ところで、天板として木材を適用した場合には、天板を成型する際の乾燥度合い、あるいは設置した空間の湿度等の影響により、天板に収縮や膨張といった変形を来すおそれがある。このため、特許文献1のように、ベース構造体と天板との間がボルトによって締結されている場合には、天板に生じた変形を吸収することができず、反りやひび、割れ等の問題が発生する懸念がある。また、ボルト及び挟持片が移動可能となる特許文献2においても、レール部材自体は天板に固定する構造であるため、特許文献1と同様、反りやひび、割れ等の問題が発生する懸念がある。
これに対して特許文献3によれば、天板に設けた長孔に対してベース構造体の駒部材が移動可能であるため、天板に生じた収縮や膨張といった変形を吸収することができ、反りやひび、割れ等の問題を招来するおそれがない。しかしながら、特許文献3に記載のものにあっては、通常の使用時においても天板に対してベース構造体が長孔に沿って移動するおそれがあり、常時ガタ付きが発生する等、什器としての使用感を損なう懸念がある。
本発明は、上記実情に鑑みて、天板として木材からなるものを適用した場合に使用感を損なうことなく、収縮や膨張等の変形に起因した天板の反りやひび、割れ等の問題を防止することのできる天板付き什器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る天板付き什器は、天板の下面にベース構造体の支持部を対向させ、前記天板と前記支持部との間を互いに連結することによって前記天板を前記ベース構造体に支持させるようにした天板付き什器において、前記支持部は、前記天板の下面に沿って互いに離間した少なくとも2つの固定支持部と、前記2つの固定支持部に接続した遊動支持部とを有し、前記2つの固定支持部は、それぞれ前記天板の下面に沿った方向の相対移動を制限した状態で前記天板に連結し、かつ前記遊動支持部は、前記天板の下面に沿った方向の相対移動が可能となる状態で前記天板に連結したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記遊動支持部は、ボルト挿通孔を介して前記天板に締結部材を締結することにより前記天板に連結するものであり、前記ボルト挿通孔は、前記締結部材を相対的に移動可能に収容する長孔状に形成したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記遊動支持部の長孔は、前記2つの固定支持部の中間点よりも前記2つの固定支持部のそれぞれに近接した部位に形成し、互いに同一方向に沿って延在したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記遊動支持部は、前記2つの固定支持部の間を直線状に接続するアーム部材と、前記アーム部材の長手方向に交差する方向に沿って延在するとともに、前記アーム部材に接続したビーム部材とを有し、前記アーム部材及び前記ビーム部材の少なくとも一方に前記ボルト挿通孔を形成したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記2つの固定支持部は、前記天板の下面に2組設けてあり、前記遊動支持部は、それぞれの組の前記2つの固定支持部の間を直線状に接続するアーム部材と、前記アーム部材の相互間を接続するビーム部材とを有し、前記アーム部材及び前記ビーム部材の少なくとも一方に前記ボルト挿通孔を形成したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、設置面に当接する支脚部を前記固定支持部のそれぞれに設けたことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記天板は、木材によって成形したものであり、前記遊動支持部の前記ボルト挿通孔は、木材の繊維方向に対して交差する方向に沿って長孔状に形成したことを特徴とする。
また本発明は、上述した天板付き什器において、前記天板は、繊維が同じ方向に沿った状態で複数の天板構成材を繊維の方向と直交する方向に沿って並設したものであり、前記遊動支持部の前記ボルト挿通孔は、前記天板構成材の並設方向に対して直交する長孔状に形成したことを特徴とする。
