JP6595882B2 - 触媒繊維構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒金属が担体である繊維構造体に担持されてなる触媒、すなわち触媒繊維構造体に関し、特に担持された触媒金属に応じて各種反応に好適に用いられる触媒繊維構造体に関する。
触媒金属を無機繊維基材と組み合わせて構成された各種の触媒構造体が知られており、排ガスの浄化や化学品の製造など、種々の用途に用いられている。
特許文献1には、触媒が担持されたハニカム構造体であって、触媒の担持量が100〜400g/Lであり、水銀圧入法による細孔分布に関するLog微分細孔分布曲線において0.005〜0.03μmの範囲、1〜15μmの範囲、及び15〜30μmの範囲の3箇所にピークを有するハニカム構造体が記載されている。
特許文献2には、セラミックハニカム構造体に触媒物質が担持されたセラミックハニカム触媒であって、セラミックハニカム構造体の隔壁の平均細孔径が15μm以上、隔壁の気孔率が50〜80%である排気ガス浄化装置用セラミックハニカム触媒が記載されている。
特許文献3には、担体に担持された銀を含む触媒であって、この担体が、少なくとも1.3m/gの表面積、0.8μmを超える中央細孔径、および全細孔容積の少なくとも80%が0.1から10μmの範囲の径を有する細孔からなり、且つ0.1から10μmの範囲の径を有する細孔の合計細孔容積の少なくとも80%が、0.3から10μmの範囲の径を有する細孔からなるという細孔径分布を有する触媒が記載されている。担体としてはアルミナを含むものが記載されている(請求項6等)。
特開2009−255047号公報 特開2005−052750号公報 特表2008−545533号公報
触媒繊維構造体を用いて反応を行う場合、反応性は触媒金属の担持量に依存すると考えられるから、触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属担持量を増大させることが好ましいと考えられる。しかしながら触媒金属担持量を単に増大させても、反応物質が触媒繊維構造体内部まで入り込むことができず、担持された触媒金属が有効に働かない事態も生じうる。本発明の課題は、単位体積当たりの触媒金属担持量が高く、しかも触媒金属と反応物質との接触状態が改善された触媒繊維構造体を提供することである。
本発明は、触媒金属が繊維構造体に担持されてなる触媒繊維構造体であって、下記の要件(a)、(b)、及び(c)を全て満たす触媒繊維構造体である。
(a)水銀圧入法を用いた測定により得られるLog微分細孔容量分布曲線の最大の細孔径を有するピークが0.1μm以上、100μm以下であり、
(b)前記ピークにおけるLog微分細孔容量が0.5mL/g以上であり、
(c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が0.05g/mL以上である
本発明の触媒繊維構造体は、上記要件(a)、(b)を満たすことから反応物質との接触状態が向上して反応性が良く、上記要件(c)を同時に満足することから触媒活性が高い。また本発明の触媒繊維構造体は形状加工性に優れるため、反応容器の体積あたりにより多くの触媒金属を充填でき、しかも反応物質との接触状態及び触媒活性に優れることから、反応容器あたりの触媒性能を高くできる。
本発明の触媒繊維構造体を製造する工程のフローを示す図。 図1中の担持工程における処理方法の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のシート進行方向に沿った断面図。 図1中の担持工程における別の処理方法の説明図。 図1中の除去工程における処理方法の説明図。 Log微分細孔容量曲線の概念図。 (a)及び(b)は何れも実施例及び比較例における硫黄分解反応に用いた測定装置及び測定条件を示す図。
<触媒繊維構造体>
本発明の触媒繊維構造体は、触媒金属が繊維構造体に担持されたものであり、前記した要件(a)、(b)及び(c)を全て満たすものである。以下、これらの要件に係る測定法及び定義について説明する。なお、以下の記載において、触媒金属とは触媒繊維構造体中で、目的とする反応に対する触媒機能を発揮する物質を構成する元素である。また、前記触媒金属を含有する化合物を触媒金属化合物という。また、触媒金属化合物が触媒金属の酸化物である場合は、触媒金属酸化物という。また、触媒前駆体とは、焼成により触媒金属酸化物になる化合物である。
要件(a)
水銀圧入法については、例えば「物質の機能性(第4版 実験化学講座12、日本化学会編、丸善株式会社発行 486頁)」等に記載されている。水銀圧入法による孔径の測定値は、下記の式を使って計算できる。
D=−4γCOSθ/P
但し、式中でそれぞれD:孔径、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。水銀の表面張力は482.536mN/mとし、使用接触角は例えば130°とする。孔径分布は、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に孔内に侵入した水銀の体積、即ち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した孔径Dと細孔容量との関係を描き、この関係曲線のLog微分係数dV/d(LogD)を求めて縦軸とし、孔径Dを横軸としてグラフにすることで求められる。このグラフをLog微分細孔容量分布曲線と呼ぶ。
要件(a)は、この水銀圧入法におけるLog微分細孔容量分布曲線のピークのうち最大の細孔径を有するピークが0.1μm以上、100μm以下であることである。反応物質が触媒繊維構造体内部へ入り込み、反応し、反応生成物が触媒繊維構造体外部へと移動する物質移動性の観点から、前記ピークは、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下であり、好ましくは1μm以上、70μm以下の範囲、より好ましくは10μm以上、50μm以下の範囲である。
要件(b)
前記最大の細孔径を有するピークにおける縦軸の値、即ちLog微分係数dV/d(LogD)の値を最大ピークにおけるLog微分細孔容量(b)と定義する。要件(b)は、最大ピークにおけるLog微分細孔容量が0.5mL/g以上であることである。要件(b)の値が高いということは、構造体内部に一定のサイズ域を有する細孔が多く存在することを示しており、構造体が反応に適した空隙を有することを示している。反応物質及び反応生成物の移動性の観点から、(b)は、好ましくは0.7mL/g以上、より好ましくは1mL/g以上である。また、単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量(c)と両立させる観点から、最大ピークにおけるLog微分細孔容量(b)は、好ましくは8mL/g以下、より好ましくは4mL/g以下、更に好ましくは3mL/g以下、更により好ましくは2mL/g以下である。
要件(c)
単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量(c)は、以下の式で規定される。
触媒金属化合物及びバインダーの担持量[g/mL]=触媒金属化合物及びバインダーの担持質量[g]/触媒繊維構造体体積[mL]
ここで触媒金属化合物及びバインダーの担持質量[g]=触媒繊維構造体質量[g]−触媒担持前の繊維構造体質量[g]であり、例えばシート状の場合は、触媒繊維構造体体積[mL]=触媒繊維構造体の面積[m]×触媒繊維構造体の厚み[m]である。要件(c)は、単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が0.05g/mL以上であることである。触媒活性を高める観点から、(c)は、前記触媒金属化合物及びバインダーの担持量が好ましくは0.2g/mL以上、より好ましくは0.4g/mL以上である。
要件(b)と(c)、すなわち最大ピークにおけるLog微分細孔容量(b)と、単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量(c)を両立させる観点から、単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量(c)は好ましくは1.0g/mL以下、より好ましくは0.8g/mL以下、更に好ましくは0.7g/mL以下、より更に好ましくは0.6g/mL以下である。
