JP5086022B2 - フィルム状触媒 - Google Patents

フィルム状触媒 Download PDF

Info

Publication number
JP5086022B2
JP5086022B2 JP2007260136A JP2007260136A JP5086022B2 JP 5086022 B2 JP5086022 B2 JP 5086022B2 JP 2007260136 A JP2007260136 A JP 2007260136A JP 2007260136 A JP2007260136 A JP 2007260136A JP 5086022 B2 JP5086022 B2 JP 5086022B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
film
reaction
catalyst layer
powdered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007260136A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008110340A (ja
Inventor
邦夫 松井
徹 西村
雅安 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2007260136A priority Critical patent/JP5086022B2/ja
Publication of JP2008110340A publication Critical patent/JP2008110340A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5086022B2 publication Critical patent/JP5086022B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、気液反応用等の触媒として適しているフィルム状触媒に関する。
化学工業における化学プロセスでは、広く固体触媒を利用したプロセスが採用されてきた。この方法では、触媒は微細な粒子形状をした粉末状触媒がよく用いられ、反応釜に直接添加して反応させる。粉末状触媒を利用した反応プロセスにおいては、反応物と触媒との混合を効果的に行うための攪拌等の技術が必要になる。また反応終了後、生成物から触媒の除去を必要とし、設備および運転が複雑になるという問題があった。またこの系では、多量の濾過助剤が添加されるが、触媒が粒子であるため濾過時間が長く、かつ濾過助剤が多くの反応物を吸着して反応収率を低下させる原因となっている。
ゼオライト等の多孔質担持体に粉末状触媒を担持させて粉体粒子サイズを大きくすることによって、微粒子粉体の濾過性を改善して濾過時間を短縮することができるが、この場合も、設備および運転が複雑になる問題、多量の濾過助剤を必要とする問題は解決できない。
これに対し、攪拌等による触媒の混合操作を必要とせず、また触媒の濾過分離も不要なプロセスとして固定床方式が挙げられる。固定床方式で用いられる固体触媒の新規形態としてのフィルム状触媒が、特許文献1に開示されている。これはアミンの製造方法において、厚み100μm以下のフィルム状触媒を用いることで、反応選択性に優れたアミンの3級化を行ったものである。
WO2005/035122号
特許文献1に開示されたフィルム型触媒は、触媒活性がよく、触媒の脱落量も少ない点で優れた発明である。
本願発明は、特許文献1に開示された発明をさらに改良したものであり、反応活性が高く、触媒の脱落量が少ないフィルム状触媒を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、
請求項1として、支持体上に、粉末状触媒およびバインダーを含む触媒層が形成されたフィルム状触媒であって、前記触媒層が、水銀圧入法で測定される2以上の異なるモード値を持つ孔径分布を有していることを特徴とするフィルム状触媒;
請求項2として、水銀圧入法で測定される2以上の異なるモード値の内、最大のモード値tと該モード値tとは異なるモード値tが、次式(I):
≦0.2×t (I)
で示される関係を満たしている、請求項1記載のフィルム状触媒;
請求項3として、モード値tが20nm〜250μmである、請求項2記載のフィルム状触媒;
請求項4として、モード値tが4〜50nmである、請求項2又は3に記載のフィルム状触媒;
請求項5として、前記触媒層に含有される粉末状触媒が、触媒活物質が多孔性材料に担持されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム状触媒;
請求項6として、前記触媒層の厚みが100μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム状触媒;
請求項7として、ハニカム構造体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム状触媒;
請求項8として、気液反応の触媒として使用する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルム状触媒の各発明を提供する。
本発明において、「粉末状触媒」は、触媒活性を有する粉末状のものを意味する。また、「フィルム状触媒」は、支持体の形状がフィルム状に限定されるものではなく、形成した触媒層の厚みが薄いものであることを意味する。
本発明のフィルム状触媒は、十分な反応活性を有し、副生物量も少なく、支持体からの触媒層の剥離強度が大きいので、触媒層からの触媒の脱落量も少ない。
<フィルム状触媒>
本発明のフィルム状触媒は、支持体の一面又は両面に、粉末状触媒およびバインダーを含む触媒層を有するものである。
触媒層中の粉末状触媒およびバインダーの割合は、製造時に用いた塗料組成物の組成と実質的に一致しており、両成分の合計量中、粉末状触媒が好ましくは60〜90質量%(より好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは70〜85質量%)であり、バインダーが好ましくは10〜40質量%(より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%)である。
本発明のフィルム状触媒は、前記触媒層が、水銀圧入法で測定される(詳細な測定方法は実施例に記載)2以上の異なるモード値を持つ孔径分布を有しているものである。
ここで本明細書でいうモード値とは、孔径分布(例えば図4)の各ピーク値(例えば図4のPt、Pt等)に対応する細孔径(例えば前記ピーク値Ptに対してはt、またPtに対してはt)のことをいう。ここで、明らかに測定器のノイズとわかるデーター(例えば図4における、細孔径が0.03〜0.05μm、及び0.6μm以上の場合)を含まずに各ピーク値を求める。
本発明のフィルム状触媒は、触媒層における水銀圧入法で測定される2以上の異なるモード値の内、最大のモード値tと該モード値tとは異なるモード値tが、次式(I):t≦0.2×t (I)で示される関係を満たしていることが好ましい。
本発明のフィルム状触媒の触媒層が式(I)を満たすことは、触媒層の層構造に起因するものである。以下、図面により、本発明のフィルム状触媒における触媒層の層構造と式(I)の関係を説明する。
図1は、本発明のフィルム状触媒における触媒層の層構造を示す、厚さ方向に切断した場合の概念図であり、図2は、図1において四角で囲んだ部分の拡大図であり、図3は、図2において四角で囲んだ部分の拡大図である。
また、図4は、水銀圧入法にて測定した2以上の異なるモード値を持つ孔径分布を示す図であり、図4中のtは孔径分布の内、最大のモード値を、t2は該モード値tとは異なるモード値を示している。図5は、モード値の求め方を説明するための図である。
図1に示すとおり、フィルム状触媒1は、支持体2の両面に触媒層3を有している(触媒層3は、支持体2の片面のみでもよい)。図2に示すとおり、触媒層3は、粉末状触媒4と粉末状触媒4の周囲を覆うバインダー5を含んでおり、複数の粉末状触媒4(および粉末状触媒4の周囲を覆うバインダー5)間には、図中、破線で囲んで示すような間隙6が存在している。さらに図3に示すとおり、粉末状触媒4の周囲を覆うバインダー5には、図中、破線で囲んで示すような孔7が存在しており、孔7の部分では、粉末状触媒4はバインダー5で覆われておらず、表面が露出している。
