JP6592311B2 - タイヤ用ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、乗用車、トラック、バスなどに使用するタイヤ用に好適なタイヤ用ゴム組成物及びその製造方法に関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。
従来において、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低い、所謂低ロス化のゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。
このような低ロス化のゴム組成物を得る方法として、充填材としてシリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。
しかしながら、無機充填材配合ゴム組成物において、シリカ等の無機充填材を配合する際には、無機充填材、特にシリカはゴム組成物中で凝集してしまうため(シリカ表面の水酸基が原因で凝集してしまうため)、凝集を防止するためにシランカップリング剤が用いられている。
従って、シランカップリング剤を配合して上記問題を好適に解決するために、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を更に高める目的で種々の試みがなされている。
例えば、本出願人は、シリカに対して親和性を有する官能基を含む変性剤を使用して得られる変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分(A)、無機充填剤(B)を含む充填剤、シランカップリング剤(C)及びグアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類及びキサントゲン酸類から選択される少なくとも一種の促進剤(D)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階(X)で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該促進剤(D)を加えて混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法(例えば、本出願人による特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1の技術は、転がり抵抗の低減効果を発揮するものであるが、加工性の改善が求められている。
一方、従来からシリカなどのシリカ配合系ゴム組成物におけるシリカ分散性を改良して加硫物性と生産性などを向上させた改良技術としては、例えば、ジエン系ゴム100質量、BET比表面積が50〜300m2/gのシリカを10質量部以上含む補強性充填剤30〜150質量部及びシリカ配合量の0.1〜15質量%のシランカップリング剤を含むタイヤトレッド用ゴム組成物において、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(DMTD)などのチアジアゾールと脂肪族アミンとの塩及び/又はトリアジンチオールと脂肪族アミンとの塩0.05〜3質量部を配合することを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物(例えば、特許文献2参照)が知られている。
このタイヤトレッド用ゴム組成物では、上記脂肪族アミンがシリカ表面に吸着してシリカ凝集を防止し、低発熱性及びウェットグリップ性を改善せしめ、また、シリカが脂肪族アミンでシールディングされるため加硫促進剤と反応して消費されることなく、かつチアジアゾール/トリアジンによる加硫促進効果により、シリカ配合で見られるような加硫遅延を防ぐ作用により加硫物性と生産性などを向上させるものである。
しかしながら、この特許文献2では、シリカ分散を改善するためにDMTDのアミン塩、DMTD又はチオウレアなどを配合すると、未加硫粘度が上昇、加工性が悪化するものである。上記特許文献2の技術内容やDMTDやチオウレアなどを用いても、シラン活性化に優先してメルカプト基とポリマーが反応し、結果ポリマーゲルが生成して未加硫粘度や加硫後のモジュラスが上昇してしまうというデメリットがあるなどの課題がある。これに対して、本発明のチアジアゾール化合物は、上記特許文献2に記載のDMTDを含まないものであり、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)を発揮するものである。
他方、チアジアゾール化合物を配合したゴム組成物などとしては、例えば、1)天然ゴムおよびジエン系合成ゴムからなる群から選ばれた少なくとも1種のゴム100重量部に、補強性充填剤20〜150重量部と、特定式(R及びRは、それぞれメルカプト基、アミノ基、トリフロロメツル基)で表されるチアジアゾール化合物0.1〜10重量部を配合したことを特徴とする低発熱性ゴム組成物(例えば、特許文献3参照)、2)1種以上のジエンエラストマー、1種以上の補強用充填材および加硫系をベースとするタイヤ製造用のゴム組成物であって、前記加硫系は一次加硫促進剤として特定の式を有するチアジアゾール化合物を含むことを特徴とする、ゴム組成物(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
しかしながら、上記特許文献3及び4のチアジアゾール化合物は、本発明のチアジアゾール化合物に含まれないものであり、特許文献3はピリミジン系加硫促進剤と併用することで、低温域でチアジアゾール化合物とピリミジン系加硫促進剤が反応し、メルカプトベンゾジアゾールが生成することを防止するため早期ヤケを防止できるものであり、また、上記特許文献4は一次加硫促進剤として上記チアジアゾール化合物を用いて未加硫ゴムの流動特性改善を図るものであり、本発明のチアジアゾール化合物をゴム成分(ポリマー)、シリカ、シランカップリング剤の配合系に配合することにより、シランカップリング剤を活性化し、シラン−ポリマー反応を促進することにより、シリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性が向上するものであり、上記特許文献2〜4とはその技術思想を含む作用機構などが相違するものである。
特開2012−246334公報(特許請求の範囲、実施例等 ) 特開2007−254496号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平1−207337号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特表2013−507471号公報(特許請求の範囲、実施例等 )
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものであり、シリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性を向上させたタイヤ用ゴム組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、特定のゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、特定の化合物とを少なくとも含むタイヤ用ゴム組成物により、また、このタイヤ用ゴム組成物を少なくとも二工程の混練工程を経て調製することにより、上記目的のタイヤ用ゴム組成物及びその製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、
ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、下記式(I)で示される化合物を少なくとも配合してなることを特徴とする。
