以下、車室の後部構造の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。なお、図1はこの車室の後部構造を適用した車両における左側リアシート近傍を示している。この車室の後部構造においては、右側リアシートは、左側リアシートと左右対称であるため、以下では、左側リアシートについて詳しく説明し、右側リアシートについてはその詳しい説明を省略する。
図1に示されているように、リアシート10は、座面11と背もたれ12とヘッドレスト13とによって構成されている。この車室の後部構造においては、車室側壁を構成するドア20と背もたれ12との間に、シートサイドガーニッシュ30が取り付けられており、背もたれ12とドア20との間がシートサイドガーニッシュ30によって埋められている。
シートサイドガーニッシュ30は、樹脂製の化粧カバーであり、この車室の後部構造においては、破線で示されているように、シートサイドガーニッシュ30の車両後方にリアサイドエアバッグ装置40が配設されている。
ドア20には、ドアトリム21が取り付けられているとともに、アームレスト22が取り付けられている。
また、図1に示されているように、リアシート10には、リアシート10用のシートベルト50が設けられている。シートベルト50は、固定具51に固定されていない状態、すなわち使用されていないときには、シートサイドガーニッシュ30の車両前方に重なっている。
図2〜図4に示されているように、シートベルト50は、車両幅方向外側の端部が、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40が配設されている部分の車両前方に重なる位置に配設されている。
また、図2及び図4に示されているように、アームレスト22の車両幅方向内側の端部もシートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40が配設されている部分の車両前方に重なっている。
図3に示されているように、リアサイドエアバッグ装置40においては、袋状のエアバッグ42の内部に、エアバッグ42を膨張させるためのガスを発生させるインフレータ41が収容されている。インフレータ41を収容した状態のエアバッグ42は、折り畳まれた状態でケース43に収容されている。
ケース43は、金属製で、直方体を構成する6つの面のうちの1つ面を開口部とした箱状をなしている。ケース43はこの開口部をシートサイドガーニッシュ30の車両後方側の面に向けた状態で、シートサイドガーニッシュ30の車両後方に固定されている。そして、リアサイドエアバッグ装置40が固定されているシートサイドガーニッシュ30は、上述したようにリアシート10の背もたれ12とドア20との間を埋めるように車体に取り付けられている。
リアサイドエアバッグ装置40においては、側面衝突などの衝撃を感知するとインフレータ41からガスが噴出し、折り畳まれているエアバッグ42がケース43の開口部から車両前方に展開膨張する。このとき、展開膨張するエアバッグ42がシートサイドガーニッシュ30を車両前方に押すことにより、シートサイドガーニッシュ30の一部が破断し、シートサイドガーニッシュ30に、エアバッグ42が通過する開口部が形成される。そして、エアバッグ42は、こうしてシートサイドガーニッシュ30に形成された開口部から車室内に飛び出し、膨張する。
図3及び図4に示されているように、ケース43の開口部と対向しているシートサイドガーニッシュ30の車両後方側の面には、他の部分よりも薄肉になっており、エアバッグ42が展開膨張するときに破断する箇所を規定するテアライン31が設けられている。
図2に二点鎖線で示されているように、テアライン31は、リアサイドエアバッグ装置40の上端近傍に位置して車両幅方向に延びる第1ライン31aと、リアサイドエアバッグ装置40の下端近傍に位置して車両幅方向に延びる第5ライン31eと、これら第1ライン31a及び第5ライン31eを繋いでいる部分とからなっている。
第1ライン31aは、リアサイドエアバッグ装置40の上端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する位置から車両幅方向外側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向外側の端部近傍まで至っている。
また、第5ライン31eは、リアサイドエアバッグ装置40の下端近傍における車両幅方向外側の端部と対向する位置から車両幅方向内側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向内側の端部近傍まで至っている。
第1ライン31a及び第5ライン31eを繋いでいる部分は、第1ライン31aと繋がっている第2ライン31bと、第5ライン31eと繋がっている第4ライン31dと、第2ライン31bと第4ライン31dとを繋いでいる第3ライン31cとからなっている。
第2ライン31bは、第1ライン31aの車両幅方向外側の端部から下方に向かって直線状に延びている。これにより、第1ライン31aと第2ライン31bとはほぼ直交している。なお、図2及び図3に示されているように、第2ライン31bは、シートサイドガーニッシュ30の車両前方に位置するシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通っている。そして、図2に示されているように、第2ライン31bの下端はアームレスト22の上端よりも上方に位置している。
また、第4ライン31dは、第5ライン31eの車両幅方向内側の端部から上方に向かって直線状に延びている。これにより、第5ライン31eと第4ライン31dとはほぼ直交している。なお、図2及び図4に示されているように、第4ライン31dは、シートサイドガーニッシュ30の車両前方に位置するシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通っている。また、図2に示されているように、第4ライン31dの上端はアームレスト22の上端よりも下方に位置している。
そして、第3ライン31cは、上端から下端に向かうに従い次第に車両幅方向内側に位置するように斜めに延びており、上端が第2ライン31bの下端と交わっているとともに、下端が第4ライン31dの上端と交わっている。