本発明によれば、ベース構造体の支持部が2つの固定支持部及び遊動支持部を有し、天板の下面に沿った相対移動が可能となる状態で遊動支持部を天板に連結しているため、木材によって成形された天板に収縮や膨張といった変形が生じた場合にも遊動支持部と天板との間でこれを吸収することができ、天板に反りやひび、割れ等の問題を招来するおそれがない。しかも、固定支持部については、天板の下面に沿った相対移動を制限した状態で天板に連結しているため、通常使用時に天板に対してベース構造体がガタ付くことは無く、什器としての使用感が損なわれるおそれもない。
また本発明によれば、遊動支持部に形成した長孔状のボルト挿通孔を介して締結部材を締結すれば、天板の下面に沿った相対移動が可能となる状態で遊動支持部を天板に連結できるため、構造が煩雑になったり、製造コストが増大するおそれがない。
また本発明によれば、2つの固定支持部のそれぞれに近接した部位にボルト挿通孔を形成しているため、固定支持部の近傍で発生する収縮や膨張といった変形を適切に吸収することができ、固定支持部の近傍に反りやひび、割れといった問題が発生する事態を防止することができる。
また本発明によれば、ベース構造体の支持部による天板の支持面積を増大することができ、天板に反りが発生する事態を抑えることができる。特に、アーム部材及びビーム部材の双方にボルト挿通孔を設けた場合には、天板に対するベース構造体の支持力が分散するため、天板に生じた収縮や膨張といった変形を広い範囲でバランス良く吸収することができる。
また本発明によれば、ベース構造体に4つの固定支持部が形成されるため、ベース構造体による天板の支持強度が増大する。しかも、アーム部材の相互間にビーム部材を設けるようにしているため、ビーム部材にボルト挿通孔を形成することで、天板に対するベース構造体の支持力がより広い範囲で分散することができ、天板に生じた収縮や膨張といった変形をよりバランス良く吸収することができる。
また本発明によれば、支脚部を固定支持部に設けているため、設置面に設置した場合のガタ付きをより確実に防止することができる。
また本発明によれば、木材の繊維方向に対して交差する方向に沿ってボルト挿通孔を長孔状に形成しているため、繊維に交差する方向により顕著に表れる木材の収縮や膨張といった変形を効率良く吸収することができる。
また本発明によれば、複数の天板構成材を並設することによって天板を構成しているため、コストの低減を図ることができる。しかも、木材の繊維が同じ方向に沿った状態で天板構成材を並設するようにしているため、繊維に直交する方向により顕著に表れる木材の収縮や膨張といった変形を効率良く吸収することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る天板付き什器の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である天板付き什器を示したものである。ここで例示する天板付き什器は、テーブルとして用いられるもので、天板10と、天板10を支持するベース構造体20とを備えて構成してある。
天板10は、木材によって長方形の平板状に構成したものである。本実施の形態1では、複数枚の天板構成材11を並設し、天板構成材11を相互に連結することによって1枚の天板10を構成するようにしている。天板構成材11は、杉等の間伐材から製材した幅の狭い長方形状を成すもので、長手方向の寸法が天板10の長手寸法に一致し、かつ板厚が天板10の板厚寸法に一致している。図からも明らかなように、それぞれの天板構成材11は、繊維の方向がいずれも天板構成材11の長手方向と一致するように構成してある。
ベース構造体20は、天板10を下面から支持し、かつ天板10を床面等の設置面から離隔した位置に設置面と平行となるように配置するためのもので、4本の支脚部21及び支持部22を有している。支脚部21及び支持部22は、それぞれ鋼材やアルミニウム合金等の金属によって成形したものである。支脚部21は、それぞれ角筒状を成す長尺部材である。支脚部21の下端部には、キャスター21aが取り付けてある。
