JP6595187B2 - 簡易型水素ステーション - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガス使用設備に所定の圧力で高純度水素を供給する水素ガス充填システムに関するもので、特に、燃料電池自動車などの高圧水素ガスの水素ガス使用設備に、高圧水素ガスを供給する水素ステーションに関するものである。
近年、エネルギーの自給率を高め、環境改善のためのクリーンなエネルギー源として、水素を利用した燃料電池自動車などが急速に実用化されている。燃料電池自動車の普及には、水素供給インフラとなる水素ステーションの整備が不可欠である。
しかしながら、普及する以前には、小規模な充填設備またはガス欠時の緊急用充填設備が不可欠である。その際、十分な保安距離を有した充填設備の設置場所が非常に限定されており、従来の設計思想で小規模の水素ステーションを設計した場合、設備コストが高価になることが予想される。
従来の水素ステーションの場合、コンプレッサー(圧縮機)を用いて、蓄圧器に高圧水素ガスを予め充填させて、蓄圧器から燃料電池自動車に水素ガスを充填している(例えば、特許文献1を参照)。
通常、従来の水素ステーションに用いられる蓄圧器は、水素ガスを高圧で貯蔵するため、多くの本数が必要になる。また、従来の水素ステーションでは、水素ガスを圧縮する圧縮機が必要になる。さらに、燃料電池自動車に高圧の水素ガスを充填する場合において、直接燃料タンクに供給すると、高圧ガスの温度を安全性の基準温度80℃以下にすることが困難となるため、燃料タンクに供給する前に冷却が必要で、そのための冷却設備を設けることから、水素ガス充填装置の大型化は避けられない。しかし、水素ステーションあるいは各種プロセスにおける設置場所には厳しい制限があり、こうした条件下での水素ガス充填装置の大型化は大きな課題である。
特開2006−138332号公報
上記状況に鑑みて、本発明は、比較的単純な構成で、水素ガスを水素ガス使用設備に充填することが可能で、小型化、省エネ化を実現する簡易型水素ステーションを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の簡易型水素ステーションは、水素ガスを所定の圧力で水素ガス使用設備に供給する差圧充填方式による水素ガス充填装置であって、水素ガスボンベと水素ガス発生器の少なくとも何れかと水素ガス蓄圧器およびディスペンサーから成り、ディスペンサーは、水素ガス入力口から水素ガス出力口に至るまでの主系統に配管が無く継手だけで構成されている、或は、主系統の一部に配管が残っている構成で配管数が継手総数の20%以下である。
水素ガスボンベと水素ガス蓄圧器およびディスペンサーからから構成されるコンパクトな装置であり、かつ、ディスペンサーは主系統に配管が無く継手だけで構成されている、或は、一部だけ配管で多くは継手だけで構成されているため、より小型化を実現することができる。
主系統に配管が無く継手だけで構成されているのが好ましいが、主系統の一部に配管が残っていても構わない。但し、ディスペンサーのコンパクト化を図るために、配管は極力少ない方が良く、主系統の一部に配管が残っている構成であっても、配管数は継手総数の20%以下、すなわち、継手の個数が10個の場合、配管は1個または2個にする。
本発明の簡易型水素ステーションにおけるディスペンサーは、ディスペンサー内の制御用機器に使う窒素を供給する小型の制御用窒素供給容器を備える。この小型の制御用窒素供給容器(Nヘッダー)は、ディスペンサー外部に設けられる窒素ボンベであって、制御用窒素供給容器よりも大容量の窒素ボンベから窒素を定期的もしくは窒素圧力が低下した場合に充填できるものである。
ヘッダーをディスペンサー内に設けることにより、ディスペンサーの小型化を可能にしている。Nヘッダーは、ディスペンサー内の制御用機器(エア作動弁等)に使う窒素を供給するものであり、ディスペンサー外部の窒素ボンベから窒素を定期的に充填することにより、ディスペンサー内に窒素ボンベ等のスペースの確保が不要となり、ディスペンサーの小型化を実現するのである。Nヘッダーには、窒素を容易に充填するためにクイックカプラが設けられており、窒素圧力が低下した際に迅速に窒素充填を可能にしている。
