JP6593092B2 - 組成物セット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組成物セット及びそれを用いるインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、吐出安定性等について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、低粘度であって密着性に優れ、かつ収縮性の抑制された紫外線硬化型インク組成物を提供することを目的として、インク組成物の総質量に対して20〜70質量%の、所定の化合物と、該インク組成物の総質量に対して10〜20質量%の、分子内に脂環構造を有する重合性化合物及び分子内に環状エーテル構造を有する重合性化合物のうち少なくともいずれかと、を含む、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物が開示されている。
特開2012−193260号公報
UV硬化性組成物においては、得られる記録物が低臭気であること(モノマー臭気残りの少ないこと)や、記録時の作業環境性の観点からモノマーの臭気が低いことが望まれる。一方で、UV硬化性組成物には耐擦性及び画質に優れた記録物を得られることも望まれる。しかしながら、臭気低減性と高耐擦性を両立することは容易ではない。特許文献1等においても、高い耐擦性を有し、かつ、優れた臭気低減性を有する上、画質にも優れる記録物を得ることについては具体的に開示されていない。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、高い耐擦性を有し、臭気低減性と画質に優れた記録物を与えることのできる組成物セット及びそれを用いるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェット着色組成物と、所定の重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットクリア組成物と、を用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
本実施形態の組成物セットは、色材と、重合性化合物として下記一般式(1)で表されるモノマーAと、を含む放射線硬化型インクジェット着色組成物と、重合性化合物として、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である(メタ)アクリル酸エステル類B、を含む放射線硬化型インクジェットクリア組成物と、を備える。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
UV硬化性組成物においては、得られる記録物が低臭気であること(モノマー臭気残りの少ないこと)や、記録時の作業環境性の観点からモノマーの臭気が低いことが望まれる。一方で、UV硬化性組成物において用いられるモノマーは耐擦性に優れることも望まれる。しかしながら、一般に硬化性に優れ高い耐擦性を付与しうるモノマーは、臭気が比較的に強い傾向にあり、また、臭気の低いモノマーは硬化性に乏しく、硬化性劣化が生じたり、硬化のために大掛かりな放射線照射装置が必要となったりする傾向にある。そのため、臭気低減性と高耐擦性を両立することは容易ではない。
この点、本実施形態においては、比較的に硬化性に優れるモノマーAを含む放射線硬化型インクジェット着色組成物と、比較的に臭気低減性を有する(メタ)アクリル酸エステル類Bを含む放射線硬化型インクジェットクリア組成物とを用いることにより、高い硬化性を有しつつ、臭気低減性を有する記録物を得ることを可能とする。ここで、「着色組成物」とは、被記録媒体に着色するために用いる組成物である。また、「クリア組成物」とは、被記録媒体を着色して絵や文字を記録するために用いるインクではなく、主に着色組成物のオーバーコートに用いるインクである。クリア組成物は好ましくは色材の含有量が0.3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは色材を含まない組成物である。なお、本実施形態において「組成物」とは、インクであっても、造形用組成物であってもよい。組成物が造形用組成物である場合には、着色組成物による造形物の表面をクリア組成物で覆うようにするとよい。
着色組成物には、高画質化や高い耐擦性を付与する観点から比較的に高い硬化性が望まれる一方で、色材を含むため、紫外線が透過しにくくクリアインクよりも硬化性が低くなる傾向にあるが、本実施形態においては、比較的に硬化性に優れるモノマーAを含む着色組成物を用いることで高画質化や高い耐擦性を達成することができる。また、一方で、絵や文字の記録に用いるものではなくオーバーコートとして用いられるクリア組成物は、色材を含まない点において着色組成物よりも硬化性に優れる傾向にあるため、本実施形態においては、比較的に臭気低減性を有する(メタ)アクリル酸エステル類Bを含むクリア組成物を用いることで、得られる記録物の高画質化や高い耐擦性を達成しつつ、臭気低減性を達成することができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル類Bに含まれる複素環基又は飽和脂肪族エーテル基には、エーテル構造を有するモノマーAと相互作用することにより未硬化モノマーを捕捉する働きが期待できる。この捕捉機能は、(メタ)アクリル酸エステル類Bが低揮発性であることにより効果的に働くものと推察される。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の臭気低減性、耐擦性、及び画質の観点から、放射線硬化型インクジェットクリア組成物の総質量に対する、(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量は、20〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の耐擦性、及び画質の観点から、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総質量に対する、(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量は、15質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の臭気低減性、耐擦性、及び画質の観点から、