JP6589781B2 - 回転角推定装置及びエンジン始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、星形結線された電機子巻線を有する回転電機を備えるシステムに適用される回転角推定装置及びこれを備えるエンジン始動装置に関する。
この種の推定装置としては、下記特許文献1に見られるように、電機子巻線の実中性点の電圧と、仮想中性点の電圧とに基づいて、回転電機のロータの回転角を推定するものが知られている。詳しくは、この推定装置は、実中性点の電圧と、仮想中性点の電圧とに基づいて、ロータの回転に伴って電機子巻線に発生する誘起電圧の3次高調波成分を抽出する。そして推定装置は、抽出した3次高調波成分が基準値とクロスするタイミングに基づいて、ロータの回転角を推定する。
特開2004−96880号公報
ここで、上記基準値は、ロータの基準回転位置と関係付けられて設定されている。また、誘起電圧の3次高調波成分は、回転電機の1電気角周期において、基準値と3回だけアップクロス又はダウンクロスすることとなる。このため、3次高調波成分が基準値とアップクロス又はダウンクロスするタイミングを用いたとしても、ロータの基準回転位置を確定することはできない。したがって、上記特許文献1に記載された推定装置では、ロータの基準回転位置からの回転角の推定精度が低下する懸念がある。
本発明は、ロータの基準回転位置からの回転角の推定精度を向上できる回転角推定装置及びこれを備えるエンジン始動装置を提供することを主たる目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
本発明は、星形結線された複数相の電機子巻線(43U〜43W)を少なくとも1組有する回転電機(40)を備えるシステムに適用され、前記回転電機のロータ(41)が回転している期間において、前記電機子巻線に発生する誘起電圧の基本波成分を検出する基本波検出部(54)と、前記ロータが回転している期間において、前記電機子巻線の中性点である実中性点(M)の電圧に基づいて、前記誘起電圧の高調波成分を検出する高調波検出部(55)と、前記基本波検出部により検出された前記基本波成分に基づいて、前記ロータの基準回転位置を確定する確定部(52)と、前記確定部により確定された前記基準回転位置、及び前記高調波検出部により検出された前記高調波成分に基づいて、前記基準回転位置からの回転角を推定する推定部(52)と、を備える。
誘起電圧の基本波成分は、回転電機の1電気角周期において、ロータの基準回転位置と関係付けられた基準値と1回だけアップクロス又はダウンクロスする。このため、基本波成分が基準値とアップクロス又はダウンクロスするタイミングは、ロータの現在の回転位置が基準回転位置となるタイミングになる。したがって、誘起電圧の基本波成分によれば、ロータの基準回転位置を確定することができる。基準回転位置が一旦確定されれば、確定された基準回転位置を基準として、誘起電圧の高調波成分に基づいて、ロータの基準回転位置からの回転角が推定できる。
そこで本発明では、基本波検出部により、ロータが回転している期間において、電機子巻線に発生する誘起電圧の基本波成分が検出される。そして、確定部により、検出された基本波成分に基づいて、ロータの基準回転位置が確定される。そして、確定された基準回転位置と、高調波検出部により検出された誘起電圧の高調波成分とに基づいて、ロータの基準回転位置からの回転角が推定される。このため、ロータの基準回転位置からの回転角の推定精度を向上させることができる。
第1実施形態に係る車載システムの全体構成図。 誘起電圧の基本波成分及び3次高調波成分等の推移を示す図。 エンジン始動処理の手順を示すフローチャート。 エンジン始動処理の一例を示すタイムチャート。 第2実施形態に係る車載システムの全体構成図。 3次高調波成分の位相がずれていない場合の推定電気角の推移を示す図。 3次高調波成分の位相がずれている場合の推定電気角の推移を示す図。 エンジン始動処理の手順を示すフローチャート。 dq座標系における電流ベクトルを示す図。 エンジン始動処理の一例を示すタイムチャート。 第3実施形態に係る車載システムの全体構成図。 第4実施形態に係るエンジン始動処理の手順を示すフローチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る回転角推定装置を備えるエンジン始動装置を、車両の走行動力源としてエンジンを搭載した車両に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
車両は、車載主機としてのエンジン10と、スタータ20と、直流電源としてのバッテリ30とを備えている。エンジン10は、燃料噴射弁等を備え、燃料噴射弁から噴射されたガソリンや軽油等の燃料の燃焼により動力を発生する。発生した動力は、エンジン10の出力軸10aから出力される。
スタータ20は、ピニオン押出し式のものであり、ピニオンギア21、ピニオンギア21を回転駆動するスタータモータ22及びソレノイド23を備えている。本実施形態において、スタータモータ22は直流モータである。ピニオンギア21は、スタータモータ22の回転軸に設けられている。ピニオンギア21は、出力軸10aに設けられたリングギア11に対して連結可能に設けられている。
ソレノイド23は、ピニオンギア21をリングギア11と連結させるために、ピニオンギア21を押し出す「押出部」を構成する。エンジン10の始動時には、ソレノイド23の駆動によりピニオンギア21がその軸方向へと移動してリングギア11とが噛み合わされる。これにより、ピニオンギア21とリングギア11とが連結し、スタータモータ22の動力が出力軸10aへと伝達可能とされる。
スタータ20は、スタータスイッチ24を備えている。スタータスイッチ24がオフされている場合、バッテリ30からスタータモータ22及びソレノイド23それぞれへの給電が停止される。これにより、ピニオンギア21は、リングギア11と非接触の状態とされる非連結位置に位置する。
