以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<半導体チップのレイアウト構成>
本実施の形態1における半導体装置について図面を参照しながら説明する。まず、マイクロコンピュータを含むシステムが形成された半導体チップのレイアウト構成について説明する。図1は、本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウト構成を示す図である。半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)4、フラッシュメモリ5およびI/O(Input/Output)回路6を有している。
CPU(回路)1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものである。
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。本実施の形態1では、RAM2をSRAMから構成することとする。
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
EEPROM4およびフラッシュメモリ5は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM4およびフラッシュメモリ5のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタやMNOS(Metal Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタから構成される。EEPROM4およびフラッシュメモリ5の書き込み動作および消去動作には、例えばファウラーノルドハイム型トンネル現象を利用する。なお、ホットエレクトロンやホットホールを用いて書き込み動作や消去動作させることも可能である。EEPROM4とフラッシュメモリ5の相違点は、EEPROM4が、例えば、バイト単位で消去のできる不揮発性メモリであるのに対し、フラッシュメモリ5が、例えば、ワード線単位で消去できる不揮発性メモリである点である。一般に、フラッシュメモリ5には、CPU1で種々の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。これに対し、EEPROM4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。
I/O回路6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力や、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力を行なうための回路である。
本実施の形態1における半導体チップCHPのレイアウトは上記のように構成されており、以下に、RAM2を構成するSRAMについて説明する。
<SRAMの構成>
図2は、SRAMの全体構成を概略的に示す平面ブロック図である。以下では、図2に示すSRAMの全体構成について説明する。このSRAMは、メモリマット回路MMと、I/O回路(入出力回路)100と、ワードドライバWDと、行デコーダRDと、制御回路部CUと、列デコーダCDと、ワード線WLと、ビット線対を構成するビット線BLおよび相補ビット線/BLと、セル電源線ARVDDと、ローカル接地線ARVSSとを有している。ここで、ビット線対(BL、/BL)と、セル電源線ARVDDと、ローカル接地線ARVSSとは、それぞれ複数であることが望ましい。
メモリマット回路MMは、メモリセルアレイMCAと、接地線スイッチ回路ARGSw1と、接地線スイッチ回路ARGSw2とを有している。メモリセルアレイMCAは、縦横配列で配置された複数のメモリセルMCを有している。
I/O回路100は、カラム選択スイッチ回路CSSと、セル電源電圧線制御回路ARVCと、センスアンプ回路SAと、ライトドライバ回路WDCとを有している。
次に、図2に示すSRAMの構成要素の接続関係について説明する。セル電源電圧線制御回路ARVCと、メモリセルMCとは、セル電源線ARVDDを介して接続されている。ここで、図2における横方向に配置された複数のメモリセルMCは、例えば、同一のセル電源線ARVDDに接続されている。また、図2における縦方向に配置された複数のメモリセルMCは、同一のローカル接地線ARVSSを介して接地されている。
カラム選択スイッチ回路CSSとメモリセルMCとは、ビット線対(BL、/BL)を介して接続されている。ここで、例えば、図2における横方向に配置された複数のメモリセルMCは、同一のビット線BLを介して接続され、かつ、同一の相補ビット線/BLを介しても接続されている。
ワードドライバWDとメモリセルMCとは、ワード線WLを介して接続されている。ここで、例えば、図2における縦方向に配置された複数のメモリセルMCは、同一のワード線WLに接続されている。
続いて、図2に示すSRAMの動作について説明する。制御回路部CUは、チップイネーブル信号CENと、ライトイネーブル信号WENと、アドレス信号Addとを入力する。チップイネーブル信号CENが非活性状態である場合には、制御回路部CUがオフ状態になる。チップイネーブル信号CENが活性状態である場合には、制御回路部CUがオン状態になり、SRAMのリード動作およびライト動作が行われる。
ライトイネーブル信号WENがデータライトを指示している場合には、制御回路部CUはライトドライバ回路WDCを活性化する。ライトドライバ回路WDCは、ライト動作時に活性化し、入力データ信号Dinをカラム選択スイッチ回路CSSに転送する。ライトドライバ回路WDCは、ライト動作時以外の場合には非活性状態となる。
ライトイネーブル信号WENがデータリードを指示している場合には、制御回路部CUはセンスアンプ回路SAを活性化する。センスアンプ回路SAは、リード動作時に活性化し、カラム選択スイッチ回路CSSから転送される微弱な読み出しデータ信号を増幅して出力データ信号Doutを生成する。センスアンプ回路SAは、リード動作時以外の場合には非活性状態となる。
制御回路部CUは、アドレス信号Addに基づいて、行アドレスRAddと、列アドレスCAddとを生成する。
行デコーダRDは、行アドレスRAddを入力してデコードし、そのデコード結果に基づいてワードドライバWDを制御する。ワードドライバWDは、複数の行にそれぞれ対応する複数のワードドライバを有している。行アドレスRAddのデコード結果が示す行に対応するワードドライバが活性化し、対応するワード線WLを駆動する。
列デコーダCDは、列アドレスCAddを入力してデコードし、そのデコード結果に基づいてカラム選択スイッチ回路CSSと、セル電源電圧線制御回路ARVCとを制御する。
カラム選択スイッチ回路CSSは、複数の列にそれぞれ対応する複数のビット線対(BL、/BL)のうち、列アドレスCAddに対応するビット線対(BL、/BL)を選択する。選択されたビット線対(BL、/BL)は、リード動作時にはセンスアンプ回路SAに接続され、ライト動作時にはライトドライバ回路WDCに接続される。なお、選択されたビット線対(BL、/BL)は、リード動作またはライト動作が実行される前に、図示しないビット線プリチャージ回路によって外部電源電圧Vddのレベルまでチャージされる。
セル電源電圧線制御回路ARVCは、列毎に設けられたセル電源線ARVDDの電圧レベルを列毎に制御する。ライト動作時において、セル電源電圧線制御回路ARVCは、選択された列のセル電源線ARVDDの電圧を外部電源電圧Vddレベルから下げ、その他の列のセル電源線ARVDDの電圧を外部電源電圧Vddレベルに維持する。また、リード動作時およびスタンバイ時において、セル電源電圧線制御回路ARVCは、全てのセル電源線ARVDDの電圧を外部電源電圧Vddのレベルに維持する。