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総質量に対する、前記モノマーAの含有量は、10〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の臭気低減性、粘度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル類Bは、前記複素環基のヘテロ原子数及び前記飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数の少なくとも何れかの合計の原子数が2個以上の化合物を含むことが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の耐擦性、及び画質の観点から、放射線硬化型インクジェットクリア組成物に、前記重合性化合物として、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記組成物セットを用いるインクジェット記録方法であって、放射線硬化型インクジェット着色組成物をインクジェットヘッドから吐出し、放射線硬化型インクジェット着色組成物を吐出した場所の上に、放射線硬化型インクジェット着色組成物をインクジェットヘッドから吐出し付着させるものである。
本実施形態の具体的な態様において、硬化性の観点から、吐出した放射線硬化型インクジェット着色組成物及び放射線硬化型インクジェット着色組成物に、放射線を照射して硬化させる際に用いる放射線光源として放射線発光ダイオードを用いることが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の臭気低減性、耐擦性、及び画質の観点から、放射線硬化型インクジェット着色組成物と放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出した領域における単位面積当たりに付着した質量が、放射線硬化型インクジェット着色組成物の質量と放射線硬化型インクジェットクリア組成物の質量の比として、10:2〜1:2であることが好ましい。
本実施形態の具体的な態様において、得られる記録物の臭気低減性、耐擦性、及び画質の観点から、吐出した前記放射線硬化型インクジェット着色組成物に、200mJ/cm2以下の照射エネルギーで放射線の照射を行い、前記照射後、放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出することが好ましい。
本実施形態に用い得るインクジェット記録装置において印刷に関連する構成を概略的に示した側面図である。 本実施形態に用い得るインクジェット記録装置の別の例の構成の一部を示す概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートの両方を意味する。
〔組成物セット〕
本実施形態の組成物セットは、色材と、重合性化合物として下記一般式(1)で表されるモノマーAと、を含む放射線硬化型インクジェット着色組成物と、重合性化合物として、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である(メタ)アクリル酸エステル類B、を含む放射線硬化型インクジェットクリア組成物と、を備える。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
〔放射線硬化型インクジェット着色組成物〕
放射線硬化型インクジェット着色組成物は、色材と、重合性化合物として一般式(1)で表されるモノマーAと、を含み、必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、及び顔料分散剤を含んでもよい。
〔色材〕
色材としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ブラック顔料としては、特に限定されないが、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイト顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムの白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
イエロー顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体又は合金からなる粒子が挙げられる。
色材の含有量は、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総量に対して、好ましくは0.15〜8質量%であり、より好ましくは0.5〜6.5質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。
〔重合性化合物〕
放射線硬化型インクジェット着色組成物に含まれる重合性化合物は、下記一般式(1)で表されるモノマーAを含み、必要に応じて、その他のモノマーを含んでもよい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
(モノマーA)
一般式(1)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及びエステル結合の少なくとも一方による酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜20の置換されていてもよい2価の芳香族基が挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好ましい。
一般式(1)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好ましい。
上記の有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。また、炭素原子を含まない基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記の一般式(1)で表されるモノマーAの具体例としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
このなかでも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましく、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルがさらに好ましい。このようなモノマーAを用いることにより、硬化性がより向上し、得られる記録物の画質及び耐擦性がより向上する傾向にある。
