JP6595922B2 - マススペクトル解析装置、マススペクトル解析方法、質量分析装置、およびプログラム - Google Patents

マススペクトル解析装置、マススペクトル解析方法、質量分析装置、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、マススペクトル解析装置、マススペクトル解析方法、質量分析装置、およびプログラムに関する。
質量分析装置では、試料成分をイオン化し、イオン化された試料成分を質量分離することで、イオン化された試料成分の質量電荷比(m/z)を横軸、検出強度を縦軸としたマススペクトルが得られる。マススペクトル上に現れるピークの位置(m/z)と強度を正確に求めることで、試料成分の精密質量と相対的な存在量の情報を得ることができる。マススペクトルから得られた精密質量に対して、当該精密質量と近しい質量をもつ元素の組み合わせ(元素組成)を割り出す処理が元素組成の推定処理である。この元素組成の推定処理の結果として割り出された元素組成の候補から、試料成分の同定を行うことができる。
マススペクトルから元素組成を推定する手法として、例えば、特許文献1には、LC/MSのように多価イオンが観測される質量分析計において、モノアイソトピックイオンを特定し、元素組成の推定を行う手法が開示されている。
特開2013−231715号公報
ここで、LC/MSでは、一般的に、フラグメントイオンを生成しないイオン化法が用いられる。一方、GC/MSでは、フラグメントイオンが生成されるイオン化法が主流である。そのため、GC/MSで得られたマススペクトルでは、ピーク本数が多く、元素組成の推定に適するピークの判別は難しい。したがって、特許文献1に開示された手法では、高い確度で元素組成の推定を行うことが困難な場合があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができるマススペクトル解析装置、マススペクトル解析方法、およびプログラムを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記マススペクトル解析装置を含む質量分析装置を提供することにある。
(1)本発明に係るマススペクトル解析装置は、
試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析装置であって、
前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部と、
を含み、
前記抽出部は、
前記ピーク選択部で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択された1つの前記解析対象ピークの前記組成推定部で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定
部で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出し、
選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する
このようなマススペクトル解析装置では、抽出部が分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出するため、組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組みあわせをとしてあり得ないものを除外できる。したがって、このようなマススペクトル解析装置では、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。
(2)本発明に係るマススペクトル解析装置において、
前記抽出部が前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出するフラグメントイオンは、少なくとも、選択された前記解析対象ピークより低質量側の前記解析対象ピークの各々について前記組成推定部で推定された元素組成のうち、不飽和度が半整数である元素組成のものであってもよい。
(3)本発明に係るマススペクトル解析装置において、
前記ピーク選択部は、前記マススペクトルデータから、モノアイソトピックピークを抽出して、前記解析対象ピークとしてもよい。
このようなマススペクトル解析装置では、元素組成を推定するためのピークを適切に選択することができる。
(4)本発明に係るマススペクトル解析方法は、
試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析方法であって、
前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択工程と、
複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定工程と、
前記組成推定工程における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出工程と、
を含み、
前記抽出工程は、
前記ピーク選択工程で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択された1つの前記解析対象ピークの前記組成推定工程で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定工程で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出し、
選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する
(5)本発明に係る質量分析装置は、
本発明に係るマススペクトル解析装置を含む。
このような質量分析装置は、本発明に係るマススペクトル解析装置を含むため、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。
(6)本発明に係るプログラムは、
試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うためのプログラムであって、
