにより、第1クラッチアクチュエータ56は、第1クラッチ52とフライホイール50との接続状態を切り替える。
第2クラッチアクチュエータ58は、第2クラッチ54を第2入力軸44の軸方向に沿って移動させる。これにより、第2クラッチアクチュエータ58は、第2クラッチ54とフライホイール50との接続状態を切り替える。
第1入力軸42の一端は、第1クラッチ52と連結されている。これにより、第1入力軸42は、フライホイール50と第1クラッチ52とが接続されている場合、フライホイール50から伝達された駆動力によって回転される。この結果、第1入力軸42は、駆動力を変速装置46へと伝達する。第1入力軸42は、水平方向に延びる円柱状に形成されている。
第2入力軸44の一端は、第2クラッチ54と連結されている。これにより、第2入力軸44は、フライホイール50と第2クラッチ54とが接続されている場合、フライホイール50から伝達された駆動力によって回転される。この結果、第2入力軸44は、駆動力を変速装置46へと伝達する。第2入力軸44は、水平方向に延びる中空の円筒形状に形成されている。
第2入力軸44の内径は、第1入力軸42の外径よりも大きい。第2入力軸44は、第1入力軸42を内側に収容する。これにより、第1入力軸42及び第2入力軸44は、同軸上に配置される。ここで、第1入力軸42及び第2入力軸44は、互いに独立して回転可能に構成されている。従って、第1入力軸42及び第2入力軸44には独立してトルクが伝達されて、第1入力軸42及び第2入力軸44は異なる回転数で回転される。
変速装置46は、車両10の原動機20の駆動軸22によって回転される第1入力軸42及び第2入力軸44の回転を複数の変速比で変速させる。変速装置46は、変速させた第1入力軸42及び第2入力軸44の回転を、差動装置32を介して、駆動輪である左右の前輪16、18に伝達する。
変速機30は、第1ストロークセンサ60と、第2ストロークセンサ62と、第1入力軸回転数センサ64と、第2入力軸回転数センサ66と、第1車輪速センサ68と、第2車輪速センサ70と、シフトレバー72と、シフト位置センサ74と、TCU(Transmission Control Unit)76とを更に備える。
第1ストロークセンサ60は、第1クラッチアクチュエータ56の近傍に設けられている。第1ストロークセンサ60は、第1クラッチアクチュエータ56の第1ストローク量を、第1入力軸42の軸方向における第1クラッチ52の移動量として検出して、TCU76へと出力する。
第2ストロークセンサ62は、第2クラッチアクチュエータ58の近傍に設けられている。第2ストロークセンサ62は、第2クラッチアクチュエータ58の第2ストローク量を、第2入力軸44の軸方向における第2クラッチ54の移動量として検出して、TCU76へと出力する。
第1入力軸回転数センサ64は、第1入力軸42の近傍に設けられている。第1入力軸回転数センサ64は、第1入力軸42の第1入力軸回転数N1を検出して、TCU76へ出力する。
第2入力軸回転数センサ66は、第2入力軸44の近傍に設けられている。第2入力軸回転数センサ66は、第2入力軸44の第2入力軸回転数N2を検出して、TCU76へ出力する。
第1車輪速センサ68は、左側の前輪16の近傍に設けられている。第1車輪速センサ68は、左側の前輪16の回転速度を検出して、TCU76へ出力する。
第2車輪速センサ70は、右側の前輪18の近傍に設けられている。第2車輪速センサ70は、右側の前輪18の回転速度を検出して、TCU76へ出力する。
シフト位置センサ74は、運転者によって操作されるシフトレバー72のシフト位置を検出して、TCU76へ出力する。
TCU76は、変速機30の制御全般を司る。TCU76は、クラッチの制御装置の一例である。TCU76は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び入出力インターフェース等を有する。TCU76は、CAN(Controller Area Network)通信を介して、ECU28と情報を送受信可能に接続されている。例えば、TCU76は、ECU28からエンジン回転数Neを取得する。