Figure 0006592311
〔上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基 、アミノ基を表す。〕
前記ゴム成分には、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを40質量%以上含むことが好ましい。
前記ゴム成分には、天然ゴム を10〜100質量%含むことが好ましい。天然ゴムを10〜60質量%含むことがさらに好ましい。
前記式(I)中のRがメルカプト基、Rが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが好ましい。
前記式(I)で示される化合物は1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−エチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−プロピル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールであることが好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法として、ジエン系ゴムを含むゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材、シランカップリング剤及び上記式(I)で示される化合物の全部又は一部を少なくとも含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、A工程と、前記予備組成物に加硫剤を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、B工程と、を含むことにより製造されることが好ましい。
前記A工程における混練温度の最高温度を120〜190℃で行うことが好ましい。
本発明によれば、シリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性を向上させたタイヤ用ゴム組成物が提供される。
また、ゴム成分として、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを40質量%以上含むこと、及び/又は天然ゴムを10〜100質量%含むことにより、上記効果と共に、更に耐摩耗性を向上させたタイヤ用ゴム組成物が提供される。
更に、上記式(I)で示される化合物として、式(I)中のRがメルカプト基、Rが水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基となるものを用いることにより、上記効果と共に、更に、加工性改善、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性を更に向上させたタイヤ用ゴム組成物が提供される。
更にまた、タイヤ用ゴム組成物の製造方法として、ジエン系ゴムを含むゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材、シランカップリング剤及び上記式(I)で示される化合物の全部又は一部を少なくとも含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、A工程と、前記予備組成物に加硫剤を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、B工程と、を含む製造方法では、より効率的にシリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性を向上させたタイヤ用ゴム組成物の製造方法が提供される。
前記製造方法においてA工程における混練温度の最高温度を120〜190℃で行うことにより、上記製造方法の効果と共に、更にシリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)を大幅に向上させることができる。
以下に、本発明の実施形態を詳述する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、下記式(I)で示される化合物を少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
Figure 0006592311
〔上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基を表す。〕
〔ゴム成分〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いるゴム成分としては、ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ここで、ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、及びこれらの変性ポリマーなどが挙げられる。
これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
これらの中でも、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の少なくとも1種の使用が好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合により製造される乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合により製造される溶液重合SBR(S−SBR)、並びに、これらのSBRを変性した変性SBR(変性E−SBR、変性S−SBR)などが挙げられる。
これらのSBRを用いる場合は、作業性、加工性、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、ゴム成分に対して、40質量%以上含むことが好ましい。
また、天然ゴムを用いる場合は、作業性、加工性、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、ゴム成分に対して、10〜100質量%含むことが好ましい。
〔シリカを有する無機充填材を含む充填材〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる無機充填材は、シリカ及び下記一般式(II)で表される無機化合物を用いることができる。
aM1・xSiOy・zH2O ………(II)
ここで、一般式(II)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、a、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(II)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
本発明においては、上述の無機充填材(B)の内、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。