モノマーAは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマーAの含有量は、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜35質量%であり、よりさらに好ましくは20〜30質量%である。モノマーAの含有量が10質量%以上であることにより、硬化性がより向上し、得られる記録物の画質及び耐擦性がより向上する傾向にある。また、モノマーAの含有量が80質量%以下であることにより、得られる記録物の臭気低減性がより向上する傾向にある。
(その他の重合性化合物)
放射線硬化型インクジェット着色組成物は、その他の重合性化合物として、後述する(メタ)アクリル酸エステル類Bや、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーを含んでいてもよい。なお、その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル類Bを含む場合、(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量は、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総質量に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、よりさらに好ましくは5質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量の下限は、特に限定されないが、0質量%である。(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量が50質量%以下であることにより、得られる記録物の耐擦性及び画質がより向上する傾向にある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びラクトン変性可とう性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量は、放射線硬化型インクジェット着色組成物の総量に対して、好ましくは5〜65質量%であり、より好ましくは10〜60質量%である。フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の画質及び耐擦性がより向上する傾向にある。
2官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、及びトリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等のトリペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、及びテトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等のテトラペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート及びペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート等のペンタペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アクリレート、並びにこれらのエチレンオキサイド(EO)付加物及びプロピレンオキサイド(PO)付加物等が挙げられる。このなかでも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの中でも、その他の重合性化合物は、上記のとおり、多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの中でも、上記のペンタエリスリトール骨格を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがさらに好ましい。上記の場合、インクの粘度がより低下し、かつ、硬化性も一層良好なものとなる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。そのようなN−ビニル化合物として、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
〔重合開始剤〕
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤が挙げられる。このような重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、チオキサントン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。このなかでも、硬化性の観点からアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。なお、重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
〔重合禁止剤〕
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1−o−2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノンに代表されるヒドロキノン類;カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコールに代表されるカテコール類;フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、p−メトキシフェノール、クレゾール、ピロガロール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)に代表されるフェノール類;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシルに代表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物に代表されるヒンダードアミン類が挙げられる。なお、重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール465やサーフィノール61(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)などが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