一方、スタータスイッチ24がオンされている場合、バッテリ30からソレノイド23へと給電される。これにより、ピニオンギア21がリングギア11と噛み合う連結位置に向かって押し出され、ピニオンギア21とリングギア11とが連結する。また、スタータスイッチ24がオンされている場合、バッテリ30からスタータモータ22へと給電される。これにより、リングギア11の外周縁に設けられた歯と歯との間に、ピニオンギア21の外周縁に設けられた歯が嵌り込んだ状態で、スタータモータ22が回転してピニオンギア21によってリングギア11に初期回転が付与される。
その後、スタータスイッチ24がオフされると、バッテリ30からスタータモータ22及びソレノイド23それぞれへの給電が停止される。これにより、スタータモータ22の駆動が停止し始めるとともに、ピニオンギア21が連結位置から非連結位置に移動する。
なお、スタータモータ22の回転力は、実際には、図示しないワンウェイクラッチを介してピニオンギア21に伝達される。ワンウェイクラッチは、ピニオンギア21がリングギア11を連れ回そうとする回転力のみをスタータモータ22からピニオンギア21に伝達し、出力軸10aの回転によってピニオンギア21が連れ回されることを空転により遮断する部材である。
車両は、交流駆動される回転電機40を備えている。本実施形態では、回転電機40として、巻線界磁型の同期機を用いている。また本実施形態では、回転電機40として、スタータ及びオルタネータの機能を統合したISG(Integrated Starter Generator)を用いている。なお本実施形態では、回転電機40として突極機を用いている。
回転電機40は、ロータ41を備えている。ロータ41は、界磁巻線42を備えている。ロータ41の回転軸41aには、第1プーリ41bが接続されており、エンジン10の出力軸10aには、第2プーリ10bが接続されている。第1プーリ41b及び第2プーリ10bは、ベルト31によって接続されている。回転電機40がオルタネータとして駆動される場合、出力軸10aの回転に伴ってロータ41が回転する。一方、回転電機40がスタータとして駆動される場合、ロータ41の回転に伴って出力軸10aが回転する。
車両は、界磁制御部45を備えている。界磁制御部45は、図示しないブラシを介して界磁巻線42と電気的に接続されている。界磁制御部45は、バッテリ30を電力供給源として、界磁巻線42に流れる界磁電流をその目標値に制御する。
回転電機40は、ステータを備えており、ステータには、電気角で120°ずれたU,V,W相巻線43A,43V,43Wが設けられている。
U,V,W相巻線43A,43V,43Wに対する通電制御は、ISG制御部50により実施される。ISG制御部50は、「電力変換部」としてのインバータ51を備えている。インバータ51は、U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpと、U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの直列接続体を備えている。U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpと、U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの接続点には、バスバー等のU,V,W相導電部材44U,44V,44Wを介してU,V,W相巻線43U,43V,43Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線43U,43V,43Wの第2端は、実中性点Mで接続されている。すなわち、U,V,W相巻線43U,43V,43Wは、星形結線されている。なお、各アームスイッチSUp〜SWnとして、例えば、NチャネルMOSFET又はIGBTを用いればよい。また、各アームスイッチSUp〜SWnには、ダイオードが逆並列に接続されている。
U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpの高電位側端子には、バッテリ30の正極端子が接続されている。U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnの低電位側端子と、バッテリ30の負極端子とには、グランドが接続されている。
ちなみに、回転電機40、界磁制御部45及びISG制御部50は一体化されていてもよい。
ISG制御部50は、電圧検出部として、U,V,W相抵抗体60U,60V,60Wを備えている。U,V,W相抵抗体60U,60V,60Wの第1端は、U,V,W相導電部材44U,44V,44Wが接続され、U,V,W相抵抗体60U,60V,60Wの第2端は、仮想中性点Nで接続されている。
ISG制御部50は、角度推定部52を備えている。角度推定部52は、ロータ41の磁極位置としての電気角θeを推定する。なお、角度推定部52による処理は、後に詳述する。
ISG制御部50は、電機子制御部53を備えている。電機子制御部53は、角度推定部52により推定された電気角θeに基づいて、位置センサレス制御にて回転電機40を駆動させるべく、インバータ51を構成する各アームスイッチSUp〜SWnをオンオフする。詳しくは、電機子制御部53は、回転電機40をスタータとして駆動させる場合、バッテリ30から出力された直流電力を交流電力に変換してU,V,W相巻線43U,43V,43Wに供給すべく、各アームスイッチSUp〜SWnをオンオフする。一方、電機子制御部53は、回転電機40をオルタネータとして駆動させる場合、U,V,W相巻線43U,43V,43Wから出力された交流電力を直流電力に変換してバッテリ30に供給すべく、各アームスイッチSUp〜SWnをオンオフする。
電機子制御部53は、指令部53aを備えている。指令部53aは、回転電機40の各巻線43U,43V,43Wに流す電流ベクトルの振幅である電流振幅の指令値Im*と、電流ベクトルの位相である電流位相の指令値β*とを算出する。電機子制御部53による各アームスイッチSUp〜SWnのオンオフは、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*に基づいて実施される。