前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部としてコンピューターを機能させ、
前記抽出部は、
前記ピーク選択部で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択され
た1つの前記解析対象ピークの前記組成推定部で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定部で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出し、
選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する
(7)本発明に係るマススペクトル解析装置は、
試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析装置であって、
前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって複数の前記組み合わせが抽出された場合に、複数の前記組み合わせから1つの前記組み合わせを選択するための選択情報を入力するための操作部と、
前記選択情報に基づき画像を生成し、当該画像を表示部に表示させる制御を行う表示制御部と、
を含み、
前記画像は、選択された前記組み合わせに対応する分子イオンのピークおよびフラグメントイオンのピークを特定するためのマーカーと、分子イオンとフラグメントイオンとの元素組成の差に対応する化学式と、がマススペクトル上に表示された画像である。
このようなマススペクトル解析装置では、抽出部が分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出するため、組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組みあわせをとしてあり得ないものを除外できる。したがって、このようなマススペクトル解析装置では、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。また、このようなマススペクトル解析装置では、表示制御部が前記画
像を表示部に表示させる制御を行うため、分子イオンとフラグメントイオンとの組み合わせが妥当か否かを、容易に検証することができる。
(8)本発明に係るマススペクトル解析装置において、
分子イオンのピークを特定するための前記マーカーは、当該分子イオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示され、
フラグメントイオンのピークを特定するための前記マーカーは、当該フラグメントイオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示されてもよい。
このようなマススペクトル解析装置では、マススペクトルの解析結果が妥当か否かを容易に検証することができる。
本実施形態に係る質量分析装置を模式的に示す図。 解析対象ピークを選択する処理を説明するための図。 最大強度のピークを選択する処理を説明するための図。 マススペクトルの解析結果を表す画像の一例を模式的に示す図。 マススペクトル解析装置のマススペクトル解析処理の一例を示すフローチャート。 2,6−Xylidineのマススペクトルを示す図。 ピークグループを選択する処理の結果を示す図。 2,6−Xylidineのマススペクトルの解析結果を表す画像の一例を示す図。 第1変形例に係るマススペクトル解析装置のマススペクトル解析処理の一例を示すフローチャート。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 質量分析装置
まず、本実施形態に係る質量分析装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る質量分析装置100を模式的に示す図である。
質量分析装置100は、質量分析を行うための装置である。質量分析装置100では、試料に対して質量分析を行うことによりマススペクトルデータを取得することができる。ここでは、質量分析装置100が、ガスクロマトグラフ(GC)と、質量分析計(MS)と、を接続したガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)である場合について説明する。
質量分析装置100は、本発明に係るマススペクトル解析装置を含む。ここでは、質量分析装置100が、本発明に係るマススペクトル解析装置として、マススペクトル解析装置40を含む場合について説明する。
質量分析装置100は、さらに、ガスクロマトグラフ部10と、質量分析部20と、インターフェース部30と、を含んで構成されている。
ガスクロマトグラフ部10は、試料注入部102と、分離カラム部104と、を有している。試料注入部102には、測定対象となる試料(試料ガス)が注入される。試料注入部102に注入された試料は、キャリアガスによって、分離カラム部104に移動する。
分離カラム部104は、試料に含まれる各成分を時間軸で分離する。分離された試料は、インターフェース部30を介して質量分析部20に導入される。
インターフェース部30は、ガスクロマトグラフ部10と質量分析部20とを接続している。
質量分析部20は、ガスクロマトグラフ部10で分離された試料の各成分をイオン化し、生成されたイオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離し検出する。質量分析部20におけるイオン化の手法としては、例えば、EI(Electron Ionization)法や、CI(Chemical Ionization)法などを用いることができる。質量分析部20における質量分離は、例えば、飛行時間型質量分析計や、四重極型質量分析計などを用いて行うことができる。
質量分析部20で質量分離されたイオンの検出結果は、マススペクトル解析装置40に送られ、マススペクトル解析装置40においてマススペクトルデータが作成される。作成されたマススペクトルデータは、記憶部440に記憶される。マススペクトルデータから、横軸を質量電荷比(m/z)とし、縦軸をイオン強度とするマススペクトルを作成する
