図1は、本発明にかかる部品実装装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。また、図2は図1の部品実装装置の内部構造を模式的に示す平面図である。さらに、図3は図1の部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。第1実施形態における部品実装装置1は、所定の搬送方向に搬送される基板P(図2)に対して電子部品を実装する装置本体10と、テープフィーダー31(本発明の部品供給ユニットに該当する)がセットされるとともに、装置本体10に対して挿抜される一括交換台車20とを備えている。なお、図1、図2および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、基板Pの搬送方向を「X方向」とし、図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向のうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「−Y方向」と称する。さらに、鉛直方向における上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
装置本体10の内部空間は、大きく分けて基板Pへの部品の実装動作および当該部品実装に関連する実装関連動作(基板の搬送、ノズル切替など)を実行するための実装空間11と、装置本体10に対して一括交換台車20を挿入することによってテープフィーダー31が配置されて部品の供給が可能となる部品供給空間12とが4つのカバーユニット50により仕切られている。なお、各カバーユニット50の具体的な構成については後で詳述する。
上記実装空間11では、図2に示すように、実装動作を行うための実装部40が設けられている。この実装部40は、基板搬送方向Xに並行して延設された2本の搬送レーン41、41を有している。各搬送レーン41は共通の構成を具備しており、基板Pを基板搬送方向Xの上流側、つまり(−X)方向側から搬入して所定の停止位置42(図1の一点鎖線)で停止させる基板搬入動作と、停止位置42で部品実装を受けた基板Pを基板搬送方向Xの下流側、つまり(+X)方向側へ搬出する基板搬出動作とを実行する。この際、各搬送レーン41は、例えば基板搬送方向Xにおいて異なる2つの停止位置42それぞれに基板を停止できる構成を具備する。すなわち、2本の搬送レーン41のそれぞれは基板搬送方向Xに並行して延設された2本の搬送コンベア411、412で構成され、部品実装装置1では4本の搬送コンベア411、412、412、411が幅方向Yに並設されている。なお、これらのうち外側の2本の搬送コンベア411、411は幅方向Yに固定された固定コンベアであり、内側の2本の搬送コンベア412、412は幅方向Yに移動自在な可動コンベアである。したがって、可動コンベア412の幅方向Yへ移動させることで、搬送レーン41の幅を基板の幅に応じて調整することが可能となっている。
ちなみに、2本の搬送レーン41における基板搬送の態様は、図2に例示したものに限られない。つまり、図2では、2本の搬送レーン41それぞれに2つずつ停止位置42を設定して、合計4つの停止位置42を設定しつつ基板搬送を行う場合が例示されているが、2本の搬送レーン41それぞれに、一方は右側、他方は左側に1つずつ停止位置42を設定して、合計2つの停止位置42を設定することもできる。また、基板の幅が広いために2本の搬送レーン41で同時に基板搬送を実行できないような場合には、2本の搬送レーンのうちの一方でのみ基板搬送を実行して、他方では基板搬送を実行しなくても構わない。
これら搬送レーン41の幅方向Yの両側それぞれでは、部品認識カメラ43と自動ノズル交換器44とが基板搬送方向Xに並設されている。また、部品認識カメラ43と自動ノズル交換器44の幅方向Yの両側に広がっており、(+Y)方向側で2つのカバーユニット50により仕切られた空間と、(−Y)方向側で2つのカバーユニット50により仕切られた空間とがそれぞれ部品供給空間12として機能する。そして、各部品供給空間12に対応する位置で一括交換台車20が装置本体1に対して挿抜自在となっており、本実施形態では最大で4台の一括交換台車20を装置本体10に装着可能となっている。
図4は装置本体に装着された一括交換台車の部分断面図である。各一括交換台車20は、複数のテープフィーダー31を基板搬送方向Xと平行な方向(本発明の「配置方向」に相当)に並べて装着可能となっており、一括交換台車20を装置本体10に挿入することで複数台のテープフィーダー31により部品供給部30が形成される。また、一括交換台車20は図1に示すように下端部に設けられたキャスター21によって自由に移動し得るようになっている。具体的に説明すると、この一括交換台車20は、下面にキャスター21を取付けたベース部22と、このベース部22から立設した左右一対のフレーム23と、このフレーム23の上部に取付けられたフィーダー保持部24とを備えている。また、一括交換台車20の挿入位置では、装置本体10にクランプ機構13(図3)が設けられている。このクランプ機構13が固定解除状態となっている間、クランプ機構13による一括交換台車20の固定は解除されており、オペレータが一括交換台車20のハンドル部25を持ってY方向に移動させることで装置本体10に対して一括交換台車20を挿抜自在となっている。一方、一括交換台車20の装置本体10への挿入が完了した状態(挿入完了状態)で、装置本体10に設けられたクランプ機構13が作動することで一括交換台車20が装置本体10に固定される。こうして、一括交換台車20の台数分の部品供給部30が設けられる。なお、本明細書では、上記挿入完了状態となっていない状態を「挿入未完状態」と称する。
