JP6587914B2 - 建具 - Google Patents
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Description
自動開閉防音サッシでは、外障子および内障子の召合せ框の中央部に締り機構が設置され、上部に上部引寄せ機構が設置され、下部に下部引寄せ機構が設置されている。
また、外障子の戸先側の竪框の上部には、上部引寄せ機構が設置され、下部には下部引寄せ機構が設置されている。
各下部引寄せ機構は、カムを下方移動して枠(下枠)に嵌めることで、外障子を室内側に引き寄せる構成とされている。
このように、錠装置の施錠における障子の戸先側の縦框の縦枠への押し付けと引き寄せとの双方によって、戸先側における障子および枠体間の気密性を向上できる。
また、錠部材が前述した押付け面と引寄せ面との双方を有し、錠受けが前述した押付け面と引寄せ面との双方を有するため、錠部材を施錠開始位置から施錠終了位置に移動して施錠する場合には、押付け面を押付け受部に当接しながら障子を戸先側の縦枠に向かって押し付けることができ、かつ、引寄せ面を引寄せ受部に当接しながら障子を面外方向における一方側に引き寄せることができ、障子の面外方向における一方側に位置する枠体の室外見付け片部などに取り付けられる気密材に障子を密着させることができる。これにより、障子の戸先側における気密性を向上できる。また、錠部材に押付け面と引寄せ面の双方を形成し、かつ錠受けに押付け受部と引寄せ受部との双方を形成することによって構成を簡略化でき、部品点数を減らしてコストダウンできる。
更に、係合片部に押付け面と引寄せ面との双方を形成することで、押付け面だけを有する押付け部材や引寄せ面だけを有する引寄せ部材などを別個に形成する必要をなくすことができ、錠部材の構成を簡略化できる。また、係合片部の押付け面および引寄せ面に対応して、係合受け部に押付け受部および引寄せ受部の双方を形成することで、押付け受部だけを有する押付け受部材や引寄せ受部だけを有する引寄せ受け部材を別個に形成する必要をなくすことができ、錠受けの構成を簡略化できる。
加えて、錠部材が施錠開始位置から施錠終了位置まで移動する際や施錠終了位置から施錠開始位置まで移動する際に、錠部材の引寄せ面に当接するローラーは回転するので、錠部材の移動抵抗を低減でき、施錠および解錠を円滑に行うことができる。
このような構成によれば、前述同様に、錠部材を施錠開始位置から施錠終了位置に移動して施錠する場合には、押付け面を押付け受部に当接しながら障子を戸先側の縦枠に向かって押し付けることができ、かつ、引寄せ面を引寄せ受部に当接しながら障子を面外方向における一方側に引き寄せることができ、障子の面外方向における一方側に位置する枠体の室外見付け片部などに取り付けられる気密材に障子を密着させることができる。これにより、障子の戸先側における気密性を向上できる。
このような構成によれば、係合片部に各傾斜面を形成することによって押付け面および引寄せ面を簡単に形成でき、各面を形成する加工コストを抑え得る。
このような構成によれば、錠基部の係合片部に対して上側寄りおよび下側寄りに位置する上ガイド溝および下ガイド溝に対し、障子に設けられるガイドピンが嵌合することによって錠部材を上下方向にガイドできる。このため、錠部材を移動する際に、錠基部が上下方向に対して傾くことを抑制でき、錠部材を上下方向に円滑に移動できる。
このような構成によれば、可傾戸車の傾動によって錠装置による障子の面外方向における一方側への引寄せを円滑に行うことができる。
また、錠装置を解錠状態とした場合には、可傾戸車は障子の自重によって傾斜状態から直立状態となり、このときに障子は面外方向における他方側に若干移動する。これにより、障子を枠体の気密材から離すことができ、障子の開閉の際に当該障子が気密材に擦れることを低減できて、当該障子の開閉に対する抵抗を小さくできる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3において、本実施形態に係る建具である片引き窓1は、建物躯体の開口部に設置されるものであり、窓枠2(枠体)と、図1に示す左半分側に構成される固定窓3と、窓枠2内に左右方向にスライド可能に配置された障子4と、障子4のスライド移動において当該障子4を面外方向にガイドするガイド機構5と、障子4を窓枠2に対し施錠および解錠する錠装置7と、錠装置7の施錠および解錠を操作する操作機構9とを備えている。