触媒繊維構造体の単位質量当たりの触媒金属の担持量は、触媒の活性の観点から、好ましくは0.01g/g以上,より好ましくは0.1g/g以上、より好ましくは0.15g/g以上、更に好ましくは0.2g/g以上、より更に好ましくは0.25g/g以上であり、そして、触媒の触媒金属質量当たりの活性の観点から好ましくは0.8g/g以下、より好ましくは0.6g/g以下、更に好ましくは0.5g/g以下、より更に好ましくは0.4g/g以下、より更に好ましくは0.35g/g以下である。
触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属の担持量は触媒金属として 、触媒内部で十分に反応物質を吸着する観点から、好ましくは0.01g/mL以上,より好ましくは0.1g/mL以上であり、そして、触媒の触媒金属質量当たりの活性の観点から好ましくは1.0g/mL以下、より好ましくは0.8g/mL以下、更に好ましくは0.6g/mL以下、より更に好ましくは0.4g/mL以下、より更に好ましくは0.3g/mL以下である。
繊維構造体は繊維からなる成形体であり、その形状及び大きさは制限されるものではなく、シート状、板状、筒状、ハニカム状、不定形状などでよいが、用途に応じた形状に加工することが容易であることから、シート状、布帛状、布状、膜状又は板状が好ましく、シート状、布帛状又は布状がより好ましい。繊維構造体は帯状の長いものでもよく、例えば、ロール状に巻き取られた状態として使用することもできる。繊維構造体がシート状、布帛状又は布状であるとき、シート状、布帛状又は布状の構造体として、織物、編み物、織布又は不織布を用いることができ、構造体内部の細孔容量と、細孔分布の均一性の観点から、不織布がより好ましい。
繊維構造体がシート状、布帛状又は布状であるときは、厚みは、触媒繊維構造体の強度を向上させる観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、触媒繊維構造体内部での反応物質及び反応生成物の拡散距離短縮により、反応物質の触媒内部への拡散性及び反応生成物の触媒内部からの拡散性を向上させ、これにより触媒活性を向上させ、かつ、触媒活性を維持させる観点から、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下が好ましい。
また繊維構造体のかさ密度は、触媒繊維構造体を反応器に充填する場合の充填量の観点から、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは100kg/m以上、更に好ましくは150kg/m以上であり、そして触媒繊維構造体内部での反応物質の拡散容易性及び流体が触媒繊維構造体を通過する際の圧力損失の低減の観点から、好ましくは2400kg/m以下、より好ましくは1000kg/m以下、更に好ましくは500kg/m以下、より好ましくは300kg/m以下、より更に好ましくは250kg/m以下である。
繊維構造体は、無機繊維からなるものを用いることができる。無機繊維としては、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、金属炭化物繊維、炭素繊維などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維を挙げることができる。金属酸化物繊維としてはシリカ繊維、アルミナ繊維、カルシア繊維、マグネシア繊維、アルミナ−シリカ繊維、カルシア−シリカ繊維、マグネシア−シリカ繊維、カルシア−マグネシア−シリカ繊維などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維を使用することができる。好ましくは金属酸化物繊維、ガラス繊維、炭素繊維から選ばれる1種の繊維又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維を使用することができる。より好ましくはアルミナーシリカ繊維、カルシア−マグネシア−シリカ繊維、ガラス繊維から選ばれる1種の繊維又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維を使用することができ、さらに好ましくはアルミナ−シリカ繊維とガラス繊維の組み合わせを使用することができる。
触媒金属は、公知の触媒金属の中から選択することができる。本発明の触媒繊維構造体においては、触媒金属化合物が担体となる繊維構造体を構成する繊維自体に付着し繊維間の隙間に担持される。触媒繊維構造体は、繊維構造体と同形状でもよいし、用途に応じて使用し易い形状にさらに加工されたものでもよい。
本発明の触媒繊維構造体は、担持された触媒金属に応じて各種反応に使用することができる。例えば、還元、酸化、置換、分解、付加、環化、開環、転移化反応などに用いることができる。還元反応としては水素付加反応や、酸素の脱離反応、水素化脱硫反応に用いることができる。酸化反応としては、脱水素、酸素付加反応などに用いることができる。置換反応としては水素、ハロゲン、ヒドロキシ、酸素、窒素、硫黄の置換反応などに用いることができる。分解反応としては加溶媒分解、加水分解、アンモニア分解、水素化分解、酸化分解などに用いることができる。付加反応としてはC−C二重結合、C−C三重結合、C−O結合、C−N結合などへの付加反応に用いることができる。環化反応としては、縮合、脱離、多量化などによる反応に用いることができる。開環反応としては、水添、水和などによる反応に用いることができる。転移化反応としては、異性化、ラセミ化、不均化反応などに用いることができる。
反応原料としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、ニトロ化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などに用いることができる。また例えば、原料油脂や脂肪酸エステルから最終的にアルコール(1価アルコール及び多価アルコール)を製造する工程で使用する場合には、Niを含む触媒繊維構造体を原料の精製過程で原料中の硫黄化合物(水素添加触媒の被毒物質)量又はその後の工程での脂肪酸エステル中の硫黄化合物量を低減させるための触媒として使用し、Coを含む触媒繊維構造体を脂肪酸又は脂肪酸エステルの水素添加工程で水素添加触媒として使用することができる。
<触媒繊維構造体の製造方法>
図1〜図4により本発明の触媒繊維構造体の製造方法を説明する。本発明の触媒繊維構造体は、図1に示す工程からなる製造フローに沿って製造することができる。
<塗料化工程>
塗料化工程は、触媒金属化合物又は触媒前駆体、バインダー及び溶媒を混合して塗料化する工程である。以下の記載で、触媒金属化合物、触媒前駆体の塗料をそれぞれ、触媒金属化合物塗料、触媒前駆体塗料という。触媒金属化合物が触媒金属酸化物である場合の触媒金属化合物塗料を、触媒金属酸化物塗料という。
触媒金属としては、適用される化学反応に有効な成分であればよく、Ag、Au、Cu、Ni、Fe、Al、Co、第4周期遷移金属元素、白金族元素、周期律表の第3族元素、アルカリ金属類、アルカリ土類金属等の金属元素を挙げることができる。触媒金属化合物としては、前記触媒金属の金属酸化物等を挙げることができる。また、触媒金属化合物又は触媒前駆体が多孔性材料に担持されたものを塗料にすることもできる。多孔性材料は、触媒金属化合物又は触媒前駆体を担持する担体となるもので、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、チタニア、シリカ−アルミナ、珪藻土等を挙げることができ、これらより選ばれる一種以上の多孔性材料が好ましく使用できる。より好ましくは高表面積を有する多孔性材料が使用され、その他にもモレキュラーシーブ等を使用できる。担体に触媒金属化合物又は触媒前駆体を担持させる方法としては、通常の含浸法、共含浸法、共沈法、イオン交換法等の公知の方法が適用できる。