〔顔料分散剤〕
顔料分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール類;ポリビニルピロリドン類;ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のスチレン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体、あるいは、これらの塩;にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミン等のタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類;サボニン等のグルコシド類;アルギン酸及びアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。顔料分散剤は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
〔放射線硬化型インクジェットクリア組成物〕
放射線硬化型インクジェットクリア組成物は、重合性化合物として、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である(メタ)アクリル酸エステル類B、を含み、必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤を含んでもよい。重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤としては、上記と同様のものが挙げられる。また、重合開始剤としては、上記例示したアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。
〔重合性化合物〕
放射線硬化型インクジェットクリア組成物に含まれる重合性化合物は、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である(メタ)アクリル酸エステル類Bを含み、必要に応じてその他のモノマーを含んでもよい。
((メタ)アクリル酸エステル類B)
(メタ)アクリル酸エステル類Bは、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である。なお、ここでいうエーテル構造には、例えば、H2C=C(RA)−C(O)O−RB(RA及びRBは有機残基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステルのアクリレート基(−C(O)O−)は含まれず、RBに含まれるエーテル構造を言うものとする。また、(メタ)アクリル酸エステル類Bは、単官能重合性化合物であり、1個の(メタ)アクリル基以外に他の不飽和重合性官能基は含まれない。
「複素環基」とは、環状エーテルや、酸素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい複素環をいい、好ましくは飽和複素環である。複素環基の員数は、好ましくは3員環以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは6以上である。複素環基の員数の上限は、特に限定されないが、好ましくは12以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは7以下である。エーテル構造として複素環基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、及び環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、環状トリメチロールプロパンホルマル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書において、「環状エーテル構造」には、環状エステル構造も含まれるものとし、環状エーテル構造が有するエーテル部分は複数であってもよい。
「飽和脂肪族エーテル基」とは、エーテル酸素に結合した官能基が2つとも飽和脂肪族の骨格である基をいう。また、脂肪族は直鎖又は分岐脂肪族を意味し、脂環族はこれに含まれない。飽和脂肪族の水素原子は、他の置換基で置換されていてもよく、置換されていない飽和脂肪族の骨格が好ましい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、ハロ基が挙げられる。2つの飽和脂肪族骨格の炭素数は、置換基の炭素数を除いた数として、好ましくは1〜5である。エーテル構造として飽和脂肪族エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−エトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、が挙げられる。このなかでも、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
このなかでも、複素環基のヘテロ原子数及び飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数の少なくとも何れかの合計の原子数は、1個以上であり、好ましくは2個以上であり、より好ましくは3個以上である。また、複素環基のヘテロ原子数及び飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数の少なくとも何れかの合計の原子数の上限は、特に限定されないが、好ましくは6個以下であり、より好ましくは5個以下であり、さらに好ましくは4個以下である。複素環基のヘテロ原子数及び飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数の少なくとも何れかの合計の原子数が上記範囲内であることにより、エーテル構造を有するモノマーAと相互作用することにより未硬化モノマーを捕捉する働きがより向上し、得られる記録物の臭気低減性がより向上するとともに、粘度がより低下する傾向にある。なお、複素環基のヘテロ原子数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。また、飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数は、好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3である。