上枠21、下枠22、縦枠23の各室外見付け片部201と中骨25とには、閉鎖位置にある障子4に対向して位置する気密材26が四周連続して取り付けられている。
上枠21には、障子4を左右方向にスライド案内する上レール211が形成されており、下枠22には、障子4を左右方向にスライド案内する下レール221が形成されている。
なお、縦枠24には、障子4の後述する戸尻側の縦框44が当接するストッパー部材241が装着されている。
上框41、下框42および左右の縦框43,44は、室外見付け片部401、見込み片部402および室内見付け片部403をそれぞれ有している。
錠装置7が施錠状態にある場合には、障子4の室内側への移動が規制され、可傾戸車46の傾斜状態が維持される。また、錠装置7が解錠状態にある場合には、可傾戸車46は、障子4の自重に基づいて直立状態に復帰し、障子4は室内側へ移動し、気密材26から離間する。
上ガイド機構50は、障子4を左右方向および面外方向にガイドする機構である。上ガイド機構50は、上框41の室外見付け片部401に取り付けられる一つの第一摺動部材51と、上框41の室内見付け片部403に取り付けられる二つの第二摺動部材52と、上枠21の上レール211に取り付けられる引寄せ部材54と、上枠21の上レール211に取り付けられる二つの窪み部材55とを備えている。引寄せ部材54および各窪み部材55は、上レール211の切欠き部分にそれぞれ装着されている。
第一摺動部材51は、上框41の室外見付け片部401の長手方向における中央部分に配置されており、当該室外見付け片部401から室内側に突出した突出部を有している。二つの第二摺動部材52のうちの一方は、第一摺動部材51に対して間隔を隔てて戸先側に配置されており、上框41の室内見付け片部403から室外側に突出した突出部を有している。二つの第二摺動部材52のうちの他方は、第一摺動部材51に対して間隔を隔てて戸尻側に配置されており、上框41の室内見付け片部403から室外側に突出した突出部を有している。
二つの窪み部材55のうちの一方は、障子4が閉鎖位置にある状態で、前記一方の第二摺動部材52に対して障子4の面外方向に対向する位置に配置されており、上レール211のうち上框41の室内見付け片部403に対向する対向面よりも室外側に窪んだ窪み部を有している。二つの窪み部材55のうちの他方は、障子4が閉鎖位置にある状態で、前記他方の第二摺動部材52に対して障子4の面外方向に対向する位置に配置されており、上レール211のうち上框41の室内見付け片部403に対向する対向面よりも室外側に窪んだ窪み部を有している。
上ガイド機構50は、障子4の開放位置(全開位置)から閉鎖直前位置(錠部材70の施錠開始位置または当該施錠開始位置よりも戸尻側の位置)までの間に障子4がある場合には、第一摺動部材51および各第二摺動部材52は上レール211にそれぞれ摺動可能に当接しており、この当接によって障子4を左右方向に案内する。
また、上ガイド機構50は、障子4の閉鎖直前位置から閉鎖位置(全閉位置)までの間に位置に障子4がある場合には、第一摺動部材51の突出部は引寄せ部材54の突出部に摺動可能に当接し、かつ、各第二摺動部材52の突出部は各窪み部材55の窪み部に入り込むことで、障子4を室外側に引き寄せ案内する。
下ガイド機構60の第一摺動部材51は、下框42の室外見付け片部401の長手方向における中央部分に形成された切欠き部分に上下逆向きに嵌め込まれることによって取り付けられ、その突出部が前記室外見付け片部401から室内側に突出して配置されている。
引寄せ部材64は、下レール221から室外側に突出して配置される引寄せ部(突出部)を有している。
