JP6593232B2 - アーク式電気炉における金属溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アーク式電気炉における金属溶解方法に関する。
アーク式電気炉に、スクラップ、合金鉄、粒鉄等の金属原料と、使用済アルミナ系耐火物、アルミ灰等のアルミナ源と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを装入し、金属原料と電極との間にアークを発生させて、金属原料を溶解することが一般的に行われている。この際、アーク式電気炉の溶融金属原料を保持する浴部の内側面には耐火物が施工されているが、アークによる輻射熱を直接受け続けると耐火物が損耗してしまう。そこで、アーク式電気炉において、スラグを泡立たせるスラグフォーミングを行い、泡立ったスラグでアークを覆った状態で金属原料を溶解する技術が提案されている。
例えば特許文献1には、クロムを5%以上含有する鋼の電気炉の溶解において、空気あるいは不活性ガスのキャリアガスと共に、粉炭をスラグ中に上吹きして、粉炭と酸化クロムの反応によりCOガスを生成させ、スラグフォーミングさせることが記載されている。特許文献1に記載の技術では、スラグフォーミングをしてアークをスラグで覆うことにより、耐火物原単位と電力原単位との低減を図っている。
また、特許文献2には、アーク式電気炉の溶解において、溶鋼中に、まず酸素ガスを吹きこみ、次いで炭素質材料を吹き込むことでCOガスを発生させ、スラグフォーミングを行うことが記載されている。
特開平1−201415号公報 特開昭61−174312号公報
上記特許文献1に記載の技術では、スラグフォーミングにより耐火物の損耗の抑制について一定の効果はあるものの、限界があった。これは、スラグを泡立たせるCOガスは粉炭と酸化クロムとの反応により発生するが、スラグ中のクロム酸化物の量に限りがあり、発生するCOガス量が不足してアームを包む泡の量が不足するためである。
また、上記特許文献2に記載の技術に関して、本願発明者が検討したところ、造滓剤として粒径の大きなものを添加した場合には、スラグフォーミングが遅延する場合があり、このとき耐火物は損耗するとの知見を得た。ここで、粒径の大きな造滓剤として、篩目25mm以上のもの(JIS Z8801−2:2000の公称目開き25mmの板ふるいの篩上に残留する大きさのものをいう。)を想定した。かかる技術では、溶鋼へ酸素を吹き込むことで溶鋼が攪拌されるが、この程度の攪拌では粒径の大きな造滓剤の溶解が遅延し、スラグ溶融化が遅れるため、スラグフォーミングの遅延が生じると考えられる。
また、特許文献2に記載の技術では、まず溶鋼中に酸素ガスを吹きこみ、次いで炭素質材料を吹き込み、溶融した炭素と酸素とを反応させてCOガスを発生させている。しかし、かかる方法では、炭素質材料の吹き込み後、COガスが発生するまでに時間遅れがあり、その結果、スラグフォーミングの遅延が生じると考えられる。したがって、特許文献2に記載の技術では、スラグフォーミングの遅延が生じることにより、耐火物の損耗の抑制効果は小さいと本願発明者は知見した。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、遅延なくスラグフォーミングを生じさせることが可能な、新規かつ改良されたアーク式電気炉における金属溶解方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、アーク式電気炉により金属原料を溶解する金属溶解方法において、通電開始前に炭材を添加し、通電開始前または通電開始後の少なくともいずれかにおいて、アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の耐火物が5〜30質量%、篩目3.15mm以下の耐火物が3質量%以上含まれるようにした該アルミナ系耐火物と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを、金属原料に対して配合し、金属原料を溶解した前記電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込み、スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする、アーク式電気炉における金属溶解方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、遅延なくスラグフォーミングを生じさせることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る金属溶解方法は、アーク式電気炉により、金属原料を溶解する。