図1は、本発明の実施例にかかる内視鏡画像管理システム1の構成を示す。内視鏡画像管理システム1は内視鏡業務を支援するためのシステムであり、複数の内視鏡システム10a、10b(以下、特に区別しない場合には「内視鏡システム10」とよぶ)、端末装置20および内視鏡画像管理装置30を備え、それらはLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク2によって相互接続されている。
内視鏡画像管理システム1は医療施設内の別のシステムと連携が可能である。たとえばネットワーク2に図示しないゲートウェイ装置が接続され、このゲートウェイ装置を介して内視鏡画像管理システム1は、オーダリングシステム、電子カルテシステム、レセプトシステムなどと連携可能である。オーダリングシステムは医療施設内の全ての検査オーダを発行し、1日の業務開始前、内視鏡画像管理装置30は、オーダリングシステムから当日分の全ての内視鏡検査オーダを取得して記憶する。
内視鏡システム10は、内視鏡12、処理装置14および表示装置16を備える。内視鏡12は患者の体内に挿入され、医師が内視鏡12のレリーズスイッチを押したタイミングで体内を撮像する。内視鏡12は、固体撮像素子(たとえばCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)および信号処理回路を備える。固体撮像素子は入射光を電気信号に変換し、信号処理回路は、固体撮像素子により光電変換された画像データに対して、A/D変換、ノイズ除去などの信号処理を施して、処理装置14に出力する。
処理装置14は、内視鏡システム10全体を統括的に制御する制御部26を備える。制御部26の一つの重要な役割は、内視鏡12により撮像された画像を内視鏡画像管理装置30に送信して、データベースに記憶させることであり、もう一つの重要な役割は、内視鏡12により取得されている映像を表示装置16にリアルタイムで表示させることにある。
内視鏡12は接続部24に接続される。接続部24は内視鏡12の接続の有無を検出する機能を有し、内視鏡12の挿入を検出したとき、または内視鏡12の抜去を検出したとき、制御部26にその検出信号を出力する。操作部22はユーザの操作を受け付け、その操作にもとづく操作信号を制御部26に出力する。操作部22は、ユーザが検査開始時または検査終了時に押下するボタンを備える。
内視鏡画像管理装置30は制御部32および保持部34を備え、内視鏡12により撮像された画像データを管理する。制御部32は、取得部40、オーダ処理部50および記憶制御部60を有する。取得部40は、状態情報取得部42、患者ID取得部44、オーダ要求取得部46および画像データ取得部48を有する。オーダ処理部50は、メタデータ取得部52、オーダ特定部54、対応処理部56およびオーダ情報送信部58を有する。保持部34は、内視鏡情報保持部70、オーダ保持部72および画像データ保持部74を備える。画像データ保持部74は、大容量の補助記憶装置であって、HDD(ハードディスクドライブ)またはフラッシュメモリにより構成されてよい。
これらの構成はハードウエア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
内視鏡情報保持部70は、内視鏡(スコープ)を識別する情報と、検査種別情報とを対応付けて保持するスコープマスタテーブルである。
図2(a)は、内視鏡情報保持部70の保持内容を示す。内視鏡情報保持部70は、内視鏡識別情報と、検査種別情報とを対応付けて保持する。ここで「AAA−1」、「AAA−2」、「BBB−1」、「BBB−2」は内視鏡の個体を識別するための情報(品番:スコープID)であり、スコープID「AAA−1」、「AAA−2」の内視鏡が、上部内視鏡検査に使用されるものであること、またスコープID「BBB−1」、「BBB−2」の内視鏡が下部内視鏡検査に使用されるものであることが記録されている。
なお「AAA」、「BBB」は内視鏡の種類を識別するための情報(機種名(型番))であり、実施例では、「AAA」、「BBB」などの内視鏡の種類の識別情報も内視鏡識別情報に相当する。つまり内視鏡識別情報は、少なくとも内視鏡の種類を識別できて、内視鏡の用途が特定できる情報であればよい。以下の例では、内視鏡情報保持部70が、スコープIDと検査種別情報とを対応付けて保持する例について説明するが、内視鏡情報保持部70は、内視鏡の型番と検査種別情報とを対応付けて保持してもよい。
オーダ保持部72は、検査オーダの情報(以下、「オーダ情報」ともよぶ)を保持するオーダ管理テーブルである。オーダ管理テーブルには、検査オーダを一意に識別するためのオーダIDに、患者識別情報(以下、「患者ID」とよぶ)、検査日、検査種別や担当医などを指定する検査情報が対応付けられて記録されている。このオーダ管理テーブルは、画像ID記録用のレコードを有し、画像ID記録用のレコードには、検査オーダに関して撮像された画像の識別情報(画像ID)が記録される。
