JP4879585B2 - 3級アミンの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルコールと1級もしくは2級アミンを原料として、対応する3級アミンを製造する方法に関する。
牛脂、ヤシ油、パーム油等を原料とする脂肪族アミンは、家庭用、工業用分野において重要な中間体である。特に脂肪族3級アミンは、第4級アンモニウム塩等に誘導されて、繊維柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、リンス基剤等幅広い用途に利用されている。
従前より、アルコールと1級もしくは2級アミンとを原料として3級アミンを製造する方法はよく知られているが、対応する3級アミンを高選択的に得ることは困難であった。例えば、特許文献1には、銅−ニッケル−第3成分系触媒を用いて、目的とする3級アミンを高収率で得る方法が開示されている。しかしながらこの触媒を用いる場合でも、同一の反応場内でアルコールから対応する3級アミンを得ようとした時に、製造能力を高めるために触媒量を増やしたり、反応温度を高めると、望ましくない副生物が少なからず生じることとなる。
このような副生物としては、原料である1級もしくは2級アミンが、触媒の作用や高温条件によって不均化反応を起こしたものが、反応に関与することで生じるものが挙げられる。1級もしくは2級アミンから対応する3級アミンが生じる反応は、1級もしくは2級アミンの不均化反応と競争関係にあり、触媒が存在しかつ高温である同一の反応場内でアルコールから対応する3級アミンを得ようとした時には、この副生物の発生は原理的に避けられないものであった。
アルコールと1級もしくは2級アミンから対応する3級アミンが生じる反応は、複数の素過程を経て進行することが報告されている。例えばBaikerら(非特許文献1)は、反応中間体としてアルコールの脱水素により生じるアルデヒド、及びこのアルデヒドに1級もしくは2級アミンが付加した後、脱水して生じるイミン、及び/又はエナミンの存在を確認している。これらの素過程について、各々を個別に実施するための技術は既によく知られているところである。アルコールの脱水素過程については、例えば特許文献2があり、アルデヒドへの1級及び2級アミンの付加過程は例えば非特許文献2、イミン及びエナミンへの水素付加により対応する2級もしくは3級アミンが生じる過程は、例えば 非特許文献3及び非特許文献4等に開示されている。しかしながら、これら個別の技術を組み合わせることで、アルコールと1級もしくは2級アミンから対応する3級アミンを製造する技術については、開示された例がない。
また、カルボニル基を含有する、或は還元性アミノ化条件下でカルボニル基を生成することができる化合物を、還元アミノ化してアミノ化化合物とする方法が、特許文献3に開示されている。ここでは液体溶媒中で(a)カルボニル基を含有する化合物を1級或は2級アミンとイミン生成条件下で接触させて、イミノ或はエナミノ基を含有する化合物とし、(b)イミノ或はエナミノ基を含有する化合物をアミン生成条件下で水素と接触させてアミン生成物を生成させることにより、カルボニル基を水素化してヒドロキシル基にするのを最小限にして行うことができるとしている。しかしながらこの方法では、ヒドロキシル基を生成する割合は抑えられても、1級もしくは2級アミンの不均化反応を防ぐための具体的な手段については何ら明示されておらず、そのような不均化反応の結果として生じる副生物を抑止する方法を示唆するものではない。そもそもヒドロキシル基の脱水素化が困難であるような条件においては、カルボニル基を生成することができる化合物としてアルコールを原料とすることには無理があり、この方法でアルコールと1級もしくは2級アミンとを原料として、対応する3級アミンを高収率で製造することはできない。
特公平3−4534号公報 米国特許第2,746,993号明細書 特開平3−68541号公報 Catal. Rev. Sci. Eng., 27(4), 653(1985) 「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」、丸善(株)刊、1978年、P.1410及びP.1422 「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III」、丸善(株)刊、1978年、P.1340 "The chemistry of enamines" John Wiley & Sons Ltd刊、1994年、17章III
本発明の課題は、アルコールと1級もしくは2級アミンとを原料として、対応する3級アミンを高選択的に高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、アルコールと1級もしくは2級アミンとを原料として、対応する3級アミンを製造する際に、アルコールの脱水素によって生じるアルデヒドと1級もしくは2級アミンとを反応させて、1級もしくは2級アミン付加体を得る工程を独立して設けることにより、対応する3級アミンを高選択的に高収率で製造できることを見出した。
すなわち本発明は、アルコールと1級もしくは2級アミンを原料として、対応する3級アミンを製造する方法であって、次の工程(i)、(ii)及び(iii)を含み、かつ工程(ii)を他の工程より独立させて行う、3級アミンの製造法を提供する。
工程(i):アルコールを脱水素して、アルデヒドを得る工程。
工程(ii):アルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させて、1級もしくは2級アミン付加体を得る工程。
工程(iii):1級もしくは2級アミン付加体を水素付加して、3級アミンを得る工程。
本発明の方法によれば目的とする3級アミンを高選択的に高収率で得ることができる。特に工程(i)〜(iii)よりなるサイクルを循環させることで、高い選択性を維持しながら目的とする3級アミンへの転化率を高めることができる。
本発明で用いる原料のアルコールは、直鎖状又は分岐鎖状で炭素数8ないし36の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールが好ましく、例えばオクチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等、並びにこれらの混合アルコール等、又チーグラー法によって得られるチーグラーアルコールや、オキソ法によって得られるオキソアルコール及びゲルべアルコール等が挙げられる。
本発明で用いる原料の1級もしくは2級アミンは、脂肪族1級もしくは2級アミンが好ましく、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基を有するモノアルキルアミン又はジアルキルアミンが更に好ましく、炭素数1〜2のアルキル基を有するモノアルキルアミン又はジアルキルアミンが特に好ましく、ジメチルアミン又はモノメチルアミンが最も好ましい。
これら原料となるアルコールと1級もしくは2級アミンから得られる、対応する3級アミンは、1級もしくは2級アミンの窒素原子に結合する水素原子がアルコール由来のアルキル及び/又はアルケニル基で置換されたものである。例えばラウリルアルコールとジメチルアミンから得られる、対応する3級アミンは、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミンであり、ジメチルアミンが不均化して生じたメチルアミン及びアンモニアが反応して副生する3級アミンのN,N−ジドデシル−N−メチルアミン及びN,N,N−トリドデシルアミンと区別される。