ことができる。
マススペクトル解析装置40は、試料に対する質量分析を行うことで取得されたマススペクトルデータから、試料に含まれる成分の元素組成を推定する処理を行う。
マススペクトル解析装置40は、処理部410と、操作部420と、表示部430と、記憶部440と、情報記憶媒体450と、を含んで構成されている。マススペクトル解析装置40は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)などで実現することができる。
操作部420は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部410に送る処理を行う。操作部420は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。操作部420は、例えば、マススペクトルの解析条件の入力を行うために用いられる。
表示部430は、処理部410によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。
記憶部440は、処理部410が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部440は、処理部410の作業領域として用いられ、処理部410が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
情報記憶媒体450は、コンピューターにより読み取り可能な媒体である。情報記憶媒体450は、プログラムやデータなどを格納するものである。情報記憶媒体450の機能は、光ディスク(DVD、CD等)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリ(ROM等)などにより実現できる。処理部410は、情報記憶媒体450に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。すなわち、情報記憶媒体450には、処理部410の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピューターに実行させるためのプログラム)が記憶される。
処理部410は、マススペクトルデータを取得する処理や、マススペクトルデータから元素組成を推定する処理、マススペクトルの解析結果等を表示部430に表示させる処理などの処理を行う。処理部410の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)でプログラムを実行することにより実現することができる。なお、処理部410の機能の少なくとも一部を、ASIC(ゲートアレイ等)などの専用回路により実現してもよい。処理部410は、ピーク選択部412と、組成推定部414と、抽出部416と、表示制御部418と、を含む。
ピーク選択部412は、記憶部440に記憶されているマススペクトルデータを読み出して、当該マススペクトルデータから解析対象となる複数のピーク(以下、「解析対象ピーク」ともいう)を選択する。解析対象ピークとしては、モノアイソトピックピークが好ましい。以下、ピーク選択部412における処理について説明する。
図2は、解析対象ピークを選択する処理を説明するための図である。
ピーク選択部412は、マススペクトルデータにおいてピーク間の距離が所定の範囲内にある2以上のピークを1つのピークグループとして、複数のピークグループを作成する処理を行う。このとき、所定の範囲内にピークが1つしか存在しない場合には、当該ピークはいずれのピークグループにも属さないピークとし、以降の処理から除外する。
所定の範囲は、同位体イオンのピークや、水素が付加/脱離したイオンのピークが1つのピークグループに含まれるような範囲に設定される。すなわち、1つのピークグループは、同位体イオンのピークや、水素が付加/脱離したイオンのピークなどで構成される。
ピーク選択部412がピークグループを作成する処理を行うことにより、分子イオンのピークおよび複数のフラグメントイオンのピークについて、それぞれピークグループが作成される。
図2に示す例では、ピーク選択部412がマススペクトルデータにおいてピーク間の距離が所定の範囲内にあるピークを1つのピークグループとする処理を行うことにより、ピークグループG1からピークグループG8まで、8個のピークグループが作成された。
なお、ピーク選択部412は、ピークグループを作成する処理を行う前に、イオン強度が所定値以下のピークを除外する処理を行ってもよい。これにより、マススペクトルデータのノイズ成分を、あらかじめ除去することができる。
ピーク選択部412は、複数のピークグループを作成する処理を行った後、複数のピークグループの各々から、最大強度のピークを選択して解析対象ピークとする処理を行う。
図3は、最大強度のピークを選択する処理を説明するための図である。なお、図3では、各ピークグループの最大強度のピークを実線で示し、その他のピークを破線で示している。
GC/MSでは、1000Da程度の分子を測定するため、各ピークグループの最大強度のピークとモノアイソトピックピークとは、一致する場合が多い。そのため、各ピークグループから最大強度のピークを選択することで、各ピークグループからモノアイソトピックピークを適切に選択することができる。
図3に示す例では、最大強度のピークを選択する処理の結果、ピークグループG1からピークグループG1のなかで最大のイオン強度を持つピークP1が選択されている。同様に、ピークグループG2、ピークグループG3、ピークグループG4、ピークグループG5、ピークグループG6、ピークグループG7、ピークグループG8から、それぞれ、ピークP2、ピークP3、ピークP4、ピークP5、ピークP6、ピークP7、ピークP8が選択されている。
組成推定部414は、ピーク選択部412で選択された複数の解析対象ピークの各々に対して、元素組成の推定を行う。組成推定部414は、マススペクトルデータにおける解析対象ピークの位置(m/z)からイオンの質量(精密質量)を求め、データベース等から当該イオンの質量に近しい質量を持つ元素組成を割り出すことで元素組成の推定を行う。