バインダーは、粉末状触媒金属化合物又は触媒前駆体同士および繊維構造体表面への結着性に優れ、且つ反応環境に耐え、反応系に悪影響を与えないものが好ましい。このようなバインダーとしては、有機バインダー、無機バインダー、有機・無機ハイブリッドバインダーを利用できる。有機バインダーとしては、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ四フッ化エチレンやポリフツ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等、種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができ、これら合成樹脂に硬化剤による架橋反応を導入することでより高分子化が図られるものも用いることができる。なかでも触媒の担持量を向上させる観点及び反応性を高める観点からフェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、より好ましくは硬化時に縮合反応を伴う熱硬化性樹脂を用いることができる。
無機バインダーとしてはアルミナ、シリカ、チタニア、セリアなどの酸化物ゾルなど、乾燥、熱処理によって結着性を生じるものを用いることができる。なかでも、一次粒子径が50nmよりも小さいコロイダルシリカやコロイダルアルミナが好ましい。有機・無機ハイブリッドバインダーとしては、有機シランなどのシロキサン結合を有する化合物を用いることができる。また、架橋反応により高分子化が図られる化合物も用いることができる。
溶媒は、触媒金属の触媒活性に悪影響を与えないものであればよく、使用されるバインダーの種類に応じて、水溶性または非水溶性の各種のものを選択することができる。例えば溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール等の炭素数1以上6以下のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類などを使用することができる。溶媒量は、後工程の作業性を考慮して決定することができるが、触媒金属の担持量の観点から混合物中の溶媒量は好ましくは60質量%以上、90質量%以下である。
溶媒は分散剤として、界面活性剤を含有していても構わない。界面活性剤は、使用する触媒金属化合物又は触媒前駆体の種類に応じて、適切なものを使用することができる。界面活性剤としては例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、高分子界面活性剤を用いることができる。陰イオン界面活性剤としてはカルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、リン酸系界面活性剤などを用いることができる。陽イオン界面活性剤としてはテトラアルキルアンモニウム塩などを用いることができる。両性界面活性剤としてはアルキルアミンオキシド、アルキルベタインを用いることができる。非イオン界面活性剤としては、アルキルグルコシド、脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどを利用することができる。高分子界面活性剤としては、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、ポリアクリル酸とポリアクリルアミドの共重合体などを用いることができる。また界面活性剤の含有量は、良好な分散性を得る観点から塗料中の触媒金属化合物又は触媒前駆体の質量に対して好ましくは2質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、また繊維構造体における塗料の保持性の観点から好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
塗料中の触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの含有量は、触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの合計量中、触媒活性を高める観点から触媒金属化合物又は触媒前駆体は好ましくは70質量%以上、より好ましくは73質量%以上、さらに好ましくは76質量%以上であり、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは87質量%以下であり、さらに好ましくは83質量%以下であり、また、好ましくは70質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは73質量%以上87質量%以下であり、さらに好ましくは76質量%以上83質量%以下である。
また触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの合計量中、良好な担持の観点からバインダーは、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは17質量%以上であり、触媒活性を高める観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは27質量%以下であり、さらに好ましくは24質量%以下であり、また、好ましくは10質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上27質量%以下であり、さらに好ましくは17質量%以上24質量%以下である。
溶媒量は、次工程の担持作業性を考慮して決定することができるが、触媒金属の担持量を高める観点から、触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料中の溶媒量が50質量%以上、90質量%以下が好ましい。
触媒金属の担持量を高める観点から、前記塗料における触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの合計の固形分が好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、前記塗料中での触媒金属化合物又は触媒前駆体及びバインダーの分散性及び繊維構造体への前記塗料の含浸性を高めて均一に担持させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であり、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上40質量%以下である。
触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料の粘度(20℃)は触媒金属の担持を均一にかつ効果的に行う観点から好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、さらに好ましくは30mPa・s以上、よりいっそう好ましくは50mPa・s以上、さらにいっそう好ましくは60mPa・s以上、よりさらにいっそう好ましくは70mPa・s以上であり、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは180mPa・s以下、さらに好ましくは160mPa・s以下、よりいっそう好ましくは140mPa・s以下であり、また、好ましくは10mPa・s以上200mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以上180mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以上160mPa・s以下、よりいっそう好ましくは50mPa・s以上140mPa・s以下、さらにいっそう好ましくは60mPa・s以上140mPa・s以下、よりさらにいっそう好ましくは70mPa・s以上140mPa・s以下である。
塗料化工程では、メディア型ミルやペイントシェーカーを用いて必要な成分を1段階で混合して塗料化する方法を適用することができるが、予備混合と、その後の本混合の2段階で混合して塗料化する方法を適用することが好ましい。例えば、予備混合においてビーズ(例えばガラスビーズ)を用いたペイントシェーカーで混合した後、本混合において特開2008−110341号公報の段落番号0047に記載されたメディア型ミル(例えば、アペックスミル、寿工業株式会社製)を使用する方法を適用することができる。なお、メディア型ミルを利用する場合は、本混合で使用するメディア(ビーズ)の粒径は、予備混合で使用するメディア(ビーズ)の粒径よりも十分に小さなものを使用することが好ましく、例えば、予備混合で使用したビーズ直径の50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
また、非メディア型の分散機を用いて混合する方法を適用することもできる。例えば、薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス(登録商標)、プライミクス株式会社製)や、乳化分散機(マイルダー(登録商標)、株式会社マツボー製)を用いる方法を適用することができる。