なお、Nヘッダーに用いる窒素は、窒素以外にもアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスでも代用可能である。また、制御用として用いるのではなく、計装用のみとして用いる場合は、空気でも代用可能である。
ここで、継手とは、2つの機械部分をつなぐ部品を言うが、従来、水素ガスが流れる配管とそれらの配管をつなぐ管継手が多く用いられていた。本発明ではディスペンサーのコンパクト化を図るために、できるだけ配管を無くし、或は、一部分のみに配管を用いるようにし、管継手ではなく、直接的に弁と弁、弁と計器、計器とオリフィスを繋ぐ継手部品を用いることにした。この継手部品の構成、すなわち、第1の弁等と第2の弁等を繋ぐ継手部品の構成として、例えば、第1の弁等を繋ぐ第1継手と、第2の弁等を繋ぐ第2継手と、第1継手と第2継手の突き合わせ部を覆い結合させるクランプ部材と、クランプ部材を締め付けるボルトとナットが挙げられる。
なお、水素ガス蓄圧器は、水素吸蔵合金が内蔵されているものであっても、水素吸蔵合金が内蔵されていないものであってもよい。通常、圧縮機を用いて高圧の水素ガスを蓄圧器内に充填できるが、蓄圧器内に水素吸蔵合金が内蔵されている場合は、水素吸蔵合金に多量の水素ガスを吸着させた後、水素吸着された水素吸蔵合金を加熱して水素ガスを放出させることにより高圧の水素ガスを、圧縮機を用いることなく蓄圧器内に充填できる。
本発明の簡易型水素ステーションにおけるディスペンサーは、水素ガス入力口から水素ガス出力口に至るまでの主系統に加えて、排気系統および窒素ガス導入系統を含む補助系統も、配管が無く継手だけで構成されることが好ましい。
補助系統も継手だけで構成されることにより、ディスペンサーを更に小型化することができる。
本発明の簡易型水素ステーションにおける水素ガス蓄圧器は、蓄圧器内部に蓄圧された水素ガスを冷却する冷却手段を備え、差圧充填方式による水素ガス充填装置のプレクーラとして機能するものであることが好ましい。
上記構成によれば、別途プレクーラを設置するよりも、より小型化を図ることができる。
本発明の簡易型水素ステーションにおける水素ガス蓄圧器は、蓄圧器内の水素ガスの圧力と温度、或は、蓄圧器内の水素ガスの圧力と温度および重量を測定することにより、水素ガス使用設備に充填する水素ガスの流量および充填量を算定するものであることが好ましい。
これによると、コリオリ方式等の高価な流量計を用いることなく充填量を計測できることから、装置全体のコスト削減に貢献できる。圧力計および温度計は、より正確に圧力と温度を測定するために、蓄圧器の中の温度と圧力を測定できるコネクタを設置する。このコネクタには、開閉弁付きと開閉弁無しの場合がある。また、蓄圧器の出口付近に圧力計を設置して水素ガスの圧力を計測し、蓄圧器の外面に温度計を設置することにより蓄圧器の温度を測定することでも良い。あるいは、上述の両方のやり方をそれぞれ行い、圧力計および温度計を設置する場合もある。また、重量計は蓄圧器の下部または下部付近に設置する。そして、測定結果に基づいて、水素ガス使用設備に充填する水素ガスの流量および充填量を算定する。
なお、蓄圧器が複数ある場合、各々の蓄圧器内の水素ガスの温度と圧力、或は、圧力と温度および重量を測定して、測定された各々の充填量を合算することができる。
蓄圧器の最終充填量は、充填前の圧力と温度と充填後の圧力と温度から計算した重量の差から計算をする。その際、充填後の蓄圧器内の温度が安定するまで内部温度をモニターする。通常5秒から60秒程度待った後、安定した温度に基づいて計算する。さらに、より高精度な充填量を求められる場合、蓄圧器から流量制御弁との間の残留水素による計算誤差を補正するために、その部分の容量、残圧と温度から計算した数値を用い補正することにより、より正確な充填量を計算する。
また、算定した流量情報は、水素ガス使用設備に充填する水素ガスの流量制御用に設置した複数のオリフィスの選択や、或はオリフィスの替わりに用いる流量制御弁の制御に利用する。また、水素ガス使用設備の充填量の計算などに利用する。
本発明の簡易型水素ステーションにおける水素ガス蓄圧器は、水素吸蔵合金を内蔵しており、水素吸蔵合金を加熱して水素吸蔵合金に吸蔵された水素ガスを放出し水素ガス圧力を上昇させる加圧手段と、水素吸蔵合金を冷却して水素ガス吸蔵を促し水素ガス圧力を減圧させる減圧手段を備える。
上記構成によれば、比較的単純な構成で、高純度な水素ガスを安全に水素ガス使用設備に充填することができ、小型化、省エネ化、サイレンス化を実現できる。