<SRAMのメモリセルの構成>
次に、SRAMを構成するメモリセルMCの等価回路について説明する。図3は、本実施の形態1におけるSRAMのメモリセルMCを示す等価回路図である。図3に示すように、このメモリセルMCは、一対の相補性ビット線(ビット線BL、ビット線/(バー)BL)とワード線WLとの交差部に配置され、一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)および一対の転送用MISFET(Qt1、Qt2)により構成されている。駆動用MISFET(Qd1、Qd2)および転送用MISFET(Qt1、Qt2)はnチャネル型MISFETで構成され、負荷用MISFET(Qp1、Qp2)はpチャネル型MISFETで構成されている。
メモリセルMCを構成する上記6個のMISFETのうち、駆動用MISFETQd1および負荷用MISFETQp1は、CMOSインバータINV1を構成し、駆動用MISFETQd2および負荷用MISFETQp2は、CMOSインバータINV2を構成している。これら一対のCMOSインバータINV1、INV2の相互の入出力端子(蓄積ノードA、B)は、交差結合され、1ビットの情報を記憶する情報蓄積部としてのフリップフロップ回路を構成している。また、このフリップフロップ回路の一方の入出力端子(蓄積ノードA)は、転送用MISFETQt1のソース領域、ドレイン領域の一方に接続され、他方の入出力端子(蓄積ノードB)は、転送用MISFETQt2のソース領域、ドレイン領域の一方に接続されている。
さらに、転送用MISFETQt1のソース領域、ドレイン領域の他方はビット線BLに接続され、転送用MISFETQt2のソース領域、ドレイン領域の他方はビット線/BLに接続されている。また、フリップフロップ回路の一端(負荷用MISFETQp1、Qp2の各ソース領域)は電源電圧(Vcc)に接続され、他端(駆動用MISFETQd1、Qd2の各ソース領域)は基準電圧(Vss)に接続されている。
上記回路の動作を説明すると、一方のCMOSインバータINV1の蓄積ノードAが高電位(“H”)であるときには、駆動用MISFETQd2がONになるので、他方のCMOSインバータINV2の蓄積ノードBが低電位(“L”)になる。したがって、駆動用MISFETQd1がOFFになり、蓄積ノードAの高電位(“H”)が保持される。すなわち、一対のCMOSインバータINV1、INV2を交差結合させたラッチ回路によって相互の蓄積ノードA、Bの状態が保持され、電源電圧が印加されている間、情報が保存される。
転送用MISFETQt1、Qt2のそれぞれのゲート電極にはワード線WLが接続され、このワード線WLによって転送用MISFETQt1、Qt2の導通、非導通が制御される。すなわち、ワード線WLが高電位(“H”)であるときには、転送用MISFETQt1、Qt2がONになり、ラッチ回路と相補性ビット線(ビット線BL,バーBL)とが電気的に接続されるので、蓄積ノードA、Bの電位状態(“H”または“L”)がビット線DL、/DLに現れ、メモリセルMCの情報として読み出される。
メモリセルMCに情報を書き込むには、ワード線WLを“H”電位レベル、転送用MISFETQt1、Qt2をON状態にしてビット線BL、/BLの情報を蓄積ノードA、Bに伝達する。以上のようにして、SRAMを動作させることができる。
<実施の形態1における基本思想>
続いて、本実施の形態1における基本思想について説明する。図4は、本実施の形態1における基本思想を説明する図である。図4(a)は、プレーナ型FETの模式的な構造を示す断面図であり、図4(b)は、FINFETの模式的な構造を示す断面図である。
まず、図4(a)において、プレーナ型FETでは、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極GEが形成されており、このゲート電極GEを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CILには、コンタクト層間絶縁膜CILを貫通するプラグPLGが形成されており、このプラグPLGは、コンタクト層間絶縁膜CIL上に配置された配線L1と接続されている。このように構成されているプレーナ型FETを含む半導体装置では、コンタクト層間絶縁膜CILに配線は形成されていない。したがって、プレーナ型FETを含む半導体装置において、最下層配線層は、コンタクト層間絶縁膜CIL上に配置された配線L1を含む第1配線層である。
一方、図4(b)において、FINFETは、半導体基板1S上に形成されたフィンFINを有している。このフィンFINは、細い短冊状(直方体状)の形状をした領域であり、このフィンFINの両側面部をFINFETのチャネルとして使用する。そして、FINFETのゲート電極GEは、フィンFINを跨ぐような形でフィンFINの両側面部上に形成されており、いわゆるダブルゲート構造をしている。このように構成されているFINFETによれば、従来のシングルゲート構造(プレーナ構造)のMISFETに比べて、ゲート電極GEによるチャネル領域に対するポテンシャル制御性が良好となっている。したがって、FINFETによれば、ソース領域とドレイン領域の間のパンチスルー耐性が高く、より小さなゲート長まで短チャネル効果を抑制できる利点がある。そして、FINFETでは、フィンFINの両側面部をチャネルとして使用していることから、電流を流すチャネル領域の面積を大きくすることができ、高い電流駆動力を得ることができる。つまり、FINFETによれば、短チャネル効果の抑制と高い電流駆動力の確保を両立できる。
このように構成されているFINFETでは、プレーナ型FETに比べて、ゲート電極GEの微細化が進んでいることから、コンタクト層間絶縁膜にゲート電極GE上と接する直上配線POを形成することができるとともに、半導体基板1S上に基板上配線ODを設けることができる。そして、FINFETを含む半導体装置では、FINFETの微細化に対応して、直上配線POと基板上配線ODとをコンタクト層間絶縁膜の内部で電気的に接続することができる。すなわち、FINFETを含む半導体装置では、コンタクト層間絶縁膜の内部に直上配線POと基板上配線ODからなる配線ネットワークを形成することができる。そして、図4(b)に示すように、直上配線POおよび基板上配線ODのそれぞれは、プラグPLGを介して、配線L1と電気的に接続される。
このことから、FINFETを含む半導体装置では、コンタクト層間絶縁膜の内部に形成された直上配線POと基板上配線ODからなる配線ネットワークが最下層配線層となる。つまり、FINFETを含む半導体装置において、最下層配線層は、コンタクト層間絶縁膜の内部に形成されや直上配線POおよび基板上配線ODを含む第0配線層である。
以上のことから、FINFETは、プレーナ型FETに比べて微細化されることから、FINFETを含む半導体装置では、直上配線POと基板上配線ODからなる配線ネットワークをコンタクト層間絶縁膜の内部に第0配線層として設けることができるのである。そして、本実施の形態1における基本思想は、FINFETを含む半導体装置では、第0配線層を設けることができる点に基づいている。
以下に、この点について説明する。図5(a)は、プレーナ型FETを使用したSRAMで使用される配線層を示す表である。図5(a)に示すように、プレーナ型FETを使用したSRAMでは、第0配線層(M0)を設けることができないため、第1配線層(M1)〜第5配線層(M5)が使用されることになる。具体的に、第1配線層(M1)には、コンタクト用配線が配置され、第2配線層(M2)には、ビット線および電源線が配置される。そして、第3配線層(M3)には、ワード線と電源線が配置され、第4配線層(M4)および第5配線層(M5)には、電源線が配置される。