塗料化工程では、上記したような混合方法を適用して、レーザー回折法により粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD−300V)を用いて測定される粒度分布において、触媒金属化合物又は触媒前駆体の粒子径の最大のピークが2μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下の触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を得ることが好ましい。このように予備混合と本混合の2段階で混合して粒径の小さな触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を製造することによって、次工程である担持工程において、繊維構造体の隙間内に触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を入り込ませることが容易になるので好ましい。
<担持工程>
担持工程は、塗料化工程にて得た触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を上記した繊維構造体に担持させる工程である。
触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を繊維構造体に担持させる方法としては、触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料と繊維構造体を接触させた状態で外力を加える方法を適用することが好ましい。このように外力を加えることで、繊維構造体の隙間により均一に触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を担持させることができ、体積当たりの触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料の担持量を高めることができる。触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料と繊維構造体を接触させる方法としては、容器に入れた触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料中に繊維構造体を浸漬する方法、或いは容器に入れた触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料中に繊維構造体を潜らせる方法を適用することができる。外力を加える方法としては、ローラを使用する方法や超音波振動を与える方法を適用することができる。
好ましい担持工程の処理方法として、以下の(I)〜(III)の方法を挙げることができる。
(I)図2(a)、(b)に示すように繊維構造体を触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料に潜らせる処理工程により担持させる方法である。容器1内に塗料2が満たされており、容器1には一対のローラ4、5が設置されている。ここで、塗料2は、触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料である。一対のローラ4、5は、少なくともそれが近接して対向する面が塗料2中に位置するように設置されている。繊維構造体(繊維シート)3は、塗料2中を通して、かつ一対のローラ4、5の間を通過させる。このとき、繊維構造体3が両面から一対のローラ4、5で圧接されることで、繊維構造体3内の隙間に塗料2が入り込んで担持され、塗料2が担持された繊維構造体13が得られる。一対のローラ4、5の間隔は、繊維構造体3の厚みよりも僅かに小さくなるよう厚みの0.95倍以上0.98倍以下に調整することが好ましい。
(II)図3に示すようにして、塗料2が満たされた容器1内に繊維構造体3を浸漬した状態にて、容器1の底面外側から容器1内部に超音波振動6(振動イメージで示す)を与える方法である。図3では単一のローラを示しているが、(II)の方法ではローラはなくともよい。このように超音波振動を与えることで、繊維構造体3内の隙間に塗料2が入り込んで担持され、塗料2が担持された繊維構造体13が得られる。この方法では、15〜50kHzの超音波を加えることができる。
(III)(I)の方法を実施する際、容器1の底面外側から容器1内部に超音波振動を与える方法である。すなわち図3において、(I)の方法と同様に一対のローラを使用しながら超音波振動を加える方法である。
<余剰塗料の除去工程>
余剰塗料の除去工程は、上記のようにして触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を担持させた繊維構造体から余剰塗料を除去する工程である。余剰塗料は、繊維構造体の外表面に付いている触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料を指し、繊維構造体の内部(繊維構造体の繊維の隙間)に入り込んでいるものは余剰塗料には含まれない。この工程を実施することにより形状加工工程における触媒金属化合物又は触媒前駆体(触媒金属化合物塗料又は触媒前駆体塗料に含まれている触媒金属化合物又は触媒前駆体)の脱落率を低下させることができる。
例えば図4では、塗料2が担持された繊維構造体13の表面(繊維シートの場合は両面)の一端側に対して、繊維構造体13の表面形状に合致した除去具7、8を当接させる。当接状態を維持したまま、一端側から他端側(図4中の矢印方向)に除去具7、8を移動させて余剰塗料を除去して、余剰塗料が除去された繊維構造体23を得る。なお、図4では2つの除去具7、8を使用しているが、1つの除去具のみを使用して、繊維構造体13の一面の余剰塗料を除去した後、繊維構造体13の表裏を反転させて同様の操作を実施することもできる。また図4では、繊維構造体13を水平方向にした状態で実施しているが、鉛直方向にした状態で実施することもできる。
除去具7、8は、繊維構造体13の表面形状に合致する適応性を有したものであり、ブレード、ブラシ、多孔性部材等を使用することができる。多孔性部材としては、織布、不織布、プラスチックフォーム(スポンジ)、セラミックスフォーム、ろ紙などを挙げることができる。余剰塗料の除去は、一端側から他端側に除去具7、8を1回だけ移動させて行うことが好ましいが、同じ方向に除去具7、8を2回以上移動させて除去することもできる。この工程で除去された余剰塗料は、担持工程にて再利用することができる。
<乾燥工程及び体積制御工程>
乾燥工程は、余剰塗料を除去した繊維構造体を乾燥させる工程である。乾燥は、加熱乾燥及び自然乾燥(室温での送風乾燥も含む)のいずれでもよいが、加熱乾燥が好ましく、塗料化工程で使用した溶媒の沸点以上の温度で加熱乾燥する方法が好ましい。前記温度は溶媒の沸点(Tb)℃に対し、細孔構造を維持する観点から、好ましくは(Tb+10)℃以上、さらに好ましくは(Tb+20)℃以上であり、好ましくは(Tb+80)℃以下、さらに好ましくは(Tb+50)℃以下である。例えば溶媒として水を使用した場合、沸点100℃に対して、好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、溶媒としてイソプロピルアルコールを使用した場合、沸点82℃に対して、好ましくは92℃以上、さらに好ましくは102℃以上であり、好ましくは162℃以下、さらに好ましくは132℃以下である。この場合、同時に繊維構造体を圧縮して、細孔径及び細孔容量を調整することができる。即ち乾燥工程では、乾燥により溶媒が蒸発除去されることで繊維構造体中に隙間(細孔)が生じて空隙率が高くなるが、圧縮することで細孔径及び細孔容量を調整することができる。
上記のように圧縮して細孔容量を制御する際には、繊維構造体の面積を変化させることなく圧縮して、細孔容量を制御することが好ましい。例えば繊維構造体がシートであるとき、圧縮して、細孔容量を制御することが好ましい。圧縮して細孔容量を制御する際の繊維構造体の圧縮比(圧縮前の見かけの体積/圧縮後の見かけの体積)は1.0より大きく、2.5以下が好ましく、1.0より大きく、1.8以下がより好ましい。
<形状加工工程>
