従来、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、重要書類等では、真正物か偽造物であるかを真偽判別するための技術として、偽造防止技術を盛り込むことが求められている。偽造防止技術の一例としては、インキの盛り高さを有する画線によってカラーコピー機等を用いた複写を防止する凹版印刷や、それを用いた潜像凹版技術等が代表的である(例えば、特許文献1参照)。
この潜像凹版は、インキの盛り高さを有する画線を用いることで効果を奏するものであり、例えば、図1の印刷物1’に示すように、印刷模様2’の潜像部を成す画線2a’と背景部を成す画線2b’が、90度の差異を持った二方向の万線状の画線群によって、同一の画線幅及び画線ピッチで配置されている。
この印刷模様2’を正面(鉛直方向)から観察した場合、画線2a’と画線2b’は、同一の画線幅及び画線ピッチで配置されているため、一様の濃度として観察されることから、施されている潜像模様「P」を容易に認識することができない。一方、図2に示すように、印刷物を傾けて観察すると、画線2b’は、印刷物1’を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線2a’は、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。これにより、潜像模様「P」が顕像となって出現する。
また、他の潜像凹版技術として、二方向の万線状の画線群ではなく、インキの盛り高さを部分的に異ならせることで潜像部と背景部を形成することもできる。
また、その他の偽造防止技術として、透明のフィルムに規則的な万線パターンが形成された万線フィルタや、レンチキュラーレンズ等の判別具を印刷物に重ねることで、不可視画像が出現する技術がある。
この判別具を重ねることで不可視画像が出現する技術として、本出願人は、印刷物を目視で観察した場合に視認される可視画像と、判別具を重ねた場合に視認される(出現する)不可視画像がスイッチする印刷物について出願している(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2の印刷物は、中心を境に対向するように配置されたポジとネガの関係にある第1のユニットが、一定の方向に沿って規則的に複数配列されて第1の不可視画像を形成し、同様の関係にある第2のユニットが、同様の構成で複数配列されて第2の不可視画像を形成し、第1のユニット及び第2のユニットは、同一領域上に異なる角度で配置されており、かつ、各ユニットの一部に重複する位置に可視画像を形成する第3のユニットが配置されたものである。特許文献2の技術は、目視では可視画像のみが視認され、判別具を重ねることによって、第1のユニットから第1の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が出現し、第2のユニットから第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が出現するものである。
特許文献2の印刷物の具体例を示す。図3に示されたように、印刷物1’に判別具3’を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具3’は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ又はレンチキュラーレンズ等である。印刷物1’の印刷模様2’を通常の可視条件において目視により観察すると、図4に示されたように、任意の図形及び文字等から成る模様4’と、任意の図形及び文字から成る模様5’とが視認される。図4に示された模様4’と模様5’とは重畳するような配置となっており、これに限らず様々なデザイン表現を施すことができる。そして、印刷物1’上に判別具3’を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図5(a)又は図5(b)に示されたような第1の不可視画像6’が可視画像となって発現する。また、印刷物1’上に判別具3’を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図6(a)又は図6(b)に示されたような第2の不可視画像7’が可視画像となって発現する。図5(a)又は図5(b)及び図6(a)又は図6(b)に示されるようにネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具3’と印刷物1’との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
図7(a)に、背景技術における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示す。印刷模様は複数のユニットがマトリックス状に配置される。ここで、ユニットの縦横の寸法Sは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。ユニット内には画線が配置される。各画線は、少なくとも三つ以上のユニットを備えている。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にネガポジの関係にある。画線Aと画線A’はユニット内に配置され、画線Aの長手方向が第1の方向に沿って配置され、画線A’は、画線Aと異なる位置の長手方向が画線Aと同様の第1の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。このネガポジの関係とは、例えば、一方が黒(オン)のときは他方は白(オフ)、一方が有着色のときは他方は無着色であり、双方ともに黒又は双方ともに白であることがないということである。そして、画線Aと画線A’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Bと画線B’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Bと画線B’はユニット内に配置され、画線Bの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配置され、画線B’は、画線Bと異なる位置の長手方向が第2の方向とは異なる方向の第3の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
画線Dと画線Eは、可視画像(デザイン:模様)を構成するものであり、通常の視認状態において肉眼で視認される任意の図形及び文字等から成る模様を構成する。
図7(b)〜(g)は、図7(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線D、画線Eの各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図8(a)〜(d)に示されている。図8に示された画線の組合せ(a)〜(d)を具体的に図9(a)〜(d)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2’に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)が形成されている。
ここで、可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得る画像であり、不可視画像とは、通常の可視光のもとで目視により視認され得ない、あるいは極めて視認され難い画像である。
図7(a)に示された画線Aと画線A’、画線Bと画線B’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、縦軸方向に図形の画線Aと画線A’とを縦の長さSの4分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さ程度をそれぞれ持って配置し、横軸方向に図形の画線Bと画線B’とを横の長さSの4分の1の長さ程度で縦の長さSの3分の2の長さ程度をそれぞれ持って配置されている。さらに、四角形の四隅付近に半径の長さが長さSの4分の1の長さ程度の画線Dの中心が来るように、それぞれ持って配置されている。さらに、四角形の中心付近に直径の長さが長さSの4分の1の長さ程度の画線Eが来るように、配置されている。
このような構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置すると図10のようである。この図10は、印刷物に印刷された印刷模様2’を構成するマトリクス状に配置された複数の画線を、第1の不可視画像、第2の不可視画像及び第1の可視画像、第2の可視画像のそれぞれの構成が分かるように簡易的に示した模式図である。印刷模様2’において、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。同様に、画線Bと画線B’により構成される第2の不可視画像が不可視の状態になっている。
この状態で、図11に示されたように、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具3’を印刷物1’上の印刷模様2’に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様2’に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、背景技術では、長さSが340μmで、印刷模様2’がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、長さS、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料、印刷装置等について何ら限定するものでない。
通常の目視では、可視画像が視認されるが、不可視画像は、視認されない。判別具を印刷模様上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた可視画像が全く確認できなくなり、逆に不可視画像が視認されるようになる。このような背景技術による印刷物における画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
可視画像が視認され不可視画像が視認されていないとき、その可視画像を構成しているのは画線Dと画線Eであり、その背景一面を構成しているのが不可視画像を構成する画線A又はA’及び画線B又はB’である。画線A及び画線A’、画線B及びB’はそれぞれネガポジの関係にあるとともに面積が同一であるため、画像(模様)として確認されることはない。
印刷物上の所定の位置に、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が画線Aの中心、すなわち図7(a)における線L1に一致するように載置する。この場合、画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている画像(模様)が確認できることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Dと画線E及び不可視画像を構成している画線B及びB’は、拡大されている画線Aよりも面積が相対的に小さくなる。さらに、画線B及びB’は、相互にネガポジの関係にある。これにより、画像としてではなく、一様な背景としてしか視認されないため、実際上には画像がスイッチすることとなる。画線A’が拡大されるように縦軸方向に沿って判別具を移動させた場合、画線Aにより視認された第1の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、判別具を90度回転させ、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図7(a)における線L3と一致するようにすることで、画線Bが拡大されるように判別具を載置した場合、更にこの状態から横軸方向に沿って画線B’が拡大されるように載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。