支持部22は、天板10の下面に取り付けられる部分であり、固定支持ブラケット(固定支持部)221、アーム部材(遊動支持部)222、ビーム部材(遊動支持部)223を備えて構成してある。固定支持ブラケット221は、図2及び図3に示すように、外形寸法の大きな略矩形状を成す主部221aと、主部221aよりも外形寸法の小さい矩形状を成す脚支持部221bとを一体に設けたもので、互いに一つの隅部が重なる状態で並設するように連結してある。この固定支持ブラケット221には、主部221aに複数の固定用ボルト挿通孔221cが設けてあるとともに、脚支持部221bに脚嵌合壁部221dが設けてある。固定用ボルト挿通孔221cは、図2に示すように、断面が円形の貫通孔であり、連結ボルトBのネジ軸部Sよりもわずかに大きな内径を有するように形成してある。脚嵌合壁部221dは、主部221aに連結した隅部を除く脚支持部221bの周囲から立設した略角筒状を成すものである。この脚嵌合壁部221dは、支脚部21の上端部に設けた図示せぬ嵌合部を嵌合することのできる寸法に形成してある。
この固定支持ブラケット221は、脚支持部221bが天板10の隅部となる姿勢で天板10の下面に配置し、固定用ボルト挿通孔221cを介して天板10に連結ボルトBを締結することにより、天板10の下面四隅部に互いに離隔した状態で連結してある。連結ボルトBによって天板10の下面に連結した固定支持ブラケット221は、それぞれ天板10の下面から離隔する方向の移動及び天板10の下面に沿った方向の相対移動が阻止された状態となる。脚支持部221bの脚嵌合壁部221dにそれぞれ支脚部21の嵌合部を嵌合すれば、天板10の下面四隅部にそれぞれ支脚部21が取り付けられることになる。支脚部21と固定支持ブラケット221の脚支持部221bとの間は、ボルトを用いたり溶着したりする等、任意の連結方法により互いに連結すれば良い。
アーム部材222及びビーム部材223は、図1に示すように、それぞれ幅寸法に対して高さ寸法が小さい扁平の角筒状を成すものである。アーム部材222は、個々の固定支持ブラケット221の側面から天板10の短手方向に沿って延在するように設けてある。アーム部材222の延在端面は、互いの間に間隔を確保した状態で相互に対向している。互いに対向するアーム部材222は、固定支持ブラケット221からの延在長さが互いに異なるように構成してある。具体的に示すと、本実施の形態1では、一方のアーム部材222に対して他方のアーム部材222がほぼ3倍の長さを有するようにそれぞれの長手寸法が設定してある。アーム部材222の端部と固定支持ブラケット221との間は、互いに連結して一体化してある。アーム部材222の端部と固定支持ブラケット221との間を連結する場合には、ボルトを用いたり溶着したりする等、任意の方法を適用すれば良い。
ビーム部材223は、延在長さの大きなアーム部材222の相互間を連結するように設けたもので、天板10の短手をほぼ2等分する位置に配置してある。アーム部材222とビーム部材223の端部との間は、ボルトを用いたり溶着したりする等、任意の連結方法により互いに連結して一体化してある。
これらのアーム部材222及びビーム部材223は、遊動用ボルト挿通孔222a,223aを介して天板10に連結ボルト(締結部材)Bを締結することによって天板10の下面に連結してある。遊動用ボルト挿通孔222a,223aは、図2に示すように、断面が長孔状の貫通孔であり、連結ボルトBのネジ軸部Sを長手方向に沿って移動可能に貫通することのできる寸法に形成してある。図2及び図3に示すように、アーム部材222の遊動用ボルト挿通孔222aは、アーム部材222の長手方向に沿って長孔となるように形成してあり、ビーム部材223の遊動用ボルト挿通孔223aは、ビーム部材223の短手方向に沿って長孔となるように形成してある。