水素ガス充填装置側の蓄圧器が、水素吸蔵合金を内蔵していることで、水素吸蔵合金に水素ガスを吸着させた後、冷却して、未吸着の不純物を放出し除去して水素ガスを精製でき、水素吸着された水素吸蔵合金を加熱することにより水素ガスを放出して蓄圧器内の水素ガス圧力を上昇できる。すなわち、圧縮機を用いることなく、高圧の水素ガスを蓄圧器内に充填できることになる。その後、蓄圧器内の高圧水素ガスを水素ガス使用設備に充填する。
蓄圧器の周囲には、加熱手段および冷却手段が設けられる。加熱手段は、蓄圧器の周囲を加熱し、蓄圧器に内蔵された水素吸蔵合金を加熱する。そして、水素吸蔵合金に吸蔵された水素ガスを放出させて、蓄圧器内の水素ガス圧力を上昇させる。加熱手段は、蓄圧器内の水素ガスの加圧手段として機能することになる。一方、冷却手段は、蓄圧器の周囲を冷却し、蓄圧器に内蔵された水素吸蔵合金を冷却する。そして、水素吸蔵合金に対して水素ガス吸蔵を促して、蓄圧器内の水素ガス圧力を減圧させる。冷却手段は、蓄圧器内の水素ガスの減圧手段として機能することになる。なお、加熱手段と冷却手段は、一体化されて加熱冷却手段であってもよい。
また、加熱手段は、水素ガス使用設備から出る排熱を用いてもよい。また、冷却手段は、装置が寒冷地に設置される場合は、外気による自然空冷を用いてもよい。水素ガス使用設備に応じて、要求される水素ガスの圧力や供給速度が異なることから、それらの要求を満足できるような温度制御が可能な手段を選ぶようにする。
ここで、水素吸蔵合金には、既に公知のマグネシウム基合金やバナジウム基合金、チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケルなどの遷移元素の基合金、希土類元素、ニオブ、ジルコニウムに対して触媒効果を持つ遷移元素(ニッケル、コバルト、アルミニウムなど)を含む合金、チタン−鉄系の金属間化合物の基合金などを用いることができる。
本発明の簡易型水素ステーションにおける水素ガス充填装置は、更に燃料電池ユニットを備え、水素ガスボンベの残留水素ガスの圧力が所定閾値以下の低圧に達した場合、残留水素ガスを燃料電池ユニットに供給し、燃料電池ユニットを水素ガス充填装置の非常用電源あるいは節電用電源として用いることを特徴とする。
従来は、水素ガスボンベ内に残留する水素ガスの圧力が0.05〜1MPa程度の低圧状態になると、不要なガスボンベとして回収されていた。しかし、0.05〜1MPa程度の低圧の水素ガスであっても、燃料電池ユニットに供給する水素ガスに用いることは可能である。そこで、留水素ガスの圧力が0.05〜1MPa程度の低圧のガスボンベを回収せずに、残留水素ガスを燃料電池ユニットに供給するガスボンベとして使用し、残留する低圧(0.05〜1MPa)の水素ガスを燃料電池ユニットに使用する。そして、燃料電池ユニットを水素ガス充填装置の非常用電源あるいは節電用電源として用いることで、水素ガス充填装置の省エネ化を実現するのである。
本発明の簡易型水素ステーションにおける燃料電池ユニットの排熱により温められた空気は、水素吸蔵合金を内蔵する水素ガス蓄圧器の周囲に流れ込む盤内構造を備え、排熱を用いて水素ガス蓄圧器内の水素吸蔵合金を加熱し、導入された水素ガスを圧縮し水素ガス蓄圧器に蓄圧しても良い。
燃料電池ユニットの排熱を利用して、水素ガス蓄圧器内の水素吸蔵合金を加熱する。本来なら水素ガス蓄圧器では、電気をエネルギー源としてヒータを用いて水素ガス蓄圧器内の水素吸蔵合金を加熱するところを、燃料電池ユニットの排熱を利用して温めることができることから、省エネ効果が高いと言える。燃料電池ユニットの排熱により温められた空気は、30〜50℃程度になることから、特に寒冷地などでは温度差が大きく、省エネ効果が高くなることが期待できる。
本発明の簡易型水素ステーションにおけるディスペンサーから出力した水素ガスを水素ガス使用設備に充填する際に水素ガスの流れを表示するインジケータが設けられ、インジケータは、水素ガスの流路を横貫する方向に移動可能な状態で配置されたピストンである。
第1の観点のピストンは、流路を横貫する方向の水素ガス充填装置側から第1の圧力を受ける第1の受圧端面と、流路を横貫する方向の水素ガス使用設備の側から第2の圧力を受ける第2の受圧端面を備える。第1の観点のピストンにおいて、第1の受圧端面の面積は、第2の受圧端面の面積より小さく、第1の受圧端面から第2の受圧端面にかけて貫通孔が設けられている。