組成推定部414は、元素組成を推定する処理の結果として、解析対象ピークごとに、推定される元素組成の候補のリストを作成する。
図3に示す例では、組成推定部414は、ピークP1〜ピークP8に対して、それぞれ元素組成の推定を行う。組成推定部414は、ピークP1〜ピークP8の各々に対して、推定される元素組成の候補のリストを作成する。
抽出部416は、組成推定部414の元素組成の推定結果から、分子イオンと当該分子イオンが開裂(フラグメンテーション)して生成されたフラグメントイオンの組み合わせ
を抽出する。
抽出部416は、組成推定部414で選択された複数の解析対象ピークの各々について、元素組成の推定結果を分子イオンと仮定して他の解析対象ピークの元素組成の推定結果が当該分子イオンの断片(すなわち、フラグメントイオン)としてあり得るか否かを判定する。
ここで、分子イオンとフラグメントイオンの関係について説明する。
分子は、原子で構成されていることから、分子は原子の集合と考えられる。分子イオンM={x|xは分子イオンの元素}、各フラグメントイオンF={x|xはフラグメントイオンの元素}とすると、下記式の関係が成り立つ。
Figure 0006595922
この関係から下記のような関係を導くことができる。
Figure 0006595922
すなわち、フラグメントイオンと分子イオンの関係が正しければ、フラグメントイオンの全ての構成元素の数は、分子イオンの構成元素の数よりも少ない。そのため、分子イオンとフラグメントイオンの構成元素の数の関係を確認することで、分子イオンとフラグメントイオンとの組み合わせを抽出することができる。
図3に示す例では、抽出部416は、まず、ピークP1の元素組成の推定結果を分子イオンと仮定して、ピークP1よりも低質量側のピークP2〜ピークP8の元素組成の推定結果がフラグメントイオンとしてあり得るか否かを判定する。
具体的には、抽出部416は、ピークP1から推定される元素組成を分子イオンと仮定した場合に、ピークP2から推定される元素組成がフラグメントイオンとしてあり得るか否かを判定する。当該判定は、例えば、組成推定部414で作成されたピークP1から推定される元素組成の候補のリストと、ピークP2から推定される元素組成の候補のリストと、を照らし合わせることで行われる。
分子イオンと仮定した元素組成の構成元素が、ピークP2から推定される元素組成の構成元素の数よりもければ、ピークP2から推定される元素組成はフラグメントイオンとしてあり得ると判定される。例えば、分子イオンと仮定した元素組成がCOであり、ピークP2から推定される元素組成がCHの場合、COの構成元素は、Cが2個、Hが5個、Oが1個であり、CHの構成元素は、Cが1個、Hが3個である。このように、CHの構成元素はCOの構成元素よりも、Cが1個、Hが2個、Oが1個、少ないため、フラグメントイオンとしてあり得ると判定される。
フラグメントイオンとしてあり得ると判定された場合には、当該元素組成をフラグメントイオンの元素組成の候補とする。このようにして、ピークP1における元素組成の推定結果とピークP2における元素組成の推定結果から分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせが抽出される。
この処理を、ピークP1とピークP3、ピークP1とピークP4、ピークP1とピークP5、ピークP1とピークP6、ピークP1とピークP7、ピークP1とピークP8についても同様に行う。これにより、全ての解析対象ピーク(ピークP1〜P8)の元素組成の推定結果から、ピークP1の元素組成の推定結果を分子イオンと仮定した場合の、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出することができる。
抽出部416は、ピークP2の元素組成の推定結果を分子イオンと仮定した場合についても同様に、ピークP2よりも低質量側のピークP3〜ピークP8の元素組成の推定結果がフラグメントイオンとしてあり得るか否かを判定する処理を行う。抽出部416は、この処理をピークP3〜ピークP8に対しても同様に行う。
このようにして、抽出部416は、組成推定部414における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する。抽出部416は、抽出した分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせのリストを作成する処理を行う。
なお、抽出部416は、元素組成の推定結果のみで分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出するのではなく、DBE(Double Bond Equivalence value、不飽和度)や、同位体パターンの類似度などの他の条件を含めて組み合わせの抽出を行ってもよい。
表示制御部418は、表示部430にマススペクトルの解析結果の画像を表示させる制御を行う。
図4は、マススペクトルの解析結果を表す画像2の一例を模式的に示す図である。
例えば、抽出部416によって分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせが複数抽出された場合に、操作部420から複数の組み合わせから1つの組み合わせを選択するための選択情報が入力されると、表示制御部418は、選択情報に基づき画像2を生成し、当該画像2を表示部430に表示させる制御を行う。画像2は、分子イオンとフラグメントイオンとの組み合わせが妥当か否かを、検証するための画像である。
画像2は、図4に示すように、選択された組み合わせに対応する分子イオンのピークおよびフラグメントイオンのピークを特定するためのマーカー4a,4bと、分子イオンとフラグメントイオンとの元素組成の差に対応する化学式6と、がマススペクトル上に表示された画像である。
