本発明の態様に係る光源装置およびパターン露光装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の基板(被照射体)Pに露光処理を施す露光装置EXを含むデバイス製造システム10の概略構成を示す図である。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、図に示す矢印にしたがって、X方向、Y方向、およびZ方向を説明する。
デバイス製造システム10は、例えば、デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレイを製造するシステムである。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば、有機ELディスプレイ等がある。デバイス製造システム10は、フレキシブルの基板Pをロール状に巻いた図示しない供給ロールから基板Pが送出され、送出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、各種処理後の基板Pを図示しない回収ロールで巻き取る、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll To Roll)方式の構造を有する。そのため、各種処理後の基板Pは、複数のデバイスが連なった状態となっており、多面取り用の基板となっている。前記供給ロールから送られた基板Pは、順次、プロセス装置PR1、露光装置EX、およびプロセス装置PR2で各種処理が施され、前記回収ロールで巻き取られる。この基板Pは、基板Pの移動方向が長手方向(長尺)となり、幅方向が短手方向(短尺)となる帯状の形状を有する。
なお、X方向は、水平面内において、プロセス装置PR1から露光装置EXを経てプロセス装置PR2に向かう方向(搬送方向)である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板Pの幅方向である。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(上方向)である。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、および酢酸ビニル樹脂のうち、少なくとも1つ以上を含んだものを用いてもよい。また、基板Pの厚みや剛性(ヤング率)は、露光装置EXの搬送路を通る際に、基板Pに座屈による折れ目や非可逆的なシワが生じないような範囲であればよい。基板Pの母材として、厚みが25μm〜200μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルムは、好適なシート基板の典型である。
基板Pは、プロセス装置PR1、露光装置EX、およびプロセス装置PR2で施される各処理において熱を受ける場合があるため、熱膨張係数が顕著に大きくない材質の基板Pを選定することが好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって熱膨張係数を抑えることができる。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、または酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。
プロセス装置PR1は、露光装置EXで露光処理される基板Pに対して前工程の処理を行う。プロセス装置PR1は、前工程の処理を行った基板Pを露光装置EXへ向けて送る。この前工程の処理により、露光装置EXへ送られる基板Pは、その表面に感光性機能層(光感応層)が形成された基板(感光基板)Pとなっている。
この感光性機能層は、溶液として基板P上に塗布され、乾燥することによって層(膜)となる。感光性機能層の典型的なものはフォトレジストであるが、現像処理が不要な材料として、紫外線の照射を受けた部分の親撥液性が改質される感光性シランカップリング材(SAM)、或いは紫外線の照射を受けた部分にメッキ還元基が露呈する感光性還元材等がある。感光性機能層として感光性シランカップリング材を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光されたパターン部分が撥液性から親液性に改質される。そのため、親液性となった部分の上に導電性インク(銀や銅等の導電性ナノ粒子を含有するインク)や半導体材料を含有した液体等を選択塗布することで、パターン層を形成することができる。感光性機能層として、感光性還元材を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光されたパターン部分にメッキ還元基が露呈する。そのため、露光後、基板Pを直ちにパラジウムイオン等を含むメッキ液中に一定時間浸漬することで、パラジウムによるパターン層が形成(析出)される。このようなメッキ処理はアディティブ(additive)なプロセスであるが、その他、サブトラクティブ(subtractive)なプロセスとしてのエッチング処理を前提にする場合、露光装置EXへ送られる基板Pは、母材をPETやPENとし、その表面にアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属性薄膜を全面または選択的に蒸着し、さらにその上にフォトレジスト層を積層したものであってもよい。
本実施の形態の場合、パターン描画装置としての露光装置EXは、マスクを用いない直描方式の露光装置、いわゆるラスタースキャン方式の露光装置EXであり、プロセス装置PR1から供給された基板Pに対して、ディスプレイ用の回路または配線等のパターンを描画する。後で詳細に説明するが、露光装置EXは、基板PをX方向に搬送しながら、露光用のレーザ光(ビーム)LBのスポット光を基板P上で所定の走査方向に走査しつつ、スポット光の強度をパターンデータ(描画データ、描画情報)に応じて高速に変調(on/off)することによって、基板Pの表面(感光面)にパターンを描画露光している。
プロセス装置PR2は、露光装置EXで露光処理された基板Pに対しての後工程の処理(例えばメッキ処理や現像・エッチング処理等)を行う。この後工程の処理により、基板P上にデバイスのパターン層が形成される。
露光装置EXは、光源装置(パルス光源装置、パルスレーザ装置)12と、描画ヘッド14と、基板搬送機構16と、制御部18とを備えている。光源装置12は、パルス状のレーザ光(パルス光)LBを射出するものである。このレーザ光LBは、370mm以下の波長帯域にピーク波長を有する紫外線光であり、レーザ光LBの発振周波数をFsとする。光源装置12が射出したレーザ光LBは、描画ヘッド14に入射する。描画ヘッド14は、レーザ光LBがそれぞれ入射する複数の描画ユニットU(U1〜U6)を備えている。描画ヘッド14は、基板搬送機構16によって搬送される基板Pの一部分に、複数の描画ユニットU1〜U6によって、所定のパターンを描画する。描画ヘッド14は、複数の描画ユニットU1〜U6を有することで、いわゆるマルチビーム型の描画ヘッド14となっている。基板搬送機構16は、プロセス装置PR1から搬送される基板Pを、プロセス装置PR2に所定の速度で搬送する。制御部18は、露光装置EXの各部を制御し、各部に処理を実行させる。この制御部18は、コンピュータと、プログラムが記憶された記憶媒体とを含み、該コンピュータが記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することで、本第1の実施の形態の制御部18として機能する。