本発明のアルコールと1級もしくは2級アミンとを原料とする反応は、工程(i)、(ii)及び(iii)を含む。工程(i)〜(iii)を行うための反応場は、槽型、管型もしくはその他の好適な形式のいずれでも良いが、少なくとも工程(ii)とその他の工程との間で実質的に明確に区分され、これらの間で反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物が、実質的に連続して移動することで、逐次各々の工程での反応が進行する。
工程(i)、(ii)及び(iii)を順番に行うことで、原料アルコールを工程(i)において脱水素して対応するアルデヒドとし、次いで工程(ii)においてこのアルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させて対応する付加体とし、さらに工程(iii)においてこの付加体を水素付加して目的とする3級アミンを得ることができる。
各工程における反応の過程で生じたアルデヒド、及び/又は1級もしくは2級アミン付加体が、各々の反応条件下において高い安定性を示さない場合には、これらの中間体を各々の工程で一度に大量に生ぜしめることは、これらの縮合等を助長し、副生物を増加させ易い。このような場合には、各々の工程で一度に生じるこれら中間体の量が多くなり過ぎないように反応を抑えながら、工程(i)〜(iii)よりなるサイクルを循環させることで、高い選択性を維持しながら目的とする3級アミンへの転化率を高めることができる。
工程(i)〜(iii)よりなるサイクルを循環させる場合に、各工程の間で、反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物を連続して移動させる順番は、各々の工程での反応を阻害しない限りにおいて、特に限定されるものではない。例えば、工程(i)・工程(ii)・工程(iii)の順番にサイクルを2周以上循環させてもよいし、工程(i)・工程(ii)のサイクルと、工程(ii)・工程(iii)のサイクルを同時に又は別々に各々2周以上循環させてもよい。また工程(iii)及び(i)を同時に行う(1級もしくは2級アミン付加体に水素付加しながら、アルコールの脱水素を行う)反応場と、工程(ii)との間で2周以上循環させてもよい。工程(i)・工程(ii)のサイクルと、工程(ii)・工程(iii)のサイクルを同時に各々循環させる方法は、工程(ii)を緩衝槽とすることで工程(i)及び(iii)における流量その他の条件を独立して制御できるため、好ましい場合がある。
アルデヒド、及び/又は1級もしくは2級アミン付加体が各工程の反応条件下において高い安定性を示さない場合に、反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物を、いずれの工程にも付さない状態でいたずらに保持することは、これらの縮合等を助長し、副生物を増加させることとなる。従ってこれらを含む混合物が各工程間を移動するのに要する時間は、可能な範囲で短くすることが好ましい。各工程間で気液あるいは固液等の分離操作や、温度制御のために熱交換等の操作を行う目的で、中継槽その他ある程度の滞留時間を要する槽管類を設ける場合、そこでの滞留時間は出来得る限り短くすることが好ましい。
工程(i)〜(iii)に対して、反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物を供給する方法は、バッチ式でもよいし、連続式でもよい。同様に、これら混合物を各工程から回収する方法についても、バッチ式、連続式の任意のものが選べる。
工程(i)は、アルコールを脱水素して、対応するアルデヒドを得る工程である。例えば、アルコールとしてラウリルアルコールを用いた場合、この工程で得られるアルデヒドはドデシルアルデヒドである。
工程(i)における脱水素の方法は特に限定されるものではなく、公知の技術により行うことができるが、脱水素触媒を用いる方法が、工業的な観点から有利である。脱水素触媒としては、一般に脱水素用途に使用されるCu系の金属等を担持させた触媒等を好適に用いることができる。このような触媒としては、例えばCu単独あるいはこれにCr、Co、Ni、Fe、Mn等の遷移金属元素を加えた2成分、あるいは3成分以上の金属を、担体であるシリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライト等に担持させたものが挙げられる。触媒の形態は特に限定されないが、ペレット状、ヌードル状、タブレット状等の粒状、あるいはオープンセル型フォーム、ハニカム等の構造体等の成形触媒あるいは触媒が支持体表面に固定化されたフィルム型触媒とすることで、これを充填した固定床形式の反応器により、反応物の連続的な供給及び/又は生成物の連続的な回収が容易になり、好適に実施することができる。又、反応器壁面修飾型触媒による濡れ壁塔式固定床型反応器等も、同様の理由により好適に用いることができる。これら固定床型反応器への反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物の供給方法及び/又はガスの供給方法は、アップフロー、ダウンフロー、サイドフローなどいずれでもよい。
工程(i)において、反応物は気相に存在してもよいし、液相でもよい。金属触媒を用いる場合には、酸化反応によって積極的に脱水素するために酸素や空気等の酸化性雰囲気を用いることもできるが、触媒の還元状態を維持するためには、非酸化性の雰囲気下で反応させる方が有利である。雰囲気としては、水素、脱水素反応を促進するために水素以外の雰囲気でもよく、例えば窒素、希ガス雰囲気が挙げられる。また水素が、再びアルデヒドに付加して逆反応するのを抑える目的で、系内の圧力は常圧を超えて著しく高くならないことが望ましい。また工程(i)の温度は、50〜300℃が好ましく、100〜250℃が更に好ましい。
工程(ii)は、アルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させて、対応する付加体を得る工程である。例えば、アルデヒドがラウリルアルコールの脱水素により生じたドデシルアルデヒドで、1級もしくは2級アミンがジメチルアミンの場合、この工程で得られる付加体は、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデカノール、及び/又はこれより脱水してエナミンとなった1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデセンである。アルデヒドと1級もしくは2級アミンから対応する付加体が生じる反応は、他の工程で必要とされる条件に比べて温和な条件でも進行する。
工程(ii)は他の工程から独立している。また、工程(ii)は温和な条件で行うことが好ましい。前述のように、触媒が存在しかつ高温である同一の反応場内でアルコールから対応する3級アミンを得ようとした時には、1級もしくは2級アミンが触媒の作用や高温条件によって不均化反応を起こしたものが原料アルコールと反応することで発生する副生物は、原理的に避けられないものであった。他の工程から独立させた工程(ii)を温和な条件で行って、1級及び2級アミンの不均化反応を防ぐことで、アルコールと1級もしくは2級アミンから対応する3級アミンを極めて高い収率で得ることが可能となる。また温和な条件で行うことにより、工程(ii)におけるアルデヒドや1級もしくは2級アミン付加体の縮合等の副反応をも抑制することができる。