分子イオンのピークを特定するためのマーカー4aは、当該分子イオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示される。フラグメントイオンのピークを特定するためのマーカー4bは、当該フラグメントイオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示される。このように、ピークグループを枠で囲むことにより、ピークがどのピークグループに属するかを容易に把握することができる。なお、マーカー4a,4bの形状は、ピークがとのピークグループに属するかを把握することができれば特に限定されない。
画面2に表示される化学式6は、分子イオンとフラグメントイオンとの元素組成の差に対応する。例えば、分子イオンがCO、フラグメントイオンがCHのとき、元素組成の差に対応する化学式は、−CHOである。
2. マススペクトルの解析方法
次に、本実施形態に係るマススペクトルの解析方法について説明する。ここでは、マススペクトル解析装置40が、2,6−Xylidine(分子式:(CHNH)のマススペクトルを解析する例について説明する。
図5は、マススペクトル解析装置40のマススペクトル解析処理の一例を示すフローチャートである。図6は、2,6−Xylidineのマススペクトルを示す図である。図6に示す2,6−Xylidineのマススペクトルは、ガスクロマトグラフ飛行時間型質量分析計(GC−TOFMS)でEIイオン化法を使用して得られたものである。
まず、ピーク選択部412が、マススペクトルデータから、イオン強度が閾値以下のピークを除外する(ステップS100)。なお、イオン強度の閾値は、500とした。
次に、ピーク選択部412が、イオン強度が閾値以下のピークが除外されたマススペクトルデータにおいてピーク間の距離が所定の範囲内にある2以上のピークを1つのピークグループとして、複数のピークグループを作成する処理を行う(ステップS102)。なお、所定の範囲は、2.5uとした。
図7は、ピークグループを選択する処理の結果を示す図である。ピーク選択部412がピークグループを作成する処理を行うことで、図7に示すように、7個のピークグループが作成された。
図7に示すピークグループを作成する処理の結果は、表示部430に表示される。
次に、ピーク選択部412が、7個のピークグループの各々から、最大強度のピークを選択して解析対象ピークとする(ステップS104)。ここでは、7個のピークグループが作成されたため、7個の解析対象ピークが選択される。
選択された解析対象ピークは下記表1に示す通りである。なお、表1の括弧のなかはマススペクトル中の最大強度を100%とした場合の相対強度を表している。
Figure 0006595922
組成推定部414は、ピーク選択部412で選択された表1に示す7個の解析対象ピークの各々に対して、元素組成の推定を行う(ステップS106)。
元素組成の推定の条件は、以下のとおりである。
・探索するm/z:±0.01u
・チャージ:+1
・DBE:−0.5〜40.0
・探索する元素の数の範囲:
C 0〜100
H 0〜500
O 0〜50
N 0〜50
P 0〜10
S 0〜10
Cl 0〜10
・許容する同位体パターンマッチングの範囲:50%〜100%
次に、抽出部416が、組成推定部414の元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する(ステップS108)。
抽出部416は、表1に示す7個の解析対象ピークの各々について、元素組成の推定結果を分子イオンと仮定して他の解析対象ピークの元素組成の推定結果が当該分子イオンの断片(すなわち、フラグメントイオン)としてあり得るか否かを判定する。
下記表2に、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出した結果を示す。
Figure 0006595922
表2に示すように、7個の解析対象ピークについて元素組成の推定を行い、DBEが整数になったものを分子イオンの元素組成の候補とした。表2では、分子イオンの元素組成の候補に、0〜14の番号を付した。
また、0〜14の番号を付した分子イオンの元素組成の候補の各々に対して、他の解析対象ピークの元素組成の推定結果がフラグメントイオンとして妥当であるか否かを判定した。例えば、1番の番号を付した分子イオンの元素組成の候補であるC11Nについては、CN、C、C、Cがフラグメントイオンの元素組成としてあり得る。フラグメントイオンの元素組成として妥当と判定されたものについては、表2に示すように、組み合わせとして妥当と判断された分子イオンの候補の番号を付した。
表2に示す結果を、分子イオンの元素組成の候補ごとにまとめたものを、下記表3に示す。
Figure 0006595922
表3において、「Hit」は、分子イオンとフラグメントイオンとがあり得る組み合わせか否かのヒット率(的中率)を示している。ヒット率が高い分子イオンの元素組成ほど、分子イオンの元素組成として適切と推測される。「M.F.」は、同位体パターンの類似度を表している。なお、表3では、0〜14番の番号を付した分子イオンの元素組成の候補のうち、フラグメントイオンとの組み合わせが1つもなかったものに関しては、括弧をつけている。
表3に示す結果から、1番の番号を付した分子イオンの元素組成の候補であるC11Nが、イオン強度、同位体パターンの類似度、およびヒット率がいずれも高いことから、分子イオンの元素組成として適切な結果であると推測できる。これは、2,6−Xylidineの元素組成と一致する。
次に、表示制御部418が、マススペクトルの解析結果の画像を表示部430に表示させる制御を行う(ステップS110)。
図8は、2,6−Xylidineのマススペクトルの解析結果を表す画像の一例を示す図である。
表示制御部418は、抽出部416の組み合わせの抽出結果に基づいて、上記の表1、表2、および表3を作成し、表示部430に表示させる制御を行う。さらに、表示制御部418は、表3に示す0〜14番の番号を付した分子イオンの元素組成の候補から1つが選択された場合(すなわち、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせが選択された場合)、図8に示す画像を表示する。