露光装置EXは、温調チャンバーECV内に格納されている。この温調チャンバーECVは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板Pの温度による形状変化を抑制する。温調チャンバーECVは、パッシブまたはアクティブな防振ユニットSU1、SU2を介して製造工場の設置面Eに配置される。防振ユニットSU1、SU2は、設置面Eからの振動を低減する。この設置面Eは、設置土台上の面であってもよく、床であってもよい。
基板搬送機構16は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、エッジポジションコントローラEPC、駆動ローラR1、テンション調整ローラRT1、回転ドラム(円筒ドラム)20、テンション調整ローラRT2、駆動ローラR2、および駆動ローラR3を有している。
エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置PR1から搬送される基板Pの幅方向(Y方向であって基板Pの短尺方向)における位置を調整する。駆動ローラR1は、エッジポジションコントローラEPCから搬送される基板Pの表裏両面を保持しながら回転し、基板Pを回転ドラム20へ向けて搬送する。回転ドラム20は、基板P上で所定のパターンが露光される部分をその円周面で支持する。回転ドラム20は、Y方向に延びる回転軸AXを中心に回転することで、基板PをX方向に搬送する。この回転軸AXには、図示しない回転駆動源(例えば、モータや減速機構等)からの回転トルクが与えられる。この前記回転駆動源は、制御部18によって制御される。なお、便宜的に、回転軸AXを通り、Z方向に延びる面を中心面cと呼ぶ。
駆動ローラR2、R3は、基板Pの搬送方向に沿って所定の間隔を空けて配置されており、露光後の基板Pに所定の弛み(あそび)を与えている。駆動ローラR2、R3は、駆動ローラR1と同様に、基板Pの表裏両面を保持しながら回転し、基板Pをプロセス装置PR2へ向けて搬送する。駆動ローラR2、R3は、回転ドラム20に対して搬送方向の下流側に設けられており、この駆動ローラR2は、駆動ローラR3に対して、搬送方向の上流側に設けられている。テンション調整ローラRT1、RT2は、回転ドラム20に巻き付けられて支持されている基板Pに、所定のテンションを与えている。
図2は、描画ヘッド14および回転ドラム20を支持する支持フレーム(装置コラム)30を示す図である。支持フレーム30は、本体フレーム32と、3点支持部34と、描画ヘッド支持部36とを有する。支持フレーム30は、温調チャンバーECV内に格納されている。本体フレーム32は、回転ドラム20と、テンション調整ローラRT1(不図示)、RT2を回転可能に支持している。3点支持部34は、本体フレーム32の上端に設けられ、回転ドラム20の上方に設けられた描画ヘッド支持部36を3点で支持する。
描画ヘッド支持部36は、描画ヘッド14を支持するものである。描画ヘッド支持部36は、描画ユニットU1、U3、U5を回転ドラム20の回転軸AXに対して搬送方向の下流側(+X側)で、且つ、基板Pの幅方向に沿って並列に支持する。また、描画ヘッド支持部36は、描画ユニットU2、U4、U6を回転軸AXに対して搬送方向の上流側(−X側)で、且つ、基板Pの幅方向(Y方向)に沿って並列に支持する。なお、ここで、1つの描画ユニットによるY方向の描画幅(スポット光の走査範囲)は、一例として20〜50mm程度であることから、奇数番の描画ユニットU1、U3、U5の3個と、偶数番の描画ユニットU2、U4、U6の3個との計6個の描画ユニットをY方向に配置することによって、描画可能なY方向の幅を120〜300mm程度に広げている。
図3は、描画ヘッド14の構成を示す図である。本第1の実施の形態では、露光装置EXは、2つの光源装置12(12a、12b)を備える。描画ヘッド14は、複数の描画ユニットU1〜U6と、光源装置12aからのレーザ光LBを複数の描画ユニットU1、U3、U5に導く光導入光学系40aと、光源装置12bからのレーザ光LBを複数の描画ユニットU2、U4、U6に導く光導入光学系40bとを有する。
まず、図4を用いて、光導入光学系40aについて説明する。なお、光導入光学系40a、40bは、同一の構成を有するので、ここでは、光導入光学系40aについて説明し、光導入光学系40bの説明を省略する。
光導入光学系40aは、光源装置12(12a)側から、集光レンズ42、コリメートレンズ44、反射ミラー46、集光レンズ48、ユニット選択用光学素子50、反射ミラー52、コリメートレンズ54、集光レンズ56、ユニット選択用光学素子58、反射ミラー60、コリメートレンズ62、集光レンズ64、ユニット選択用光学素子66、反射ミラー68、および吸収体70を有する。
集光レンズ42およびコリメートレンズ44は、光源装置12aから射出されたレーザ光LBを拡大するものである。詳しくは、まず、集光レンズ42はレーザ光LBを集光レンズ42の後側の焦点位置に収斂し、コリメートレンズ44は、集光レンズ42によって収斂された後に発散するレーザ光LBを所定のビーム径(例えば、数mm)の平行光にする。
反射ミラー46は、コリメートレンズ44によって平行光にされたレーザ光LBを反射させてユニット選択用光学素子50に照射する。集光レンズ48は、ユニット選択用光学素子50に入射するレーザ光LBを、ユニット選択用光学素子50内でビームウェストとなるように集光(収斂)させる。ユニット選択用光学素子50は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)が用いられる。AOMは超音波(高周波信号)を用いることで、入射したレーザ光LBを高周波の周波数に応じた回折角で回折させて、レーザ光LBの光路、つまり、進行方向を変える。AOMは、制御部18からの駆動信号のオンオフ(高周波信号のオンオフ)にしたがって、入射したレーザ光LBを回折させた回折光の発生をオンオフする。
詳しく説明すると、ユニット選択用光学素子50は、制御部18からオフの駆動信号が送られると、入射したレーザ光LBを次段のユニット選択用光学素子58に照射する。一方、制御部18からオンの駆動信号が送られると、ユニット選択用光学素子50は、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー52に照射する。反射ミラー52は、入射したレーザ光LBを反射させて、描画ユニットU1のコリメートレンズ100に照射する。すなわち、制御部18がユニット選択用光学素子50をオンオフにスイッチング(駆動)することで、ユニット選択用光学素子50は、レーザ光LBを描画ユニットU1に入射させるか否かを切り換える。
ユニット選択用光学素子50とユニット選択用光学素子58との間には、ユニット選択用光学素子58に照射されるレーザ光LBを平行光に戻すコリメートレンズ54と、コリメートレンズ54によって平行光にされたレーザ光を再びユニット選択用光学素子58内で集光(収斂)させる集光レンズ56とが、前記の順で設けられている。