印刷模様2’に、所定の角度、より具体的には図7(a)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3’を印刷物1’上の印刷模様2’に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図12に示す。レンチキュラーレンズの中心線8’が図7(a)における線L1と一致するように図12(a)に示された位置にあるとき、中心線8’に位置するのは、画線Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8’に位置する画線Aが膨張して見えるため、目視では図12(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8’が図7(a)における線L2と一致し、図13(a)に示された位置にあるとき、中心線8’に位置するのは、画線A’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8’に位置する画線A’が膨張して見えるため、目視では図13(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Aと画線A’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図5(a)又は図5(b)に示されたような第1の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図7(a)における線L2とレンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図7(a)における線L3と一致するように、印刷模様2’に90度の角度を持って判別具3’を印刷物1’上の印刷模様2’に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図14に示す。この場合、レンチキュラーレンズの中心線8’が図14(a)に示された位置にあり、中心線8’に位置するのは画線Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8’に位置する画線Bが膨張して見えるため、目視では図14(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8’が図7(a)における線L4と一致し、図15(a)に示された位置にあるとき、中心線8’に位置するのは、画線B’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8’に位置する画線B’が膨張して見えるため、目視では図15(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。つまり、前述の図6(a)又は図6(b)に示されたような第2の不可視画像が、ネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現するものである。
なお、判別具を用いた第1、第2の不可視画像を判別する際において、画線Dと画線Eにより形成される可視画像は、ほとんど見えなく、あるいは見え難くなる。このため、第1の不可視画像及び第2の不可視画像が可視画像として発現したときに、これらの視認性を阻害することはない。
ここで判別具3’は、レンチキュラーレンズにかかわらず、例えば、万線フィルタであっても同様の効果が得られる。この万線フィルタの場合は、フィルタ上の万線に該当する部分が可視画像を構成する画線を隠蔽することで、不可視画像を構成する画線のみが確認できることとなるが、可視画像を完全には隠蔽することができずに若干視認されてしまうことがある。ただし、これによって従来の効果を損なうことはないため、簡易的に判別を行うには、万線フィルタを用いても十分である。
ところで、背景技術における印刷物1’の一画線の画線A、A’、B、B’は楕円の様な形状を有している。しかし、このような形状には限定されることはない。一画線が、少なくとも三つ以上のユニットを有し、画線Aと画線A’とが対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一であって第1の不可視画像を構成し、画線Bと画線B’とが対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一であって第2の不可視画像を構成し、更に画線Dと画線Eが第1の可視画像(デザイン:模様)、第2の可視画像として視認されるものであれば、画線の形状は何ら限定するものではない。また、第1の可視画像と第2の可視画像を形成されている画線Dと画線Eは、形成されなくても構わない。
また、本出願人は、前述した特許文献1の潜像凹版に、判別具を重ねることで不可視画像を出現させる二つ目の効果を合わせた印刷物について出願している(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3の印刷物は、潜像凹版を形成する万線パターンに、インキの盛り高さが異なる潜像部と背景部を設けることで、印刷物を傾けて観察した場合に潜像模様を出現させ、さらに、潜像凹版の万線パターン以外の領域に、位相を変調した画線で不可視画像を形成することで、判別具を重ねた場合に不可視画像を出現させるものである。
さらに、本出願人は、前述した特許文献2の一画線の画線A、A’、B、B’、 D、Eに盛り高さを有し、潜像凹版の効果や判別具を重ねることで不可視画像を出現させる二つ目の効果を合わせた印刷物について出願している(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4の印刷物は、基材上の少なくとも一部に、第1の不可視画像及び第2の不可視画像を有する画像領域が形成された偽造防止印刷物であって、画像領域は、複数のユニットが規則的にマトリックス状に配列され、複数配列された各々のユニットは、盛り高さを有する要素が第1の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第1の要素と、第1の方向と異なる第2の方向に沿ってユニットの中心を含む位置に配置された第2の要素のいずれか一方が選択的に配置されたことで第1の不可視画像が形成され、第1の方向及び第2の方向と異なる第3の方向に沿ってユニットの中心を境に対向するように配置された第3の要素及び第4の要素によって第2の不可視画像が形成され、第3の要素及び第4の要素はポジとネガの関係にあり、面積率及び色が同一として配置され、第3の要素により第2の不可視画像のポジ画像又はネガ画像が形成され、第4の要素により第2の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴とする偽造防止印刷物である。
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
(実施の形態1)
印刷物1に判別具3を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具3は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ、レンチキュラーレンズ等である。印刷物1の印刷模様2を通常の可視条件において目視により観察すると、図16に示されたように、任意の図形及び文字等から成る模様4が視認される。そして、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。さらに、印刷物1上に判別具3を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。図17(a)又は図17(b)及び図18(a)又は図18(b)に示されるようにネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具3と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
図19(a)に、本実施の形態1における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示す。印刷模様は複数のユニットがマトリックス状に配置される。ここで、ユニットの縦横の寸法Sは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。なお、ユニットは実施の印刷物には形成されるものではない。ユニット内には画線が配置される。各画線は、少なくとも三つ以上のユニットを備えている。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にネガポジの関係にある。画線Aと画線A’はユニット内に配置され、画線Aの長手方向が第1の方向に沿って配置され、画線A’は、画線Aと異なる位置の長手方向が画線Aと同様の第1の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。このネガポジの関係とは、例えば、一方が黒(オン)のときは他方は白(オフ)、一方が有着色のときは他方は無着色であり、双方ともに黒又は双方ともに白であることがないということである。そして、画線Aと画線A’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Bと画線B’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Bと画線B’はユニット内に配置され、画線Bの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配置され、画線B’は、画線Bと異なる位置の長手方向が第2の方向とは異なる方向の第3の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
図19(b)〜(e)は、図19(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’の各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図8(a)〜(d)に示されている。図8に示された画線の組合せ(a)〜(d)を具体的に図20(a)〜(d)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)が形成されている。
図19(a)に示された画線Aと画線A’、画線Bと画線B’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、縦軸方向に長方形の画線Aと画線A’とを縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をそれぞれ持ってユニットの上辺付近に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。また、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。さらに、画線Bは、画線A及び画線A’と一部、重なる部分を有する。しかし、本発明は、上記記載の条件に限定されるものではない。