更に、シリカについては、BET比表面積は40〜350m2/g、CTAB比表面積(セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積)は40〜300m2/gであることが好ましい。BET表面積やCTAB比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80〜350m2/gの範囲、並びに、CTAB比表面積が40〜300m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET表面積が120〜350m2/gの範囲、CTAB比表面積が40〜300m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。上記BET比表面積(40〜350m2/g)、CTAB比表面積(40〜300m2/g)範囲内となるシリカとしては、例えば、東ソーシリカ社製、商品名「ニプシルAQ」、「ニプシルKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」、Solvay社製商品名「Zeosil Premium 200 MP」などが挙げられる。
前記一般式(II)で表わされる無機化合物としては、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(II)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
一般式(II)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材は、シリカ単独で使用しても良いし、シリカと上記一般式(II)で表される無機化合物の1種以上とを併用しても良い。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の充填材は、所望により、上述の無機充填材に加えてカーボンブラックを含有しても良い。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果、等を享受できる。
このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。本発明において、カーボンブラックは上記無機充填材に含まれない。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の無機充填材は、ゴム成分100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ウエット性能を確保する観点から好ましく、120質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。更には、30〜100質量部使用することがより好ましい。
また、本発明に係るタイヤ用ゴム組成物の充填材は、ゴム成分100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、低発熱性向上の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材が40質量%以上であることがウェット性能と低発熱性の両立の観点から好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
〔シランカップリング剤〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるシランカップリング剤は、特に制限はなく、汎用の各種シランカップリング剤が使用でき、好ましくは、下記一般式(III)及び(VI)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが望ましい。
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、このようなシランカップリング剤を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好なタイヤ用ゴム組成物が得られることとなる。
以下、下記一般式(III)及び(VI)を順に説明する。
Figure 0006592311
〔式(III)中、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但し、p及びrの双方が3であることはない。〕
上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。
Figure 0006592311
〔上記式(VI)中、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、Rは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、Rは一般式
(−S−R−S−)、(−R−Sm1−R10−)及び(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R〜R13は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜20の二価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の脂環式炭化水素基、二価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2、m3は同一でも異なっていても良く、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kは同一でも異なっていても良く、各々平均値として1〜6であり、s及びtは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但しs及びtの双方が3であることはない。〕
上記一般式(VI)で表わされるシランカップリング剤の具体例として、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33等で表される化合物が好適に挙げられる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、上記一般式(III)及び(VI)で表わされる化合物の中で、上記一般式(III)で表わされる化合物が特に好ましい。上記式(I)で示される化合物はゴム成分と反応するポリスルフィド結合部位の活性化を起こし易いからである。
本発明においては、シランカップリング剤は一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に用いるシランカップリング剤の配合量は、シリカを有する無機充填材の1〜20質量%であることが好ましい。1質量%未満ではタイヤ用ゴム組成物の低発熱性向上の効果が発揮しにくくなり、一方、20質量%を超えると、タイヤ用ゴム組成物のコストが過大となり、経済性が低下するからである。更には、シリカを有する無機充填材の3〜20質量%であることがより好ましく、特に、4〜10質量%であることが特に望ましい。
〔式(I)で示される化合物〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる化合物としては、下記式(I)で示される化合物を少なくとも含むものが挙げられる。
Figure 0006592311
〔上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アミノ基を表す。〕
上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rにおいて、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。アミノ基としては、第一級、第二級もしくは第三級アミノ基が挙げられ、鎖式、環式であってもよく、例えば、−NH、-NHR、-NR(R:炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、フェニル基、アリール基などが挙げられる。
好ましくは、上記式(I)中、Rは、メルカプト基で、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であるものが望ましい。