さらにアーム部材222の互いに対向する部位の間には、それぞれの延在端部を覆う状態で間接連結部224が設けてある。間接連結部224は、アーム部材222と同様、鋼材やアルミニウム合金等の金属によって成形したもので、挟持部224a、一対の側壁部224b及び一対の取付部224cを有している。挟持部224aは、矩形の平板状を成すものである。側壁部224bは、挟持部224aの両側縁部から同じ方向に向けてほぼ平行となるように屈曲して延在した平板状部分である。取付部224cは、側壁部224bの延在端部から互いに離隔する方向に向けてほぼ直角に屈曲した平板状部分であり、遊動用ボルト挿通孔224dを有している。遊動用ボルト挿通孔224dは、挟持部224aの一方の端部から他方の端部に向けて長孔状となるように形成してある。挟持部224a、側壁部224b及び取付部224cは、取付部224cを介して天板10の下面に当接させた場合に、天板10と挟持部224aとの間にアーム部材222の板厚に相当する隙間を確保することのできる寸法に形成してある。
この間接連結部224は、挟持部224aがそれぞれのアーム部材222の延在端部を覆った状態で取付部224cを介して天板10の平面に当接させ、遊動用ボルト挿通孔224dを介して天板10に連結ボルトBを締結することによって天板10の下面に連結してある。
上記のように構成したテーブルによれば、固定用ボルト挿通孔221cを介して天板10に連結ボルトBを締結することによって固定支持ブラケット221が天板10の下面に連結され、さらに固定支持ブラケット221の脚支持部221bに支脚部21を連結するようにしているため、固定支持ブラケット221や支脚部21がガタ付くおそれがなく、使用感が損なわれる事態を招来しない。
しかも、固定支持ブラケット221の間に延在するアーム部材222は、途中で分断するものの、それぞれが連結ボルトBによって天板10の下面に連結され、かつ個々の端部が間接連結部224によって天板10の下面に挟持されて天板10から離隔する方向の移動が阻止された状態にある。さらに、アーム部材222の相互間には、連結ボルトBによって天板10の下面に連結されたビーム部材223が介在してある。従って、ベース構造体20の支持部22による天板10の支持面積を増大することができ、天板10に外力が加えられた場合にもこれが広範囲に分散するため、アーム部材222及びビーム部材223によってバランス良く外力に抗することができ、天板10に曲げが生じる等の問題を招来することがない。
上述したように、アーム部材222及びビーム部材223は、いずれも遊動用ボルト挿通孔222a,223aを介して天板10に連結ボルトBを締結することにより天板10に取り付けたものである。従って、木材によって構成した天板10に収縮や膨張といった変形が生じた場合には、連結ボルトBが遊動用ボルト挿通孔222a,223aの長手方向に沿ってアーム部材222やビーム部材223と適宜相対移動することによりこの変形が吸収される。特に、本実施の形態1では、木材の繊維方向に対して直交する方向に沿ってそれぞれの遊動用ボルト挿通孔222a,223aが長孔状となるように構成してある。従って、天板10に発生する収縮や膨張といった変形を効率良く吸収することができ、天板10に反りやひび、割れ等の問題を来すおそれがない。
さらに、木材の繊維方向に対して直交する方向に延在するアーム部材222は、途中で分断され、かつ個々の分断端部が間接連結部224の挟持部224aによって天板10の下面との間に挟持された状態にあり、相対的に長手方向に移動することが可能である。従って、仮に遊動用ボルト挿通孔222a,223aによっては吸収しきれない程度に天板10に収縮や膨張が生じた場合にも、アーム部材222が相互間隔を適宜変更することで、これらの変形が吸収されることになり、天板10に反り、ひび、割れ等の問題を招来しない。
尚、上述した実施の形態1では、アーム部材222において2つの固定支持ブラケット221のそれぞれに近接した部位に遊動用ボルト挿通孔222aを形成しているため、固定支持ブラケット221の近傍で発生する収縮や膨張といった変形を適切に吸収することができ、固定支持ブラケット221の近傍に反りやひび、割れといった問題が発生する事態を防止することができるが、遊動用ボルト挿通孔222aを形成する位置は実施の形態1の態様に限らない。