工程(ii)の温和な条件を実現する一つの方法として、無触媒下に行う方法がある。工程(i)及び/又は(iii)で好適に用いることのできるような触媒の中には、1級もしくは2級アミンの不均化反応を促進する働きがあり、このような触媒の存在しない状態で工程(ii)を実施することにより、1級もしくは2級アミンの不均化反応を抑制することができる。工程(ii)を他の工程より独立させ、工程(i)及び/又は(iii)で用いた触媒の一部及び/又は全部が、反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物中に混入した状態で、これをそのまま工程(ii)に供給しないようにすることは、工程(ii)を行う条件としては好ましい。
工程(ii)の温和な条件を実現する別の方法として、温度を工程(i)や(iii)に比して低くすることが挙げられる。具体的には、温度170℃以下で行う方法がある。1級及び2級アミンの不均化反応は温度によって促進される場合があるので、反応物が凝固しない程度に低い温度条件で実施することにより、1級もしくは2級アミンの不均化反応を抑制することができる。
工程(ii)の温度条件は、1級もしくは2級アミンの不均化反応、及びアルデヒドや1級もしくは2級アミン付加体の縮合等の副反応を抑制するために、触媒が存在しない場合には250℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましく、120℃以下が特に好ましい。また触媒が存在する場合には、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。下限については特に限定されず、反応物が凝固しない範囲であればよく、通常は20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。
工程(ii)においてアルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させる方法は、上記の条件を満足する以外には特に限定されるものではなく、公知の技術により行うことができる。
工程(ii)で用いる反応器は、槽型、管型等任意の形式のものを利用することができるが、完全混合槽、充填塔、気泡塔等の形式が、反応物の連続的な供給及び/又は生成物の連続的な回収が容易になる点において、好適に用いられる。たとえば、管型反応器の場合、反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物の供給方法及び/又はガスの供給方法は、アップフロー、ダウンフロー、サイドフローなどいずれでもよい。
工程(ii)における圧力条件に関しては、アルデヒドと1級もしくは2級アミンを凝縮相として存在させることで反応を促進させるためには、常圧より著しく低くならない圧力条件が望ましい。しかしながら、付加体の脱水反応を促進してイミン及び/又はエナミンの状態とすることで、アルデヒドと1級もしくは2級アミンを生じる逆反応を抑えるためには、減圧条件にして脱水により生じる水分を系外に除去することが好ましい。いずれの条件を選択するかは、反応温度におけるアルデヒド、1級もしくは2級アミン及び対応する付加体の物性を、水との比較において考慮し決定することができる。例えば、ドデシルアルデヒドとジメチルアミンとを反応させる場合には、常圧程度の圧力条件下で行うのが望ましい。
更に、1級もしくは2級アミンがガス相中に存在する場合、1級もしくは2級アミンの液相中への溶解を促進して工程(ii)を効率よく行うために、工程(ii)に付される反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物に含まれる、例えば水素、及び/又は不活性ガス等の、工程(i)に供給した、及び/又は工程(i)で発生するガス成分を、工程(ii)の前であらかじめ反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物と分離することがより好ましい。さらに、工程(ii)で反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物中に残存する未反応の1級もしくは2級アミンを、工程(ii)以外の工程に持ち込むのを防ぐために、工程(ii)の後で、分離除去することがより好ましい。工程(ii)の後の該分離除去操作としては、例えば気液分離によってガス相中に存在する1級もしくは2級アミンを分離する方法が挙げられ、この場合、より効率を向上させるため、窒素などの不活性ガスなどを用いて液中へのバブリング操作や減圧下においた分離除去操作をすることがより好ましい。
工程(iii)は、工程(ii)で生じた1級もしくは2級アミン付加体を水素付加して、対応する3級アミンを得る工程である。例えば、1級もしくは2級アミン付加体が1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデカノール、及び/又はこれより脱水してエナミンとなった1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデセンである場合、対応する3級アミンはN−ドデシル−N,N−ジメチルアミンである。
工程(iii)における水素付加の方法は特に限定されるものではなく、公知の技術により行うことができるが、水素雰囲気下に水素付加触媒を用いる方法が、工業的な観点から有利である。このような触媒としては、例えばCuもしくはNi単独、あるいはこれにCr、Co、Ni、Fe、Mn等の遷移金属元素を加えた2成分、あるいは3成分以上の金属を、担体であるシリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライト等に担持させたものや、Pt等の貴金属遷移元素単独、あるいはこれと炭素を複合化したもの等が挙げられる。工程(i)の脱水素触媒として好適に用いられる触媒の中には、工程(iii)の水素付加触媒としても好適に用いることのできるものがあり、工程(iii)で用いる触媒は工程(i)と同じものであってもよい。触媒の形態は特に限定されないが、ペレット状、ヌードル状、タブレット状等の粒状、あるいはオープンセル型フォーム、ハニカム等の構造体等の成形触媒あるいは触媒が支持体表面に固定化されたフィルム型触媒とすることで、これを充填した固定床形式の反応器により、反応物の連続的な供給及び/又は生成物の連続的な回収が容易になり、好適に実施することができる。又、反応器壁面修飾型触媒による濡れ壁塔式固定床反応器等も、同様の理由により好適に用いることができる。これら固定床型反応器への反応物(原料、及び/又は中間生成物)、及び/又は生成物(生成した3級アミン)の混合物の供給方法及び/又はガスの供給方法は、アップフロー、ダウンフロー、サイドフローなどいずれでもよい。
工程(iii)において、反応物は気相に存在してもよいし、液相でもよい。水素付加反応を促進するためには雰囲気中の水素分圧を高くすることが好ましく、このため系内の圧力は常圧よりも著しく低くならないことが望ましい。また工程(iii)の温度は、特に限定されないが、50〜300℃が好ましく、100〜250℃が更に好ましい。
上記工程(i)及び(iii)の説明で述べた本発明で用いられるフィルム型触媒とは、従来型の数mm程度の大きさを持つ不規則充填物タイプとは異なり、厚さ500μm以下の薄いフィルム状の形態の触媒を指す。反応物及び生成物が触媒体内部を移動する過程は拡散支配であり、その距離を500μm以下まで短くする事で、触媒体外部との間での物質移動を促進し、触媒体内部まで有効に活用できると共に、触媒体内部での中間反応物の過反応を抑制する事ができる。特に100μm以下の厚さである事が、触媒重量当りの反応活性が顕著に高くなって好ましく、50μm以下である事がより好ましい。厚さの下限は、触媒層の強度確保及び強度面の耐久性を得るために0.01μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