車両は、電子制御装置である上位制御部70を備えている。本実施形態において、上位制御部70は、エンジン10の始動制御を行う。詳しくは、上位制御部70は、スタータスイッチ24をオンする処理と、エンジン10の燃焼制御処理とを実施することにより、エンジン10を始動させる。ここでは、スタータ20の駆動に続き、回転電機40がスタータとして駆動されて出力軸10aに初期回転が付与される。
上位制御部70には、出力軸10aの回転角を検出する回転角センサ71の検出値SCが入力される。上位制御部70は、回転角センサ71の検出値SCに基づいて、出力軸10aの回転速度であるエンジン回転速度NEを算出する。
なお、エンジン10の制御は、実際には、上位制御部70とは異なる専用の制御部で実施され得る。ただし本実施形態では、エンジン10の制御が専用の制御部で実施されることは要部ではない。このため、便宜上、上位制御部70がエンジン10の制御を実施するものとした。
続いて、回転電機40の電気角θeの推定手法について説明する。なお、以下の説明において、U,V,W相巻線43U,43V,43Wの誘起電圧をEU,EV,EWとし、実中性点Mの電圧をVMとし、仮想中性点Nの電圧をVNとする。
ISG制御部50は、第1検出部54を備えている。第1検出部54は、インバータ51からU,V,W相巻線43U,43V,43Wに通電されていない期間において、回転電機40の電気角θeの基準回転位置を推定する。第1検出部54は、第1フィルタ54a、第1コンパレータ54b及び非通電時検出部54cを備えている。
第1フィルタ54aは、U,V,W相巻線43U,43V,43Wに通電されていない期間における仮想中性点Nの電圧VNを検出し、検出した仮想中性点Nの電圧VNから、U,V,W相の誘起電圧EU,EV,EWの基本波成分を抽出する。誘起電圧EU,EV,EWの基本波成分は、図2(a)に示すように、回転電機40の1電気角周期と同じ周期で変動する。本実施形態では、誘起電圧EU,EV,EWの基本波成分が0を中心に変動する。なお図2(a)には、U,V,W相のうちいずれか1つについての誘起電圧を示す。また、第1フィルタ54aとして、例えば、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを用いればよい。
第1コンパレータ54bは、第1フィルタ54aにより抽出された誘起電圧の基本波成分が、「基準値」としての0よりも大きいか小さいかによって出力信号の論理を反転させる。本実施形態では、誘起電圧の基本波成分が0よりも大きい場合に出力信号の論理がHとされ、誘起電圧の基本波成分が0よりも小さい場合に出力信号の論理がLとされる。第1コンパレータ54bの出力信号の論理は、電気角180°毎に反転する。
非通電時検出部54cは、第1コンパレータ54bの出力信号の論理が反転してから再度反転するまでの時間に基づいて、回転電機40の電気角周波数ωeを算出する。図2(a)を用いて説明すると、例えば、非通電時検出部54cは、誘起電圧の基本波成分がゼロアップクロスするタイミングt1からゼロダウンクロスするタイミングt2までの時間、又は基本波成分がゼロダウンクロスするタイミングt2からゼロアップクロスするタイミングt3までの時間に基づいて、電気角周波数ωeを算出する。
非通電時検出部54cは、第1コンパレータ54bの出力信号の論理がLからHに反転するタイミングを、図2(b)に示すように、基準タイミングt1とする。非通電時検出部54cは、この基準タイミングt1における電気角θ1を、ロータ41の基準回転位置である0°とする。非通電時検出部54cは、基準タイミングt1からの経過時間と、電気角周波数ωeとに基づいて、カウンタをカウントアップすることにより、電気角θ1を推定する。非通電時検出部54cは、第1コンパレータ54bの出力信号の論理が再度LからHに反転したと判定した場合、電気角θ1を0°にリセットする。非通電時検出部54cは、現在のタイミングが電気角θ1=0°となるタイミングである旨の情報を角度推定部52に出力する。
先の図1の説明に戻り、ISG制御部50は、第2検出部55を備えている。本実施形態において、第2検出部55は、U,V,W相巻線43U,43V,43Wに通電されている期間における電気角θeを推定するための各種処理を行う。このために、第2検出部55は、第2フィルタ55a、第2コンパレータ55b及び通電時検出部55cを備えている。なお、以下の説明において、U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpとU,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの接続点をU,V,W相端子と称し、U,V,W相端子の電圧をVU,VV,VWと称すこととする。
第2フィルタ55aには、下式(eq1)で表される実中性点Mの電圧VMと、下式(eq2)で表される仮想中性点Nの電圧VNとが入力される。
Figure 0006589781
Figure 0006589781
第2フィルタ55aは、仮想中性点Nの電圧VNから実中性点Mの電圧VMを減算することにより、下式(eq3)で表される電圧差ΔVを算出する。
Figure 0006589781
上式(eq3)は、電圧差ΔVによれば、各相端子の電圧VU,VV,VWが0でなく、各相巻線43U,43V,43Wに通電されていたとしても、各相巻線43U,43V,43Wの誘起電圧を検出できることを示している。
本実施形態において、回転電機40の磁束分布は、正弦波状ではなく3次の高調波成分を含む。このため、各相の誘起電圧EU,EV,EWには、図2(a)に示すように、回転電機40の電気角周波数の3倍の周波数で変動する3次高調波成分が含まれる。第2フィルタ55aは、算出した電圧差ΔVから誘起電圧の3次高調波成分を抽出する。なお、第2フィルタ55aとして、例えばバンドパルフィルタを用いればよい。
第2コンパレータ55bは、第2フィルタ55aにより抽出された誘起電圧の3次高調波成分が、「基準値」としての0よりも大きいか小さいかによって出力信号の論理を反転させる。本実施形態では、誘起電圧の3次高調波成分が0よりも大きい場合に出力信号の論理がHとされ、誘起電圧の3次高調波成分が0よりも小さい場合に出力信号の論理がLとされる。第2コンパレータ55bの出力信号の論理は、電気角60°毎に反転する。