前記式(I)で示される化合物としては、例えば、1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−エチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−プロピル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが挙げられる。
従来においてゴム組成物等に配合されている2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(DMTD)では、メルカプト基(SH)が2つあるため、シラン活性化に優先してゴム成分であるポリマーが反応し、結果ポリマーゲルが生成して未加硫粘度や加硫後のモジュラスが上昇してしまうというデメリットがあるなどの課題があった。これに対して、本発明の上記式(I)で表されるチアジアゾール化合物は、メルカプト基(SH)の有する機能と課題を高度に両立したものであり、ゴム成分(ポリマー)、シリカ、シランカップリング剤の配合系に配合することにより、シランカップリング剤を活性化し、シラン−ポリマー反応を促進することにより、シリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性が向上するものとなるものである。
上記式(I)で表されるチアジアゾール化合物の配合効果を更に効果的に発揮せしめるために、好ましくは、式(I)中、Rは、メルカプト基、Rは、メチル基、エチル基の何れかのもの、すなわち、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−エチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが望ましく、特に好ましくは、Rは、メルカプト基、Rは、メチル基である、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが望ましい。
本発明に用いる上記式(I)で示される化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.05〜6質量部、好ましくは、0.5〜6質量部、更に好ましくは、0.5〜3質量部であることが好ましい。この含有量が0.05質量部未満であると、低ロス効果は低く、一方、6質量部超過であると、粘度や収縮に与える影響が大きく悪化させてしまうこととなる。
〔加硫剤等〕
本発明に用いる加硫剤としては、硫黄、不溶性硫黄などの硫黄等が挙げられ、その配合量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0質量部である。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物では、通常、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、オイル、ワックス、加硫促進助剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で、各種配合剤を、必要に応じて、適宜量配合することができる。
用いることができる加硫促進剤としては、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チウラム類、チオウレア類、ジチオカルバミン酸類、キサントゲン酸類などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
グアニジン類としては、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドなどが挙げられ、
スルフェンアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられ、
チアゾール類としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)などが挙げられ、
チウラム類としては、例えば、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドなどが挙げられ、
チオウレア類としては、例えば、チオ尿素(チオウレア)、N,N’−ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素及びN,N’−ジメチルチオ尿素などが挙げられ、
ジチオカルバミン酸塩類としては、例えば、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛及びジメチルジチオカルバミン酸銅などが挙げられ、
キサントゲン酸塩類としては、例えば、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛などが挙げられる。
〔タイヤ用ゴム組成物〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、少なくとも、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、上記式(I)で示される化合物を少なくとも配合することにより、シランカップリング剤を活性化し、シリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性が向上するものである。
〔タイヤ用ゴム組成物の製造方法〕
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、少なくとも、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、下記式(I)で示される化合物を常法により、例えば、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、ステアリン酸、老化防止剤、オイル等のゴム用配合剤を混練後に、加硫剤、上記式(I)で示される化合物を添加して混練することにより製造することができる。
好ましくは、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤及び上記式(I)で示される化合物の全部又は一部を少なくとも含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、A工程と、前記予備組成物に加硫剤を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、B工程と、を含むことにより製造されることが望ましい。
上記製造方法において、混練のA工程におけるゴム組成物中の上記式(I)で示される化合物のモル量がシランカップリング剤のモル量の0.001〜15.0倍であることが好ましい。特に0.1〜1.0倍であることが好ましい。0.001倍以上であればシランカップリング剤の活性化が十分に起こり、15.0倍以下であれば加硫速度に大きな影響は与えないからである。更に好ましくは、該式(I)で示される化合物の分子数(モル数)はシランカップリング剤(C)の分子数(モル数)の0.3〜1.0倍である。
好ましくは、上記式(I)で示される化合物の含有量は、上述の如く、ゴム成分100質量部に対して、0.05〜6質量部、更に好ましくは、0.5〜6質量部であり、特に好ましくは、0.5〜3質量部であることが望ましい。
なお、式(I)で示される化合物は、最初の第1工程で全部を配合しなくともよく、第1工程混練の最終段階となるB工程においても所望により適量(一部)を配合しても良い。