フィルム型触媒の構造としては、反応器形状に応じて種々の形態のものが挙げられる。例えば、管内壁面上に形成された触媒コーティング層や、管内を複数の軸方向流通路に間仕切る薄板状に成形した触媒等が挙げられ、管状の流通式反応器に好適に用いることができる。また反応物の供給及び生成物の回収が起こる触媒体表面をできるだけ広く設ける事が、反応を効率よく進行させる上で望ましい。上記要件を達成するために、内径数mm〜数十mmの管を束ねた集合体や、セル密度が1平方インチ当り数十〜数百セルのハニカム構造体に対して、その内壁面上にフィルム型触媒を設けたもの等が、好適に用いられる。
フィルム型触媒を上記種々の構造にするためには、例えば触媒活物質そのものを成形してハニカム状の構造体とする方法があるが、薄い触媒層と高い機械的強度を両立する観点からは、フィルム型触媒を支持体表面に固定化する事が好ましい。フィルム型触媒支持体が金属箔であることが好ましい。例えば上述のように、金属その他剛性を有する管状、平板状あるいはハニカム状等の支持体表面に、触媒活物質を含むコーティング層を形成してフィルム型触媒とする方法が挙げられる。この時のコーティング方法としては、従来公知の方法を用いる事ができ、例えばスパッタ等の物理蒸着法、化学蒸着法、溶液系からの含浸法の他に、バインダーを使ったブレード、スプレイ、ディップ、スピン、グラビア、ダイコーティング等、各種塗工法が挙げられる。
フィルム型触媒の内部には、それ単独では活物質として作用しないが、活物質を固定化してフィルム型の触媒体を形成するためのバインダーを含有していてもよい。バインダーとしては、活物質どうしまたは支持体表面への結着性の他に、反応環境に耐え、なおかつ反応系に悪影響しないような、耐薬品性や耐熱性等の性質を有する高分子あるいは無機化合物が挙げられる。例えば、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ四フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等の高分子化合物、あるいはシリカ、アルミナ等の無機化合物ゾル等が挙げられる。
フィルム型触媒の内部構造は、触媒体を構成する活物質の種類や触媒体の作製方法等に大きく依存するが、緻密な連続相を形成していてもよいし、多孔質であってもよい。例えば、スパッタ法や化学蒸着法等により支持体表面上に形成した薄膜である場合は緻密な連続相とする事ができ、粉末状の活物質を使って湿式あるいは乾式の塗工等の方法により支持体表面上に形成した場合は多孔質とする事が可能である。
フィルム型触媒を製造する方法として、粉末状の触媒活物質とこれを固定化するためのバインダーとを含有する塗料を、支持体の上に成膜する方法が、好適に用いられる。特に、合成樹脂をバインダーとして使用し、これと粉末状触媒とを含有する塗料を支持体上に成膜して得られるフィルム型触媒、およびその製造方法において、粉末状触媒と合成樹脂の配合比率を適正な範囲にすることで、粉末状触媒の露出度と、粉末間および支持体−粉末間の結合力をコントロールすることができる。
上記成膜法においては、粉末状触媒100質量部に対し、合成樹脂20〜80質量部が好ましい配合比率の範囲である。さらに支持体面積あたりの細孔容量を0.5〜30mL/m2の範囲にコントロールすることによって、フィルム型触媒としての特に有効な反応活性の発現と塗膜脱落量の少ないフィルム型触媒が得られる。
上記成膜法により得られるフィルム型触媒の内部構造としては、粉末状触媒の表面全体あるいは一部を合成樹脂が被覆した状態であり、粉末状触媒どうしは合成樹脂を介して結着しており、厚み方向に多数の粉末状触媒が堆積して構成される。この堆積した多数の粉末状触媒は合成樹脂を介して3次元的にネットワーク構造を形成し、粉末状触媒粒子同士の隙間に空気層が散在し、合成樹脂自体も多孔構造を有していることが好ましい。また粉末状触媒と合成樹脂の存在割合が厚さ方向に変化した、いわゆる傾斜構造をとることができ、さらには粉末状触媒と合成樹脂の配合割合の異なる2層以上の触媒層、あるいは細孔構造の異なる2層以上の触媒層からなるフィルム型触媒層を形成してもよい。
上記成膜法により得られるフィルム型触媒においては、粉末状触媒100質量部に対し、合成樹脂を好ましくは20〜80質量部含有することで、触媒活性および粉末状触媒どうしまたは粉末状触媒−支持体間の結着力を有効に発現させることができる。フィルム型触媒は、支持体表面積あたりの触媒層の細孔容量が0.5〜30mL/m2であることが望ましく、好ましくは1〜20mL/m2、より好ましくは1〜4mL/m2である。細孔容量が0.5mL/m2以上である場合には、触媒層内部の拡散速度が高まり、フィルム状触媒を反応プロセスに適用した際に大きな反応速度が得られるようになる。細孔容量が大きくなりすぎると触媒層は高度に多孔状態となり、粉末状触媒どうし及び/又は粉末状触媒−支持体間の結着力が低下し、触媒層としての機械的強度が小さくなるが、30mL/m2以下である場合には触媒層の多孔度が適切となり、粉末状触媒どうし及び/又は粉末状触媒−支持体間の密着性が強まる。その結果、触媒層としての機械的強度が高くなると共に、反応物及び生成物の物質移動性は良好な状態で保持することができる。
上記成膜法により得られるフィルム型触媒の細孔構造は、粉末状触媒100質量部に対し、合成樹脂を好ましくは20〜80質量部の範囲で含有する塗料を支持体上に塗布したのち、揮発成分の脱離過程および合成樹脂の絡み合い構造の形成過程において決定される。合成樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、揮発成分の脱離過程の他に、硬化・架橋反応が進行して形成される架橋構造(ネットワーク構造)の形成時に細孔構造が決定される。さらに縮合反応を伴う場合には、縮合生成物の脱離過程にも細孔構造は影響を受ける。鋭意研究した結果、形成された細孔構造を特徴づける指標として、支持体表面積あたりの細孔容量を0.5〜30mL/m2とすることで、反応プロセスにおけるフィルム型触媒としての十分な反応速度と、粉末状触媒の保持性が好適に維持できることを見出した。
上記成膜法で用いる粉末状触媒は、上述した成分から構成される縣濁床プロセス用に性能が確立されたものを好適に用いることができる。その場合、支持体上に固定化された触媒活物質前駆体を焼成等の処理により触媒活物質に変換する方法に比べ、反応プロセスにおける反応特性が担保できるため開発時間が短縮される。また焼成処理といった反応活性発現の煩雑な製造プロセスが不要となるため、製造プロセスが簡略化できる。
上記成膜法に用いられる粉末状触媒は、平均粒径で0.01〜500μm、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜50μmの粒子径を有しており、その分布がシャープなものが好ましく、BET法による比表面積は0.1〜500m2/g、好ましくは1〜200m2/g、より好ましくは10〜100m2/gである。