通電時検出部55cは、第2コンパレータ55bの出力信号の論理が反転してから再度反転するまでの時間に基づいて、電気角周波数ωeを算出する。図2(a)を用いて説明すると、例えば、通電時検出部55cは、3次高調波成分がゼロアップクロスするタイミングからゼロダウンクロスするタイミングまでの時間、又は3次高調波成分がゼロダウンクロスするタイミングからゼロアップクロスするタイミングまでの時間に基づいて、電気角周波数ωeを算出する。
本実施形態において、通電時検出部55cは、第2コンパレータ55bの出力信号の論理がLからHに反転するタイミングを基準タイミングt1,tA,tBとする。通電時検出部55cは、図2(c)に一点鎖線にて示すように、基準タイミングt1,tA,tBの電気角θ2を0°とする。通電時検出部55cは、基準タイミングからの経過時間と、電気角周波数ωeとに基づいて、カウンタをカウントアップすることにより、電気角θ2を推定する。通電時検出部55cは、第2コンパレータ55bの出力信号の論理がLからHに反転するたびに、電気角θ2を0°にリセットする。通電時検出部55cは、推定した電気角θ2を角度推定部52に出力する。
角度推定部52は、非通電時検出部54cから出力された電気角θ1が0°となるタイミングである旨の情報と、通電時検出部55cから出力された電気角θ2とに基づいて、電気角θeを推定する。
本実施形態では、図2(a)に示すように、回転電機40の1電気角周期において、誘起電圧の3次高調波成分がゼロアップクロスする3つタイミングの中に、誘起電圧の基本波成分がゼロアップクロスするタイミングt1と一致するタイミングが存在するように、回転電機40が構成されている。これは、電気角θeを推定するための回路及びアルゴリズムを簡易にするための構成である。3次高調波成分がゼロアップクロスする3つタイミングのうち、基本波成分がゼロアップクロスするタイミングt1と一致するタイミングが、基準回転位置となるタイミングである。
このため、角度推定部52は、図2(c)に実線にて示すように、現在のタイミングが電気角θ1=0°となるタイミングである旨の情報に基づいて、電気角θeを0°とするタイミングを確定する。そして角度推定部52は、基準回転位置である0°に通電時検出部55cから出力された電気角θ2を加算することにより、電気角θeを推定する。角度推定部52は、推定した電気角θeが増加して360°になった場合、電気角θeを0°にリセットする。角度推定部52により推定された電気角θeは、電機子制御部53において回転電機40の制御に用いられる。
続いて図3に、本実施形態に係るエンジン始動処理の手順を示す。この処理は、界磁制御部45、ISG制御部50及び上位制御部70の協働によって実行される。なお本実施形態において、第1検出部54が、各相の電機子巻線の電圧を抵抗体60U〜60Wにより分圧した電圧である仮想中性点電圧に基づいて、基本波成分を検出する「基本波検出部」を含む。また、第2検出部55が「高調波検出部」を含み、角度推定部52が「確定部」及び「推定部」を含む。
この一連の処理では、まずステップS10において、上位制御部70からエンジン10の始動要求が出力される。
続くステップS12では、始動要求が入力された界磁制御部45により、界磁巻線42に界磁電流が流される。これにより、界磁巻線42が励磁される。
続くステップS14では、上位制御部70によりスタータスイッチ24がオフからオンに切り替えられる。これにより、バッテリ30からスタータモータ22及びソレノイド23に給電され始める。その結果、スタータ20の駆動によって出力軸10aに初期回転が付与され始め、出力軸10aの回転速度が上昇し始める。
続くステップS16では、第1検出部54により、誘起電圧の基本波成分の振幅が基本波閾値Vthを超えたか否かが判定される。ステップS16の処理は、基準回転位置の確定精度の低下を防止するための処理である。
なお、ステップS16において、第2検出部55により、誘起電圧の3次高調波成分の振幅が高調波閾値を超えたか否かを判定してもよい。ちなみに、3次高調波成分の振幅は、基本波成分の振幅よりも小さい。このため、高調波閾値は、例えば、基本波閾値Vthよりも小さい値に設定されてもよい。
ステップS16において肯定判定された場合には、ステップS18に進む。ステップS18では、第1検出部54により電気角θ1が推定され、続くステップS20では、第2検出部55により電気角θ2が推定される。
続くステップS22では、角度推定部52により、第1検出部54から出力された電気角θ1が0°となるタイミングである旨の情報に基づいて、電気角θeを0°とするタイミングが確定される。そして、確定されたタイミングと、第2検出部55により推定された電気角θ2とに基づいて、電気角θeが推定される。
続くステップS24では、上位制御部70により、スタータスイッチ24がオンからオフに切り替えられる。これにより、バッテリ30からスタータモータ22及びソレノイド23への給電が停止され、スタータ20の駆動が停止される。
続くステップS26では、電機子制御部53により、推定された電気角θe、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*に基づいて、インバータ51を構成する各アームスイッチSUp〜SWnがオンオフされる。これにより、ロータ41が回転し始め、回転電機40の駆動によって出力軸10aに初期回転が付与され始める。なお本実施形態において、ステップS24,S26の処理が「駆動部」に相当する。
その後、上位制御部70によるエンジン10の燃焼制御が実施されている状況下においてエンジン10の初爆が発生し、エンジン10の始動が完了する。
本実施形態では、出力軸10aに初期回転を付与する期間の途中において、初期回転を付与する動力源を、スタータ20から回転電機40に切り替えている。これは、エンジン10の始動時における騒音を低減するためである。つまり、本実施形態に係るスタータ20は、ピニオン押出し式のものである。ピニオンギア21とリングギア11とが噛み合った状態でピニオンギア21が回転駆動されると、その駆動に伴ってピニオンギア21とリングギア11との間で騒音が発生する。