TCU76は、第1及び第2ストロークセンサ60、62、第1及び第2入力軸回転数センサ64、66、第1及び第2車輪速センサ68、70、及び、シフト位置センサ74と情報を入出力可能に接続されている。TCU76は、各センサから取得した情報に基づいて、変速機30を制御する。例えば、TCU76は、第1及び第2ストロークセンサ60、62から取得したストローク量の情報に基づいて、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を調整する。これにより、TCU76は、フライホイール50と第1クラッチ52及び第2クラッチ54との間の第1クラッチトルクTc1及び第2クラッチトルクTc2を制御する。尚、以下の説明において、いずれのクラッチのトルクかを区別する必要がない場合、クラッチトルクTcと表記する。TCU76は、算出部80と、クラッチ制御部82とを備える。
算出部80は、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の推定仕事量EWを算出する。推定仕事量EWは、判断値の一例である。推定仕事量EWは、クラッチトルクTc、差回転Dr及び変速時間CTの少なくとも1つに基づいて、算出された現在の仕事量WAから推定される未来の仕事量である。差回転Drは、駆動軸22の回転数であるエンジン回転数Neと、第1入力軸42または第2入力軸44の第1入力軸回転数N1または第2入力軸回転数N2との差である。変速時間CTは、変速に要する時間である。未来の一例は、予め定められた走行期間または走行距離に対応したときである。予め定められた走行期間の一例は、クラッチ装置40等の性能が保証された期間である。予め定められた走行距離の一例は、クラッチ装置40等の性能が保証された距離である。クラッチトルクTc、差回転Dr及び変速時間CTは、それぞれ第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量の増減と対応関係にある。従って、算出部80が算出する推定仕事量EWが増減すると、未来(予め定められた走行距離または走行期間)における第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量が推定仕事量EWの増減に応じて増減することが予測される。
クラッチ制御部82は、予め定められたクラッチ用閾値Thと推定仕事量EWとを比較して、比較結果に基づいて第1クラッチ52及び第2クラッチ54のクラッチトルクTcを制御する。クラッチ用閾値Thは、予め定められた走行期間または走行距離に応じて設定された値である。例えば、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上であれば、第1クラッチアクチュエータ56または第2クラッチアクチュエータ58を介して、第1クラッチ52の第1クラッチトルクTc1または第2クラッチ54の第2クラッチトルクTc2を低減する。クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th未満であれば、第1クラッチアクチュエータ56または第2クラッチアクチュエータ58を介して、第1クラッチ52の第1クラッチトルクTc1または第2クラッチ54の第2クラッチトルクTc2を増加させる。
差動装置32は、ディファレンシャルであって、車両10が曲がるときに生じる左の前輪16と右の前輪18との間の回転数の差を吸収する。これにより、差動装置32は、原動機20から伝達された駆動力を、左右の車輪軸34、36に同じトルクで伝達する。
左側の車輪軸34の一端は、差動装置32に接続されている。左側の車輪軸34の他端は、左側の前輪16に接続されている。右側の車輪軸36の一端は、差動装置32に接続されている。右側の車輪軸36の他端は、右側の前輪18に接続されている。これにより、車輪軸34、36は、差動装置32から伝達された駆動力を左右の前輪16、18へと伝達する。
図2は、本実施形態にかかる変速装置46の全体構成図である。図2に示すように、変速装置46は、7速の前進と、1速の後進のギヤトレーンを備えている。変速装置46は、第1副軸84と、第2副軸86とを更に備えている。
第1副軸84は、第1入力軸42及び第2入力軸44と平行に配置されている。第2副軸86は、第1入力軸42及び第2入力軸44と平行に配置されている。第2副軸86は、第1入力軸42及び第2入力軸44を挟み、第1副軸84と反対側に配置されている。
変速装置46は、1速駆動ギヤ88と、2速駆動ギヤ90と、3速駆動ギヤ92と、4−6速駆動ギヤ94と、5速駆動ギヤ96と、7速駆動ギヤ98とを更に備えている。複数の奇数変速段駆動ギヤである1速駆動ギヤ88、3速駆動ギヤ92、5速駆動ギヤ96及び7速駆動ギヤ98は、第1入力軸42に直接形成または別体で固定して設けられている。複数の偶数段駆動ギヤである2速駆動ギヤ90及び4−6速駆動ギヤ94は、第2入力軸44に直接形成または別体で固定して設けられている。