ユニット選択用光学素子58は、ユニット選択用光学素子50と同様に、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。ユニット選択用光学素子58は、制御部18から送られてくる駆動信号(高周波信号)がオフのときは、入射したレーザ光LBをそのまま透過してユニット選択用光学素子66に照射し、制御部18から送られてくる駆動信号(高周波信号)がオンのときは、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー60に照射する。反射ミラー60は、入射したレーザ光LBを反射させて、描画ユニットU3のコリメートレンズ100に照射する。すなわち、制御部18がユニット選択用光学素子58をオンオフにスイッチングすることで、ユニット選択用光学素子58は、レーザ光LBを描画ユニットU3に入射させるか否かを切り換える。
ユニット選択用光学素子58とユニット選択用光学素子66との間には、ユニット選択用光学素子66に照射されるレーザ光LBを平行光に戻すコリメートレンズ62と、コリメートレンズ62によって平行光にされたレーザ光を再びユニット選択用光学素子66内で集光(収斂)させる集光レンズ64とが、前記の順で設けられている。
ユニット選択用光学素子66は、ユニット選択用光学素子50と同様に、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。ユニット選択用光学素子66は、制御部18からの駆動信号(高周波信号)がオフのときは、入射したレーザ光LBを吸収体70に向けて照射し、制御部18からの駆動信号(高周波信号)がオンのときは、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー68に向けて照射する。反射ミラー68は、入射したレーザ光LBを反射させて、描画ユニットU5のコリメートレンズ100に照射する。すなわち、制御部18がユニット選択用光学素子66をオンオフにスイッチングすることで、ユニット選択用光学素子66は、レーザ光LBを描画ユニットU5に入射させるか否かを切り換える。吸収体70は、レーザ光LBの外部への漏れを抑制するためのレーザ光LBを吸収する光トラップである。
なお、光導入光学系40bについては簡単に説明すると、光導入光学系40bのユニット選択用光学素子50、58、66は、レーザ光LBを描画ユニットU2、U4、U6に入射させるか否かを切り換える。この場合、光導入光学系40bの反射ミラー52、60、68は、ユニット選択用光学素子50、58、66から射出されるレーザ光LBを反射して描画ユニットU2、U4、U6のコリメートレンズ100に照射する。
次に、図3を用いて複数の描画ユニットU1〜U6について説明する。なお、各描画ユニットU1〜U6は、同一の構成を有するので、ここでは、描画ユニットU1についてのみ説明する。
描画ユニットU1は、図4に示した反射ミラー52の後のコリメートレンズ100、反射ミラー102、集光レンズ104、描画用光学素子106、コリメートレンズ108、反射ミラー110、シリンドリカルレンズ112、反射ミラー114、ポリゴンミラー(光走査部材、偏向部材)116、f−θレンズ118、シリンドリカルレンズ120、および反射ミラー122を有する。コリメートレンズ100、108、反射ミラー102、110、114、122、集光レンズ104、シリンドリカルレンズ112、120、およびf−θレンズ118は、光学レンズ系を構成する。
反射ミラー102は、コリメートレンズ100から入射したレーザ光LBを図3中で−Z方向に反射して、描画用光変調器としての描画用光学素子106に入射する。集光レンズ104は、描画用光学素子106に入射するレーザ光LB(平行光束)が、描画用光学素子106内でビームウェストとなるように集光(収斂)させる。描画用光学素子106は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。描画用光学素子106は、制御部18からの駆動信号がオフ状態のとき、入射したレーザ光LBを図示しない遮蔽板若しくは吸収体に照射し、制御部18からの駆動信号がオン状態のとき、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー110に照射する。前記遮蔽板および前記吸収体は、レーザ光LBの外部への漏れを抑制するためのものである。
反射ミラー110と描画用光学素子106との間には、反射ミラー110に入射するレーザ光LBを平行光にするコリメートレンズ108が設けられている。反射ミラー110は、入射したレーザ光LBを反射ミラー114に照射し、反射ミラー114は、入射したレーザ光LBをポリゴンミラー116に照射する。ポリゴンミラー(回転多面鏡)116は、Z方向に延びる回転軸116aと、回転軸116aの周りに形成された複数の反射面116bとを有する。回転軸116aを中心にこのポリゴンミラー116を所定の回転方向に回転させることで、反射面116bに照射されるレーザ光LBの反射角を連続的に変化させることができる。これにより、基板P上に照射されるレーザ光LBのスポット光の位置を走査方向(基板Pの幅方向、Y方向)に走査することができる。つまり、ポリゴンミラー116は、入射したレーザ光LBを偏向させて、図5に示す走査ライン(描画ライン)L1に沿ってスポット光を走査する。なお、ポリゴンミラー116は、図示しない回転駆動源(例えば、モータや減速機構等)によって一定の速度で回転する。この回転駆動源は、制御部18によって制御される。
反射ミラー110と反射ミラー114との間に設けられたシリンドリカルレンズ112は、走査方向と直交するZ方向(非走査方向)に関してレーザ光LBをポリゴンミラー116の反射面116b上でXY面と平行な方向に延びた長楕円状に集光する。このシリンドリカルレンズ112によって、反射面116bがZ方向(Z軸)に対して傾いている場合(面倒れ誤差がある場合)であっても、その影響を抑制することができ、基板P上に照射されるレーザ光LBによるスポット光の照射位置が、基板Pの搬送方向(X方向)にずれることを抑制する。
ポリゴンミラー116で反射したレーザ光LBは、集光レンズを含むf−θレンズ118に照射される。ポリゴンミラー116の回転角(θ/2)に応じて、f−θレンズ118への入射角がθとなる。f−θレンズ118は、その入射角θに比例した像高位置にレーザ光LBのスポット光を集光する。焦点距離をfとし、像高位置をyとすると、f−θレンズ118は、y=fθ、の関係を有する。したがって、このf−θレンズ118によって、容易に等速度の走査が可能になる。
f−θレンズ118から照射されたレーザ光LBは、反射ミラー122を介して基板P上にスポット光となって照射される。f−θレンズ118と反射ミラー122との間に設けられたシリンドリカルレンズ120は、基板P上に集光されるレーザ光LBのスポット光を直径数μm程度の微小な円形にするもので、その母線はY方向と平行になっている。これにより、基板P上にはスポット光(走査スポット)によるY方向に延びた走査ラインL1(図5参照)が規定される。シリンドリカルレンズ120が無い場合、ポリゴンミラー116の手前のシリンドリカルレンズ112の作用によって、基板P上に集光するスポット光は、走査方向(Y方向)と直交した方向(X方向)に伸びた長楕円形になってしまう。