各部品供給部30では、複数のテープフィーダー31が基板搬送方向Xに配列される。各テープフィーダー31は、集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の電子部品を収納するテープをリールに巻き回した概略構成を具備し、リールから電子部品を間欠的に搬送レーン41側端部へ送り出すことで、電子部品を供給する。なお、部品供給部30を構成するフィーダーの種類としては、テープ型のフィーダーに限られず、トレイに載置された状態で電子部品を供給するトレイ型のフィーダーであっても良い。
上記のように構成されたテープフィーダー31は挿入完了状態で部品供給位置12に配置され、部品供給が可能となる。そして、テープフィーダー31から供給された部品を基板Pに実装するために、実装部40は2個のヘッドユニット45を有している。各ヘッドユニット45はX方向に配列された複数本(本実施形態では10本)の実装ヘッド451を有しており、各実装ヘッド451の先端のノズルで各テープフィーダー31の搬送レーン41側端部から部品を吸着することで、部品供給部30が供給する部品を停止位置42に停止する基板へ移載する。また、部品実装装置1では、ヘッドユニット45を移動させるためのヘッド駆動機構46がヘッドユニット45毎に設けられている。具体的には、2個のヘッド駆動機構46が上述した2個の部品供給部30に対応して設けられている。そして、各ヘッド駆動機構46がそれに対応するヘッドユニット45の駆動を担う。
各ヘッド駆動機構46は、X方向へ移動自在にヘッドユニット45を支持しつつX方向に延びるX軸ビーム461を、Y方向へ移動自在に支持した構成を具備する。X軸ビーム461には、ヘッドユニット45に取り付けられてX方向に延びるX軸ボールネジ462と、X軸ボールネジ462を回転駆動するX軸モーター463とが取り付けられている。そして、X軸モーター463がX軸ボールネジ462を回転駆動すると、X軸ボールネジ462に螺合する不図示のナットが固定されたヘッドユニット45がX軸ビーム461に沿ってX方向へ移動する。また、各ヘッド駆動機構46は、X軸ビーム461の一方の端部が取り付けられて搬送レーン41の上方をY方向に延びるY軸ボールネジ464と、Y軸ボールネジ464を回転駆動するY軸モーター465とを有する。そして、Y軸モーター463がY軸ボールネジ464を回転駆動すると、Y軸ボールネジ464に螺合する不図示のナットが固定されたX軸ビーム461がヘッドユニット45を伴ってY方向へ移動する。
このように構成された各ヘッド駆動機構46は、X軸モーター463とY軸モーター465とを適宜回転させることで、部品供給部30上方と停止位置42の基板上方との間で、ヘッドユニット45を移動させることができる。また、ヘッドユニット45に設けられる各実装ヘッド451はヘッドユニット45に対して図略のノズル昇降駆動機構により昇降(Z軸方向の移動)可能に、かつ図略のノズル回転駆動機構によりノズル中心軸回りに回転可能となっている。これらの駆動機構のうちノズル昇降駆動機構は吸着もしくは装着を行う時の下降位置(下降端)と、搬送を行う時の上昇位置(上昇端)との間で実装ヘッド451を昇降させるものであり、吸着ノズル(図示省略)を昇降可能に構成している。一方、ノズル回転駆動機構は吸着ノズルを必要に応じて回転させるための機構であり、回転駆動により部品を搭載時における所定のR軸方向に位置させることが可能となっている。なお、これらの駆動機構については、それぞれZ軸モーター466、R軸モーター467および所定の動力伝達機構で構成されており、制御ユニット60のモーター制御部63によりZ軸モーター466およびR軸モーター467を駆動制御することで各実装ヘッド451がZ方向およびR方向に移動させられる。これによって、ヘッドユニット45は、部品供給部30が供給する部品を実装ヘッド451で吸着して、停止位置42に停止する基板Pへ移載することができる。
また、2個の部品供給部30それぞれに対しては、部品認識カメラ43がY方向の内側(搬送レーン41側)から隣接して配置されている。こうして、部品認識カメラ43が、部品供給部30と搬送レーン41との間(換言すれば、ヘッドユニット45の移動経路)に設けられている。部品認識カメラ43は、鉛直方向Zに平行に上方を向いて配置されており、上側を通過するヘッドユニット45に保持された部品や、ヘッドユニット45に取り付けられた位置認識用マーク(図示省略)を撮像する。なお、各ヘッドユニット45には、基板Pに付されたフィデューシャルマーク(図示省略)を撮像するための基板認識カメラ47が取り付けられている。
次に、カバーユニット50の構成について図1、図4、図5A、図5B、図6および図7を参照しつつ説明する。図5Aはシャッターを開いた状態のカバーユニットを示す斜視図であり、図5Bはシャッターを閉じた状態のカバーユニットを示す斜視図である。また、図6は図5Aおよび図5Bのカバーユニットの部分構成図であり、トップカバーおよびシャッター部材を示している。図7はトップカバーおよびシャッター部材の動作を模式的に示す図である。これらの図面のうち図5Aおよび図5Bでは、カバー駆動機構を制御するための駆動バルブ群を保護する駆動カバー55(図1参照)を取り外した状態で図示している。また、図6および図7では、トップカバーおよびシャッター部材の区別を明示するために、シャッター部材にはドットを付している。なお、この点については、後で説明する図12ないし図15においても同様である。