この際、通電開始前に炭材を添加し、通電開始前または通電開始後の少なくともいずれかにおいて、アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の耐火物が5〜30質量%、篩目3.15mm以下の耐火物が3質量%以上含まれるようにした該アルミナ系耐火物と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを、金属原料に対して配合する。そして、金属原料を溶解した電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹きこみ、スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする。本願発明者は、このような条件で金属原料を溶解させることにより、従来技術で生じていたスラグフォーミングの遅延を解決し、早期にスラグを泡立たせることができること見出した。以下、本実施形態に係る金属溶解方法について詳細に説明していく。なお、以下において、濃度は、特段の説明がない限り、質量%で表されるものとする。
<1.アーク式電気炉による金属溶解>
アーク式電気炉は、電気によって金属原料を溶解するための設備である。電気炉の炉体は、一般に、溶融金属原料を保持する炉底及び下部側壁部からなる浴部と、装入原料を保持する上部水冷側壁部と、炉蓋とからなる。なお、以下において、浴部と上部水冷側壁部とを合せて炉本体と表記する場合もある。浴部の内側面には耐火物が施工されている。また、炉本体の開口部を覆う炉蓋には、炉本体内に挿入される電極が設けられている。
このような炉本体に、スクラップ、合金鉄、粒鉄等の金属原料と、使用済アルミナ系耐火物、アルミ灰等のアルミナ源と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを装入した後、炉蓋をかぶせ、電極を金属原料に向け近接させる。そして、電極に電圧を印加すると、炉本体内で金属原料と電極との間にアークが発生し、この際に生じるアーク熱によって金属原料が溶解される。さらに、ノズルを介して酸素を吹き込み、リン、珪素等の不純物の除去や炭素濃度の調整を行うとともに、溶融金属の温度を上昇させて金属原料の溶解を促進させる。
<2.金属溶解条件>
アーク式電気炉により金属原料と電極との間にアークを発生させて金属原料を溶解する際、浴部内には耐火物が施工されているが、アークによる輻射熱を直接受け続けると耐火物が損耗してしまう。そこで、本実施形態では、以下の条件で原料金属を溶解させることで、COガスを早期に発生させ、遅延なくスラグフォーミングさせることを実現する。
[2−1.炭材の添加]
まず、本実施形態では、通電開始前に炭材を添加する。炭材としては、例えば無煙炭、粉コークス、電極粉、カーボンブリケット等の、炭素を主要成分とする材料が用いられる。通電開始前に添加された炭材は、通電開始後に金属原料等の温度が上昇して溶解が始まると一部は生成し始めた溶解した金属に溶解して高炭素濃度の溶融金属を生成し、残部は未溶解のままとなるが、溶融金属中へ酸素が吹き込まれると、すぐに高炭素濃度の溶融金属中の炭素や未溶解の炭素と反応して、COガスが発生することを本願発明者は知見した。遅延なく発生したCOガスは遅延なくスラグを発泡させる。これにより、通電開始後、遅滞なくアークを泡に包み込むことができるので、浴部内の耐火物がアークによる輻射熱を直接受ける時間が短縮され、耐火物の損耗を抑制することができる。
炭材は、溶解金属全体の0.5質量%以上、更に好ましくは2.3質量%以上、通電開始前に添加することが望ましい。なお、炭材の添加量の上限は限定されるものではないが、溶解金属の炭素濃度が飽和する4.4質量%となる添加量を上限値としてもよい。また、炭材は、少なくとも通電開始前に添加されていればよく、通電開始後にさらに添加してもよい。