変速装置46は、1速従動ギヤ100と、2速従動ギヤ102と、3速従動ギヤ104と、4速従動ギヤ106と、5速従動ギヤ108と、6速従動ギヤ110と、7速従動ギヤ112と、後進ギヤ114とを更に備える。
1速従動ギヤ100、3速従動ギヤ104、4速従動ギヤ106及び後進ギヤ114は、第1副軸84に空転可能に設けられている。1速従動ギヤ100は、1速駆動ギヤ88に噛合されている。3速従動ギヤ104は、3速駆動ギヤ92に噛合されている。4速従動ギヤ106は、4−6速駆動ギヤ94に噛合されている。後進ギヤ114は、2速従動ギヤ102の小径ギヤ103に常時噛合されている。
2速従動ギヤ102、5速従動ギヤ108、6速従動ギヤ110及び7速従動ギヤ112は、第2副軸86に空転可能に設けられている。2速従動ギヤ102は、2速駆動ギヤ90に噛合されている。5速従動ギヤ108は、5速駆動ギヤ96に噛合されている。6速従動ギヤ110は、4−6速駆動ギヤ94に噛合されている。7速従動ギヤ112は、7速駆動ギヤ98に噛合されている。
変速装置46は、第1ギヤシフトクラッチ120と、第2ギヤシフトクラッチ122と、第3ギヤシフトクラッチ124と、第4ギヤシフトクラッチ126とを更に備える。第1ギヤシフトクラッチ120、第2ギヤシフトクラッチ122、第3ギヤシフトクラッチ124及び第4ギヤシフトクラッチ126は、シンクロメッシュ機能を有する。第1ギヤシフトクラッチ120、第2ギヤシフトクラッチ122、第3ギヤシフトクラッチ124及び第4ギヤシフトクラッチ126は、TCU76によって制御される。
第1ギヤシフトクラッチ120は、第1副軸84上の、1速従動ギヤ100のシンクロギヤ部と3速従動ギヤ104のシンクロギヤ部との間に配置されている。第1ギヤシフトクラッチ120のスリーブが、第1副軸84の軸方向にスライドされることにより、1速従動ギヤ100及び3速従動ギヤ104のいずれか一方と第1副軸84とが相対回転不能に連結される。これにより、第1副軸84と連結された1速従動ギヤ100及び3速従動ギヤ104の一方が回転される。第1ギヤシフトクラッチ120のスリーブが第1副軸84の軸方向における中間位置に配置されている場合、1速従動ギヤ100及び3速従動ギヤ104の両方が第1副軸84と連結されないニュートラル状態となる。
第2ギヤシフトクラッチ122は、第1副軸84上の、4速従動ギヤ106のシンクロギヤ部と後進ギヤ114のシンクロギヤ部との間に配置されている。第2ギヤシフトクラッチ122のスリーブが、第1副軸84の軸方向にスライドされることにより、4速従動ギヤ106及び後進ギヤ114のいずれか一方と第1副軸84とが相対回転不能に連結される。これにより、第1副軸84と連結された4速従動ギヤ106及び後進ギヤ114の一方が回転される。第2ギヤシフトクラッチ122のスリーブが第1副軸84の軸方向における中間位置に配置されている場合、4速従動ギヤ106及び後進ギヤ114の両方が第1副軸84と連結されないニュートラル状態となる。
第3ギヤシフトクラッチ124は、第2副軸86上の、7速従動ギヤ112のシンクロギヤ部と5速従動ギヤ108のシンクロギヤ部との間に配置されている。第3ギヤシフトクラッチ124のスリーブが、第2副軸86の軸方向にスライドされることにより、7速従動ギヤ112及び5速従動ギヤ108のいずれか一方と第2副軸86とが相対回転不能に連結される。これにより、第2副軸86と連結された7速従動ギヤ112及び5速従動ギヤ108の一方が回転される。第3ギヤシフトクラッチ124のスリーブが第2副軸86の軸方向における中間位置に配置されている場合、7速従動ギヤ112及び5速従動ギヤ108の両方が第2副軸86と連結されないニュートラル状態となる。
第4ギヤシフトクラッチ126は、第2副軸86上の、6速従動ギヤ110のシンクロギヤ部と2速従動ギヤ102のシンクロギヤ部との間に配置されている。第4ギヤシフトクラッチ126のスリーブが、第2副軸86の軸方向にスライドされることにより、6速従動ギヤ110及び2速従動ギヤ102のいずれか一方と第2副軸86とが相対回転不能に連結される。これにより、第2副軸86と連結された6速従動ギヤ110及び2速従動ギヤ102の一方が回転される。第4ギヤシフトクラッチ126のスリーブが第2副軸86の軸方向における中間位置に配置されている場合、6速従動ギヤ110及び2速従動ギヤ102の両方が第2副軸86と連結されないニュートラル状態となる。
上述したように、第1ギヤシフトクラッチ120及び第3ギヤシフトクラッチ124は、第1入力軸42に伝達された回転駆動力を奇数変速段で変速させて、第1副軸84または第2副軸86に伝達する。第2ギヤシフトクラッチ122及び第4ギヤシフトクラッチ126は、第2入力軸44に伝達された回転駆動力を偶数変速段で変速させて、第1副軸84または第2副軸86に伝達する。