カバーユニット50は図1や図4に示すように装置本体10に取り付けられることで実装空間11と部品供給空間12とを仕切る機能を有しており、本実施形態では、4個のカバーユニット50が配設されているが、いずれも同一構成を有している。より具体的には、カバーユニット50は、カバー本体51と、カバー本体51に対して上下方向Zに移動自在に取り付けられたトップカバー52と、トップカバー52に対してY方向およびZ方向に移動自在に取り付けられたシャッター部材53と、トップカバー52およびシャッター部材53を駆動するカバー駆動機構54と、駆動バルブ群を保護する駆動カバー55(図1参照)とを備えている。カバー本体51では、図5Aおよび図5Bに示すように、一対のサイドプレート511、511が一括交換台車20のX方向寸法よりも若干広い間隔だけX方向に離間して配置されている。各サイドプレート511は、略矩形形状を有する第1平板部位511aの(−Y)側辺部の中央から略長方形形状を有する第2平板部位511bが(−Y)方向に延設されている。また、サイドプレート511、511の第1平板部位511aの上辺部から(−Y)方向の側辺部にかけてトッププレート512が固定されており、これらサイドプレート511、511およびトッププレート512によってカバー本体51が構成されている。
各サイドプレート511では、第1平板部位511aから第2平板部位511bにかけてカバー駆動機構54の主要構成部品が取り付けられている。なお、X方向の両側に設けられた一対のカバー駆動機構54はともに同一構成を有しているため、ここでは(−X)方向側のカバー駆動機構54についてのみ説明し、(+X)方向側のカバー駆動機構54については説明を省略する。カバー駆動機構54では、上下方向Zにおいて同一高さ位置で前側ストッパー541aおよび後側ストッパー541bがそれぞれ第1平板部位511aおよび第2平板部位511bに固着されている。また、サイドプレート511から(−X)方向側に離間した状態で、シャフト部材542が前側ストッパー541aおよび後側ストッパー541bに貫通してY方向に延設されており、両ストッパー541a、541bで支持されながらY方向に移動自在となっている。また、シャフト部材542の(+Y)方向側端部はリンクプレート543によって駆動シリンダ544のピストン部と連結されている。このため、駆動シリンダ544のピストン部が(+Y)方向に伸長すると、それに伴いシャフト部材542は(+Y)方向に移動する。逆に、駆動シリンダ544のピストン部が(−Y)方向に収縮すると、それに伴いシャフト部材542は(−Y)方向に移動する。このシャフト部材542のY方向への移動によって、次に説明するように構成されるカム機構によってトップカバー52およびシャッター部材53の昇降移動、ならびにY方向へのシャッター部材53の移動が実行される。
このシャフト部材542の中央部では、図6および図7に示すように、(−X)方向側に3本のピン542a〜542cがY方向に並んで立設されるとともに(+X)方向側に2本のピン542d、542eが立設されている。これらのうち(+X)方向側では、シャフト部材542とサイドプレート511との間に形成される隙間にトップカバー52の(−X)方向側支持部位521が位置している。この(−X)方向側支持部位521には、2本のカム溝521a、521bが設けられている。これらのカム溝521a、521bはいずれもY方向に延設された2本の水平部位を上下方向Zにずらして設けるとともに両水平部位を斜め部位で連結した構成を有している。そして、ピン542d、542eはそれぞれカム溝521a、521bに嵌入されている。このため、図7の左欄に示すように、シャフト部材542が(−Y)方向に移動すると、ピン542d、542eがそれぞれカム溝521a、521b内を(−Y)方向に摺動し、上下方向における上記水平部位のズレ量だけ上昇する。逆に、シャフト部材542が(+Y)方向に移動すると、ピン542d、542eがそれぞれカム溝521a、521b内を(+Y)方向に摺動し、上下方向における上記水平部位のズレ量だけ下降する。なお、本実施形態では、トップカバー52の(−Y)方向側端部および(+Y)方向側端部がそれぞれストッパー541a、541bに常時当接するように構成されているため、Y方向においてトップカバー52は一定位置に静止しており、上下方向Zにおいてのみ昇降可能となっている。ここで、ストッパー541a、541bの代わりに別のストッパーによりトップカバー52のY方向に移動を規制するように構成してもよい。
一方、(−X)方向側では、ピン542a〜542cはそれぞれシャッター部材53の(−X)方向側支持部位531に設けられた長穴531a〜531cに嵌入されている。これらのうち長穴531a、531cは若干斜め方向に延設され、長穴531a、531cにそれぞれ嵌入されたピン542a、542cの先端部には、C型の留め具(図示省略)が取り付けられている。また、残りの長穴531bはY方向に延設され、当該長穴531bに嵌入されたピン542bの先端部にはバネ部材533の一方端が係止されている。さらに、このバネ部材533の他方端はシャッター部材53の(−X)方向側支持部位531に固定されている。
図7に示すように、シャフト部材542が(−Y)方向に移動すると、それに伴いシャッター部材53も(−Y)方向に移動し、トップカバー52に設けられた開口部522の直上に位置して開口部522を上方から塞いで閉じる。この移動中において、ピン542a、542cがそれぞれ長穴531a、531c内を摺動することでシャッター部材53を上昇させるが、バネ部材533の作用により上記トップカバー52の上昇タイミングよりも若干早く上昇するように構成されている。このようにシャッター部材53により開口部522を閉鎖した直後に(−X)方向側支持部位531の(−Y)方向側端部が前側ストッパー541aに係止されてシャフト部材542とともにシャッター部材53の(−Y)方向への移動が制止される。
逆に、シャフト部材542が(+Y)方向に移動すると、それに伴いシャッター部材53も(+Y)方向に移動し、開口部522から(+Y)方向に離間して開口部522を開放する。また、この移動中において、ピン542a、542cがそれぞれ長穴531a、531c内を摺動することでシャッター部材53を下降させるが、バネ部材533の作用により上記トップカバー52の下降タイミングよりも若干遅く下降するように構成されている。このように開口部522からシャッター部材53が退避した直後に(−X)方向側支持部位531の(+Y)方向側端部が後側ストッパー541bに係止されてシャフト部材542とともにシャッター部材53の(+Y)方向への移動が制止される。なお、本実施形態では、図5Aおよび図5Bに示すように、駆動シリンダ544のピストン部の(+Y)方向側においてストッパー541cがサイドプレート511に固着され、シャフト部材542が過剰に(+Y)方向に移動するのを防止する。