これに対し、図5(b)は、FINFETを使用したSRAMで使用される配線層を示す表である。図5(b)に示すように、FINFETを使用したSRAMでは、第0配線層(M0)を設けることができるため、第0配線層(M0)〜第5配線層(M5)が使用されることになる。具体的に、第0配線層(M0)には、コンタクト用配線が配置され、第1配線層(M1)には、ビット線および電源線が配置される。そして、第2配線層(M2)には、ワード線と電源線が配置され、第4配線層(M4)および第5配線層(M5)には、電源線が配置される。したがって、FINFETを使用したSRAMでは、FINFETの微細化により、第0配線層を設けることができるため、図5(b)に示すように、例えば、第3配線層(M3)が未使用となる。言い換えれば、FINFETを使用したSRAMでは、第3配線層(M3)にスペースが生まれるのである。
このスペースを有効活用する点に本実施の形態1における基本思想がある。すなわち、本実施の形態1における基本思想は、FINFETの微細化により存在可能となった第0配線層(M0)により、第3配線層(M3)に生まれるスペースを有効活用しようとする思想である。つまり、本実施の形態1における基本思想は、SRAMを構成する配線層として不要となる第3配線層を有効活用する思想であり、特に、半導体装置の性能向上を図る観点から、第3配線層に生まれるスペースを利用するものである。
以下では、本実施の形態1における基本思想を具現化する例について説明する。具体的には、本発明者が見出した新たな知見に基づき、半導体装置の性能向上を図る観点から、第3配線層に生まれるスペースを有効活用する構成例について説明する。
<改善の検討>
FINFETを使用したSRAMにおいては、高速動作が望まれている。ここで、図6は、SRAMの読み出し時のワード線電圧と読み出し時間との関係を示す波形図である。図6において、(1)は、ワードドライバの近端部に配置されるメモリセルでの波形を示しており、(2)は、ワードドライバの遠端部に配置されるメモリセルでの波形を示している。図6に示すように、ワードドライバの遠端部に配置されるメモリセルでは、ワードドライバの近端部に配置されるメモリセルよりも、ワード線電圧の上昇に時間がかかることがわかる。このことから、ビット線電位差を充分に確保するために、読み出しタイミングを遅くする必要があり、SRAMの高速動作を阻害する要因となっている。
この点に関し、本発明者は、まず、この阻害要因を改善するため、ワードドライバを構成するトランジスタの駆動能力を高めることを検討したが、この対策では、ワード線電圧の波形の改善には繋がらなかった。そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、ワード線の配線抵抗が波形のなまりに影響を及ぼしていることを突き止めた。すなわち、本発明者は、ワード線電圧の立ち上がり時間がワード線の配線抵抗に大きく影響を受けるという新たな知見を得た。したがって、本発明者は、この新たに見出した知見に基づき、ワード線の低抵抗化を図ることができれば、ワード線電圧の波形のなまりを解消することができ、これによって、SRAMの高速動作を実現できるという方向性を見出した。そこで、本実施の形態1では、ワード線の低抵抗化によってSRAMの高速動作が実現可能となるという新たな知見に基づき、ワード線の低抵抗化を図るために、第3配線層に生まれるスペースを有効活用する工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について説明する。
<メモリセルの平面レイアウト構成>
図7は、本実施の形態1におけるSRAMのメモリセルの平面レイアウト構成を示す平面図である。特に、図7(a)は、半導体基板内と第0配線層のレイアウト構成を示す平面図であり、図7(b)は、第1配線層〜第3配線層のレイアウト構成を示す平面図である。なお、SRAMのメモリセルにおいては、第4配線層および第5配線層も存在するが、これらの配線層は、本実施の形態1における技術的思想との関連性が薄いため、以下に示す明細書の記載および図面での図示は省略している。
SRAMのメモリセルは、例えば、図7(a)に示すように、半導体基板に形成された一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)および一対の転送用MISFET(Qt1、Qt2)の6つのトランジスタ(FINFET)から構成されている。このとき、一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)および一対の転送用MISFET(Qt1、Qt2)は、nチャネル型MISFETから構成され、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)はpチャネル型MISFETから構成されている。
図7(a)に示すように、半導体基板には素子分離領域が形成されており、この素子分離領域でアクティブ領域ACT1n、ACT1p、ACT2n、ACT2pが区画されている。具体的に、素子分離領域で区画されたアクティブ領域ACT1nは、x方向に延在するように形成されており、このアクティブ領域ACT1nの隣りに素子分離領域を介してアクティブ領域ACT1pがx方向に延在するように形成されている。そして、アクティブ領域ACT1pの隣りに素子分離領域を介してアクティブ領域ACT2pがx方向に延在するように形成されている。さらに、アクティブ領域ACT2pの隣りに素子分離領域を介してアクティブ領域ACT2nがx方向に延在するように形成されている。このように、SRAMにおいては、図7(a)に示すように、アクティブ領域ACT1n、ACT1p、ACT2p、ACT2nが素子分離領域を介してy方向に並んで形成されており、それぞれのアクティブ領域ACT1n、ACT1p、ACT2p、ACT2nはx方向に延在するように形成されている。
アクティブ領域ACT1n、ACT2nは、半導体基板内にリンや砒素などのn型不純物が導入された半導体領域であり、アクティブ領域ACT1p、ACT2pは、半導体基板内にボロンなどのp型不純物が導入された半導体領域となっている。
まず、アクティブ領域ACT1nに着目すると、x方向に延在するアクティブ領域ACT1nと立体交差するようにゲート電極GE1とゲート電極GE3が形成されている。つまり、ゲート電極GE1とゲート電極GE3とは、互いに並行し、かつ、y方向に延在するように配置されている。このとき、ゲート電極GE1と、ゲート電極GE1の両側に形成されたアクティブ領域ACT1nによって、転送用MISFETQt1が形成されている。この転送用MISFETQt1においては、ゲート電極GE1の両側に形成されているアクティブ領域ACT1nがソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域ACT1n上に基板上配線ODが配置されている。
一方、転送用MISFETQt1のゲート電極GE1は、アクティブ領域ACT1n上から素子分離領域上にまで延在している。
さらに、メモリセル内のアクティブ領域ACT1nに着目すると、ゲート電極GE3と、ゲート電極GE3の両側に形成されたアクティブ領域ACT1nによって、駆動用MISFETQd1が形成されている。この駆動用MISFETQd1においては、ゲート電極GE3の両側に形成されているアクティブ領域ACT1nがソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域ACT1n上に基板上配線ODが配置されている。このようにアクティブ領域ACT1nには、転送用MISFETQt1と駆動用MISFETQd1が形成されている。