(実施の形態2)
図4〜図6は、本発明の実施の形態2である天板付き什器を示したものである。ここで例示する天板付き什器は、実施の形態1と同様、テーブルとして用いられるもので、実施の形態1とは、天板の形状及びベース構造体の詳細構成が異なったものである。以下、実施の形態1と異なる構成について詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
天板110は、木材によってほぼ正方形状を成すように構成した平板状部材であり、複数枚の天板構成材111を並設・連結することによって構成してある。木材の繊維方向が天板構成材111の長手方向に沿っているのは実施の形態1と同様である。
ベース構造体120の支持部122については、固定支持ブラケット(固定支持部)221、アーム部材(遊動支持部)222、ビーム部材(遊動支持部)223を備えて構成したものである点で実施の形態1と共通であり、アーム部材222の分断位置及びビーム部材223の数が異なっている。すなわち、実施の形態2のアーム部材222は、固定支持ブラケット221からの延在長さが同一であり、固定支持ブラケット221の相互間を2等分する位置で2つのアーム部材222の延在端部が互いに対向している。ビーム部材223は、それぞれのアーム部材222の相互間を連結するように2本設けてある。
固定支持ブラケット221が固定用ボルト挿通孔221cを介して天板110に連結ボルトBを締結することによって天板110の下面に連結してある点、アーム部材222及びビーム部材223が遊動用ボルト挿通孔222a,223aを介して天板110に連結ボルト(締結部材)Bを締結することにより天板110の下面に連結してある点は、実施の形態1と同様である。さらにアーム部材222の延在端部が間接連結部224によって天板110の下面から離隔する方向の移動が制限され、かつ長手方向に沿って移動可能である点も実施の形態1と同様である。
従って、上記のように構成したテーブルにおいても、固定支持ブラケット221や支脚部21がガタ付くおそれはなく、使用感が損なわれる事態を招来しない。しかも、ベース構造体120の支持部122による天板110の支持面積を大きく確保することができ、天板110に外力が加えられた場合にもこれが広範囲に分散するため、アーム部材222及びビーム部材223によってバランス良く外力に抗することができ、天板110に曲げが生じる等の問題を招来することがない。
さらに、木材によって構成した天板110に収縮や膨張といった変形が生じた場合には、連結ボルトBが遊動用ボルト挿通孔222a,223aの長手方向に沿ってアーム部材222やビーム部材223と適宜相対移動することによってこの変形が吸収されるため、天板110に反りやひび、割れ等の問題を来すおそれがない。仮に、遊動用ボルト挿通孔222a,223aによっては吸収しきれない程度の収縮や膨張が生じた場合にも、アーム部材222が相互間隔を適宜変更することで、これらの変形が吸収されることになり、天板110に反り、ひび、割れ等の問題を招来しない。
(実施の形態3)
図7及び図8は、本発明の実施の形態3である天板付き什器を示したものである。ここで例示する天板付き什器は、実施の形態1と同様、天板210と、天板210を支持するベース構造体30とを備えて構成したテーブルである。
天板210は、木材によって長方形の平板状に構成したものである。本実施の形態3では、複数枚の天板構成材211を並設し、天板構成材211を相互に連結することによって1枚の天板210を構成するようにしている。天板構成材211は、杉等の間伐材から製材した幅の狭い長方形状を成すもので、長手方向の寸法が天板210の短手寸法に一致し、かつ板厚が天板210の板厚寸法に一致している。図からも明らかなように、それぞれの天板構成材211は、繊維の方向がいずれも天板構成材211の長手方向と一致するように構成してある。
ベース構造体30は、天板210を下面から支持し、かつ天板210を床面等の設置面から離隔した位置に設置面と平行となるように配置するためのもので、支脚部31及び支持部32を有している。支脚部31及び支持部32は、それぞれ鋼材やアルミニウム合金等の金属によって成形したものである。