変速装置46は、第1最終減速駆動ギヤ130と、第2最終減速駆動ギヤ132と、減速従動ギヤ134と、出力軸136とを更に備える。第1最終減速駆動ギヤ130は、第1副軸84に固定されている。第2最終減速駆動ギヤ132は、第2副軸86に固定されている。第1最終減速駆動ギヤ130及び第2最終減速駆動ギヤ132は、減速従動ギヤ134に常時噛合している。減速従動ギヤ134は、出力軸136に固定されている。出力軸136は、差動装置32に回転駆動を伝達可能に連結されている。これにより、回転駆動が伝達された第1最終減速駆動ギヤ130及び第2最終減速駆動ギヤ132のいずれか一方が、減速従動ギヤ134、出力軸136及び差動装置32を介して、左右の前輪16、18を回転駆動させる。
例えば、車両10が、3速変速段で走行している状態から、4速変速段の走行に切り替える場合を想定する。この場合、TCU76のクラッチ制御部82は、第2ギヤシフトクラッチ122のスリーブ部を移動させて、第1副軸84と4速従動ギヤ106とを連結させて、4速変速段を形成させる。クラッチ制御部82は、デュアル式のクラッチ装置40の第1クラッチ52とフライホイール50との連結を解除して、第2クラッチ54とフライホイール50とを接続する。また、クラッチ制御部82は、第1ギヤシフトクラッチ120を中立位置へと移動させる。これにより、フライホイール50から第1クラッチ52及び第1入力軸42に入力されていた回転駆動は、第2クラッチ54及び第2入力軸44に入力される。この結果、第2入力軸44は回転されて、当該回転駆動は、4−6速駆動ギヤ94、4速従動ギヤ106、第1副軸84、第1最終減速駆動ギヤ130、減速従動ギヤ134及び出力軸136を介して、差動装置32及び前輪16、18へと伝達される。
図3は、TCUによって実行される変速処理のフローチャートである。図4は、仕事量と走行距離との関係を説明するグラフである。図5は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値以上の場合のグラフである。図3に示す変速処理は、例えば、イグニッションキーがオンにされて、ECU28及びTCU76に電力が供給されると、実行される。
図3に示すように、変速処理が開始すると、クラッチ制御部82は、シフト位置センサ74からシフト位置を取得して、シフトレバー72が移動されたか否かを判定する(S200)。クラッチ制御部82は、シフトレバー72が移動さるまで待機状態となる(S200:No)。クラッチ制御部82は、シフトレバー72が移動されたと判定すると(S200:Yes)、算出部80に仕事量の算出指示を出力する。
これにより、算出部80は、仕事量及び仕事量を積算した積算仕事量の算出に必要な変速時の情報を記憶部から取得する(S202)。例えば、算出部80は、今回の変速時の情報として、変速時のクラッチトルクTc、差回転Dr、及び、変速時間CTとを取得する。また、算出部80は、過去の変速時の情報として、過去の仕事量の少なくとも一部を積算した積算仕事量及び過去の積算仕事量に積算されていない直近の仕事量を記憶部から取得する。
ここで、算出部80は、変速時において、フライホイール50と第1クラッチ52または第2クラッチ54の接触面積と、フライホイール50と第1クラッチ52または第2クラッチ54との間の圧力と、フライホイール50、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩擦係数等からクラッチトルクTcを算出して、記憶部に記憶させる。尚、算出部80は、第1ストロークセンサ60及び第2ストロークセンサ62から取得した第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量から、フライホイール50と第1クラッチ52または第2クラッチ54との間の圧力を算出する。
また、算出部80は、変速時において、ECU28から取得したエンジン回転数Neと、第1入力軸回転数センサ64及び第2入力軸回転数センサ66から取得した第1入力軸42及び第2入力軸44の第1入力軸回転数N1及び第2入力軸回転数N2との差から差回転Drを算出して、記憶部に記憶させる。
算出部80は、変速時において、変速に要した時間を計測して、当該時間を変速時間CTとして、記憶部に記憶させる。
算出部80は、現在の積算仕事量TWを算出する(S204)。例えば、算出部80は、今回の変速時のクラッチトルクTcと差回転Drと変速時間CTとから今回の変速時の仕事量WAを算出する。具体的には、算出部80は、変速時の仕事量WAを次の式(1)に基づいて、算出する。