図2(b)は、オーダ保持部72のレコード内容の例を示す。なお図2(b)に示すレコードは、当日分の検査オーダの情報を示している。オーダ保持部72は、「オーダID」、「患者ID」、「検査日」、「検査種別」、「担当医」、「画像データ」のフィールドを有して構成される。なおオーダ保持部72は、これら以外のフィールドを有してもよい。たとえば検査開始時刻、検査終了時刻を記録するフィールドを有してもよく、また患者のアレルギに関する情報や、検査理由を説明するコメントのためのフィールドを有してもよい。
「オーダID」のレコードには、検査オーダを一意に識別するための情報(オーダ番号)が記録される。「患者ID」のレコードには、患者を一意に識別するための情報が記録される。「検査日」のレコードには、検査日の情報が記録される。「検査種別」のレコードには、実施する検査の種別情報が記録される。なお、ここでは検査種別として、「上部検査」、「下部検査」の2種類を設定しているが、さらに「ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)」など、別の検査種別が設定されてもよい。また検査種別は、内視鏡の特性に応じて、さらに細分化されてもよい。「担当医」のレコードには、検査実施を予定している医師IDが記録される。
「オーダID」、「患者ID」、「検査日」、「検査種別」、「担当医」のレコードには、オーダリングシステムで作成された検査オーダの情報が記録される。なお検査の担当医が予定していた医師から変更された場合には、「担当医」のレコードが更新されてもよい。
一方、「画像データ」のレコードには、各検査ごとに実際に撮像された画像データの画像IDが記録される。ここでは既に実施済みのオーダID2の検査オーダに、画像ID201〜230が記録されている。これは、オーダID2の検査オーダに、画像ID201〜230の画像データが対応付けられていることを示す。同様に、オーダID3の検査オーダに、画像ID305〜316の画像データが対応付けられている。なお画像データ自体は、画像データ保持部74に記録され、オーダ保持部72の「画像データ」のレコードには、対応する画像IDのみが記録される。実施例の内視鏡画像管理装置30は、オーダ保持部72の「画像データ」のレコードに、撮像した画像データの画像IDを適切に記録するための仕組みを提供する。
端末装置20はたとえばPC(パーソナルコンピュータ)であって、キーボードなどのユーザインタフェースや表示装置が接続されている。内視鏡画像管理装置30はWebサーバとしての機能を有し、ネットワーク2に接続する端末装置20に、たとえば検査オーダの一覧画面などの情報を提供する。
医療従事者であるユーザは、検査開始前、端末装置20に検査オーダ一覧の表示要求を入力する。たとえば端末装置20は、内視鏡システム10が配備された検査室内に設けられてよい。端末装置20は、検査オーダ一覧の表示要求を内視鏡画像管理装置30に送信する。内視鏡画像管理装置30において、オーダ要求取得部46は、検査オーダ一覧の表示要求を取得すると、オーダ特定部54が、オーダ保持部72から、当日分の検査オーダの中から未実施の検査オーダを特定し、オーダ情報送信部58が、未実施の検査オーダのオーダ情報を端末装置20に送信する。これにより端末装置20の表示装置には、未実施検査オーダのオーダ情報が一覧表示される。一覧表示される情報には、少なくとも患者IDが含まれる。
図3は、端末装置20の表示装置に表示される検査オーダ一覧の例を示す。ユーザは、検査オーダ一覧の中から1つの検査オーダを選択して決定ボタンを押すと、選択されたオーダに関する情報が内視鏡画像管理装置30に送信される。たとえば、これから患者IDが「cc」である患者の検査を行う場合、ユーザは、検査オーダ一覧の中から、患者IDが「cc」である検査オーダを選択する。
図3に示されるように、この例では、患者ccについて、オーダID1とオーダID5の2つの検査が予定されている。オーダID1の検査オーダは、検査種別を上部内視鏡検査とし、オーダID5の検査オーダは、検査種別を下部内視鏡検査とする。検査室で、これから患者ccに対して上部内視鏡検査を実施する場合、ユーザは、オーダID1を選択する。選択された検査オーダ(オーダID1)は内視鏡画像管理装置30に送信され、オーダ要求取得部46は、オーダID1のオーダ要求を取得すると、オーダ情報送信部58が、オーダID1のオーダ情報をオーダ保持部72から読み出して、処理装置14に送信する。処理装置14において制御部26は、オーダ情報の中から患者IDを抽出し、表示装置16に表示する。担当医は、表示装置16に表示された患者IDをみて、これから検査する患者に間違いがないことを確認してから、上部内視鏡検査を開始する。