そして、第1の受圧端面が水素ガス充填装置側、第2の受圧端面が水素ガス使用設備側になるようにピストンが配置される。
充填中には、高圧側となる水素ガス充填装置側と低圧側となる水素ガス使用設備側の圧力差により、ピストンが水素ガス使用設備側に移動する。一方、充填完了時には、水素ガス充填装置側と水素ガス使用設備側が同圧となり、ピストンが水素ガス充填装置側に移動する。これによって、外部から見える表示が変化する。
これは、充填中における高圧側(水素ステーション側)と低圧側(水素使用設備)の圧力差を利用し、インジケータとなるピストンが機械的かつ自動的に動作するようにしたものである。
このようなインジケータが設けられることにより、水素ステーションからFCV等の水素使用設備に水素ガスを充填する際、水素ガスが充填中であるのか、或は、充填完了しているのかを可視化することができる。上記の構成は、オリフィスを用いる場合に特に有効である。
インジケータは、外部から見える表示が変化するものであれば良く、例えば、表示ラインが見え隠れしたり、表示窓が設けられたりするものであっても良い。
また、本発明の簡易型水素ステーションにおけるディスペンサーから出力した水素ガスを水素ガス使用設備に充填する際に水素ガスの流れを表示するインジケータが設けられ、インジケータは、水素ガスの流路を横貫する方向に移動可能な状態で配置されたピストンである。
第2の観点のピストンは、流路を横貫する方向の水素ガス充填装置側から第1の圧力を受ける第1の受圧端面と、流路を横貫する方向の水素ガス使用設備の側から第2の圧力を受ける第2の受圧端面を備える。第2の観点のピストンにおいて、第1の受圧端面の面積は、第2の受圧端面の面積と等しく、第1の受圧端面から第2の受圧端面にかけて貫通孔が設けられている。
そして、第1の受圧端面が前記水素ガス充填装置側、第2の受圧端面が前記水素ガス使用設備側に配置される。
充填中には、高圧側となる水素ガス充填装置側と低圧側となる水素ガス使用設備側の圧力差により、ピストンが水素ガス使用設備側に移動する。一方、充填完了時には、水素ガス充填装置側と水素ガス使用設備側が同圧となり、ピストンに取付けられた弾性体の弾性力により、ピストンが水素ガス充填装置側に移動する。これによって、外部から見える表示が変化する。
第2の観点のピストンでは、第1の受圧端面の面積を、第2の受圧端面の面積と等しくすることで、ピストンの形状が簡易となり、製造を容易にし、製造コストを下げることができる。ここで、ピストンに取付けられた弾性体は、充填完了時にその弾性体の弾性力により、ピストンが水素ガス充填装置側に移動するものであれば良く、例えば、スプリングが好適に用いることができる。
本発明の簡易型水素ステーションによれば、比較的単純な構成で、水素ガスを水素ガス使用設備に充填でき、小型化、省エネ化を実現できるといった効果がある。
実施例1の簡易型水素ステーションのシステム構成図 実施例1の簡易型水素ステーションの系統ブロック図 実施例1のディスペンサーの正面図 実施例1のディスペンサーの側面図及び平面図 実施例2の充填カプラの断面図、(1)は充填完了時、(2)は充填時を示す。 実施例2の充填カプラの外観図 実施例3の簡易型水素ステーションのシステム構成図 実施例4の燃料電池の排熱利用の説明図 実施例5のディスペンサーの外観図、(1)は正面図、(2)は側面図を示す。 実施例5のディスペンサーの内部構造図、(1)は正面図、(2)は側面図を示す。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、実施例1の簡易型水素ステーションのシステム構成図を示している。
図1に示されるように、水素カードル2は、蓄圧器3とディスペンサー1に接続されており、ディスペンサー1に設けられた充填カプラ19から水素ガス使用設備(FCV)4に水素ガスが充填される。
水素カードル2とディスペンサー1の間には、バルブ5aが設けられており、蓄圧器3とディスペンサー1の間には、バルブ5bが設けられている。バルブ5aが閉じられて、バルブ5bが開けられている場合には、水素カードル2内の水素ガスは、蓄圧器3を介して、ディスペンサー1に送られることになる。
図2は、実施例1の簡易型水素ステーションの系統ブロック図を、図3は、実施例1のディスペンサーの正面図を、図4は、実施例1のディスペンサーの(1)側面図、(2)平面図を示している。