仕事量WA=クラッチトルクTc×差回転Dr×変速時間CT ・・・(1)
算出部80は、過去の積算仕事量TWに今回の仕事量及び過去の積算仕事量TWに含まれていない直近の仕事量WAを更に積算することにより、図4に示す現在の積算仕事量TWを算出する。算出部80は、過去の仕事量WAを上述の式(1)によって計算して、周期的に過去の仕事量WAを積算した積算仕事量TWを記憶部に記憶させている。ここでいう周期は、経過時間の周期(例えば、1週間等)、運転時間に基づく周期、変速の回数による周期等によって適宜設定すればよい。また、算出部80は、積算仕事量TWに積算されていない直近の仕事量WAも記憶部に記憶させている。尚、算出部80は、過去の仕事量WAを記憶させておき、ステップS204において過去の仕事量WAを全て積算して現在の積算仕事量TWを算出してもよい。また、算出部80は、ステップS204において過去の仕事量WAを算出して、当該過去の仕事量WAを全て積算して積算仕事量TWを算出してもよい。
算出部80は、仕事量の増加速度を算出する(S206)。例えば、算出部80は、積算仕事量TWを積算した期間の走行距離または走行時間を記憶部から取得して、積算仕事量TWを走行距離または走行時間で除して、仕事量の増加速度を算出する。尚、本実施形態では、算出部80は、積算仕事量TWを走行距離で除して、仕事量の増加速度を算出する。従って、算出部80は、積算仕事量TWの積算を開始した過去から現在までの走行距離で積算仕事量TWを除して、仕事量の増加速度を算出する。即ち、算出部80が算出する仕事量の増加速度は、単位走行距離当たりの仕事量の増加量となる。
算出部80は、算出した仕事量の増加速度に基づいて、未来の推定仕事量EWを算出する(S208)。ここでいう未来の一例は、クラッチ装置40等の性能が保証されている走行距離となる時である。例えば、算出部80は、保証されている走行距離と現在の走行距離との走行距離の差を算出する。算出部80は、式(2)に示すように、走行距離の差と仕事量の増加速度とを乗じて、現在から未来までの仕事量の増加分を算出する。
仕事量の増加分=走行距離の差×仕事量の増加速度 ・・・(2)
算出部80は、仕事量の増加分を現在の積算仕事量TWに加算することによって、推定仕事量EWを算出する。算出部80は、算出した推定仕事量EWをクラッチ制御部82へ出力する。
クラッチ制御部82は、推定仕事量EWを取得すると、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上か否かを判断する(S210)。
ここで、図5に示すように、車両10が、現状のクラッチトルクTcで保証されている走行距離を走行したときに、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上である場合について説明する。この場合、第1クラッチ52または第2クラッチ54の摩耗量が、現在の走行距離で多く、第1クラッチ52または第2クラッチ54が保証されている走行距離内でも、十分な性能を発揮できない状態となる可能性がある。従って、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上と判断すると(S210:Yes)、第1クラッチ52及び第2クラッチ54に対して耐摩耗制御をしつつ(S212)、変速装置46を変速させる。
例えば、耐摩耗制御では、クラッチ制御部82は、変速させる場合、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を、今までのストローク量(積算仕事量TWを算出した期間の過去のストローク量)よりも小さくする。これにより、フライホイール50と第1クラッチ52及び第2クラッチ54との間に作用するクラッチトルクTcが小さくなるので、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量が低減できる。尚、クラッチ制御部82は、耐摩耗制御において、ストローク量を減少させた状態での推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以下となるように、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量の減少量を設定する。
