以下に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1から図3を参照しながら、移動栽培装置の概略構造について説明する。以下の説明において、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交する方向を平面視とし、紙面上下方向を縦方向(又は前後方向)とし、紙面左右方向を横方向(又は左右方向)とする。これらの方向を表す用語は説明の便宜のために用いられるが、発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、実施形態では、縦方向及び横方向が水平面に対して平行であることを想定しているが、本願発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えばイチゴのような果菜類や葉菜類、若しくは花卉の栽培に支障を来さない範囲内で、縦方向及び横方向の一方又は両方が水平面に対して多少傾斜していても構わない。
図1及び図3は、本願発明の実施形態における移動栽培装置の概略構成を示す平面図及び側面図であり、複数の栽培ベンチ10が縦案内装置20A,20Bの上にある状態を示している。なお、縦案内装置20A,20B上に並ぶ栽培ベンチ10の数は例えば50個以上にもなることがあるが、図面では縦案内装置20A,20Bの中央部を省略し、短縮して描いている。また、図2は、移動栽培装置1の概略構成を示す正面図であり、横搬送装置40Aの横搬送下流側領域40dに栽培ベンチ10が存在する状態を模式的に描いている。
本実施形態の移動栽培装置1は、果菜類や葉菜類、若しくは花卉等の植物を栽培するための複数の栽培ベンチ10を、平面視矩形の閉ループに沿って循環移動するものである。移動栽培装置1は、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の横搬送装置40A,40Bと、一方の横搬送装置40A(40B)の横搬送下流側領域40dから他方の横搬送装置40B(40A)の横搬送上流側領域40uに複数の栽培ベンチ10を案内する一対の縦案内装置20A(20B)を備え、これらが平面視矩形の閉ループを形成している。
また、横搬送装置40A,40Bの横搬送下流側領域40dに横搬送された栽培ベンチ10を縦案内装置20A,20Bの最上流位置20uに向けて移動するプッシュユニット21A,21Bが設けられている。また、縦案内装置20A,20Bの最下流位置20dにある栽培ベンチ10を横搬送装置40A,40Bの横搬送上流側領域40uへ移動する一対のプルユニット22A,22Bが設けられている。
プッシュユニット21A,21Bが作動して横搬送装置40A,40Bの横搬送下流側領域40dにある栽培ベンチ10が縦案内装置20A,20Bの最上流位置20uに向けて移動されると、縦案内装置20A,20Bの上に並んでいる複数の栽培ベンチ10が一斉に、玉突き状に移動する。他方、プルユニット22A,22Bは、縦案内装置20A,20Bの最下流位置20dにある栽培ベンチ10のみを横搬送装置40A,40Bの横搬送上流側領域40uへ移動する。この後、プルユニット22A,22Bは待機位置へ戻り、横搬送装置40A,40Bによって栽培ベンチ10が横搬送上流側領域40uから横搬送下流側領域40dへ移動されて停止される。この状態はベンチ搬送待機状態である。詳細は後述するが、本体コントローラ600(図26参照)に搬送開始信号が入力されると、ベンチ搬送待機状態が解除されて、プッシュユニット21A,21Bによる複数の栽培ベンチ10の玉突き状の搬送及びプルユニット22A,22Bによる横搬送装置40A,40Bへの栽培ベンチ10の移動が行われる。
横搬送装置40A,40B、プッシュユニット21A,21B、及びプルユニット22A,22Bによる上記のような一連の動作が繰り返されることにより、横搬送装置40A,40B及び縦案内装置20A,20Bで形成された平面視矩形の閉ループに沿って、図1における反時計回り方向(矢印方向)に複数の栽培ベンチ10が循環する。果実摘みや花がら摘みといった作業を行う作業者は、例えば、横搬送装置40Aの横搬送下流側領域40dの手前側(図1では下側)に立って、横搬送装置40Aによって横搬送上流側領域40uから横搬送下流側領域40dへ移動中の栽培ベンチ10や横搬送下流側領域40dに停止された栽培ベンチ10上の栽培植物に対して作業を行う。なお、作業者の作業場所は横搬送下流側領域40dに限定されず、例えば横搬送装置40Aの横搬送上流側領域40u及び横搬送下流側領域40dの両方であってもよい。
次に、図4から図6を参照しながら、栽培ベンチ10の構造について説明する。図4から図6は、栽培ベンチ10の概略構造を示す平面図、正面図、及び側面図である。栽培ベンチ10は、平面視略長方形の矩形枠体11を備え、その長手方向が横搬送装置の搬送方向になるように移動栽培装置1にセットされる。矩形枠体11は、その長手方向に平行に延びる一対の横枠部材111と、一対の横枠部材111の両端部と中央部、及びそれらの中間位置で一対の横枠部材111を連結する計5本の縦枠部材112からなる。横枠部材111及び縦枠部材112は板金加工品で形成され、コの字状又はロの字状に近い断面形状を有する長尺部材である。横枠部材111と縦枠部材112は溶接又はボルト・ナットを用いて互いに強固に接続されている。
栽培ベンチ10の矩形枠体11の上面側には、複数のプランタ2(栽培容器)が長手方向に一列に並べて載置されるプランタ載置部12が設けられている。プランタ2は、栽培用の土等を収容するものであり、一般的な樹脂製の横長プランタ等が使用される。図5及び図6に破線でプランタ2が描かれており、5個のプランタ2が長手方向に一列になるように並べて置かれている。
プランタ載置部12は、プランタ2の幅方向を両側から挟むように保持し、プランタ2の長手方向(横方向)に延びる一対の横長部材と、一対の横長部材の両端部とその内側4箇所で一対の横長部材を連結する計6本の縦部材からなり、6本の縦部材は、5個のプランタ2の横方向移動を規制する部材として機能する。一対の横長部材と6本の縦部材とは溶接又はボルト・ナットを用いて互いに接続され、プランタ載置部12(一対の横長部材)と矩形枠体11(5本の縦枠部材112)は溶接又はボルト・ナットを用いて互いに接続されている。
図4及び図6から分かるように、プランタ載置部12は、矩形枠体11の上面側において、対向する長辺の一方側(図4では上側、図6では右側)に寄せて設けられている。他方側(図4では下側、図6では左側)の空間には、図6から分かるように、下向きU字状の網支持部材13が設けられている。網支持部材13は、例えばスチールパイプの曲げ加工によって形成され、計5本の網支持部材13が矩形枠体11の5本の縦枠部材112に沿ってそれぞれ設けられている。例えば、縦枠部材112の上面に突設したボス(図示省略)に、網支持部材13の両端部(筒状部)を上から嵌め込むようにして、網支持部材13が矩形枠体11に対して取り外し可能に装着できることが好ましい。
また、網支持部材13の両端部を矩形枠体11の5本の縦枠部材112に装着する代わりに、プランタ載置部12(の手前側の横長部材)と矩形枠体11の手前側の横枠部材111との間に架け渡すように装着しても良い。その場合は、任意の数の網支持部材13を任意の間隔で設けることができる。あるいは、U字状の網支持部材13の代わりに、従来の片持ち式のアーム状の網支持部材(特許文献1参照)を縦枠部材112又はプランタ載置部12(の手前側の横長部材)に固定する構造でもよい。
上記のような複数の網支持部材13に対して、複数本のワイヤーを横方向に架け渡すように固定し、その上に網131を被せる(敷設する)ことができる。剛性の高い網を使用する場合は、網支持部材13の上に網131を直接被せることも可能である。網131の材質は金属製や樹脂製等、種々の材質を採用できる。網131は網支持部材13に止め具(図示省略)等によって着脱可能に取り付けられる。プランタ2の上面から手前側に伸長した栽培中の果菜(例えばイチゴ)の伸長部を網131の上に置いて、矩形枠体11の上面から浮かせた状態で支持することができる。
図6に示す例では、網支持部材13の上面が矩形枠体11の上面に対して略平行になっている。したがって、網支持部材13の上に被せる網131が矩形枠体11の上面に対して略平行になる。変形例として、図7に示すように、網支持部材13の上面が矩形枠体11の上面に対して傾斜するように構成してもよい。つまり、網支持部材13の上に被せる網131が矩形枠体11の上面に対してプランタ2の上面から手前側(図7では左側)へ下り勾配になる。図6の網131を水平にする構成では、イチゴのような果菜の伸長部を網131によって安定して支持することができる利点がある。例えば、玉突き状の縦搬送で生じる衝撃によって栽培ベンチ10が水平方向に揺れたとしても、網131に支持された果菜の伸長部(特にイチゴの実)が傷つきにくい。但し、従来の片持ち式のアーム状の網支持部材を採用する場合は、網131を水平方向に延ばすメリットはない。図7の網131を傾斜させる構成ではイチゴのような果菜の伸長部(網に載せられた部分)に対して行う果実摘みのような作業の作業性が良くなる利点がある。なお、栽培ベンチ10の上のプランタ2でイチゴを栽培する際に、その伸長部が網131の側(対向する長辺の他方側、図6では左側)のみに伸長し、反対側(対向する長辺の一方側、図6では右側)には伸長しないように栽培される。例えば、イチゴの場合、親株からランナー(つる)が出て、このランナーの先端に子株が出る。この子株を苗として使用する際に、親株との間のランナーを切断し、矩形枠体11上面側のうち対向する長辺の一方側にランナー切断側を向けた状態の子株をプランタ2に植え付けることによって、植え付けられた苗からは、他方側(網131側)にのみ花芽が出て伸長し、網131側でのみ果実を付けさせることができる。
栽培ベンチ10の矩形枠体11の底面側には、横方向及び縦方向にそれぞれ離間する4箇所に遊転輪14,15が設けられている。これらの遊転輪14,15は縦案内装置20A,20Bの一対の縦案内レール201(後述)の上を転動し、これによって栽培ベンチ10が縦案内装置20A,20Bの上を少ない抵抗で円滑に移動することができる。なお、図5では縦案内レール201の円形の断面輪郭が破線で描かれ、図6では縦案内レール201の直線の上下輪郭が破線で描かれている。