[2−2.造滓剤の配合]
本実施形態では、造滓剤として、アルミナ系耐火物と生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方を配合し、スラグ成分を調整する。本実施形態では、アルミナ源として、アルミナ系耐火物を用いている。なお、アルミナ系耐火物として、使用済アルミナ系耐火物も利用可能である。使用済アルミナ系耐火物は熱履歴を受けているので滓化しやすい。造滓剤の添加時期は、溶解開始前、溶解開始後のどちらでもよいが、溶解開始後に溶融金属上に生成したスラグに早期に添加することが望ましい。
[2−3.アルミナ系耐火物]
造滓剤として配合するアルミナ系耐火物は、生石灰や石灰石に比べ、融点が高く溶解しにくい。石灰石は加熱による二酸化炭素離脱によって微粉化しやすく、生石灰は一般に石灰石の加熱によって製造されるため一般に微粉が多く、いずれも溶解しやすい。ここで、アルミナ系耐火物の溶解が遅延すると、スラグ溶融化が遅れ、スラグの泡立ちも遅延する。その結果、アークを泡に包み込むまでに時間がかかり、浴部内の耐火物がアークによる輻射熱を直接受ける時間が長くなるため、耐火物の損耗が発生する。このため、スラグフォーミングを促進させるためには、アルミナ系耐火物の迅速な溶解が重要となる。
例えば、アルミナ系耐火物をすべて微粉となるまで破砕した後、アーク式電気炉に添加すれば、アルミナ系耐火物は迅速に溶解する。なお、以下において、「微粉」とは、JIS Z8801−2:2000の公称目開き3.15mmの板ふるいの篩下にある大きさのものをいい、本発明では「篩目3.15mm以下」のアルミナ系耐火物ともいう。このような微粉を用いることで金属材料を迅速に溶解させることができ、溶解初期の段階からスラグ溶融化が促進されてスラグフォーミングするので好ましいが、耐火物の破砕にかなりの時間を要するため、現実的ではない。一方、アルミナ系耐火物のうち、塊状のものが当該アルミナ系耐火物全体の5質量%以上となると、発泡の遅延につながる。なお、以下において、「塊状」とは、JIS Z8801−2:2000の公称目開き25mmの板ふるいの篩上に残留する大きさのものをいい、本発明では「篩目25mm以上」のアルミナ系耐火物ともいう。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、塊状アルミナ系耐火物がアルミナ系耐火物全体の5質量%以上ある場合においても、微粉アルミナ系耐火物がアルミナ系耐火物全体の3質量%以上あれば、発泡が遅延しないことを知見した。これは、迅速に溶解する微粉アルミナ系耐火物が塊状アルミナ系耐火物の周囲に存在しており、先に溶解する微粉アルミナ系耐火物の溶解が塊状アルミナ系耐火物の溶解を促して、溶解初期の段階からスラグ溶融化を促進するためと考える。したがって、スラグの発泡が遅延せず、耐火物の損耗を防止することができる。
なお、微粉アルミナ系耐火物の活用により塊状アルミナ系耐火物の溶解を促進して発泡の遅延を防止する効果は、塊状アルミナ系耐火物のアルミナ系耐火物全体に対する質量比率が30質量%までが限界である。また、微粉アルミナ系耐火物のアルミナ系耐火物全体に対する質量比率の上限は特に限定されないが、耐火物の粉砕に時間がかかるため、通常は、アルミナ系耐火物全体の20質量%程度とされる。
以上より、アルミナ系耐火物は、当該アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の塊状アルミナ系耐火物の質量比率を5〜30質量%、篩目3.15mm以下の微粉アルミナ系耐火物の質量比率を3質量%以上として構成するのがよい。これにより、迅速に、塊状アルミナ系耐火物は溶解して溶融スラグを生成する。また、上述したように、通電開始前に炭材を添加することにより、溶融金属中に酸素吹き込み開始後すぐにCOガスが発生し、スラグ下面に到達する。これらの両者の相乗効果により、通電開始初期から、遅延なくスラグフォーミングして、耐火物の損耗を抑制することが可能となる。
[2−4.酸素吹き込み量]
