JP6682932B2 - アーク式電気炉における金属溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アーク式電気炉における金属溶解方法に関する。
アーク式電気炉に、スクラップ、合金鉄、鋳銑、粒鉄等の金属原料と、使用済アルミナ系耐火物、アルミ灰等のアルミナ源と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを装入し、金属原料と電極との間にアークを発生させて、金属原料を溶解することが一般的に行われている。この際、アーク式電気炉の溶融金属原料を保持する浴部の内側面には耐火物が施工されているが、アークによる輻射熱を直接受け続けると耐火物が損耗してしまう。そこで、アーク式電気炉において、スラグを泡立たせるスラグフォーミングを行い、泡立ったスラグでアークを覆った状態で金属原料を溶解する技術が提案されている。
例えば特許文献1には、クロムを5質量%以上含有する鋼の電気炉の溶解において、空気あるいは不活性ガスのキャリアガスと共に、粉炭をスラグ中に上吹きして、粉炭と酸化クロムの反応によりCOガスを生成させ、スラグフォーミングさせることが記載されている。特許文献1に記載の技術では、スラグフォーミングをしてアークをスラグで覆うことにより、耐火物原単位と電力原単位との低減を図っている。
また、特許文献2には、電気炉における含Cr鋼の精錬に際して、還元期の途中においてスラグ中に最大粒径0.5mm以下のCaCO粉体を、不活性ガスあるいはドライエアー等のキャリアガスと共に吹き込むことが記載されている。まず、スラグ中に侵入したCaCO粉体をスラグ温度まで昇温させ、熱分解し、下記反応式(1)が起きることでCOガスを発生させる。加えて、溶鋼中にまで侵入したCaCO粉体が溶鋼中の[C]あるいは[Si]の存在により、下記反応式(2)、(3)の反応が起きることでCOガスを発生させる。特許文献2に記載の技術では、これらの反応で発生するCOガスおよびCOガスによってスラグフォーミングを行っている。
CaCO→(CaO)+CO(g) ・・・(1)
CaCO+[C]→(CaO)+2CO(g) ・・・(2)
CaCO+1/2[Si]
→(CaO)+1/2(SiO)+CO(g) ・・・(3)
特開平1−201415号公報 特開平1−205021号公報
しかし、上記特許文献1および特許文献2のいずれの技術においても、スラグフォーミングにより耐火物原単位の低減には一定の効果はあるが、耐火物の損耗の抑制には限界があった。本願発明者はその理由について、以下のような知見を得た。
特許文献1の技術では、スラグを泡立たせるCOガスは、粉炭と酸化クロムの反応により発生する。粉炭は、空気またはキャリアガスと共に、スラグ中に上吹きされるが、電気炉を平面視すると粉炭は全面には上吹きされず、粉炭が上吹きされた箇所近傍のみCOガスが発生していた。このため、COガス発生箇所、すなわち泡立ち箇所に偏りが生じていた。例えば、電極の近傍では泡立っていても、耐火物が施工されている炉壁近傍では泡立っていないという状況が生じていた。
また、粉炭はスラグ中に上吹きされるため、その一部はスラグの上面近傍の浅い部分で酸化クロムと反応してCOガスを発生させる。スラグ上面近傍で発生したCOガスは、泡立ちに寄与せずにそのままスラグ上方の大気中に拡散してしまう。このため、スラグ中に粉炭を上吹きする方法では、発生するCOガスの泡立ちへの寄与が小さく、泡立ち量が十分ではなかった。
このように、特許文献1の技術では、泡立ち箇所に偏りがあり、かつ、泡立ち量も十分ではないため、耐火物の損耗を抑制できない場合があった。
また、特許文献2の技術では、Cr鋼の精錬に際して、CaCO粉体は、不活性ガスあるいはドライエアー等のキャリアガスによりスラグ中に吹き込まれる。この方法においても、電気炉を平面視するとCaCO粉体は全面には上吹きされず、CaCO粉体が上吹きされた箇所近傍のみCOガスおよびCOガスが発生していた。このため、特許文献2の反応式(1)〜(3)で発生するCOガスおよびCOガスの発生箇所、すなわち泡立ち箇所に偏りが生じていた。