また、こうしたシャッター部材53による開口部522の開閉状態を検出するために、本実施形態では、(−X)方向側支持部位531の下辺部から(−Z)方向に突設した突設部位を検知するセンサ545a、545bがそれぞれ設けられている。つまり、図5Aに示すように開口部522が閉じると、センサ545aがシャッター部材53を検出する一方、開口部522が開くと、センサ545bがシャッター部材53を検出する一方、図5Bに示すように開口部522が閉じると、センサ545aがシャッター部材53を検出する。これらのセンサ545a、545bから出力される検出信号は制御ユニットに送られる。
次に、制御ユニットの構成について図3を参照しつつ説明する。制御ユニット60は、装置本体の内部の適所に設けられ、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。
制御ユニット60は、機能的には、演算処理部61、記憶部62、モーター制御部63、画像処理部64、クランプ制御部65、シャッター制御部66、サーバ通信制御部67、フィーダー通信制御部68を備えている。
上記モーター制御部63は、上記X軸モーター463、Y軸モーター465、Z軸モーター466およびR軸モーター467の駆動を制御する。画像処理部64は、部品認識カメラ43および基板認識カメラ47から画像データを取り込み、2値化等の画像処理を行う。クランプ制御部65はクランプ機構13による一括交換台車20の装置本体10への固定および固定解除を切り替える機能を有している。シャッター制御部66はカバーユニット50に設けられたセンサ545a、545bからの検出信号に基づいて駆動シリンダ544を制御してシャッター部材53による開口部522の開閉を切り替える。サーバ通信制御部67はサーバ(図示省略)との間で情報等の交信を行う。フィーダー通信制御部68は各テープフィーダー31に設けられるフィーダー制御部32との間で情報等の交信を行う。
記憶部62は、部品実装処理や台車交換処理のプログラムや実装に必要な各種データを記憶する実装プログラム等記憶手段、プリント基板を搬送する搬送系に関する各種データを記憶する搬送系データ記憶手段、および部品実装装置1の設備毎に固有のデータを記憶する設備固有データ記憶手段として機能する。
上記演算処理部61は記憶部62に記憶されているプログラムに従って、モーター制御部63、画像処理部64、クランプ制御部65やシャッター制御部66を制御するようになっている。特に、演算処理部61は、次に説明するように一括交換台車20の交換処理(=台車アンクランプ処理+台車クランプ処理)と並行して実装部40による部品実装処理を行う。このように演算処理部61は台車交換処理部611および実装処理部612として機能する。なお、図3中の符号70は表示ユニットであり、制御ユニット60と接続され、部品実装装置1の動作状態を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてオペレータからの入力を受け付ける入力端末としても機能する。
部品実装装置1では、上記したように基板Pの種類を変更する際、その変更に伴って使用するテープフィーダー31を交換して段取りを切り替えることがある。この段取り替えを容易なものとするために、従来より一括交換台車20が利用されている。つまり、基板Pの種類の変更に伴って、装置本体10の装置本体10から一括交換台車20を抜き去る台車アンクランプ処理を実行した後で変更後の基板Pに対応する一括交換台車20を装置本体10に挿入してセットする台車クランプ処理を実行する。また、装置本体10の内部では、部品供給空間12が実装空間11から仕切っているため、台車アンクランプ処理や台車クランプ処理を行う間において、実装部40による部品実装や部品実装に関連する実装関連動作(基板の搬送、ノズル切替など)が実行される。以下、台車アンクランプ処理および台車クランプ処理について図面を参照しつつ説明する。
図8は図1に示す部品実装装置で実行される台車アンクランプ処理の内容を示すフローチャートである。オペレータが表示ユニット70を操作して台車アンクランプ指令(本発明の「抜去指令」に相当)を制御ユニット60に与えると、制御ユニット60は装置各部を以下のように制御して台車アンクランプ処理を実行する。制御ユニット60は実装部40でのアクチュエータの動作状況を確認し、モーター463、465、466、467等がON状態にあり、実装部40による部品実装や実装関連動作を実行可能な状態である場合には、そのままステップS103に進み、台車アンクランプ動作を開始する。一方、実装部40が停止状態となっているとき(ステップS101で「NO」のとき)には、それらを駆動状態に切り替えた(ステップS102)後で次のステップS103に進み、台車アンクランプ動作を実行する。これにより、台車アンクランプ動作と並行して、台車アンクランプ動作の対象となっているテープフィーダー31以外のもの、つまり装置本体10に対して挿入完了状態の一括交換台車20に装着されているテープフィーダー31から供給される部品を基板Pに実装可能となる。また、交換後の部品実装処理のための準備、基板Pの搬送やノズル交換を台車アンクランプ動作と並行して行うことができる。