一方、回転電機40と出力軸10aとの間は、ベルト31によって接続されている。このため、回転電機40の駆動によって出力軸10aを回転させる場合において、回転電機40の駆動に伴って発生する騒音は、ピニオンギア21とリングギア11との間で発生する騒音よりも十分小さい。したがって、騒音を低減するために、出力軸10aに初期回転を付与する期間の途中において、動力源をスタータ20から回転電機40に切り替える。
図4に、本実施形態に係るエンジン始動処理のタイムチャートを示す。詳しくは、図4(a)はエンジン始動要求の有無の推移を示し、図4(b)はバッテリ30からスタータ20に流れる電流の推移を示し、図4(c)はバッテリ30の端子電圧の推移を示す。図4(d)は界磁巻線42に界磁電流が流れているか否かの推移を示し、図4(e),(f)は電流振幅,位相指令値Im*,β*の設定状態の推移を示す。
また、図4(g),(h)は第1,第2検出部54,55による電気角θ1,θ2の推定処理の実施状況の推移を示し、図4(i)は誘起電圧の基本波成分の振幅の推移を示し、図4(j)はエンジン回転速度NEの推移を示し、図4(k)は回転電機40の発生する出力トルクTrqの推移を示す。
図示されるように、時刻t1において、上位制御部70からエンジン始動要求が出力される。これにより、界磁制御部45によって界磁巻線42に界磁電流が流され始め、界磁巻線42が励磁される。そして時刻t2において、スタータスイッチ24がオンされ、バッテリ30からスタータ20に給電される。これにより、スタータ20の駆動によって出力軸10aに初期回転が付与され、エンジン回転速度NEが上昇し始める。界磁巻線42が励磁されている状態において、出力軸10aの回転速度の上昇に伴いロータ41の回転速度も上昇するため、各相巻線43U,43V,43Wに発生する誘起電圧の基本波成分の振幅が増加する。
時刻t3において、基本波成分の振幅が基本波閾値Vthを超える。このため、第1検出部54により推定された電気角θ1が0°となるタイミングで電気角θeが0°に確定される。そして、第2検出部55により推定された電気角θ2に基づいて、電気角θeが推定される。なお図4(g)には、時刻t3よりも前の時刻t2から、第1検出部54による電気角θ1の推定処理が開始されることが示されている。ただし本実施形態において、推定された電気角θ1が有効となるのは、時刻t3以降であるとする。
その後時刻t4において、スタータスイッチ24がオフされることで、バッテリ30からスタータ20への給電が停止される。そして、推定された電気角θe及び電流振幅,位相の指令値Im*,β*に基づいて回転電機40がスタータとして駆動され始めることにより、スタータ20の駆動に代えて、回転電機40の駆動によって出力軸10aに初期回転が付与される。その後、エンジン10の初爆が発生し、エンジン10の始動が完了する。
時刻t4以降、各相巻線43U,43V,43Wに通電される。このため、時刻t4以降、第1検出部54による電気角θ1の推定処理が停止される。
なお図4では、エンジン10の始動が完了した後の時刻t5において、回転電機40の駆動を停止させている。このため、時刻t5において、各相巻線43U,43V,43Wへの通電が停止されている。したがって、時刻t5から、第1検出部54による電気角θ1の推定処理が開始され、また、第2検出部55による電気角θ2の推定処理が停止されている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・スタータ20の駆動によって回転電機40のロータ41が回転している期間において、各相巻線43U,43V,43Wに発生する誘起電圧の基本波成分が第1検出部54により検出され、検出された基本波成分に基づいて、ロータ41の基準回転位置が確定される。そして、確定された基準回転位置と、第2検出部55により検出された誘起電圧の3次高調波成分とに基づいて、電気角θeが推定される。これにより、回転電機40の制御に用いる電気角θeの推定精度を向上させることができる。
・インバータ51から各相巻線43U,43V,43Wに電圧が印加されて各相巻線43U,43V,43Wに通電されている期間においては、仮想中性点Nの電圧VNに、誘起電圧に加えて、インバータ51から各相巻線への印加電圧が含まれる。このため、各相巻線43U,43V,43Wに通電されている期間においては、仮想中性点Nの電圧VNに基づいて、誘起電圧の基本波成分を検出できない。各相巻線43U,43V,43Wに通電されている期間において、仮想中性点Nの電圧VNに基づいて基準回転位置を確定しようとすると、確定した基準回転位置が真の基準回転位置からずれるおそれがある。
そこで本実施形態では、各相巻線43U,43V,43Wに通電されていない期間において、仮想中性点Nの電圧VNに基づいて、誘起電圧の基本波成分が検出される。そして、検出された基本波成分に基づいて、基準回転位置が確定される。このため、確定した基準回転位置が真の基準回転位置からずれることを防止することができる。その結果、推定された電気角θeに基づく回転電機40の制御が破綻することを防止できる。
・誘起電圧の基本波成分の振幅が基本波閾値Vthを超えたと判定されたタイミングt3から、各相巻線43U,43V,43Wに通電され始めるタイミングt4までの期間において、ロータ41の基準回転位置が確定される。これにより、基本波成分に基づく基準回転位置の確定精度の低下を防止できる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、エンジン始動処理において、各相巻線43U〜43Wに電流を流し初めてからの処理を変更する。
図5に、本実施形態に係るシステム構成を示す。なお図5において、先の図1に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、角度推定部52は、記憶部52aを備えている。記憶部52aは、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*と関係付けて、誘起電圧の基本波成分の位相に対する誘起電圧の3次高調波成分の位相の位相ずれ量ζを、マップ化された位相ずれ情報として記憶している。この情報は、例えば、実験や計算により予め作成された情報である。