内視鏡12が接続部24に接続されると、接続部24は、内視鏡12からスコープIDを取得し、制御部26に渡す。この例では、患者ccに対して上部内視鏡検査を実施するため、スコープIDが「AAA−2」である上部内視鏡検査用の内視鏡12が接続部24に接続される。制御部26は、接続部24から渡された内視鏡12のスコープID(AAA−2)を保持する。なお制御部26は、上記したようにオーダ情報から患者IDを抽出しており、この患者IDも保持している。これにより制御部26は、内視鏡12で撮像された画像データのヘッダ部分に、メタデータとして患者IDおよびスコープIDを埋め込むことができる。
操作部22の検査開始ボタンが操作されると、検査開始信号が内視鏡画像管理装置30に送信されて、内視鏡システム10における検査が開始する。状態情報取得部42が、検査開始信号を取得することで、制御部32は、内視鏡システム10における検査の開始を認識する。内視鏡12のレリーズスイッチが押されると、制御部26は、撮像した画像データに、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を、メタデータとして付加し、内視鏡画像管理装置30に送信する。なお画像IDは、内視鏡画像管理システム1において重複することがないように付加される。たとえば、1回の検査では数十枚の画像が撮像されるが、画像IDは画像番号であって、1枚目の画像に付加した画像番号を、1つずつインクリメントすることで画像データに付加されてよい。これにより1回の検査において、画像データには連番の画像IDが付加され、したがって最初に撮像した画像データの画像IDと、最後に撮像した画像データの画像IDにより、検査で撮像した画像データ群を特定できるようになる。
内視鏡画像管理装置30において画像データ取得部48が画像データを取得する。記憶制御部60は、取得した画像データを順次画像データ保持部74に記憶する。画像データ取得部48は、検査開始後、1枚目の画像データを取得すると、オーダ処理部50が、取得した画像データを、検査オーダに対応付ける処理を実行する。
具体的にメタデータ取得部52は、画像データのヘッダ部分から、メタデータを取得する。上記したように画像データのヘッダ部分には、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を含むメタデータが付加されており、メタデータ取得部52は、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を取得する。この例では、患者IDが「cc」、スコープIDが「AAA−2」、撮影日情報が「2015年11月30日」である。オーダ特定部54は、内視鏡情報保持部70の保持内容を参照して、取得したスコープIDに対応付けられた検査種別情報を取得する。ここで図2(a)では、「AAA−2」に「上部検査」が対応付けられており、したがってオーダ特定部54は、「AAA−2」に対応付けられた検査種別が上部内視鏡検査であることを特定する。
図2(b)に示すようにオーダ保持部72は、オーダIDで特定される検査オーダの患者ID、検査日情報、検査種別情報、担当医情報を保持している。オーダ特定部54は、画像データから取得した患者ID、撮影日情報、画像データから取得したスコープIDに対応付けられた検査種別情報と、オーダ保持部72に保持されている検査オーダの患者ID、検査日情報、検査種別情報とを比較する。なお、画像データから取得した患者IDは「cc」、撮影日情報は「2015年11月30日」、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別情報は「上部検査」である。
オーダ特定部54は、検査開始前にユーザにより選択されたオーダID1を保持しており、オーダID1の検査オーダの患者ID、検査日情報、検査種別情報をオーダ保持部72から抽出する。ここでオーダID1の検査オーダには、患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「上部検査」のレコードが記録されている。オーダ特定部54は、オーダID1の患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「上部検査」が、撮像画像データから取得した各情報と一致していることを判定する。したがってオーダ特定部54は、一致するオーダID1の検査オーダを、画像データを対応付ける検査オーダとして特定する。