形状加工工程は、乾燥後の繊維構造体の形状を加工して、触媒繊維構造体を得る工程である。形状加工は、切断、変形などを含むものであり、用途に応じた形状にすることを意味する。加工する形状は、触媒繊維構造体の用途に応じて適宜決定されるものであり、ハニカム、円筒、シートを多重に巻いたものなどにすることができる。
<焼成工程>
形状加工工程の後、必要に応じて焼成工程を付加することができる。焼成工程は、繊維構造体が無機繊維および/又は金属繊維からなるものである場合に実施することができる。焼成工程を実施することにより繊維構造体の強度を高めることができる。焼成工程は、触媒繊維構造体を無機バインダーの脱水温度以上に加熱することによって行われる。無機バインダーの脱水温度とは、無機バインダーの表面自由水、付着水、構造水、結晶水などの脱水や、無機バインダーの表面水酸基からの縮合による脱水が起こる温度である。無機バインダーの脱水温度以上に加熱することによって、無機バインダーと触媒、繊維構造体が強固に結合される。焼成温度は触媒活性に悪影響を与えない範囲であればよく、使用される無機バインダーの種類に応じて選択することができる。例えば無機バインダーとしてコロイダルアルミナを用いる場合には、付着水が脱水する200℃以上が好ましく、構造水が脱水する400℃以上がさらに好ましい。例えば無機バインダーとしてコロイダルシリカを用いる場合には、付着水が脱水する400℃以上が好ましく、水酸基からの脱水が起こる500℃以上がさらに好ましい。
以下では本発明の好適な実施態様を示す。
<1>
触媒金属が繊維構造体に担持されてなる触媒繊維構造体であって、下記の要件(a)、(b)、及び(c)を全て満たす触媒繊維構造体。
(a)水銀圧入法を用いた測定により得られるLog微分細孔容量分布曲線の最大の細孔径を有するピークが0.1μm以上、100μm以下であり、
(b)前記ピークにおけるLog微分細孔容量が0.5mL/g以上であり、
(c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が0.05g/mL以上である
<2>
前記ピークが、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下であり、好ましくは1μm以上、70μm以下の範囲、より好ましくは10μm以上、50μm以下の範囲である<1>に記載の触媒繊維構造体。
<3>
前記最大の細孔径を有するピークにおけるLog微分細孔容量が、好ましくは0.7mL/g以上、より好ましくは1mL/g以上である<1>又は<2>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<4>
前記最大の細孔径を有するピークにおけるLog微分細孔容量が、好ましくは8mL/g以下、より好ましくは4mL/g以下、更に好ましくは3mL/g以下、より更に好ましくは2mL/g以下である<1>から<3>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<5>
要件(c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が好ましくは0.2g/mL以上、より好ましくは0.4g/mL以上である、<1>から<4>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<6>
要件(c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が好ましくは1.0g/mL以下、より好ましくは0.8g/mL以下、更に好ましくは0.7g/mL以下、より更に好ましくは0.6g/mL以下である、<1>から<5>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<7>
触媒繊維構造体の単位質量当たりの触媒金属の担持量が好ましくは0.01g/g以上,より好ましくは0.1g/g以上、更に好ましくは0.15g/g以上、より更に好ましくは0.2g/g以上、より更に好ましくは0.25g/g以上であり、好ましくは0.8g/g以下、より好ましくは0.6g/g以下、更に好ましくは0.5g/g以下、より更に好ましくは0.4g/g以下、より更に好ましくは0.35g/g以下である、<1>から<6>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<8>
触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属の担持量が、触媒金属として好ましくは0.01g/mL以上,より好ましくは0.1g/mL以上であり、好ましくは1.0g/mL以下、より好ましくは0.8g/mL以下、更に好ましくは0.6g/mL以下、より更に好ましくは0.4g/mL以下、より更に好ましくは0.3g/mL以下である、<1>から<7>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<9>
繊維構造体がシート状、布帛状又は布状であり、厚みは好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である、<1>から<8>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<10>
繊維構造体のかさ密度が、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは100kg/m以上、更に好ましくは150kg/m以上であり、好ましくは2400kg/m以下、より好ましくは1000kg/m以下、更に好ましくは500kg/m以下、より好ましくは300kg/m以下、より更に好ましくは250kg/m以下である、<1>から<9>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<11>
シート状、布帛状又は布状の構造体が、織物、編み物、織布又は不織布であり、好ましくは不織布である<10>記載の触媒繊維構造体。
<12>
繊維構造体が、無機繊維からなる<1>から<11>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<13>
無機繊維が、金属酸化物繊維、金属窒化物繊維、金属炭化物繊維、炭素繊維から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維である<12>記載の触媒繊維構造体。
<14>
金属酸化物繊維がシリカ繊維、アルミナ繊維、カルシア繊維、マグネシア繊維、アルミナ−シリカ繊維、カルシア−シリカ繊維、マグネシア−シリカ繊維、カルシア−マグネシア−シリカ繊維から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維である<13>記載の触媒繊維構造体。
<15>
繊維構造体が、金属酸化物繊維、ガラス繊維、炭素繊維から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維からなる、<12>記載の触媒繊維構造体。
<16>
繊維構造体が、アルミナ−シリカ繊維、カルシア−マグネシア−シリカ繊維、ガラス繊維から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維からなる、<12>記載の触媒繊維構造体。
<17>
繊維構造体がアルミナ−シリカ繊維とガラス繊維の組み合わせからなる、<16>記載の触媒繊維構造体。
<18>
繊維構造体が繊維シートである、<1>から<17>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<19>
触媒金属が、触媒金属化合物又は触媒前駆体、バインダー及び溶媒を混合した塗料を接触させることにより繊維構造体に担持されてなる、<1>から<18>のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
<20>
塗料中の触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの合計量中、触媒金属化合物又は触媒前駆体が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは73質量%以上、さらに好ましくは76質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは87質量%以下、さらに好ましくは83質量%以下であり、また、好ましくは70質量%以上90質量%以下、より好ましくは73質量%以上87質量%以下、さらに好ましくは76質量%以上83質量%以下である、<19>記載の触媒繊維構造体。