続いて、アクティブ領域ACT1pに着目すると、x方向に延在するアクティブ領域ACT1pと立体交差するようにゲート電極GE3が形成されている。つまり、アクティブ領域ACT1n上に配置されているゲート電極GE3は、さらに、y方向に延在して、アクティブ領域ACT1p上にまで形成されている。ゲート電極GE3と、ゲート電極GE3の両側に形成されたアクティブ領域ACT1pによって、負荷用MISFETQp1が形成されている。したがって、ゲート電極GE3は、アクティブ領域ACT1nとの関係で駆動用MISFETQd1のゲート電極として機能するとともに、アクティブ領域ACT1pとの関係で負荷用MISFETQp1のゲート電極として機能することがわかる。
負荷用MISFETQp1においては、ゲート電極GE3の片側に形成されているアクティブ領域ACT1p上に基板上配線ODが配置され、メモリセル内においては、アクティブ領域ACT1pの左端部に近接する位置にゲート電極GE4の端部が配置されている。そして、ゲート電極GE4上に接する直上配線POが形成されており、この直上配線POとアクティブ領域ACT1p上に配置されている基板上配線ODが接続されている。
次に、アクティブ領域ACT2pに着目すると、x方向に延在するアクティブ領域ACT2pと立体交差するようにゲート電極GE4が形成されている。このゲート電極GE4は、アクティブ領域ACT1pの左端部と近接するように配置されているとともに、y方向に延在して、アクティブ領域ACT2pと立体交差するように形成されている。このゲート電極GE4と、ゲート電極GE4の両側に形成されたアクティブ領域ACT2pによって、負荷用MISFETQp2が形成されている。
負荷用MISFETQp2においては、ゲート電極GE4の片側に形成されているアクティブ領域ACT2p上に基板上配線ODが配置され、この基板上配線ODと直上配線POとが接続されている。そして、直上配線POは、ゲート電極GE3上に接するように配置されている。
さらに、アクティブ領域ACT2nに着目すると、x方向に延在するアクティブ領域ACT2nと立体交差するように、ゲート電極GE4とゲート電極GE2が形成されている。つまり、ゲート電極GE4とゲート電極GE2とは、互いに並行し、かつ、y方向に延在するように配置されている。このとき、ゲート電極GE4と、ゲート電極GE4を挟む両側に形成されたアクティブ領域ACT2nによって、駆動用MISFETQd2が形成されている。この駆動用MISFETQd2においては、ゲート電極GE4の両側に形成されているアクティブ領域ACT2nがソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域ACT2上に基板上配線ODが配置されている。このとき、ゲート電極GE4は、一端部がアクティブ領域ACT1pの左端部と近接する位置に配置されながら、y方向に延在し、アクティブ領域ACT2pとアクティブ領域ACT2nの両方と立体交差するように延在している。したがって、ゲート電極GE4は、一端部において、直上配線POと接続されている。そして、ゲート電極GE4は、アクティブ領域ACT2pとの関係で負荷用MISFETQp2のゲート電極として機能するとともに、アクティブ領域ACT2nとの関係で駆動用MISFETQd2のゲート電極として機能していることがわかる。
一方、ゲート電極GE2と、ゲート電極GE2を挟む両側に形成されたアクティブ領域ACT2nによって、転送用MISFETQt2が形成されている。この転送用MISFETQt2においては、ゲート電極GE2の両側に形成されているアクティブ領域ACT2nがソース領域とドレイン領域となり、ソース領域あるいはドレイン領域となるアクティブ領域ACT2n上に基板上配線ODが配置されている。また、転送用MISFETQt2のゲート電極GE2は、アクティブ領域ACT2n上から素子分離領域上にまで延在している。以上のようにして、半導体基板内と第0配線層がレイアウト構成されている。
続いて、図7(b)を使用して、第1配線層〜第3配線層のレイアウト構成について説明する。図7(b)に示すように、第1配線層に配置される複数の配線L1には、例えば、電源線VSSと、電源線VDDと、ビット線BLと、相補ビット線/BLとが含まれている。そして、これらの配線は、互いにy方向に並んで配置されながら、それぞれ、x方向に延在している。そして、図7(b)に示すように、第3配線層に配置される配線L3には、例えば、補助線ALと電源線VLとが含まれており、これらの配線は、互いにx方向に並んで配置されながら、それぞれ、y方向に延在している。なお、図7(b)において、第2配線層に配置される配線は、第3配線層に配置される配線L3と重なるように配置されているため、図7(b)には示されないことになる。以上のようにして、第1配線層〜第3配線層がレイアウト構成されていることになる。
<メモリセルの断面構成>
次に、図8は、図7(b)のA−A線で切断した断面図である。図8において、半導体基板1S上には、ゲート電極GE2およびゲート電極GE4と基板上配線ODとが配置され、ゲート電極GE2およびゲート電極GE4と基板上配線ODとを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。一方、半導体基板内には、拡散層DLが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CILには、プラグPLG1および電源線VSSが形成されており、例えば、基板上配線ODと電源線VSSとは、プラグPLG1で電気的に接続されている。続いて、電源線VSS上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1にプラグPLG2と電源線VL2とワード線WLとが形成されている。このとき、電源線VSSと電源線VL2とは、プラグPLG2で電気的に接続されている。
次に、電源線VL2上およびワード線WL上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、層間絶縁膜IL2には、電源線VL3と補助線ALとプラグPLG3AとプラグPLG3Bとが形成されている。そして、電源線VL2と電源線VL3とは、プラグPLG3Aで電気的に接続され、ワード線WLと補助線ALとは、プラグPLG3Bで電気的に接続されている。
図9は、図7(b)のB−B線で切断した断面図である。図9に示すように、半導体基板1S上には、フィンFINとゲート電極GE2とが形成されており、ゲート電極GE2を覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CILには、複数の配線L1が形成されており、複数の配線L1には、電源線VSSと、ビット線BLと、相補ビット線/BLと、電源線VDDとが含まれている。
続いて、複数の配線L1上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1には、ワード線WLが形成されている。そして、ワード線WL上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2には、複数のプラグPLG3Bと補助線ALとが形成されている。このとき、ワード線WLと補助線ALとは、複数のプラグPLG3Bで電気的に接続されている。同様に、図9では、図示されないが、例えば、図8に示す電源線VL2と電源線VL3とは、複数のプラグPLG3Aで電気的に接続されている。
以上のようにして、本実施の形態1におけるメモリセルが構成されている。つまり、本実施の形態1における半導体装置は、情報を記憶するメモリセルが形成されたメモリセル形成領域を含む。このとき、メモリセル形成領域には、半導体基板と、半導体基板上に形成されたゲート電極を含むFINFETと、ゲート電極上に接する直上配線と半導体基板上に形成された基板上配線とを含む最下層配線層とが形成されている。さらに、メモリセル形成領域には、記最下層配線層の上方に形成された第1配線層と、第1配線層の上方に形成され、かつ、ワード線を含む第2配線層と、第2配線層の上方に形成され、かつ、第1配線を含む第3配線層とが形成されている。ここで、最下層配線層内で、直上配線と基板上配線とが電気的に接続され、最下層配線層内に直上配線と基板上配線とを含む配線ネットワークが形成されている。