下ガイド機構60は、障子4の開放位置から閉鎖直前位置までの間に障子4がある場合には、第一摺動部材51の突出部は引寄せ部材64の引寄せ部と非当接状態であり、障子4は室外側に引き寄せ案内しない。
また、下ガイド機構60は、障子4の開放直前位置から閉鎖位置(全閉位置)までの間に障子4がある場合には、第一摺動部材51の突出部は引寄せ部材64の引寄せ部に摺動可能に当接して、障子4を室外側に引き寄せ案内する。
錠基部71は、基片部711と、基片部711の室内縦縁に連続する取付片部712と、取付片部712の室外縦縁に連続する折曲片部713とを有している。
基片部711は、縦框43の見込み片部402に沿って配置される。
取付片部712は、基片部711の室内縦縁から戸先側に向かって傾斜している。取付片部712には取付孔712Aが形成されており、取付孔712Aにビスを介して後述するハンドル91の回転操作に連動して上下移動する連動部材に取り付けられている。
折曲片部713は、基片部711の室外縦縁から戸先側へ折曲して形成されており、その戸先側縦縁に係合片部72が連続している。
傾斜片部722の基片部711側の面によって押付け面75が形成されており、傾斜片部722の室内側面によって引寄せ面76が形成されている。
押付け面75には、錠部材70が施錠開始位置(図9(A)参照)にあるときに後述する押付け受部85に当接する第一押付け部751と、錠部材70が施錠終了位置(図9(B)参照)にあるときに押付け受部85に当接する第二押付け部752とがある。第二押付け部752は、第一押付け部751よりも戸尻側に配置されている。
引寄せ面76には、錠部材70が施錠開始位置(図10(A)参照)にあるときに後述する引寄せ受部86に当接する第一引寄せ部761と、錠部材70が施錠終了位置(図10(B)参照)にあるときに引寄せ受部86に当接する第二引寄せ部762とがある。第二引寄せ部762は、第一引寄せ部761よりも障子4の面外方向における室内側に配置されている。
上ガイド溝731および下ガイド溝732は、それぞれ上下方向に延びて形成されており、縦框43に固定されたガイドピン432にそれぞれ嵌合している。これにより、錠部材70は縦框43に図9(A)に示す施錠開始位置から図9(B)に示す施錠終了位置まで上下移動可能に取り付けられる。
上ガイド溝731は、上下方向において係合片部72に対して上側寄りに位置している。下ガイド溝732は、上下方向において係合片部72に対して下側寄りに位置している。
係合受け部82は、錠受け基部81に固定された係合ピン821と、係合ピン821に回転可能に装着されたローラー822とを備えている。
係合ピン821は、図7,8に示すように、錠受け基部81から左右方向において縦框43側に向かって突出しており、その先端に鍔部821Aを有している。鍔部821Aは、ローラー822の表面よりも室外側に延出して形成されている。
鍔部821Aのうちローラー822よりも室外側の部分によって押付け面75に当接する押付け受部85が形成されている。
また、ローラー822の表面によって引寄せ面76に当接する引寄せ受部86が形成されている。
また、本実施形態では、錠部材70に形成された引寄せ面76と、錠受け80に形成された引寄せ受部86とによって引寄せ機構89が構成されている。
以下、本実施形態に係る片引き窓1の障子4の閉鎖移動および施錠動作について説明する。
開放位置にある障子4を手動により戸先側に向かって図8に示す施錠開始位置まで閉鎖移動する。障子4の閉鎖移動は、ガイド機構5によって上レール211および下レール221に沿って左右方向にガイドされる。内障子が施錠開始位置に到達したときには、ガイド機構5の各第二摺動部材52は、各窪み部材55に形成される窪みに対向配置し、各第一摺動部材51は各引寄せ部材54,64に当接しはじめる。
錠部材70が施錠開始位置に配置されると、傾斜片部722の押付け面75における第一押付け部751が、係合ピン821の鍔部821Aにおける押付け受部85に当接する。またこのとき、図10(A)に示すように、傾斜片部722の引寄せ面76における第一引寄せ部761が、ローラー822の表面における引寄せ受部86に当接する。