左側の一対の遊転輪14は、横方向中央の縦枠部材112の左隣の縦枠部材112の下面に前後方向に離間して固定されたホルダ141によって、横方向の軸心周りに遊転するように支持されている。右側の一対の遊転輪15は、それぞれ2個(計4個)の遊転輪152からなる。横方向中央の縦枠部材112の右隣の縦枠部材112の下面に前後方向に離間して固定されたホルダ151にそれぞれ2個の遊転輪152が支持されている。
各遊転輪15を構成する2個の遊転輪152は、横方向の軸心から互いに逆方向に45度傾いた軸心周りに遊転するように支持され、パイプ状の縦案内レール201を斜め上から挟むようにして転動する。つまり、2個の遊転輪152は、縦案内レール201の上を転動すると同時に栽培ベンチ10の縦搬送方向に直角な方向(横方向)への移動を規制するように構成されている。
上記のような遊転輪14,15の構成により、プッシュユニット21A,21Bの作動によって、縦案内装置20A,20Bにある複数の栽培ベンチ10が玉突き状に搬送される際に、プッシュユニット21A,21Bに掛かる負荷が低減されると共に、縦搬送方向に直角な方向での栽培ベンチ10のずれが防止され、複数の栽培ベンチ10が円滑に縦案内装置20A,20Bを移動することができる。なお、滑り摩擦を十分に小さくすることができる場合は、縦案内レール201の上を摺動する摺動部材を遊転輪14,15の代わりに使用することも考えられる。
また、複数の栽培ベンチ10が玉突き状に搬送される際に、前後の栽培ベンチ10の衝突による衝撃や振動を緩和するために、ゴムのような弾性素材で形成された防振部材113が栽培ベンチ10の前後方向手前側の横枠部材111の前面に取り付けられている。図4から図6に示す栽培ベンチ10の例では、小さな矩形の防振部材113を所定の間隔で4箇所に接着剤で固定している。
防振部材113の材質は特に限定されない。弾性によって衝撃や振動を緩和できる材質であればよい。その形状、取り付け位置、及び個数についても特に限定されない。例えば、横枠部材111の前面の略全面を覆うように細長いシート状の防振部材を貼り付けてもよい。
また、栽培ベンチ10の矩形枠体11にICタグ(図示省略)が設けられ、栽培ベンチ10で栽培される植物の各種情報をICタグに記憶している。これにより、栽培される植物の情報を栽培ベンチ10ごとに管理し、トレーサビリティの向上に寄与している。
次に、横搬送装置40A,40Bの構造について説明を加える。一対の横搬送装置40A,40Bの基本的な構造は同じであるので、以下、横搬送装置40と記載する。縦案内装置20A,20B等についても同様に記載する。図8及び図9に、横搬送装置40(40A)の概略構造を平面図及び正面図で示す。図9では、横搬送上流側領域40uに栽培ベンチ10が存在する状態を描いている。横搬送装置40は、複数本の脚41や梁42にて支持されて横方向に延びる一対の平行な横レール47を備えている。
図8及び図9に示すように、各横レール47は、上流側、中央部、下流側の3本に分断されているが、これは、縦案内装置20(20A,20B)と横搬送装置40(40A,40B)との間で栽培ベンチ10の受け渡しを行うプルユニット22(22A,22B)とプッシュユニット21(21A,21B)が横レール47と直角に交わるように配置されるためである。横レール47と干渉しないようなプルユニット及びプッシュユニットの構造を採用する場合は、各横レール47は一本の連続した横レールでよい。以下の説明において、横レール47という場合は、上流側、中央部、下流側の3本の横レール47をまとめて1本の横レール47として意味するものとする。
複数対(図示の例では17対)の案内輪48が、一対の横レール47の長手方向に沿って所定の間隔で取り付けられている。案内輪48は、栽培ベンチ10の横枠部材111の底面側を支えて、栽培ベンチ10を横方向に案内する横案内部材に相当する。後述の横駆動部を示す側面図である図10から分かるように、案内輪48は、横レール47の上面に、L金具49とボルト・ナットを用いて内側を向くように取り付けられている。案内輪48は、栽培ベンチ10の横枠部材111の底面側に当接する内側の小径部と、外側の大径部(フランジ)からなる。大径部は栽培ベンチ10の横枠部材111の幅方向(縦方向)外側に位置して、栽培ベンチ10の横搬送方向に対する直角方向(縦方向)への動き(ずれ)を規制する働きを有する。なお、滑り摩擦を十分に小さくすることができる場合は、栽培ベンチ10の底面側を支える摺動案内部材を案内輪48の代わりに使用し、栽培ベンチ10が横レール47に沿って摺動するように構成することも考えられる。
図10に、栽培ベンチ10を横レール47に沿って横搬送する横搬送装置40の横駆動部50の概略構造を側面図として示す。横駆動部50は、横搬送電動モータ501、ギヤボックス502、及び駆動ローラ503を含んでいる。横搬送電動モータ501の出力軸(回転軸)504はギヤボックス502に接続され、ギヤボックス502の出力軸(回転軸)505に駆動ローラ503が固定されている。横搬送電動モータ501が作動すると、その回転速度がギヤボックス502によって減速されると共に駆動力が高められ、駆動ローラ503が軸心AX1周りに回転する。
駆動ローラ503の外周面は栽培ベンチ10の底面側、正確には前後方向(縦方向)奥側の横枠部材111の底面側に接触している。駆動ローラ503の外周部は表面摩擦(グリップ力)の大きいゴム素材で形成されており、駆動ローラ503が軸心AX1周りに回転すると、駆動ローラ503の外周面と栽培ベンチ10の横枠部材111との間の摩擦力によって、栽培ベンチ10が横方向に(複数の案内輪48に沿って)搬送される。したがって、駆動ローラ503の外周面の上端面は、図10に示すように、案内輪48の内側小径部の上端面よりも少しだけ上に出るように配置されている。
図8及び図9に示すように、横駆動部50(駆動ローラ503)は、横搬送装置40の長手方向(横方向)に離間する2箇所に設けられている。その間隔は、栽培ベンチ10の横枠部材111の横方向長さよりも短い。したがって、栽培ベンチ10が横搬送装置40によって横搬送上流側領域40u(左側)から横搬送下流側領域40d(右側)に搬送されるとき、左右2個の駆動ローラ503のうちの少なくとも1個は必ず栽培ベンチ10の横枠部材111の底面側に接触している。つまり、横搬送装置40の横搬送上流側領域40uに位置する栽培ベンチ10は、横駆動部50(駆動ローラ503)が作動すると、初めは左側の駆動ローラ503によって搬送され、右方向への移動に伴って横枠部材111の底面側が右側の駆動ローラ503に接触し、左右両方の駆動ローラ503によって搬送される短い期間を経て、後半は右側の駆動ローラ503によって横搬送下流側領域40dまで搬送される。
図8及び図9に示すように、横搬送装置40の右端部に、栽培ベンチ10が横搬送下流側領域40dへ搬送されたことを検出するための横搬送完了センサ701が備えられている。横搬送完了センサ701として、例えば栽培ベンチ10の横搬送先端部(右端部)に接触して信号を出力するリミットスイッチ、又は栽培ベンチ10の横搬送先端部を検出する光センサや磁気センサのような非接触センサを使用することができる。
次に、基本的に同じ構造を有する一対の縦案内装置20(20A,20B)の概略構造を図11に側面図として示す。縦案内装置20は、一対の横方向に離間した平行な縦案内レール201が複数の支柱202や梁によって支持された構造を有する。一対の平行な縦案内レール201は、前述のように、栽培ベンチ10の矩形枠体11の底面側に備えられた二対の遊転輪14,15を案内する。つまり、二対の遊転輪14,15が一対の平行な縦案内レール201の上を転動することによって栽培ベンチ10が縦案内装置20の上を縦方向に搬送される。なお、図11では縦案内装置20の中央部を省略し、短縮して描いている。
一対の縦案内レール201は、本実施形態では、円筒状のスチールパイプで構成されている。これによって、重量を抑えながら強度と剛性を確保している。円筒パイプの代わりに、例えば断面正方形の角パイプを使用してもよい。その場合は、左側の縦案内レール201は、角パイプの上面が水平になるように固定して、遊転輪14がその上面を転動する。他方、右側の縦案内レール201は、角パイプの稜線が上になり、その両側の平面が45度の傾きとなるように固定して、遊転輪15を構成する2個の遊転輪152が稜線の両側の平面を斜め上から挟むようにして転動することになる。
図11に示すように、縦案内装置20の前後(図11では左右)に位置する横搬送装置40には、縦案内装置20の縦案内レール201に接続して一本の直線案内レールとなるように構成された受継ぎ部材402と、この受継ぎ部材402を昇降駆動する昇降装置43が備えられている。受継ぎ部材402と昇降装置43は、横搬送装置40の横搬送上流側領域40uと横搬送下流側領域40dに一対ずつ備えられている。昇降装置43は、受継ぎ部材402が縦案内レール201に接続して一本の直線案内レールとなる上昇位置と、下方に退避する退避位置との間で受継ぎ部材402を昇降駆動する。
図12及び図13に、受継ぎ部材402が上昇位置にあるとき及び退避位置にあるときの昇降装置43を含む横搬送装置40の概略を側面図としてそれぞれ示す。昇降装置43は、梁部材431の上に設置されたエアシリンダ432と、その上方に延びるピストンロッド433と、その先端に固定された昇降板434と、昇降板434を上下方向スライド自在に支持する一対の案内枠435を備えている。昇降板434の上端に受継ぎ部材402が固定されている。
エアシリンダ432のピストンロッド433が伸長すると、昇降板434と共に受継ぎ部材402が上昇し、図12に示すように、受継ぎ部材402は上昇位置になる。この上昇位置において、受継ぎ部材402は縦案内装置20の縦案内レール201と同じ高さになり、両者は一本の直線案内レールとなる。この状態で、栽培ベンチ10の矩形枠体11の底面側に備えられた二対の遊転輪14,15は、縦案内レール201から受継ぎ部材402へ、あるいはその逆方向に円滑に転動しながら移動することができる。したがって、縦案内装置20と横搬送装置40との間で、プルユニット22又はプッシュユニット21による栽培ベンチ10の移動(受け渡し)を円滑に行うことができる。