このような構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置すると図21のようである。この図21は、印刷物に印刷された印刷模様2を構成するマトリクス状に配置された複数の画線を、第1の不可視画像、第2の不可視画像のそれぞれの構成が分かるように簡易的に示した模式図である。印刷模様2において、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。同様に、画線Bと画線B’により構成される第2の不可視画像が不可視の状態になっている。
この状態で、図22に示されたように、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様2に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、本実施の形態1では、長さSが340μmで、印刷模様2がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、長さS、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料、印刷装置等について何ら限定するものでない。
通常の目視では、可視画像が視認されるが、不可視画像は、視認されない。判別具を印刷模様上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた可視画像が全く確認できなくなり、逆に不可視画像が視認されるようになる。このような形態については、本実施の形態3において説明をする。本実施の形態1においては、印刷模様2に施されている不可視画像を可視画像として発現させる画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
印刷模様2を構成しているのが不可視画像を構成する画線A又はA’及び画線B又はB’である。画線A及び画線A’、画線B及び画線B’はそれぞれネガポジの関係にあるとともに面積が同一であるため、画像(模様)として確認されることはない。また、本実施形態1においては、可視画像を形成されていないが、可視画像を構成させる画線の太細で階調を現すことも可能である。例えば、不可視画像を構成する画線B及び画線B’の画線の太細で階調を現すことである。
印刷物上の所定の位置に、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が画線Aの中心、すなわち図19(a)における線L1に一致するように載置する。この場合、画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている画像(模様)が確認できることとなる。その際、不可視画像を構成している画線B及びB’は、拡大されている画線Aよりも面積が相対的に小さくなる。さらに、画線B及びB’は、相互にネガポジの関係にある。これにより、画像としてではなく、一様な背景としてしか視認されないため、実際上には画像がスイッチすることとなる。画線A’が拡大されるように縦軸方向に沿って判別具を移動させた場合、画線Aにより視認された第1の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、判別具を90度回転させ、レンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が図19(a)における線L3と一致するようにすることで、画線Bが拡大されるように判別具を載置した場合、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。さらに、この状態から判別具を-90度回転させ、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図19(a)における線L4と一致するようにすることで、画線B’が拡大されるように判別具を載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。
印刷模様2に、所定の角度、より具体的には図19(a)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図23に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図19(a)における線L1と一致するように図23(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Aが膨張して見えるため、目視では図23(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図19(a)における線L2と一致し、図24(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線A’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線A’が膨張して見えるため、目視では図24(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Aと画線A’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図19(a)における線L3と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図25に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図19(a)における線L3と一致するように図25(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Bが膨張して見えるため、目視では図25(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図19(a)における線L4と一致し、図26(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線B’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線B’が膨張して見えるため、目視では図26(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Bと画線B’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図18(a)又は図18(b)に示されたような第2の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図27は、図19(b)と(c)に示された画線Aと画線A’の配置構成を任意の図形で現わされている。図27(a)は、画線Aを任意の文字「ポジA」になるよう配置されている。図27(b)は、画線A’を任意の文字「ネガA」になるよう配置されている。図27(c)は、図27(a)と図27(b)を重ね合わせた状態になっている。図27(c)に示された実線「A」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Aと画線A’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図27(c)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(a)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
さらに図27(c)における線L2と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
図28は、図19(d)と(e)に示された画線Bと画線B’の配置構成を任意の図形で現わされている。図28(a)は、画線Bを任意の図形「ポジ桜」になるよう配置されている。図28(b)は、画線B’を任意の図形「ネガ桜」になるよう配置されている。図28(c)は、(a)と(b)を重ね合わせた状態になっている。図28(c)に示された実線「桜」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Bの総画線面積と画線B’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第2の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Bと画線B’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図28(c)における線L3と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
さらに図28(c)における線L4と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
図29は、図27(c)と図28(c)を重ね合わせた状態を示されている。図29(a)に、本実施の形態1における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示されている。図29(b)は、図29(a)の構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置し、図27(c)と図28(c)の配置構成になるように画線A、画線A’、画線B、画線B’を配置されたものであり、図27(c)と図28(c)を重ね合わせた状態でもある。また、図29(b)に示された黒い実線「A」及び黒い実線「桜」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。
図30(a)は、図29(b)に示されたものと同等であり、図30(b)は、図30(a)の画線構成の一部を拡大された図である。図30(b)に示された画線A及び画線Bは、図27(a)の「ポジA」と図28(a)の「ポジ桜」の一部を示され、図30(b)に示された画線A’及び画線B’は、図27(b)の「ネガA」と図28(b)の「ネガ桜」の一部を示されている。
図31(a)は、図30(b)に示されたものと同等であり、図31(b)は、図31(a)の画線構成の立体図を示されたものである。図31(b)に示された盛り高さを有する画線、画線Aと画線A’、画線Bと画線B’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、ユニット11は、縦軸方向に長方形の画線Aを縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの上辺付近に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。また、ユニット12は、縦軸方向に長方形の画線A’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度を画線Aと対向するように配置し、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。ユニット11に示された盛り高さを有する画線A及び画線Bは、画線B’の画線の盛り高さ未満を成す。ユニット12に示された盛り高さを有する画線A’は、画線B’の画線の盛り高さ未満を成す。すなわち、盛り高さを有する画線A、画線A’及び画線Bは、画線B’の画線の盛り高さ以下を成す(画線A、画線A’、画線B≦画線B’)。