この車室の後部構造においては、エアバッグ42が展開膨張する際に、これら第1ライン31a,第2ライン31b,第3ライン31c,第4ライン31d,第5ライン31eによって構成されたテアライン31に沿ってシートサイドガーニッシュ30が破断する。これにより、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の車両前方に位置する部分には、テアライン31によって囲まれた部分によって上側蓋部32と下側蓋部33とが形成される。
具体的には、第1ライン31aと第2ライン31bと第3ライン31cとによって囲まれた部分が、上側蓋部32になる。図2に示されているように、第1ライン31aは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びている第2ライン31bの上端に繋がっている。そして、第2ライン31bの下端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る第3ライン31cに繋がっている。そのため、上側蓋部32は、エアバッグ42が展開膨張する際に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に位置する第2ライン31bに沿って破断した端部を車室側に開くように回動する。
なお、テアライン31においては、第1ライン31aと第2ライン31bと第3ライン31cとからなる一連の部分が、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分に相当する。
一方、第5ライン31eと第4ライン31dと第3ライン31cとによって囲まれた部分が、下側蓋部33になる。図2に示されているように、第5ライン31eは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位から車両幅方向内側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通って上方に延びている第4ライン31dの下端に繋がっている。そして、第4ライン31dの上端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に至る第3ライン31cに繋がっている。そのため、下側蓋部33は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に位置する第4ライン31dに沿って破断した端部を車室側に開くように回動する。
なお、図2に示されているように、第4ライン31dは、アームレスト22の車両幅方向内側の端部よりも車両幅方向内側に位置しているため、下側蓋部33における第4ライン31dに沿って破断した端部は、アームレスト22の車両幅方向内側の端部よりも車両幅方向内側に位置することになる。
このように形成される上側蓋部32と下側蓋部33とがドアのように車室側に回動することにより、シートサイドガーニッシュ30にはエアバッグ42が通過する開口部が形成される。
次に本実施形態にかかる車室の後部構造の作用及び効果について、図5及び図6を参照して説明する。
なお、リアシート10に着座している乗員とドア20との間にエアバッグ42を展開膨張させる際には、乗員の肩の部分とドア20との間の部分に先にエアバッグ42を入り込ませ、それからエアバッグ42を下方に展開膨張させて、乗員の腰の部分とドア20との間に入り込ませる。そのため、この車室の後部構造においては、エアバッグ42が展開膨張する際には、上側蓋部32の方が下側蓋部33よりも先に開き、エアバッグ42は上側から先に車室内に展開する。
したがって、図5に示されているように、エアバッグ42が展開膨張する際には、まず上側蓋部32が車室側に開いてできた開口部からエアバッグ42が車両前方に飛び出し、膨張する。このとき、上述したように上側蓋部32は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に位置する部分を支点に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に位置する第2ライン31bに沿って破断した端部を車室側に飛び出させるように回動する。そのため、エアバッグ42が展開膨張する際の上側蓋部32の回動に伴い、シートベルト50は上側蓋部32よりも車両幅方向内側、すなわちエアバッグ42が飛び出す開口部から離間する方向に上側蓋部32によって押しのけられるようになる。したがって、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
また、図6に示されているように、上側蓋部32が開き始めると、それに続いて下側蓋部33も開き始め、下側蓋部33が車室側に開いてできた開口部からエアバッグ42が車両前方に飛び出し、膨張する。このとき、下側蓋部33は、第4ライン31dに沿って破断した端部を車室側に飛び出させるように、車両幅方向外側に位置する部分を支点に、回動する。なお、このときには、既にシートベルト50が上側蓋部32によって上側蓋部32よりも車両幅方向内側に押しのけられているため、下側蓋部33がシートベルト50と干渉することはない。
また、図6に示されているように、開いた下側蓋部33は、アームレスト22の後端における車両幅方向内側の角に当接する。これにより、下側蓋部33が開いてできた開口部においては、下側蓋部33がアームレスト22の後端における車両幅方向内側の角を覆い、エアバッグ42をアームレスト22よりも車両幅方向内側に導くガイドとなり、エアバッグ42がアームレスト22の後端に干渉しなくなる。したがって、アームレスト22によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことも抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・テアラインは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分を含んでいればよい。テアラインがこうした部分を含んでいれば、その部分によって取り囲まれた蓋部によってシートベルト50を車両幅方向内側に押しのけ、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