また、CaCO粉体はスラグ中に吹き込まれるが、その一部は供給されたスラグ上面近傍の浅い部分で上記反応式(1)により熱分解してCOガスを発生させる。スラグ上面近傍で発生したCOガスは、泡立ちに寄与せずにそのままスラグ上方の大気中に拡散してしまう。このため、CaCO粉体をスラグ中に吹き込む方法では、発生するCOガスの泡立ちへの寄与が小さく、スラグ中で発生するCOガスによる泡立ち量は十分ではなかった。
さらに、スラグ中に吹き込まれたCaCO粉体は、一部は溶融金属中へ侵入するが溶融金属より比重が軽いため、溶融金属中には拡散しにくい。このため、溶融金属中の[C]や[Si]と反応式(2)、(3)により反応するCaCO粉体の量は少なく、反応式(2)、(3)で溶融金属中に発生するCOガスも少なかった。このため、溶融金属中で発生するCOガスによる泡立ち量も十分ではなかった。
このように、特許文献2の技術でも、泡立ち箇所に偏りがあり、かつ、泡立ち量も十分ではないので、耐火物の損耗を抑制できない場合があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、泡立ち箇所の偏りと泡立量の不足を解決し、適切にスラグフォーミングさせることが可能な、新規かつ改良されたアーク式電気炉における金属溶解方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、アーク式電気炉により、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とアルミナ源とを配合した金属原料を溶解する金属溶解方法において、金属原料を溶解した電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹きこみ、溶融金属の炭素濃度は2.3質量%以上であり、スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする、アーク式電気炉における金属溶解方法が提供される。
アルミナ源としてアルミナ系耐火物を配合し、アルミナ系耐火物は、該アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の耐火物が5〜30質量%、篩目3.15mm以下の耐火物が3質量%以上含まれるようにする。
以上説明したように本発明によれば、泡立ち箇所の偏りと泡立量の不足を解決し、適切にスラグフォーミングさせることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る金属溶解方法は、アーク式電気炉を用いて生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とアルミナ源とを配合した金属原料を溶解する。この際、金属原料を溶解した電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込む。溶融金属の炭素濃度は2.3質量%以上である。そして、スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする。このような条件で金属原料を溶解させることにより、従来技術で生じていた泡立ち箇所の偏りと泡立量の不足を解決し、適切にスラグフォーミングさせることができることを見出した。以下、本実施形態に係る金属溶解方法について詳細に説明していく。なお、以下において、濃度は、特段の説明がない限り、質量%で表されるものとする。
<1.アーク式電気炉による金属溶解>
アーク式電気炉は、電気によって金属原料を溶解するための設備である。電気炉の炉体は、一般に、溶融金属原料を保持する炉底及び側壁部からなる浴部と、装入原料を保持する上部水冷側壁部と、炉蓋とからなる。なお、以下において、浴部と上部水冷側壁部とを合せて炉本体と表記する場合もある。浴部の内側面には耐火物が施工されている。また、炉本体の開口部を覆う炉蓋には、炉本体内に挿入される電極が設けられている。