角度推定部52は、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*を電機子制御部53から取得する。角度推定部52は、取得した指令値に対応する位相ずれ量ζを、記憶部52aに記憶されている情報から選択する。角度推定部52は、選択した位相ずれ量ζに基づいて、推定した電気角θeを補正する補正処理を行う。この処理は、電気角θeの推定精度の低下を防止するための処理である。
つまり、本実施形態において、各相巻線43U,43V,43Wに通電されていない場合、第1検出部54により推定される電気角θ1の推移と、第2検出部55により推定される電気角θ2の推移とは、図6に示すものとなる。これに対し、各相巻線43U,43V,43Wに通電されている場合には、誘起電圧の基本波成分の位相に対する誘起電圧の3次高調波成分の位相が、位相ずれ量ζだけずれる。ここで、位相ずれ量ζは下式(eq4)によって表される。
Figure 0006589781
上式(eq4)において、βは電流位相を示し、φ3はロータ41の磁束の3次高調波成分を示し、Imは電流振幅を示し、Ld,Lqは回転電機40のd,q軸インダクタンスを示す。位相ずれが発生すると、第1検出部54により推定される電気角θ1の0°と、第2検出部55により推定される電気角θ2の0°とは、位相ずれ量ζだけずれる。図7には、位相ずれ量ζが120°となる場合の例を示した。図7に示す例では、第1検出部54によって推定された電気角θ1に基づいて、電気角θ2のカウントアップの基準となる基準回転位置を一旦確定したとしても、角度推定部52による電気角θeの推定精度が大きく低下することとなる。
ここで、位相ずれ量ζは、電流振幅及び電流位相に依存する。そこで本実施形態では、上記補正処理を行うことにより、電気角θeの推定精度の低下を防止する。なお本実施形態において、角度推定部52が「位相取得部」「補正部」を含む。
図8に、本実施形態に係るエンジン始動処理の手順を示す。この処理は、界磁制御部45、ISG制御部50及び上位制御部70の協働によって実行される。なお図8において、先の図3に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS24の処理の完了後、ステップS28に進む。ステップS28では、電機子制御部53により、推定された電気角θe、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*に基づいて、インバータ51を構成する各アームスイッチSUp〜SWnがオンオフされる。ここでステップS28では、電流振幅の指令値Im*が0よりも大きく設定され、電流位相の指令値β*が0°又は180°に設定される。この位相設定は、誘起電圧の基本波成分の位相に対する誘起電圧の3次高調波成分の位相の位相ずれの発生を防止するためになされる。つまり、位相ずれ量ζは、上式(eq4)に示したように、電流位相βによって変化する。ここで電流位相βが0°又は180°の場合、位相ずれ量ζが0となる。
ステップS28の処理では、電流振幅をその指令値Im*まで増加させる場合において、各相巻線43U,43V,43Wへの通電前後で基本波成分の位相に対する3次高調波成分の位相がずれない。このため、回転電機40の駆動開始時における位相ずれに起因した電気角θeの推定精度の低下を防止できる。
またステップS28の処理では、電流位相の指令値β*が0°又は180°に設定されるため、図9に示すように、d軸電流が0となる。このため、ステップS28の処理では、回転電機40のトルクが発生しない。ちなみに図9には、電流ベクトルをIvtrにて示した。また本実施形態において、ステップS28の処理が「ノンシフト操作部」に相当する。
ステップS28の処理の後、ステップS30に進む。ステップS30では、角度推定部52により推定された電気角θeが補正処理により補正される。また、電機子制御部53により、補正処理により補正された電気角θe、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*に基づいて、各アームスイッチSUp〜SWnがオンオフされる。ここでは、電流位相の指令値β*が0°又は180°の値に変更される。これにより、回転電機40の駆動によって出力軸10aに初期回転が付与され始める。
図10に、本実施形態に係るエンジン始動処理のタイムチャートを示す。なお、図10(a)〜(k)は、先の図4(a)〜(k)に対応している。
図10に示す例では、時刻t4において、スタータスイッチ24がオフされることで、バッテリ30からスタータ20への給電が停止される。そして、推定された電気角θe及び電流振幅,位相の指令値Im*,β*に基づいて各相巻線43U,43V,43Wに通電され始める。この際、電流位相の指令値β*が例えば0に設定されるため、回転電機40はトルクを発生しない。
その後時刻t5において、電流位相の指令値β*が0°又は180°以外の値に変更され、また、補正処理が開始される。そして補正処理により補正された電気角θeに基づいて回転電機40が駆動されることで、出力軸10aに初期回転が付与される。
なお図10において、時刻t5まで、バッテリ30からスタータ20への給電を継続させてスタータ20の駆動を継続させてもよい。
以上説明したように、本実施形態では補正処理を行った。このため、上記第1実施形態の効果に加えて、電気角θeの推定精度の低下を防止できるといった効果を得ることができる。
また、補正処理が行われることにより、各相巻線43U,43V,43Wに通電し始めた直後から電流位相を制御できる。その結果、回転電機40の出力トルクをその最大値に早期に到達させることができる。したがって、エンジン始動処理が開始されてから、エンジン10の始動を完了させるまでの時間を短縮でき、エンジン10の始動性を向上できる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、上記第2実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、補正処理手法を変更する。