横搬送装置40の横搬送上流側領域40uにおいて、一対の受継ぎ部材402によって栽培ベンチ10が支持されている状態(図12の状態)でエアシリンダ432のピストンロッド433(の突出長)が短くなると、昇降板434と共に受継ぎ部材402が下降する。そして、図13に示す退避位置まで受継ぎ部材402が下降する途中で、共に下降する栽培ベンチ10の底面側、正確には一対の横枠部材111の底面側が案内輪48に接触して支持される。また、図10を参照しながら前述したように、前後方向(縦方向)奥側の横枠部材111の底面側が駆動ローラ503に接触して支持される。
図13に示すように、受継ぎ部材402が退避位置まで下降した状態では、栽培ベンチ10の底面側の二対の遊転輪14,15は、受継ぎ部材402の上面から離れてフリーの状態になる。したがって、駆動ローラ503が回転して栽培ベンチ10が横搬送されるときに、受継ぎ部材402がその妨げとなることはなく、横搬送の負荷となることもない。
また、横搬送装置40の横搬送下流側領域40dへ横搬送された栽培ベンチ10の下方で、図13の状態からエアシリンダ432のピストンロッド433が伸長すると、退避位置にある受継ぎ部材402が図12に示す上昇位置まで上昇する。その途中で一対の受継ぎ部材402が栽培ベンチ10の二対の遊転輪14,15に接触して支持し、栽培ベンチ10を持ち上げる。そして、受継ぎ部材402は縦案内装置20の縦案内レール201と同じ高さになり、両者は一本の直線案内レールとなる。この状態でプッシュユニット21が作動することにより、栽培ベンチ10は縦案内装置20の最上流位置20uへ円滑に搬送される。
次に、プッシュユニット21の構造について説明する。図14及び図15は、プッシュユニット21の概略構造を示す平面図及び側面図である。プッシュユニット21(21A,21B)は、図1及び図2に示すように、横搬送装置40(40A,40B)の横搬送下流側領域40dに設けられ、横搬送装置40の横搬送下流側領域40dに位置する栽培ベンチ10を縦案内装置20の最上流位置20uへ移動することにより、縦案内装置20の上に並んでいる複数の栽培ベンチ10を玉突き状に縦搬送するためのものである。プッシュユニット21Aとプッシュユニット21Bは同じ構造であるが、それによって搬送される栽培ベンチ10の前後方向(縦方向)が異なる。図15では、縦方向手前側の横搬送装置40の横搬送下流側領域40dに設けられたプッシュユニット21Aを例にとって描いている。
プッシュユニット21は、図14及び図15に示すように、プッシュユニット電動モータ211と、その出力軸(回転軸)212に固定された駆動スプロケット213と、その前後方向(縦方向)に所定の間隔を隔てて配置された従動スプロケット214と、駆動スプロケット213と従動スプロケット214との間に架け渡されたチェーン215と、ボルト・ナット216及び金具を用いてチェーン215の上面に固定されたプッシュ板部材217を備えている。プッシュユニット電動モータ211の駆動回路(図示省略)にはインバータが設けられている。
図15において、プッシュユニット電動モータ211の回転軸212が時計回りに回転すると、駆動スプロケット213と従動スプロケット214との間に架け渡されたチェーン215が時計回りに回転し、その上面に固定されたプッシュ板部材217が実線の位置から破線の位置まで右方向(縦方向)に移動する。このとき、プッシュ板部材217の作用面218が、上昇位置(図12参照)にある横搬送下流側領域40dの受継ぎ部材402上に位置する栽培ベンチ10の横枠部材111の横方向中央部に接触し、栽培ベンチ10を横搬送装置40の横搬送下流側領域40dから縦案内装置20の最上流位置20uへ搬送する。前述のように、栽培ベンチ10の底面側に備えられた二対の遊転輪14,15(図4から図7参照)が受継ぎ部材402及び縦案内レール201の上を転動しながら移動するので、栽培ベンチ10は円滑に横搬送装置40から縦案内装置20へ移動する。そして、縦案内装置20の上に並んでいる複数の栽培ベンチ10が玉突き状に縦搬送される。
なお、プッシュ板部材217が図14及び図15における実線で示す待機位置から破線で示すプッシュ完了位置まで移動したことを検出するプッシュ完了センサ702(図26参照)が、駆動スプロケット213及び従動スプロケット214を支持するフレームに配設されている。プッシュ完了センサ702の出力によってプッシュ板部材217がプッシュ完了位置まで移動したことが検出されると、プッシュユニット電動モータ211が停止し、その後逆転してプッシュ板部材217が待機位置まで戻るように制御される。ここで、プッシュユニット電動モータ211の正転時と逆転時で回転速度を異ならせてもよい。例えば、プッシュユニット電動モータ211は、プッシュ板部材217を戻すときに、栽培ベンチ10を搬送するときの正転時の回転速度に比べて速い回転速度で逆転される。
また、プッシュ板部材217が待機位置まで戻ったことを検出するプッシュ戻りセンサ703(図26参照)がフレームに配設されている。プッシュ完了センサ702の出力によってプッシュ板部材217が待機位置まで戻ったことが検出されると、プッシュユニット電動モータ211を停止して、本体コントローラ600(図26参照)に搬送開始信号が入力されるまで待機する。プッシュ完了センサ702とプッシュ戻りセンサ703は例えばリミットスイッチや光センサ、磁気近接センサ等でそれぞれ構成される。制御の詳細については後述する。
上述のように、本実施形態では、プッシュユニット電動モータ211の回転力を直線駆動力に変換する機構としてスプロケット及びチェーンを用いているが、これに限らず、ラック・ピニオンやネジ送り機構等、他のメカニズムを用いてもよい。また、プッシュユニット21の駆動源としてプッシュユニット電動モータ211を用いているが、これに限らず、エアシリンダや油圧シリンダ等、他の駆動源を用いてもよい。
次に、プルユニット22の構造について説明する。図16及び図17は、プルユニット22の概略構造を示す側面図及び平面図である。プルユニット22(22A,22B)は、図1及び図2に示すように、横搬送装置40(40A,40B)の横搬送上流側領域40uに設けられ、縦案内装置20の最下流位置20dにある栽培ベンチ10を横搬送装置40の横搬送上流側領域40uへ移動するためのものである。プルユニット22Aとプルユニット22Bは同じ構造であるが、それによって搬送される栽培ベンチ10の前後方向(縦方向)が異なる。図16では、縦方向手前側の横搬送装置40の横搬送上流側領域40uに設けられたプルユニット22Aを例にとって描いている。
プルユニット22は、縦方向に延びる細長いガイド部材221とその上を前後方向(縦方向)に摺動するスライドブラケット222と、スライドブラケット222に対して横方向の軸心AX2周りに揺動自在に枢支された揺動係合部材223を備えている。ガイド部材221は、プルユニット駆動部224の上に固定され、プルユニット駆動部224は複数本の脚で支持されている。
プルユニット駆動部224は、ガイド部材221の長手方向(縦方向)に沿ってスライドブラケット222をスライドさせる駆動力を与えるためのものである。プルユニット駆動部224は、具体的にはロッドレスシリンダで構成される。ただし、プルユニット駆動部224はこれに限定せず、エアシリンダ、油圧シリンダ、電動モータとネジ送り機構、その他種々の公知の駆動手段の中から適切なものを選択することもできる。前述のプッシュユニット21は横搬送装置40の横搬送下流側領域40dに位置する栽培ベンチ10及び縦案内装置20の上に並んでいる複数の栽培ベンチ10を玉突き状に縦搬送するので、比較的大きな駆動力を必要とする。これに対し、プルユニット22は縦案内装置20の最下流位置20dにある栽培ベンチ10(1台)のみを横搬送装置40へ移動すればよいので、比較的小さな駆動力で済む。
スライドブラケット222に対して軸心AX2周りに揺動自在に枢支された揺動係合部材223は、アルミニウムや樹脂で作製された略直方体形状のブロックである。スライドブラケット222の長手方向(前後方向)の前側寄りに枢支の軸心AX2が位置し、定常状態の揺動係合部材223は、図16に実線で示すように、その自重によって後端側が下がり、先端係合部225が上がった状態となっている。なお、揺動係合部材223は、実線の位置から反時計回りに(破線の位置へ)揺動可能であるが、実線の位置から時計回りに揺動することはできないように構成されている。また、スライドブラケット222は、図16に実線で示すように、ガイド部材221の長手方向(縦方向)の後端位置(図16では右端位置)で待機している。ガイド部材221の長手方向の後端位置は縦案内装置20の最下流位置20dに配置されている。
プルユニット22の作動時には、プルユニット22のプルユニット駆動部224が正作動してスライドブラケット222がガイド部材221の長手方向(縦方向)に沿って実線で示す待機位置から破線で示すプル完了位置まで移動する。このとき、揺動係合部材223の先端係合部225(実線の位置)が縦案内装置20の最下流位置20dにある栽培ベンチ10の移動方向先端側(前側)の横枠部材111の内側(後側)に接触(係合)し、図16に示すように、栽培ベンチ10を破線の位置(上昇位置にある受継ぎ部材402上)に搬送する。
スライドブラケット222がガイド部材221の長手方向(縦方向)に沿ってプル完了位置(破線の位置)まで移動したことを検出するプル完了センサ705(図26参照)がガイド部材221に配設されている。プル完了センサ705は例えばプルユニット駆動部224に設けられた磁気近接センサやリミットスイッチ、光センサ等で構成される。プル完了センサ705の出力によってスライドブラケット222がプル完了位置まで移動したことが検出されると、プルユニット駆動部224は作動を停止する。プルユニット駆動部224は、例えばプッシュユニット21によって縦案内装置20の上に並んでいる複数の栽培ベンチ10が玉突き状に縦搬送され、その縦搬送が完了して先頭の栽培ベンチ10が最下流位置20dに配置されるまで待機する。