また、本実施形態では、電気炉内の溶融金属に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込む。溶融金属への酸素の吹き込みは、ノズルを介して行われる。溶融金属への酸素の吹き込みは、例えば、ノズルの先端を溶融金属中に挿入した状態で行ってもよく、溶融金属表面に対して上方から強く噴射してもよい。酸素を溶融金属に対して吹き込むことにより、溶融金属中の炭素と吹き込まれた酸素ガスとを反応させて、溶融金属中でCOガスを発生させる。この際、酸素吹き込み量が5Nm/t/h未満であると、溶融金属中の炭素と反応して発生するCOガスが不足するため、泡立ち量が不足し、耐火物の損耗の抑制効果が小さい。一方、酸素吹き込み量が15Nm/t/h超であると、スプラッシュが発生し、電極に溶着して通電の安定性を損なうため操業を続行することができなくなる。
酸素が吹き込まれる溶融金属中には、溶解開始前に添加された炭材が溶融金属中に溶けている。溶融金属中へ吹きこまれた酸素は、溶融金属中の炭素と反応して、COガスを発生し、スラグフォーミングする。このように、炭材を溶かすと溶融金属中の炭素量が増加するので、酸素の溶解度は小さくなる。したがってCOガスが発生しやすくなる。溶融金属への酸素の吹きこみは、通電を開始して溶融金属が生成した後に速やかに開始することが望ましい。
[2−5.スラグ性状]
本実施形態においては、スラグに関し、スラグ塩基度(質量%CaO/質量%SiO;以下、「C/S」とする。)を0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とする。
まず、スラグ塩基度C/Sについては、0.5未満だとスラグの溶融性が良くなり過ぎて、粘性が低く、泡立たなくなる。したがって、スラグ塩基度C/Sは0.5以上、好ましくは0.7以上とする。一方、スラグ塩基度C/Sが1.5を超えると、スラグは未溶融状態で溶けておらず泡立たない。これより、スラグ塩基度C/Sは1.5以下、好ましくは1.1以下とする。
また、スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下であっても、スラグ中のAl濃度で5質量%未満だと、スラグは粘性が低すぎて泡立たない。スラグを泡立たせるためには、スラグ塩基度C/Sを0.5以上1.5以下で、かつ、スラグ中のAl濃度を5質量%以上とし、好ましくは6質量%以上とする。スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下であっても、スラグ中のAl濃度が15質量%を超えると、スラグの流動性が悪く、発生した泡がスラグ全面に至らない。このため、スラグの泡立ち箇所に偏りが生じ、アークから耐火物に至るまでの空間に泡を十分に充填できず、耐火物の損耗の抑制効果が小さい。よって、スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下で、かつ、スラグ中のAl濃度は15質量%以下、より好ましくは12質量%以下とする。
上述より、スラグに関し、スラグ塩基度を0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とすることで、配合したスラグに、泡立ちやすい、または、泡が流動しやすくスラグ全面に至りやすい性状を持たせることができる。
<3.まとめ>
以上、本発明の一実施形態に係るアーク式電気炉を用いた金属溶解方法について説明した。本実施形態によれば、通電開始から遅延なくスラグを泡立たせることができ、耐火物の損耗を抑制することができる。すなわち、炭材を溶解開始前に添加することにより、炭材は溶解開始に高炭素濃度の溶融金属を生成するか、未溶解のまま残り、酸素が溶融金属中に吹き込まれるとすぐに高炭素濃度の溶融金属中の炭素や未溶解の炭素と反応して、COガスを発生させる。このCOガスは遅延なく泡を発生させる。
また、アルミナ源としてアルミナ系耐火物に塊状アルミナ系耐火物を含んでいても、微粉アルミナ系耐火物を一定量(アルミナ系耐火物全体の3質量%以上)添加することで、溶解した微粉アルミナ系耐火物によって塊状アルミナ系耐火物の溶解を促進することができる。これにより、金属原料の溶解初期の段階からスラグ溶融化が促進されてスラグフォーミングするので、さらに耐火物の損耗を抑制できる。
さらに、本実施形態の金属溶解方法では、溶融金属中への酸素吹き込み量が5Nm/t/h〜15Nm/t/hと転炉に比べて小さく、また、スラグの性状として、スラグ塩基度C/Sを0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とすることで、スラグの泡立ちおよび流動性が良くなり、発生した泡がスラグ全面に行き渡りやすくなる。