上記製造方法において、混練のA工程で上記式(I)で示される化合物の全部又は一部を加えて混練するのは、シランカップリング剤のカップリング機能の活性をより高め、シリカを有する無機充填材の分散姓を更に改良して、未加硫ゴムの粘度の悪化を大幅に抑制し、未加硫ゴムの粘度低減による加工性の大幅な向上と、転がり抵抗(RR)を良好にして低発熱性(低ロス化)を大幅に向上させるためである。
上記混練のA工程において、前記ゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材及び前記シランカップリング剤を混練した後に前記式(I)で示される化合物の全部又は一部を加えて、さらに混練することが、式(I)で示される化合物物の配合によるカップリング機能の活性向上効果が低減するのを更に好適に抑制するために好ましい。即ち、シリカを有する無機充填材とシランカップリング剤との反応が十分に進行した後に、シランカップリング剤とゴム成分との反応を進行させることができるからである。
混練のA工程で、該ゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材、及び該シランカップリング剤を加えた後、該A工程の途中で該式(I)で示される化合物を加えるまでの時間を10〜180秒とすることがより好ましい。この時間の下限値は、30秒以上であることが更に好ましく、上限値は、150秒以下であることが更に好ましく、120秒以下であることが特に好ましい。この時間が10秒以上であれば(B)と(C)の反応を十分に進行させることができる。この時間が180秒を超えても(B)と(C)の反応は既に十分に進行しているので、更なる効果は享受しにくく、上限値を180秒とすることが好ましい。
上記A工程におけるゴム組成物の混練温度の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましい。
このA工程における混練温度の最高温度を120〜190℃で行うことにより、更にシリカの分散性を改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)を大幅に向上させることができる。
本発明において、上記好ましいタイヤ用ゴム組成物の混練工程は、ゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材、シランカップリング剤、及び上記式(I)で示される化合物の全部又は一部を含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、A工程と、前記予備組成物に加硫剤を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、B工程と、を含むことにより、より好ましいゴム組成物が製造されるものであり、上記加硫剤を含まない混練のA工程と、加硫剤を含む混練のB工程の少なくとも2つの工程を含むものであれば、必要に応じ、加硫剤(F)を含まない混練の中間段階を含んでも良い。
上記A工程、B工程を有するタイヤ用ゴム組成物の製造方法では、上述の如く、通常、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、オイル、ワックス、加硫促進助剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で、各種配合剤を、必要に応じ、混練のA工程又はB工程、あるいはA工程とB工程の中間段階において適宜量添加して混練される。
本発明における混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等が用いられる。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記工程で混練し、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。
このように構成されるタイヤ用ゴム組成物及びその製造方法では、ゴム成分(ポリマー)、シリカを有する無機充填材を含む充填材、シランカップリング剤の配合系に、メルカプト基(SH)の有する機能と課題を高度に両立した上記式(I)で表されるチアジアゾール化合物を配合することにより、従来では得られない、シランカップリング剤を大幅に活性化せしめ、シラン−ポリマー反応をより効率的に促進することにより、シリカの分散性を大幅に改善し、未加硫粘度の粘度上昇抑制効果(加工性改善)、低ロス化を発揮せしめ、かつ耐摩耗性を大幅に向上させることができるものとなる。この点に関しては、更に後述する実施例、比較例において更に詳述する。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜16及び比較例1〜16〕
下記表1〜5に示す配合処方で下記方法により、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例1,2,4,5,6,8,9,11,12,14,15及び比較例1〜12では、混練のA工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも170℃以上になるように表1〜5の混練のA工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練のA工程において、ゴム成分〔E−SBR、NR〕、シリカを含む無機充填剤を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤、上記式(I)で示される化合物〔5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール〕等を含む第一混合物を混練(混練時間3分間)することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、B工程として、前記予備組成物に加硫剤である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
実施例3,7,10,13及び16では、混練のA工程におけるゴム組成物の最高温度がいずれも170℃以上になるように表1〜4の混練のA工程の欄の各成分を調整してバンバリーミキサーで混練し、各タイヤ用ゴム組成物を調製した。タイヤ用ゴム組成物の混練のA工程において、ゴム成分〔E−SBR、NR〕、シリカを含む無機充填剤を含む充填材〔カーボンブラック、シリカ〕、シランカップリング剤を含む第一混合物を混練(混練時間3分間)することによって予備組成物を調製した後に、60秒間経過した後、B工程として、前記予備組成物に、上記式(I)で示される化合物〔5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール〕、加硫剤である硫黄などを加えた第二混合物を混練することによってタイヤ用ゴム組成物を調製した。
得られた各タイヤトレッド用ゴム組成物の未加硫ゴム粘度、tanδ(指数:転がり抵抗性能)、耐摩耗性(指数)及び総合評価を下記の各方法により算出して評価した。
これらの結果を下記表1〜表5に示す。
〔未加硫ゴム粘度の測定方法〕
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
比較例1,4,7,10,13の各粘度を100として、指数表示し、その逆数を実施例の表に物性値として表示した。この値が大きいほど加工性(作業性)が良好であることを示す。
〔tanδ指数(転がり抵抗性能)の評価方法〕
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1,4,7,10,13の各tanδを100として、下記式にて指数表示した。
発熱性指数=
{(比較例1,4,7,10,13の加硫ゴム組成物のtanδ)}/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)×100