プルユニット22による栽培ベンチ10の移動及びプッシュユニット21による栽培ベンチ10の縦搬送が完了すると、プルユニット22のプルユニット駆動部224が逆作動してスライドブラケット222が最下流位置20dの栽培ベンチ10下方の待機位置(実線の位置)まで戻る。このとき、スライドブラケット222が待機位置へ戻る途中で、揺動係合部材223の先端係合部225は、受継ぎ部材402(図12参照)上の栽培ベンチ10の移動方向末端側(後側)の横枠部材111と、最下流位置20dの栽培ベンチの移動方向先端側(前側)の横枠部材111に順に接触する。揺動係合部材223は、横枠部材111との接触により、図16に破線で示すように、先端係合部225が少し下がった状態に揺動し、スライドブラケット222の待機位置側への移動にともなって横枠部材111下方を通過した後、先端係合部225が上昇し、待機位置では実線の位置に戻る。図示は省略するが、上記のように揺動係合部材223が揺動したことを検出する縦搬送センサ704(図26参照)がスライドブラケット222に配設されている。
また、スライドブラケット222が待機位置まで戻ったことを検出するプル戻りセンサ706(図26参照)がガイド部材221に配設されている。プル戻りセンサ706は例えばプルユニット駆動部224に設けられた磁気近接センサやリミットスイッチ、光センサ等で構成される。プル戻りセンサ706の出力によってスライドブラケット222が待機位置まで戻ったことが検出されると、プルユニット駆動部224は作動を停止して、本体コントローラ600(図26参照)に搬送開始信号が入力されるまで待機する。このようにして、プルユニット22は、縦案内装置20の最下流位置20dにある栽培ベンチ10を横搬送装置40の横搬送上流側領域40uの受継ぎ部材402上へ搬送する。
本実施形態では、図1において手前側の横搬送装置40Aの横搬送下流側領域40d手前の空間が栽培ベンチ10上の栽培植物等に対する作業場所として設定される。作業者は、作業場所において種々の作業(例えば果実摘み、花がら摘み、草取り、剪定、プランタ2の交換等)を行う。また、奥側の横搬送装置40Bの搬送方向(横方向)の略中央部には、横搬送中の栽培ベンチ10上の栽培植物に対して潅水を行う潅水装置31と害虫防除用の薬剤散布を行う薬剤散布装置32が配置されている。
薬剤散布装置32は、作業場所から最も離れた位置で薬剤散布を行うので、作業場所で作業中の作業者に対する薬剤の悪影響を少なくすることができる。潅水装置31による植物への潅水は、特に作業者に対して悪影響を及ぼすことはないので、奥側の横搬送装置40Bと手前側の横搬送装置40Aの両方の略中央部に潅水装置31を設けてもよい。
次に、プランタ2内の培土を耕耘する耕耘部5について説明する。図1から図3、図8及び図9に示すように、耕耘部5は例えば横搬送装置40Aの長手方向中央部に配置される。耕耘部5は、横搬送装置40A及び縦案内装置20A,20Bにおける栽培ベンチ10の移動に干渉しないようにして、横搬送装置40Aを跨いで配置される。図18から図21に示すように、耕耘部5は、栽培ベンチ10上に配置されたプランタ2内の培土を耕耘する耕耘装置4と耕耘装置4を横搬送装置40Aの上方で昇降させるエアシリンダ94(耕耘昇降装置)を有する。
耕耘部5のフレームは、横搬送装置40Aの両側に2本ずつ配置されるとともに例えば地面(土台)に取外し可能に固定及び立設される計4本の下部縦フレーム71と、下部縦フレーム71の先端部間を連結する4本の下部横フレーム72を備えている。下部縦フレーム71は平面視で横搬送装置40Aの長手方向に直交する平行な2辺をもつ矩形の角部にそれぞれ配置される。4本の下部横フレーム72は平面視矩形枠状に連結されるとともに、2本の下部横フレーム72は横搬送装置40A上を跨いで配置される。また、横搬送装置40Aの長手方向に沿って配置される2本の下部縦フレーム71の中央部同士は下部横桟フレーム73により連結されている。
横搬送装置40A上を跨いで配置される2本の下部横フレーム72の上面に、それぞれ2本ずつ、計4本の上部縦フレーム74が立設されている。上部縦フレーム74は平面視矩形の角部にそれぞれ配置される。4本の上部縦フレーム74の先端部は平面視矩形枠状に連結された4本の上部横フレーム75により連結される。横搬送装置40Aの長手方向に沿って配置される2本の上部縦フレーム74の中央部同士は上部横桟フレーム76により連結されている。また、横搬送装置40A上を跨いで配置される2本の下部横フレーム72は、2本の上部横桟フレーム76の下方にそれぞれ配置される横連結フレーム77により連結されている(図20参照)。
耕耘部5は、図22及び図23に示すように、2本のエアシリンダ94で耕耘装置4を挟持するようにして、耕耘装置4の両側方(本実施形態では、左右側方)を把持し、耕耘装置4を耕耘部5内で上下動可能に配置している。耕耘部5は、その上部で対向するように設けた2枚の側板95それぞれに、上下のシリンダ支持ブラケット96a,96bを介して、エアシリンダ94を固定している。即ち、L字状断面のシリンダ支持ブラケット96aが、エアシリンダ94の上端と連結するとともに、側板95の上側に締結される。また、L字状断面のシリンダ支持ブラケット96bが、エアシリンダ94の下側を把持するとともに、側板95の下側に締結される。
エアシリンダ94は、その下端側から挿通しているピストンロッド97を有しており、ピストンロッド97下端の連結部97aを耕耘装置4の連結部材98に締結する。これにより、固定されたエアシリンダ94に対してピストンロッド97が上下に伸縮動作を行い、耕耘装置4を上下動させる。ピストンロッド97を挿入したコイルばね99が、エアシリンダ94の下方とピストンロッド97の連結部97a上方とを連結している。したがって、コイルばね99の弾性力が耕耘装置4を上方に位置させるように働くため、ピストンロッド97を縮めた状態で耕耘装置4を上方に位置させているとき、エアシリンダ94にかかる耕耘装置4の重量負担を低減できる。エアシリンダ94は耕耘装置4を昇降させる耕耘昇降装置を構成する。
耕耘部5は、対向する2側面であってエアシリンダ94の設置側面と異なる側面(本実施形態では、前後側面)それぞれに、上下方向にガイド棒81を延設している。ガイド棒81は、横連結フレーム77の上面より垂直に立設されており、上部横桟フレーム76の下面と接続されている。すなわち、耕耘部5は、横連結フレーム77と上部横桟フレーム76との間に、ガイド棒81を架設している。耕耘部5の筐体フレームに固定された2本のガイド棒81はそれぞれ、耕耘装置4の両側方に設けた円筒形状のガイド部材110に挿通されている。したがって、ピストンロッド97を伸縮させたとき、ガイド部材110がガイド棒81により位置が規制されるため、耕耘装置4は、前後左右にずれることなく上下動する。
耕耘部5は、図19から図23に示すように、横搬送装置40Aの長手方向であるベンチ横搬送方向に沿って耕耘装置4の前後(本実施形態では、耕耘装置4の左右側方位置)に、プランタ2の隣接位置を検出する位置検出部としての測距センサ132,133を有する。本実施形態では、位置検出部として、光学式の測距センサなどの非接触式センサを使用した例を示す。なお、位置検出部は、横搬送装置40Aでのベンチ進行方向前側及び後側のプランタ2の外枠位置を検出できるものであればよく、例えばリミットセンサなどの接触式センサを使用しても構わない。
位置検出部である測距センサ132,133は、センサ支持ブラケット134を介して、耕耘装置4の連結部材98下側に取り付けられている。すなわち、横搬送装置40Aのベンチ搬送方向上流側に配置される上流側測距センサ132が、耕耘装置4右側でピストンロッド97と連結している連結部材98下側に、センサ支持ブラケット134を介して固定されている。また、ベンチ搬送方向下流側に配置される下流側測距センサ133が、耕耘装置4左側でピストンロッド97と連結している連結部材98下側に、センサ支持ブラケット134を介して固定されている。
耕耘装置4は、図22及び図23に示すように、培土再生装置であって、2本のエアシリンダ94のピストンロッド97先端と連結して耕耘部5に吊下支持された筐体82の上部に攪拌用駆動源としての駆動モータ114を有し、筐体82の下部に2本の攪拌スクリュー115,116を有する。攪拌スクリュー115,116はそれぞれ2枚のスクリュー刃122を有し、スクリュー刃122を回転させることで、プランタ2内の培土を攪拌して耕耘する。なお、耕耘装置4における培土を攪拌する部材はスクリュー刃122に限定されず、回転により培土を攪拌可能な他の部材、例えばオーガドリルなどであってもよい。
耕耘装置4は、駆動モータ114を回転させることで、攪拌スクリュー115,116を回転させる。また、耕耘装置4は、ピストンロッド97の伸縮により耕耘部5に対して上下動するため、図24に示すように、ピストンロッド97を伸ばして耕耘装置4を下降させたときに、駆動モータ114により攪拌スクリュー115,116を回転させて、プランタ2内の培土を耕耘する。
図25に示すように、耕耘部5は耕耘装置4の昇降や駆動モータ114の回転を制御する耕耘部コントローラ130(制御部)を備えている。耕耘部コントローラ130は、後述する本体コントローラ600(図26参照)からの信号を受けて、エアシリンダ94への高圧空気の供給を制御し、ピストンロッド97を上下に伸縮させる。耕耘部5の制御部である耕耘部コントローラ130は、装置外部の電源と電気配線を介して接続され、外部電源から電力供給される。エアシリンダ94におけるピストンロッド97を伸縮させる空気圧回路136は、エアシリンダ94に高圧空気を供給するコンプレッサ137と、耕耘装置4の耕耘昇降装置を構成するエアシリンダ94を備えている。