上記成膜法で用いる合成樹脂は、粉末状触媒どうし及び支持体表面への結着性に優れ、且つ反応環境に耐え、反応系に悪影響を与えないものが好ましい。このような合成樹脂としては、前述のバインダーの例の中で挙げた高分子化合物等、種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が用いられ、これら合成樹脂に硬化剤による架橋反応を導入することでより高分子化が図られるものも用いることができる。なかでもフェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、より好ましくは、硬化時に縮合反応を伴う熱硬化性樹脂を用いることができる。このような熱硬化性樹脂を用いると、硬化反応により架橋密度が向上して塗膜強度、結着性が向上し、さらに縮合反応により触媒塗膜が多孔化して粉末状触媒のもつ触媒活性を有効に引き出すことができる。
上記成膜法によりフィルム型触媒を製造する場合、粉末状触媒と合成樹脂との好ましい組合せの一例として、銅−ニッケル−ルテニウム3元系の粉末状触媒とフェノール樹脂との組合せが挙げられる。
上記成膜法における粉末状触媒と合成樹脂との配合割合は、粉末状触媒100質量部に対して、合成樹脂20〜80質量部が望ましく、より好ましくは30〜70質量部であり、さらに好ましくは40〜60質量部である。粉末状触媒と合成樹脂との配合割合を前記範囲内とすることにより、粉末状触媒の露出度をコントロールして、その触媒活性能を有効に引き出すことができ、塗膜脱落性も改善することができる。合成樹脂の配合量が80質量部以下であると、粉末状触媒の表面を覆う合成樹脂の厚みあるいは合成樹脂による被覆率が適度となり、粉末状触媒のもつ触媒活性が十分に発揮されて、高い触媒活性を発現させることができる。合成樹脂の配合量が20質量部以上であると、触媒活性が十分に発現し、粉末状触媒どうしまたは粉末状触媒−支持体間の結着力が向上し、フィルム型触媒の製造プロセス中および反応運転中に、触媒層が剥離したり一部が脱落する量が抑制される。
上記成膜法において、塗料を調製するために粉末状触媒と合成樹脂に加えて第3成分である溶媒を好適に用いることができる。溶媒は、粉末状触媒の反応活性に悪影響を与えないものであればよく、使用される合成樹脂の種類に応じて、水溶性または非水溶性の各種のものを選択することができるとともに、この溶媒の選択によってフィルム型触媒の細孔構造をコントロールすることができる。例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のグリコールないしその誘導体類;グリセロール、グリセロールモノエチルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のグリセロールないしその誘導体類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類;流動パラフィン、デカン、デセン、メチルナフタレン、デカリン、ケロシン、ジフェニルメタン、トルエン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、シクロヘキサン、部分水添されたトリフェニル等の炭化水素類、ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロジフェニル、クロロジフェニルメタン等のハロゲン化炭化水素類、ダイルロル(ダイキン工業(株)製)、デムナム(ダイキン工業(株)製)等のふっ化物類、安息香酸エチル、安息香酸オクチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、セバシン酸ジブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル等のエステル化合物類、そのほかジメチルホルムアミド、N−メチル−ピロリドン、アセトニトリル、エチルアセテート等が挙げられる。合成樹脂の溶解性が良好なものが好ましく、また2種以上の溶媒を組み合わせて使用しても良い。この合成樹脂の選択に合わせた溶媒の選択によって、細孔構造を制御することができる。
上記成膜法において、粉末状触媒と合成樹脂を含む塗料の調製は、常法により行うことができ、固練工程、溶解工程、サンドミル等による分散工程、濾過工程等を種々選択して調製できる。分散工程では、ペイントシェーカー、バスケットミル、グレンミル、ダイノミル、アジテートミル等により塗料化する。
上記成膜法の塗料調製において、分散時間等の適切な条件選択により、最終的に得られるフィルム型触媒の反応特性および塗膜(触媒層)強度、塗膜(フィルム型触媒層乃至粉末状触媒)脱落性を改善できることが判っている。特に塗料分散度と関連して前記特性がコントロールできる。塗料分散度の目安としては、光沢度、粒ゲージ、粘性、レオロジー特性等の手法により数値化することができる。分散工程において、塗料固形分が高い状態で実施することで効率よく分散化処理を実施することができ、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜65質量%である。また塗料の粘度は、好ましくは5〜10,000mPa・s、より好ましく20〜5000mPa・s、さらに好ましく50〜1000mPa・sである。例えば、粉末状触媒と合成樹脂、及び溶媒をステンレス製バットに加え、粉末状触媒の目視で確認できるような塊が無くなるまでディスパにて混合攪拌した後、バスケットミルのベッセルに移し、所定の回転数で混合分散処理を行い、精密濾過により凝集物または異物を除去して、目的とする塗料を調製することができる。塗料の調製における分散処理は、例えば容量20Lのバスケットミルの混合槽中に、塗料原料10,000g(粉末状触媒、合成樹脂及び溶媒の合計量)を入れたとき、800〜3000r/minで30〜600分間攪拌することが望ましい。その他、光沢度で判断するときは、例えば経時的に確認した評価値が最大値をとるまで分散処理することが望ましい。粒ゲージで判断するときは、粉末状触媒の一次粒子径をもとに二次凝集が少なくなる状態まで分散処理することが望ましい。
上記成膜法の塗料調製においては、粉末状触媒、合成樹脂、溶媒の他に、分散助剤として界面活性剤やカップリング剤、骨材として無機粒子、繊維状物質等、多孔化助剤として高沸点溶媒等を配合することができる。カップリング剤は、無機フィラーと有機のポリマーマトリックスとの間の界面に分子架橋を行い、物性を改善する効果がある。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびアルミネート系カップリング剤として一般に知られたものが使用でき、複数のカップリング剤を組み合わせて配合してよく、濃度調整のために相溶性のある有機溶媒で希釈して用いてもよい。繊維状物質としては、有機繊維又は無機繊維が用いられる。有機繊維としては、ポリアミド系のナイロン6、ナイロン66、やアラミッド繊維、ポリビニルアルコ−ル系繊維、ポリエステル系のポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト繊維、ポリアリレ−ト繊維、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系のポリエチレンやポリプロピレン繊維等が挙げられる。また有機繊維には、有機再生繊維が含まれ、セルロ−ス系のレ−ヨン、アセテ−ト等が挙げられる。無機繊維としては、ガラス繊維や炭素繊維、活性炭素繊維、セラミック繊維、石綿等が用いられ、骨材効果の発現により触媒塗膜の機械強度の向上が可能になる。
上記成膜法で用いる支持体は、耐久性を有し且つ本発明のフィルム型触媒が用いられる反応系に悪影響を与えない材質のものであればよい。また目的とするフィルム型触媒の形態に応じて適宜選択することができ、平板状、管状、ハニカム状、モノリス形状等を用いることができる。