支脚部31は、それぞれ角筒状を成す脚基部31aと、脚基部31aの下端部から互いに離隔する方向に延在した設置部31bとを一体に成形したもので、側面視が逆T字状を成している。
支持部32は、天板210の下面に取り付けられる部分であり、固定支持ブラケット(固定支持部)321、アーム部材(遊動支持部)322を備えて構成してある。
固定支持ブラケット321は、天板構成材211の長手方向よりも長さの短い矩形の平板状を成すものである。この固定支持ブラケット321には、長手方向に沿った複数位置に固定用ボルト挿通孔321aが設けてある。固定用ボルト挿通孔321aは、断面が円形の貫通孔であり、連結ボルトBのネジ軸部Sよりもわずかに大きな内径を有するように形成してある。
この固定支持ブラケット321は、固定用ボルト挿通孔321aを介して天板210に連結ボルトBを締結することにより、天板210の長手方向に沿った両端部下面に互いに離隔した状態で連結してある。連結ボルトBによって天板210の下面に連結した固定支持ブラケット321は、それぞれ天板210の下面から離隔する方向の移動及び天板210の下面に沿った方向の相対移動が阻止された状態となる。個々の固定支持ブラケット321の下面にそれぞれ支脚部31の脚基部31aを連結すれば、天板210の下面にそれぞれ支脚部31が取り付けられることになる。支脚部31と固定支持ブラケット321との間は、ボルトを用いたり溶着したりする等、任意の連結方法により互いに連結すれば良い。
アーム部材322は、幅寸法に対して高さ寸法が小さい扁平の角筒状を成すものである。アーム部材322は、個々の固定支持ブラケット321の側面中央部から天板210の長手方向に沿って延在するように設けてある。アーム部材322の延在端面は、互いの間に間隔を確保した状態で相互に対向している。互いに対向するアーム部材322は、固定支持ブラケット321からの延在長さが互いにほぼ同一である。アーム部材322の端部と固定支持ブラケット321との間は、互いに連結して一体化してある。アーム部材322の端部と固定支持ブラケット321との間を連結する場合には、ボルトを用いたり溶着したりする等、任意の方法を適用すれば良い。
このアーム部材322は、遊動用ボルト挿通孔322aを介して天板210に連結ボルト(締結部材)Bを締結することによって天板210の下面に連結してある。遊動用ボルト挿通孔322aは、断面が長孔状の貫通孔であり、連結ボルトBのネジ軸部Sを長手方向に沿って移動可能に貫通することのできる寸法に形成してある。アーム部材322の遊動用ボルト挿通孔322aは、アーム部材322の長手方向に沿って長孔となるように形成してある。
さらにアーム部材322の互いに対向する部位の間には、それぞれの延在端部を覆う状態で間接連結部324が設けてある。間接連結部324は、鋼材やアルミニウム合金等の金属によって成形したもので、挟持部324a、一対の側壁部324b及び一対の取付部324cを有している。挟持部324aは、矩形の平板状を成すものである。側壁部324bは、挟持部324aの両側縁部から同じ方向に向けてほぼ平行となるように屈曲して延在した平板状部分である。取付部324cは、側壁部324bの延在端部から互いに離隔する方向に向けてほぼ直角に屈曲した平板状部分であり、遊動用ボルト挿通孔324dを有している。遊動用ボルト挿通孔324dは、挟持部324aの一方の端部から他方の端部に向けて長孔状となるように形成してある。挟持部324a、側壁部324b及び取付部324cは、取付部324cを介して天板210の下面に当接させた場合に、天板210と挟持部324aとの間にアーム部材322の板厚に相当する隙間を確保することのできる寸法に形成してある。
この間接連結部324は、挟持部324aがそれぞれのアーム部材322の延在端部を覆った状態で取付部324cを介して天板210の平面に当接させ、遊動用ボルト挿通孔324dを介して天板210に連結ボルトBを締結することによって天板210の下面に連結してある。