コンプレッサ137とエアシリンダ94とは、5ポート3位置切換型の方向切換電磁弁138を介して接続されている。方向切換電磁弁138は、制御手段としての耕耘部コントローラ130に電気的に接続された一対の電磁ソレノイド139を有している。方向切換電磁弁138は、耕耘部コントローラ130からの指令に基づく各電磁ソレノイド139の励磁によって、エアシリンダ94のピストンロッド97を伸長動させる伸長位置と、ピストンロッド97の動作を停止させる停止位置と、ピストンロッド97を短縮動させる短縮位置とに切換駆動するように構成されている。コンプレッサ137は、耕耘部5の装置外部に設置されており、耕耘部5に設置される方向切換電磁弁138と空気配管(ホース)を介して接続されている。
耕耘部コントローラ130は、攪拌用駆動源である駆動モータ114を回転駆動させるモータドライバ135に制御信号を出力する一方、測距センサ132,133からの測定信号が入力される。駆動モータ114、モータドライバ135及び測距センサ132,133には外部の電源から電力が供給されている。耕耘部コントローラ130は、位置検出部となる測距センサ132,133からの測定信号を受けて、プランタ2のベンチ進行方向前側及び後側の外枠の位置を検出する。すなわち、耕耘部コントローラ130は、測距センサ132,133の測定信号に基づいて、耕耘装置4の下方をプランタ2の外枠が通過中であるか、プランタ2内の培土が通過中であるかを検出する。
横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送開始後、最初に上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L1まで短くなったとき、耕耘部コントローラ130は、横搬送中の栽培ベンチ10上のプランタ2のうちベンチ進行方向の先頭に位置するプランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が耕耘装置4に接近したものと判定する。
続いて、上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L2(L2>L1)まで長くなり、下流側測距センサ133の測定距離が所定距離L1まで短くなったとき、耕耘部コントローラ130は、ベンチ進行方向の先頭に位置するプランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が耕耘装置4の下方を通過してプランタ2内の培土の上を耕耘装置4が通過中である判定する。なお、耕耘部コントローラ130は、測距センサ132,133の測定距離が所定範囲±ΔL2内で同等となったときに、プランタ2内の培土の上を耕耘装置4が通過中であると判定してもよい。
耕耘部コントローラ130は耕耘装置4の下降制御を実行すべく、電磁ソレノイド139に制御信号を与えて、方向切換電磁弁138を伸長位置に切り換え、エアシリンダ94のピストンロッド97を伸長動させて、所定距離だけ耕耘装置4を下降させる。その後、耕耘部コントローラ130は、電磁ソレノイド139に制御信号を与えて、方向切換電磁弁138を停止位置に切り換え、エアシリンダ94のピストンロッド97を伸長位置で固定させる。そして、耕耘部コントローラ130は、モータドライバ135に制御信号を与えて、駆動モータ114の回転駆動を開始させる。このとき、測距センサ132,133は耕耘装置4とともに下降され、測距センサ132,133の測定距離は同時に所定距離L3(L3<L1<L2)まで短くなる。
なお、耕耘部コントローラ130は、上流側測距センサ132の下方をプランタ2の外枠が通過して上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L2(L2>L1)まで長くなったときに、栽培ベンチ10の横搬送速度を用いてプランタ2の外枠が耕耘装置4の下方を通過する時期を予測し、下流側測距センサ133の測定距離が所定距離L1まで短くなる前に、スクリュー刃122がプランタ2に接触しない範囲でエアシリンダ94を下降作動させて耕耘装置4の下降動作を開始させてもよい。ここで、上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L2になった時期から耕耘装置4の下降動作を開始させるまでの間の時間長さを、耕耘部コントローラ130の内部又は外部に設けられた記憶装置に予め記憶させておいてもよい。この場合、耕耘部コントローラ130は、その時間長さを用いて、上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L2になった後に耕耘装置4の下降動作を開始させるようにしてもよい。
横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送が進み、上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L4(L4<L3)まで短くなったとき、耕耘部コントローラ130は、ベンチ進行方向の先頭に位置するプランタ2のベンチ進行方向後側の外枠が耕耘装置4に接近したものと判定する。
このとき、耕耘部コントローラ130は、モータドライバ135に制御信号を与えて駆動モータ114の回転動作を停止させる。また、耕耘部コントローラ130は、耕耘装置4の上昇制御を実行すべく、電磁ソレノイド139に制御信号を与えて、方向切換電磁弁138を短縮位置に切り換え、エアシリンダ94のピストンロッド97を短縮動させて、耕耘装置4を所定距離だけ上昇させる。その後、耕耘部コントローラ130は、電磁ソレノイド139に制御信号を与えて、方向切換電磁弁138を停止位置に切り換え、エアシリンダ94のピストンロッド97を短縮位置で固定させる。これにより耕耘装置4による培土攪拌作業が停止される。なお、耕耘部コントローラ130は、測距センサ132,133の測定距離の差が所定範囲ΔL4(ΔL4>ΔL2)以上となったときに、プランタ2のベンチ進行方向後側の外枠を検出するようにしてもよい。
測距センサ132,133は耕耘装置4とともに上昇され、上流側測距センサ132の測定距離はプランタ2の外枠検出時の所定距離L1になり、下流側測距センサ133の測定距離はプランタ2内の培土検出時の所定距離L2になる。
横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送が進み、上流側測距センサ132の測定距離が所定距離L2になり、下流側測距センサ133の測定距離が所定距離L1になったとき、耕耘部コントローラ130は、ベンチ進行方向の先頭に位置するプランタ2のベンチ進行方向後側の外枠及びベンチ進行方向で2番目に位置するプランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が耕耘装置4の下方を通過して、ベンチ進行方向で2番目に位置するプランタ2内の培土の上を耕耘装置4が通過中である判定する。
耕耘部コントローラ130は、ベンチ進行方向の先頭に位置するプランタ2への耕耘作業と同様にして、ベンチ進行方向に配列された2番目から5番目のプランタ2に対して耕耘作業を行う。上流側測距センサ132の測定距離は、上流側測距センサ132の下方を5番目のプランタ2のベンチ進行方向後側の外枠が通過した後、上記所定距離L1よりも長くなる。これにより、耕耘部コントローラ130は、横搬送装置40A上を移動中の栽培ベンチ10上に配置された5つのすべてのプランタ2に対して耕耘作業を行ったことを確認する。
このようにして、栽培ベンチ10を移動させると同時に、栽培ベンチ10上でベンチ進行方向に配列された複数のプランタ2のベンチ進行方向前側及び後側の外枠(側面)の位置に合わせて、耕耘装置4の昇降と駆動モータ114のオン、オフを同期させる。これにより、横搬送装置40Aによるプランタ2の横搬送時に、プランタ2と耕耘装置4の接触を防止しながら、ベンチ横搬送方向に配列された複数のプランタ2内の培土を順次耕耘できる。
次に、本実施形態の移動栽培装置に備えられた制御装置(以下、コントローラという)による栽培ベンチ搬送制御の例を図26及び図27を参照しながら説明する。図26は、移動栽培装置の制御系の例を示すブロック図であり、図27は栽培ベンチ搬送制御の例を示すフローチャートである。
図26に示すように、移動栽培装置1に備えられた本体コントローラ600(制御部)に、横搬送完了センサ701、プッシュ完了センサ702、プッシュ戻りセンサ703、縦搬送センサ704、プル完了センサ705、及びプル戻りセンサ706の各出力信号(検出信号)が入力される。これらのセンサについては、既に説明したとおりである。また、栽培ベンチ10の搬送開始信号を出力する起動スイッチ707の信号と、栽培ベンチ10の搬送停止信号を出力する停止スイッチ708の信号も本体コントローラ600に入力される。
一方、本体コントローラ600から出力される制御信号が、既に説明した横搬送装置40の横駆動部50の横搬送電動モータ501、昇降装置43(エアシリンダ432)、プッシュユニット21のプッシュユニット電動モータ211、プルユニット22のプルユニット駆動部224、潅水装置31及び薬剤散布装置32に与えられる。実際には、それぞれの駆動回路に本体コントローラ600からの制御信号が与えられるが、本体コントローラ600に各駆動回路が含まれていると考えることもできる。また、本体コントローラ600には耕耘部コントローラ130(図25参照)が通信可能に接続されている。
また、本体コントローラ600は、例えば、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)や、制御プログラムや各種データを記憶したROM(Read Only Memory)、制御プログラムや各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、入力インターフェース等を有している。本体コントローラ600は、所定の制御プログラムに従って、各センサからの出力信号(検出信号)に基づいて、各電動モータやエアシリンダ等(の駆動回路)を制御する。栽培ベンチ搬送制御の一例を図27のフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態の移動栽培装置1は、図1及び図9に示すように、横搬送装置40の横搬送下流側領域40dで栽培ベンチ10が停止している状態をベンチ搬送待機状態としている。より詳細には、移動栽培装置1は、受継ぎ部材402が上昇位置(図9及び図12参照)に位置しており、栽培ベンチ10が横搬送装置40の横搬送下流側領域40dの受継ぎ部材402上で停止している状態をベンチ搬送待機状態としている。また、縦案内装置20の最下流位置20dに栽培ベンチ10が配置されている。