オーダ特定部54が、画像データを対応付ける検査オーダを特定すると、対応処理部56は、特定した検査オーダに画像データを対応付ける。具体的にオーダ特定部54は、図2(a)に示すオーダ保持部72の画像データフィールドのレコードに、画像IDを記録していく。たとえば、1枚目の画像データの画像IDが401であるとすると、オーダID1の画像データフィールドに最初の画像ID「401」と最後の画像ID「401」とを書き込む。その後、画像データ取得部48が、内視鏡システム10から2枚目以降の画像データを取得すると、最後の画像IDを1ずつインクリメントする。これにより画像IDが連番で構成される画像データ群の最初と最後の画像IDを記録する。なお画像データ自体は、記憶制御部60によって画像データ保持部74に記憶される。画像データ取得部48が画像IDが420である画像データを取得し、対応処理部56が、オーダ保持部72の最後の画像IDを「420」に更新した後、内視鏡システム10において検査終了ボタンが操作されると、状態情報取得部42が、検査終了信号を取得する。これにより対応処理部56による対応付け処理が終了する。
図4は、更新されたオーダ保持部72のレコード内容の例を示す。オーダID1の画像IDとして、画像ID:401〜420が記録されている。画像データ群の画像IDが検査オーダに対応付けて記録されることで、たとえば医師が検査レポートを作成する際にはオーダIDを指定することで、オーダ保持部72に保持された画像IDを特定して、画像データ保持部74から、検査で撮像した画像データ群を読み出すことが可能となる。
以上、ユーザが図3に示す検査オーダ一覧において、これから実施する検査を正しく選択したケースについて説明した。なお上記したように、図3に示す例では、患者ccについて、オーダID1とオーダID5の2つの検査が予定されており、いずれもユーザが選択できるようになっている。そのため正しくは、オーダID1の検査オーダを選択するべきところ、ユーザが間違えてオーダID5の検査オーダを選択することもある。以下、オーダ選択を間違えたケースについて説明する。
間違えて選択された検査オーダ(オーダID5)は内視鏡画像管理装置30に送信される。オーダ要求取得部46が、オーダID5のオーダ要求を取得すると、オーダ情報送信部58が、オーダID5のオーダ情報をオーダ保持部72から読み出して、処理装置14に送信する。処理装置14において制御部26は、オーダ情報の中から患者IDを抽出し、表示装置16に表示する。表示装置16に表示される患者IDは「cc」であり、担当医は、表示された患者IDをみて、これから検査する患者に間違いがないことを確認してから、上部内視鏡検査を開始する。このケースでは、ユーザが誤ったオーダID5の検査オーダを選択しているものの、表示装置16に表示される患者IDは正しいため、担当医は誤った検査オーダが選択されていることに気付かない。
内視鏡12が接続部24に接続されると、接続部24は、内視鏡12からスコープIDを取得し、制御部26に渡す。この例では、患者ccに対して上部内視鏡検査を実施するため、スコープIDが「AAA−2」である上部内視鏡検査用の内視鏡12が接続部24に接続される。制御部26は、接続部24から渡された内視鏡12のスコープID(AAA−2)を保持する。なお制御部26は、オーダ情報から患者IDを抽出しており、この患者IDも保持している。これにより制御部26は、内視鏡12で撮像された画像データのヘッダ部分に、メタデータとして患者IDおよびスコープIDを埋め込むことができる。
操作部22の検査開始ボタンが操作されると、検査開始信号が内視鏡画像管理装置30に送信されて、内視鏡システム10における検査が開始する。状態情報取得部42が、検査開始信号を取得することで、制御部32は、内視鏡システム10における検査の開始を認識する。内視鏡12のレリーズスイッチが押されると、制御部26は、撮像した画像データに、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を、メタデータとして付加し、内視鏡画像管理装置30に送信する。
内視鏡画像管理装置30において画像データ取得部48が画像データを取得する。画像データ取得部48は、検査開始後、1枚目の画像データを取得すると、オーダ処理部50が、取得した画像データを、検査オーダに対応付ける処理を実行する。
メタデータ取得部52は、画像データのヘッダ部分から、メタデータを取得する。画像データのヘッダ部分には、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を含むメタデータが付加されており、メタデータ取得部52は、画像ID、患者ID、スコープIDおよび撮影日情報を取得する。この例では、患者IDが「cc」、スコープIDが「AAA−2」、撮影日情報が「2015年11月30日」である。オーダ特定部54は、内視鏡情報保持部70の保持内容を参照して、取得したスコープIDに対応付けられた検査種別情報を取得する。ここで図2(a)では、「AAA−2」に「上部検査」が対応付けられており、したがってオーダ特定部54は、「AAA−2」に対応付けられた検査種別が上部内視鏡検査であることを特定する。