上記成膜法で用いる平板状の支持体として、適度な加工性を有するものは成膜後の形状加工が可能になって、好適に利用することができる。例えば、銅箔、ステンレス箔、アルミ箔等が挙げられる。好ましくは加工性および耐食性から銅箔、ステンレス箔を用いることができる。
上記成膜法で用いるハニカム又はモノリス形状の支持体としては、コーディエライト、炭素コンポジット、ムライト、粘土、マグネシア、タルク、ジルコニア、スピネル、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、タングステン、クロム、ステンレス鋼、銅、アルミおよびニッケルを含むものが挙げられるが、これらに限定されない。ここでハニカム形状とは薄壁で仕切られた蜂の巣状の構造をなす、多数のセルが集積した形状のことである。ハニカム形状にすると単位体積当りの表面積を大きくとれるため、フィルム型触媒を構成する支持体として好ましい。またセルは正三角形,正五角形,正六角形を用いると隙間なく集積できるため好ましく、異形状物セルや多角形セルの組み合わせによって構成することもできる。例えばハニカム形状の支持体として、押し出し成形によって作成された一体構造物、あるいは平板状素材と平板状素材を形状加工して得られた波板状素材(コルゲート)を何層も積み重ねて形成された支持体も好ましく利用できる。
上記成膜法で用いる支持体の表面は、触媒層との密着性を向上させる観点から、粗面化処理またはカップリング処理されていることが望ましい。このカップリング処理は前述したカップリング剤が使用でき、好ましく塗料調製に用いたものと同種のものが使用できる。
上記成膜法の具体的な方法として、上記した支持体表面に、粉末状触媒を含む塗料を塗布・成膜する方法が挙げられる。この成膜方法は従来公知の方法を用いることができ、ブレード、ロール、ナイフ、バー、スプレイ、ディップ、スピン、コンマ、キス、グラビア、ダイコーティング等、各種塗工法が挙げられる。成膜された触媒層からの溶媒等揮発分の脱離時に細孔構造が制御されるため、成膜時の塗料固形分は細孔構造の形成に影響を与える。成膜時の塗料固形分は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは25〜65質量%の範囲で調整される。また成膜時の塗料粘度は、上記塗工方式によって種々好ましい範囲で選択され、好ましくは5〜10,000mPa・s、より好ましくは20〜5000mPa・s、さらに好ましくは50〜1000mPa・sである。
上記塗布による成膜法において、粉末状触媒を含む塗料を支持体表面に塗布した後、乾燥および硬化処理を実施することができる。乾燥および硬化処理工程は、加熱された空気、水蒸気または窒素、アルゴン等の不活性ガス等の雰囲気中で行う、もしくはこれら熱媒体を吹き付ける方法が好ましく用いられ、その他、赤外線や遠赤外線等輻射熱を利用する方法、電磁波による誘導電流を用いた加熱方式等種々の手段を用いることができる。またこれらを組み合わせた方法あるいは、常温における自然乾燥(風乾)による方法も用いることができる。この工程において脱離する揮発成分としては、溶媒の他に硬化反応生成物及び未反応のモノマー成分等が含まれる。
上記塗布による成膜法での乾燥条件は、塗料に含まれる合成樹脂および溶媒を主とする揮発成分の物性に応じて調整することが必要であり、溶媒の選択と乾燥及び硬化条件の設定によってフィルム型触媒層の多孔構造(細孔容量)を制御することができる。すなわち塗料からの溶媒等揮発分の揮発段階の他に、硬化・架橋反応が進行して形成される架橋構造(ネットワーク構造)の形成時、さらに縮合反応を伴う場合には縮合生成物の脱離段階に細孔構造が決定される。一般に熱風による加熱処理においては、温度が高く、風量が大きいほど、触媒層からの前記成分の揮発が早く、細孔構造(孔径、容量)が大きくなる。また温度が低く、風量が小さいほど細孔構造が小さくなる。
上記塗布による成膜法において、乾燥及び硬化処理は、粉末状触媒が本来有する触媒活性に悪影響を与えない方法および条件を採用し、細孔容量を0.5〜30mL/m2に制御できる。目的とするフィルム型触媒を得るための熱風による代表的な乾燥および硬化条件としては、50〜400℃、好ましくは70〜250℃、より好ましくは80〜150℃の温度で、好ましくは0.5〜30m/sec、より好ましくは1〜20m/secの風速にて、好ましくは1秒以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上、乾燥および硬化処理を実施することが望ましい。
上記塗布による成膜法においては、塗料を支持体に塗布後、速やかに乾燥することが好ましく、このときの乾燥条件を調整することで、塗膜の多孔構造をコントロールすることができる。そのため支持体上に触媒層を成膜してから、溶媒等揮発成分を脱離させるまでの時間は、より短いほうが望ましく、好ましく2時間以内、より好ましくは30分以内である。
上記塗布による成膜法において、合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いたり、架橋反応によって合成樹脂の可塑性を減じたりする場合には、塗布乾燥して得られた塗膜を未硬化物が残った状態(プレポリマーの状態)で形状加工した後に、最終加熱処理してフィルム型触媒にすることが望ましい。
上記最終加熱処理する成膜法において、最終加熱処理を実施する前に行う乾燥処理は、合成樹脂を未硬化物が残った状態で終了させる。形状加工時のハンドリングが実施できるまで一部が硬化しており、触媒層の保持性、機械的強度が塗布時に比べ向上していることが望ましく、塗膜内部に溶媒等揮発分が数%のオーダーで残留していてもよい。目的とするフィルム型触媒を得るための最終加熱処理前の乾燥は、熱風による代表的な条件としては、50〜400℃、好ましくは70〜250℃、より好ましくは80〜150℃の温度で、好ましくは0.5〜30m/sec、より好ましくは1〜20m/secの風速にて、好ましくは0.5〜300秒間、より好ましくは1〜100秒間、処理をすることが望ましい。
上記最終加熱処理する成膜法において、塗膜層が完全に硬化反応する前に形状加工することで、支持体の塑性変形に塗膜層が追従し、形状加工性が向上する。また加工終了後に加熱処理して完全に硬化させることで、製造プロセスの最終段階で触媒層の架橋構造を固定化することができ、触媒層内の残留応力が緩和され、フィルム型触媒の触媒層あるいは粉末状触媒の脱落への影響が改善できる。また合成樹脂に熱可塑性樹脂を含有する場合、塗布乾燥して得られた塗膜を形状加工した後、最終加熱することが望ましい。塗膜に熱可塑性樹脂を含有する場合には、形状加工を実施した際の支持体の塑性変形に伴い、塗膜内部に残留応力が発生し、塗膜の保持性に悪影響を与えることが懸念される。そのため最終加熱処理することにより、該応力を緩和させることができると共に、熱可塑性樹脂の絡み合い構造が強まることで、フィルム型触媒の触媒層あるいは粉末状触媒の脱落への影響が改善できる。最終加熱処理の条件は、合成樹脂の種類により異なるが、本発明においては、好ましくは80〜400℃、より好ましくは100〜200℃で、好ましくは5〜600分間、より好ましくは10〜100分間、処理をすることが望ましい。
本発明の方法により、アルコールと1級もしくは2級アミンとを原料として3級アミンを製造することで、対応する3級アミンを高選択的に高収率で得ることが可能になる。特に、工程(i)〜(iii)よりなるサイクルを循環させることで、高い生産性を同時に達成することが可能になる。