また、引寄せ面76は、引寄せ受部86に当接しながら下方に位置変化するので、引寄せ面76の引寄せ受部86への当接部位は、第一引寄せ部761から室外側へ移行する。このとき、引寄せ面76には、障子4の面外方向における室内側への引寄せ力が生じるので、障子4は、室外側に向かって4mmほど移動し、障子4は、窓枠2に装着された気密材26に当接する。錠部材70が施錠終了位置に配置されると、図10(B)に示すように、引寄せ面76の第二引寄せ部762が引寄せ受部86に当接し、障子4は気密材26に密着する。
このようにして、戸先側の各錠装置7によって障子4が窓枠2に施錠される。
また、ガイド機構5は、障子4の閉鎖移動において各第一摺動部材51が各引寄せ部材54,64に沿って移動しながら室外側へ位置変化するので、上框41および下框42の長手方向における中央部分を室外側へ引き寄せる。
さらに、戸尻側引寄せ機構8は、障子4が閉鎖直前位置から閉鎖位置までスライド移動すると、係合片部441が係合片部252に係合することで、戸尻側の縦框44を室外側へ引き寄せる。
なお、可傾戸車46は障子4の室外側への引寄せによって直立状態から室外側への傾斜状態とされる。
このようにして、障子4を閉鎖移動して施錠する。
先ず、各錠装置7による施錠状態で、ハンドル91の回転操作により各錠部材70を施錠終了位置から施錠開始位置を経て解錠位置まで上方へ移動する。この移動により、傾斜片部722の押付け面75は押付け受部85から上方へ離間し、錠部材70が解錠位置に配置されると、傾斜片部722の下縁は係合ピン821の鍔部821Aよりも上方に位置する。また、錠部材70の上方への移動により、引寄せ面76は、引寄せ受部86から離間する。このようにして各錠装置7による施錠を解錠する。
このため、障子4は、面外方向において室内側に移動し、気密材26から離間し、障子4の開閉において気密材26に干渉しない位置に配置される。
このようにして、障子4を解錠して開放移動する。
(1)本実施形態では、片引き窓1は、窓枠2と、窓枠2内にスライド可能に配置される障子4と、障子4および窓枠2の戸先側に配置される錠装置7とを備え、錠装置7は、押付け機構79と、引寄せ機構89とを備え、押付け機構79は、戸先側の縦框43側に設けられる押付け面75と、戸先側の縦枠23側に設けられる押付け受部85とを有し、押付け機構79は、錠装置7を解錠状態から施錠状態に操作する際に押付け面75と押付け受部85とを当接させて障子4の戸先側の縦框43を左右方向(スライド方向)において窓枠2の縦枠23に押し付け可能に構成され、引寄せ機構89は、戸先側の縦框43側に設けられる引寄せ面76と、戸先側の縦枠24側に設けられる引寄せ受部86とを有し、引寄せ機構89は、錠装置7を解錠状態から施錠状態に操作する際に引寄せ面76と引寄せ受部86とを当接させて障子4の戸先側の縦框43を当該障子4の面外方向における室外側に引き寄せ可能に構成されることを特徴とする。
上記構成を有するため、錠装置7を解錠状態から施錠状態に操作する際に押付け面75と押付け受部85とを当接させることで、障子4の戸先側の縦框43を左右方向において窓枠2の戸先側の縦枠23に押し付けることができる。また、この押し付けとともに、引寄せ面76と引寄せ受部86とを当接させることで、障子4の戸先側の縦框43を当該障子4の面外方向における室外側に引き寄せることができ、気密材26に障子4を密着させることができる。
このように、錠装置7の施錠動作における障子4の戸先側の縦框43の縦枠23への押し付けと引き寄せとの双方によって、戸先側における障子4および窓枠2間の気密性を向上できる。
さらに、本実施形態では、以下の各効果を発揮できる。