図32は、本実施の形態1の印刷物1を傾けて目視により観察した時に視認される印刷模様2を示す斜視図である。上述図2に示すように、図32は、印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。これにより、潜像模様「桜」が顕像となって出現する。潜像模様を成している画線B、画線B’は、第2の不可視画像の画線構成とも兼ね備えている。
(実施の形態2)
印刷物1に判別具3を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具3は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ、レンチキュラーレンズ等である。印刷物1の印刷模様2を通常の可視条件において目視により観察すると、図16に示されたように、任意の図形及び文字等から成る模様4が視認される。そして、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具3を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。さらに、印刷物1上に判別具3を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図33(a)又は図33(b)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。図17(a)又は図17(b)、図18(a)又は図18(b)及び図33(a)又は図33(b)に示されるようにネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具3と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
図34(a)に、本実施の形態2における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示す。印刷模様は複数のユニットがマトリックス状に配置される。ここで、ユニットの縦横の寸法Sは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。なお、ユニットは実施の印刷物には形成されるものではない。ユニット内には画線が配置される。各画線は、少なくとも三つ以上のユニットを備えている。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にネガポジの関係にある。
画線Aと画線A’はユニット内に配置され、画線Aの長手方向が第1の方向に沿って配置され、画線A’は、画線Aと異なる位置の長手方向が画線Aと同様の第1の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。このネガポジの関係とは、例えば、一方が黒(オン)のときは他方は白(オフ)、一方が有着色のときは他方は無着色であり、双方ともに黒又は双方ともに白であることがないということである。そして、画線Aと画線A’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Bと画線B’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Bと画線B’はユニット内に配置され、画線Bの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配置され、画線B’は、画線Bと異なる位置の長手方向が第2の方向とは異なる方向の第3の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Cと画線C’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Cと画線C’はユニット内に配置され、画線Cの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第4の方向に沿って配置され、画線C’は、画線Cと異なる位置の長手方向が画線Cと同様の第4の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Cのみにより第3の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線C’のみにより第3の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
図34(b)〜(g)は、図34(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線C、画線C’の各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図35(a)〜(h)に示されている。図35に示された画線の組合せ(a)〜(h)を具体的に図36(a)〜(h)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)が形成されている。
図34(a)に示された画線Aと画線A’、画線Bと画線B’、画線Cと画線C’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、縦軸方向に長方形の画線Aと画線A’とを縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をそれぞれ持ってユニットの上辺付近に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。また、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの中心付近に配置されている。さらに、横軸方向に長方形の画線Cと画線C’とを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をそれぞれ持ってユニットの左辺付近に配置されている。そしてさらに、画線B、画線C及び画線C’は、画線A及び画線A’と一部、重なる部分を有し、画線B’は、画線C及び画線C’と一部、重なる部分を有する。しかし、本発明は、上記記載の条件に限定されるものではない。
このような構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置すると図37のようである。この図37は、印刷物に印刷された印刷模様2を構成するマトリクス状に配置された複数の画線を、第1の不可視画像、第2の不可視画像及び第3の不可視画像のそれぞれの構成が分かるように簡易的に示した模式図である。印刷模様2において、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。同様に、画線Bと画線B’により構成される第2の不可視画像が不可視の状態になっている。同様に、画線Cの総画線面積と画線C’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第3の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。
この状態で、図38に示されたように、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様2に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、本実施の形態2では、長さSが340μmで、印刷模様2がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、長さS、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料、印刷装置等について何ら限定するものでない。
通常の目視では、可視画像が視認されるが、不可視画像は、視認されない。判別具を印刷模様上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた可視画像が全く確認できなくなり、逆に不可視画像が視認されるようになる。このような形態については、本実施の形態3において説明をする。本実施の形態2においては、印刷模様2に施されている不可視画像を可視画像として発現させる画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
印刷模様2を構成しているのが不可視画像を構成する画線A又はA’、画線B又はB’及び画線C又はC’である。画線A及び画線A’、画線B及び画線B’、画線C及び画線C’はそれぞれネガポジの関係にあるとともに面積が同一であるため、画像(模様)として確認されることはない。また、本実施形態2においては、可視画像を形成されていないが、可視画像を構成させる画線の太細で階調を現すことも可能である。例えば、不可視画像を構成する画線B及び画線B’の画線の太細で階調を現すことである。
印刷物上の所定の位置に、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が画線Aの中心、すなわち図34(a)における線L1に一致するように載置する。この場合、画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている画像(模様)が確認できることとなる。その際、不可視画像を構成している画線B及びB’、画線C及びC’は、拡大されている画線Aよりも面積が相対的に小さくなる。また、画線B及びB’、画線C及びC’は、相互にネガポジの関係にある。これにより、画像としてではなく、一様な背景としてしか視認されないため、実際上には画像がスイッチすることとなる。画線A’が拡大されるように縦軸方向に沿って判別具を移動させた場合、画線Aにより視認された第1の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が図34(a)における線L3と一致するようにすることで、画線Bが拡大されるように判別具を載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、この状態から判別具を-90度回転させ、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図34(a)における線L4と一致するようにすることで、画線B’が拡大されるように判別具を載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。さらに、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が図34(a)における線L5と一致するようにすることで、画線Cが拡大されるように判別具を載置した場合、さらにこの状態から横軸方向に沿って画線C’が拡大されるように載置した場合にも、同様の原理で第3の不可視画像のネガポジが反転して視認される。