以下の例において、%及び部は特に断りのない限り、それぞれ質量%、質量部を示す。
製造例1:粉末状触媒の製造
容量1Lのフラスコに合成ゼオライトを仕込み、次いで硝酸銅と硝酸ニッケル及び塩化ルテニウムを各金属原子のモル比でCu:Ni:Ru=4:1:0.01となるように水に溶かしたものを入れ、攪拌しながら昇温した。90℃で10%Na2CO3水溶液をpH9〜10にコントロールしながら徐々に滴下した。1時間の熟成の後、沈殿物を濾過・水洗後80℃、10時間乾燥し、600℃で3時間焼成して粉末状触媒を得た。
得られた粉末状触媒における金属酸化物の割合は50%、合成ゼオライトの割合は50%であった。
製造例2:ペレット状触媒の製造
製造例1の粉末状触媒を調製する過程で得られた焼成前の粉末を、3φ×3mmの円柱状に打錠成形した後、600℃で3時間焼成して、合成ゼオライトに担持させた銅−ニッケル−ルテニウム3元系のペレット状触媒を得た。
得られたペレット状触媒における金属酸化物の割合は50%、合成ゼオライトの割合は50%であった。
製造例3:フィルム型触媒の製造
製造例1の粉末状触媒100部に、バインダとしてフェノール樹脂(住友ベークライト製PR−9480、不揮発分58%)を加え、フェノール樹脂の不揮発分が47.7部になるようにした。さらに溶剤として2−ブタノンを加え、固形分(粉末状触媒及びフェノール樹脂の不揮発分)の割合が55%となるようにした。これをディスパにて10分間予備混合した後、バスケットミル(浅田鉄工製SS−3、1.4mm径のチタニアビーズ800mL、1900gを充填)にて1500rpmで70分間混合分散処理して塗料化した。銅箔(厚さ40μm)を支持体とし、上記塗料をバーコータにより両面に塗工後、150℃で30秒間乾燥した。乾燥したもののうちの半分を波板状に折り曲げ加工し、残りの平板状のものと重ねて捲回した後、150℃で90分間硬化処理して、フィルム型触媒を上記銅箔の両面に固定化した。得られたフィルム型触媒について、その銅箔を除いた片面当りの厚さは4.9μm、面積当りの触媒担持量(坪量)は6.3g/m2であった。
実施例1
図1に示すバッチ式反応装置を用い、ラウリルアルコールとジメチルアミンとを原料としてN−ドデシル−N,N−ジメチルアミンを製造した。
図1中の反応槽1は、工程(i)〜(iii)を行うための容量2Lの攪拌槽型反応器である。導管3を通じて水素ガス、及び/又は2級アミン(ジメチルアミン)、及び/又は窒素ガスを連続的に供給しながら、導管4を通して未反応のガス、及び/又は2級アミン、及び/又は2級アミン付加体の脱水反応により生じた水分を連続的に排出する。導管4から排出される成分中には、上記の他にアルコール、及び/又はアルデヒド、及び/又は2級アミン付加体、及び/又は生成3級アミンの蒸気もしくはミスト状成分等が含まれることがあり、凝縮器2にてこれらを液化させて反応槽1に戻し、残りのガス成分を系外に排出する。
本実施例では、まず原料アルコールであるラウリルアルコール(花王(株)製カルコール20)1200gを反応槽1に仕込み、窒素ガスを15NL/Hrの流量で供給しながら、常圧下に攪拌を行って反応槽1内部の温度を220℃に保った。続いて製造例1で調製した粉末状触媒を還元処理したもの2.5gを反応槽1に投入し、攪拌を4分続けた後、全量抜き出し濾過を行って触媒を濾別した。ガスクロマトグラフにて濾液の分析を行い、面積百分率法にて定量した結果、ラウリルアルコールの脱水素によって生成したドデシルアルデヒドは2.4%であった。
上記濾液1000gを粉末触媒を洗浄除去した反応槽1に仕込み、窒素ガスを24NL/Hrの流量で供給しながら、常圧下に攪拌を行って反応槽1内部の温度を70℃に保った。窒素ガスの供給を停止した後、次いでジメチルアミンを60g/Hrの流量で反応槽1に供給し、70分保持した後に内部の液を全量抜き出した。ガスクロマトグラフにて抜き出した液の分析を行い、面積百分率法にて定量した結果、ドデシルアルデヒドとジメチルアミンの付加反応によって生成した1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデカノール及び1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデセンは合わせて2.8%であった。
上記抜き出した液820gを反応槽1に仕込み、次いで製造例2で得たペレット触媒の還元処理をしたものをバスケットに40g充填し、反応槽1の攪拌用シャフトの攪拌翼を取り外し、このバスケットを設置した。窒素ガス、次いで水素ガスで反応槽1の内部を置換した後、水素ガスを450NL/Hrの流量で供給しながら、圧力3.0MPa下に攪拌を行って反応槽1内部の液温を140℃まで昇温した。反応槽1内部の液温が140℃に達してから60分保持した後に内部の液を全量抜き出した。ガスクロマトグラフにて分析を行い、面積百分率法にて定量した結果、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデカノール及び1−(N,N−ジメチルアミノ)−1−ドデセンの水素付加反応によって生成したN−ドデシル−N,N−ジメチルアミンは増加量2.8%であり、この場合の副生3級アミンであるN,N−ジドデシル−N−メチルアミン及びN,N,N−トリドデシルアミンは検出されなかった。
実施例2
図2に示す循環固定床型反応装置を用いて、ラウリルアルコールとジメチルアミンとを原料としてN−ドデシル−N,N−ジメチルアミンを製造した。
図2中の反応塔5は、工程(i)を行うための内径21.4mmの直立円管固定床型反応器で、内部に脱水素触媒として製造例3で得たフィルム型触媒を還元処理したものが140cc充填されている。導管9を通じて下端から反応物、及び/又は生成物の混合物と、非酸化性雰囲気としての窒素ガスを連続的に供給し、上端から未反応物、及び/又は生成物の混合物と窒素ガスを連続的に回収する。反応塔6は、工程(ii)を行うための内径17.5mmの直立円管型反応器で、内部に不活性充填物としてラシヒリング(φ5mm)50ccが充填されている。導管10を通じて反応塔5より回収した反応物、及び/又は生成物の混合物と窒素ガス、及び2級アミン(ジメチルアミン)とを反応塔6の上端より連続的に供給しながら、未反応物、及び/又は生成物の混合物と、窒素ガスを反応塔6の下端より連続的に回収して、槽14で気液分離する。このうち、液成分は導管11を通じて回収し、ガス成分は導管12を通じて系外に排出する。また、槽14では液中に溶解している2級アミン(ジメチルアミン)を液成分からガス相中へ効率よく分離除去するため、液中へ窒素ガスのバブリングを行う。窒素ガス及び2級アミン(ジメチルアミン)は上記窒素ガス同様に導管12を通じて系外に排出する。反応塔5及び6内部の圧力はほぼ常圧に保たれている。反応塔7は、工程(iii)を行うための内径28.4mmの直立円管固定床型反応器で、内部に水素付加触媒として工程(i)と同じ製造例3で得たフィルム型触媒を還元処理したもの250ccが充填されている。水素ガスとガス導管11を通じて反応塔6から回収された反応物、及び/又は生成物の混合物を、ポンプ8によって下端から連続的に反応塔7に供給し、圧力は0.9MPaで保持した。上端からは未反応物、及び/又は生成物の混合物と未反応水素ガスを連続的に回収する。回収した混合物を槽15でガス成分と液成分に分離し、このうち、ガス成分は導管13を通して系外に排出し、液成分は導管9を通じて再び反応塔5へ送り循環形式で反応を進行させる。