図11に、本実施形態に係るシステム構成を示す。なお図11において、先の図5に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
図11に示すように、ISG制御部50は、電流検出部72及び振幅位相算出部57を備えている。電流検出部72は、U,V,W相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する。
振幅位相算出部57は、電流検出部72と、角度推定部52により推定された電気角θeとに基づいて、現在の処理周期における電流振幅の実際の値Imr及び電流位相の実際の値βrとを算出する。なお、振幅位相算出部57で用いられる電気角θeは、例えば、1処理周期前に角度推定部52により推定された電気角θeが用いられればよい。
本実施形態に係る補正処理では、電流振幅の指令値Im*及び電流位相の指令値β*に代えて、電流振幅の実際の値Imr及び電流位相の実際の値βrが用いられる。
以上説明した本実施形態によっても、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、エンジン始動処理手法を変更する。
図12に、本実施形態に係るエンジン始動処理の手順を示す。この処理は、界磁制御部45、ISG制御部50及び上位制御部70の協働によって実行される。なお図12において、先の図3に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS14の処理の完了後、ステップS32に移行する。ステップS32では、上位制御部70により、エンジン回転速度NEが閾値速度Nthを超えたか否かが判定される。ステップS32の処理は、先の図3のステップS16の処理と同じ趣旨で設けられる処理である。ここでは、誘起電圧の基本波成分の振幅は、ロータ41の回転速度が低いほど小さくなる傾向にあることを利用している。なお本実施形態において、ステップS32の処理が「速度取得部」を含む。
なお、ステップS32において肯定判定された場合、エンジン回転速度NEが閾値速度Nthを超えた旨の情報が、上位制御部70からISG制御部50に伝達される。そして、ステップS18の処理が行われる。
以上説明したように、本実施形態では、エンジン回転速度NEが閾値速度Nthを超えたと判定されたタイミング以降において、誘起電圧の基本波成分に基づいて基準回転位置が確定される。これにより、上記第1実施形態の効果に加えて、システムのコストを低減できるといった効果を得ることができる。これは、エンジン回転速度NEを算出するために用いたセンサとして、エンジン10の制御に用いられる回転角センサ71を流用できるためである。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1実施形態では、エンジン10の始動時において、スタータモータ22及びソレノイド23への給電停止後に、回転電機40の駆動を開始させたがこれに限らない。例えば、スタータモータ22及びソレノイド23への給電開始後、その給電が停止される前に、回転電機40の駆動を開始させてもよい。
・上記第2実施形態の図10において、時刻t4〜t5におけるβ*=0の期間を無くし、時刻t4から、補正処理とともに、回転電機40にトルクを発生させる処理を開始させてもよい。
・上記第2実施形態において、位相ずれ量ζと関係づけるパラメータから電流振幅を除いてもよい。
・上記第1実施形態において、第1コンパレータ54bは、第1フィルタ54aにより抽出された誘起電圧の基本波成分が、0以外の所定値よりも大きいか小さいかによって出力信号の論理を反転させてもよい。また、第2コンパレータ55bは、第2フィルタ55aにより抽出された誘起電圧の3次高調波成分が上記所定値よりも大きいか小さいかによって出力信号の論理を反転させてもよい。
・上記各実施形態において、回転角センサとして、出力軸10aの回転角を検出するセンサに代えて、例えばロータ41の回転角を検出するセンサを備えてもよい。
・上記各実施形態では、基準回転位置からの回転角として、電気角を推定したがこれに限らず、機械角を推定してもよい。
・誘起電圧の基本波成分の検出手法としては、上記第1実施形態に示した抵抗体60U〜60Wによる手法に限らず、例えば以下に説明する手法であってもよい。インバータ51の正極側と負極側との間を、第1抵抗体及び第2抵抗体の直列接続体により接続する。ここで、インバータ51の正極側とは、U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpの高電位側端子側のことであり、負極側とは、U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnの低電位側端子側のことである。また、第1抵抗体の抵抗値と第2抵抗体の抵抗値とを等しくする。この構成において、第1抵抗体及び第2抵抗体の接続点の電位を基準電位として、例えばU相巻線43Uの第1端側の電位を検出する。そして、この検出値を仮想中性点Nの電圧VNに代えて用いることにより、誘起電圧の基本波成分を検出する。
・回転電機としては、電機子巻線として1組の3相巻線を備えるものに限らず、複数組の3相巻線を備える多重巻線回転電機であってもよい。例えば、特開2016−131461号公報の図1,図2に記載されているように2組の3相巻線を備える2重巻線回転電機であってもよい。この場合、第1検出部54、第2検出部55及び角度推定部52が、2組の3相巻線のうち少なくとも1つの組に対応してシステムに備えられればよい。
・回転電機としては、3相のものに限らず、例えば4相以上のものであってもよい。また回転電機としては、巻線界磁型のものに限らず、例えばロータに永久磁石を備えた永久磁石界磁型のものであってもよい。さらに回転電機としては、突極機に限らず、非突極機であってもよい。
・電気角の推定に用いられる誘起電圧の高調波成分としては、3次高調波成分以外の高調波成分であってもよい。
10…エンジン、20…スタータ、40…回転電機(ISG)、50…ISG制御部、M…実中性点、N…仮想中性点。

Claims (12)