例えば、図7に示されているようなテアライン131を設けるようにしてもよい。このテアライン131は、第1ライン131aと、第2ライン131bと、第3ライン131cと、第4ライン131dと、第5ライン131eとからなっている。なお、図7では、ドア20の図示を省略しており、アームレスト22の上端の高さを一点鎖線L1で示している。
第1ライン131aは、テアライン31の第1ライン31aと同様にリアサイドエアバッグ装置40の上端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する位置から車両幅方向外側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向外側の端部近傍まで至っている。
また、第5ライン131eも、テアライン31の第5ライン31eと同様にリアサイドエアバッグ装置40の下端近傍における車両幅方向外側の端部と対向する位置から車両幅方向内側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向内側の端部近傍まで至っている。
第1ライン131a及び第5ライン131eを繋いでいる部分は、第1ライン131aと繋がっている第2ライン131bと、第5ライン131eと繋がっている第4ライン131dと、第2ライン131bと第4ライン131dとを繋いでいる第3ライン131cとからなっている。
第2ライン131bは、第1ライン131aの車両幅方向外側の端部から下方に向かって直線状に延びている。これにより、第1ライン131aと第2ライン131bとはほぼ直交している。なお、第2ライン131bは、テアライン31の第2ライン31bと同様にシートサイドガーニッシュ30の車両前方に位置するシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通っており、第2ライン131bの下端はアームレスト22の上端よりも上方に位置している。
また、第4ライン131dは、第5ライン131eの車両幅方向内側の端部から上方に向かって直線状に延びている。これにより、第5ライン131eと第4ライン131dとはほぼ直交している。なお、第4ライン131dも、テアライン31の第4ライン31dと同様にシートサイドガーニッシュ30の車両前方に位置するシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通っている。しかし、第4ライン131dはテアライン31における第4ライン31dとは異なり、その上端がアームレスト22の上端よりも上方に位置している。
そして、第3ライン131cは、ほぼ水平に延びており、車両幅方向外側の端部が第2ライン131bの下端と交わっているとともに、車両幅方向内側の端部が第4ライン131dの上端と交わっている。
こうしたテアライン131に沿ってシートサイドガーニッシュ30が破断すると、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の車両前方に位置する部分には、テアライン131によって囲まれた部分によって上側蓋部132と下側蓋部133とが形成される。
すなわち、第1ライン131aと第2ライン131bと第3ライン131cとによって囲まれた部分が、上側蓋部132になり、第5ライン131eと第4ライン131dと第3ライン131cとによって囲まれた部分が、下側蓋部133になる。
第1ライン131aは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びている第2ライン131bの上端に繋がっている。そして、第2ライン131bの下端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る第3ライン131cに繋がっている。そのため、上側蓋部132も、上側蓋部32と同様にエアバッグ42が展開膨張する際に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に位置する第2ライン131bに沿って破断した端部を車室側に開くように回動する。
なお、テアライン131においては、第1ライン131aと第2ライン131bと第3ライン131cとからなる一連の部分が、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分に相当する。
また、第5ライン131eは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位から車両幅方向内側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通って上方に延びている第4ライン131dの下端に繋がっている。そして、第4ライン131dの上端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に至る第3ライン131cに繋がっている。そのため、下側蓋部133も、下側蓋部33と同様にシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に位置する第4ライン131dに沿って破断した端部を車室側に開くように回動する。
そのため、こうした構成を採用した場合にも、エアバッグ42が展開膨張する際の上側蓋部132の回動に伴い、シートベルト50は上側蓋部132よりも車両幅方向内側に上側蓋部132によって押しのけられるようになる。したがって、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
また、下側蓋部133が開く際には、既にシートベルト50が上側蓋部132によって上側蓋部132よりも車両幅方向内側に押しのけられているため、下側蓋部133がシートベルト50と干渉することはない。そして、下側蓋部133が開いてできた開口部においては、下側蓋部133がアームレスト22の後端における車両幅方向内側の角を覆い、エアバッグ42をアームレスト22よりも車両幅方向内側に導くガイドとなる。