ここで、耐摩耗制御を説明する前に、ダウン変速における今までの制御(積算仕事量TWを算出した期間の過去の制御)について説明する。図6は、ダウン変速時における耐摩耗制御とフィーリング制御を説明するグラフである。ダウン変速とは、例えば、3速から2速へ変速することである。図6には、時間の経過による入力回転数の変化、クラッチトルクの変化、駆動力の変化、仕事量の変化をそれぞれ示している。図6において、実線は、ダウン変速における今までの制御(積算仕事量TWを算出した期間の過去の制御)を行っている状態を示し、点線は、耐摩耗制御を行っている状態を示している。
図6の実線に示す制御において、クラッチ制御部82は、第1クラッチアクチュエータ56のストローク量を時刻Td1に減少させて、第1クラッチ52とフライホイール50との連結の解除を開始する。これにより、第1クラッチ52は、フライホイール50に対してスリップする半クラッチ状態となり、第1クラッチトルクTc1が減少する。また、第1入力軸42の第1入力軸回転数N1と同じであったエンジン回転数Neが増加する。
次に、クラッチ制御部82は、時刻Td2で第1クラッチアクチュエータ56のストローク量の減少を停止させて、ストローク量を一定にする。クラッチ制御部82は、エンジン回転数Neが、第2入力軸44の第2入力軸回転数N2とほぼ等しくなる時刻、または、等しくなった後の時刻である時刻Td3になると、第1クラッチアクチュエータ56のストローク量を更に減少させる。一方、クラッチ制御部82は、第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を増加させて、第2クラッチ54とフライホイール50との連結を開始する。これにより、第2クラッチ54は、フライホイール50に対してスリップする半クラッチ状態となり、第2クラッチトルクTc2が増加する。
クラッチ制御部82は、時刻Td4になると、第1クラッチ52とフライホイール50との連結を完全に解除する。クラッチ制御部82は、第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を更に増加させて、時刻Td5に第2クラッチ54とフライホイール50とを完全に連結させる。
図6に点線で示す耐摩耗制御では、ダウン変速させる場合、図6に実線で示す積算仕事量TWを算出した期間に作用していた過去のクラッチトルクTcが、点線で示すクラッチトルクTcまで減少する。これにより、図6に点線で示すように、実線で示す状態から駆動力は減少するが、仕事量WAも減少する。このため、仕事量WAに比例する第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量も減少する。この結果、図5に示すように、性能が保証された未来における修正後の推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以下となる。
次に、アップ変速における今までの制御(積算仕事量TWを算出した期間の過去の制御)について説明する。図7は、アップ変速時における耐摩耗制御とフィーリング制御を説明するグラフである。アップ変速とは、例えば、5速から6速へ変速することである。図7には、時間の経過による入力回転数の変化、クラッチトルクの変化、駆動力の変化、仕事量の変化をそれぞれ示している。図7において、実線は、アップ変速における今までの制御(積算仕事量TWを算出した期間の過去の制御)を行っている状態を示し、点線は、耐摩耗制御を行っている状態を示している。
図7の実線に示す制御において、クラッチ制御部82は、第1クラッチアクチュエータ56のストローク量を時刻Tu1に減少させて、第1クラッチ52とフライホイール50との連結の解除を開始する。これにより、第1クラッチ52は、フライホイール50に対してスリップする半クラッチ状態となり、第1クラッチトルクTc1が減少する。
次に、クラッチ制御部82は、時刻Tu2で第1クラッチアクチュエータ56のストローク量の減少を停止させて、ストローク量を一定にする。クラッチ制御部82は、時刻Tu3になると、第1クラッチアクチュエータ56のストローク量を更に減少させる。一方、クラッチ制御部82は、時刻Tu4になると、第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を増加させて、第2クラッチ54とフライホイール50との連結を開始する。これにより、第2クラッチ54は、フライホイール50に対してスリップする半クラッチ状態となり、第2クラッチトルクTc2が増加する。また、第1入力軸42の第1入力軸回転数N1と同じであったエンジン回転数Neが減少する。