<21>
塗料中の触媒金属化合物又は触媒前駆体とバインダーの合計量中、バインダーが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは17質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは27質量%以下、さらに好ましくは24質量%以下であり、また、好ましくは10質量%以上30質量%以下、より好ましくは13質量%以上27質量%以下、さらに好ましくは17質量%以上24質量%以下である、<19>又は<20>に記載の触媒繊維構造体。
実施例および比較例における各数値の測定方法は、次のとおりである。
(1)要件(a)、(b)に係る測定
水銀圧入法の専用測定機として株式会社島津製作所製の水銀圧入式細孔分布測定装置(ポアサイザ9320)を用いることにより、孔径分布を測定した。触媒繊維構造体は、予め質量を測定しておき、水銀圧入法により触媒繊維構造体の孔径分布を測定した。水銀圧入法による孔径の測定は、下記の式を使って計算した。
D=−4γCOSθ/P
但し、式中でそれぞれD:孔径[m]、γ:水銀の表面張力[mN/m]、θ:接触角[°]、P:圧力[MPa]を示す。水銀の表面張力は482.536mN/mとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力0〜206.85MPaにて測定した。
孔径分布は、上記測定機を用いて、水銀に加える圧力を上記範囲で徐々に変化させ、その時に孔内に侵入した水銀の体積、即ち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した孔径Dと細孔容量との関係を描き、この関係曲線のLog微分係数dV/d(LogD)を求めて縦軸とし、孔径Dを横軸としてグラフ(図5参照)にすることで求めた。このグラフをLog微分細孔容量分布曲線と呼ぶ。孔径分布は、孔径6nm〜100000nmの範囲について測定した。なお、図5に示す細孔容量の単位である(mL/g)の(mL)は水銀の細孔への侵入量を示し、(g)は測定に使用した触媒繊維構造体サンプルの質量を示す。
本測定法にて測定される触媒繊維構造体の孔径分布曲線にピークが複数ある場合、最大の細孔径を有するピークをLog微分細孔分布曲線の最大ピーク(a)と定義する。最大ピークにおけるLog微分係数dV/d(LogD)の値を最大ピークにおけるLog微分細孔容量(b)と定義する。
(2)要件(c)に係る測定
単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量(c)は、以下の式で規定する。
触媒金属化合物及びバインダーの担持量[g/mL]=触媒金属化合物及びバインダーの担持質量[g]/触媒繊維構造体体積[mL]
但し、触媒金属化合物及びバインダーの担持質量[g]=焼成後の触媒繊維構造体質量[g]−担持工程前の触媒繊維構造体質量[g]であり、例えばシート状の場合は、触媒繊維構造体体積[mL]=触媒繊維構造体の面積[m]×触媒繊維構造体の厚み[m]である。触媒繊維構造体の厚みは定圧厚み測定器(株式会社テクロック製PG-11)を用い、定圧荷重0.363N、圧力0.363kPaで測定した。
単位質量当たりの触媒金属の担持量
触媒繊維構造体の単位質量当たりの触媒金属の担持量[g/g]は、蛍光X線分析装置 「リガクZSX100e」(リガク社製)を用いて定量した。
単位体積当たりの触媒金属の担持量
触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属の担持量は、以下の式に従って算出した。
触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属の担持量[g/mL]
=単位質量当たりの触媒金属の担持量[g/g]×触媒のかさ密度[kg/m]÷1000
なお、触媒のかさ密度は上記(1)に記載の水銀圧入式細孔分布測定装置によって測定した。
<塗料の粒度分布及び粘度>
塗料の分散粒子径はレーザー回折法による粒度分布を粒度分布測定装置(株式会社島津作所製SALD−300V)を用いて測定し、メディアン径を求めた。また塗料の粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社製TVE−25L、標準コーンロータ)を用い、塗料量2mL、回転数毎分20回転、1分後の値を測定した。
製造例1(触媒前駆体1の製造)
2Lセパラブルフラスコに、脱イオン水800g、Ni(NO・6HO 232gを仕込み、攪拌しながら80℃に昇温した。ここに、脱イオン水630gにJIS3号水ガラス33g、NaCO 113gを溶解して80℃に加熱した溶液を、攪拌しながら全量投入した。投入後、Mg(NO・6HO 24gを加え、生成したスラリーを80℃にて1時間攪拌した後、沈殿物を濾過、水洗を行い、110℃で乾燥して粉末状の触媒前駆体1を得た。得られた触媒前駆体1のNi含有量は76.1質量%であった。
製造例2(触媒金属酸化物2の製造)
コバルト対イットリウム対パラジウムの原子比が100:5:0.08である硝酸コバルト、硝酸イットリウム(n水和物)、硝酸パラジウムの混合水溶液と炭酸アンモニウム水溶液を室温で攪拌混合した。生じた沈殿物を十分水洗した後、110℃で乾燥した。乾燥後にコバルトに対しモリブデンの原子比が1/100となるモリブデン酸アンモニウムの水溶液を室温で攪拌混合しエバポレーターで蒸発乾固したのち600℃で4時間焼成を行い、触媒金属酸化物2(Co−Y−Pd−Mo酸化物)を得た。得られた触媒金属酸化物2は原子比が、Co/Y/Pd/Mo=100/3.9/0.08/1.5となっていた。
製造例3(触媒金属酸化物3の製造)
ステンレス容器に合成ゼオライトを仕込み、ついで硝酸銅と硝酸ニッケル及び塩化ルテニウムを各金属原子のモル比でCu:Ni:Ru=4:1:0.01となるように水に溶かしたものを入れ、撹拌しながら昇温した。90℃で10質量%炭酸ナトリウム水溶液をpH9〜10にコントロールしながら徐々に滴下した。1時間の熟成後、沈殿物を濾過・水洗後80℃で10時間乾燥し、600℃で3時間焼成して粉末状触媒を得た。得られた粉末状触媒における金属酸化物の割合は50質量%、合成ゼオライトの割合は50質量%であった。
実施例1
図1に示すフローに沿って触媒繊維構造体を製造した。繊維構造体としては、アルミナ−シリカ繊維とガラス繊維からなるシート(MCペーパー、日本板硝子株式会社製、50mm×50mm、厚み1.0mm、かさ密度180kg/m、細孔径23μm、単位質量あたりの細孔容量4.4mL/g、空隙率92%)を使用した。
<塗料化工程>
製造例1で得た粉末状触媒前駆体1 11.2g、バインダーとしてシリカゾル(スノーテックス(登録商標)ST−20、日産化学工業株式会社製、固形分20%)14.0g、溶媒として脱イオン水6.4g、分散剤としてポリカルボン酸系高分子界面活性剤(カオーセラ(登録商標)2100、花王株式会社製)3.4gを50mLのポリ容器に封入し、粉末の塊がなくなるまで容器を上下左右に振とうすることによって予備混合した。
次に、薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス40−40型、プライミクス株式会社製)を用いて、周速30m/s、30秒間分散処理し、触媒前駆体とバインダーの固形分40質量%の触媒前駆体塗料を得た。触媒前駆体とバインダーの固形分質量比率は、80/20であった。この触媒前駆体塗料は、レーザー回折法による粒度分布を測定したとき、最大ピークは500nmであった。
<担持工程>
前記塗料化工程で得た固形分40質量%の触媒前駆体塗料を、固形分が20質量%になるように脱イオン水で希釈し、シャーレ(φ86mm, 高さ14mm)内に満たし、前記繊維構造体を150秒浸漬させ、その後担持の片寄りをなくしより均一に担持するために上下を裏返し、さらに150秒浸漬させ、計300秒浸漬させた。
<余剰塗料の除去工程>