(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量は、放射線硬化型インクジェットクリア組成物の総量に対して、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%であり、よりさらに好ましくは35〜55質量%であり、さらにより好ましくは40〜50質量%である。(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量が5質量%以上であることにより、得られる記録物の臭気低減性がより向上する傾向にある。また、(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量が80質量%以下であることにより、得られる記録物の耐擦性及び画質がより向上する傾向にある。
(その他の重合性化合物)
その他の重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、上述の単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことにより、得られる記録物の耐擦性及び画質がより向上する傾向にある。なお、2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、上記と同様のものを例示することができる。
2官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、放射線硬化型インクジェットクリア組成物の総量に対して、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは3〜12質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。2官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の耐擦性及び画質がより向上する傾向にある。
また、単官能(メタ)アクリレートの含有量は、放射線硬化型インクジェットクリア組成物の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55〜90質量%であり、さらに好ましくは60〜80質量%である。単官能(メタ)アクリレートをふくむことにより、低粘度化や、得られる塗膜の伸長性がより向上する傾向にある。なお、単官能(メタ)アクリレートの含有量は、単官能の(メタ)アクリル酸エステル類Bと、その他の重合性化合物として含まれる単官能モノマーの総含有量をいう。
〔インクジェット記録方法〕
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記組成物セットを用いるインクジェット記録方法であって、放射線硬化型インクジェット着色組成物をインクジェットヘッドから吐出し、放射線硬化型インクジェット着色組成物を吐出した場所の上に、放射線硬化型インクジェットクリア組成物をインクジェットヘッドから吐出し付着させる。以下、放射線硬化型インクジェット着色組成物をインクジェットヘッドから吐出して被記録媒体に付着させる工程を、記録工程といい、放射線硬化型インクジェットクリア組成物をインクジェットヘッドから吐出し、放射線硬化型インクジェット着色組成物を吐出した場所の上に、付着させる工程をオーバーコート工程という。
放射線硬化型インクジェット着色組成物及び放射線硬化型インクジェットクリア組成物の吐出方法としては、ピエゾ方式や、組成物を加熱して発生した泡(バブル)により組成物を吐出させる方式等を用いることができる。
記録工程後オーバーコート工程前、又は、オーバーコート工程後には、それぞれ付着させた放射線硬化型インクジェット着色組成物又は放射線硬化型インクジェットクリア組成物を硬化させるために、放射線照射工程を有していてもよい。放射線照射工程において用いる放射線光源としては、特に限定されないが、例えば、吐出した放射線硬化型インクジェット着色組成物及び放射線硬化型インクジェットクリア組成物に、放射線を照射して硬化させる際に用いる放射線光源として放射線発光ダイオードを用いることが好ましい。これにより、硬化性がより向上する傾向にある。
放射線硬化型インクジェット着色組成物と放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出した領域における単位面積当たりに付着した質量は、放射線硬化型インクジェット着色組成物の質量と放射線硬化型インクジェットクリア組成物の質量の比として、好ましくは10:2〜1:2であり、より好ましくは10:3〜1:1.5であり、さらに好ましくは10:5〜1:1である。放射線硬化型インクジェット着色組成物と放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出した領域における単位面積当たりに付着した質量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の耐擦性、臭気低減性、画質がより向上する傾向にある。
吐出した放射線硬化型インクジェット着色組成物に、放射線の照射を行い、照射後、放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出することが好ましい。放射線の照射エネルギーは、好ましくは300mJ/cm2以下であり、より好ましく250mJ/cm2以下であり、さらに好ましくは200mJ/cm2以下である。また、放射線の照射エネルギーは、好ましくは10mJ/cm2以上であり、より好ましく30mJ/cm2以上であり、さらに好ましくは50mJ/cm2以上であり、よりさらに好ましくは100mJ/cm2以上であり、さらにより好ましくは150mJ/cm2以上である。照射エネルギーが上記範囲内であることにより、硬化性の観点から好ましく、得られる記録物の臭気低減性、耐擦性及び画質がより向上する傾向にある。特に、放射線硬化型インクジェットクリア組成物の吐出後にも放射線の照射を行う場合(例えば、本硬化)には、放射線硬化型インクジェット着色組成物に対する照射は、比較的小さい照射エネルギーの放射線を照射する仮硬化であることが、低エネルギーかつ高速での硬化を可能とする観点から好ましい。