<実施の形態1における特徴>
次に、本実施の形態1における特徴点について説明する。本実施の形態1における第1特徴点は、例えば、図8および図9に示すように、第2配線層に形成されたワード線WLと第3配線層に形成された補助線ALとが電気的に接続されている点にある。これにより、本実施の形態1によれば、ワード線WLの低抵抗化を図ることができる。つまり、第2配線層に形成されたワード線WLと第3配線層に形成された補助線ALとを電気的に接続することにより、第3配線層に形成された補助線ALもワード線として機能させることができる。このことは、ワード線として機能する配線が増加することを意味し、この構成の場合、第2配線層に形成されたワード線WLだけを使用する場合よりも、ワード線全体の抵抗値を低減することができることを意味する。すなわち、ワード線を並列接続されるワード線WLと補助線ALから構成することにより、ワード線全体の低抵抗化を図ることができるのである。この結果、ワードドライバから離れた位置に配置されるメモリセルにおいても、ワード線電圧の立ち上がり波形のなまりを改善することができ、これによって、読み出し速度を向上することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、FINFETを使用したSRAMの高速動作を実現することができる。
このように、本実施の形態1では、FINFETの微細化により存在可能となった第0配線層(M0)により、第3配線層(M3)に生まれるスペースを有効活用しようとする基本思想に基づき、第3配線層に生まれるスペースに補助線ALを配置して、この補助線ALとワード線WLとを電気的に接続する構成を採用している。これにより、ワード線電圧の立ち上がり時間がワード線の配線抵抗に大きく影響を受けるという新たな知見に基づく対策(工夫)が実現されることになり、FINFETを使用したSRAMの高速動作が可能となる。つまり、本実施の形態1では、本実施の形態1における基本思想をワード線WLの低抵抗化を実現する観点から利用し、これによって、FINFETを含むSRAMの性能向上を図っているのである。
特に、ワード線全体の低抵抗化を図る観点からは、例えば、図9に示すように、第2配線層に形成されているワード線WLと第3配線層に形成されている補助線ALとを複数のプラグPLG3Bで電気的に接続することが望ましい。なぜなら、ワード線WLと補助線ALとの電気的接続に複数のプラグPLG3Bを使用することにより、単一のプラグPLG3Bでワード線WLと補助線ALとを接続するよりも、ワード線全体の低抵抗化を図ることができるからである。したがって、少なくとも、ワード線WLと補助線ALとを電気的に接続することにより、ワード線全体の低抵抗化に起因するSRAMの高速動作を実現することができるが、さらなるワード線全体の低抵抗化を図って、SRAMの高速動作性を向上するためには、ワード線WLと補助線ALとの電気的接続に複数のプラグPLG3Bを使用することが望ましいのである。
続いて、本実施の形態1における第2特徴点は、例えば、図8および図9に示すように、第2配線層に形成されている電源線VL2と第3配線層に形成されている電源線VL3とを電気的に接続している点にある。これにより、本実施の形態1によれば、電源線の安定性を向上することができる。具体的には、第2配線層に形成されている電源線VL2と第3配線層に形成されている電源線VL3とを電気的に接続することにより、電源線全体の抵抗値を低減することができる。このことは、電源線における電源ドロップ(電圧降下)を抑制することができる。この結果、SRAMの動作安定性を向上することができる。
特に、FINFETを使用したSRAMでは、FINFETの微細化に伴って、SRAMで使用する電源電圧を低くすることが可能となり、これによって、SRAMでの消費電力を削減することができる。一方、電源電圧が低くなるということは、電源ドロップの影響を受けやすくなることも意味し、この場合、電源ドロップが大きくなると、SRAMが正常に動作しなくなるおそれが高まる。この点に関し、本実施の形態1では、第2配線層に形成されている電源線VL2と第3配線層に形成されている電源線VL3とを並列接続しているため、電源線全体の抵抗値を低減することができる。このことは、本実施の形態1における電源線全体では、寄生抵抗(配線抵抗)に基づく電源ドロップが抑制されることを意味し、これによって、SRAMの動作安定性を向上することができる。つまり、本実施の形態1によれば、微細化されたFINFETをSRAMに使用することにより、電源電圧の低下に基づく消費電力の削減を図ることができるとともに、本実施の形態1における第2特徴点によって、電源線全体の低抵抗化を図ることができるため、電源ドロップに起因するSRAMの動作不安定性を解消することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、SARMの消費電力を低減するとともに、SRAMの動作安定性を向上することができるという優れた効果を得ることができる。
なお、電源線全体の低抵抗化を図る観点からは、電源線VL2および電源線VL3を複数のプラグPLG3Aで電気的に接続することが望ましい。なぜなら、電源線VL2と電源線VL3とを複数のプラグPLG3Aで電気的に接続することにより、電源線VL2と電源線VL3とを単一のプラグPLG3Aで電気的に接続する構成よりも、電源線全体の低抵抗化を図ることができるからである。この場合、電源線全体の低抵抗化がより図ることができることから、電源ドロップが生じにくくなり、これによって、SRAMの動作安定性をより一層向上することができる。
以上のように、本実施の形態1では、本実施の形態1における基本思想をワード線全体の低抵抗化を実現する観点(第1特徴点)と電源線全体の低抵抗化を実現する観点から利用している。具体的には、ワード線全体の低抵抗化を図るために、第3配線層に生じたスペースにワード線WLと電気的に接続される補助線ALを配置し(第1特徴点)、かつ、電源線全体の低抵抗化を図るために、第3配線層に生じたスペースに電源線VL2と電気的に接続される電源線VL3を配置している(第2特徴点)。この結果、本実施の形態1によれば、FINFETを含むSRAMの性能向上を図ることができる。
<変形例>
次に、実施の形態1における変形例について説明する。図10は、図8に対応した図であり、本変形例におけるメモリセルの一断面図である。同様に、図11は、図9に対応した図であり、本変形例におけるメモリセルの一断面図である。
図10および図11に示すように、本変形例における特徴点は、断面視および平面視のいずれにおいても、第2配線層に形成されているワード線WLと第3配線層に形成されている補助線ALとが、電気的に接続されていないが、重なるように配置されている点にある。これにより、ワード線WLを外部からのノイズの影響を受けにくくすることができる。すなわち、ワード線WLと補助線ALとが重なるように配置されている結果、補助線ALが、ワード線WLを外部ノイズから保護するシールド線として機能し、これによって、ワード線WLのノイズ耐性を向上することができる。これにより、本変形例によれば、ワード線WLにノイズが重畳することによるSRAMの誤動作を抑制することができるため、SRAMの動作信頼性を向上することができる。