このように、基板PがX方向に搬送されている状態で、各描画ユニットU1〜U6によって、レーザ光LBの走査スポットが走査方向(Y方向)に走査することで、所定のパターンが基板P上に描画される。この各描画ユニットU1〜U6は、基板P上の異なる領域を走査するように描画ヘッド支持部36に配置されている。なお、基板P上での走査スポットの走査方向の寸法(走査ラインの長さ)をDs、走査スポットの基板P上での走査速度をVsとしたとき、レーザ光LBの発振周波数Fsは、Fs≧Vs/Ds、の関係を満たす必要がある。レーザ光LBはパルス光であるため、発振周波数Fsが、Fs≧Vs/Ds、の関係を満たさないと、所定の間隔(隙間)を空けて基板P上にレーザ光LBの走査スポットが照射されてしまうからである。発振周波数Fsが、Fs≧Vs/Ds、の関係を満たすと、走査スポットが走査方向に関して互いに重なり合うように基板P上に照射することができるので、パルス発振するレーザ光LBであっても、走査方向に実質的に連続した直線パターンを基板P上に良好に描画することができる。
図5は、各描画ユニットU1〜U6によって、走査スポットが走査される走査ラインL(L1〜L6)を示す図である。複数の走査ライン(描画ライン)L1〜L6は、中心面cを挟んで、回転ドラム20の周方向に2列に配置される。走査ラインL1、L3、L5は、中心面cに対して搬送方向の下流側の基板P上に位置する。走査ラインL2、L4、L6は、中心面cに対して搬送方向の上流側の基板P上に位置する。各走査ラインL1〜L6は、基板Pの幅方向、つまり、回転ドラム20の回転軸AXに沿って略平行となっており、基板Pの幅方向の長さよりも短い。
走査ラインL1、L3、L5は、基板Pの幅方向に沿って所定の間隔を空けて配置され、走査ラインL2、L4、L6も同様に、基板Pの幅方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。このとき、走査ラインL2は、基板Pの幅方向において、走査ラインL1と走査ラインL3との間に配置される。同様に、走査ラインL3は、基板Pの幅方向において、走査ラインL2と走査ラインL4との間に配置される。走査ラインL4は、基板Pの幅方向において、走査ラインL3と走査ラインL5との間に配置される。走査ラインL5は、基板Pの幅方向において、走査ラインL4と走査ラインL6との間に配置される。すなわち、走査ラインL1〜L6は、基板P上に描画される露光領域Wの幅方向の全てをカバーするように配置される。
奇数番の走査ラインL1、L3、L5の各々に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。偶数番の走査ラインL2、L4、L6の各々に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。この走査ラインL1、L3、L5に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向と、走査ラインL2、L4、L6に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向とは互いに逆方向となっている。詳しくは、この走査ラインL2、L4、L6に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向は+Y方向であり、走査ラインL1、L3、L5に沿って走査されるレーザ光LBの走査方向(−Y方向)である。これは、描画ユニットU1〜U6のポリゴンミラー116として、同一方向に回転するポリゴンミラーを使用したことによる。これにより、走査ラインL1、L3、L5の描画開始位置と、走査ラインL2、L4、L6の描画開始位置とはY方向に関して隣接する。また、走査ラインL3、L5の描画終了位置と、走査ラインL2、L4の描画終了位置とはY方向に関して隣接する。なお、走査ラインL1〜L6の各々に沿って走査されるレーザ光LB(スポット光)の走査距離は同一とする。
図6は、各描画ユニットU1〜U6のポリゴンミラー116と、走査ラインL1〜L6の走査方向との関係を示す図である。複数の描画ユニットU1、U3、U5と複数の描画ユニットU2、U4、U6とにおいては、反射ミラー114、ポリゴンミラー116、およびf−θレンズ118が中心面cに対して対称な構成となっている。このため、各描画ユニットU1〜U6のポリゴンミラー116を同一の方向(左回り)に回転させることで、各描画ユニットU1、U3、U5は、描画開始位置から描画終了位置へ向けて−Y方向にレーザ光LBの走査スポットを走査し、各描画ユニットU2、U4、U6は、描画開始位置から描画終了位置へ向けて+Y方向にレーザ光LBの走査スポットを走査することになる。なお、各描画ユニットU2、U4、U6のポリゴンミラー116の回転方向を、各描画ユニットU1、U3、U5のポリゴンミラー116の回転方向と逆方向にすることで、各描画ユニットU1〜U6のレーザ光LBの走査スポットの走査方向を同一方向(+Y方向または−Y方向)に合わせるようにしてもよい。
ここで、ポリゴンミラー116は回転しているため、時間の経過と共に反射面116bの角度も変化する。したがって、ポリゴンミラー116の特定の反射面116bに入射したレーザ光LBを、f−θレンズ118に入射させることができるポリゴンミラー116の回転角度αは限られる。
図7は、ポリゴンミラー116の反射面116bがf−θレンズ118に入射するように、レーザ光LBを反射することができるポリゴンミラー116の回転角度αを説明するための図である。回転角度βは、特定の反射面116bへのレーザ光LBの入射が開始するときのポリゴンミラー116の角度から、前記特定の反射面116bへの入射が終了するときのポリゴンミラー116の角度までの回転角度を示している。回転角度βは、ポリゴンミラー116の反射面116bの数Nによって、β≒360/Nで規定される。したがって、ポリゴンミラー116の前記特定の反射面116bに入射したレーザ光LBをf−θレンズ118に入射することができない回転角度範囲γは、γ=β−α、の関係式で表される。すなわち、この回転角度範囲γにおいては、レーザ光LBを基板P上に照射することができない。この回転角度αと回転角度範囲γとは、数式(1)の関係を有する。
γ=(360度/N)−α …(1)
(但し、Nは、ポリゴンミラー116が有する反射面116bの数)
本第1の実施の形態では、ポリゴンミラー116は、8つの反射面116bを有するので、N=8、となる。したがって、数式(1)は、数式(2)で表すことができる。
γ=45度−α …(2)
また、有効描画期間である回転角度αと非描画期間である回転角度範囲γとは、数式(3)の関係式を有する。
γ=(m−1)×α …(3)
(但し、mは、1つの光源装置12からのレーザ光LBが入射する描画ユニットUの数)
本第1の実施の形態では、1つの光源装置12からのレーザ光LBを、3つの描画ユニットU(U1、U3、U5、または、U2、U4、U6)に入射させるので、mは3となる。したがって、数式(3)は、数式(4)で表すことができる。
γ=2×α …(4)
数式(2)と数式(4)とから、α=15度、となる。すなわち、ポリゴンミラー116の反射面116bに入射したレーザ光LBを、f−θレンズ118に入射するように反射することができるポリゴンミラー116の回転角度αは最大で15度となる。したがって、回転角度αを15度とした場合、非描画期間である回転角度範囲γは30度(回転角度αの2倍)となり、ポリゴンミラー116が回転角度範囲γ分だけ回転する間に、ポリゴンミラー116に入射したレーザ光LBは無駄となり、非効率である。このときの描画の走査効率は1/3となる。