クラッチ制御部82は、時刻Tu5で第2クラッチアクチュエータ58のストローク量の減少を停止させて、ストローク量を一定にする。クラッチ制御部82は、時刻Tu6になると、第1クラッチ52とフライホイール50との連結を完全に解除する。クラッチ制御部82は、時刻Tu7になると、第2クラッチアクチュエータ58のストローク量の増加を再開させて、時刻Tu8に第2クラッチ54とフライホイール50とを完全に連結させる。
図7に点線で示す耐摩耗制御においてアップ変速させる場合、図7に実線で示す積算仕事量TWを算出した期間に作用していた過去のクラッチトルクTcが、点線で示すクラッチトルクTcまで減少する。これにより、図7に点線で示すように、実線で示す状態から駆動力は減少するが、仕事量WAも減少する。このため、仕事量WAに比例する第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量も減少する。
次に、車両10が、現状のクラッチトルクTcで保証されている走行距離を走行したときに、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上でない場合について説明する。図8は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値未満の場合のグラフである。この場合、第1クラッチ52または第2クラッチ54の摩耗が当該走行距離でも少なく、第1クラッチ52または第2クラッチ54が十分な性能を発揮できる状態を維持できる。従って、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上でないと判断すると(S210:No)、第1クラッチ52及び第2クラッチ54に対してフィーリング制御をしつつ、変速装置46を変速させる(S214)。
フィーリング制御では、クラッチ制御部82は、変速させる場合、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を、今までのストローク量よりも大きくする。これにより、フライホイール50と第1クラッチ52及び第2クラッチ54との間に作用するクラッチトルクTcが大きくなるので、駆動力の抜けが少なくなり、変速時に運転者が感じる変速フィーリングを向上させることができる。尚、クラッチ制御部82は、フィーリング制御において、ストローク量を増加させた状態での推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以下となるように、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量の増加量を設定する。
フィーリング制御では、ダウン変速(例えば、3速から2速への変速)させる場合、図6に点線で示す積算仕事量TWを算出した期間に作用していた過去のクラッチトルクTcが、実線で示すクラッチトルクTcまで増加する。これにより、駆動力の抜けを少なくして、変速時に運転者が感じる変速フィーリングを向上させることができる。ここで、図6に実線で示すように、点線で示す状態から駆動力及び仕事量WAは増加する。しかし、現在までの第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量が少ないので、図8に示すように、性能が保証された未来における修正後の推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以下として、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の性能を維持させることができる。
また、フィーリング制御では、アップ変速(例えば、5速から6速への変速)させる場合、図7に点線で示す積算仕事量TWを算出した期間に作用していた過去のクラッチトルクTcが、実線で示すクラッチトルクTcまで増加する。これにより、駆動力の抜けを少なくして、変速時に運転者が感じる変速フィーリングを向上させることができる。ここで、図7に実線で示すように、点線で示す状態から駆動力及び仕事量WAは増加するが、現在までの第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量が少ないので、保証されている走行距離まで、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の性能を維持させることができる。
この後、クラッチ制御部82は、変速が完了すると、ステップS200に戻って、次の変速の指示まで待機する。