このような炉本体に、スクラップ、合金鉄、鋳銑、粒鉄等の金属原料と、使用済アルミナ系耐火物、アルミ灰等のアルミナ源と、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とを装入した後、炉蓋をかぶせ、電極を金属原料に向け近接させる。そして、電極に電圧を印加すると、炉本体内で金属原料と電極との間にアークが発生し、この際に生じるアーク熱によって金属原料が溶解される。さらに、ノズルを介して酸素を吹き込み、リン、珪素等の不純物の除去や炭素濃度の調整を行うとともに、溶融金属の温度を上昇させて金属原料の溶解を促進させる。
<2.金属溶解条件>
アーク式電気炉により金属原料と電極との間にアークを発生させて金属原料を溶解する際、鍋部内には耐火物が施工されているが、アークによる輻射熱を直接受け続けると耐火物が損耗してしまう。そこで、本実施形態では、以下の条件で原料金属を溶解させることで、泡立ち箇所の偏りや泡立ち量の不足が生ずることなく、適切なスラグフォーミングを実現する。
[2−1.酸素吹き込み量]
まず、本実施形態では、電気炉内の溶融金属に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込む。溶融金属への酸素の吹き込みは、ノズルを介して行われる。溶融金属への酸素の吹き込みは、例えば、ノズルの先端を溶融金属中に挿入した状態で行ってもよく、溶融金属表面に対して上方から強く噴射してもよい。酸素を溶融金属に対して吹き込むことにより、溶融金属中の炭素と吹き込まれた酸素ガスとを反応させて、溶融金属中でCOガスを発生させる。この際、酸素吹き込み量が5Nm/t/h未満であると、溶融金属中の炭素と反応して発生するCOガスが不足するため、泡立ち量が不足し、耐火物の損耗の抑制効果が小さい。一方、酸素吹き込み量が15Nm/t/h超であると、スプラッシュが発生し、電極に溶着して通電の安定性を損なうため操業を続行することができなくなる。
なお、溶融金属中の酸素の溶解度は、溶融金属の炭素濃度が大きいほど小さくなる。本実施形態では、後述するように炭素濃度は2.3質量%以上と大きく、酸素の溶解度は小さいため、COガスは発生しやすい状況である。
また、例えばアーク式電気炉が、3つの電極と溶融金属との間に三相交流アークを発生させる三相交流アーク式電気炉である場合、電気炉を平面視すると、略円形の側壁部の中心部分に3つの電極が略等角度で配置されている。このとき各電極から発生するアークには、電磁力によって平面視して半径方向外向きに力が働くため、アークは垂直でなく側壁部に向かうように傾けられる。このため、アークは、電気炉を平面視して炉中心から電極中心を通って側壁部方向に延長した仮想線に沿って、高温ガスのジェット流を側壁部に吹きつける。この溶融金属の湯面表層部を高速に流れるアークジェット流は、湯面にせん断力を与え、アークジェット流れに沿った溶湯流動を生じさせる。この溶湯流動も、酸素と溶融金属中の炭素の拡散に寄与する。
このような溶湯流動もあり、溶融金属中に吹き込まれた酸素は、溶融金属中に溶存して、あるいは気泡として、溶融金属中に迅速に拡散する。また、溶融金属中の炭素も、溶融金属中に溶存し、拡散する。溶湯金属中で拡散した炭素と酸素とが反応するとCOが発生する。発生したCOガスは溶湯金属中からスラグ下面に到達するまでの間に広がり、拡散する。したがって、溶融金属の湯面表層部と接するスラグ下面では、電気炉を平面視したとき当該スラグ下面全面にCOガスが到達した状態となる。これより、スラグ全面で泡を発生させることができる。
このように、本実施形態によれば、電極近傍のみならず、スラグ全面で泡を発生させることができるため、電気炉の側壁部の内面の耐火物の損耗を低減させることができる。
また、上述したように、例えば特許文献1、2に記載の従来技術では、炭材やCaCO粉体を、スラグ中に吹き込むため、その一部はスラグの表面近傍の浅い部分で反応して、発生したCOガスまたはCOガスをそのままスラグ上方の大気中に拡散してしまう。そのため、発生したガスの泡立ちへの寄与は小さかった。これに対し、本実施形態によれば、溶融金属中で発生したCOガスは、ほぼ全てスラグ下面に到達するので、従来技術と比較して、発生したガスの泡立ちへの寄与は非常に大きい。