ステップS103では、台車クランプスイッチ(図示省略)をON状態からOFF状態に切替える旨のメッセージを表示ユニット70に表示し、オペレータによりOFF状態に切替えられるのを待つ。そして、台車クランプスイッチがOFF状態に切り替えられると、制御ユニット60は駆動シリンダ544のピストン部を収縮させてシャッター部材53を開口部522に向けて移動させ、開口部522を閉鎖する(ステップS104)。なお、シャッター部材53が開口部522に移動した際に、この前進移動に連動してトップカバー52およびシャッター部材53はテープフィーダー31に近接した近接位置(図7中の(a)欄に示す位置)から上方に離間した離間位置(図7中の(d)欄に示す位置)に上昇して一括交換台車20から離れる。したがって、装置本体10から一括交換台車20を抜き去る際に、一括交換台車20が多少上下振動したとして一括交換台車20に装着されたテープフィーダー31がトップカバー52と干渉するのを効果的に防止することができる。なお、この点については、後で説明する一括交換台車20の挿入時も同様である。
シャッター部材53が開口部522の上方に位置すると、開口部522の閉鎖をセンサ545aが検出して制御ユニット60に出力するが、ステップS104の実行から一定時間が経過するまでの間に上記検出信号が出力されないとき(ステップS105で「NO」のとき)、制御ユニット60はシャッター不良が発生したと判断し、エラー停止するとともに、その旨を表示ユニット70に表示する(ステップS106)。一方、センサ545aから検出信号が一定時間内に出力されてシャッター部材53が開口部522を塞いで閉じられたことが確認される(ステップS105で「YES」のとき)と、制御ユニット60はクランプ機構13(図3)による一括交換台車20のクランプを解除させる(ステップS107)。
ここで、クランプ解除を確認することができなかったとき(ステップS108で「NO」のとき)、制御ユニット60はクランプ解除不良が発生したと判断し、エラー停止するとともに、その旨を表示ユニット70に表示する(ステップS109)。一方、クランプ解除を確認する(ステップS108で「YES」)と、制御ユニット60は、一括交換台車20の抜去が可能となった旨のメッセージを表示ユニット70に表示し、オペレータによる一括交換台車20を促す(ステップS110)。そして、これを受けてオペレータが一括交換台車20を装置本体10から抜き去る。
図9は図1に示す部品実装装置で実行される台車クランプ処理の内容を示すフローチャートである。オペレータが表示ユニット70を操作して台車クランプ指令を制御ユニット60に与えると、制御ユニット60の演算処理部61は装置各部を以下のように制御して台車クランプ処理を実行する。制御ユニット60は、台車アンクランプ処理の場合と同様に、ステップS111で実装部40でのアクチュエータの動作状況を確認し、実装部40がON状態である場合には、そのままステップS113に進み、台車クランプ動作を開始する。一方、実装部40が停止状態となっているとき(ステップS111で「NO」のとき)には、それらを駆動状態に切り替えた(ステップS112)後で次のステップS113に進み、台車クランプ動作を実行する。これにより、台車クランプ動作と並行して、台車クランプ動作の対象となっているテープフィーダー31以外のもの、つまり装置本体10に対して挿入完了状態の一括交換台車20に装着されているテープフィーダー31から供給される部品を基板Pに実装可能となる。また、交換後の部品実装処理のための準備、基板Pの搬送やノズル交換を台車クランプ動作と並行して行うことができる。
ステップS113では、制御ユニット60は、一括交換台車20の挿入を促すメッセージを表示ユニット70に表示し、これを受けてオペレータによる一括交換台車20の装置本体10への挿入が行われる。また、一括交換台車20が挿入されて挿入完了状態となったことを確認すると、制御ユニット60は、一定時間の間に前進端センサ(図示省略)により一括交換台車20が検出されたか否かを確認する(ステップS114)。ここで、一定時間内に一括交換台車20を検出することができなかった場合には、制御ユニット60は挿入不良が発生したと判断し、エラー停止するとともに、その旨を表示ユニット70に表示する(ステップS115)。一方、一括交換台車20が装置本体10の所定位置に挿入されたことを確認する(ステップS114で「YES」)と、制御ユニット60は、台車クランプスイッチ(図示省略)をOFF状態からON状態に切替える旨のメッセージを表示ユニット70に表示し、オペレータによりON状態に切替えられるのを待つ(ステップS116)。そして、台車クランプスイッチがON状態に切り替えられると、制御ユニット60はクランプ機構13(図3)により一括交換台車20を装置本体10にクランプする(ステップS117)。
ここで、台車クランプを確認することができなかったとき(ステップS118で「NO」のとき)、制御ユニット60はクランプ不良が発生したと判断し、エラー停止するとともに、その旨を表示ユニット70に表示する(ステップS119)。一方、台車クランプを確認する(ステップS118で「YES」)と、制御ユニット60は挿入された一括交換台車20に付された台車IDを取得する(ステップS120)。この「台車ID」は一括交換台車20毎に付された固有の識別情報であり、制御ユニット60は、一括交換台車20から台車IDを読取ることでオペレータにより挿入された一括交換台車20が所望のものであるか否かを確認する(ステップS121)。そして、所望のものではないとき(ステップS121で「NO」)、制御ユニット60は異なる台車の挿入が発生したと判断し、エラー停止するとともに、その旨を表示ユニット70に表示する(ステップS122)。