そして、図4に示すt(孔径分布の内、最大のモード値)は、触媒層における粉末状触媒粒子間に存在する空隙構造(間隙6)に由来するピークであり、t(tとは異なるモード値)は、粉末状触媒表面に存在する樹脂(バインダー)が部分的に欠落した孔構造(孔7)に由来するピークであると考えられる。
本発明のフィルム状触媒では、触媒層が図1〜図3に示したような層構造を有しているため(好ましくは式(I)を満たすことができるため)、ある反応の触媒としてフィルム状触媒を用いたとき、粉末状触媒粒子間に空隙構造が存在するため、触媒層の最深部までの反応物質の移動を容易にすることができる。
さらに粉末状触媒表面に存在する樹脂(バインダー)が部分的に欠落した孔構造が存在することで、粉末状触媒表面が露出し、移動してきた反応物質との接触する確率が飛躍的に向上し、該表面での化学反応が促進される。また、露出した触媒表面から樹脂(バインダー)の部分的に欠落した孔構造を通じて、粉末状触媒粒子間の空隙構造へ、さらには触媒層外へ、反応生成物がスムーズに移動することを可能にし、反応物質および反応生成物の移動を飛躍的に容易にすることを可能としている。
加えてこのようなスムーズな物質の移動を容易にすることにより、触媒層内で反応生成物の過反応を抑制することができ、副生物の生成を抑制し、選択性を向上することができる。すなわち、高い反応活性と反応選択性を両立できる層構造の特徴が、本発明において明らかとなった。
以上の理由により、フィルム状触媒の触媒層中に含まれる粉末状触媒と反応物質との接触する確率が非常に高くなる。その結果、実施例において明らかにしたとおり、高い反応活性と選択性が発現できるものと考えられる。
本発明のフィルム状触媒では、式(I)で示される関係をt/tで表したとき、t/tの値が、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1以下であることにより、さらに高い反応活性を発現できる。
本発明のフィルム状触媒では、高い反応活性を発現できる観点から、モード値tが20nm〜250,000nm(250μm)であることが好ましく、100nm〜100,000nm(100μm)であることがより好ましく、さらに好ましくは200nm〜50,000nm(50μm)である。また、本発明のフィルム状触媒では、同様の観点から、モード値tが4〜50nmであることが好ましく、より好ましくは4〜30nmである。
/t下限値は、tの好ましい上限値が250μmであることと、tの好ましい下限値が4nmであることを考慮すると1.6×10−5である。
なお、図5に示すようにモード値がはっきり認識できない場合は、プロットの接線の交点をモード値とする。
本発明のフィルム状触媒は、高い反応活性を発現できる観点及び副生物量の低減の観点から、触媒層の厚みが500μm以下であるものが好ましく、より好ましくは触媒層の厚みが100μm以下、さらに好ましくは50μm以下のものである。また、同様の観点から、単位面積当たりの触媒担持量は、0.5〜100g/mが好ましく、より好ましくは1〜60g/m、さらに好ましくは10〜30g/mである。
本発明のフィルム状触媒は、平板状であるフィルム状触媒とこれを形状加工して得られた波板状フィルム状触媒を何層も積み重ねて構造体としたもの(図6参照)、流通式反応器に用いることができる管内壁面上に触媒層を形成したもの(図8参照)、管内を複数の軸方向流通路に間仕切る薄板状構造物の表面に触媒層を形成したもの、槽型反応器に用いることができる槽内部に設置された開放型フィン状平板の表面に触媒層を形成したもの等にすることができる。
いずれのものにおいても、一部に触媒層を形成していない部材で構成した構造体であってもよい。また、触媒層に対する反応物の供給と触媒層からの生成物の回収が容易に行うことができる構造をとることが好ましい。さらに、反応器に設けるフィルム状触媒の触媒層表面積をできるだけ大きくすることが、反応を効率よく進行させる上で望ましい。また、反応物、生成物の移動を容易にするための流路としての空間が設けられていることが望ましく、この流路の保持、触媒全体の強度確保のために、フィルム触媒同士を接着することも好ましい。
上記要件を達成するため、内径数mm〜数十mmの管を束ねた集合体や、セル密度が1平方cmあたり数〜200セルのハニカム構造体の内壁面上に触媒層を設けたもの等を用いることができる。
本発明のフィルム状触媒は、含有される粉末状触媒の選択によって種々の反応に適用することができ、とりわけ液相での反応に使用される粉末状触媒を適用した場合には、得られたフィルム状触媒をそのままその反応に適用しても、反応物および生成物の拡散性を損うことがなく、また反応器内の温度環境に適応できるので好ましく、特に気液反応の触媒として適している。
例えば、オレフィンの酸化、アルコールの酸化、オレフィンの異性化、芳香族類の異性化、カルボニル化、エステルの水素化、好ましくは脱水素反応、水素付加反応に用いることができ、これら脱水素反応、水素付加反応をも伴うアルコールと1級アミン又は2級アミンから3級アミンを製造するアミノ化反応にも適用できる。
<フィルム状触媒の製造方法>
本発明のフィルム状触媒の製造方法は、
粉末状触媒、バインダーおよび溶媒を含む塗料組成物の調製工程、
支持体上に前記塗料組成物を塗布・製膜して触媒中間体を製造する工程、
その後、常温で乾燥(養生)するか、必要に応じて、乾燥および硬化工程、形状加工工程、最終加熱処理工程を例えばこの順序で設けて、各工程の処理をすることで製造することができる。上記工程は適宜、各工程順を入れ替えたり、外したりすることができる。以下、工程ごとに説明する。
(塗料組成物の調製工程)
本発明のフィルム状触媒の製造に用いる塗料組成物は、次のようにして調製することができる。
塗料組成物に含まれる粉末状触媒は、触媒活物質又は触媒活物質が多孔性材料に担持されたものを用いることができる。
触媒活物質としては、適用される化学反応に有効な成分であればよく、Ag,Au,Cu,Ni,Fe,Al、第4周期遷移金属元素、白金族元素、周期律表の3A属元素、アルカリ金属類、アルカリ土類金属等の金属元素およびその金属酸化物等を挙げることができる。
多孔性材料は、触媒活物質を担持する触媒担体となるもので、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、チタニア、シリカ−アルミナ、珪藻土等を挙げることができ、これらより選ばれる一種以上の多孔性材料が好ましく使用できる。より好ましくは高表面積を有する多孔性材料が使用でき、その他にもモレキュラーシーブ等を使用できる。
触媒担体に触媒活物質を担持させる方法としては、通常の含浸法、共含浸法、共沈法、イオン交換法等の公知の方法が適用できる。
粉末状触媒は、高い反応活性を発現できる観点及び副生物量の低減の観点から、平均粒径で0.01〜500μmのものが好ましく、より好ましくは0.5〜150μm、さらに好ましくは1〜50μmの粒子径を有するもので、その分布がシャープなものが好ましい。さらにBET法による比表面積が同様の観点から、1〜500m/gのものが好ましく、より好ましくは5〜200m/g、さらに好ましくは10〜100m/gのものである。
塗料組成物中の粉末状触媒の含有割合は、高い反応活性を発現できる観点及び副生物量の低減の観点から、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは70〜85質量%である。
塗料組成物に用いられるバインダーは、粉末状触媒同士および支持体表面への結着性に優れ、且つ反応環境に耐え、反応系に悪影響を与えないものが好ましい。このようなバインダーとしては、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ四フッ化エチレンやポリフツ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等の種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が用いられ、これら合成樹脂に硬化剤による架橋反応を導入することでより高分子化が図られるものも用いることができる。なかでもフェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、より好ましくは硬化時に縮合反応を伴う熱硬化性樹脂を用いることができる。