なお、本実施形態のインクジェット記録方法では、放射線照射工程に加えて、被記録媒体を加熱する加熱工程を有してもよい。これにより、被記録媒体に付着した組成物を加熱することができ、硬化性を更に高めることができる。
〔被記録媒体〕
被記録媒体としては、例えば、吸収性、低吸収性、又は非吸収性被記録媒体が挙げられる。ここで、「低吸収性被記録媒体」又は「非吸収性被記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によって分類することができる。具体的には、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質として、「非吸収性被記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性被記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
さらに上記の被記録媒体以外にも、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、ガラスなどのインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体を用いることもできる。
〔記録装置〕
次に、本実施形態のインクジェット記録方法に用い得る記録装置について説明する。しかしながら、記録装置は以下に限定されない。図1は、本実施形態に用い得るインクジェット記録装置において印刷に関連する構成を概略的に示した側面図である。図1の記録装置はラインプリンターである。図1は、着色組成物が1種単独又は2種以上の組み合わせからなる態様を例示する。図1の態様において、着色組成物が2種以上の組み合わせからなる場合、各色の着色組成物用のプリントヘッド(図示せず)(以下、単に「ヘッド」ともいう。)が、図1のヘッドCOLORの位置に、搬送方向に対し上流側から下流側に順番に並んでいるものとする。具体例として、図1のヘッドCOLORの位置に、上流側から、ブラックインクヘッド、シアンインクヘッド、マゼンタインクヘッド、及びイエローインクヘッドの各ヘッドが順番に設けられる。そして、図1に示すように、搬送方向の上流側から順に、上記のカラーヘッドCOLOR、クリアインクヘッドCLが設けられる。
図1に示す態様において、第1の仮硬化用照射部42eは、ヘッドCOLORの搬送方向下流側に設けられている。また、この第1の仮硬化用照射部42eの他、クリアインクヘッドCLの搬送方向下流側に第2の仮硬化用照射部42fが設けられている。さらに、この第2の仮硬化用照射部42fの搬送方向下流側に本硬化用照射部44が設けられている。
外部装置であるコンピューターから印刷データを受信した記録装置は、コントローラーによって各ユニット(各部)、即ち搬送ユニット20、ヘッドユニット、及び照射ユニット40を制御して、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を形成する。コントローラーは、コンピューターから受信した印刷データに基づいて、各部を制御し、被記録媒体上に画像を形成する。記録装置内の状況は検出器群によって監視されており、検出器群は、検出結果をコントローラーに出力する。コントローラーは、検出器群から出力された検出結果に基づいて、各部を制御する。
搬送ユニット20においては、搬送モーター(図示せず)が回転すると、図1に示した上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bが回転し、ベルト24が移動する。給紙ローラー(図示せず)によって給紙された被記録媒体Sは、ベルト24によって、記録可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。そして、この領域を通過した被記録媒体Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。
このとき、搬送ユニット20(走査部)は、被記録媒体Sをヘッドユニット(ヘッド)に対して相対的に搬送方向(走査方向)に走査させながら、組成物をヘッドユニットから吐出する。被記録媒体Sの搬送を行わずにヘッドユニットを被記録媒体Sに対して移動させる走査を行いながら組成物の吐出を行わせてもよい。ここで、被記録媒体Sがヘッドユニットに対して移動する走査を行う場合は被記録媒体Sが搬送されていく側が下流であり、ヘッドユニットが被記録媒体Sに対して移動する走査を行う場合は、ヘッドユニットが移動していく方向が上流側である。
なお、搬送中の被記録媒体Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されていてもよい。
ヘッドユニットは、搬送中の被記録媒体Sに対して各組成物を吐出することによって、被記録媒体S上にドットを形成し(組成物を着弾させて)、塗膜が形成されて画像を形成する。図1の記録装置はラインプリンターであり、ヘッドユニットの各ヘッドは被記録媒体の幅相当のドットを形成することができる。
照射ユニット40において、被記録媒体S上に形成されたドット(着弾したインク)は、照射ユニット40から光照射を受けることにより、硬化する。
図1に示した第1の仮硬化用照射部42eは、被記録媒体S上に形成された第1の塗膜に相当するドットを、その上にクリアインク組成物が着弾する前に仮硬化させるための第1の光照射をする。この第1の仮硬化用照射部では、仮硬化を行うことができればよいため、ドット(液滴)の少なくとも一部、例えばドット表面が硬化されればよい。この仮硬化を行うことにより、インクの滲みを防止することができる。
また、図1に示した第2の仮硬化用照射部42fは、クリア組成物について第2の光照射をして迅速に仮硬化することにより、着色組成物及びクリア組成物のブリードを確実に抑制可能なものである。なお、図1において第2の仮硬化用照射部42fを設けずクリア組成物に本硬化用照射部44のみを照射してもよい。
図1に示した本硬化用照射部44は、被記録媒体に着弾した着色組成物及びクリア組成物を本硬化用光源からの光照射により本硬化させる。換言すれば、本硬化用照射部44は、被記録媒体S上に形成されたドットをほぼ完全に硬化(本硬化)させるための光照射を行う。また、被記録媒体Sの幅方向における本硬化用照射部44の長さは被記録媒体Sの幅以上である。そして、本硬化用照射部44は、ヘッドユニットの各ヘッドによって形成されたドットに光を照射する。