印刷模様2に、所定の角度、より具体的には図34(a)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図39に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図34(a)における線L1と一致するように図39(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Aが膨張して見えるため、目視では図39(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図34(a)における線L2と一致し、図40(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線A’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線A’が膨張して見えるため、目視では図40(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Aと画線A’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図34(a)における線L2とレンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図35(a)における線L3と一致するように、印刷模様2に90度の角度を持って判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図41に示す。この場合、レンチキュラーレンズの中心線8が図41(a)に示された位置にあり、中心線8に位置するのは画線Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Bが膨張して見えるため、目視では図41(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図34(a)における線L4と一致し、図42(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線B’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線B’が膨張して見えるため、目視では図42(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。つまり、前述の図18(a)又は図18(b)に示されたような第2の不可視画像が、ネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現するものである。
図34(a)における線L5と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図43に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図34(a)における線L5と一致するように図43(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Cとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Cが膨張して見えるため、目視では図43(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図34(a)における線L6と一致し、図44(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線C’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線C’が膨張して見えるため、目視では図44(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Cと画線C’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図33(a)又は図33(b)に示されたような第3の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図27は、図34(b)と(c)に示された画線Aと画線A’の配置構成を任意の図形で現わされている。図27(a)は、画線Aを任意の文字「ポジA」になるよう配置されている。図27(b)は、画線A’を任意の文字「ネガA」になるよう配置されている。図27(c)は、(a)と(b)を重ね合わせた状態になっている。図27(c)に示された実線「A」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Aと画線A’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図27(c)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(a)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
さらに、図27(c)における線L2と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
図28は、図34(d)と図34(e)に示された画線Bと画線B’の配置構成を任意の図形で現わされている。図28(a)は、画線Bを任意の文字「ポジ桜」になるよう配置されている。図28(b)は、画線B’を任意の文字「ネガ桜」になるよう配置されている。図28(c)は、図28(a)と図28(b)を重ね合わせた状態になっている。図28(c)に示された実線「桜」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Bの総画線面積と画線B’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第2の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Bと画線B’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図28(c)における線L3と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
さらに、図28(c)における線L4と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
図45は、図34(f)と図34(g)に示された画線Cと画線C’の配置構成を任意の図形で現わされている。図45(a)は、画線Cを任意の図形「ポジB」になるよう配置されている。図45(b)は、画線C’を任意の図形「ネガB」になるよう配置されている。図45(c)は、図45(a)と図45(b)を重ね合わせた状態になっている。図45(c)に示された実線「B」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Cの総画線面積と画線C’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第3の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Cと画線C’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図45(c)における線L5と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図33(a)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。
さらに、図45(c)における線L6と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図33(b)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。
図46は、図27(c)、図28(c)及び図45(c)を重ね合わせた状態を示されている。図46(a)に、本実施の形態2における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示されている。図46(b)は、図46(a)の構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置し、図27(c)、図28(c)及び図45(c)の配置構成になるように画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線C、画線C’を配置されたものであり、図27(c)、図28(c)及び図45(c)を重ね合わせた状態でもある。また、図46(b)に示された黒い実線「A」、黒い実線「桜」及び黒い実線「B」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。
図47(a)は、図46(b)に示されたものと同等であり、図47(b)は、図47(a)の画線構成の一部を拡大された図である。図47(b)に示された画線A、画線B及び画線Cは、図27(a)の「ポジA」と図28(a)の「ポジ桜」と図45(a)の「ポジB」の一部を示され、図47(b)に示された画線A’、画線B’及び画線C’は、図27(b)の「ネガA」と図28(b)の「ネガ桜」と図45(b)の「ネガB」の一部を示されている。
図48(a)は、図47(b)に示されたものと同等であり、図48(b)は、図48(a)の画線構成の立体図を示されたものである。図48(b)に示された盛り高さを有する画線、画線Aと画線A’、画線Bと画線B’、画線Cと画線C’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、ユニット14は、縦軸方向に長方形の画線Aを縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの上辺付近に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの中心付近に配置し、横軸方向に長方形の画線Cを縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの左辺付近に配置されている。また、ユニット15は、縦軸方向に長方形の画線A’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度を画線Aと対向するように配置し、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの長さ程度をユニットの中心付近に配置し、横軸方向に長方形の画線C’を縦の長さSの長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度をユニットの左辺付近に配置されている。ユニット14に示された盛り高さを有する画線A、画線B及び画線Cは、画線B’の画線の盛り高さ未満を成す。ユニット15に示された盛り高さを有する画線A’及び画線C’は、画線B’の画線の盛り高さ未満を成す。すなわち、盛り高さを有する画線A、画線A’、画線B、画線C及び画線C’は、画線B’の画線の盛り高さ以下を成す(画線A、画線A’、画線B、画線C、画線C’≦画線B’)。
図32は、本実施の形態2の印刷物1を傾けて目視により観察した時に視認される印刷模様2を示す斜視図である。上述図2に示すように、図32は、印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。これにより、潜像模様「桜」が顕像となって出現する。潜像模様を成している画線B、画線B’は、第2の不可視画像の画線構成とも兼ね備えている。
(実施の形態3)