以下、本発明のアーク式電気炉を用いた金属溶解方法の有効性について検証した結果を示す。本実施例では、平面視したとき円形形状である、100tの溶湯が溶製できるアーク式電気炉を用い、電気炉へ装入された金属原料及び副原料を溶解した。
(1)電気炉装入物配合
金属原料は、スクラップ、合金鉄を用いた。副原料には、炭材、石灰石、及びアルミナ系耐火物を用いた。電気炉への装入物の配合は以下の通りである。なお、副原料の配合は、スラグのスラグ塩基度C/S及びAl濃度が指定された値となるように下記範囲で調整した。また、石灰石は、平均粒径10〜50mmのものを使用した。
・金属原料・・・100t
・副原料・・・炭材:0.5t、石灰石:3t〜20t、アルミナ系耐火物:4t〜40t(全体質量)
(2)溶解条件
炉本体に装入された金属原料及び副原料に対して、24インチ径のアーク電極3本を挿入し、40MWの電力で合計60分通電した。また、通電開始から10分経過後に、酸素の吹き込みを開始した。溶融金属中への酸素吹き込み量は5Nm/t/hとした。なお、溶融金属中への酸素吹き込みを行わない場合には、溶融金属には酸素が届かないように、スラグ中に酸素を吹き込んだ。この場合にも酸素吹き込み量は5Nm/t/hとした。
(3)溶解結果
下記表1に示す各実施例及び比較例について、上記の溶解条件にて金属原料を溶解し、溶解完了時点での耐火物の損耗を確認した。表1において、耐火物の損耗評価は、毎チャージ溶解終了後に、ホットスポット(すなわち、電極から最短位置にある浴部の、溶融金属上面(湯面)の直上位置)を円周方向に観察した。損耗の深さ(耐火物の厚みの減少量)と円周方向の長さとを測定し、下記のように評価した。○、△を合格とした。また、炭材の添加時期は、Aは通電開始前、Bは通電開始10分後(酸素吹き込みと同時に溶融金属中へ吹き込む)を示している。
○ :深さ0〜5mm/ch、幅(円周方向長さ0.5m以下)
△ :深さ0〜5mm/ch、幅(円周方向長さ0.5m超)
× :深さ 5mm超/ch
なお、塊状アルミナ系耐火物(+25mm)の質量及び粉状アルミナ系耐火物(−3.15mm)の質量は、アルミナ系耐火物(全体質量)に対して、表1中の比率を掛けた質量となる。すなわち、塊状アルミナ系耐化物の比率は塊状アルミナ系耐火物の質量をアルミナ系耐火物(全体質量)で割った値(%)であり、微粉アルミナ系耐火物の比率は微粉アルミナ系耐火物の質量をアルミナ系耐火物(全体質量)で割った値(%)である。
Figure 0006593232
表1に示すように、本発明の金属溶解方法を適用した実施例1〜7では、電気炉の浴部の耐火物の損耗は許容範囲内であった。一方、本発明の金属溶解方法を満たさない比較例1〜8については、いずれも電気炉の浴部の耐火物が大きく損耗していた。比較例8は、所定の塩基度を確保しているものの、アルミナ系耐火物の微粉比率が少なく、炭材添加によってもフォーミングが不足し、耐火物が損耗したものと考えられる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (1)

  1. アーク式電気炉により金属原料を溶解する金属溶解方法において、
    通電開始前に炭材を添加し、
    通電開始前または通電開始後の少なくともいずれかにおいて、アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の耐火物が5〜30質量%、篩目3.15mm以下の耐火物が3質量%以上含まれるようにした該アルミナ系耐火物と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを、前記金属原料に対して配合し、
    前記金属原料を溶解した前記電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込み、
    スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする、アーク式電気炉における金属溶解方法。
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