図27に示すように、移動栽培装置1がベンチ搬送待機状態にあるときに作業者によって起動スイッチ707が押されると、起動スイッチ707の搬送開始信号が本体コントローラ600に入力される(ステップS1)。本体コントローラ600は、搬送開始信号の入力により、ベンチ搬送待機状態を解除して栽培ベンチ10の搬送を開始すべく、プッシュユニット電動モータ211とプルユニット駆動部224を作動させる(ステップS2)。
プッシュユニット電動モータ211の作動によりプッシュユニット21が作動し、横搬送下流側領域40dの受継ぎ部材402から縦案内装置20の最上流位置20uへの栽培ベンチ10の移動が開始される。また、プルユニット駆動部224の作動によりプルユニット22が作動し、横搬送上流側領域40uで縦案内装置20の最下流位置20dから受継ぎ部材402への栽培ベンチ10の移動が開始される。
図1及び図9に示すように、ベンチ搬送待機状態にあるときは、プルユニット22の作動により縦案内装置20の最下流位置20dの栽培ベンチ10が横搬送上流側領域40uの受継ぎ部材402上へ移動可能な状態になっている。また、プッシュユニット21の作動により横搬送下流側領域40dの受継ぎ部材402上の栽培ベンチ10が縦案内装置20の最上流位置20uに移動可能な状態になっている。したがって、この実施形態の移動栽培装置1は、本体コントローラ600に搬送開始信号が入力された後、直ちに、プッシュユニット21による栽培ベンチ10の玉突き状の搬送、及びプルユニット22による栽培ベンチ10の移動を開始できる。
この実施形態の移動栽培装置1では、プッシュユニット21による複数の栽培ベンチ10の玉突き状の搬送は、プルユニット22による1台のみの栽培ベンチ10のみの搬送に比べて、低速度で行われる。換言すれば、プルユニット22による栽培ベンチ10の搬送は、同時に作動開始されたプッシュユニット21による栽培ベンチ10の搬送よりも早く完了する。ただし、栽培ベンチ10のプッシュユニット21による搬送とプルユニット22による搬送に関して、プルユニット22による搬送の方が早く完了してもよいし、同時に完了してもよい。
プッシュユニット21及びプルユニット22の作動開始後、プル完了センサ705の出力によってスライドブラケット222(図16参照)がプル完了位置まで移動したこと、つまりプルユニット22による栽培ベンチ10の受継ぎ部材402への移動が完了したことが検出されると(ステップS3:Yes)、本体コントローラ600はプルユニット駆動部224の作動を停止させる(ステップS4)。
その後、プッシュ完了センサ702の出力によってプッシュ板部材217(図15参照)がプッシュ完了位置まで移動したこと、つまりプッシュユニット21による縦案内装置20での複数の栽培ベンチ10の縦搬送が完了したことが検出されると(ステップS5:Yes)、本体コントローラ600はプッシュユニット電動モータ211の作動を停止させる(ステップS6)。プッシュユニット21による複数の栽培ベンチ10の玉突き状の搬送の完了により、縦案内装置20上の栽培ベンチ配列の先頭にある栽培ベンチ10は最下流位置20dに配置される。
本体コントローラ600は、プッシュ板部材217(図15参照)及びスライドブラケット222(図16参照)を待機位置へ戻すべく、プッシュユニット電動モータ211を逆転させ、プルユニット駆動部224を逆作動させる(ステップS7)。プッシュユニット21及びプルユニット22による次回の栽培ベンチ10の搬送に備えるためである。ここで、プッシュユニット電動モータ211の逆転時の回転速度は正転時(栽培ベンチ10搬送時)よりも速いことが好ましい。また、プルユニット駆動部224の逆作動によるスライドブラケット222の移動速さは正作動時(栽培ベンチ10搬送時)よりも速いことが好ましい。
また、上述のように、プルユニット22は比較的小さな駆動力で済むので、プルユニット駆動部224は、プッシュユニット21におけるプッシュ板部材217の移動速度よりもスライドブラケット222を速い速度で移動できる構成を有する。つまり、プッシュユニット21のプッシュ板部材217が待機位置に到達するよりも先に、プルユニット22のスライドブラケット222が待機位置に到達する。プル戻りセンサ706の出力によってスライドブラケット222が待機位置まで移動したこと、つまりプルユニット22が待機状態に戻ったことが検出されると(ステップS8:Yes)、本体コントローラ600はプルユニット駆動部224の逆作動を停止させる(ステップS9)。
なお、プルユニット22において、プルユニット駆動部224の逆作動によりスライドブラケット222が最下流位置20dの栽培ベンチ10下方の待機位置(図16の実線の位置)へ移動する途中で、揺動係合部材223の先端係合部225は、受継ぎ部材402(図12参照)上の栽培ベンチ10の移動方向末端側(後側)の横枠部材111と、最下流位置20dの栽培ベンチの移動方向先端側(前側)の横枠部材111に順に接触し、先端係合部225が揺動する。この先端係合部225の2回の揺動を縦搬送センサ704が検出することにより、受継ぎ部材402上と縦案内装置20の最下流位置20dに栽培ベンチ10がそれぞれ配置されたことを確認できる。
また、ステップS2からS4で栽培ベンチ10とともに横搬送上流側領域40uへ移動されたスライドブラケット222は栽培ベンチ10の下方に位置しており、栽培ベンチ10を下降させる際の妨げになるが、ステップS7からS9でスライドブラケット222が待機位置に移動されたことにより、栽培ベンチ10が下降可能な状態になる。本体コントローラ600は昇降装置43を作動させて、受継ぎ部材402を退避位置(図13参照)まで下降させる(ステップS10)。これにより、図10に示すように、栽培ベンチ10の横枠部材111の底面側が横搬送装置40の横搬送上流側領域40uで案内輪48及び駆動ローラ503に支持され、栽培ベンチ10を駆動ローラ503によって横搬送可能な状態となる。
本体コントローラ600は、栽培ベンチ10を横搬送装置40の横搬送上流側領域40uから横搬送下流側領域40dへ搬送させるべく、横搬送装置40の横搬送電動モータ501を作動させる(ステップS11)。この時点で、プッシュユニット21のプッシュユニット電動モータ211は上記ステップS7で開始した逆転動作を継続中であり、プッシュ板部材217は待機位置(図15の実線の位置)に戻っておらず、プッシュユニット21は待機状態(栽培ベンチ搬送前の状態)になっていない。本体コントローラ600は、栽培ベンチ10がプッシュユニット21上を通過するときにはプッシュ板部材217が待機位置に戻ってプッシュユニット21が待機状態になっていることを見越して栽培ベンチ10の横搬送を開始する。
栽培ベンチ10の横搬送が開始された後、プッシュユニット21のプッシュ板部材217が待機位置(図15の実線の位置)まで戻ったことをプッシュ戻りセンサ703が検出すると(ステップS12:Yes)、本体コントローラ600はプッシュユニット電動モータ211の逆転動作を停止させる(ステップS13)。プッシュ板部材217は栽培ベンチ10の横移動方向先端部がプッシュユニット21上に到達する前に待機位置に戻される。これにより、プッシュユニット21が待機状態(栽培ベンチ10搬送前の状態)になり、プッシュユニット21上を栽培ベンチ10が通過可能な状態になる。また、栽培ベンチ10の横搬送期間中、受継ぎ部材402は退避位置(図13参照)に配置されている。
また、栽培ベンチ10の横搬送が開始された後、上記ステップS12,S13の処理に並列して、耕耘部コントローラ130(図25参照)の制御による耕耘処理(ステップS21からS26)が実行される。耕耘部コントローラ130は本体コントローラ600から例えば横搬送装置40Aの横搬送開始信号を受信すると、耕耘処理を開始する。
横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送によって栽培ベンチ10が耕耘部5の下方に到達すると、まず、栽培ベンチ10上に配列された例えば5つのプランタ2(図5参照)のうち栽培ベンチ10のベンチ進行方向で先頭に位置するプランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が上流側測距センサ132により検出される(ステップS21:Yes)。そのプランタ2の外枠は、栽培ベンチ10の横搬送が継続されることにより、続いて下流側測距センサ133により検出される(ステップS22:Yes)。
このとき、プランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が耕耘装置4の下方を通過して耕耘装置4の下方に培土がある状態になる。耕耘部コントローラ130はエアシリンダ94を作動させて耕耘装置4を耕耘可能な位置まで下降させ(図24参照)、駆動モータ114の回転駆動を開始させて、スクリュー刃122の回転によるプランタ2内の培土の耕耘を開始する(ステップS23)。横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送が継続されることにより、プランタ2内の培土がベンチ進行方向前側から後側へ順次耕耘される。
さらに栽培ベンチ10の横搬送が進むと、プランタ2のベンチ進行方向後側の外枠が上流側測距センサ132により検出される(ステップS24:Yes)。耕耘部コントローラ130はエアシリンダ94を作動させて耕耘装置4をプランタ2の外枠上端よりも上方に移動させ(図21参照)、駆動モータ114の回転駆動を停止させる(ステップS25)。これにより、耕耘装置4とプランタ2の外枠の接触及び損傷が防止される。なお、ベンチ進行方向で隣り合うプランタ2,2同士が隣接して配置されている場合には、一方のプランタ2のベンチ進行方向後側の外枠と他方のプランタ2のベンチ進行方向前側の外枠は1つの外枠として検出される。