バインダーとして熱硬化性樹脂を用いると、硬化反応による架橋密度の向上から塗膜強度、結着性が向上し、さらに縮合反応による触媒塗膜の多孔化から粉末状触媒のもつ触媒活性を有効に引き出すことができる。
本発明の製造方法で得られたフィルム状触媒をアルコールと1級アミン又は2級アミンから3級アミンを製造する反応に用いる場合、粉末状触媒とバインダーとの好ましい組合せの一例として、銅−ニッケル−ルテニウム3元系の粉末状触媒とフェノール樹脂との組合せを挙げることができる。
塗料組成物中のバインダーの含有割合は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
粉末状触媒とバインダーの含有割合を所定範囲内とすることにより、粉末状触媒の露出度をコントロールすることができるようになり、さらに粉末状触媒が本来有している触媒活性能を引き出すことができ、触媒層の脱落性も改善することができる。具体的には、図1〜図3に示すとおり、粉末状触媒の表面において、バインダーで被覆された部分と被覆されていない部分が存在するようにコントロールすることができるため、前記した効果が発現できる。
バインダーの含有割合が40質量%以下であると、粉末状触媒の表面を覆うバインダーの厚みあるいは図3に示すようなバインダーの被覆状態が適度となり、粉末状触媒のもつ触媒活性が十分に発揮される結果、高い触媒活性を示すことができる。バインダーの配合割合が10質量%以上であると、触媒活性が十分に発現し、粉末状触媒同士または粉末状触媒−支持体間の結着力が向上し、フィルム状触媒の製造プロセス中および反応運転中に触媒層が剥離したり一部が脱落する量が抑制される。
塗料組成物では、粉末状触媒、バインダーに加えて、粉末状触媒表面の塗れ性を改善するとともに、バインダーを溶解し、これら配合物の混合・均一化を促進するために溶媒を用いる。
溶媒は、粉末状触媒の触媒活性に悪影響を与えないものであればよく、使用されるバインダーの種類に応じて、水溶性または非水溶性の各種のものを選択することができ、この溶媒の選択によってフィルム状触媒の細孔構造をコントロールすることができる。また溶媒は、バインダーの溶解性が良好なものが好ましく、また2種以上の溶媒を組み合わせて使用しても良く、使用したバインダーに合わせた溶媒の選択によって、触媒層の細孔構造を制御することができる。
溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のグリコールないしその誘導体類;グリセロール、グリセロールモノエチルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のグリセロールないしその誘導体類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分水添されたトリフェニル等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロジフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素類、ダイルロル(ダイキン工業(株)製)、デムナム(ダイキン工業(株)製)等のふっ化物類、安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等のエステル化合物類、そのほかジメチルホルムアミド、N−メチル−ピロリドン、アセトニトリル、エチルアセテート等を挙げることができる。
塗料組成物には、上記各成分のほかに、分散助剤として界面活性剤やカップリング剤、骨材として無機粒子、繊維状物質等、多孔化助剤として高沸点溶媒等を配合することができる。カップリング剤は、無機フィラーと有機のポリマーマトリックスとの間の界面に分子架橋を行い、物性を改善する効果がある。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびアルミネート系カップリング剤として一般に知られたものが使用でき、複数のカップリング剤を組み合わせて配合してよく、濃度調整のために相溶性のある有機溶媒で希釈して用いてもよい。
繊維状物質としては、有機繊維又は無機繊維が用いられる。有機繊維としては、ポリアミド系のナイロン6、ナイロン66やアラミッド繊維、ポリビニルアルコ−ル系繊維、ポリエステル系のポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト繊維、ポリアリレ−ト繊維、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系のポリエチレンやポリプロピレン繊維等を挙げることができる。また有機繊維には、有機再生繊維が含まれ、セルロ−ス系のレ−ヨン、アセテ−ト等を挙げることができる。無機繊維としては、ガラス繊維や炭素繊維、活性炭素繊維、セラミック繊維等を用いることができる。前記各繊維を配合することにより、骨材効果の発現により触媒層の機械強度(塗膜強度)を向上させることができる。
塗料組成物の調製は、各成分を均一に混合できる方法であれば特に制限されないが、本発明においてはメディア型ミルやペントシェーカーを用いて調製することが好ましい。メディア型ミルを使用することにより、その構造、機構から、上記した塗料組成物を構成する各成分を均一に処理することができるため、粉末状触媒の粒子径・分散状態を制御して、フィルム状触媒の触媒層の孔径分布を制御することに適している。
メディア型ミルとしては、ボールミル、アトライター、ADミル、ツインADミル、バスケットミル、ツインバスケットミル、ハンディミル、グレンミル、ダイノミル、アペックスミル、スターミル、ビスコミル、サンドグラインダー、ビーズを用いたペイントシェーカー等を挙げることができる。なお、本発明にはメディア型ミル以外の分散機として、ディゾルバータイプの混合分散機も用いることもできる。
塗料組成物は、メディア型ミルにおける調製時間time(sec.)、周速V(m/sec.)、調製に使用したメディアの見掛け容積P(L)、塗料組成物の配合質量G(kg)としたとき、次式(II):500<time・V・P/G<5000(m・L/kg)(II)を満たす条件下で調製することが好ましい。なお、式(II)において、代表速度は回転型ミルにおいては攪拌部の周速であり、ペイントシェーカーのような往復運動をする機構のミルでは移動ストロークを移動時間で除した速度である。
式(II)を満たすようにして塗料組成物を調製することにより、触媒層の孔径分布モード値を粉末状触媒の孔径分布のモード値と近い状態にすることができる。式(II)で示される調製条件は、好ましくは700<time・V・P/G<4000、より好ましくは1000<time・V・P/G<3000で示される条件である。
塗料組成物中の固形分は、製膜された触媒層からの溶媒の脱離時に細孔構造が制御され、細孔構造の形成に影響を与えるため、10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜65質量%である。また塗料組成物の粘度は、塗布方式によって好ましい範囲で選択されるもので、例えば5〜10,000mPas、好ましく20〜5000mPas、より好ましく50〜1000mPasである。
(触媒中間体の製造)
支持体上に前記塗料組成物を塗布・製膜して、触媒中間体を製造する。その後、常温で乾燥(養生)することができる。塗布方法は従来公知の方法を用いることができ、ブレード、ロール、ナイフ、バー、スプレイ、ディップ、スピン、コンマ、キス、グラビア、ダイコーティング等、各種塗布法を挙げることができる。
本発明で用いる支持体は、目的とするフィルム状触媒の形態に応じて適宜選択することができ、平板状、管状、ハニカム状、モノリス形状等を用いることができる。支持体の厚さは1mm以下であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