図8に示す画像は、1番の番号を付した分子イオンの元素組成C11Nが選択されたときの画像である。ユーザーが操作部420を介して表示部430に表示された表3からC11Nを選択すると、表示制御部418は、操作部420からの選択信号を受け付けて、図8に示す画像を表示部430に表示させる制御を行う。
図8に示す画像では、分子イオンのピークを特定するためのマーカーと、4個のフラグメントイオンのピークを特定するための4個のマーカーとが、2,6−Xylidineのマススペクトル上に表示されている。また、分子イオンのピークとフラグメントイオンのピークとの間には、ピーク間を結ぶ矢印と、分子イオンとフラグメントイオンの元素組成の差に対応する化学式と、が表示されている。
具体的には、図8に示す画面には、分子イオンの元素組成C11Nとフラグメントイオンの元素組成CNとの元素組成の差に対応する−CH、分子イオンの元素組成C11Nとフラグメントイオンの元素組成Cとの元素組成の差に対応する−CN、分子イオンの元素組成C11Nとフラグメントイオンの元素組成Cとの元素組成の差に対応する−CN、分子イオンの元素組成C11Nとフラグメントイオンの元素組成Cとの元素組成の差に対応する−CNが表示されている。
以上の処理により、マススペクトルの解析を行うことができる。
マススペクトル解析装置40は、例えば、以下の特徴を有する。
マススペクトル解析装置40では、抽出部416が組成推定部414における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する。例えば、抽出部416は、複数の解析対象ピークの各々について、元素組成の推定結果を分子イオンと仮定して他の解析対象ピークの元素組成の推定結果が当該分子イオンの断片としてあり得るか否かを判定する処理を行う。
このように、抽出部416が分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出することにより、組成推定部414における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組みあわせとしてあり得ないものを除外できる。したがって、マススペクトル解析装置40では、抽出部416において、組成推定部414における元素組成の推定結果から分子イオンとして適切な元素組成を抽出することができ、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。
マススペクトル解析装置40では、ピーク選択部412は、マススペクトルデータにおいてピーク間の距離が所定の範囲内にある2以上のピークを1つのピークグループとして、複数のピークグループを作成する処理と、複数のピークグループの各々から最大強度のピークを選択して、解析対象ピークとする処理と、を行う。そのため、マススペクトル解析装置40では、例えば、マススペクトルからモノアイソトピックピークを抽出するためのデアイソトープ処理を行うことなく、元素組成を推定するためのピーク(解析対象ピーク)を適切に選択することができる。
マススペクトル解析装置40では、抽出部416によって複数の分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせが抽出された場合に、複数の組み合わせから1つの組み合わせを選択するための選択情報を入力するための操作部420と、選択情報に基づき画像を生成し、当該画像を表示部430に表示させる制御を行う表示制御部418と、を含み、当該画像は、選択された組み合わせに対応する分子イオンのピークおよびフラグメントイオン
のピークを特定するためのマーカーと、分子イオンとフラグメントイオンとの元素組成の差に対応する化学式と、がマススペクトル上に表示された画像である。
このように、マススペクトル解析装置40では、表示制御部418が前記画像を表示部430に表示させる制御を行うため、分子イオンとフラグメントイオンとの組み合わせが妥当か否かを、容易に検証することができる。
マススペクトル解析装置40では、分子イオンのピークを特定するためのマーカーは、当該分子イオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示され、フラグメントイオンのピークを特定するためのマーカーは、当該フラグメントイオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示される。そのため、マススペクトルの解析結果が妥当か否かを容易に検証することができる。
マススペクトル解析装置40では、図5に示す処理を行うことにより、自動でマススペクトルの解析(元素組成の推定)を行うことができる。
なお、上記では、マススペクトル解析装置40が、1つのマススペクトルに対してスペクトルの解析を行う場合について説明したが、マススペクトル解析装置40は、同一条件で複数のマススペクトルに対してスペクトルの解析を行うこともできる。したがって、マススペクトル解析装置40では、複数のマススペクトルに対して、一括して元素組成の推定を行うことができ、解析時間の短縮を図ることができる。
本実施形態に係る質量分析装置100は、マススペクトル解析装置40を含むため、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。
本実施形態に係るマススペクトル解析方法は、マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択工程と、複数の解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定工程と、組成推定工程における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出工程と、を含む。そのため、本実施形態に係るマススペクトルの解析方法によれば、マススペクトルから高い確度で元素組成の推定を行うことができる。
3. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
(1)第1変形例
上述した実施形態では、ピーク選択部412が複数のピークグループの各々から最大強度のピークを選択して解析対象ピークとする場合について説明したが、ピーク選択部412は、マススペクトルデータから、モノアイソトピックピークを抽出して、解析対象ピークとしてもよい。