なお、有効描画期間である回転角度αは、レーザ光LBがf−θレンズ118に入射して、スポット光が走査ライン(L1〜L6)上を有効に走査可能な範囲であるが、f−θレンズ118の前側の焦点距離等によっては回転角度αも変わる。上記と同じ8面のポリゴンミラー116で有効描画期間である回転角度αが10度の場合、数式(2)より、非描画期間である回転角度範囲γは35度となり、このときの描画の走査効率は約1/4(10/45)となる。逆に、有効描画期間である回転角度αが20度の場合、数式(2)より、非描画期間である回転角度範囲γは25度となり、このときの描画の走査効率は約1/2(20/45)となる。なお、走査効率が1/2以上の場合は、レーザ光LBを振り分ける描画ユニットUの数は2つであってもよい。つまり、レーザ光LBを振り分けることができる描画ユニットUの数は、走査効率によって制限される。
そこで、本第1の実施の形態においては、1つの光源装置12からのレーザ光LBを入射させる描画ユニットUを切り換えて、レーザ光LBを3つの描画ユニットUに周期的に振り分けることで、走査効率の向上を図る。つまり、3つの描画ユニットUの描画期間(走査スポットを走査する走査期間)を、互いにずらすことで、光源装置12からのレーザ光LBを無駄にすることなく、走査効率の向上を図る。
図8は、光導入光学系40aと複数の描画ユニットU1、U3、U5との光路を模式化した図である。制御部18からユニット選択用光学素子(AOM)50にオンの駆動信号が送られ、ユニット選択用光学素子58、66にオフの駆動信号が送られると、ユニット選択用光学素子50は入射したレーザ光LBを回折させる。これにより、レーザ光LBは、反射ミラー52によって描画ユニットU1に入射し、描画ユニットU3、U5には入射しない。同様に、制御部18からユニット選択用光学素子(AOM)58にオンの駆動信号が送られ、ユニット選択用光学素子50、66にオフの駆動信号が送られると、オフ状態のユニット選択用光学素子50を透過したレーザ光LBがユニット選択用光学素子58に入射し、ユニット選択用光学素子58は、入射したレーザ光LBを回折させる。これにより、レーザ光LBは、反射ミラー60によって描画ユニットU3に入射し、描画ユニットU1、U5には入射しない。また、制御部18からユニット選択用光学素子(AOM)66にオンの駆動信号が送られ、ユニット選択用光学素子50、58にオフの駆動信号が送られると、オフ状態のユニット選択用光学素子50、58を透過したレーザ光LBがユニット選択用光学素子66に入射し、ユニット選択用光学素子66は、入射したレーザ光LBを回折させる。これにより、レーザ光LBは、反射ミラー68によって描画ユニットU5に入射し、描画ユニットU1、U3には入射しない。
このように、光導入光学系40aの複数のユニット選択用光学素子50、58、66を光源装置12aからのレーザ光LBの進行方向に沿って直列に配置したことにより、複数のユニット選択用光学素子50、58、66は、複数の描画ユニットU1、U3、U5のうちのいずれか1つの描画ユニットUにレーザ光LBを入射させるかを選択して切り換えることができる。制御部18は、レーザ光LBが入射する描画ユニットUが、例えば、描画ユニットU1→描画ユニットU3→描画ユニットU5→描画ユニットU1、というような順番で周期的に切り換わるように、複数のユニット選択用光学素子50、58、66を制御する。すなわち、複数の描画ユニットU1、U3、U5の各々に順番に所定の走査時間だけレーザ光LBが入射するように切り換える。
描画ユニットU1のポリゴンミラー116は、描画ユニットU1にレーザ光LBが入射される期間に、入射したレーザ光LBをf−θレンズ118に向けて反射することができるように、その回転が制御部18によって制御されている。すなわち、描画ユニットU1にレーザ光LBが入射する期間と、描画ユニットU1によるレーザ光LBの走査スポットの走査期間(図7中の回転角度α)とは同期している。言い換えるならば、描画ユニットU1のポリゴンミラー116は、レーザ光LBが入射される期間と同期させて、描画ユニットU1に入射されたレーザ光LBの走査スポットを走査ラインL1に沿って走査するようにレーザ光LBを走査する。描画ユニットU3、U5のポリゴンミラー116も同様に、描画ユニットU3、U5にレーザ光LBが入射される期間に、入射したレーザ光LBをf−θレンズ118に反射することができるように、その回転が制御部18によって制御されている。すなわち、描画ユニットU3、U5にレーザ光LBが入射する期間と、描画ユニットU3、U5によるレーザ光LBの走査スポットの走査期間とは同期している。言い換えるならば、描画ユニットU3、U5のポリゴンミラー116は、レーザ光LBが入射される期間と同期させて、描画ユニットU3、U5に入射されたレーザ光LBの走査スポットを走査ラインL3、L5に沿って走査するようにレーザ光LBを走査する。
このように、1つの光源装置12aからのレーザ光LBは、3つの描画ユニットU1、U3、U5のいずれか1つの描画ユニットUに時分割的に供給されるため、描画ユニットU1、U3、U5の各々のポリゴンミラー116は、回転速度を一致させつつ、その回転角度位置が一定の角度差を保つ(位相差を保つ)ように回転駆動が制御される。その制御の具体例については、後述する。
また、制御部18は、各描画ユニットU1、U3、U5から照射されるレーザ光LBの走査スポットによって基板P上に描画されるパターンを規定する描画データに基づいて、各描画ユニットU1、U3、U5の描画用光学素子106に供給される駆動信号(高周波信号)のオンオフを制御する。これにより、各描画ユニットU1、U3、U5の描画用光学素子106は、このオンオフの駆動信号に基づいて、入射したレーザ光LBを回折させて、走査スポットの強度を変調させることができる。この描画データは、例えば、描画パターンの1ドット(画素)を3×3μmとし、1ドット毎に駆動信号をオン(描画)する場合は「1」、駆動信号をオフ(非描画)とする場合は「0」の2値データをビットマップデータとして生成したものであり、各描画ユニットU毎にメモリ(RAM)内に一時的に記憶されている。
詳しく説明すると、制御部18は、レーザ光LBが入射する描画ユニットUの描画データ(「0」、「1」のビットストリーム)に基づいて、レーザ光LBが入射する描画ユニットUの描画用光学素子(AOM)106にオンオフの駆動信号を入力する。描画用光学素子106は、オンの駆動信号が入力されると入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー110に照射し、オフの駆動信号が入力されると、入射したレーザ光LBを図示しない前記遮蔽板若しくは前記吸収体に照射する。その結果、レーザ光LBが入射する描画ユニットUは、オンの駆動信号が描画用光学素子106に入力されると、基板P上にレーザ光LBのスポット光を照射し(走査スポットの強度が高くなる)、オフの駆動信号が描画用光学素子106に入力されると基板P上にレーザ光LBのスポット光を照射しない(走査スポットの強度が0になる)。したがって、レーザ光LBが入射する描画ユニットUは、走査ラインLに沿って、描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。