[2−2.溶融金属の炭素濃度]
次に、電気炉内の溶融金属の炭素濃度を2.3質量%以上とする。一般に、鋼は、鉄を主成分とし、通常固体で要求される形状に成形加工でき、通常2.0質量%以下の炭素とその他の元素とを含有する材料である。また、鋳鋼ロール業界においては炭素濃度が2.2質量%程度のものまでを鋳鋼と称している。本発明は、電気炉内の溶融金属の炭素濃度を以下の理由により2.3質量%以上としており、鋼を溶製する技術は、本発明には含まれない。
金属原料の溶解においては、上述したように、溶融金属中の炭素と溶融金属中に吹き込まれた酸素とを反応させてCOガスを発生させている。溶融金属中の炭素は上述のように溶融金属中に拡散しているため、スラグ下面全体で炭素と酸素との反応が生じ、スラグ全面で泡が発生する。ここで、溶融金属の炭素は、溶融状態で反応しやすい。炭素は溶融金属中を拡散しているが、本実施形態では2.3質量%以上の大量の炭素が溶融金属中に存在している。また、酸素も吹き込まれて大量に存在することから、十分な量のCOガスを発生することが可能である。溶融金属の炭素濃度が2.3質量%未満であると、泡立ちを発生させるCOガスが不足し、耐火物の損耗が大きくなる。なお、溶融金属の炭素濃度の上限は特に定めないが、通常、飽和溶解度であって、例えば4.4質量%程度である。
本実施形態では、酸素吹き込み量と溶融金属の炭素濃度とを上述のようにすることで、COガスをスラグ全面に行き渡らせ、スラグ全体に大量の泡に発生させることが可能となる。
[2−3.スラグ性状]
本実施形態においては、スラグに関し、スラグ塩基度(質量%CaO/質量%SiO;以下、「C/S」とする。)を0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とする。
まず、スラグ塩基度C/Sについては、0.5未満だとスラグの滓化性が良くなり過ぎて、粘性が低く、泡立たなくなる。したがって、スラグ塩基度C/Sは0.5以上、好ましくは0.7以上とする。一方、スラグ塩基度C/Sが1.5を超えると、スラグは未滓化で溶けておらず泡立たない。これより、スラグ塩基度C/Sは1.5以下、好ましくは1.1以下とする。
また、スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下であっても、スラグ中のAl濃度で5質量%未満だと、スラグは粘性が低すぎて泡立たない。スラグを泡立たせるためには、スラグ塩基度C/Sを0.5以上1.5以下で、かつ、スラグ中のAl濃度を5質量%以上とし、好ましくは6%以上とする。スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下であっても、スラグ中のAl濃度が15質量%を超えると、スラグの流動性が悪く、発生した泡がスラグ全面に至らない。このため、スラグの泡立ち箇所に偏りが生じ、アークから耐火物に至るまでの空間に泡を十分に充填できず、耐火物の損耗の抑制効果が小さい。よって、スラグ塩基度C/Sが0.5以上1.5以下で、かつ、スラグ中のAl濃度は15質量%以下、より好ましくは12質量%以下とする。
上述より、スラグに関し、スラグ塩基度を0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とすることで、配合したスラグに、泡立ちやすい、または、泡が流動しやすくスラグ全面に至りやすい性状を持たせることができる。
[2−4.アルミナ系耐火物]
本実施形態では、アルミナ源として、アルミナ系耐火物を利用できる。なお、アルミナ系耐火物として、使用済アルミナ系耐火物も利用可能である。使用済アルミナ系耐火物は熱履歴を受けているので滓化しやすい。