平板状の支持体としては、適度な加工性および耐久性を有し且つ本発明のフィルム状触媒が用いられる反応系に悪影響を与えないものであればよく、例えば、銅箔、ステンレス箔、アルミ箔等を挙げることができる。好ましくは加工性および耐食性から銅箔、ステンレス箔を用いることができる。
また、ハニカム又はモノリス形状の支持体としては、コーディエライト、炭素コンポジット、ムライト、粘土、マグネシア、タルク、ジルコニア、スピネル、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、タングステン、クロム、ステンレス鋼、銅、アルミおよびニッケルを含むものを挙げることができるが、これらに限定されない。
ここでハニカム形状は、薄壁で仕切られた蜂の巣状の構造をなす、多数のセルが集積した形状のことであり、単位体積あたりの表面積が大きくとれるためフィルム状触媒を構成する支持体として好ましい。またセルは正三角形,正五角形,正六角形を用いるとが隙間なく集積できるため好ましく、異形状物セルや多角形セルの組み合わせによって構成することもできる。例えば、ハニカム形状の支持体として、押し出し成形によって作成された一体構造物、あるいは平板状素材と平板状素材を形状加工して得られた波状素材(コルゲート)を何層も積み重ねて形成された支持体も好ましく利用できる。
さらに支持体の表面は、触媒層との密着性を向上させる観点から、粗面化処理またはカップリング処理されていることが望ましい。このカップリング処理は前述したカップリング剤が使用でき、好ましく塗料調製に用いたものと同種のものが使用できる。
乾燥および硬化工程は、支持体上に塗料組成物を塗布・製膜後、塗料組成物に含まれている溶媒や未反応のモノマー等を除去することを目的とするものであるが、乾燥時に乾燥に付随して硬化反応が進行する場合のほか、塗料組成物の組成に応じて加熱温度や加熱時間を調整することによって、乾燥と並行して、部分的に硬化反応を進行させることもできる。
乾燥および硬化工程は、空気、水蒸気または窒素、アルゴン等の不活性ガス等を加熱した雰囲気中で行うか、またはこれら熱媒体を吹き付ける方法が好ましく用いられ、その他、赤外線や遠赤外線等輻射熱を利用する方法、電磁波による誘導電流を用いた加熱方式等種々の手段を用いることができ、これらを組み合わせた方法あるいは、常温における自然乾燥(風乾)による方法も用いることができる。この工程において脱離する成分としては、溶媒を主とする揮発成分および硬化反応生成物である。溶媒以外の揮発性分としては未反応のモノマー成分等が含まれる。
乾燥および硬化条件は、塗料組成物に含まれるバインダーおよび溶媒を主とする揮発成分の物性に応じて調整することが必要であり、溶媒の選択と乾燥および硬化条件の設定によって触媒層の多孔構造(細孔容量)を制御することができる。なお、熱風による加熱処理においては、乾燥温度が高く、乾燥風量が大きいほど、触媒層からの前記成分の脱離が早く、細孔構造(孔径、容量)が大きくなると考えられる。また乾燥温度が低く、乾燥風量が小さいほど細孔構造が小さくなると考えられる。
塗料組成物から溶媒を主とする揮発成分の脱離のほか、硬化・架橋反応が進行して形成される架橋構造(ネットワーク構造)の形成時、さらに縮合反応を伴う場合には縮合生成物の脱離段階に細孔構造が決定される。
乾燥および硬化処理は、本発明に用いられる粉末状触媒が本来持っている触媒活性に悪影響を与えない乾燥方法および乾燥条件を採用する。
本発明においては、目的とするフィルム状触媒を得るための熱風乾燥による代表的な乾燥および硬化条件としては、60〜400℃、好ましくは70〜250℃、より好ましくは80〜150℃の温度で、好ましくは0.5〜30m/sec、より好ましくは1〜20m/secの風速にて、好ましくは1秒以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上、乾燥および硬化処理を実施することが望ましい。
なお、硬化反応を伴わない乾燥のみを目的とする場合には、塗料組成物を支持体に塗布後、速やかに乾燥することが好ましく、このときの乾燥条件を調整することで、塗膜の多孔構造をコントロールすることができる。そのため支持体上に触媒層を製膜してから、溶媒を主とする揮発成分を脱離させるまでの時間は、より短いほうが望ましく、好ましく2時間以内、より好ましくは30分以内、さらに好ましくは5分以内である。
本発明においては、バインダーが熱硬化性樹脂を含有する場合、塗布乾燥して得られた触媒層に未硬化物が残った状態(プレポリマーの状態)で触媒中間体を形状加工した後、最終加熱処理することが望ましい。
この最終加熱処理を実施する前に行う触媒中間体の乾燥および硬化処理は、熱硬化性樹脂に未硬化物が残った状態で終了させてもよい。形状加工時のハンドリングが実施できるまで一部が硬化しており、触媒層の保持性、機械的強度が製膜時に比べ向上していることが望ましく、塗膜内部に揮発成分等が数%のオーダーで残留していてもよい。
目的とするフィルム状触媒を得るための最終加熱処理前の乾燥は、熱風乾燥による代表的な条件としては、60〜400℃、好ましくは70〜250℃、より好ましくは80〜150℃の温度で、好ましくは0.5〜30m/sec、より好ましくは1〜20m/secの風速にて、好ましくは0.5〜300秒間、より好ましくは1〜100秒間、乾燥処理をすることが望ましい。
フィルム状触媒の触媒層が完全に硬化する前に形状加工することで、支持体の塑性変形に触媒層が追従し、形状加工性が向上するとともに、加工終了後に完全に硬化することで製造プロセスの最終段階で触媒層の架橋構造を固定化することができ、触媒層内の残留応力が緩和され、フィルム状触媒の触媒層脱落への影響が改善できる。
また、本発明において、バインダーが熱可塑性樹脂を含有する場合、塗布乾燥して得られた触媒層を、形状加工した後、最終加熱処理することが望ましい。触媒層に熱可塑性樹脂を含有する場合には、形状加工を実施した際の支持体の塑性変形に伴い触媒層内に残留応力が発生し、触媒層の保持性に悪影響を与えることが懸念される。そのため最終加熱処理することにより該応力を緩和させることができると共に熱可塑性樹脂の絡み合い構造が強まることでフィルム状触媒の触媒層脱落への影響が改善できる。
また、この最終加熱処理は、形状加工したのち各種反応器の形状に応じて種々の形態に構成したあと実施することができる。例えば、平板状およびこれを形状加工して得られた波板状フィルム状触媒を何層も積み重ねた構造体とし、反応器に取り付けるためのホルダーあるいはカセットに収納した状態で加熱処理することができる。
最終加熱処理の条件は、バインダーの種類により異なるが、本発明においては、好ましくは80〜400℃、より好ましくは100〜200℃で、好ましくは5〜600分間、より好ましくは10〜100分間、加熱処理をすることが望ましい。なお、加熱硬化法に代えて、ラジカル重合、放射線重合、UV硬化等を適用することもでき、これらの方法を適用する場合には、必要に応じて、触媒層中に各種重合触媒を含有させることができる。
フィルム状触媒の形状は、触媒反応の適用対象となる各種反応器の形状に応じて種々の形状に加工することができ、必要に応じてトリミング加工、形状加工、集積・組み立て加工法を適用して、目的の形状とすることができる。平板状、管状とすることができる他、ハニカム状、又はモノリス形状等の構造とすることができる。また実際の反応装置に組み込むためにホルダーやケース等に収容・充填し構造体としてのユニットを形成させることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明のフィルム状触媒は気液反応用の触媒以外に、液液反応用、気気反応用、固液反応用の触媒にも使用することができる。
製造例1(粉末状触媒の製造)
合成ゼオライトに担持させた銅・ニッケル・ルテニウム3元系の触媒活物質よりなる粉末状触媒を、以下の様に調製した。
容量1Lのフラスコに合成ゼオライト(平均粒径6μm)を仕込み、次いで硝酸銅、硝酸ニッケルおよび塩化ルテニウムを、各金属原子のモル比でCu:Ni:Ru=4:1:0.01となるように水に溶かしたものを入れ、攪拌しながら昇温した。90℃で10質量%炭酸ナトリウム水溶液をpH9〜10にコントロールしながら徐々に滴下した。1時間の熟成後、沈殿物を濾過・水洗後80℃で10時間乾燥し、600℃で3時間焼成して、粉末状触媒を得た。得られた粉末状触媒における、金属酸化物の割合は50質量%、合成ゼオライトの割合は50質量%であった。