一方、所望の一括交換台車20が挿入されたことを確認すると、制御ユニット60は駆動シリンダ544のピストン部を伸長させてシャッター部材53を開口部522から(+Y)方向に退避させて開口部522を開く(ステップS123)。これによって、当該開口部522を介してヘッドユニット45が上記一括交換台車20に装着されたテープフィーダー31にアクセス可能となる。そして、当該テープフィーダー31から供給される部品がヘッドユニット45の実装ヘッド451によって基板Pに実装される。なお、シャッター部材53が開口部522から退避した際に、この退避移動に連動してトップカバー52が離間位置(図7中の(d)欄に示す位置)から近接位置(図7中の(a)欄に示す位置)に下降してテープフィーダー31に近接して開口部522と部品との距離が短くなる。このため、開口部522を介した実装ヘッド451の先端部(吸着ノズル)による部品吸着および吸着した部品の取出時における実装ヘッド451の昇降距離が縮まり、部品実装に要する時間を短縮することができる。
以上のように、上記した第1実施形態では、装置本体10内をカバーユニット50によって実装空間11および部品供給空間12に仕切り、一括交換台車20のアンクランプ処理およびクランプ処理を行っている間にも、実装空間11で基板Pへの部品の実装動作を実行している。したがって、高い稼働率で部品実装を行うことができる。なお、一括交換台車20の間に、段取り替え後の部品実装を行うための準備処理、例えば基板Pの搬送やノズル交換などの実装関連動作を実行することも可能であり、これによって稼働率の向上を図ることができる。
また、上記第1実施形態では、カバーユニット50の一部にのみ開口部522を設け、当該開口部522を介してヘッドユニット45の実装ヘッド451がテープフィーダー31にアクセスするように構成している。特に、本実施形態では、図2や図5Bに示すように、開口部522はX方向に配列されたテープフィーダー31の先端部(部品供給位置)を上方より臨むように配置方向Xに延設されており、開口部522を部品取出用に特化させている。したがって、実装空間11から部品供給空間12へのアクセス、ならびに部品供給空間12から実装空間11へのアクセスが限られた領域に制限され、不都合な干渉が発生するのを効果的に抑制することができる。
また、上記第1実施形態では、開口部522に対してシャッター部材53が進退移動して開口部522を開閉制御しており、一括交換台車20の交換時にはシャッター部材53により開口部522が閉じられ、実装空間11と部品供給空間12との間での相互アクセスが制限されている。したがって、例えば交換作業中に誤って実装ヘッド451が部品供給空間12に移動してきて一括交換台車20と干渉するのを効果的に防止することができる。
また、上記第1実施形態では、シャッター部材53を進退移動させるために、両サイドプレート511の各々にカバー駆動機構54を設け、制御ユニット60によって両カバー駆動機構54を同期して作動させている。このため、シャッター部材53による開口部522の開閉を安定的、かつ確実に行うことができる。
また、上記第1実施形態では、図5Aや図7に示すように、部品実装を行う実装空間11から離れる方向、つまり(+Y)方向にシャッター部材53が移動して開口部522を開いている。ここで、開口部522からのシャッター部材53の退避方向は特に限定されるものではないが、上記退避方向によってタクトタイムが異なる。つまり、実装空間11側にシャッター部材53を退避させるためには、開口部522の実装空間11側にシャッター部材53の退避領域を設ける必要があり、その分だけテープフィーダー31の部品供給位置が実装空間11から離れてヘッドユニット45の移動距離が長くなる。その結果、タクトタイムが増大してしまう。これに対し、上記第1実施形態では、退避方向を(+Y)方向に設定しているため、開口部522の実装空間11側に退避領域を設ける必要がなく、開口部522と実装空間11との距離を近づけることができ、タクトタイムを効果的に低減させることができる。
また、上記第1実施形態では、開口部522が設けられたトップカバー52をシャッター部材53の進退移動に連動させて昇降させるように構成している。すなわち、一括交換台車20の挿入を完了した挿入完了状態ではトップカバー52がテープフィーダー31に近接して実装ヘッド451の昇降距離を縮めて部品実装に要するタクトタイムの短縮を図っている。また、一括交換台車20の交換時には、トップカバー52が上方に移動して上下方向Zにおけるテープフィーダー31との距離を広げている。このため、一括交換台車20を安定して交換することができる。
図10は本発明にかかる部品実装装置の第2実施形態における台車アンクランプ処理を示すフローチャートである。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、一括交換台車20のアンクランプ処理において、シャッター部材53を開口部522に向けて移動させる前に、ヘッドユニット45を交換対象となっている一括交換台車20から退避させている点である。なお、その他の構成は第1実施形態と基本的に同一である。したがって、以下においては、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。また、図面中のステップのうち同一の動作内容については対応するステップをカッコ内に記載して詳しい説明を省略する。これらの点に関しては、その他の実施形態において同様である。
第2実施形態では、オペレータが表示ユニット70を操作して台車アンクランプ指令を制御ユニット60に与えると、制御ユニット60は、第1実施形態と同様に、ステップS201、S202を実行して駆動状態の実装部40をそのまま維持する、あるいは停止状態の実装部40を駆動状態に切り替えた後で、実装部40による部品実装や実装関連動作を実行しながら台車アンクランプ動作を実行する。この台車アンクランプ動作では、台車クランプスイッチ(図示省略)をON状態からOFF状態に切替える旨のメッセージを表示ユニット70に表示し、オペレータによりOFF状態に切替えられるのを待つ(ステップS203)。そして、台車クランプスイッチがOFF状態に切り替えられると、制御ユニット60は、交換対象となっている一括交換台車20に装着されているテープフィーダー31から供給される部品を基板Pに実装している場合には、当該部品の基板Pへの実装を中断し、ヘッドユニット45を当該一括交換台車20から退避させる(ステップS204)。なお、その他の一括交換台車20を利用した部品実装や実装関連動作については継続させる。