印刷物1に判別具3を重ね合わせることにより、容易に不可視画像を発現させて真偽性を判別することができるものである。判別具3は、透明性を有するフィルタに複数の直線が万線状に一方向に沿って形成された万線フィルタ、レンチキュラーレンズ等である。印刷物1の印刷模様2を通常の可視条件において目視により観察すると、図49に示されたように、任意の図形、文字等から成る模様4が視認される。そして、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具3を所定の角度(これを0度とする)を持って重ね合わせると、図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。また、印刷物1上に判別具3を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。さらに、印刷物1上に判別具3を所定の角度に対して90度を成す角度を持って重ね合わせると、図33(a)又は図33(b)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。図17(a)又は図17(b)、図18(a)又は図18(b)、図33(a)又は図33(b)に示されるようにネガポジ状のどちらかに見えるのは、判別具3と印刷物1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
図50(a)に、本実施の形態3における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示す。印刷模様は複数のユニットがマトリックス状に配置される。ここで、ユニットの縦横の寸法Sは、例えば、340μmというように1mm以下の大きさである。なお、ユニットは実施の印刷物には形成されるものではない。ユニット内には画線が配置される。各画線は、少なくとも三つ以上のユニットを備えている。画線Aと画線A’とは、対を成しており、相互にネガポジの関係にある。画線Aと画線A’はユニット内に配置され、画線Aの長手方向が第1の方向に沿って配置され、画線A’は、画線Aと異なる位置の長手方向が画線Aと同様の第1の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。このネガポジの関係とは、例えば、一方が黒(オン)のときは他方は白(オフ)、一方が有着色のときは他方は無着色であり、双方ともに黒又は双方ともに白であることがないということである。そして、画線Aと画線A’とは、面積が同一である。このような画線Aと画線A’とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、画線Aのみにより第1の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線A’のみにより第1の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Bと画線B’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Bと画線B’はユニット内に配置され、画線Bの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配置され、画線B’は、画線Bと異なる位置の長手方向が第2の方向とは異なる方向の第3の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Bのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線B’のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
同様に、画線Cと画線C’とは、対を成してネガポジの関係にあり、かつ、面積が同一である。画線Cと画線C’はユニット内に配置され、画線Cの長手方向が画線A及び画線A’の画線が配置される第1の方向とは異なる第4の方向に沿って配置され、画線C’は、画線Cと異なる位置の長手方向が画線Cと同様の第4の方向に沿って配置される。ここで言う、長手方向とは画線が長い方向を指す。短辺方向は画線が短い方向を指す。画線Cのみにより第3の不可視画像(ネガ又はポジ)、画線C’のみにより第3の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。
また、画線Bと画線B’は、可視画像(デザイン:模様)を構成するものも兼ね備えており、通常の視認状態において肉眼で視認される任意の図形及び文字等から成る模様を構成する。
図50(b)〜(g)は、図50(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線C、画線C’の各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図35(a)〜(h)に示されている。図35に示された画線の組合せ(a)〜(h)を具体的に図51(a)〜(h)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)と可視画像(デザイン:模様)が形成されている。
図50(a)に示された画線Aと画線A’、画線Bと画線B’、画線Cと画線C’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、縦軸方向に凸の180度回転した画線Aと凸の画線A’とを凸の180度回転した左辺の縦の長さSの6分の1の長さ程度で凸の180度回転した突起の部分の縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で凸の180度回転した突起の部分の位置は凸の180度回転した左辺からSの3分の1の長さ程度を移動させた位置で凸の180度回転した上辺の横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さを更にSから引いた長さ程度をそれぞれ持ってユニットの左上付近の端に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの3分の2の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度をユニットの右下付近のSの3分の1程度の位置に配置し、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さ程度をユニットの右下付近のSの3分の1程度の位置に配置されている。また、横軸方向に凸の90度左回転した画線Cと凸の90度右回転した画線C’とを凸の90度左回転した右辺の縦の長さSの3分の2の長さ程度で凸の90度左回転した上辺の横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の縦の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の位置は凸の90度左回転した上辺からSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度を移動させた位置をそれぞれ持ってユニットの左下付近の端に配置されている。さらに、画線Aと画線A’は、お互いに一部、重なる部分を有し、画線Cと画線C’は、お互いに一部、重なる部分を有する。しかし、本発明は、上記記載の条件に限定されるものではない。
また、図50(f)、図50(g)に示された補助画線C1、C’1は、図51(c)、図51(d)、図51(g)、図51(h)に示されたように画線B’と補助画線C1、C’1が一直線につながるようにするために、補助画線C1、C’1を画線C及び画線C’に追加している。それは、図32に示されたように印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。この原理から、補助画線C1、C’1が画線C及び画線C’に追加されたことにより画線B’と一直線につながるようになり印刷物1を傾けると画線B’と画線Bとの濃度差が大きくなり、潜像模様「桜」がより見え易くなるためである。もし、補助画線C1、C’1がない場合、画線B’と画線Bとの濃度差が小さいため、潜像模様「桜」が見えづらくなる。
このような構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置すると図52のようになる。この図52は、印刷物に印刷された印刷模様2を構成するマトリクス状に配置された複数の画線を、第1の不可視画像、第2の不可視画像及び第3の不可視画像のそれぞれの構成が分かるように簡易的に示した模式図である。印刷模様2において、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。同様に、画線Bと画線B’により構成される第2の不可視画像が不可視の状態になっている。同様に、画線Cの総画線面積と画線C’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第3の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。
この状態で、図53に示されたように、例えば、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察することによって、印刷模様2に施されている不可視画像を可視画像として発現させることができる。なお、本実施の形態3では、長さSが340μmで、印刷模様2がオフセット印刷によりコート紙に印刷されている。しかし、長さS、印刷物の基材、印刷方法、印刷材料、印刷装置等について何ら限定するものでない。
通常の目視では、可視画像が視認されるが、不可視画像は、視認されない。判別具を印刷模様上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた可視画像が全く確認できなくなり、逆に不可視画像が視認されるようになる。このような本実施の形態3による印刷物における画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
可視画像が視認され不可視画像が視認されていないとき、その可視画像を構成しているのは画線Bと画線B’の画線の太細で階調を現すものであり、その背景一面を構成しているのが不可視画像を構成する画線A又はA’、画線B又はB’及び画線C又はC’である。画線A及び画線A’、画線B及びB’並びに画線C及び画線C’はそれぞれネガポジの関係にあるとともに面積が同一であるため、画像(模様)として確認されることはない。また、画線Bと画線B’は、可視画像(デザイン:模様)を構成するものも兼ね備えており、通常の視認状態において肉眼で視認される任意の図形及び文字等から成る模様を構成する。
印刷物上の所定の位置に、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が画線Aの中心、すなわち図50(a)における線L1に一致するように載置する。この場合、画線Aが拡大された状態となるため、画線Aにより構成されている画像(模様)が確認できることとなる。その際、可視画像を構成していた画線Bと画線B’及び不可視画像を構成している画線B及びB’並びに画線C及びC’は、拡大されている画線Aよりも面積が相対的に小さくなる。また、画線B及びB’並びに画線C及びC’は、相互にネガポジの関係にある。これにより、画像としてではなく、一様な背景としてしか視認されないため、実際上には画像がスイッチすることとなる。画線A’が拡大されるように縦軸方向に沿って判別具を移動させた場合、画線Aにより視認された第1の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が図50(a)における線L3と一致するようにすることで、画線Bが拡大されるように判別具を載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。また、この状態から判別具を-90度回転させ、レンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図50(a)における線L4と一致するようにすることで、画線B’が拡大されるように判別具を載置した場合にも、同様の原理で第2の不可視画像のネガポジが反転して視認される。さらに、判別具であるレンチキュラーレンズにおける各レンズの中心線が図50(a)における線L5と一致するようにすることで、画線Cが拡大されるように判別具を載置した場合、さらにこの状態から横軸方向に沿って画線C’が拡大されるように載置した場合にも、同様の原理で第3の不可視画像のネガポジが反転して視認される。