上記のように構成したテーブルによれば、固定用ボルト挿通孔321aを介して天板210に連結ボルトBを締結することにより固定支持ブラケット321が天板210の下面に連結され、さらに固定支持ブラケット321に支脚部31を連結するようにしているため、固定支持ブラケット321や支脚部31がガタ付くおそれがなく、使用感が損なわれる事態を招来しない。
しかも、固定支持ブラケット321の間に延在するアーム部材322は、途中で分断するものの、それぞれが連結ボルトBによって天板210の下面に連結され、かつ個々の端部が間接連結部324によって天板210の下面に挟持された状態にある。従って、ベース構造体30の支持部32による天板210の支持面積を増大することができ、天板210に外力が加えられた場合にもこれが広範囲に分散するため、固定支持ブラケット321及びアーム部材322によってバランス良く外力に抗することができ、天板210に曲げが生じる等の問題を招来することがない。
上述したように、アーム部材322は、遊動用ボルト挿通孔322aを介して天板210に連結ボルトBを締結することにより天板210に取り付けたものである。従って、木材によって構成した天板210に収縮や膨張といった変形が生じた場合には、連結ボルトBが遊動用ボルト挿通孔322aの長手方向に沿ってアーム部材322と適宜相対移動することによってこの変形が吸収される。特に、本実施の形態3では、木材の繊維方向に対して直交する方向に沿ってそれぞれの遊動用ボルト挿通孔322aが長孔状となるように構成してある。従って、天板210に発生する収縮や膨張といった変形を効率良く吸収することができ、天板210に反りやひび、割れ等の問題を来すおそれがない。尚、固定支持ブラケット321については、木材の繊維方向に沿って延在するものであるため、固定用ボルト挿通孔321aを介して連結ボルトBを天板210に締結した場合にも、収縮や膨張といった変形の影響を受けるおそれはない。
さらに、木材の繊維方向に対して直交する方向に延在するアーム部材322は、途中で分断され、かつ個々の分断端部が間接連結部324の挟持部324aによって天板210の下面との間に挟持された状態にあり、相対的に長手方向に移動することが可能である。従って、仮に遊動用ボルト挿通孔322aによっては吸収しきれない程度の収縮や膨張が生じた場合にも、アーム部材322が相互間隔を適宜変更することで、これらの変形が吸収されることになり、天板210に反り、ひび、割れ等の問題を招来しない。
尚、上述した実施の形態1〜実施の形態3では、天板付き什器としてテーブルを例示しているが、テーブル以外にも机、収納什器、物品陳列什器等のように、ベース構造体によって天板を支持するようにしたものであれば、その他のものにも適用することが可能である。さらに、複数の天板構成材11,111,211を並設することによって天板10,110,210を構成しているため、天板10,110,210の製造コストを比較的安価に抑えることが可能となるが、一枚の天然木によって天板を構成してももちろん良い。適用する木材としては、必ずしも杉の間伐材に限らない。
また、上述した実施の形態1〜実施の形態3では、固定支持ブラケット221,321から延在するアーム部材222,322の延在端部相互間に間隔を確保するとともに、アーム部材222,322の相互間を間接連結部224,324によって天板210に連結するようにしているが、本発明は必ずしもこの構成を採用する必要はない。尚、間接連結部224,324を適用する場合に上述した実施の形態1〜実施の形態3では、長孔状となる遊動用ボルト挿通孔224d,324dを介して天板10,110,210に締結ボルトBを締結するようにしているが、必ずしも長孔状の遊動用ボルト挿通孔224d,324dである必要はなく、断面が円形のボルト挿通孔を介して連結ボルトを締結しても良い。さらに、アーム部材222及びビーム部材223の双方を備える実施の形態1及び実施の形態2では、両者にそれぞれ遊動用ボルト挿通孔222a,322aを設けるようにしているが、アーム部材222及びビーム部材223のいずれか一方にのみ遊動用ボルト挿通孔を設ければ十分である。