この退避動作についてはステップS205で退避完了が確認されるまで継続され、退避完了の確認後に、第1実施形態と同様に、ステップS206〜212を実行する。すなわち、シャッター部材53による開口部522の閉鎖動作、クランプ機構13による一括交換台車20のクランプの解除動作および一括交換台車20の抜去動作を実行する。
以上のように、本発明の第2実施形態によれば、シャッター部材53を開口部522に移動させて開口部522を閉じる前に、交換対象となる一括交換台車20からヘッドユニット45を退避させている。したがって、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られるのみならず、ヘッドユニット45がシャッター部材53と干渉するのを確実に防止することができる。
図11は本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態における台車アンクランプ処理を示すフローチャートである。この第3実施形態が第2実施形態と大きく相違する点は、第2実施形態では台車クランプスイッチがOFF状態に切り替えられると、直ちにヘッドユニット45を退避させているが、第3実施形態ではヘッド作業を完了させた後でヘッドユニット45を退避させている点である。この「ヘッド作業」とは、テープフィーダー31から供給される部品をヘッドユニット45により基板Pに実装する作業を意味している。現在進行中のヘッド作業に必要な部品の供給元として、交換対象となっている一括交換台車20に装着されたテープフィーダー31が含まれることがある。この場合、少なくとも当該テープフィーダー31からの部品供給が完了するのを待つことで、基板Pに対するヘッド作業を途中で中断させるのを回避することができる。そこで、第3実施形態では、以下に説明するようにヘッドユニット45の退避に先立って、当該テープフィーダー31からの部品供給を完了させている。なお、その他の構成および動作は基本的に第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、オペレータが表示ユニット70を操作して台車アンクランプ指令を制御ユニット60に与えると、制御ユニット60は、第1実施形態や第2実施形態と同様に、ステップS301、S302を実行して駆動状態の実装部40をそのまま維持する、あるいは停止状態の実装部40を駆動状態に切り替えた後で、実装部40による部品実装や実装関連動作を実行しながら台車アンクランプ動作を実行する。この台車アンクランプ動作では、台車クランプスイッチ(図示省略)をON状態からOFF状態に切替える旨のメッセージを表示ユニット70に表示し、オペレータによりOFF状態に切替えられるのを待つ(ステップS303)。そして、台車クランプスイッチがOFF状態に切り替えられると、制御ユニット60は、交換対象となっている一括交換台車20に装着されているテープフィーダー31から供給される部品を基板Pに実装するヘッド作業が現在進行中のタクトに残っているか否かを判断する(ステップS304)。そして、残っていると判断する間(ステップS304で「YES」)、制御ユニット60はヘッド作業を継続する(ステップS305)。
一方、上記ヘッド作業が完了した時点で、第2実施形態と同様に、ステップS306〜S314を実行する。すなわち、当該一括交換台車20からのヘッドユニット45の退避動作、シャッター部材53による開口部522の閉鎖動作、クランプ機構13による一括交換台車20のクランプの解除動作および一括交換台車20の抜去動作を実行する。
以上のように、本発明の第3実施形態によれば、交換対象の一括交換台車20からヘッドユニット45を退避させる前に、当該一括交換台車20に装着されているテープフィーダー31から供給される部品を基板Pに実装するヘッド作業を完了させた後で当該一括交換台車20からヘッドユニット45を退避させている。したがって、上記第1実施形態や第2実施形態と同様の作用効果が得られるのみならず、ヘッド作業の中断を防止して作業効率を高めることが可能となっている。
ところで、上記実施形態では、図5Aや図7に示すように、部品実装を行う実装空間11から離れる(+Y)方向にシャッター部材53が移動して開口部522を開いているが、実装空間11側にシャッター部材53が移動して開口部522を開くように構成してもよい(第4実施形態ないし第7実施形態)。
図12は本発明にかかる部品実装装置の第4実施形態における開口部の開閉動作を模式的に示す図である。なお、同図中の実線矢印は開口部522を開く際の動作順序を示し、破線矢印は開口部522を閉じる際の動作順序を示している。この点については、後で説明する図13ないし図15においても同様である。
この第4実施形態では、図12に示すように、シャッター部材53と、当該シャッター部材53を駆動するシャッター駆動機構56とが設けられている。シャッター駆動機構56は、第1実施形態と同様に、各サイドプレート511に取り付けられている。図面への図示を省略するが、各シャッター駆動機構56は第1実施形態と同様に駆動シリンダとカム機構を有しており、駆動シリンダのピストン部の伸縮運動がカム機構によってシャッター部材53のY方向へのスライド運動に変換されて開口部522を開閉する。すなわち、開口部522を開く際には、開口部522がシャッター部材53により閉じている状態(図12の(a)状態)からシャッター部材53が(−Y)方向にスライドし、図12の(b)状態および(c)状態を経由して開口部522よりも(−Y)方向側に位置する(図12の(d)状態)。逆に、開口部522を閉じる際には、上記とは正反対の動作を実行し、図12の(d)状態から図12の(c)状態および(b)状態を経由して図12の(a)状態に戻る。なお、単にシャッター部材53をスライドさせるだけでなく、第1実施形態と同様に、スライド移動に連動してシャッター部材53およびトップカバー52を昇降させるように構成してもよい。この点については、以下の実施形態においても同様である。