例えば、制御部18は、描画ユニットU3にレーザ光LBが入射する場合は、描画ユニットU3の描画データに基づいて、描画ユニットU3の描画用光学素子106をオンオフにスイッチング(駆動)する。これにより、描画ユニットU3は、走査ラインL3に沿って描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。このようにして、各描画ユニットU1、U3、U5は、走査ラインL1、L3、L5に沿って走査ポットの強度を変調して、描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。
なお、図8を用いて、光導入光学系40aと複数の描画ユニットU1、U3、U5の動作について説明したが、光導入光学系40bと複数の描画ユニットU2、U4、U6についても同様である。簡単に説明すると、制御部18は、光源装置12bからのレーザ光LBが入射する偶数番の描画ユニットUが、例えば、描画ユニットU2→描画ユニットU4→描画ユニットU6→描画ユニットU2、というように順番に切り換わるように、複数のユニット選択用光学素子50、58、66を制御する。すなわち、複数の描画ユニットU1、U3、U5の各々に順番に所定の走査時間だけレーザ光LBが入射するように切り換える。また、制御部18は、各描画ユニットU2、U4、U6が走査ラインL2、L4、L6に沿って描画データに基づくパターンを基板P上に描画できるように、レーザ光LBが入射する描画ユニットUの描画データ(「0」、「1」のビットストリーム)に基づいて、該描画ユニットUの描画用光学素子(AOM)106を制御する。
以上のように、上記第1の実施の形態では、光源装置12a(12b)からのレーザ光LBの進行方向に沿って、複数のユニット選択用光学素子50、58、66を直列に配置したので、この複数のユニット選択用光学素子50、58、66によってレーザ光LBを複数の描画ユニットU1、U3、U5(描画ユニットU2、U4、U6)のうちいずれか1つの描画ユニットUに時分割で選択的に入射させることができ、レーザ光LBを無駄にすることなく、レーザ光LBの利用効率の向上を図ることができる。
また、複数(ここでは3つ)の描画ユニットUの各々のポリゴンミラー116の回転速度と回転位相とを相互に同期させると共に、複数のユニット選択用光学素子50、58、66によって各描画ユニットUにレーザ光LBが入射する期間に同期させて、走査スポットが基板P上を走査するようにレーザ光LBを走査するので、レーザ光LBを無駄にすることなく、走査効率の向上を図ることができる。
[上記第1の実施の形態の変形例]
上記第1の実施の形態は、以下のように変形してよい。上記第1の実施の形態では、レーザ光LBを3つの描画ユニットUに振り分けるようにしたが、本変形例では、1つの光源装置12からのレーザ光LBを5つの描画ユニットUに振り分ける。
図9は、上記第1の実施の形態の変形例における描画ヘッド14の構成を示す図である。本変形例では、光源装置12は1つであり、描画ヘッド14は、5つの描画ユニットU(U1〜U5)を有する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成については同様の符号を付したり、図示を省略したりし、異なる部分のみ説明する。なお、図9において、図3中に示したシリンドリカルレンズ120は図示を省略している。
本変形例では、光導入光学系40a、40bに代えて、光導入光学系130が用いられる。光導入光学系130は、図10に示すように、先の図4に示した集光レンズ42、コリメートレンズ44、反射ミラー46、集光レンズ48、ユニット選択用光学素子50、反射ミラー52、コリメートレンズ54、集光レンズ56、ユニット選択用光学素子58、反射ミラー60、コリメートレンズ62、集光レンズ64、ユニット選択用光学素子66、反射ミラー68、および吸収体70に加え、さらに、ユニット選択用光学素子132、反射ミラー134、コリメートレンズ136、集光レンズ138、ユニット選択用光学素子140、反射ミラー142、コリメートレンズ144、および集光レンズ146を備える。
ユニット選択用光学素子132、コリメートレンズ136、および集光レンズ138は、集光レンズ56とユニット選択用光学素子58との間に前記の順で設けられる。したがって、本変形例では、ユニット選択用光学素子50は、制御部18からオフの駆動信号を受けると、入射したレーザ光LBをそのまま透過してユニット選択用光学素子132に照射し、集光レンズ56は、ユニット選択用光学素子132に入射するレーザ光LBを、ユニット選択用光学素子132内でビームウェストとなるように集光させる。
ユニット選択用光学素子132は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。ユニット選択用光学素子132は、制御部18からオフの駆動信号を受けると、入射したレーザ光LBをそのまま透過してユニット選択用光学素子58に照射し、制御部18からオンの駆動信号が送られると、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー134に照射する。反射ミラー134は、入射したレーザ光LBを反射させて、描画ユニットU2のコリメートレンズ100に入射させる。すなわち、制御部18がユニット選択用光学素子132をオンオフにスイッチングすることで、ユニット選択用光学素子132は、レーザ光LBを描画ユニットU2に入射させるかを切り換える。コリメートレンズ136は、ユニット選択用光学素子58に照射されるレーザ光LBを平行光にするものであり、集光レンズ138は、コリメートレンズ136によって平行光にされたレーザ光LBをユニット選択用光学素子58内でビームウェストとなるように集光させる。
ユニット選択用光学素子140、コリメートレンズ144、および集光レンズ146は、集光レンズ64とユニット選択用光学素子66との間に前記の順で設けられる。したがって、本変形例では、ユニット選択用光学素子58は、制御部18からオフの駆動信号を受けると、入射したレーザ光LBをそのまま透過してユニット選択用光学素子140に照射し、集光レンズ64は、ユニット選択用光学素子140に入射するレーザ光LBを、ユニット選択用光学素子140内でビームウェストとなるように集光させる。
ユニット選択用光学素子140は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。ユニット選択用光学素子140は、制御部18からオフの駆動信号を受けると、入射したレーザ光LBをユニット選択用光学素子66に照射し、制御部18からオンの駆動信号が送られると、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー142に照射する。反射ミラー142は、入射したレーザ光LBを反射させて、描画ユニットU4のコリメートレンズ100に照射する。すなわち、制御部18がユニット選択用光学素子140をオンオフにスイッチングすることで、ユニット選択用光学素子140は、レーザ光LBを描画ユニットU4に入射させるかを切り換える。コリメートレンズ144は、ユニット選択用光学素子66に照射されるレーザ光LBを平行光にするものであり、集光レンズ146は、コリメートレンズ144によって平行光にされたレーザ光LBをユニット選択用光学素子66内でビームウェストとなるように集光させる。