本硬化用照射部44は、本硬化用光源として、LED又はランプを有する。当該ランプとして、特に限定されないが、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、及び高圧水銀ランプが挙げられる。
第1の仮硬化用照射部42e及び第2の仮硬化用照射部42fは、仮硬化用光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を有する。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することができる。
本硬化用照射部44による本硬化の光照射エネルギーは、本硬化を1回で行う場合、着色組成物及びクリア組成物の間で共通となる。他方、着色組成物及びクリア組成物の間で本硬化の光照射エネルギーを相違させるためには、各組成物を被記録媒体に着弾させた後に本硬化をその都度行う必要がある。しかし、本硬化を2回以上行った場合、煩雑になると共に記録方法の工程が複雑になるため、本硬化は1回行うのが好ましい。そこで、本硬化を1回で行うことができるようにするため、着色組成物及びクリア組成物はセットとして用いる。なお、本明細書において、仮硬化(ピニング)時に光源から照射される照射エネルギーは、本硬化時のそれと比較して波長が異なる(非常に小さい)ことなどから、上記の本硬化時の照射エネルギーとは区別される。
図2は本実施形態に用い得るインクジェット記録装置の別の例(所謂シリアルプリンタ)の構成の一部を示す概略図である。図2において、6はキャリッジであり、8は各色インクヘッドであり、10はクリアインクヘッドであり、11は照射部であり、5はガイドレールであり、2はプラテンであり、4は搬送ローラーであり、A、Bは、主走査方向であり、Xは副走査方向である。キャリッジの主走査方向(A方向あるいはB方向のいずれか)への主走査によってインクヘッドから記録媒体(被記録媒体)へ組成物が吐出され、かつ、2個の照射部11のうちの主走査方向におけるインクヘッドよりも後方側の照射部から被記録媒体に付着した組成物に照射が行なわれる。主走査と副走査(被記録媒体の搬送)とが交互に行なわれ、主走査のたびに主走査方向はA方向かB方向に交互に切り替わる。
各色インクヘッド8とクリアインクヘッド10のそれぞれにおいて、1つのインクの吐出に用いるノズル列の副走査方向の長さ(距離H)は同じ長さである。1回の副走査方向の距離(距離S)が距離Hと同じ場合は、1つのインクについて1回の主走査(パス)で記録が行なわれるシリアル1パス記録方法が行なわれ、距離Sが距離Hより短い場合は、1つの組成物について2回以上の主走査(パス)で記録が行なわれるシリアルマルチパス記録方法が行なわれる。シリアルマルチパス記録方法が行なわれる場合、距離Sが短いほどパス数を多くさせ、パス数は2以上とすることができる。シリアルマルチパス記録方法が行なわれる場合、1パス目に被記録媒体に吐出されたインクには、1パス目において1個の照射部11から1回の照射が行なわれた後、2パス目以降のパスにおいてさらに1パスにつき2個の照射部11から2回の照射が行なわれる。それぞれの照射部11は、LED(ピーク波長395nm、照射強度1000mW/cm2)を用い、照射部11のうち各色インクヘッド8あるいはクリアインクヘッド10と主走査方向に並ぶ部分(副走査方向の位置が一致する部分)のみからUVを発光させ被記録媒体を照射可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用した組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔モノマーA〕
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製)
〔(メタ)アクリル酸エステル類B〕
CTFA(環状トリメチロールプロパンホルマルアクリレート、サートマー社製)
ECA(エトキシジエチレングリコールアクリレート、共栄社化学社製)
THFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート、日立化成工業社製)
MTG(メトキシトリエチレングリコールアクリレート、大阪有機化学社製)
MEDOL10(ジオキソランアクリレート、大阪有機化学社製)
〔他の重合性化合物〕
IDA(イソデシルアクリレート、サートマー社製)
PEA(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社製)
IBX(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学社製)
NVC(Nビニルカプロラクタム、ISPジャパン社製)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製)
DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業社製)
〔重合開始剤〕
IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分100%)
IRGACURE TPO(BASF社製商品名、固形分100質量%)
〔重合禁止剤〕
MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル、東京化成工業社製)
〔界面活性剤〕
BYK−UV3500(BASF社製)
〔色材〕
カーボンブラック
〔顔料分散剤〕
solsperse36000(ルーブリゾール社製商品名)
[組成物の調製]
各材料を下記の表1に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各組成物を得た。なお、下記の表1中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
〔インクジェット記録方法〕
記録装置として、SC−S30650(EPSON製)の改造機を用いた。改造機の記録媒体排出部には光源(LEDピーク波長 395nm)を取り付け、ヘッドにはヒーターを取り付けインクを加温して吐出可能とした。また、ヘッドはノズル密度360dpiとした。ノズル列に各組成物(クリア、着色)を充填してから記録に用いた。なお、被記録媒体としては、PETフィルム(PET50A〔商品名〕、リンテック社)を使用した。