ピーク選択部412は、例えば、公知のデアイソトープ処理を行うことにより、マススペクトルデータから、モノアイソトピックピークを抽出することができる。
デアイソトープ処理は、マススペクトルからモノアイソトピックピークを抽出することを目的とする処理である。例えば、マススペクトル上で1つの同位体ピーク群に属すると推定される複数の同位体ピークの強度から各元素の天然同位体比などに基づき理論的に計算される同位体ピークの強度を減算する。強度計算と減算処理が適切に行われている場合には、同位体ピーク群に含まれるピークの中からモノアイソトピックピークを抽出するこ
とができる。なお、ピーク選択部412は、Averagineモデルを用いて、モノアイソトピックピークを抽出してもよい。
図9は、第1変形例に係るマススペクトル解析装置40のマススペクトル解析処理の一例を示すフローチャートである。
第1変形例に係るマススペクトル解析装置40のマススペクトル解析処理は、図9に示すように、イオン強度が閾値以下のピークを除外する処理(ステップS100)、ピークグループを作成する処理(ステップS102)、各ピークグループの最大強度のピークを選択する処理(ステップS104)を行わずに、モノアイソトピックピークを抽出する処理(ステップS200)を行う点で、図5に示すマススペクトル解析処理と異なる。
なお、解析対象ピークに対して元素組成の推定を行う処理(ステップS202)、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する処理(ステップS204)、および解析結果を表示する処理(ステップS206)は、それぞれ図5に示すステップS106、ステップS108、ステップS110の処理と同じである。
第1変形例に係るマススペクトル解析装置40によれば、デアイソトープ処理を用いて、モノアイソトピックピークを抽出して解析対象ピークとするため、例えば、1000Daよりも更に高質量側のピークであっても、解析対象ピークを適切に選択することができる。
なお、上記では、イオン強度が閾値以下のピークを除外する処理(ステップS100)、およびピークグループを作成する処理(ステップS102)を行わない場合について説明したが、本変形例においても、ステップS200の前に、ステップS100、ステップS102の処理を行ってもよい。
(2)第2変形例
上述した実施形態では、ピーク選択部412が複数のピークグループの各々から最大強度のピークを選択して解析対象ピークとする場合について説明したが、解析対象ピークの選択方法はこれに限定されない。例えば、ピークグループから2番目に強度が大きいピークを選択して解析対象ピークとしてもよいし、ピークグループ内の最小のm/zのピークを選択して解析対象ピークとしてもよい。
マススペクトル解析装置40では、解析対象ピークを選択する手法として上記のどの手法を用いるかを、ユーザーが選択可能であってもよい。例えば、ユーザーは、試料や測定条件などに応じて、手法を選択してもよい。また、例えば、上記の手法のうちの1つの手法を用いてマススペクトルの解析を行い、元素組成の推定結果を確認した後に、他の手法を用いて、再度、マススペクトルの解析を行ってもよい。
(3)第3変形例
上述した実施形態では、図1に示すように、マススペクトル解析装置40が質量分析装置100に含まれている場合について説明したが、マススペクトル解析装置40は質量分析装置に含まれていなくてもよい。マススペクトル解析装置40は、他の質量分析装置で得られたマススペクトルや、シミュレーションで得られたマススペクトルの解析を行ってもよい。この場合、マススペクトル解析装置40は、情報記憶媒体450等を介して、マススペクトルデータを取得してもよい。
(4)第4変形例
上述した実施形態では、質量分析装置100が、ガスクロマトグラフ質量分析装置(G
C/MS)である場合について説明したが、本発明に係る質量分析装置は、分子イオンのピークとフラグメントイオンのピークとが出現するマススペクトルを得ることができる装置であればよい。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…画像、4a…マーカー、4b…マーカー、6…化学式、10…ガスクロマトグラフ部、20…質量分析部、30…インターフェース部、40…マススペクトル解析装置、100…質量分析装置、102…試料注入部、104…分離カラム部、410…処理部、412…ピーク選択部、414…組成推定部、416…抽出部、418…表示制御部、420…操作部、430…表示部、440…記憶部、450…情報記憶媒体

Claims (8)

  1. 試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析装置であって、
    前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
    複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
    前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部と、
    を含み、
    前記抽出部は、
    前記ピーク選択部で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択された1つの前記解析対象ピークの前記組成推定部で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
    選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定部で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
    フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出し、
    選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
    仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する、マススペクトル解析装置。
  2. 請求項1において
    前記抽出部が前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出するフラグメントイオンは、少なくとも、選択された前記解析対象ピークより低質量側の前記解析対象ピークの各々について前記組成推定部で推
    定された元素組成のうち、不飽和度が半整数である元素組成のものである、マススペクトル解析装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記ピーク選択部は、前記マススペクトルデータから、モノアイソトピックピークを抽出して、前記解析対象ピークとする、マススペクトル解析装置。
  4. 試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析方法であって、
    前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択工程と、
    複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定工程と、
    前記組成推定工程における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出工程と、
    を含み、
    前記抽出工程は、
    前記ピーク選択工程で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択された1つの前記解析対象ピークの前記組成推定工程で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
    選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定工程で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
    フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメントイオンの組み合わせとして抽出し、
    選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
    仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する、マススペクトル解析方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のマススペクトル解析装置を含む、質量分析装置。
  6. 試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うためのプログラムであって、
    前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
    複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
    前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部としてコンピューターを機能させ、
    前記抽出部は、
    前記ピーク選択部で選択された複数の前記解析対象ピークから1つを選択し、選択された1つの前記解析対象ピークの前記組成推定部で推定された元素組成を分子イオンと仮定し、
    選択された前記解析対象ピークより低質量の前記解析対象ピークについて前記組成推定部で推定された元素組成をフラグメントイオンとし、当該フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ないか否かを判断し、
    フラグメントイオンの各構成元素の数が前記仮定された分子イオンの構成元素の数より少ない場合には、前記仮定された分子イオンと分子イオンの断片としてあり得るフラグメ
    ントイオンの組み合わせとして抽出し、
    選択された前記解析対象ピークの各々について、分子イオンを仮定して、前記組み合わせを抽出し、
    仮定された各分子イオンについて、抽出された前記組み合わせの数に基づく数を分子とし、選択された前記解析対象ピークよりも低質量側の前記解析対象ピークの数に基づく数を分母として、的中率を算出する、プログラム。
  7. 試料に対して質量分析を行うことにより取得されたマススペクトルデータから元素組成の推定を行うマススペクトル解析装置であって、
    前記マススペクトルデータから、解析対象となる複数の解析対象ピークを選択するピーク選択部と、
    複数の前記解析対象ピークの各々に対して元素組成の推定を行う組成推定部と、
    前記組成推定部における元素組成の推定結果から、分子イオンとフラグメントイオンの組み合わせを抽出する抽出部と、
    前記抽出部によって複数の前記組み合わせが抽出された場合に、複数の前記組み合わせから1つの前記組み合わせを選択するための選択情報を入力するための操作部と、
    前記選択情報に基づき画像を生成し、当該画像を表示部に表示させる制御を行う表示制御部と、
    を含み、
    前記画像は、選択された前記組み合わせに対応する分子イオンのピークおよびフラグメントイオンのピークを特定するためのマーカーと、分子イオンとフラグメントイオンとの元素組成の差に対応する化学式と、がマススペクトル上に表示された画像である、マススペクトル解析装置。
  8. 請求項において、
    分子イオンのピークを特定するための前記マーカーは、当該分子イオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示され、
    フラグメントイオンのピークを特定するための前記マーカーは、当該フラグメントイオンのピークが含まれるピークグループを囲むように表示される、マススペクトル解析装置。
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