印刷模様2に、所定の角度、より具体的には図50(a)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図54に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図50(a)における線L1と一致するように図54(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Aとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Aが膨張して見えるため、目視では図54(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図50(a)における線L2と一致し、図55(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線A’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線A’が膨張して見えるため、目視では図55(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Aと画線A’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図17(a)又は図17(b)に示されたような第1の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図50(a)における線L2とレンチキュラーレンズの各レンズの中心線が図50(a)における線L3と一致するように、印刷模様2に90度の角度を持って判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図56に示す。この場合、レンチキュラーレンズの中心線8が図56(a)に示された位置にあり、中心線8に位置するのは画線Bとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Bが膨張して見えるため、目視では図56(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図50(a)における線L4と一致し、図57(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線B’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線B’が膨張して見えるため、目視では図57(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。つまり、前述の図18(a)又は図18(b)に示されたような第2の不可視画像が、ネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現するものである。
図50(a)における線L5と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態を図58に示す。レンチキュラーレンズの中心線8が図50(a)における線L5と一致するように図58(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線Cとなっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線Cが膨張して見えるため、目視では図58(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。また、レンチキュラーレンズの中心線8が図50(a)における線L6と一致し、図59(a)に示された位置にあるとき、中心線8に位置するのは、画線C’となっている。レンチキュラーレンズの特性によって中心線8に位置する画線C’が膨張して見えるため、目視では図59(b)に示されたような図形の可視画像が発現する。ここで、画線Cと画線C’とはネガポジの関係にある。よって、上述の図33(a)又は図33(b)に示されたような第3の不可視画像がネガポジ状のどちらかに見える可視画像となって発現する。
図60は、図50(b)と図50(c)に示された画線Aと画線A’の配置構成を任意の図形で現わされている。図60(a)は、画線Aを任意の文字「ポジA」になるよう配置されている。図60(b)は、画線A’を任意の文字「ネガA」になるよう配置されている。図60(c)は、図60(a)と図60(b)を重ね合わせた状態になっている。図60(c)に示された実線「A」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Aの総画線面積と画線A’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第1の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Aと画線A’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図60(c)における線L1と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(a)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
さらに、図60(c)における線L2と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図17(b)に示されたような第1の不可視画像9が可視画像となって発現する。
図61は、図50(d)と図50(e)に示された画線Bと画線B’の配置構成を任意の図形で現わされている。図61(a)は、画線Bを任意の文字「ポジ桜」になるよう配置されている。図61(b)は、画線B’を任意の文字「ネガ桜」になるよう配置されている。図61(c)は、図61(a)と図61(b)を重ね合わせた状態になっている。図61(c)に示された実線「桜」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Bの総画線面積と画線B’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第2の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Bと画線B’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図61(c)における線L3と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(a)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
さらに、図61(c)における線L4と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図18(b)に示されたような第2の不可視画像10が可視画像となって発現する。
図61に示された画線Bと画線B’の画線が太細で階調表現されているが、これについては後述図64で説明をする。
図62は、図50(f)と図50(g)に示された画線Cと画線C’の配置構成を任意の図形で現わされている。図62(a)は、画線Cを任意の図形「ポジB」になるよう配置されている。図62(b)は、画線C’を任意の図形「ネガB」になるよう配置されている。図62(c)は、図62(a)と(b)を重ね合わせた状態になっている。図62(c)に示された実線「B」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。上述で説明したように、画線Cの総画線面積と画線C’の総画線面積とが等しく、それぞれ対になっているもの同士がネガポジの関係にあることによって、第3の不可視画像が通常の目視では不可視の状態になっている。この関係を保ちさえすれば、画線Cと画線C’の配置は、文字や図形等に限定されるものではない。
また、図62(c)における線L5と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図33(a)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。
さらに、図62(c)における線L6と各レンズの中心線とが一致するように、レンチキュラーレンズから成る判別具3を印刷物1上の印刷模様2に重ね合わせ、正面から目視で観察した状態が図33(b)に示されたような第3の不可視画像13が可視画像となって発現する。
図63は、図60(c)、図61(c)及び図62(c)を重ね合わせた状態を示されている。図63(a)に、本実施の形態3における印刷物に対する印刷模様の一画線の構成を部分的に拡大して示されている。図63(b)は、図63(a)の構成を有する画線を印刷物上にマトリクス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置し、図60(c)、図61(c)及び図61(c)の配置構成になるように画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線C及び画線C’を配置されたものであり、図60(c)、図61(c)及び図62(c)を重ね合わせた状態でもある。また、図63(b)に示された白い実線「A」、白い実線「桜」及び白い実線「B」は、重ねたことによる隠された図の説明のために示されたもので、印刷物の模様として印刷されるものではない。
図64は、本実施の形態3による印刷物を目視により観察した時に視認される模様の構成を示されている。図64(a)は、連続階調におけるグレースケールが示されている。この連続階調におけるグレースケールを図64(b)に示された縦画線(画線B)と図64(c)に示された横画線(画線B’)にそれぞれ連続階調に伴うよう画線の太細を調整させる。その後、図64(d)に示された「ポジ桜」と図64(e)に示された「ネガ桜」を形成させる。これは、図61(a)と図61(b)と同等である。図64(a)に示された連続階調におけるグレースケールを任意の模様等に変更させることにより、印刷物を目視により観察した時に視認される模様等を自由にさせることができる。
図65(a)は、図63(b)に示されたものと同等であり、図65(b)は、図65(a)の画線構成の一部を拡大された図である。図65(b)に示された画線A、画線B及び画線Cは、図60(a)の「ポジA」、図61(a)の「ポジ桜」及び図62(a)の「ポジB」の一部を示され、図65(b)に示された画線A’、画線B’及び画線Cは、図60(b)の「ネガA」、図61(b)の「ネガ桜」及び図62(a)の「ポジB」の一部を示されている。