図2に示されるように、蓄圧器3から送られた水素ガスは、ディスペンサー1に設けられた水素ガス入力口1aから水素ガス出力口1bへと送られ、離脱カプラ18、充填カプラ19を順に通って、水素ガス使用設備4に充填される。
蓄圧器3には、蓄圧タンク31、圧力計32、バルブ33、バルブ34が順に接続され、水素ガス入力口1aへと接続されている。蓄圧タンク31は、50リットルの水素容器が2本で構成され、圧力は19.6MPaである。
図2において、水素ガス入力口1aから水素ガス出力口1bまで直線で表示される系統は、ディスペンサー1における主系統を示している。
図2及び図3に示されるように、水素ガス入力口1aは、継手51を介して、水素1次側圧力計11と接続されている。水素1次側圧力計11は、継手52を介して、遮断弁12と接続されている。遮断弁12は、継手53を介して、ストレーナー13と接続されている。ストレーナー13は、継手54を介して、水素減圧弁14と接続されている。水素減圧弁14は、継手55を介して、オリフィス15と接続されている。オリフィス15は、継手56を介して、逆止弁16と接続されている。逆止弁16は、継手57を介して、水素2次側圧力計17と接続されている。水素2次側圧力計17は、継手58を介して、水素ガス出力口1bへと接続されている。
上記のように、ディスペンサー1の主系統においては、配管は無く継手だけで構成されるコンパクトな設計となっている。
水素ガス出力口1bと水素ガス使用設備4とをつなぐメタルフレキシブルホースには、離脱カプラ18と充填カプラ19が設けられ、充填カプラ19を水素ガス使用設備4に差し込んで水素ガスを充填する。メタルフレキシブルホースの長さは略4mである。
次に、ディスペンサー1の補助系統を説明する。
遮断弁12は、補助系統として、セレクタスイッチ22と接続されている。同じく、セレクタスイッチ22は、窒素ヘッダー圧力計21が接続されたNヘッダー20に接続されている。セレクタスイッチ22は、遮断弁23へと接続されている。この遮断弁23は、継手58と接続されている。継手58は、手動弁24と安全弁25に接続されている。遮断弁23及び手動弁24は、排気用オリフィス26へと接続され、排気用圧力計27、背圧弁28、逆止弁29が順に接続され排気口1cへと導かれ、フレームアレスター30に接続される。安全弁25は、逆止弁29へと接続されている。
図3のディスペンサーの正面図、図4の(1)側面図、(2)平面図に示すように、ディスペンサー1の主系統には配管は無く、機器同士は継手のみで接続されているため、コンパクトな設計となっている。
具体的には、ディスペンサー1の幅Wは650mm、高さHは450mm、奥行きDは300mmである。
図5は、実施例2の充填カプラの断面図を示している。(1)は充填完了時であり、(2)は充填時のものである。
充填カプラ19の内筒部19aの内部には、ピストン6が配置され、出力側には差込部材19bが設けられ、差込面19cを水素ガス使用設備(FCV)4の入力部(図示せず)に差し込んで、水素ガスを充填する構造となっている。ピストン6は、水素ガスの流路を横貫する方向、すなわち図5で示すところの左右に、移動可能な状態で配置されている。
また、ピストン6は、流路を横貫する方向の水素ガス充填装置側から第1の圧力を受ける第1の受圧端面6aと、流路を横貫する方向の水素ガス使用設備側から第2の圧力を受ける第2の受圧端面6bを備える。ここで、ピストン6における第1の受圧端面6aの面積Dは、第2の受圧端面6bの面積Dより小さく、第1の受圧端面6aから第2の受圧端面6bにかけて貫通孔6cが設けられている。
内筒部19aには、開口部19eが設けられ、開口部19eには、ピストン6の側周面の中央部に取り付けられた接合部材7が、ピストン6の軸方向と垂直方向に設けられ、接合部材7の他端には外筒部8が設けられている。このように、外筒部8は接合部材7を介してピストン6と接続されているため、ピストン6が右に移動すれば外筒部8も右に移動し、ピストン6が左に移動すれば外筒部8も左に移動する構造となっている。
図6は、実施例2の充填カプラの外観図を示している。
本実施例では、図6(1)に示されるように、内筒部19aには、表示ライン(41,42)が、例えば、充填時には青色、充填完了時には赤色が表示されるという形で、色分けされて設けられている。