  1. 星形結線された複数相の電機子巻線(43U〜43W)を少なくとも1組有する回転電機(40)を備えるシステムに適用され、
    前記回転電機のロータ(41)が回転している期間において、前記電機子巻線に発生する誘起電圧の基本波成分を検出する基本波検出部(54)と、
    前記ロータが回転している期間において、前記電機子巻線の中性点である実中性点(M)の電圧に基づいて、前記誘起電圧の高調波成分を検出する高調波検出部(55)と、
    前記基本波検出部により検出された前記基本波成分に基づいて、前記ロータの基準回転位置を確定する確定部(52)と、
    前記確定部により確定された前記基準回転位置、及び前記高調波検出部により検出された前記高調波成分に基づいて、前記基準回転位置からの回転角を推定する推定部(52)と、を備える回転角推定装置。
  2. 前記システムには、前記電機子巻線に通電するために操作される電力変換部(51)が備えられ、
    前記基本波検出部は、前記電機子巻線に通電されていなくてかつ前記ロータが回転している期間において、前記基本波成分を検出する請求項1に記載の回転角推定装置。
  3. 前記誘起電圧の基本波成分の位相に対する前記誘起電圧の高調波成分の位相が前記電機子巻線への通電前後でシフトしないように前記電機子巻線に通電すべく、前記電力変換部を操作するノンシフト操作部(53)を備える請求項2に記載の回転角推定装置。
  4. 前記基本波成分の位相に対する前記高調波成分の位相の位相ずれ情報を、前記電機子巻線に流れる電流ベクトルの位相である電流位相と関係付けて記憶している記憶部(52a)と、
    前記電流位相の指令値又は前記電流位相の実際の値を取得する位相取得部(52)と、
    前記位相取得部により取得された値と、前記記憶部に記憶されている前記位相ずれ情報とに基づいて、前記推定部により推定された回転角を補正する補正部(52)と、を備える請求項2又は3に記載の回転角推定装置。
  5. 前記確定部は、前記電機子巻線に通電され始めるタイミングまでに、前記基本波検出部により検出された前記基本波成分に基づいて、前記基準回転位置を確定する請求項2〜4のいずれか1項に記載の回転角推定装置。
  6. 前記確定部は、前記誘起電圧の基本波成分の振幅が閾値を超えたと判定したタイミングから、前記電機子巻線に通電され始めるタイミングまでの期間において、前記基準回転位置を確定する請求項5に記載の回転角推定装置。
  7. 前記確定部は、前記誘起電圧の高調波成分の振幅が閾値を超えたと判定したタイミングから、前記電機子巻線に通電され始めるタイミングまでの期間において、前記基準回転位置を確定する請求項5に記載の回転角推定装置。
  8. 前記システムには、エンジン(10)が備えられ、
    前記エンジンの出力軸(10a)と前記ロータとは動力伝達可能に接続されており、
    前記出力軸の回転速度を取得する速度取得部(52)を備え、
    前記確定部は、前記速度取得部により取得された回転速度が閾値を超えたと判定したタイミングから、前記電機子巻線に通電され始めるタイミングまでの期間において、前記基準回転位置を確定する請求項5に記載の回転角推定装置。
  9. 前記回転電機の1電気角周期において、前記高調波検出部により検出された前記高調波成分が基準値とクロスする複数のタイミングの中に、前記基本波検出部により検出された前記基本波成分が前記基準値とクロスするタイミングと一致するタイミングが存在するように、前記回転電機が構成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転角推定装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の回転角推定装置を備え、前記システムを構成するエンジン(10)を始動させるエンジン始動装置において、
    前記システムには、前記エンジンの出力軸(10a)に初期回転を付与するスタータ(20)と、前記電機子巻線に通電するために操作される電力変換部(51)と、が備えられ、
    前記出力軸と前記ロータとは動力伝達可能に接続されており、
    前記エンジンの始動要求が入力された場合、前記スタータを駆動させることにより前記出力軸に初期回転を付与した後、前記推定部により推定された回転角に基づいて前記電機子巻線に通電することにより、前記スタータの駆動に代えて、前記ロータを回転駆動させて前記出力軸に初期回転を付与する駆動部(70)を備え、
    前記確定部は、前記スタータの駆動により前記出力軸に初期回転が付与されている期間において前記基準回転位置を確定するエンジン始動装置。
  11. 前記回転角推定装置は、
    前記基本波成分の位相に対する前記高調波成分の位相の位相ずれ情報を、前記電機子巻線に流れる電流ベクトルの位相である電流位相と関係付けて記憶している記憶部(52a)と、
    前記電流位相の指令値又は前記電流位相の実際の値を取得する位相取得部(52)と、
    前記位相取得部により取得された値と、前記記憶部に記憶されている前記位相ずれ情報とに基づいて、前記推定部により推定された回転角を補正する補正部(52)と、を備え、
    前記駆動部は、前記補正部により補正された回転角に基づいて前記電機子巻線に通電することにより、前記ロータを回転駆動させる請求項10に記載のエンジン始動装置。
  12. 前記スタータは、
    通電によって回転力を発生するスタータモータ(22)と、
    前記スタータモータの回転力が伝達されるピニオンギア(21)と、
    前記出力軸に連結されたリングギア(11)に噛み合う位置まで前記ピニオンギアを押し出す押出部(23)と、を備え、
    前記駆動部は、前記押出部により前記ピニオンギアを押し出して前記リングギアに噛み合わせた状態で前記スタータモータを回転駆動させることにより、前記出力軸に初期回転を付与し、その後、前記押出部による前記ピニオンギアの押し出しを解除して前記ピニオンギアを前記リングギアから離脱させた状態で、前記ロータを回転駆動させて前記出力軸に初期回転を付与する請求項10又は11に記載のエンジン始動装置。
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