以上のように、本変形例では、実施の形態1における基本思想をワード線WLのノイズ耐性を向上する観点から利用している。具体的には、ワード線WLのノイズ耐性の向上を図るために、第3配線層に生じたスペースにワード線WLと平面視および断面視において重なる補助線ALを配置している。この結果、本変形例によれば、ワード線WLを外部ノイズから保護するシールドとして補助線ALを機能させることができ、これによって、ワード線WLのノイズ耐性を向上することができる。つまり、本変形例によれば、FINFETを含むSRAMの動作信頼性を向上することができる。
(実施の形態2)
<実施の形態2における基本思想>
図12(a)は、プレーナ型FETを使用したSRAMの周辺回路における配線層を示す表である。図12(a)に示すように、プレーナ型FETを使用した周辺回路では、第0配線層(M0)を設けることができないため、第1配線層(M1)〜第4配線層(M4)が使用されることになる。具体的に、第1配線層(M1)には、コンタクト用配線と信号配線と電源線とが配置され、第2配線層(M2)には、信号配線および電源線が配置される。そして、第3配線層(M3)には、信号配線と電源線とが配置され、第4配線層(M4)には、電源線が配置される。
これに対し、図12(b)は、FINFETを使用したSRAMの周辺回路における配線層を示す表である。図12(b)に示すように、FINFETを使用した周辺回路では、第0配線層(M0)を設けることができるため、第0配線層(M0)〜第4配線層(M4)が使用されることになる。具体的に、第0配線層(M0)には、コンタクト用配線と信号配線と電源背とが配置され、第1配線層(M1)には、信号配線および電源線が配置される。そして、第2配線層(M2)には、信号配線と電源線とが配置され、第4配線層(M4)には、電源線が配置される。したがって、FINFETを使用した周辺回路では、FINFETの微細化により、第0配線層を設けることができるため、図12(b)に示すように、例えば、第3配線層(M3)が未使用となる。言い換えれば、FINFETを使用した周辺回路では、第3配線層(M3)にスペースが生まれるのである。
ところが、第0配線層(M0)には、FINFETのゲート電極も形成されており、FINFETのゲート電極を回避するようにして、第0配線層を構成する複数の配線を配置する必要がある。すなわち、第0配線層には、FINFETのゲート電極も存在するため、その他の第1配線層〜第4配線層に比べて、第0配線層の配線のレイアウトには制約が存在する。このことから、FINFETを使用した周辺回路において、第0配線層〜第2配線層および第4配線層で周辺回路を構成する信号配線と電源線とコンタクト用配線とを形成する場合、プレーナ型FETを使用した周辺回路において、第1配線層〜第4配線層で周辺回路を構成する信号配線と電源線とコンタクト用配線とを形成する場合よりも、レイアウトに関する制約が多くなる。この結果、FINFETを使用した周辺回路において、第0配線層〜第2配線層および第4配線層で周辺回路を構成する信号配線と電源線とコンタクト用配線とを形成すると、周辺回路の占有面積が大きくなるのである。つまり、プレーナ型FETよりも微細化されたFINFETを使用するにも関わらず、周辺回路の占有面積を充分に低減することができないのである。
そこで、本実施の形態2では、周辺回路の占有面積を低減するために、第3配線層に生じるスペースを有効活用する。すなわち、本実施の形態2における基本思想は、FINFETの微細化により存在可能となった第0配線層(M0)により、第3配線層(M3)に生まれるスペースを有効活用しようとする思想である。つまり、本実施の形態2における基本思想は、周辺回路を構成する配線層として不要となる第3配線層を有効活用する思想であり、特に、周辺回路の面積低減を図る観点から、第3配線層に生まれるスペースを利用するものである。具体的には、FINFETを使用した周辺回路において、図12(c)に示すように、第0配線層〜第2配線層と第4配線層だけでなく、スペースが生まれる第3配線層も使用して、周辺回路を構成する信号配線と電源線とコンタクト用配線とを形成する。これにより、周辺回路に必要な配線を配置することができる配線層の数を増やすことができるので、周辺回路の平面サイズ(レイアウト面積)を低減することができる。すなわち、図12(c)は、本実施の形態2における基本思想を取り入れた場合において、FINFETを使用したSRAMの周辺回路における配線層を示す表である。図12(c)に示すように、本実施の形態2では、第0配線層〜第2配線層と第4配線層だけでなく、スペースが生まれる第3配線層も使用していることがわかる。この点に本実施の形態2における基本思想があり、以下では、この基本思想を具現化して周辺回路のレイアウトが実現されている。以下では、本実施の形態2における基本思想を具現化する例について説明する。具体的には、SRAMの周辺回路の占有面積を低減する観点から、第3配線層に生まれるスペースを有効活用する構成例について説明する。
<メモリモジュールのレイアウト構成>
図13は、本実施の形態2におけるメモリモジュールのレイアウト構成を示す平面図である。図13に示すように、本実施の形態2におけるメモリモジュールは、メモリセルアレイMCAと、I/O回路100と、制御回路部CUと、ワードドライバWDとを有している。図13において、周辺回路を構成するI/O回路100と制御回路部CUとワードドライバWDのそれぞれは、第0配線層に形成された基板上配線ODと、第1配線層に形成された配線L1と、第2配線層に形成された配線L2と、第3配線層に形成された配線L3とから形成され、本実施の形態2における基本思想が反映されていることがわかる。
特に、図13に示すレイアウトでは、周辺回路の最下層配線層である第0配線層には、ワード線と並行する方向(y方向)に延在する基板上配線ODから形成されている。これは、図13では図示されていないが、第0配線層には、FINFETのゲート電極も形成されており、このゲート電極が存在することによる制約によって、第0配線層は、FINFETのゲート電極の延在方向(y方向)と並行する基板上配線ODだけから構成されているものである。また、図13において、第1配線層に形成されている複数の配線L1のそれぞれは、x方向に延在しており、複数の配線L1には、信号配線と電源線とが含まれている。さらに、図13において、第2配線層に形成されている複数の配線L2のそれぞれも、x方向に延在しており、複数の配線L2には、信号配線と電源線とが含まれている。したがって、本実施の形態2においては、第1配線層に形成されている配線L1と第2配線層に形成されている配線L2とは、共にx方向に延在するように配置されている。
続いて、図13において、第3配線層に形成されている複数の配線L3のそれぞれは、y方向に延在しており、複数の配線L3には、信号配線と電源線とが含まれている。以上のことから、例えば、第2配線層に形成されている信号配線と第3配線層に形成されている信号配線とは互いに交差する方向に延在していることになる。また、第2配線層に形成されている信号配線と第3配線層に形成されている信号配線とは、電気的に接続しないように構成することもできるし、電気的に接続するように構成することもできる。
<周辺回路の断面構成>
図14は、図13のA−A線で切断した断面図である。図14に示すように、半導体基板1S内には、半導体領域である拡散層DLが形成されており、半導体基板1S上には、FINFETのゲート電極GEおよび基板上配線ODが形成されている。そして、ゲート電極GEおよび基板上配線ODを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILにプラグPLG1と配線L1とが形成されている。例えば、基板上配線ODと配線L1とは、プラグPLG1で電気的に接続されている。