水素ガス充填中には、図5(2)に示されるように、高圧側となる水素ガス充填装置側と低圧側となる水素ガス使用設備側の圧力差により、ピストンが水素ガス使用設備側に移動し、青色の表示ライン41が外部から見える状態となり、充填中であることを確認できる。
水素ガス充填完了時には、図5(1)に示されるように、水素ガス充填装置側と水素ガス使用設備側が同圧となり、ピストンが水素ガス充填装置側に移動することにより、赤色の表示ライン42が外部から見える状態となり、充填完了を確認できる。
本実施例では図6(1)のように、外筒部材の外側に位置する所に表示ライン(41,42)が設けられているが、インジケータは、外部から見える表示が変化するものであれば良く、図6(2)に示されるように、表示窓45の下に表示ライン(43,44)が設けられるものであっても良い。
図7は、実施例3の簡易型水素ステーションのシステム構成図を示している。
図7に示されるように、本実施例の簡易型水素ステーションにおける水素ガス充填装置は、実施例1の構成に加えて、更に燃料電池ユニット10を備えている。水素カードル2の残留水素ガスの圧力が所定閾値以下の低圧(0.05〜1MPa)に達した場合、残留水素ガスは、燃料電池ユニット10に供給される。これにより、燃料電池ユニット10を水素ガス充填装置の非常用電源あるいは節電用電源として用いることができるのである。
本実施例の場合、圧縮機36は、水素カードル2と蓄圧器3の間に設置される。
残留水素ガスを用いて燃料電池ユニット10で発電された電力は、電源供給ケーブル35を介して、圧縮機36やディスペンサー1に供給される。
図8は、実施例4の燃料電池の排熱利用の説明図を示している。
図8に示されるように、本実施例においては、蓄圧タンク31の盤と燃料電池ユニット10の盤は一体の盤40を構成している。
盤40の下部には空間があり、蓄圧タンク31が置かれている箇所にはメッシュ部材37が設けられている。また、盤40の蓄圧タンク31が置かれている箇所の上部には、換気ファン38が設けられている。燃料電池ユニット10の周りには通気孔39が設けられている。
燃料電池ユニット10が稼働すると、40〜50℃の熱が発生し、この排熱が通気孔39を通過し、メッシュ部材37を通って蓄圧タンク31の周囲の空気温度が高められることになる。蓄圧タンク31の周囲の空気温度が高くなることで、蓄圧タンク31自体の温度も高められることになる。蓄圧タンク31の中には、水素吸蔵合金が内蔵されているため、蓄圧タンク31が加熱され、別の蓄圧器や水素ガス使用設備へと水素ガスが充填されることになる。換気ファン38は蓄圧タンク31が置かれている箇所の上部に設けられているので、ファンを回すことで、排熱の流れを継続的に起こすことができるのである。
従来であれば、蓄圧タンク31を加熱するためには、別途、加熱装置を蓄圧タンク31に装着する必要があったが、本実施例の排熱利用システムによればその必要はないため、省エネ効果が高いと言える。
実施例5のディスペンサーの外観図と内部構造図を、それぞれ図9と図10に示す。それぞれの図において、(1)は正面図、(2)は側面図を示している。
図9(1)に示されるように、ディスペンサー1の筐体部101の前面には扉部101aが設けられ、正面から見て左側面には水素ガス入力口1a、右側面には水素ガス出力口1bがそれぞれ設けられ、水素ガス出力口1bにはフローインジケータ87が取り付けられている。図9(2)に示されるように、筐体部101の前面上部は斜面となっており、斜面にはパネル部101cが設けられている。
パネル部101cには、水素1次側圧力計11、計装圧力計91、排気圧力計88、水素2次側圧力計17、セレクタスイッチ22が設けられている。
実施例5のディスペンサーの主系統および補助系統について、図10を参照して説明する。
先ず、主系統について説明する。水素ガス入力口1aは、継手59を介して、水素1次側圧力計11と接続されている。水素1次側圧力計11は、継手60を介して、エア作動弁81と接続されている。エア作動弁81は、継手61を介して、ストレーナー13と接続されている。ストレーナー13は、継手(62,63,64)を介して、水素減圧弁14と接続されている。水素減圧弁14は、継手65を介して、オリフィス83と接続されている。オリフィス83は、継手(66,67,68)を介して、逆止弁16と接続されている。逆止弁16は、継手(69,71)を介して配管93と接続されている。配管93は、継手70を介して、水素2次側圧力計17と接続されている。水素2次側圧力計17は、継手72を介して、フローインジケータ87と接続され、水素ガス出力口1bへと接続されている。