本実施例では、まずN−ドデシル−N,N−ジメチルアミン72.7%と原料アルコールであるラウリルアルコール(花王(株)製カルコール20)26.3%を含む混合液770gを槽14へ仕込み、槽14内を窒素ガスで置換した後、60℃まで昇温した。次いで、各導管及び反応塔5〜7を60℃まで昇温した後、反応塔5へ窒素ガス、また反応塔7へ水素ガスの供給を開始した。次いで、ポンプ8を作動し原料アルコールの反応塔7への供給を開始した。原料アルコールは反応塔5,6と順を追って通液し、各反応塔で回収された原料アルコールが循環していることを確認した。次いで、反応塔5及び槽14内液温度を220℃まで、反応塔7を160℃まで昇温した後、反応塔6(温度はコントロールせず成り行き)にジメチルアミンを供給して反応を開始した。同時に、槽14の液中に窒素ガスを供給しバブリングを開始した。
液循環流量は4.0L/Hr、反応塔5への窒素ガス供給量は70NL/Hr、反応塔7への水素ガス供給量は90NL/Hrとした。また、槽14の液中への窒素ガス供給量は70NL/Hrとした。
経時でサンプルを採取し、ガスクロマトグラフにて分析を行い、面積百分率法にて定量し、原料である未反応のラウリルアルコールが3.3%になるまで、循環して反応を行った。その後、ガス及び液の供給を停止し、窒素ガスで置換後、内部の液を全量抜き出した。ジメチルアミン供給量は、反応の進行に合わせて調整し12〜22g/Hr(反応時間平均で17g/Hr)であった。反応塔6の温度は、211〜215℃であった。
ガスクロマトグラフによる分析の結果、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミンの増加量が11.0%のとき、副生3級アミンであるN,N−ジドデシル−N−メチルアミンの増加量は0.3%、N,N,N−トリドデシルアミンは検出されず増加はみられなかった。また、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミンの増加量が20.9%のとき、副生3級アミンであるN,N−ジドデシル−N−メチルアミンの増加量は1.0%、N,N,N−トリドデシルアミンは検出されず増加はみられなかった。
比較例
図3に示す循環固定床型反応装置を用いて、ラウリルアルコールとジメチルアミンとを原料としてN−ドデシル−N,N−ジメチルアミンを製造した。
図3に示す反応塔16は、内径29.5mmの直立円管固定床型反応器であり、その内部に製造例3で得たフィルム型触媒の還元処理したものが270cc充填されている(緩衝槽17の内部には触媒は無い)。N−ドデシル−N,N−ジメチルアミン72.0%と原料アルコールであるラウリルアルコール(花王(株)製カルコール20)27.0%を含む混合液1000gを緩衝槽17に仕込み、窒素ガスで置換を行った後、液温を60℃まで昇温した。次いで、水素ガスを20NL/Hrの流量で供給しながら、緩衝槽17と反応塔16との間で液流量7.5L/Hrの流量で循環を開始した。
反応塔16の温度を220℃まで昇温した後、ジメチルアミンを反応塔16に供給して220℃で反応を開始した。経時でサンプルを採取し、ガスクロマトグラフにて分析を行い、面積百分率法にて定量し、原料である未反応のラウリルアルコールが1.9%になるまで循環して反応を行った。その後、ジメチルアミンの供給を停止し、窒素ガスで置換後、内部の液全量を抜き出した。ジメチルアミン供給量は反応の進行に合わせて調整し、60〜110g/Hr(反応時間平均で85g/Hr)であった。ガスクロマトグラフによる分析の結果、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミンの増加量が10.2%のとき、副生3級アミンであるN,N−ジドデシル−N−メチルアミンの増加量は1.4%、N,N,N−トリドデシルアミンは検出されず増加はみられなかった。また、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミンの増加量が17.2%のとき、副生3級アミンであるN,N−ジドデシル−N−メチルアミンの増加量は4.3%、N,N,N−トリドデシルアミンは検出されず増加はみられなかった。
実施例2及び比較例の反応条件及び結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004879585
実施例1で用いたバッチ式反応装置の概略図である。 実施例2で用いた循環固定床型反応装置の概略図である。 比較例で用いた循環型固定床型反応装置の概略図である。
符号の説明
1…反応槽
2,21…凝縮器
3,4,9,10,11,12,13,19,20…導管
5,6,7…反応塔
8,18…ポンプ
14,15…気液分離槽
17…緩衝槽

Claims (8)

  1. 直鎖状又は分岐鎖状で炭素数8ないし36の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールと1級もしくは2級アミンを原料として、対応する3級アミンを製造する方法であって、次の工程(i)、(ii)及び(iii)を含み、工程(i)、(ii)及び(iii)をこの順番で、かつそれぞれを独立させて行い、工程(i)及び/又は(iii)で用いた触媒の全部が、反応物及び/又は生成物中に混入した状態で工程(ii)に供給されないようにする3級アミンの製造法。
    工程(i):アルコールを脱水素して、アルデヒドを得る工程。
    工程(ii):アルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させて、1級もしくは2級アミン付加体を得る工程。
    工程(iii):1級もしくは2級アミン付加体を水素付加して、3級アミンを得る工程。
  2. 直鎖状又は分岐鎖状で炭素数8ないし36の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールと1級もしくは2級アミンを原料として、対応する3級アミンを製造する方法であって、次の工程(i)、(ii)及び(iii)を含み、工程(i)〜(iii)よりなるサイクルを循環させ、かつ工程(ii)を他の工程より独立させて行工程(i)及び/又は(iii)で用いた触媒の全部が、反応物及び/又は生成物中に混入した状態で工程(ii)に供給されないようにする3級アミンの製造法。
    工程(i):アルコールを脱水素して、アルデヒドを得る工程。
    工程(ii):アルデヒドと1級もしくは2級アミンを反応させて、1級もしくは2級アミン付加体を得る工程。
    工程(iii):1級もしくは2級アミン付加体を水素付加して、3級アミンを得る工程。
  3. 工程(ii)を無触媒下で行う、請求項1又は2記載の製造法。
  4. 工程(i)を脱水素触媒の存在下に行う、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
  5. 工程(iii)を水素付加触媒の存在下に行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造
    法。
  6. 工程(i)を触媒が固定床型の反応器中で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。
  7. 工程(iii)を触媒が固定床型の反応器中で行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    製造法。
  8. 固定床型反応器中の触媒がフィルム型触媒である請求項6又は7記載の製造法。
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