(2)錠装置7は、障子4の戸先側の縦框43に取り付けられる錠部材70と、戸先側の縦枠23に取り付けられる錠受け80とを有し、錠部材70は、縦框43に対して解錠位置から施錠開始位置を経由して施錠終了位置まで移動可能に構成され、押付け面75および引寄せ面76は、錠部材70に形成され、押付け受部85および引寄せ受部86は、錠受け80に形成され、押付け面75には、錠部材70が施錠開始位置にあるときに押付け受部85に当接する第一押付け部751と、錠部材70が施錠終了位置にあるときに押付け受部85に当接する第二押付け部752とがあり、第二押付け部752は、第一押付け部751よりも錠受け80から左右方向に離れて配置され、引寄せ面76には、錠部材70が施錠開始位置にあるときに引寄せ受部86に当接する第一引寄せ部761と、錠部材70が施錠終了位置にあるときに引寄せ受部86に当接する第二引寄せ部762とがあり、第二引寄せ部762は、第一引寄せ部761よりも障子4の面外方向における室内側に配置される。
このため、錠部材70を施錠開始位置から施錠終了位置に移動して施錠する場合には、押付け面75を押付け受部85に当接しながら障子4を戸先側の縦枠23に向かって押し付けることができ、かつ、引寄せ面76を引寄せ受部86に当接しながら障子4を面外方向における室外側に引き寄せることができ、障子4の面外方向における室外側に位置する気密材26に障子4を密着させることができる。これにより、障子4の戸先側における気密性を向上できる、
また、錠部材70に押付け面75と引寄せ面76の双方を形成し、かつ錠受け80に押付け受部85と引寄せ受部86との双方を形成することによって構成を簡略化でき、部品点数を減らしてコストダウンできる。
(3)錠部材70は、錠基部71と、錠基部71に連続している係合片部72とを有し、錠受け80は、錠受け基部81と、錠受け基部81に連続している係合受け部82とを有し、係合片部72には、押付け面75と、引寄せ面76とが形成され、係合受け部82には、押付け面75に当接する押付け受部85と、引寄せ面76に当接する引寄せ受部86とが形成される。
このため、押付け面75だけを有する押付け部材や引寄せ面76だけを有する引寄せ部材などを別個に形成する必要をなくすことができ、錠部材70の構成を簡略化できる。
また、押付け受部85だけを有する押付け受部材や引寄せ受部86だけを有する引寄せ受け部材を別個に形成する必要をなくすことができ、錠受け80の構成を簡略化できる。
(4)係合片部72は、錠基部71に連続している縦片部721と、縦片部721から下方に延出した傾斜片部722とを有し、傾斜片部722のうち錠基部71の基片部711側の面によって押付け面75が形成され、傾斜片部722のうち室内側に位置する側面によって引寄せ面76が形成され、押付け面75は、その下縁が上縁よりも左右方向において錠受け80側に位置するように左右方向に対して傾斜し、引寄せ面76は、その下縁が上縁よりも面外方向における室外側に位置するように障子4の面外方向に対して傾斜する。
このため、係合片部72に各傾斜面を形成することによって押付け面75および引寄せ面76を簡単に形成でき、各面を形成する加工コストを抑え得る。
(5)係合受け部82は、錠受け基部81から左右方向に沿って突出しているとともに先端に鍔部821Aを有する係合ピン821と、係合ピン821に装着された回転可能なローラー822とを備え、係合ピン821の鍔部821Aに押付け受部85が形成され、ローラー822に引寄せ受部86が形成される。
このため、錠部材70が施錠開始位置から施錠終了位置まで移動する際や施錠終了位置から施錠開始位置まで移動する際に、錠部材70の引寄せ面76に当接するローラー822は回転するので、錠部材70の移動抵抗を低減でき、施錠および解錠を円滑に行うことができる。
(6)錠部材70には、ガイド溝73が形成され、ガイド溝73は、錠基部71に形成された上ガイド溝731および下ガイド溝732によって構成され、上ガイド溝731は、上下方向において係合片部72よりも上側寄りに位置し、下ガイド溝732は、上下方向において係合片部72よりも下側寄りに位置する。
このため、錠基部71の係合片部72に対して上側寄りおよび下側寄りに位置する上ガイド溝731および下ガイド溝732に対し、障子4の縦框43に設けられるガイドピン432が嵌合することによって錠部材70を上下方向にガイドできる。これにより、錠部材70を移動する際に、錠基部71が上下方向に対して傾くことを抑制でき、錠部材70を上下方向に円滑に移動できる。