上述したように、変速機30では、TCU76のクラッチ制御部82が、算出部80が算出した推定仕事量EWとクラッチ用閾値Thとを比較する。クラッチ制御部82は、当該比較結果に基づいて、保証されている走行距離まで、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の性能が維持されるか否かを判断することができる。クラッチ制御部82は、当該判断の結果に基づいて、第1クラッチ52及び第2クラッチ54のクラッチトルクTcを制御しているので、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の性能を維持できる範囲に摩耗量を調整して、駆動力の抜けを少なくして、変速時に運転者が感じる変速フィーリングを向上させることができる。
特に、本実施形態では、デュアルクラッチ式の変速機30に適用することにより、算出部80が、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量の増減に応じて増減する推定仕事量EWを別々に算出することで、第1クラッチ52及び第2クラッチ54の摩耗量のばらつきを抑制しつつ、上述の効果を奏することができる。
上述した実施形態では、デュアルクラッチ式の変速機を例にあげて説明したが、本実施形態が適用できる変速機はデュアルクラッチ式に限定されない。クラッチの摩耗と運転者へのフィーリングがトレードオフの関係にある変速機であれば適用してよく、例えば、オートメーテッドマニュアルトランスミッション(英: Automated Manual Transmission :AMT)の乾式クラッチを有する変速機等に適用することができる。
上述した実施形態では、クラッチ制御部82が一つのクラッチ用閾値Thと推定仕事量EWとを比較する例を示したが、クラッチ制御部82は複数のクラッチ用閾値Thと、推定仕事量EWとを比較してもよい。この場合、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWが複数のクラッチ用閾値Thのいずれ以上か否かを判断して、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を複数段階で制御してもよい。
上述した実施形態では、ダウン変速及びアップ変速時における変速処理について説明したが、発進時の変速処理にも本実施形態を適用してもよい。図9は、発進時における耐摩耗制御とフィーリング制御を説明するグラフである。例えば、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上の場合、図9に実線で示すフィーリング制御の状態から点線で示す耐摩耗制御に変更してもよい。一方、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上でない場合、図9に点線で示す耐摩耗制御の状態から実線で示すフィーリング制御に変更してもよい。
上述の実施形態では、クラッチ制御部82は、第1クラッチアクチュエータ56及び第2クラッチアクチュエータ58のストローク量を調整して、第1クラッチトルクTc1及び第2クラッチトルクTc2を制御することにより、耐摩耗制御及びフィーリング制御を実行したが、耐摩耗制御及びフィーリング制御はこれらに限られない。例えば、クラッチ制御部82は、半クラッチの時間である変速時間CTの長さにより推定仕事量EWを変更することによって、耐摩耗制御及びフィーリング制御を実行してもよい。具体的には、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上であれば、変速時間CTを低減して、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th未満であれば、変速時間CTを増加させればよい。また、クラッチ制御部82は、差回転Drの調整によって推定仕事量EWを変更することによって、耐摩耗制御及びフィーリング制御を実行してもよい。具体的には、クラッチ制御部82は、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th以上であれば、変速時の差回転Drを低減して、推定仕事量EWがクラッチ用閾値Th未満であれば、変速時の差回転Drを増加させればよい。
上述の実施形態では、クラッチの摩耗量に対応した判断値として仕事量を用いているが、摩耗量に対応した値であれば、これに限定されるものではない。また、摩耗量そのものを計測して用いるように構成してもよい。
本発明において実施形態及び変形例を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。