製造例2、3(粉末状触媒の製造)
製造例2においては合成ゼオライトの平均粒径を3μmとし、製造例3においては、合成ゼオライトの平均粒径を3μm、10質量%炭酸ナトリウム水溶液の滴下温度を80℃とした以外は製造例1に準じて製造した。また、合成ゼオライトに担持させた銅−ニッケル−ルテニウム3元系の触媒活物質からなる粉末状触媒を得た。
製造例4(フェノール樹脂の製造)
レゾール型のフェノール樹脂を以下のように調製した。容量4Lフラスコに、パラホルムアルデヒド(F)、フェノール(P)、反応触媒として酢酸亜鉛(CAT)をモル比がF/P/CAT=1.8/1.0/0.015となるように加え、80℃において撹拌しながら16時間反応させ、レゾール型フェノール樹脂を得た。
以下に各実施例及び比較例を示す。ここで、実施例1〜4および比較例1〜4は3級アミン製造に使用できるフィルム状触媒を、また実施例5および比較例5はアルデヒド製造に使用できるフィルム状触媒を例示している。
実施例1
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例1で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒80質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が20質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径1mmのガラスビーズ(見かけ容積65ml)を広口ポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、30分間混合分散処理を行い、塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ160mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を14本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面17.9g/m、両面35.8g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面14.3g/m、両面28.6g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒14本における粉末状触媒の担持量は8.2gであった。触媒層の平均厚み(片面)は10μmであった。
実施例2
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例1で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒90質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が10質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして直径1mmのガラスビーズ(見かけ容積65ml)を広口ポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、5分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物をバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、触媒層を形成して、フィルム状触媒中間体を得た。触媒層は銅箔の両面に同じ方法にて形成した。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ160mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を20本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面4.7g/m、両面9.4g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面4.2g/m、両面8.4g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒20本における粉末状触媒の担持量は3.5gであった。触媒層の平均厚み(片面)は4μmであった。
実施例3
溶媒としてMIBK、バインダーとして製造例4で調製したフェノール樹脂、製造例2で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒68質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が32質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)を広口ポリエチレン製ビンに入れた。広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、110分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物をバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、触媒層を形成して、フィルム状触媒中間体を得た。触媒層は銅箔の両面に同じ方法にて形成した。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を12本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面9.6g/m、両面19.3g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面6.6g/m、両面13.2g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒12本における粉末状触媒の担持量は3.1gであった。触媒層の平均厚み(片面)は4μmであった。
実施例4
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例2で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒68質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が32質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)をポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、110分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を12本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面12.0g/m、両面24.0g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面8.2g/m、両面16.4g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒12本における粉末状触媒の担持量は3.8gであった。触媒層の平均厚み(片面)は6μmであった。
実施例5
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例1で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒80質量部(65g )に対し、フェノール樹脂の不揮発分が20質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径1mmのガラスビーズ(見かけ容積65ml)を広口ポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、30分間混合分散処理を行い、塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、坪量310g/m2)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た(実施例1と同じ中間体)。