続いて、耕耘部コントローラ130は、例えば測距センサ132,133の外枠検出回数や耕耘装置4の昇降回数により、1つの栽培ベンチ10上のすべてのプランタ2内の培土を耕耘したか否かを判定する(ステップS26)。栽培ベンチ10上に耕耘未処理のプランタ2があるときには(ステップS26:No)、上記ステップS25の後、栽培ベンチ10の横搬送により耕耘装置4の下方にプランタ2内の培土が到達するので、上記ステップS22からS25の処理を繰り返す。栽培ベンチ10上の5つのプランタ2について耕耘処理を行ったときには耕耘処理を終了する(ステップS26:Yes)。
続いて、横搬送装置40による栽培ベンチ10の横搬送が続けられ、栽培ベンチ10の横移動方向先端部が待機状態のプッシュユニット21上を通過して横搬送完了センサ701の配置位置に到達する。横搬送完了センサ701が栽培ベンチ10の到達を検出すると(ステップS14)、本体コントローラ600は横搬送電動モータ501の作動を停止させる(ステップS15)。なお、本体コントローラ600は、栽培ベンチ10の横搬送期間中(ステップS11からS15の間)に、奥側の横搬送装置40B(図1参照)の略中央部に配置された潅水装置31及び薬剤散布装置32を適宜作動させて、横移動中の栽培ベンチ10上の栽培植物や培土に対して潅水や薬剤散布や後述する固形肥料の施肥を行うことが可能である。
横搬送下流側領域40dへの栽培ベンチ10の横搬送が完了すると、横搬送下流側領域40dの一方の受継ぎ部材402の上方に一対の遊転輪14が配置され、他方の受継ぎ部材402の上方に一対の遊転輪15が配置された状態になる(図2参照)。本体コントローラ600は昇降装置43を作動させ、受継ぎ部材402を上昇位置まで移動する(ステップS16)。この状態で本体コントローラ600による一連の栽培ベンチ搬送制御は終了し、移動栽培装置1はベンチ搬送待機状態になる(図1及び図9参照)。
また、本体コントローラ600は、起動スイッチ707からの搬送開始信号の入力の代わりに、本体コントローラ600の内部又は外部で計測される所定時間が経過すれば、自動的にステップS1からS16の制御を実行するようにしてもよい。この所定時間は、栽培ベンチ10に対する作業に必要な時間を考慮して設定されるが、変更可能であることが好ましい。特に、プランタ2内の培土の耕耘を目的とする場合には、この所定時間をゼロとし、すなわち上記ステップS16で受継ぎ部材402及び栽培ベンチ10を上昇位置へ移動させた後、すぐに次の栽培ベンチ搬送制御の上記ステップS2に移行して、栽培ベンチ10の循環に要する時間を短縮することが好ましい。これにより作業者が起動スイッチ707を押さなくても、自動的に栽培ベンチ10が循環されるとともに、プランタ2内の培土の耕耘が行われる。例えば、移動栽培装置1に配置されたすべてのプランタ2について培土の耕耘が行われるように、自動で栽培ベンチ10を一巡させる。また、すべてのプランタ2について複数回ずつ培土の耕耘が行われるように、自動で栽培ベンチ10を複数回循環させれば、プランタ2内の培土の耕耘を確実に行える。なお、栽培ベンチ10の搬送中に不具合が生じたときには、作業者により停止スイッチ708が押され、本体コントローラ600に搬送停止信号が入力されて、栽培ベンチ10の搬送が停止される。
このように、この実施形態の移動栽培装置1は、栽培ベンチ10上に配置されたプランタ2内の培土を耕耘する耕耘装置4と、耕耘装置4を横搬送装置40Aの上方で昇降させるエアシリンダ94(耕耘昇降装置)を有する耕耘部5を備え、横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送により培土が耕耘装置4の下方を通過するときに耕耘装置4が下降して培土を耕耘するようにした。これにより、横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送中に耕耘装置4を昇降させてプランタ2内の培土の耕耘を行うことができる。そして、栽培ベンチ10からプランタ2を下ろす作業や手作業で培土をひっくり返す作業が排除されるので、プランタ2内の培土の耕耘作業にともなう作業者の負担が大幅に軽減される。なお、耕耘部5は横搬送装置40B(図1参照)に配置されてもよい。
また、耕耘部5の下部縦フレーム71(図21参照)は、地面に取外し可能に固定されていることにより、耕耘部5を移動栽培装置1から取り外すことができる。これにより、プランタ2内の培土の耕耘の必要がないときには耕耘部5を取り外して、耕耘部5の配置スペースを例えば作業スペースや他の装置の配置スペースとして活用できる。また、取り外した耕耘部5を暗所等に保管することにより、光の照射やほこり等の付着による装置の劣化を低減できる。なお、耕耘部5が配置される個所は地面(土台)に限定されず、耕耘部5は例えば横搬送装置40に取外し可能に装着されてもよい。
また、この実施形態の移動栽培装置1は、1つの栽培ベンチ10上でベンチ横搬送方向に配列された複数のプランタ2に培土がそれぞれ収容される構成であって、横搬送装置40Aによる栽培ベンチ10の横搬送時に、プランタ2の位置を検出する測距センサ132,133(位置検出部)の出力により、プランタ2のベンチ進行方向前側の外枠が耕耘装置4の下方を通過した後に耕耘装置4を下降させ、プランタ2のベンチ進行方向後側の外枠が耕耘装置4に接近したときに耕耘装置4を上昇させる。これにより、耕耘装置4とプランタ2の接触、特にスクリュー刃122とプランタ2の外枠の接触に起因するプランタ2及び耕耘部5の損傷を防止しながら培土の耕耘作業を自動で行うことができる。
なお、この実施形態の移動栽培装置1では、測距センサ132,133の出力に応じて耕耘装置4を昇降させているが、栽培ベンチ10上でのプランタ2の配置位置と横搬送装置40による栽培ベンチ10の横搬送速度と耕耘装置4の配置位置に基づいて、プランタ2内の培土の耕耘作業を自動で行うこともできる。つまり、栽培ベンチ横搬送開始後に耕耘装置4の下方にプランタ2の外枠又は培土が搬送される時期を計算し、耕耘部コントローラ130はその計算結果と本体コントローラ600からの横搬送開始に応じた信号に基づいて耕耘装置4を下降及び上昇させることにより、培土の耕耘作業を自動で行うことができる。なお、耕耘装置4の動作は、予め設定されたプログラムに基づいて栽培ベンチ横搬送開始後に実行されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、本体コントローラ600と耕耘部コントローラ130は互いに通信可能に接続されているが、耕耘部コントローラ130は本体コントローラ600から独立して配置されてもよい。この場合、耕耘部5を起動及び停止する起動スイッチを耕耘部5に設けて耕耘部コントローラ130に接続し、耕耘部5は移動栽培装置1の他の装置とは別途起動されるようにしてもよい。耕耘部5を起動状態にしておけば、耕耘部コントローラ130による上記ステップS21からS26の耕耘処理が実行される。耕耘部5の電源系及び制御系を移動栽培装置1本体とは分離することにより、移動栽培装置1への耕耘部5の取付け及び取外しが容易になる。
次に、図28から図30を参照しながら施肥部を備えた変形例について説明する。図28はこの変形例の移動栽培装置1の概略平面図である。図29は同変形例の横搬送装置40Bの概略背面図である。図30は施肥部近傍を拡大して示す図であり、(A)は概略背面図、(B)は栽培ベンチ到達検出直前の概念図、(C)は栽培ベンチ到達検出後の概念図である。なお、図29及び図30(A)は横搬送装置40Bの横搬送上流側領域40uに栽培ベンチ10が配置された状態を示し、図27を参照ながら説明した上記ステップS10後の状態に対応する。また、図29及び図30において潅水装置31及び薬剤散布装置32の図示は省略されている。
図28及び図29に示すように、施肥部7は例えば横搬送装置40Bの中央部に栽培ベンチ10の移動に干渉しないようにして配置されている。施肥部7は施肥装置6とベンチ検出部63を備えている。施肥装置6は固形肥料を収容する固形肥料タンク61と固形肥料タンク61の下方に排出する肥料排出口をもつ排出弁62を備えている。施肥装置6は横搬送装置40Bを跨ぐようにして立設されたフレームに支持されて横搬送装置40Bの上方に配置されている。このフレームは、横搬送装置40Bによる栽培ベンチ10の横搬送に干渉しないようにして立設され、例えば上述の耕耘部5におけるフレームと同様の構成を有し、移動栽培装置1本体に対して取外し可能に配置される。
図29及び図30に示すように、ベンチ検出部63は施肥装置6の下方に栽培ベンチ10上のプランタ2が到達したことを検出する例えばリミットスイッチなどの接触式センサにより構成される。ベンチ検出部63は、例えば横搬送装置40Bの横レール47に取り付けられるとともに、栽培ベンチ10の横枠部材111に当接可能な位置に配置される。ベンチ検出部63は、横搬送装置40Bのベンチ横搬送によって施肥装置6の肥料排出口の下方にベンチ進行方向(白抜き矢印参照)で先頭のプランタ2のベンチ進行方向前側部位が到達したときに、栽培ベンチ10の到達を検出できる位置に配置される。なお、ベンチ検出部63は、リミットスイッチなどの接触式センサに限定されず、光センサや磁気センサなどの非接触センサであってもよい。また、ベンチ検出部63は施肥装置6の肥料排出口の下方へのプランタ2の到達を検出できる取付位置であれば、横枠部材111以外の箇所、例えば施肥部7のフレームに取り付けられてもよい。
図30(B)及び(C)に示すように、施肥部7はベンチ検出部63の出力に基づいて施肥装置6の排出弁62の動作を制御する施肥部コントローラ64を備えている。施肥部コントローラ64は本体コントローラ600(図26参照)と通信可能の設けられてもよいし、本体コントローラ600から独立して設けられてもよい。