ここで、アルミナ系耐火物は、生石灰や石灰石に比べ、融点が高く溶解しにくい。石灰石は加熱による二酸化炭素離脱によって微粉化しやすく、生石灰は一般に石灰石の加熱によって製造されるため一般に微粉が多く、いずれも溶解しやすい。このため、スラグフォーミングを促進させるためには、アルミナ系耐火物の迅速な溶解が重要となる。例えば、アルミナ系耐火物をすべて微粉となるまで破砕した後、アーク式電気炉に添加すれば、アルミナ系耐火物は迅速に溶解する。なお、以下において、「微粉」とは、JIS Z8801−2:2000の公称目開き3.15mmの板ふるいの篩下にある大きさのものをいい、本発明では「篩目3.15mm以下」のアルミナ系耐火物ともいう。
このような微粉を用いることで金属材料を迅速に溶解させることができ、溶解初期の段階からスラグ生成が促進されてスラグフォーミングするので好ましいが、耐火物の破砕にかなりの時間を要するため、現実的ではない。一方、アルミナ系耐火物のうち、塊状のものが当該アルミナ系耐火物全体の5質量%以上となると、発泡の遅延につながる。なお、以下において、「塊状」とは、JIS Z8801−2:2000の公称目開き25mmの板ふるいの篩上に残留する大きさのものをいい、本発明では「篩目25mm以上」のアルミナ系耐火物ともいう。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、塊状アルミナ系耐火物がアルミナ系耐火物全体の5質量%以上ある場合においても、微粉アルミナ系耐火物がアルミナ系耐火物全体の3質量%以上あれば、発泡が遅延しないことを知見した。これは、迅速に溶解する微粉アルミナ系耐火物が塊状アルミナ系耐火物の周囲に存在しており、先に溶解する微粉アルミナ系耐火物の溶解が塊状アルミナ系耐火物の溶解を促して、溶解初期の段階からスラグ生成を促進するためと考える。したがって、スラグの発泡が遅延せず、耐火物の損耗を防止することができる。
なお、微粉アルミナ系耐火物の活用により塊状アルミナ系耐火物の溶解を促進して発泡の遅延を防止する効果は、塊状アルミナ系耐火物のアルミナ系耐火物全体に対する質量比率が30質量%までが限界である。また、微粉アルミナ系耐火物のアルミナ系耐火物全体に対する質量比率の上限は特に限定されないが、耐火物の粉砕に時間がかかるため、通常は、アルミナ系耐火物全体の20質量%程度とされる。
以上より、アルミナ系耐火物は、当該アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の塊状アルミナ系耐火物の質量比率を5〜30質量%、篩目3.15mm以下の微粉アルミナ系耐火物の質量比率を3質量%以上として構成するのがよい。
<3.まとめ>
以上、本発明の一実施形態に係るアーク式電気炉を用いた金属溶解方法について説明した。本実施形態によれば、電気炉内の溶融金属に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹き込み、電気炉内の溶融金属の炭素濃度を2.3質量%以上とする。これにより、溶融金属中で、拡散した多量の炭素と酸素との反応により、電気炉を平面視してスラグ全面にCOガスが多量に発生する。そして、スラグ全面に発生した多量のCOガスにより、スラグ全面で多量の泡が発生する。これにより、スラグ全面にかつ多量に発生した泡がアークを覆うので、電気炉の側壁部がアークの輻射熱を直接受けなくなり、耐火物の損耗を抑制することができる。
また、本実施形態の金属溶解方法では、溶融金属中への酸素吹き込み量が5Nm/t/h〜15Nm/t/hと転炉に比べて小さく、また、スラグの性状として、スラグ塩基度C/Sを0.5以上1.5以下とし、Al濃度を5質量%以上15質量%以下とすることで、スラグの泡立ちおよび流動性が良くなり、発生した泡がスラグ全面に行き渡りやすくなる。
さらに、アルミナ源としてアルミナ系耐火物に塊状アルミナ系耐火物を含んでいても、微粉アルミナ系耐火物を含めることで、溶解した微粉アルミナ系耐火物によって塊状アルミナ系耐火物の溶解を促進することができる。これにより、金属原料の溶解初期の段階からスラグ生成が促進されてスラグフォーミングするので、さらに耐火物の損耗を抑制できる。
以下、本発明のアーク式電気炉を用いた金属溶解方法の有効性について検証した結果を示す。本実施例では、平面視したとき円形形状である、100tの溶湯が溶製できるアーク式電気炉を用い、電気炉へ装入された金属原料及び副原料を溶解した。