図2(b)に示すようにオーダ保持部72は、オーダIDで特定される検査オーダの患者ID、検査日情報、検査種別情報、担当医情報を保持している。オーダ特定部54は、画像データから取得した患者ID、撮影日情報、画像データから取得したスコープIDに対応付けられた検査種別情報と、オーダ保持部72に保持されている検査データの患者ID、検査日情報、検査種別情報とを比較する。なお、画像データから取得した患者IDは「cc」、撮影日情報は「2015年11月30日」、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別情報は「上部検査」である。
オーダ特定部54は、検査開始前にユーザにより選択されたオーダID5を保持しており、オーダID5の検査オーダの患者ID、検査日情報、検査種別情報をオーダ保持部72から抽出する。ここでオーダID5の検査オーダには、患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「下部検査」のレコードが記録されている。オーダ特定部54は、オーダID5の検査種別「下部検査」が、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別「上部検査」に一致していないことを判定する。したがってオーダ特定部54は、オーダID5が、実施された検査オーダのオーダIDではないことを判定する。
このときオーダ特定部54は、オーダ保持部72のレコードを参照して、画像データから取得した患者ID「cc」、撮影日情報「2015年11月30日」、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別情報「上部検査」と一致する検査オーダが存在するか探索する。この探索の結果、オーダ特定部54は、オーダID1の検査オーダをオーダ保持部72から抽出する。ここでオーダID1の検査オーダには、患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「上部検査」のレコードが記録されており、画像データから取得した各情報と一致することが判定される。したがってオーダ特定部54は、一致するオーダID1の検査オーダを、画像データを対応付ける検査オーダとして特定する。
オーダ特定部54が、画像データを対応付ける検査オーダを特定すると、対応処理部56は、特定した検査オーダに画像データを対応付ける。このように、実施例の内視鏡画像管理装置30によれば、ユーザによりオーダ選択が間違っている場合でも、画像データの撮像に使用される内視鏡12のスコープIDに対応付けられた検査種別情報を参照することで、正しい検査オーダに、画像データを対応付けることが可能となる。特に、同一患者に対して複数の検査が予定されている場合、ユーザが検査オーダを間違って選択することがあるが、そのような場合であっても、スコープIDに対応付けられた検査種別情報を利用することで、画像データを検査オーダに正しく対応付けられる。
以上は、メタデータ取得部52が、画像データからスコープIDを取得する例を説明したが、内視鏡12が接続される処理装置14から、内視鏡12のスコープID(AAA−2)を取得してもよい。処理装置14において、内視鏡12が接続部24に接続されると、接続部24は、内視鏡12からスコープIDを取得し、制御部26に渡す。その後、検査開始ボタンが押されると、制御部26は、検査開始信号とともに、スコープIDを内視鏡画像管理装置30に送信する。オーダ特定部54は、ユーザにより選択されたオーダID5を保持しており、このタイミングで、選択された検査オーダの適否を判断してもよい。
つまりオーダID5の検査オーダには、患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「下部検査」のレコードが記録されているが、処理装置14に接続されている内視鏡12のスコープID「AAA−2」に対応付けられている検査種別情報は「上部検査」である。そこでオーダ特定部54は、オーダID5の検査種別「下部検査」が、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別「上部検査」に一致しておらず、オーダID5が、実施される検査オーダのオーダIDではないことを判定する。
そこでオーダ特定部54は、オーダ保持部72のレコードを参照して、オーダID5に含まれる患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」と同じ患者ID、検査日情報を有し、且つ、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別「上部検査」を有する検査オーダを探索する。この探索の結果、オーダ特定部54は、オーダID1の検査オーダをオーダ保持部72から抽出する。オーダID1の検査オーダには、患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、検査種別「上部検査」のレコードが記録されており、これらは、オーダID5の患者ID「cc」、検査日「2015年11月30日」、スコープID「AAA−2」に対応付けられた検査種別「上部検査」と一致することが判定される。したがってオーダ特定部54は、一致するオーダID1の検査オーダを、画像データを対応付ける検査オーダとして特定する。このように、検査オーダを特定した後は、画像データ取得部48が画像データを取得すると、対応処理部56が、検査オーダに画像データを対応付け、記憶制御部60が画像データを画像データ保持部74に記憶する。このようにオーダ特定部54は、画像データのメタデータを参照せずに、内視鏡システム10からスコープIDを直接提供されることで、正しい検査オーダを特定してもよい。