次に、補助系統について説明する。主系統における継手(69,71)は、継手73を介して、エア作動弁82と接続されている。また、継手(69,71)は、継手74を介して、パージ弁85とも接続されている。さらに、継手(69,71)は、継手75を介して、安全弁86とも接続されている。また、エア作動弁82とパージ弁85は、オリフィス84と背圧弁89を介し、さらに、逆止弁90を介して、排気口1cへと接続されている。また、安全弁86は、オリフィス84と背圧弁89を介さずに、逆止弁90を介して、排気口1cへと接続されている。
このように、ディスペンサーの主系統には一部しか配管は無く、基本的に、弁、計器、オリフィスなどの機器同士は継手のみで接続されている。本実施例のディスペンサーの幅Wは540mm、高さHは690mm、奥行きDは330mmである。
本発明は、FCVなどの水素ステーションや水素燃料電池の水素充填装置に有用である。
1 ディスペンサー
1a 水素ガス入力口
1b 水素ガス出力口
1c 排気口
2 水素カードル
3 蓄圧器
4 水素ガス使用設備(FCV)
5a,5b バルブ
6 ピストン
6a 第1の受圧端面
6b 第2の受圧端面
7 接合部材
8 外筒部
9 水素ガス使用設備(FCV)
10 燃料電池ユニット
11 水素1次側圧力計
12 遮断弁
13 ストレーナー
14 水素減圧弁
15 オリフィス
16 逆止弁
17 水素2次側圧力計
18 離脱カプラ
19 充填カプラ
19a 内筒部
19b 差込部材
19c 差込面
19d 貫通孔
19e 開口部
20 Nヘッダー
21 窒素ヘッダー圧力計
22 セレクタスイッチ
23 遮断弁
24 手動弁
25 安全弁
26 排気用オリフィス
27 排気用圧力計
28 背圧弁
29 逆止弁
30 フレームアレスター
31 蓄圧タンク
32 圧力計
33 バルブ
34 バルブ
35 電源供給ケーブル
36 圧縮機
37 メッシュ部材
38 換気ファン
39 通気孔
40 盤
41,42,43,44 表示ライン
45 表示窓
51〜75 継手
81,82 エア作動弁
83,84 オリフィス
85 パージ弁
86 安全弁
87 フローインジケータ
88 排気圧力計
89 背圧弁
90 逆止弁
91 計装圧力計
92 セレクタスイッチ
93 配管
95 Nヘッダー
97 ベント管
101 筐体部
101a 扉部
101b 取っ手
101c パネル部

Claims (10)

  1. 水素ガスを所定の圧力で水素ガス使用設備に供給する差圧充填方式による水素ガス充填装置であって、
    水素ガスボンベと水素ガス発生器の少なくとも何れかと水素ガス蓄圧器およびディスペンサーから成り、
    前記ディスペンサーは、水素ガス入力口から水素ガス出力口に至るまでの主系統に配管が無く継手だけで構成されている、
    或は、
    前記主系統の一部に配管が残っている構成で配管数が継手総数の20%以下である、
    ことを特徴とする簡易型水素ステーション。
  2. 前記ディスペンサーは、水素ガス入力口から水素ガス出力口に至るまでの主系統に加えて、排気系統および窒素ガス導入系統を含む補助系統も、配管が無く継手だけで構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の簡易型水素ステーション。
  3. 前記ディスペンサーは、ディスペンサー内の制御用機器に使う窒素を供給する制御用窒素供給容器を備え、
    制御用窒素供給容器は、ディスペンサー外部に設けられる窒素ボンベであって、制御用窒素供給容器よりも大容量の窒素ボンベから窒素を定期的もしくは窒素圧力が低下した場合に充填する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易型水素ステーション。
  4. 前記水素ガス蓄圧器は、蓄圧器内部に蓄圧された水素ガスを冷却する冷却手段を備え、差圧充填方式による水素ガス充填装置のプレクーラとして機能することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