触媒前駆体塗料を含浸させた繊維構造体13をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされたステンレス製のプレート(230mm×230mm、厚み1.5mm、686g)の上に乗せ、繊維構造体13の表面に除去具7(ステンレス製のプレート、厚み0.5mm、幅75mm)を垂直に当接させた状態で、除去具7の質量による34kPaの圧力で一端側から他端側に除去具を1回だけ移動させて、繊維構造体表面に付着している余剰触媒前駆体塗料を除去し、さらに繊維構造体13の表裏を反転させて同様の操作を実施し、繊維構造体23を得た。
<乾燥工程>
繊維構造体23を、前記PTFEでコーティングされたステンレス製のプレート上で、120℃で60分間乾燥した。
<形状加工工程>
次に、トムソン刃を使用して、繊維構造体(50mm×50mm×1.0mm)の40mm×40mmの範囲内が、20mm×5mmの大きさで16分割されるように切断した。
<焼成工程>
空気雰囲気下で400℃、5時間焼成することで触媒繊維構造体を得た。
実施例2
担持工程において触媒前駆体塗料固形分を30質量%に希釈した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例3
担持工程において触媒前駆体塗料固形分を希釈せずに触媒前駆体塗料を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例4
塗料化工程において、粉末状触媒前駆体13.3g、バインダー16.6g、溶媒として脱イオン水1.1g、分散剤4.0gとし、触媒前駆体塗料固形分を48質量%とした以外は実施例3と同様に実施した。
実施例5
塗料化工程において、粉末状触媒前駆体12.0g、バインダー9.8g、溶媒9.5g、高分子界面活性剤3.6gとし、触媒とバインダーの固形分質量比率を86/14とした以外は、実施例3と同様に実施した。
実施例6
繊維構造体として、アルミナ−シリカ繊維からなるシート(イソウール(登録商標)1260エースペーパー、イソライト工業株式会社製、50mm×50mm、厚み2.5mm、かさ密度160kg/m)を使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例7
塗料化工程において粉末状触媒前駆体1 10.5g、バインダーとしてシリカゾル(スノーテックス(登録商標)ST−20、日産化学工業株式会社製、固形分20%)13.1g、溶媒として脱イオン水8.2g、分散剤として高分子界面活性剤(カオーセラ(登録商標)2100、花王株式会社製)3.2gを用い、余剰塗料の除去工程を実施しなかった以外は実施例3と同様に実施した。
実施例8
乾燥工程において、繊維構造体の上下をそれぞれ前記PTFEコーティングされたステンレス製のプレートで拘束し、120℃で5分間、0.5MPaの圧力で熱プレス(LaboPressP2−30T、株式会社東洋精機製作所製)して、圧縮比(圧縮前の厚み/圧縮後の厚み)1.3に体積制御した以外は、実施例3と同様に実施した。
実施例9
繊維構造体として、カルシア−マグネシア−シリカ繊維からなるシート(スーパーウール607、新日本サーマルセラミックス社製、50mm×50mm、厚み1.0mm、かさ密度210kg/m、細孔径58μm、単位質量あたりの細孔容量3.6mL/g、空隙率72%)を使用し、固形分が10質量%になるよう希釈した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例10
繊維構造体の厚みを3.0mmとし、圧縮比を2.0とした以外は、実施例8と同様とした。
実施例11
担持工程において触媒前駆体塗料固形分を10質量%に希釈した以外は、実施例1と同様に実施した。
試験例1
実施例1〜6、8〜11の各々で得られた触媒繊維構造体を以下のように活性化し、油脂中の硫黄化合物の分解反応を行うことによって触媒繊維構造体の性能を評価した。
<気相還元>
触媒繊維構造体を雰囲気炉(株式会社モトヤマ製MBA−2040D−SP)を用いて、450℃、4%水素雰囲気下で5時間処理し、続いて25℃、1%酸素雰囲気下で8時間処理し、気相還元を行った。
<液相還元>
触媒繊維構造体中のNi金属量が0.3gとなるように500mLのオートクレーブに充填し、ラウリルアルコール200g中で、200℃、1.0MPa水素雰囲気下、オートクレーブ撹拌数900rpm、2時間、液相還元処理を実施した。
<分解反応>
容量500mLのオートクレーブ中に、Ni金属量が0.3gとなるように触媒繊維構造体を充填し、原料にはパーム核油の原油を用い、170℃、2.0MPa、水素流量5NL/分、4時間で反応を行った。ここで用いた反応装置及び反応条件を図6(a)に示す。各例とも同じ時間だけ反応を行い、反応終了時における硫黄化合物濃度(到達硫黄化合物濃度)を求めて評価した。なお、使用した原料の硫黄化合物濃度は3.5ppmである。
反応物中の硫黄化合物量(到達硫黄化合物濃度)は、低濃度硫黄分析計(製品名:9000LLS、ANTEK社製)を用い、燃焼温度を1050℃とし、UV検出器の電圧を840Vに設定して分析を行い測定した。
実施例12
製造例2で得た粉末状触媒金属酸化物2 5.6g、バインダーとしてジルコニアゾル(ZR−30BS、日産化学工業株式会社製、固形分30%)4.7g、溶媒24.7gを用い、焼成温度を600℃とし、実施例7と同様にして触媒繊維構造体を得た。
試験例2
実施例12の触媒繊維構造体を以下のように活性化し脂肪酸中の硫黄化合物の分解反応を行った。
<気相還元>
触媒繊維構造体を雰囲気炉(株式会社モトヤマ製MBA−2040D−SP)を用いて、600℃、4%水素雰囲気下で5時間処理し、続いて25℃、1%酸素雰囲気下で8時間処理し、気相還元を行った。
<分解反応>
容量500mLのオートクレーブ中に、Co金属量が0.9gとなるように触媒繊維構造体を充填し、原料にはアルキル鎖長8〜18の混合脂肪酸を用い、230℃、24.5MPa、水素流量5NL/分、4時間で反応を行い、反応終了時における硫黄化合物濃度(到達硫黄化合物濃度)を求めて評価した。なお、使用した原料の硫黄化合物濃度は0.8ppmである。またここで用いた反応装置は図6(a)と同様のものである。
実施例13
粉末状触媒前駆体1 8.4g、バインダー10.5g、溶媒13.6g、高分子界面活性剤2.5gとした以外は、実施例7と同様にして触媒繊維構造体を得た。
試験例3
実施例7と13で得られた触媒繊維構造体を、以下のように活性化しメチルエステル中の硫黄化合物の分解反応を行った。
<気相還元>
触媒繊維構造体を雰囲気炉(株式会社モトヤマ製MBA−2040D−SP)を用いて、450℃、4%水素雰囲気下で5時間処理し、続いて25℃、1%酸素雰囲気下で8時間処理し、気相還元を行った。
<液相還元>
Ni金属量が0.3gとなるように触媒繊維構造体を500mLのオートクレーブに充填し、パーム核油由来の脂肪酸メチルエステル(蒸留品)200g中で、200℃、1.0MPa水素雰囲気下、オートクレーブ撹拌数900rpm、2時間、液相還元処理を実施した。
<分解反応>
容量500mLのオートクレーブ中に、Ni金属量が0.3gとなるように触媒繊維構造体を充填し、原料にはパーム核油由来の脂肪酸メチルエステルの蒸留品とパーム核油由来の脂肪酸メチルエステルの蒸留ピッチを用い、135℃、24.5MPa、水素流量5NL/分、4時間で反応を行い、反応終了時における硫黄化合物濃度(到達硫黄化合物濃度)を求めて評価した。なお、使用した原料の硫黄化合物濃度は2.3ppmである。またここで用いた反応装置は図6(a)と同様のものである。
実施例14
製造例1で得られた粉末状触媒前駆体1 36g、バインダーとしてシリカゾル スノーテックス ST−20(スノーテックス(登録商標)ST−20、日産化学工業株式会社製、固形分濃度:20質量%)45g、溶媒として脱イオン水58.5g、イソプロピルアルコール10.5gを、250mLのポリ容器に封入し、試験用分散機(株式会社東洋精機製作所製、JIS K5101−1−2に準拠)を用い、分散媒体として直径0.8mmのチタニアビーズ160gを用いて30分間処理し、粉末状触媒を含む固形分30質量%の触媒塗料を得た。触媒粉末とバインダーの固形分質量比率は、80/20であった。この触媒塗料は、レーザー回折法による粒度分布を測定したとき、最大ピークは1μmであった。
前記塗料化工程で得た固形分30質量%の触媒塗料を、シャーレ(φ86mm, 高さ14mm)内に満たし、カルシア−マグネシア−シリカ繊維からなるシート(スーパーウール607、新日本サーマルセラミックス社製、10mm×2.5mm、厚み1.0mm、かさ密度210kg/m、細孔径58μm、単位質量あたりの細孔容量3.6mL/g、空隙率72%)を浸漬させ、150秒で上下を裏返し、さらに150秒浸漬し、計300秒浸漬させた。その後、空気雰囲気、大気圧下で、400℃、2時間焼成処理を行って触媒繊維構造体を得た。