以上は、ユーザが端末装置20から検査オーダを選択して、内視鏡画像管理装置30が、ユーザが選択した検査オーダのオーダ情報を処理装置14に送信する例であるが、内視鏡画像管理装置30は、端末装置20を介さずに、オーダ情報を処理装置14に送信することも可能である。
内視鏡システム10において、検査開始前、ユーザは、キーボードなどのユーザインタフェースを用いて、処理装置14に患者IDを入力する。入力された患者IDは、処理装置14から内視鏡画像管理装置30に送信される。内視鏡画像管理装置30において、患者ID取得部44が、患者IDを取得すると、オーダ特定部54が、オーダ保持部72から、取得した患者IDを含む未実施検査オーダを特定し、オーダ情報送信部58が、かかる検査オーダのオーダ情報を処理装置14に送信する。処理装置14は、患者IDを表示装置16に表示し、担当医は、これから検査する患者に間違いがないことを確認してから、内視鏡検査を開始する。
ここで患者ID「cc」が処理装置14に入力されたケースを考える。図2(b)を参照して、オーダ保持部72は、患者IDを「cc」とする2つのオーダID1、オーダID5を保持している。この場合、オーダ特定部54は、オーダID1の検査オーダまたはオーダID5の検査オーダのいずれを特定するべきか判断できない。何らかの基準にしたがって、いずれかの検査オーダを特定すると、誤った検査オーダのオーダ情報が処理装置14に送信されることもある。しかしながら、この場合であっても、オーダ特定部54が、使用される内視鏡12のスコープIDから検査種別情報を特定することで、画像データを正しい検査オーダに対応付けることが可能となる。
以上、本発明を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
変形例では、検査オーダが発行されていない緊急検査について説明する。緊急検査の開始前、ユーザは処理装置14に患者IDを入力する。ここでは患者ID「mm」を入力する。なお実施例で説明したように、処理装置14に患者IDを入力すると、入力された患者ID「mm」が内視鏡画像管理装置30に送信されて、オーダ特定部54が、入力された患者IDを含む未実施検査オーダを探索する。しかしながら、この患者IDを含む未実施検査オーダは存在しないため、オーダ情報送信部58は、オーダ情報を処理装置14に送信できない。
このような状況の下で内視鏡12が接続部24に接続され、検査が開始される。なお内視鏡12が接続部24に接続されると、接続部24は内視鏡12からスコープIDを取得し、制御部26に渡す。ここでスコープIDは「AAA−1」であったとする。検査開始後、内視鏡12のレリーズスイッチが押されると、制御部26は、撮像した画像データに、画像ID「501」、患者ID「mm」、スコープID「AAA−1」および撮影日情報「2015年11月30日」をメタデータとして付加し、内視鏡画像管理装置30に送信する。
内視鏡画像管理装置30において、画像データ取得部48が画像データを取得すると、メタデータ取得部52が、画像データからメタデータを取得する。オーダ特定部54は、内視鏡情報保持部70の保持内容を参照して、取得したスコープID「AAA−1」に対応付けられた検査種別情報「上部検査」を取得する。オーダ特定部54は、オーダ保持部72のレコードを参照して、画像データから取得した患者ID「mm」、撮影日情報「2015年11月30日」、スコープID「AAA−1」に対応付けられた検査種別情報「上部検査」と一致する検査オーダが存在するか探索する。この探索の結果、オーダ特定部54は、該当する検査オーダがオーダ保持部72に存在しないことを認識する。このときオーダ特定部54は、新たな検査オーダを自動生成し、オーダ保持部72に登録する。
図5は、オーダを自動生成されたオーダ保持部72のレコード内容の例を示す。ここではオーダID8の検査オーダが自動生成されており、また検査中に撮像された画像ID「501」〜「520」が記録されている。このように変形例によると、検査オーダが発行されていない場合であっても、画像データに付加されたメタデータを利用することで、検査オーダを自動生成できるとともに、生成した検査オーダに、画像データを対応付けることが可能となる。また検査オーダに、検査種別情報を記録できることで、後に医師による検索が容易になる。