(1)電気炉装入物配合
金属原料は、スクラップ、合金鉄、鋳銑(高炉溶銑を凝固させたもの)を用いた。副原料には、石灰石及びアルミナ系耐火物を用いた。電気炉への装入物の配合は以下の通りである。なお、副原料の配合は、スラグのスラグ塩基度C/S及びAl濃度が指定された値となるように下記範囲で調整した。また、石灰石は、平均粒径10〜50mmの者を使用した。
・金属原料・・・100t
・副原料・・・石灰石:3t〜20t、アルミナ系耐火物:4t〜40t(全体質量)
(2)溶解条件
炉本体に装入された金属原料及び副原料に対して、24インチ径のアーク電極3本を挿入し、40MWの電力で合計60分通電した。溶融金属中への酸素吹き込み量は5Nm/t/hとした。なお、溶融金属中への酸素吹き込みを行わない場合には、溶融金属には酸素が届かないように、スラグ中に酸素を吹き込んだ。この場合にも酸素吹き込み量は5Nm/t/hとした。
(3)溶解結果
下記表1に示す各実施例及び比較例について、上記の溶解条件にて金属原料を溶解し、溶解完了時点での耐火物の損耗を確認した。表1において、耐火物の損耗評価は、毎チャージ溶解終了後に、ホットスポット(すなわち、電極から最短位置にある浴部の、溶融金属上面(湯面)の直上位置)を円周方向に観察した。損耗の深さ(耐火物の厚みの減少量)と円周方向の長さとを測定し、下記のように評価した。◎、○、△を合格とした。
◎ :深さ0〜5mm/ch、幅(円周方向長さ0.2m未満)
○ :深さ0〜5mm/ch、幅(円周方向長さ0.2m〜0.5m)
△ :深さ0〜5mm/ch、幅(円周方向長さ0.5m超)
× :深さ 5mm超/ch
なお、塊状アルミナ系耐火物(+25mm)の質量及び粉状アルミナ系耐火物(−3.15mm)の質量は、アルミナ系耐火物(全体質量)に対して、表1中の比率を掛けた質量となる。すなわち、塊状アルミナ系耐化物の比率は塊状アルミナ系耐火物の質量をアルミナ系耐火物(全体質量)で割った値(%)であり、微粉アルミナ系耐火物の比率は微粉アルミナ系耐火物の質量をアルミナ系耐火物(全体質量)で割った値(%)である。
Figure 0006682932
表1に示すように、本発明の金属溶解方法を適用した実施例1〜10では、電気炉の側壁部の耐火物の損耗は許容範囲内であった。なお、実施例8〜10は、アルミナ系耐火物の構成を、当該アルミナ系耐火物全体に対して、塊状アルミナ系耐火物の質量比率を5〜30質量%、微粉アルミナ系耐火物の質量比率を3質量%以上としなかった場合についての実施例である。実施例8は、塊状アルミナ系耐火物の比率が高く、実施例9、10は、微粉アルミナ系耐火物の比率が低いものの、いずれの実施例においても一定の溶融金属中の炭素濃度やスラグ塩基度を確保しているため、耐火物は損耗するものの実機適用が可能なレベルであった。一方、本発明の金属溶解方法を満たさない比較例1〜6については、いずれも電気炉の浴部の耐火物が大きく損耗していた。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (2)

  1. アーク式電気炉により、生石灰または石灰石のうち少なくともいずれか一方とアルミナ源とを配合した金属原料を溶解する金属溶解方法において、
    前記金属原料を溶解した前記電気炉内の溶融金属中に対して5Nm/t/h〜15Nm/t/hの酸素を吹きこみ、
    溶融金属の炭素濃度は2.3質量%以上であり、
    スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO)を0.5以上1.5以下、かつ、スラグのAl濃度を5質量%以上15質量%以下とする、アーク式電気炉における金属溶解方法。
  2. 前記アルミナ源としてアルミナ系耐火物を配合し、
    前記アルミナ系耐火物は、該アルミナ系耐火物全体に対して、篩目25mm以上の耐火物が5〜30質量%、篩目3.15mm以下の耐火物が3質量%以上含まれる、請求項1に記載のアーク式電気炉における金属溶解方法。
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