図66(a)は、図65(b)に示されたものと同等であり、図66(b)は、図66(a)の画線構成の立体図を示されたものである。図66(b)に示された盛り高さを有する画線、画線Aと画線A’、画線Bと画線B’、画線Cと画線C’に関し、縦横の長さがSである四角形内において、ユニット16は、縦軸方向に凸の180度回転した画線Aを凸の180度回転した左辺の縦の長さSの6分の1の長さ程度で凸の180度回転した突起の部分の縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で凸の180度回転した突起の部分の位置は凸の180度回転した左辺からSの3分の1の長さ程度を移動させた位置で凸の180度回転した上辺の横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さを更にSから引いた長さ程度をユニットの左上付近の端に配置し、横軸方向に長方形の画線Bを縦の長さSの3分の2の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度をユニットの右下付近のSの3分の1程度の位置に配置し、横軸方向に凸の90度左回転した画線Cを凸の90度左回転した右辺の縦の長さSの3分の2の長さ程度で凸の90度左回転した上辺の横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の縦の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の位置は凸の90度左回転した上辺からSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度を移動させた位置にユニットの左下付近の端に配置されている。また、ユニット17は、縦軸方向に凸の画線A’を凸の左辺の縦の長さSの6分の1の長さ程度で凸の突起の部分の縦の長さSの6分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で凸の突起の部分の位置は凸の左辺からSの3分の1の長さ程度を移動させた位置で凸の下辺の横の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さを更にSから引いた長さ程度をユニットの左上付近の端に配置し、縦軸方向に長方形の画線B’を縦の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で横の長さSの3分の2の長さ程度をユニットの右下付近のSの3分の1程度の位置に配置し、横軸方向に凸の90度左回転した画線Cを凸の90度左回転した右辺の縦の長さSの3分の2の長さ程度で凸の90度左回転した上辺の横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の縦の長さSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度で横の長さSの6分の1の長さ程度で凸の90度左回転した突起の部分の位置は凸の90度左回転した上辺からSの3分の2の長さの3分の1の長さ程度を移動させた位置にユニットの左下付近の端に配置されている。ユニット16に示された盛り高さを有する画線A、画線B及び画線Cは、画線B’の画線の盛り高さ未満を成す。ユニット17に示された盛り高さを有する画線A’及び画線Cは、画線B’の画線の盛り高さと同じものを成す。すなわち、盛り高さを有する画線A、画線A’、画線B、画線C及び画線C’は、画線B’の画線の盛り高さ以下を成す(画線A、画線A’、画線B、画線C、画線C’≦画線B’)。
図32は、本実施の形態3の印刷物1を傾けて目視により観察した時に視認される印刷模様2を示す斜視図である。上述図2に示すように、図32は、印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。これにより、潜像模様「桜」が顕像となって出現する。潜像模様を成している画線B、画線B’は、第2の不可視画像の画線構成とも兼ね備えている。
図67は、本実施の形態1、本実施の形態2及び本実施の形態3に示された画線構成のバリエーションを示されている。図67(b)〜(e)は、図67(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’の各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図8(a)〜(d)に示されている。図8に示された画線の組合せ(a)〜(d)を具体的に図68(a)〜(d)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)が形成されている。また、図67においては、可視画像を形成されていないが、可視画像を構成させる画線の太細で階調を現すことも可能である。例えば、不可視画像を構成する画線B及びB’の画線の太細で階調を現すことである。
また、図67(b)、図67(c)に示された補助画線A1、A2、A’1、A’2は、図68(a)、図68(c)に示されたように画線Bと補助画線A1、A2、A’1、A’2が一直線につながるようにするために、補助画線A1、A2、A’1、A’2を画線A及び画線A’に追加している。それは、図32に示されたように印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。この原理から、補助画線A1、A2、A’1、A’2が画線A及び画線A’に追加されたことにより画線Bと一直線につながるようになり印刷物1を傾けると画線B’と画線Bとの濃度差が大きくなり、潜像模様「桜」がより見え易くなるためである。もし、補助画線A1、A2、A’1、A’2がない場合、画線B’と画線Bとの濃度差が小さいため、潜像模様「桜」が見えづらくなる。
図69は、本実施の形態1、本実施の形態2及び本実施の形態3に示された画線構成のバリエーションを示されている。図69(b)〜(g)は、図69(a)の画線A、画線A’、画線B、画線B’、画線C、画線C’の各画線を個別に分けて示されている。この画線の組合せを図35(a)〜(h)に示されている。図35に示された画線の組合せ(a)〜(h)を具体的に図70(a)〜(h)に画線の組合せとして示されている。この画線の組合せを一画線の構成とし、印刷物上にマトリックス状に隙間なく、連続的かつ規則的に配置することにより、印刷模様2に施されている不可視画像(任意の図形及び文字等)と可視画像(デザイン:模様)が形成されている。
また、図69(b)、図69(c)に示された補助画線A1、A’1は、図70(a)、図70(b)、図70(e)、図70(f)に示されたように画線Bと補助画線A1、A’1が一直線につながるようにするために、補補助画線A1、A’1を画線A及び画線A’に追加している。さらに、図69(f)、図69(g)に示された補助画線C1、C’1は、図70(c)、図70(d)、図70(g)、図70(h)に示されたように画線B’と補助画線C1、C’1が一直線につながるようにするために、補助画線C1、C’1を画線C及び画線C’に追加している。それは、図32に示されたように印刷物1を傾けて観察すると、画線B’は、印刷物1を傾ける角度に対して直交する方向に配列されていることから、インキの盛り高さを有する画線によって各々の非画線部が隠蔽され、高濃度となるが、画線Bは、印刷物を傾ける方向に沿って配列されていることから、印刷物を傾けても各々の非画線部の濃度は変化しない。この原理から、補助画線A1、A’1、が画線A及び画線A’に追加されたことにより画線Bと一直線につながるようになり印刷物1を傾けると画線B’と画線Bとの濃度差が大きくなるのと、補助画線C1、C’1が画線C及び画線C’に追加されたことにより画線B’と一直線につながるようになり印刷物1を傾けると画線B’と画線Bとの濃度差が大きくなり潜像模様「桜」がより見え易くなるためである。もし、補助画線A1、A’1、C1、C’1がない場合、画線B’と画線Bとの濃度差が小さいため、潜像模様「桜」が見えづらくなる。
本発明の偽造防止印刷物において、第1の画線及び第2の画線の角度差が0±10度であることが好ましく、第3の画線及び第4の画線の角度差が90±10度であることが好ましく、第5の画線及び第6の画線の角度差が0±10度であることが好ましい。また、第1の画線と第3の画線及び第2の画線と第3の画線における各々の角度差が90±15度であることが好ましく、第1の画線と第4の画線及び第2の画線と第4の画線における各々の角度差が0±10度であることが好ましく、第5の画線と第4の画線及び第6の画線と第4の画線における各々の角度差が90±15度であることが好ましく、第5の画線と第3の画線及び第6の画線と第3の画線における各々の角度差が0±10度であることが好ましい。
本発明の偽造防止印刷物の印刷模様は、第3の画線及び第4の画線の少なくとも一方の画線の太細で階調を形成することができる。また、ユニット内の第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線、第5の画線及び第6の画線が形成されていない箇所に画線を形成することで、印刷模様に階調を施すことも可能である。
本発明の偽造防止印刷物の印刷模様を観察した場合に第1の不可視画像の不可視化及び印刷模様に判別具を重ねた場合の第1の不可視画像の視認性を考慮すると第1の画線と第2の画線の面積は同一であることが好ましく、第3の不可視画像の不可視化及び印刷模様に判別具を重ねた場合の第3の不可視画像の視認性を考慮すると第5の画線と第6の画線の面積は同一であることが好ましい。さらに、第2の不可視画像の不可視化及び基材を傾けて観察した場合の第2の不可視画像の視認性を考慮すると第3の画線と第4の画線の面積は同一であることが好ましい。本発明の偽造防止印刷物の第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線、第5の画線及び第6の画線は、長手方向及び短辺方向を有する画線であれば特に限定されることはないが、長方形、楕円等の形状が好ましい。また、第1の画線、第2の画線、第3の画線、第4の画線、第5の画線及び第6の画線は、各々それぞれの画線が重なる場合と重ならない場合のどちらか又は両方で形成することができる。さらに、第1の画線、第2の画線、第5の画線及び第6の画線は、各々それぞれの画線が上記記載の補助画線を有する場合と有しない場合のどちらか又は両方で形成することができる。
本発明の偽造防止印刷物の第1の不可視画像を形成する第1の画線、第2の画線は横方向で説明しており、第3の不可視画像を形成する第5の画線、第6の画線は、縦方向で説明しているが、本発明はこれに限定されることなく、第1の画線と第2の画線を形成する第1の方向及び第5の画線と第6の画線を形成する第4の方向の角度差は、45度〜135度の範囲内で形成することが可能である。
本発明の偽造防止印刷物の第2の不可視画像を形成する第3の画線、第4の画線は、縦横方向で説明しているが、本発明はこれに限定されることなく、第3の画線を形成する第2の方向及び第4の画線を形成する第3の方向の角度差は、45度〜135度の範囲内で形成することができる。さらに、好ましくは、第2の方向及び前記第3の方向の角度差は、90度である。
本発明の偽造防止印刷物の印刷方式は、盛り上がりを有する画線が形成可能であれば、特に限定されないが、凹版印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷から選択されるいずれかによって形成することが好ましい。