図30(B)に示すように、栽培ベンチ10が横搬送装置40Bの横搬送上流側領域40uに配置された状態から横搬送装置40Bの作動により栽培ベンチ10が横搬送下流側領域40dに向けて搬送開始されると、栽培ベンチ10のベンチ進行方向前側部位が施肥装置6の下方に接近する。栽培ベンチ10の移動が進み、栽培ベンチ10のベンチ進行方向前側部位に配置されたプランタ2のベンチ進行方向前側部位が施肥装置6の下方に到達する。このとき、ベンチ検出部63の感知体が栽培ベンチ10の横枠部材111に接触して回動傾倒し、ベンチ検出部63はプランタ2及び栽培ベンチ10の到達を検出する。
施肥部コントローラ64はベンチ検出部63のベンチ検出に応じて施肥装置6の排出弁62の弁体を開く。排出弁62の肥料排出口から一定排出量で固形肥料65が排出され、プランタ2内の培土の上に施肥される。この状態で、本体コントローラ600の制御により、栽培ベンチ10は横搬送装置40B上を一定の移動速度で移動する。これにより、栽培ベンチ10上で進行方向に配列された5つのプランタ2内の培土の上に所定量の固形肥料65が均一に施肥される。
栽培ベンチ10の移動が進み、ベンチ検出部63の感知体が栽培ベンチ10の横枠部材111から離れて弾性復原力にて戻り回動すると、ベンチ検出部63はベンチ未検出状態になる。図4及び図5に示すように、栽培ベンチ10におけるプランタ載置部12の長手方向両端部は横枠部材111の長手方向両端部よりも長手方向に突出している。したがって、ベンチ検出部63がベンチ未検出状態になった後、栽培ベンチ10の移動が進むときに、しばらくの間は排出弁62の肥料排出口の下方にプランタ2が存在する。そこで、施肥部コントローラ64は、ベンチ検出部63がベンチ未検出状態になった後、排出弁62の肥料排出口の下方をプランタ2が完全に通過するまでの所定時間だけ、排出弁62を開いたままの状態にするように排出弁62の動作を制御する。これにより、栽培ベンチ10上のすべてのプランタ2に対して、固形肥料を均一に施肥できる。
この変形例の移動栽培装置1では、施肥部7は、移動栽培装置1で栽培ベンチ10の循環が繰り返されて施肥部7に栽培ベンチ10が到達するごとに、各栽培ベンチ10上のプランタ2内に固形肥料を施肥する。これにより、移動栽培装置1に配置されたすべての栽培ベンチ10上のプランタ2内に自動で固形肥料を均一に施肥できる。また、この変形例の移動栽培装置1では、施肥装置6の排出弁62の肥料排出口下方にプランタ2があるときだけ、肥料排出口から固形肥料が排出されるので、プランタ2外に固形肥料がばら撒かれるのを防止でき、無駄な固形肥料消費をなくして施肥コストの上昇を防止できる。
なお、この変形例の移動栽培装置1では、施肥部7はベンチ検出部63のベンチ検出に基づいて固形肥料65の排出時期を決定しているが、例えば施肥部コントローラ64を本体コントローラ600(図26参照)と通信可能に接続して、栽培ベンチ10上でのプランタ2の配置位置と横搬送装置40Bによる栽培ベンチ10の横搬送速度と施肥装置6の肥料排出口の配置位置に基づいて、プランタ2内への施肥作業を自動で行うこともできる。つまり、横搬送装置40Bによる栽培ベンチ10の横搬送開始後に施肥装置6の肥料排出口の下方にプランタ2が搬送される期間を計算し、施肥部コントローラ64はその計算結果及び本体コントローラ600からの横搬送開始に応じた信号に基づいて施肥装置6の排出弁62を開閉することにより、施肥作業を自動で行うことができる。なお、施肥装置6の動作は、予め設定されたプログラムに基づいて栽培ベンチ横搬送開始後に実行されるようにしてもよい。
また、この変形例では固形肥料タンク61が横搬送装置40B上に配置されているが、例えば排出弁62に接続されたホース等の固形肥料通路の肥料排出口が横搬送装置40B上に配置されていれば、固形肥料タンク61や排出弁62等が横搬送装置40B上に配置されていなくてもプランタ2内に固形肥料を施肥できる。
また、この変形例の移動栽培装置1では、図28に示すように、施肥部7が配置される横搬送装置40Bとは反対側の横搬送装置40Aに耕耘部5が配置されている。そこで、施肥部7によりプランタ2内の培土の上に施肥された固形肥料が耕耘部5による耕耘作業により培土の中に混ぜ込まれるようにしてもよい。
上記実施形態では、耕耘部5は、本体コントローラ600の制御信号に応じて、測距センサ132,133の出力に基づいて耕耘動作するが、耕耘部5の動作は作業者の手動によって制御されてもよい。例えば図31に示すように、耕耘部コントローラ130に起動スイッチ161、下降スイッチ162及び上昇スイッチ163が電気的に接続される。起動スイッチ161、下降スイッチ162及び上昇スイッチ163は作業者によって操作されるものである。耕耘部コントローラ130は、起動スイッチ161からの電気信号により耕耘部5を起動又は停止する。また、耕耘部コントローラ130は、下降スイッチ162からの電気信号により、エアシリンダ94(耕耘昇降装置)を下降作動させ、耕耘装置4の駆動モータ114を作動させてスクリュー刃122を回転させて、耕耘部5を耕耘動作させる(図24参照)。また、耕耘部コントローラ130は、上昇スイッチ163からの電気信号により、エアシリンダ94を上昇作動させ、耕耘装置4の駆動モータ114を停止させてスクリュー刃122の回転を停止させて、耕耘部5の耕耘動作を停止させる(図21参照)。
作業者は、起動スイッチ161を操作して耕耘部5を起動させ、例えば耕耘部5の傍で待機して栽培ベンチ10の搬送状況を確認しながら下降スイッチ162及び上昇スイッチ163を操作する。作業者は、下降スイッチ162及び上昇スイッチ163を適宜操作して、プランタ2に収容された培土が耕耘装置4の下方に搬送されたときにスクリュー刃122(図24参照)が培土に到達するように耕耘装置4を下降させる一方、プランタ2のベンチ進行方向後側の外枠が耕耘装置4に接近したときに耕耘装置4を上昇させることにより、プランタ2内の培土の耕耘作業を行う。このように、作業者の操作により、耕耘装置4がプランタ2の外枠に接触しないようにしながら、プランタ2内の培土の耕耘作業が行われる。
なお、作業者の手動制御により耕耘作業を行う際の耕耘部5の構成は、図31に示された構成に限定されず、作業者が耕耘装置4及びエアシリンダ94(耕耘昇降装置)の作動を制御できる構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、下降スイッチ162及び上昇スイッチ163を1つのスイッチで構成し、当該スイッチが1回操作される度に、耕耘装置4の下降及び作動開始と上昇及び作動停止が交互に行われるようにしてもよい。
以上に説明した本願発明の実施形態はあくまで一例であって、各部の構成は図面を参照しながら説明した実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では図1に示したように複数の栽培ベンチ10が平面視で反時計回りに循環するように構成されているが、横搬送装置40A,40Bによる横搬送の方向を逆にして、プッシュユニット21A,21Bとプルユニット22A,22Bの配置を逆にすれば、複数の栽培ベンチ10の循環方向を時計回りに変更することができる。
また、上記実施形態では、横搬送装置40は、縦案内装置20に接続される受継ぎ部材402と、受継ぎ部材402が縦案内装置20に接続される上昇位置と下方に退避する退避位置との間で受継ぎ部材402を昇降駆動する昇降装置43を備えているが、本願発明の移動栽培装置の構成はこれに限定されない。本願発明の移動栽培装置は、例えば特許文献1に開示されているように、横搬送装置と縦案内装置の間の栽培ベンチの移動に関して、栽培ベンチを昇降させない構成であってもよい。
また、上記実施形態では、移動栽培装置1はプルユニット22を備えているが、本発明の移動栽培装置は上記プルユニットを備えていなくてもよい。この場合、縦案内装置20の最下流位置20dから横搬送装置40の横搬送上流側領域40uへの栽培ベンチ10の移動は、例えばプッシュユニット21による縦案内装置20上での複数の栽培ベンチ10の玉突き状の搬送によって行われるようにすればよい。
また、上記実施形態では、プッシュユニット21の作動により縦案内装置20上で複数の栽培ベンチ10を玉突き状に搬送しているが、本発明の移動栽培装置の構成はこれに限定されない。本発明の移動栽培装置は、例えば、特許文献2に開示されているように、縦案内装置上に配列された複数の栽培ベンチのそれぞれに力を加えて移動させる構成であってもよい。
また、本発明の移動栽培装置において、プッシュユニットは栽培ベンチを玉突き状に搬送する構成に限定されない。例えば、縦案内装置上の複数の栽培ベンチを横搬送装置の横搬送上流側領域へ向けて移動させる縦搬送機構を別途設け、プッシュユニットは、横搬送装置の横搬送下流側領域にある栽培ベンチを縦案内装置における栽培ベンチ配列の最上流位置へ移動させる構成であってもよい。この場合、上記縦搬送機構は、最上流位置から最下流位置まで栽培ベンチを搬送させる構成であってもよいし、さらに栽培ベンチ配列の最下流位置にある栽培ベンチを横搬送機構の横搬送上流側へ移動させる構成であってもよい。前者の場合、最下流位置から横搬送上流側領域への栽培ベンチの移動は、例えば上記実施形態で説明したプルユニットにより実現される。なお、上記縦搬送機構の駆動機構の構成は特に限定されるものではなく、例えば特許文献2に開示された縦移送機構と同様の構成により実現されてもよいし、コンベヤ等の運搬装置により実現されてもよい。
また、本発明の移動栽培装置における栽培ベンチの構成は、上記実施形態の栽培ベンチ10の構成に限定されない。例えば、栽培ベンチは、平面視でおおよそベンチ全領域を占める横長矩形の金属板を有し、その金属板上に栽培植物等が配置される構成であってもよい。このような金属板は例えば板金加工により形成されたものである。
また、耕耘部5は横搬送装置40Bに配置されてもよいし、施肥部7は横搬送装置40Aに配置されてもよい。また、耕耘部5及び施肥部7の両方が横搬送装置40Aに配置されてもよいし、横搬送装置40Bに配置されてもよい。
また、本発明の移動栽培装置の耕耘部において耕耘装置を横搬送装置上で昇降させる耕耘昇降装置は平面視で横搬送装置から外れた位置に配置されてもよい。また、耕耘部及び施肥部におけるフレーム構造は上記実施形態に限定されず、耕耘装置や施肥装置の肥料排出口を横搬送装置上で支持できる構造であればよく、これらのフレームは例えば横搬送装置に取り付けられてもよい。