得られたフィルム状触媒中間体(130mm×840mm)を平板状および波板状に折り曲げ加工したのち、交互に重ねて内径21.4mmの長さ390mmのステンレス製の筒状反応容器に充填したのち(図9)、熱風循環式恒温器にて150℃にて90分間硬化処理を行いフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面17.9g/m2、両面35.8g/m2であった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面14.3g/m2、両面28.6g/m2であり、上記筒状反応容器中に充填されたフィルム状触媒に含まれる粉末状触媒の質量は3.1gであった。触媒層の平均厚み(片面)は、10μmであった。
比較例1
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例3で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒65質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が35質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)をポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、110分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を13本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面11.2g/m、両面22.4g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面7.3g/m、両面14.6g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒13本における粉末状触媒の担持量は3.8gであった。触媒層の平均厚み(片面)は4μmであった。
比較例2
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例2で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒68質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が32質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)をポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、180分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を12本作製した。これを乾燥機にて210℃で180分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面12.9g/m、両面25.9g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面8.8g/m、両面17.6g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒12本における粉末状触媒の担持量は4.1gであった。触媒層の平均厚み(片面)は6μmであった。
比較例3
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例1で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒95質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が5質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径1mmのガラスビーズ(見かけ容積65ml)広口ポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、5分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。得られた塗料組成物は粒(凝集物)が多い状態であった。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を14本作製した。これを乾燥機にて210℃で180分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面9.0g/m、両面18.0g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面8.6g/m、両面17.2g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒14本における粉末状触媒の担持量は4.6gであった。触媒層の平均厚み(片面)は8μmであった。得られたフィルム状触媒の触媒層は非常にもろい状態であり、強度が不足していた。後述の手順にて反応特性評価に適用したが、膜の脱落が多く、固定床反応としてうまく評価できなかった。
比較例4
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例3で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒50質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が50質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が50質量%となる量とした。さらに分散メディアとして、直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)広口ポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、250分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコーターにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た。
得られたフィルム状触媒中間体(幅65mm×長さ150mm)を波板状に折り曲げ加工し、同寸法の平板状のフィルム状触媒と重ね合わせて円筒状に巻き、外径30mm×高さ65mmの円筒状のフィルム状触媒中間体を13本作製した。これを乾燥機にて150℃で90分間硬化処理を行い、図7で示す形状のフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面15.9g/m、両面31.6g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面7.9g/m、両面15.8g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒13本における粉末状触媒の担持量は4gであった。触媒層の平均厚み(片面)は11μmであった。
比較例5
溶媒としてMIBK、バインダーとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480)、製造例2で調製した粉末状触媒の順に、250mlの広口ポリエチレン製ビンに入れた。粉末状触媒68質量部(65g)に対し、フェノール樹脂の不揮発分が32質量部となる配合比率とし、MIBKの配合量は、配合物の固形分が60質量%となる量とした。さらに分散メディアとして直径2mmのジルコニアビーズ(見かけ容積65ml)をポリエチレン製ビンに入れた。