指数値が高いほど、転がり抵抗が低く、転がり抵抗性能(低ロス化)が優れることを示す。
〔耐摩耗性(指数)の評価方法〕
JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例1、4,7,10、13の摩耗量の逆数を100として、下記式にて指数表示した。
耐摩耗性指数={(比較例1,4,7,10,13の加硫ゴム組成物の摩耗量)/(供試加硫ゴム組成物の摩耗量)}×100
指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性が良好であることを示す。
〔総合評価〕
上記未加硫ゴム粘度、tanδ指数(転がり抵抗性能)、〔耐摩耗性(指数)〕の指数表示の合計値(評価物性の評価指数表示の合計)を下記表1〜表5に示す。この合計値300がコントロールとなるものであり、この合計値が300を超えて大きいほど、本発明の効果を高度に両立することを示すものである。なお、この合計値が300を超えて大きくとも、上記三つの評価特性のうち、少なくとも1つが極端に悪い場合は、本発明の効果を発揮するものではない。
Figure 0006592311
Figure 0006592311
Figure 0006592311
Figure 0006592311
Figure 0006592311
上記表1〜表5中の*1〜*11は下記のとおりである。
*1)JSR社製、乳化重合SBR、「JSR 1500」
*2)東ソーシリカ社製、「ニプシールAQ」、BET表面積205m/g
*3)旭カーボン社製、「#80」
*4)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製、「Si75」
*5)マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋社製、「オゾエース0701」
*6)N−(1,3−ジメチルブチル)―N′−フェニルーp−フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製、「ノクラック6C」
*7)1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業社製、「サンセラーD」
*8)ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業社製、「サンセラーDM」
*9)N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、三新化学工業社製、「サンセラーNS」
*10)RSS#3
*11)Zeosil Premium 200 MP、Solvay社製
上記表1〜表5の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜16のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜12に較べて、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)も良好となることが判明した。
実施例をみると、実施例1,2,4,5,6,8,9,11,12,14,15は、本発明の好ましい製造方法により製造したものであり、実施例3,7,10,13、16の最終段階で上記式(I)で示される化合物を配合した製造に較べ、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)も良好となるものであり、また、上記実施例3,7,10,13、16は、本発明の範囲外となる比較例1〜16に較べて、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)が良好となることが確認できる。
一方、比較例を見ると、比較例1,4,7,10,13は、コントロールであり、比較例2,14のチオウレアを配合したもの、比較例3、5、8、11,15の従来の5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール(DMTD)を配合したもの、比較例6、9、12,16の特許文献2に準拠のDMTDのアミン塩を配合したものでは、本発明の効果を発揮できないことが判った。
これらを総合すると、本発明をサポートする実施例1〜16では、加工性(未加硫ゴム粘度)、転がり抵抗性能(tanδ指数)、耐摩耗性(指数)を高度に両立することが判明した。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤのタイヤ部材の用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ジエン系ゴムを含むゴム成分と、シリカを有する無機充填材を含む充填材と、シランカップリング剤と、下記式(I)で示される化合物を少なくとも配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0006592311

    〔上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
  2. 前記ゴム成分には、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを40質量%以上含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分には、天然ゴムを10〜100質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分には、天然ゴムを10〜60質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記式(I)中のRがメルカプト基、Rが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の何れかであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記式(I)で示される化合物が1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−エチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−プロピル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、5−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. ジエン系ゴムを含むゴム成分、シリカを有する無機充填材を含む充填材、シランカップリング剤及び下記式(I)で示される化合物の全部又は一部を少なくとも含む第一混合物を調製し、該第一混合物を混練することによって予備組成物を調製する、A工程と、前記予備組成物に加硫剤を加えた第二混合物を調製し、該第二混合物を混練することによってゴム組成物を調製する、B工程と、を含むことにより製造されることを特徴とする、タイヤ用ゴム組成物の製造方法。
    Figure 0006592311

    〔上記式(I)中、Rは、メルカプト基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
  8. 前記A工程の混練温度の最高温度を120〜190℃で行うことを特徴とする、請求項
    7に記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
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