他の変更例としては、図8に示されているようなテアライン231を設けるようにしてもよい。このテアライン231は、第1ライン231aと、第2ライン231bと、第3ライン231cとからなっている。なお、図8においても、ドア20の図示を省略しており、アームレスト22の上端の高さを一点鎖線L1で示している。
第1ライン231aは、テアライン31の第1ライン31aと同様にリアサイドエアバッグ装置40の上端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する位置から車両幅方向外側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向外側の端部近傍まで至っている。
また、第3ライン231cは、テアライン31の第5ライン31eと同様にリアサイドエアバッグ装置40の下端近傍における車両幅方向外側の端部と対向する位置から車両幅方向内側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向内側の端部近傍まで至っている。
第1ライン231a及び第3ライン231cを繋いでいる第2ライン231bは、上端から下端に向かうに従い次第に車両幅方向内側に位置するように斜めに延びており、上端が第1ライン231aの車両幅方向外側の端部と交わっているとともに、下端が第3ライン231cの車両幅方向内側の端部と交わっている。
こうしたテアライン231に沿ってシートサイドガーニッシュ30が破断すると、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の車両前方に位置する部分には、テアライン231によって囲まれた部分によって上側蓋部232と下側蓋部233とが形成される。
すなわち、第1ライン231aと第2ライン231bとに挟まれた部分が、上側蓋部232になり、第3ライン231cと第2ライン231bとに挟まれた部分が、下側蓋部233になる。
第1ライン231aは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びている第2ライン231bの上端に繋がっている。そして、第2ライン231bの下端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至っている。そのため、上側蓋部232も、上側蓋部32と同様にエアバッグ42が展開膨張する際に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、車両幅方向外側に位置する部分を車室側に開くように回動する。
なお、テアライン231においては、第1ライン231aと第2ライン231bとからなる一連の部分が、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分に相当する。
また、第3ライン231cは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位から車両幅方向内側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通って上方に延びている第2ライン231bの下端に繋がっている。そして、第2ライン231bの上端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に至っている。そのため、下側蓋部233も、下側蓋部33と同様にシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部分を支点にして、車両幅方向内側に位置する部分を車室側に開くように回動する。
そのため、こうした構成を採用した場合にも、エアバッグ42が展開膨張する際の上側蓋部232の回動に伴い、シートベルト50は上側蓋部232よりも車両幅方向内側に上側蓋部232によって押しのけられるようになる。したがって、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
また、下側蓋部233が開く際には、既にシートベルト50が上側蓋部232によって上側蓋部232よりも車両幅方向内側に押しのけられているため、下側蓋部233がシートベルト50と干渉することはない。そして、下側蓋部233が開いてできた開口部においては、下側蓋部233がアームレスト22の後端における車両幅方向内側の角を覆い、エアバッグ42をアームレスト22よりも車両幅方向内側に導くガイドとなる。
更に他の変更例としては、図9に示されているようなテアライン331を設けるようにしてもよい。このテアライン331は、蛇行するように湾曲した形状をなしている。点P1で示したテアライン331の上端は、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の上端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する部位に位置している。また、点P4で示したテアライン331の下端は、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の下端近傍における車両幅方向外側の端部と対向する部位に位置している。
テアライン331は、アームレスト22の上端の高さを示す一点鎖線L1よりも上側の部分では、点P2で示した部分を頂点として車両幅方向外側に凸の曲線を描くように湾曲している。一方で、一点鎖線L1よりも下側の部分では、点P3で示した部分を頂点として車両幅方向内側に凸の曲線を描くように湾曲している。
こうしたテアライン331に沿ってシートサイドガーニッシュ30が破断すると、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の車両前方に位置する部分には、テアライン331によって囲まれた部分によって上側蓋部332と下側蓋部333とが形成される。
すなわち、テアライン331のうち点P1で示した上端から点P3で示した部位までの間の部分によって囲まれた部分が、上側蓋部332になり、テアライン331のうち点P4で示した下端から点P2で示した部位までの間の部分によって囲まれた部分が、下側蓋部333になる。