この複数のユニット選択用光学素子(AOM)50、58、66、132、140をシリアル(直列)に配置することによって、複数の描画ユニットU1〜U5のうち、いずれか1つの描画ユニットUにレーザ光LBを入射させることができる。制御部18は、レーザ光LBが入射する描画ユニットUが、例えば、描画ユニットU1→描画ユニットU2→描画ユニットU3→描画ユニットU4→描画ユニットU5→描画ユニットU1、というような順番で周期的に切り換わるように、複数のユニット選択用光学素子50、132、58、140、66を制御する。すなわち、複数の描画ユニットU1〜U5の各々に順番に所定の走査時間だけレーザ光LBが入射するように切り換える。また、各描画ユニットU1〜U5のポリゴンミラー116は、制御部18による制御の下、レーザ光LBが入射される期間と同期させて、入射されたレーザ光LBの走査スポットを走査ラインL1〜L5に沿って走査するようにレーザ光LBを走査する。
すなわち、本実施の形態の場合、5つの描画ユニットU1〜U5の各ポリゴンミラー116は、回転角度位置が一定の角度分ずつ位相がずれるように同期回転する。また、本実施の形態の場合、5つの描画ユニットU1〜U5にレーザ光(ビーム)LBを時分割で振り分けるので、ポリゴンミラー116の1つの反射面116bにレーザ光LBが照射され得る角度範囲(図7中の回転角度β)と、反射面116bで反射されたレーザ光LBがf−θレンズ118に入射する最大の振れ角(図7中の角度2α)とが、β≧5αを満たすように、f−θレンズ118の前側焦点距離やポリゴンミラー116の反射面数Nが設定される。
このように、本変形例においても、レーザ光LBを無駄にすることなく、光源装置12からのレーザ光の利用効率を高めて、走査効率の向上を図ることができる。なお、本変形例では、1つの光源装置12からのレーザ光LBを5つの描画ユニットUに振り分けるようにしたが、1つの光源装置12からのレーザ光LBを2つの描画ユニットUに振り分けるようにしてもよいし、4つ、または、6つ以上の描画ユニットUに振り分けるようにしてもよい。この場合は、振り分ける描画ユニットUの数をn個とすると、ポリゴンミラー116の1つの反射面116bにレーザ光LBが照射され得る角度範囲(図7中の回転角度β)と、反射面116bで反射されたレーザ光LBがf−θレンズ118に入射する最大の振れ角(図7中の角度2α)とが、β≧n×αを満たすように、f−θレンズ118の前側焦点距離やポリゴンミラー116の反射面数Nが設定される。また、上記第1の実施の形態で説明したように、2つの光源装置12(12a、12b)からレーザ光LBを複数の描画ユニットUに振り分ける場合も、3つに限らず、任意の数の描画ユニットUに振り分けるようにしてもよい。例えば、光源装置12aからのレーザ光LBを5つの描画ユニットUに振り分け、光源装置12bからのレーザ光LBを4つの描画ユニットUに振り分けてもよい。
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、各描画ユニットU内のポリゴンミラー116の手前に描画用光学素子(AOM)106を設けるので、使用する描画用光学素子106の数が多くなり、高コストとなる。そこで、本第2の実施の形態では、1つの光源装置12からのレーザ光LBの光路上に1つの描画用光変調器(AOM)を設け、その1つの描画用光変調器を用いて複数の描画ユニットUから基板Pに照射させるレーザ光LBの強度を変調させてパターンを描画させる。すなわち、第2の実施の形態では、高い応答性が要求される描画用光変調器(AOM)を複数の描画ユニットUの手前に1つだけ配置し、各描画ユニットU側には、応答性が低くてよいユニット選択用光学素子(AOM)を配置する。
図11は、第2の実施の形態の描画ヘッド14の構成を示す図、図12は、図11に示す光導入光学系40aを示す図である。上記第1の実施の形態と同一の構成について同様の符号を付し、異なる部分のみ説明する。なお、図11において、図3中に示したシリンドリカルレンズ120は図示を省略し、光導入光学系40a、40bは、同一の構成を有するので、ここでは、光導入光学系40aについて説明し、光導入光学系40bの説明を省略する。図12に示すように、光導入光学系40aは、先の図4に示した集光レンズ42、コリメートレンズ44、反射ミラー46、集光レンズ48、ユニット選択用光学素子50、反射ミラー52、コリメートレンズ54、集光レンズ56、ユニット選択用光学素子58、反射ミラー60、コリメートレンズ62、集光レンズ64、ユニット選択用光学素子66、反射ミラー68、および吸収体70に加え、さらに、描画用光変調器としての描画用光学素子(AOM)150、コリメートレンズ152、集光レンズ154、および吸収体156を備える。本第2の実施の形態においては、図11に示すように、各描画ユニットU1〜U6内には、第1の実施の形態のような描画用光学素子106を有しない。
描画用光学素子150、コリメートレンズ152、および集光レンズ154は、集光レンズ48とユニット選択用光学素子50との間に前記の順で設けられている。したがって、本第2の実施の形態においては、反射ミラー46は、コリメートレンズ44によって平行光にされたレーザ光LBを反射させて描画用光学素子150に向ける。集光レンズ48は、描画用光学素子150に入射するレーザ光LBを、描画用光学素子150内でビームウェストとなるように集光させる。
描画用光学素子150は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられる。描画用光学素子150は、ユニット選択用光学素子50、58、66のうち、最も光源装置12(12a)側に位置する初段のユニット選択用光学素子50よりも光源装置12(12a)側に設けられている。描画用光学素子150は、制御部18からオフの駆動信号が送られると、入射したレーザ光LBを吸収体156に照射し、制御部18からオンの駆動信号が送られると、入射したレーザ光LBを回折させて初段のユニット選択用光学素子50に照射する。コリメートレンズ152は、ユニット選択用光学素子50に照射されるレーザ光LBを平行光にするものであり、集光レンズ154は、コリメートレンズ152によって平行光にされたレーザ光LBをユニット選択用光学素子50内でビームウェストとなるように集光させる。
図11に示すように、描画ユニットU1〜U6は、コリメートレンズ100、反射ミラー102、反射ミラー110、シリンドリカルレンズ112、反射ミラー114、ポリゴンミラー116、f−θレンズ118、シリンドリカルレンズ120(図11では図示を省略)、および反射ミラー122を有し、さらに、ビーム成形レンズとしての第1成形レンズ158aおよび第2成形レンズ158bとを有する。つまり、本第2の実施の形態においては、第1の実施の形態の集光レンズ104およびコリメートレンズ108に代えて、第1成形レンズ158aおよび第2成形レンズ158bが描画ユニットU1〜U6に設けられている。
図13は、図12の光導入光学系40aと複数の描画ユニットU1、U3、U5との光路を模式化した図である。制御部18は、各描画ユニットU1、U3、U5から照射されるレーザ光LBの走査スポットによって基板P上に描画されるパターンを規定する描画データ(ビットストリーム)に基づいて、光導入光学系40aの描画用光学素子150にオンオフの駆動信号を出力する。これにより、光導入光学系40aの描画用光学素子150は、このオンオフの駆動信号に基づいて、入射したレーザ光LBを回折させて、走査スポットの強度を変調(On/Off)させることができる。