広口ポリエチレン製ビンをペイントシェーカーにセットし、180分間混合分散処理を行い塗料組成物を得た。
銅箔(厚さ40μm、秤量310g/m)を支持体とし、前記塗料組成物を銅箔の両面にバーコータにより塗布後、熱風循環式恒温器にて130℃で30秒間処理を行い、フィルム状触媒中間体を得た(比較例2と同じ中間体)。
得られたフィルム状触媒中間体(130mm×840mm)を平板状および波板状に折り曲げ加工したのち、交互に重ねて内径21.4mmの長さ390mmのステンレス製の筒状反応容器に充填したのち(図9)、熱風循環式恒温器にて150℃にて90分間硬化処理を行いフィルム状触媒を得た。
得られたフィルム状触媒における単位面積あたりの触媒層質量は、片面12.9g/m、両面25.9g/mであった。また単位面積あたりの粉末状触媒の担持量は、片面8.8g/m、両面17.6g/mであり、上記円筒状のフィルム状触媒12本における粉末状触媒の担持量は1.9gであった。触媒層の平均厚み(片面)は6μmであった。
(反応特性の評価1)
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた円筒状のフィルム状触媒は、高さ方向に連通した断面積0.1cm程度の複数の流路が形成されている。
底面がガラスフィルター(2G)である内径130mmのガラス製反応器に、前記円筒状のフィルム状触媒および原料アルコールであるドデシルアルコール(花王(株)製カルコール2098)1000gを入れ、触媒の還元活性化を行った後に、水素ガスを供給しながらジメチルアミンの供給を開始し、220℃で一定に保持した。
反応器からサンプルを経時的に採取し、ガスクロマトグラフにて分析を行い、反応時間に対するドデシルアルコールの濃度変化、反応に使用したドデシルアルコール質量M=1000[g]、反応に使用したフィルム状触媒の中の粉末状触媒量G(g)から反応速度定数k〔/Hr・(m/kg−ROH)〕を算出した。
サンプリング時刻Time1、Time2(Hr)[Time2>Time1]におけるドデシルアルコール濃度がそれぞれ、C1,C2(%)であった場合、下記式より算出した。
Figure 0005086022
また、反応終点をドデシルアルコール濃度が1%に減少した時点とし、反応開始からの反応終点までの反応時間TIME(Hr)、ガスクロマトグラフにより反応終点での副生物ジラウリルモノメチルアミン濃度M2(%)、[反応時間×副生物濃度]TIME×M2を算出した。結果を下記表1に示す。
ここで反応において反応時間が短いほど且つ副生物が少ないほど良好な反応特性であるためこの優劣を判断する指標として上記TIME×M2を導入し、この数値が小さいほど良好な反応特性を示す。なお、表1に記載の粉末状触媒の含有割合とバインダーの含有割合の和は100質量%である。また表1では塗膜強度を、「剥離強度」として評価し、×は膜剥離が発生し剥離物により反応液が濁った状態であり、○は反応評価後に剥離が目視で認識できない状態で反応液の濁りも発生していない状態を示している。
(反応特性の評価2)
実施例5で得られた、筒状反応容器に充填されたフィルム状触媒に、ドデシルアルコール(花王(株)製カルコール2098)を73.9g/Hrの流量、水素ガスを33.6NL/Hrの流量で流通させながら、触媒の還元活性化を行った。
その後、水素ガス供給をストップし、Nガスを9NL/Hr、ドデシルアルコールを73.9g/Hrで供給しながら昇温し、温度を220℃で一定に保ち、連続的に脱水素反応を行った。圧力は常圧であった。
得られた反応液サンプルをガスクロマトグラフにて分析を行い、ドデシルアルコール濃度は58.4%、生成したアルデヒド濃度は、16.1%であった。また原料としたドデシルアルコールは濃度98.6%であった。この結果より、
反応率(%)=原料ドデシルアルコール濃度−反応後ドデシルアルコール濃度
=98.6−58.4=40.2(%)
選択率(%)=反応後アルデヒド濃度(%)/反応率(%)×100
=16.1/40.2×100=39.9(%)であった。結果を下記表2に示す。なお、表2に記載の粉末状触媒の含有割合とバインダーの含有割合の和は100質量%である。また、表2中の剥離強度は、表1と同じ内容を示している。
ここで反応において反応率が高いほど且つ選択率が高いほど良好な反応特性であるため、この優劣を判断する指標として反応率×選択率を導入し、この数値が大きいほど、良好な反応特性を示す。なお、前述の「反応特性の評価1」と異なる指標を使用する理由は、反応系が異なり前記TIME×M2では評価できないからである。
(反応特性の評価3)
上記の反応特性の評価2と同様にして、比較例5で得られた、筒状反応容器に充填されたフィルム状触媒に、ドデシルアルコール(花王(株)製カルコール2098)を73.9g/Hrの流量、水素ガスを33.6NL/Hrの流量で流通させながら、触媒の還元活性化を行った。
その後、水素ガス供給をストップし、Nガスを9NL/Hr、ドデシルアルコールを73.9g/Hrで供給しながら昇温し、温度を220℃で一定に保ち、連続的に脱水素反応を行った。圧力は常圧であった。
得られた反応液サンプルをガスクロマトグラフにて分析を行い、ドデシルアルコール濃度は95.3%、生成したアルデヒド濃度は、0.8%であった。また原料としたドデシルアルコールは濃度98.6%であった。この結果より、
反応率(%)=原料ドデシルアルコール濃度−反応後ドデシルアルコール濃度
=98.6−95.3=3.3(%)
選択率(%)=反応後アルデヒド濃度(%)/反応率(%)×100
=0.8/3.3×100=24.2(%)であった。結果を下記表2に示す。
(孔径分布の測定方法)
孔径分布の測定は、“物質の機能性(第4版実験化学講座12、日本化学会編、丸善株式会社発行、486頁)”等に記載の測定方法(水銀圧入法)に従う。具体的には、島津製作所製の水銀圧入式細孔分布測定装置(ポアサイザー9320)等の専用測定機を用いることにより、孔径分布を測定することができる。フィルム状触媒は、予め坪量、塗布前の銅箔坪量、面積を測定し、触媒層質量を計測しておき、水銀圧入法により触媒層の孔径分布を測定した。水銀圧入法による孔径の測定は、下記の式を使って計算した。
D=−4γCOSθ/P
但し、式中でそれぞれD:孔径、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力0〜30000psiaにて測定した。
孔径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に孔内に侵入した水銀の体積、即ち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した孔径Dと細孔容量との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(logD)を求めて縦軸とし、孔径Dを横軸としてグラフ(図4参照)にすることで求めた。この方法を水銀圧入法という。孔径分布は、孔径6nm〜10000nmの範囲について測定した。なお、図4及び図5に示す細孔容量の単位である(ml)は水銀の細孔への侵入量を示し、(g)は測定に使用した触媒層サンプルの質量を示す。また、NO DETECTは、前記グラフから目視でモード値を確認できない場合を意味する。
本測定法にて測定される触媒層のモード値(グラフに示された曲線のピーク)が異なる孔径分布の内、最大のモード値を有する孔径分布をモード値t、そのtよりも小さい孔径であるモード値を有する孔径分布のうち最も頻度値の大きいモード値をtとした。
Figure 0005086022
表1に示すように実施例1〜4は、モード値が異なる孔径分布を2以上有している(式(I)を満たしている)ものであり、反応活性が高く、十分な剥離強度を有していた。
一方、比較例1〜4では、モード値が異なる孔径分布を2以上有していない(式(I)を満たしていない)ものであるため、反応活性が低かった。
Figure 0005086022
表2に示すように実施例5は、モード値が異なる孔径分布を2以上有している(式(I)を満たしている)ものであり、反応特性(反応率×選択率)が高く、十分な剥離強度を有していた。