点P1で示した上端から点P3で示した部位までの間の部分は、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びている。そして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至っている。そのため、上側蓋部332も、上側蓋部32と同様にエアバッグ42が展開膨張する際に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、車両幅方向外側に位置する部分を車室側に開くように回動する。
なお、テアライン331においては、点P1で示した上端から点P2で示した部位を経由し、点P3で示した部位に至るまでの部分が、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分に相当する。
また、点P4で示した下端から点P2で示した部位までの間の部分は、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位から車両幅方向内側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位を通って上方に延びている。そして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に至っている。そのため、下側蓋部333も、下側蓋部33と同様にシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部分を支点にして、車両幅方向内側に位置する部分を車室側に開くように回動する。
そのため、こうした構成を採用した場合にも、エアバッグ42が展開膨張する際の上側蓋部332の回動に伴い、シートベルト50は上側蓋部332よりも車両幅方向内側に上側蓋部332によって押しのけられるようになる。したがって、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
また、下側蓋部333が開く際には、既にシートベルト50が上側蓋部332によって上側蓋部332よりも車両幅方向内側に押しのけられているため、下側蓋部333がシートベルト50と干渉することはない。そして、下側蓋部333が開いてできた開口部においては、下側蓋部333がアームレスト22の後端における車両幅方向内側の角を覆い、エアバッグ42をアームレスト22よりも車両幅方向内側に導くガイドとなる。
・また、テアラインは、必ずしも上下2つの蓋部を形成するものでなくてもよい。
例えば、ドア20に設けられたアームレストとの干渉が問題にならないのであれば、図10に示されているように、1つの蓋部432を形成するテアライン431を設けるようにしてもよい。このテアライン431は、第1ライン431aと、第2ライン431bと、第3ライン431cとからなっている。
第1ライン431aは、テアライン31の第1ライン31aと同様にリアサイドエアバッグ装置40の上端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する位置から車両幅方向外側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向外側の端部近傍まで至っている。
また、第3ライン431cは、リアサイドエアバッグ装置40の下端近傍における車両幅方向内側の端部と対向する位置から車両幅方向外側にほぼ水平に延び、リアサイドエアバッグ装置40の車両幅方向外側の端部近傍まで至っている。
第1ライン431a及び第3ライン431cを繋いでいる第2ライン431bは、第1ライン431aの車両幅方向外側の端部から下方に向かって直線状に延び、第3ライン431cの車両幅方向外側の端部に繋がっている。これにより、第2ライン431bは、第1ライン31a及び第3ライン431cの双方とほぼ直交している。
こうしたテアライン431に沿ってシートサイドガーニッシュ30が破断すると、シートサイドガーニッシュ30におけるリアサイドエアバッグ装置40の車両前方に位置する部分には、テアライン431によって囲まれた部分によって1つの蓋部432が形成される。
すなわち、第1ライン431aと第2ライン431bと第3ライン431cとによって囲まれた部分が、蓋部432になる。
第1ライン431aは、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延びており、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びている第2ライン431bの上端に繋がっている。そして、第2ライン431bの下端は、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る第3ライン431cに繋がっている。そのため、蓋部432も、上側蓋部32と同様にエアバッグ42が展開膨張する際に、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に位置する第2ライン431bに沿って破断した端部を車室側に開くように回動する。
なお、テアライン431においては、第1ライン431aと第2ライン431bと第3ライン431cとからなる一連の部分が、シートサイドガーニッシュ30におけるシートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部位から車両幅方向外側に延び、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側の部位を通って下方に延びて、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側に至る部分に相当する。
したがって、こうした構成を採用した場合にも、エアバッグ42が展開膨張する際の蓋部432の回動に伴い、シートベルト50は蓋部432よりも車両幅方向内側に蓋部432によって押しのけられるようになる。したがって、シートベルト50によってエアバッグ42の展開膨張が阻害されてしまうことを抑制することができる。
また、テアラインは、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向内側の部分を支点にして、シートベルト50の車両幅方向外側の端部よりも車両幅方向外側に位置する端部を車室側に開くように回動する蓋部を形成する部分を含んでいれば、3つ以上の蓋部を形成するように設けられていてもよい。