図13は本発明にかかる部品実装装置の第5実施形態における開口部の開閉動作を模式的に示す図である。この第5実施形態では、図13に示すように、シャッター部材53と、当該シャッター部材53を駆動するシャッター駆動機構57とが設けられている。シャッター駆動機構57は、第1実施形態と同様に、各サイドプレート511に取り付けられている。図面への図示を省略するが、各シャッター駆動機構57は第1実施形態と同様に駆動シリンダとカム機構を有しており、駆動シリンダのピストン部の伸縮運動がカム機構によってシャッター部材53のY方向へのスライド運動とX方向に延びる回動軸AXを回動中心とする回動運動とに変換されて開口部522を開閉する。すなわち、開口部522を開く際には、開口部522がシャッター部材53により閉じている状態(図13の(a)状態)からシャッター部材53が(−Y)方向にスライドする(図13の(b)状態)。それに続いて、シャッター部材53は回動軸AXを回動中心として回動し、図13の(c)状態、(d)状態を経由してシャッター部材53は約90゜時計回りに回動する(図13の(d)状態)。逆に、開口部522を閉じる際には、上記とは正反対の動作を実行し、図13の(e)状態から図13の(d)状態、(c)状態および(b)状態を経由して図13の(a)状態に戻る。
図14は本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態における開口部の開閉動作を模式的に示す図である。この第6実施形態では、図14に示すように、2つのシャッター部材53A、53Bと、当該シャッター部材53A、53Bを駆動するシャッター駆動機構58とが設けられている。シャッター駆動機構58は、第1実施形態と同様に、各サイドプレート511に取り付けられている。図面への図示を省略するが、各シャッター駆動機構58は第1実施形態と同様に駆動シリンダとカム機構を有しており、駆動シリンダのピストン部の伸縮運動がカム機構によってシャッター部材53BのY方向へのスライド運動とに変換されて開口部522を開閉する。また、シャッター部材53Aはシャッター部材53Bに連結されるとともにシャッター部材53Bのスライド運動に連動して回動するように構成されている。
そして、開口部522を開く際には、開口部522がシャッター部材53Bにより閉じている状態(図14の(a)状態)からシャッター部材53Bが(−Y)方向にスライドするとともに当該スライドに連動してシャッター部材53Aが回動する(図14の(b)状態)。さらに、シャッター部材53Bが(−Y)方向にスライドすると、図14の(c)状態、(d)状態および(e)状態を経由して開口部522よりも(−Y)方向側に位置するとともにシャッター部材53Aが回動し、X方向からの側面視でシャッター部材53Aの大半部分がシャッター部材53Bと重なり合う(図14の(f)状態)。逆に、開口部522を閉じる際には、上記とは正反対の動作を実行し、図14の(f)状態から図14の(e)状態、(d)状態、(c)状態および(b)状態を経由して図14の(a)状態に戻る。
図15は本発明にかかる部品実装装置の第7実施形態における開口部の開閉動作を模式的に示す図である。この第7実施形態が第6実施形態と大きく相違する点は、シャッター部材53Aが静止しているのに対し、シャッター部材53Bがシャッター部材53Aおよびトップカバー52に対してスライド自在となっている点である。この第6実施形態では、開口部522を開く際には、開口部522がシャッター部材53Bにより閉じている状態(図15の(a)状態)からシャッター部材53Bが(−Y)方向にスライドする(図15の(b)状態)。さらに、シャッター部材53Bが(−Y)方向にスライドして開口部522が開く(図15の(c)状態)。逆に、開口部522を閉じる際には、上記とは正反対の動作を実行し、図15の(c)状態から図15の(b)状態を経由して図15の(a)状態に戻る。
このように上記した第1実施形態ないし第7実施形態では、一括交換台車20が本発明の「台車」の一例に相当している。テープフィーダー31が本発明の「部品供給ユニット」の一例に相当している。また、トップカバー52が本発明の「カバー部材」の一例に相当している。また、カバー駆動機構54およびシャッター駆動機構56〜58が本発明の「シャッター駆動部」の一例に相当しており、これらによるシャッター部材53の移動方向Yが本発明の「進退方向」に相当している。また、カバー駆動機構54が本発明の「カバー昇降部」としても機能している。一括交換台車20の交換処理(=台車アンクランプ処理+台車クランプ処理)が本発明の「台車交換工程」の一例に相当し、上記交換処理中の部品の実装動作が本発明の「実装工程」の一例に相当している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、第1実施形態ないし第3実施形態では、カバー駆動機構54を各サイドプレート511に設け、両者を同期してシャッター部材53およびトップカバー52を駆動しているが、一方のサイドプレート511のみにカバー駆動機構54を設けてもよく、この場合、他方のサイドプレート511にはY方向のガイド機構を設けるのが望ましい。
また、上記実施形態では、2本の搬送レーン41を有する、いわゆるデュアレーン方式の部品実装装置1に本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、搬送方式、ヘッドユニットの個数、実装ヘッドの本数や配置などについても任意であり、一括交換台車20を用いる部品実装装置全般に適用可能である。