次に、図14に示すように、配線L1上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1にプラグPLG2と配線L2とが形成されている。そして、配線L1と配線L2とは、例えば、複数のプラグPLG2によって、互いに電気的に接続されている。さらに、図14に示すように、配線L2上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2にプラグPLG3と配線L3とが形成されている。例えば、配線L2と配線L3とは、プラグPLG3によって、電気的に接続されている。
図15は、図13のB−B線で切断した断面図である。図14に示すように、半導体基板1S上には、FINFETのフィンFINおよびゲート電極GEが形成されている。そして、ゲート電極GEを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されており、このコンタクト層間絶縁膜CILに配線L1が形成されている。
次に、図14に示すように、配線L1上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1にプラグPLG2と配線L2とが形成されている。そして、配線L1と配線L2とは、例えば、複数のプラグPLG2によって、互いに電気的に接続されている。さらに、図14に示すように、配線L2上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2にプラグPLG3と配線L3とが形成されている。例えば、配線L2と配線L3とは、プラグPLG3によって、電気的に接続されている。
以上のようにして、本実施の形態2では、第3配線層に配線L3が形成されていることがわかる。つまり、本実施の形態2では、スペースとなる第3配線層に配線L3を形成することにより、スペースを有効活用している。この結果、本実施の形態2における周辺回路では、第0配線層〜第4配線層を使用して、信号配線や電源配線を配置していることになる。このため、第3配線層を使用しない場合に比べて、周辺回路のレイアウト面積(平面面積)を低減すことができ、これによって、メモリモジュール全体の占有面積を小さくすることができる。このことは、半導体チップ(例えば、図1参照)の小型化を図ることができることを意味し、これによって、半導体チップを含む半導体装置の小型化を図ることができる。また、半導体チップのサイズを縮小化できるということは、半導体ウェハから取得できる半導体チップ数を増加できることを意味し、このことは、半導体チップ当たりの製造コストを低減できることを意味する。したがって、本実施の形態2によれば、半導体装置の製造コストを削減できるという効果も得ることができる。
<メモリモジュールの構成要素間の接続関係>
(1)メモリセルアレイMCAとワードドライバWDとの接続関係
図16は、メモリセルアレイMCAとワードドライバWDとの接続関係の一例を示す断面図である。図16に示すように、メモリセルアレイMCAとワードドライバWDとは、例えば、第2配線層に形成されている配線L2および第3配線層に形成されている配線L3によって電気的に接続することができる。
(2)メモリセルアレイMCAとI/O回路100との接続関係
図17は、メモリセルアレイMCAとI/O回路100との接続関係の一例を示す断面図である。図17に示すように、メモリセルアレイMCAとI/O回路100とは、例えば、メモリセルアレイMCAの第1配線層に形成されている配線L1とI/O回路100の第1配線層に形成されている配線L1とを、プラグPLG2を介して、第2配線層に形成されている配線L2で電気的に接続することができる。
(3)I/O回路100と制御回路部CUとの接続関係
図18は、I/O回路100と制御回路部CUとの接続関係の一例を示す断面図である。図18に示すように、I/O回路100と制御回路部CUとは、例えば、第3配線層に形成されている配線L3によって電気的に接続することができる。
(4)ワードドライバWDと制御回路部CUとの接続関係
図19は、ワードドライバWDと制御回路部CUとの接続関係の一例を示す断面図である。図19に示すように、ワードドライバWDと制御回路部CUとは、例えば、第2配線層に形成されている配線L2によって電気的に接続することができる。
(実施の形態3)
<メモリモジュールのレイアウト構成>
図20は、本実施の形態3におけるメモリモジュールのレイアウト構成を示す平面図である。図20において、メモリセルアレイMCAの第3配線層には、第2配線層に形成されているワード線と重なるようにy方向に延在する配線HL1と、配線HL1と一直線上に配置され、ワード線と重なるようにy方向に延在する配線HL2と、平面視において、ワード線と交差するx方向に延在する配線HL3とが形成されている。このとき、配線HL1の一端部と配線HL2の一端部とは、平面視において、互いに離間して対向配置されており、配線HL3は、平面視において、配線HL1の一端部と配線HL2の一端部との間を通って、ワード線と交差するx方向に延在している。すなわち、本実施の形態3では、ワード線と部分的に重なるように、第3配線層に配線HL1および配線HL2を形成し、配線HL1と配線HL2の間のスペースにワード線と交差するx方向に延在する配線HL3を配置している。これにより、本実施の形態3によれば、第3配線層において、ワード線と交差するx方向に延在する配線HL3を配置しながらも、第3配線層にワード線と電気的に接続される配線HL1および配線HL2を形成することができる。このことから、第3配線層にワード線と交差するx方向に延在する配線HL3が存在する場合であっても、平面視において、配線HL3を挟むようにワード線上に配置される配線HL1および配線HL2によって、ワード線全体の低抵抗化を図ることができる。また、ワード線上に配置される配線HL1および配線HL2は、ワード線と電気的に接続されていなくても、平面視において、ワード線と重なるように配置されていれば、ワード線を外部ノイズから保護するシールドとして機能することになる。
例えば、ワード線と交差するx方向に延在する配線HL3は、I/O回路100に接続しているネガティブブースト回路の負電位を生成する配線容量として使用される。なお、配線HL3の幅は、配線HL1の幅や配線HL2の幅と同じ必要はなく、細くてもよいし、太くてもよい。また、配線HL3は、複数存在していてもよい。
(実施の形態4)
<メモリセルの等価回路>
図21は、デュアルポートSRAMのメモリセルを示す等価回路図である。図21に示すように、デュアルポートSRAMは、一対の相補性ビット線(ABL、/ABL)と一対の相補性ビット線(BBL、/BBL)と2本のワード線AWLおよびワード線BWLとを有する。そして、デュアルポートSRAMのメモリセルは、一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)、一対の転送用MISFET(Qt1A、Qt2A)および一対の転送用MISFET(Qt1A、Qt2A)により構成されている。駆動用MISFET(Qd1、Qd2)および転送用MISFET(Qt1A、Qt2A、Qt1B、Qt2B)はnチャネル型MISFETで構成され、負荷用MISFET(Qp1、Qp2)はpチャネル型MISFETで構成されている。
このように構成されているデュアルポートSRAMは、データの入出力のための信号の出入り口(ポート)が2つ設けられており、一方のポートからデータを読み出していても、同時にもう一方のポートからデータを書き込むことが可能であり、高速にデータ処理を行なうことができる利点を有している。
<メモリセルのレイアウト構成>
図22は、メモリセルのレイアウト構成を示す平面図である。特に、図22(a)は、半導体基板内と第0配線層のレイアウト構成を示す平面図であり、図22(b)は、第1配線層〜第3配線層のレイアウト構成を示す平面図である。なお、SRAMのメモリセルにおいては、第4配線層および第5配線層も存在するが、これらの配線層は、以下に示す明細書の記載および図面での図示は省略している。