まず、ヘッドをメディアに対し走査し、着色組成物により、記録解像度1440×1440dpiで5×5cmのベタパターンを記録した。ベタパターンの着色組成物の付着量は表2中の値とした。記録媒体排出路に設けた光源でパターンを表2中の照射エネルギーでインクに対し照射を行った。メディアを逆送りして元の位置に戻して、今度は、クリアインクで同じパターンに重ねて同じ記録解像度で記録した。クリアインクの付着量を表2中の値とした。付着後、記録媒体のパターンを同じ光源で、300mJ/cm2の照射エネルギーで照射し記録を終えた。
〔臭気低減性〕
記録後、記録物を常温で1日放置した。その後、パターン部分の臭気を官能評価により評価した。具体的には、10人のパネラーにパターンの匂いを嗅いでもらい、臭いがすると判断した人数をカウントし、下記評価基準により臭気低減性を評価した。
(評価基準)
AA:臭いがするという人が0人。
A+:臭いがするという人が1人
A :臭いがするという人が2〜3人。
A−:臭いがするという人が4〜5人。
B :臭いがするという人が6〜10人。
〔耐擦性〕
記録後、記録物を常温で1日放置した。その後、JIS K5701(ISO 11628)に準じて、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業社製)を用いて、荷重450g,摩擦回数90回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子とパターン部分とを擦り合わせた。擦り合わせ後の画像(パターン)の表面状態を目視にて観察し、下記評価基準により耐擦性を評価した。
(評価基準)
AA:画像の表面に全く傷が付いていなかった。
A :画像の表面に1〜4箇所の傷が付いていた。
B :画像の表面に5〜10箇所の傷が付いていた。
C :画像の表面の11箇所以上に傷が付いていた。
〔画質〕
記録後、記録物を常温で1日放置した。その後、パターン部分のムラや滲みを目視にて観察し、下記評価基準により画質を評価した。
(評価基準)
A :パターンの端部と内部ともインクの滲みやムラは見られなかった。
B :パターン内部にはムラがみられなかったがパターンの端部にインクが滲んでいるのが観察された。
C :パターン内部にもムラが見られた。
1…プリンター、2…プラテン、4…搬送ローラー、5…ガイドレール、6…キャリッジ、8…インクヘッド、10…クリアインクヘッド、11…照射部、20…搬送ユニット、23A…上流側搬送ローラー、23B…下流側搬送ローラー、24…ベルト、40…照射ユニット、42e…第1の仮硬化用照射部、42f…第2の仮硬化用照射部、44…本硬化用照射部、CL…クリアインクヘッド、COLOR…カラーヘッド、S…被記録媒体。

Claims (10)

  1. 色材と、重合性化合物として下記一般式(1)で表されるモノマーAと、を含む放射線硬化型インクジェット着色組成物と、
    重合性化合物として、複素環基及び飽和脂肪族エーテル基の少なくともいずれかのエーテル構造を有する単官能重合性化合物である(メタ)アクリル酸エステル類B、を含む放射線硬化型インクジェットクリア組成物と、
    を備える、組成物セット。
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
  2. 前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物の総質量に対する、前記(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量が、20〜80質量%である、請求項1に記載の組成物セット。
  3. 前記放射線硬化型インクジェット着色組成物の総質量に対する、前記(メタ)アクリル酸エステル類Bの含有量が、15質量%以下である、請求項1又は2に記載の組成物セット。
  4. 前記放射線硬化型インクジェット着色組成物の総質量に対する、前記モノマーAの含有量が、10〜80質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物セット。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル類Bとして、前記複素環基のヘテロ原子数及び前記飽和脂肪族エーテル基の酸素原子数の少なくとも何れかの合計の原子数が2個以上の化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物セット。
  6. 前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物に、前記重合性化合物として、2官能以上の(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物セット。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物セットを用いるインクジェット記録方法であって、
    前記放射線硬化型インクジェット着色組成物をインクジェットヘッドから吐出し、前記放射線硬化型インクジェット着色組成物を吐出した場所の上に、前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物をインクジェットヘッドから吐出し付着させる、
    インクジェット記録方法。
  8. 吐出した前記放射線硬化型インクジェット着色組成物及び前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物に、放射線を照射して硬化させる際に用いる放射線光源として放射線発光ダイオードを用いる、請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記放射線硬化型インクジェット着色組成物と前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出した領域における単位面積当たりに付着した質量が、前記放射線硬化型インクジェット着色組成物の質量と前記放射線硬化型インクジェットクリア組成物の質量の比として、10:2〜1:2である、請求項7又は8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 吐出した前記放射線硬化型インクジェット着色組成物に、200mJ/cm2以下の照射エネルギーで放射線の照射を行い、前記照射後、放射線硬化型インクジェットクリア組成物を吐出する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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