実施例15
塗料化工程を以下のように実施し、余剰塗料の除去工程を実施しなかった以外は実施例1と同様に実施した。
<塗料化工程>
酸化銅含有粉末状触媒(KC-1H、堺化学工業株式会社製)48g、バインダーとしてシリカゾル スノーテックス ST−CM(スノーテックス(登録商標)ST−CM、日産化学工業株式会社製、固形分濃度:30質量%)33g、溶媒として脱イオン水212g、分散媒体として直径2.0mmのジルコニアビーズ450gを500mLのポリ容器に封入し、ボールミル(ANZ−51S、日陶科学株式会社製)を用いて回転数120rpmで24時間処理し、粉末状触媒を含む固形分30質量%の触媒塗料を得た。触媒粉末とバインダーの固形分質量比率は、80/20であった。この触媒塗料は、レーザー回折法による粒度分布を測定したとき、最大ピークは1.7μmであった。
試験例4
実施例15で得られた触媒繊維構造体を、アルコールの脱水素反応を行うことによって性能を評価した。
<液相還元>
触媒繊維構造体中のCu金属量が0.025gとなるように1000mLのセパラブルフラスコに充填し、ドデシルアルコール250g中で、220℃、水素雰囲気下、撹拌数200rpm、2時間、液相還元処理を実施した。
<脱水素反応>
触媒繊維構造体中のCu金属量が0.025gとなるように1000mLのセパラブルフラスコに充填し、ドデシルアルコール250g中で、220℃、窒素雰囲気下、撹拌数200rpmで脱水素反応を行った。反応開始後60分時のドデシルアルデヒド生成率を求めて評価した。
実施例16
製造例3で得られた触媒金属酸化物3 70g、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480,不揮発分58質量%)40.2g、溶媒として2−ブタノン123.1gを250mLのポリ容器に封入し、試験用分散機(株式会社東洋精機製作所製、JIS K5101−1−2に準拠)を用い、分散媒体として直径1.0mmのジルコニアビーズ250gを用いて60分間処理し、粉末状触媒を含む固形分40質量%の触媒塗料を得た。触媒粉末とバインダーの固形分質量比率は、80/20であった。この触媒塗料は、レーザー回折法による粒度分布を測定したとき、最大ピークは1.6μmであった。
前記塗料化工程で得た固形分40質量%の触媒塗料を、シャーレ(φ86mm、高さ14mm)内に満たし、アルミナ−シリカ繊維とガラス繊維からなるシート(MCペーパー、日本板硝子株式会社製、50mm×50mm、厚み1.0mm、かさ密度180kg/m3、細孔径23μm、単位質量あたりの細孔容量4.4mL/g、空隙率92%)を浸漬させ、150秒で上下を裏返し、さらに150秒浸漬し、計300秒浸漬させた。その後、空気雰囲気、大気圧下で、290℃、90分間焼成処理を行って触媒繊維構造体を得た。
試験例5
実施例16で得られた触媒繊維構造体を、アルコールのアミノ化反応を行うことによって性能を評価した。
<アミノ化反応>
触媒繊維構造体中の粉末状触媒の量が11.6gとなるように2000mLのセパラブルフラスコに充填し、ドデシルアルコール917gを入れ、水素ガスを供給しながらジメチルアミンの供給を開始し、220℃で一定に保持した。サンプルを経時的に採取し、ガスクロマトグラフにて分析を行い、反応時間120分後のN,N−ジメチルドデシルアミンの生成率を求めて評価した。
比較例1
製造例1で得た触媒前駆体1を、アルミナをバインダーとして3質量%加え、ヌードル状に成形したものを触媒繊維構造体に替えて用い、試験例1と同様に評価した。
比較例2
酸化銅含有ペレット状触媒(ST-301H−33、堺化学工業株式会社製)0.07gを用いた以外は、試験例4と同様に実施した。
比較例3
製造例3で得た粉末状触媒金属酸化物3を、シリカをバインダーとして3質量%加え、ペレット状に成形したものを触媒繊維構造体に替えて用い、試験例5と同様に評価した。
<反応容器における充填性と性能>
反応容器における充填性と性能を、固定床連続方式によって評価した。
試験例6
実施例14で得られた触媒繊維構造体を、充填部分の見掛けの体積が12mLとなるように内径13mmの反応管に充填し、固定床連続方式で脂肪酸エステル(硫黄濃度=2.6mg/g)の脱硫実験を行った。原料には、精製パーム核油を用い、反応条件は20MPa、155℃、原料流量:54g/h(液空間速度LHSV=5(1/h))、水素流量:132NL/hとした。反応終了時における硫黄化合物濃度(到達硫黄化合物濃度)を求めて評価し、また活性触媒金属質量当たりの脱硫活性を以下のように定義した。
脱硫活性=Log{(吸着脱硫処理前の硫黄濃度)/(吸着脱硫処理後の硫黄濃度)}/(充填Ni質量/充填部分の見掛けの体積) ここで「Log」は自然対数を表す。ここで用いた反応装置及び反応条件を図6(b)に示す。
試験例7
比較例1で得られたペレット状触媒構造体を用いた以外は試験例6と同様に実施した。
表1に、実施例及び比較例における触媒繊維構造体の構成を、余剰塗料除去工程及び体積制御工程の有無と共にまとめて示す。また表2に、実施例1〜14及び比較例1で得られた触媒繊維構造体における要件(a)〜(c)と、到達硫黄化合物濃度について示す。表2には併せて、実施例15及び比較例2で得られた触媒繊維構造体における要件(a)〜(c)と60分後のアルデヒド生成率、並びに実施例16及び比較例3で得られた触媒繊維構造体における要件(a)〜(c)と120分後のN,N−ジメチルドデシルアミン生成率を示す。
試験例6及び7による、実施例14及び比較例1の固定床連続反応装置での脱硫活性の評価結果を表3に示す。固定床反応においても、本発明による実施例は、比較例と比べて、触媒吸着剤中活性触媒金属質量当たりの脱硫活性が向上している。またそれだけでなく、活性残存率も向上している。
Figure 0006595882
Figure 0006595882
Figure 0006595882
表1から表3より、本発明の要件を満たす実施例1〜16は、反応物質との接触がし易く反応性が良い。一方、比較例1〜3は本発明の要件を満たす細孔を有しないため反応性が悪く、反応容器あたりの性能を高くすることができなかった。
以上より、本発明の要件を満たす触媒繊維構造体は、反応物質との接触がし易く反応性が良く、反応容器の体積あたりより多くの触媒を充填でき、反応容器あたりの性能を高くできた。

Claims (7)

  1. 触媒金属が繊維構造体に担持されてなる触媒繊維構造体であって、下記の要件(a)、(b)、及び(c)を全て満たす触媒繊維構造体。
    (a)水銀圧入法を用いた測定により得られるLog微分細孔容量分布曲線の最大細孔径を有するピークがμm以上、70μm以下であり、
    (b)前記ピークにおけるLog微分細孔容量が0.5mL/g以上であり、
    (c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が0.05g/mL以上である
  2. 前記ピークが10μm以上、70μm以下である請求項1に記載の触媒繊維構造体。
  3. 前記ピークにおけるLog微分細孔容量が、0.7mL/g以上である請求項1又は2に記載の触媒繊維構造体。
  4. (c)単位体積当たりの触媒金属化合物及びバインダーの担持量が0.2g/mL以上、1.0g/mL以下である、請求項1から3のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
  5. 触媒繊維構造体の単位体積当たりの触媒金属の担持量が0.1g/mL以上0.6g/mL以下である、請求項1から4のいずれかに記載触媒繊維構造体。
  6. 前記繊維構造体が、シリカ繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維、及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組み合わせからなる混合繊維からなる、請求項1から5のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
  7. 前記繊維構造体が繊維シートである、請求項1から6のいずれかに記載の触媒繊維構造体。
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