平衡反応であるアルデヒド反応は、反応率、選択率を両立することが難しいことが知られているが、本発明によるフィルム状触媒を用いた反応では優れた反応特性が得られた。
一方、比較例5では、モード値が異なる孔径分布を2以上有していない(式(I)を満たしていない)ものであるため、反応特性(反応率×選択率)が低かった。
本発明の製造方法で得られたフィルム状触媒の概略断面図。 図1の部分断面図。 図2の部分断面図。 式(I)を説明するための孔径分布を示すグラフ。 式(I)におけるモード値の求め方の説明図。 本発明の製造方法で得られたフィルム状触媒の一実施形態の斜視図。 本発明の製造方法で得られたフィルム状触媒の他実施形態の斜視図。 本発明の製造方法で得られたフィルム状触媒のさらに他の実施形態の斜視図。 実施例5及び比較例5で用いた筒状反応容器の斜視図。

Claims (7)

  1. 厚さが1mm以下の支持体上に、粉末状触媒およびバインダーを含む触媒層が形成されたフィルム状触媒であって、前記触媒層が、水銀圧入法で測定される2以上の異なるモード値を持つ孔径分布を有していることを特徴とする脱水素反応又は水素付加反応に使用するフィルム状触媒。
  2. 水銀圧入法で測定される2以上の異なるモード値の内、最大のモード値t1と該モード値t1とは異なるモード値t2が、次式(I):
    2≦0.2・t1 (I)
    で示される関係を満たしている、請求項1記載のフィルム状触媒。
  3. モード値t1が20nm〜250μmである、請求項2記載のフィルム状触媒。
  4. モード値t2が4〜50nmである、請求項2又は3に記載のフィルム状触媒。
  5. 前記触媒層に含有される粉末状触媒が、触媒活物質が多孔性材料に担持されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム状触媒。
  6. 前記触媒層の厚みが100μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィ
    ルム状触媒。
  7. ハニカム構造体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム状触媒。
JP2007260136A 2006-10-06 2007-10-03 フィルム状触媒 Active JP5086022B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007260136A JP5086022B2 (ja) 2006-10-06 2007-10-03 フィルム状触媒

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006274620 2006-10-06
JP2006274620 2006-10-06
JP2007260136A JP5086022B2 (ja) 2006-10-06 2007-10-03 フィルム状触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008110340A JP2008110340A (ja) 2008-05-15
JP5086022B2 true JP5086022B2 (ja) 2012-11-28

Family

ID=39443168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007260136A Active JP5086022B2 (ja) 2006-10-06 2007-10-03 フィルム状触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5086022B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010099604A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Kao Corp フィルム状触媒構造体の製造方法
EP2448048A4 (en) * 2009-06-26 2017-01-11 Nissan Motor Co., Ltd. Gas diffusion electrode and production method for same; membrane electrode assembly and production method for same
JP5905753B2 (ja) * 2012-03-21 2016-04-20 住友ベークライト株式会社 基材担持触媒および基材担持触媒の製造方法
CA2866789A1 (en) * 2012-03-21 2013-09-26 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. Base material-carried catalyst and method of manufacturing base material-carried catalyst
JP5886145B2 (ja) * 2012-06-15 2016-03-16 住友ベークライト株式会社 基材担持触媒および基材担持触媒の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS637846A (ja) * 1986-06-27 1988-01-13 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 脱硝触媒
JP4545687B2 (ja) * 2003-10-08 2010-09-15 花王株式会社 3級アミンの製造方法
JP4781642B2 (ja) * 2004-06-07 2011-09-28 花王株式会社 アルデヒドの製造方法
JP4549802B2 (ja) * 2004-10-08 2010-09-22 花王株式会社 フィルム状触媒およびフィルム状触媒の製造方法
JP4994692B2 (ja) * 2005-04-07 2012-08-08 花王株式会社 3級アミンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008110340A (ja) 2008-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4545687B2 (ja) 3級アミンの製造方法
JP5086022B2 (ja) フィルム状触媒
JP5086023B2 (ja) フィルム状触媒の製造方法
US7235701B2 (en) Process for producing aldehyde
JP2009262145A (ja) フィルム状触媒の製造方法
JP5234726B2 (ja) 3級アミンの製造法
WO2008044780A1 (fr) Catalyseur sous forme de film et son procédé de production
EP1867627B1 (en) Process for production of tertiary amines
CN108200762B (zh) 强催化剂及催化剂载体、其制备和其用途
JP4549802B2 (ja) フィルム状触媒およびフィルム状触媒の製造方法
JP6740104B2 (ja) フィルム状触媒
JP6595882B2 (ja) 触媒繊維構造体
JP4994692B2 (ja) 3級アミンの製造方法
JP4879585B2 (ja) 3級アミンの製造法
EP3221047A1 (en) Method for producing catalyst fibrous structure

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120904

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120906

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5086022

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250