(7)窓枠2は、左右方向に沿って形成された下レール221を備え、障子4は、下レール221に沿って走行可能な可傾戸車46と、可傾戸車46が配置される下溝部421を形成する下框42とを備え、可傾戸車46は、左右方向に沿う仮想軸を中心として傾動可能に構成され、錠装置7の施錠状態では、引寄せ機構89による引寄せに基づいて傾斜状態となり、錠装置7の解錠状態では、障子4の自重に基づいて直立状態となる。
このため、可傾戸車46の傾動によって錠装置7による障子4の面外方向における室外側への引寄せを円滑に行うことができる。
また、錠装置7を解錠状態とした場合には、可傾戸車46は障子4の自重によって傾斜状態から直立状態となり、このときに障子4は室内側へ若干移動する。これにより、障子4を窓枠2の気密材26から離すことができ、障子4の開閉移動の際に当該障子4が気密材26に擦れることを低減できて、当該障子4の開閉に対する抵抗を小さくできる。
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、錠部材70は縦框43に取り付けられ、錠受け80は縦枠23に取り付けられているが、これに限定されず、例えば錠受け80が縦框43に取り付けられ、錠部材70が縦枠23に取り付けられてもよい。この場合、錠受け80が縦框43に取り付けられることで、押付け受部85および引寄せ受部86は縦框43に設けられることとなり、また、錠部材70が縦枠23に取り付けられることで、押付け面75および引寄せ面76が縦枠23に設けられることとなる。なお、ハンドル91の回転操作によって錠受け80が錠部材70に対して相対的に上下動することによって、錠装置7は施錠・解錠動作する。
錠部材70Aは、操作機構9の操作により係合ピン101を下方に移動し、この係合ピン101によって図11(A),図12(A)に示す状態から図11(B)、図12(B)に示す状態に回転される。
この回転により、押付け面75は、図11(A)、図11(B)に示すように、係合受け部82の押付け受部85に当接しながら縦框43を左右方向において縦枠23に押し付ける。また、引寄せ面76は、図12(A)、図12(B)に示すように、係合受け部82の引寄せ受部86に当接しながら縦框43を室外側に引き寄せて障子4を気密材26に密着させる。
なお、操作機構9の操作により錠部材70Aを逆回転することによって解錠可能である。
この場合、操作機構9の操作により錠部材70Bが下方に移動すると、図13(A)に示すように押付け面75は押付け受部85に当接し、かつ、図14(A)に示すように引寄せ受部材102の引寄せ受部86は引寄せ部材103の引寄せ面76に当接する。この状態で、錠部材70Bがさらに下方に移動すると、押付け面75は、押付け受部85に当接しながら縦框43を左右方向において縦枠23に押し付け、図13(B)に示す状態となる。また、引寄せ面76は、引寄せ受部86に当接しながら縦框43を室外側に引き寄せ、気密材26に密着させ、図14(B)に示す状態となる。
なお、操作機構9の操作により錠部材70Bを上方に移動することにより解錠可能である。
錠部材70Cは、図15に示すように、左右方向において縦框43に位置する傾斜側面によって押付け面75を形成するとともに、当該傾斜側面と、左右方向において縦枠23側に位置する側面との双方によって引寄せ受部86を形成している。
また、錠受け80Cは、図15,16においてV字状のV字面によって引寄せ面76を形成するとともに、V字面のうち縦框43側に位置する半分の傾斜面によって押付け受部85を形成している。
この場合、操作機構9の操作により錠部材70Cが下方に移動すると、押付け面75は図15(A)に示す位置から図15(B)に示す位置に移動し、押付け受部85に当接しながら縦框43を左右方向において縦枠23に押付ける。また、引寄せ受部86は、引寄せ面76に当接しながら縦框43を、図16(A)に示す位置から図16(B)に示す位置まで室外側へ引き寄せる。
Claims (5)
- 枠体と、前記枠体内にスライド可能に配置される障子と、前記障子および枠体の戸先側に配置される錠装置とを備え、