SRAMのメモリセルは、例えば、図22(a)に示すように、半導体基板に形成された一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)、一対の転送用MISFET(Qt1A、Qt2A)および一対の転送用MISFET(Qt1B、Qt2B)の8つのトランジスタ(FINFET)から構成されている。このとき、一対の駆動用MISFET(Qd1、Qd2)、一対の転送用MISFET(Qt1A、Qt2A)および一対の転送用MISFET(Qt1B、Qt2B)は、nチャネル型MISFETから構成され、一対の負荷用MISFET(Qp1、Qp2)はpチャネル型MISFETから構成されている。
また、図22(a)に示すように、半導体基板上には、直上配線POと基板上配線ODとを含む第0配線層が形成され、直上配線POと基板上配線ODとを電気的に接続することにより、第0配線層に配線ネットワークが形成されている。以上のようにして、半導体基板内と第0配線層がレイアウト構成されている。
続いて、図22(b)を使用して、第1配線層〜第3配線層のレイアウト構成について説明する。図22(b)に示すように、第1配線層に配置される複数の配線L1には、例えば、電源線VSSと、電源線VDDと、ビット線(ABL、BBL)と、相補ビット線(/ABL,/BBL)とが含まれている。そして、これらの配線は、互いにy方向に並んで配置されながら、それぞれ、x方向に延在している。そして、図22(b)に示すように、第2配線層に配置される配線L2には、x方向に並びながら、y方向に延在するワード線AWLとワード線BWLとが含まれている。さらに、第3配線層に配置される配線L3には、例えば、補助線AL1と補助線AL2とが含まれており、これらの配線は、互いにx方向に並んで配置されながら、それぞれ、y方向に延在している。ここで、ワード線AWLと補助線AL2とは、電気的に接続され、かつ、ワード線BWLと補助線AL1とは、電気的に接続されており、平面視において、補助線AL1と補助線AL2とは、互い違いに配置されている。以上のようにして、第1配線層〜第3配線層がレイアウト構成されていることになる。
<メモリセルの断面構成>
次に、図23は、図22(b)のA−A線で切断した断面図である。図23において、半導体基板1S内には拡散層が形成されている一方、半導体基板1S上には、ゲート電極GEと基板上配線ODとが配置され、ゲート電極GEおよび基板上配線ODを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CILには、プラグPLG1および電源線VSSが形成されており、例えば、基板上配線ODと電源線VSSとは、プラグPLG1で電気的に接続されている。続いて、電源線VSS上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1にワード線AWLとワード線BWLとが形成されている。
次に、ワード線AWL上およびワード線BWL上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、層間絶縁膜IL2には、補助線AL1とプラグPLG3とが形成されている。そして、ワード線BWLと補助線AL1とは、プラグPLG3で電気的に接続されている。
図24は、図22(b)のB−B線で切断した断面図である。図24に示すように、半導体基板1S上には、フィンFINとゲート電極GEとが形成されており、ゲート電極GEを覆うようにコンタクト層間絶縁膜CILが形成されている。そして、コンタクト層間絶縁膜CILには、複数の配線L1が形成されている。
続いて、複数の配線L1上を含むコンタクト層間絶縁膜CIL上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1には、ワード線AWLが形成されている。そして、ワード線AWL上を含む層間絶縁膜IL1上には、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2には、複数のプラグPLG3と補助線AL2とが形成されている。このとき、ワード線AWLと補助線AL2とは、複数のプラグPLG3で電気的に接続されている。
<実施の形態4における特徴>
本実施の形態4では、情報の書き込みあるいは読み出しを行なうポートを複数備えるデュアルポートSRAMのメモリセルを前提とする。そして、本実施の形態4における特徴点は、例えば、図22に示すように、ワード線AWLと電気的に接続される補助線AL2と、ワード線BWLと電気的に接続される補助線AL1とを有し、平面視において、補助線AL1と補助線AL2とが互い違いに配置されている点にある。
これにより、まず、本実施の形態4では、ワード線AWLと電気的に接続される補助線AL2を設けているため、ワード線AWLの低抵抗化を図ることができる。同様に、本実施の形態4では、ワード線BWLと電気的に接続される補助線AL1を設けているため、ワード線BWLの低抵抗化を図ることができる。したがって、本実施の形態4では、デュアルポートSRAMのメモリセルに存在する2本のワード線AWLおよびワード線BWLのそれぞれの低抵抗化を図ることができる。ここで、デュアルポートSRAM自体は、2つのポートを利用して同時に読み出し動作および書き込み動作を行なうことができるので、高速にデータ処理を行なえる利点がある。このことから、本実施の形態4におけるデュアルポートSRAMも上述した利点が得られるが、さらに、本実施の形態4によれば、2本のワード線AWLおよびワード線BWLのそれぞれの低抵抗化を図ることができるため、これによって、さらなる高速動作を実現することができる。
ここで、2本のワード線AWLおよびワード線BWLのそれぞれの低抵抗化を図る観点からは、ワード線AWL上にわたって完全に補助線AL2を延在させるとともに、ワード線BWL上にわたって完全に補助線AL1を延在させることが望ましいと考えることができる。この点に関し、本実施の形態4では、このように構成しておらず、例えば、図22(b)に示すように、平面視において、補助線AL1と補助線AL2とを互い違いに配置している。これは、以下に示す理由からである。つまり、デュアルポートSRAMは、2つのポートを利用して同時に読み出し動作および書き込み動作を行なうため、互いに隣り合う2本のワード線AWLおよびワード線BWLに同時に電圧が印加されることが考えられる。この場合、互いに隣り合う2本のワード線AWLおよびワード線BWLとの間でクロストークが生じる。すなわち、平面視において、補助線AL1と補助線AL2とを互い違いに配置していない場合には、互いに隣り合う2本のワード線AWLおよびワード線BWLとの間でクロストークが生じるとともに、補助線AL1と補助線AL2との間でもクロストークが生じることになる。この結果、デュアルポートSRAMの動作信頼性が低下することになる。そこで、本実施の形態4では、ワード線AWLと電気的に接続される補助線AL2と、ワード線BWLと電気的に接続される補助線AL1とを有しながらも、平面視において、補助線AL1と補助線AL2とを互い違いに配置している。この結果、本実施の形態4によれば、補助線AL1および補助線AL2の存在によって、ワード線AWLおよびワード線BWLのそれぞれの低抵抗化を図ることができるとともに、補助線AL1と補助線AL2とを互い違いに配置することにより、補助線AL1と補助線AL2との間のクロストークを抑制することができる。
以上のことから、本実施の形態4におけるデュアルポートSRAMによれば、クロストークに起因する動作信頼性の低下を抑制しながらも、2本のワード線(AWL、BWL)の低抵抗化による高速動作を実現することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。