  5. 前記水素ガス蓄圧器は、蓄圧器内の水素ガスの圧力と温度、或は、蓄圧器内の水素ガスの圧力と温度および重量を測定することにより、水素ガス使用設備に充填する水素ガスの流量および充填量を算定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
  6. 前記水素ガス蓄圧器は、水素吸蔵合金を内蔵しており、
    水素吸蔵合金を加熱して水素吸蔵合金に吸蔵された水素ガスを放出し水素ガス圧力を上昇させる加圧手段と、
    水素吸蔵合金を冷却して水素ガス吸蔵を促し水素ガス圧力を減圧させる減圧手段を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
  7. 前記水素ガス充填装置は、更に燃料電池ユニットを備え、
    前記水素ガスボンベの残留水素ガスの圧力が所定閾値以下の低圧に達した場合、残留水素ガスを前記燃料電池ユニットに供給し、前記燃料電池ユニットを前記水素ガス充填装置の非常用電源あるいは節電用電源として用いることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
  8. 前記燃料電池ユニットの排熱により温められた空気が、水素吸蔵合金を内蔵する前記水素ガス蓄圧器の周囲に流れ込む盤内構造を備え、
    前記排熱を用いて前記水素ガス蓄圧器内の水素吸蔵合金を加熱し、導入された水素ガスを圧縮し前記水素ガス蓄圧器に蓄圧することを特徴とする請求項に記載の簡易型水素ステーション。
  9. 前記ディスペンサーから出力した水素ガスを水素ガス使用設備に充填する際に水素ガスの流れを表示するインジケータが設けられ、
    前記インジケータは、
    水素ガスの流路を横貫する方向に移動可能な状態で配置されたピストンであって、前記流路を横貫する方向の前記水素ガス充填装置側から第1の圧力を受ける第1の受圧端面と、前記流路を横貫する方向の前記水素ガス使用設備の側から第2の圧力を受ける第2の受圧端面を備えるピストンを備え、
    前記ピストンは、
    第1の受圧端面の面積は、第2の受圧端面の面積より小さく、
    第1の受圧端面から第2の受圧端面にかけて貫通孔が設けられており、
    第1の受圧端面が前記水素ガス充填装置側、第2の受圧端面が前記水素ガス使用設備側に配置され、
    充填中には、高圧側となる前記水素ガス充填装置側と低圧側となる前記水素ガス使用設備側の圧力差により、前記ピストンが前記水素ガス使用設備側に移動し、
    充填完了時には、前記水素ガス充填装置側と前記水素ガス使用設備側が同圧となり、前記ピストンが前記水素ガス充填装置側に移動する、
    ことにより、外部から見える表示が変化することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
  10. 前記ディスペンサーから出力した水素ガスを水素ガス使用設備に充填する際に水素ガスの流れを表示するインジケータが設けられ、
    前記インジケータは、
    水素ガスの流路を横貫する方向に移動可能な状態で配置されたピストンであって、前記流路を横貫する方向の前記水素ガス充填装置側から第1の圧力を受ける第1の受圧端面と、前記流路を横貫する方向の前記水素ガス使用設備の側から第2の圧力を受ける第2の受圧端面を備えるピストンを備え、
    前記ピストンは、
    第1の受圧端面の面積は、第2の受圧端面の面積と等しく、
    第1の受圧端面から第2の受圧端面にかけて貫通孔が設けられており、
    第1の受圧端面が前記水素ガス充填装置側、第2の受圧端面が前記水素ガス使用設備側に配置され、
    充填中には、高圧側となる前記水素ガス充填装置側と低圧側となる前記水素ガス使用設備側の圧力差により、前記ピストンが前記水素ガス使用設備側に移動し、
    充填完了時には、前記水素ガス充填装置側と前記水素ガス使用設備側が同圧となり、前記ピストンに取付けられた弾性体の弾性力により、前記ピストンが前記水素ガス充填装置側に移動する、
    ことにより、外部から見える表示が変化することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の簡易型水素ステーション。
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