前記錠装置は、前記障子の戸先側の縦框および前記枠体の戸先側の縦枠のうちの一方に取り付けられる錠部材と、前記戸先側の縦框および縦枠のうちの他方に取り付けられる錠受けとを有し、
前記錠部材は、錠基部と、前記錠基部に連続している係合片部とを有していると共に、前記戸先側の縦框および縦枠のうちの一方に対して解錠位置から施錠開始位置を経由して施錠終了位置まで移動可能に構成され、
前記錠受けは、錠受け基部と、前記錠受け基部に連続している係合受け部とを有し、
前記係合受け部は、前記錠受け基部から前記スライド方向に沿って突出した係合ピンと、前記係合ピンに装着された回転可能なローラーとを備え、
前記係合ピンの先端には、その上下方向よりも面外方向における一方側に大きく延出した鍔部が形成され、
前記係合片部に設けられた押付け面と、前記係合ピンの鍔部に設けられた押付け受部とによって、前記錠装置を解錠状態から施錠状態に操作する際に前記押付け面と前記押付け受部とを当接させて前記障子の戸先側の縦框を前記スライド方向において前記枠体の戸先側の縦枠に押し付け可能な押付け機構が構成され、
前記係合片部に設けられる引寄せ面と、前記ローラーに設けられる引寄せ受部とによって、前記錠装置を解錠状態から施錠状態に操作する際に前記引寄せ面と前記引寄せ受部とを当接させて前記障子の戸先側の縦框を当該障子の面外方向における一方側に引き寄せ可能な引寄せ機構が構成される
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具において、
前記押付け面には、前記錠部材が前記施錠開始位置にあるときに前記押付け受部に当接する第一押付け部と、前記錠部材が前記施錠終了位置にあるときに前記押付け受部に当接する第二押付け部とがあり、前記第二押付け部は、前記第一押付け部よりも錠受けから前記スライド方向に離れて配置され、
前記引寄せ面には、前記錠部材が前記施錠開始位置にあるときに前記引寄せ受部に当接する第一引寄せ部と、前記錠部材が前記施錠終了位置にあるときに前記引寄せ受部に当接する第二引寄せ部とがあり、前記第二引寄せ部は、前記第一引寄せ部よりも前記障子の面外方向における他方側に配置される
ことを特徴とする建具。 - 請求項1または請求項2に記載の建具において、
前記係合片部は、
前記錠基部に連続している縦片部と、前記縦片部から下方に延出した傾斜片部とを有し、
前記傾斜片部のうち前記錠基部側の面によって前記押付け面が形成され、
前記傾斜片部のうち前記障子の面外方向における他方側に位置する側面によって引寄せ面が形成され、
前記押付け面は、その下縁が上縁よりも前記スライド方向において前記錠受け側に位置するように当該スライド方向に対して傾斜し、
前記引寄せ面は、その下縁が上縁よりも面外方向における一方側に位置するように前記障子の面外方向に対して傾斜する
ことを特徴とする建具。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建具において、
錠部材には、ガイド溝が形成され、
前記ガイド溝は、前記錠基部に形成された上ガイド溝および下ガイド溝によって構成され、
前記上ガイド溝は、上下方向において前記係合片部よりも上側寄りに位置し、
前記下ガイド溝は、上下方向において前記係合片部よりも下側寄りに位置する
ことを特徴とする建具。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の建具において、
前記枠体は、前記スライド方向に沿って形成された下レールを備え、
前記障子は、前記下レールに沿って走行可能な可傾戸車と、前記可傾戸車が配置される溝部を形成する下框とを備え、
前記可傾戸車は、前記スライド方向に沿う仮想軸を中心として傾動可能に構成され、
前記錠装置の施錠状態では、前記引寄せ機構による引寄せに基づいて傾斜状態となり、
前記錠装置の解錠状態では、前記障子の自重に基づいて直立状態となる
ことを特徴とする建具。
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