詳しく説明すると、制御部18は、レーザ光LBが入射する描画ユニットUの描画データに基づいて、描画用光学素子150にオンオフの駆動信号を入力する。描画用光学素子150は、オンの駆動信号が入力されると入射したレーザ光LBを回折させて、ユニット選択用光学素子50に照射する(ユニット選択用光学素子50に入射するレーザ光LBの強度が高くなる)。一方、描画用光学素子150は、オフの駆動信号が入力されると、入射したレーザ光LBを吸収体156(図12)に照射する(ユニット選択用光学素子50に入射するレーザ光LBの強度が0になる)。したがって、レーザ光LBが入射する描画ユニットUは、走査ラインLに沿って、強度が変調したレーザ光LBを基板Pに照射することができ、描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。
例えば、描画ユニットU3にレーザ光LBが入射する場合は、制御部18は、描画ユニットU3の描画データに基づいて、光導入光学系40aの描画用光学素子150をオンオフにスイッチングする。これにより、描画ユニットU3は、走査ラインL3に沿って、強度が変調したレーザ光LBを基板Pに照射することができ、描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。レーザ光LBが入射する描画ユニットUは、例えば、描画ユニットU1→描画ユニットU3→描画ユニットU5→描画ユニットU1、というように、順次切り換わる。したがって、制御部18は、同様に、描画ユニットU1の描画データ→描画ユニットU3の描画データ→描画ユニットU5の描画データ→描画ユニットU1の描画データというように、光導入光学系40aの描画用光学素子150に送るオンオフ信号を決定する描画データを順次切り換える。そして、制御部18は、順次切り換えた描画データに基づいて光導入光学系40aの描画用光学素子150を制御する。これにより、各描画ユニットU1、U3、U5は、走査ラインL1、L3、L5に沿って、強度が変調したレーザ光LBを基板Pに照射することで、描画データに応じたパターンを基板P上に描画することができる。
以上、第2の実施の形態に適用される制御系の一部の構成とその動作について、図14〜図16を参照して詳述する。なお、以下説明する構成および動作は、第1の実施の形態にも適用可能である。図14は、一例として、図11、図13中の3つの描画ユニットU1、U3、U5の各々に設けられるポリゴンミラー116の回転制御系のブロック図であり、描画ユニットU1、U3、U5の構成は同じなので、同じ部材には同じ符号を付してある。描画ユニットU1、U3、U5の各々には、ポリゴンミラー116によって基板P上に生成される走査ライン(描画ライン)L1、L3、L5の走査開始タイミングを光電的に検知する原点センサーSz1、Sz3、Sz5が設けられる。原点センサーSz1、Sz3、Sz5は、ポリゴンミラー116の反射面116bに光を投射して、その反射光を受光する光電検出器であり、スポット光が走査ラインL1、L3、L5の走査開始点の直前の位置に来る度に、パルス状の原点信号ZP1、ZP3、ZP5を各々出力する。
タイミング計測部180は、原点信号ZP1、ZP3、ZP5を入力し、原点信号ZP1、ZP3、ZP5の各々の発生タイミングが所定の許容範囲(時間間隔)内になっているか否かを計測し、その許容範囲からの誤差が生じたら、それに応じた偏差情報をサーボ制御部182に出力する。サーボ制御部182は、各描画ユニットU1、U3、U5内のポリゴンミラー116を回転駆動するモータMpの各サーボ駆動回路部に、偏差情報に基づいた指令値を出力する。モータMpの各サーボ駆動回路部は、モータMpの回転軸に取り付けられたエンコーダENからのアップ・ダウンパルス信号(以下、エンコーダ信号)を入力して、ポリゴンミラー116の回転速度に応じた速度信号を出力する帰還回路部FBCと、サーボ制御部182からの指令値と帰還回路部FBCからの速度信号とを入力して、指令値に応じた回転速度になるようにモータMpを駆動するサーボ駆動回路(アンプ)SCCとで構成される。なお、サーボ駆動回路部(帰還回路部FBC、サーボ駆動回路SCC)、タイミング計測部180、および、サーボ制御部182は、制御部18の一部を構成する。
本第2の実施の形態では、3つの描画ユニットU1、U3、U5内の各ポリゴンミラー116が、その回転角度位置に一定の位相差を保ちつつ同じ速度で回転させる必要があり、それを実現するために、タイミング計測部180は原点信号ZP1、ZP3、ZP5を入力し、例えば、図15のタイミングチャートに示すような計測を行う。
図15は、3つのポリゴンミラー116が、回転角度に関して所定の許容範囲内の位相差で回転している場合に生成される各種の信号波形を模式的に示す。各ポリゴンミラー116を回転させた直後は、原点信号ZP1、ZP3、ZP5の相対的な位相差はばらばらであるが、タイミング計測部180は、例えば、原点信号ZP1を基準として、他の原点信号ZP3、ZP5が原点信号ZP1と同じ周波数(周期)で発生し、且つ3つの原点信号ZP1、ZP3、ZP5間の時間間隔Ts1、Ts2、Ts3が共に等しい状態を基準値とし、それに対する誤差に応じた補正情報を計測する。タイミング計測部180は、その補正情報をサーボ制御部182に出力し、それによって描画ユニットU3、U5の各モータMpがサーボ制御され、3つの原点信号ZP1、ZP3、ZP5の発生タイミングが、図15のようにTs1=Ts2=Ts3で安定するように制御される。
原点信号ZP1、ZP3、ZP5の発生タイミングが安定すると、タイミング計測部180は、先の図11〜図13中に示したユニット選択用光学素子50、58、66の各々に、描画イネーブル(On)信号SP1、SP3、SP5を出力する。描画イネーブル(On)信号SP1、SP3、SP5は、ここではHレベルの期間中だけ、対応するユニット選択用光学素子50、58、66に変調動作(光の偏向スイッチング動作)を行わせる。3つの原点信号ZP1、ZP3、ZP5が安定して一定の位相差(ここでは原点信号ZP1の周期の1/3)に維持されることから、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5の各立上り(L→H)も一定の位相差を持つ。
描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5の降下(H→L)のタイミングは、各走査ラインL1、L3、L5内でスポット光をOn/Offするためのクロック信号CLKを、タイミング計測部180内のカウンタで計測することで設定される。そのクロック信号CLKは、描画用光学素子150(或いは図3中の描画用光学素子106)のOn/Offのタイミングをつかさどるものであり、走査ライン(L1、L3、L5)の長さ、スポット光の基板P上での寸法、スポット光の走査速度等によって決まる。例えば、走査ラインLの長さが30mm、スポット光の寸法(直径)が6μmであり、スポット光を走査方向に3μmずつオーバーラップさせてOn/Offさせる場合、タイミング計測部180内のカウンタは、クロック信号CLKを10000カウント(30mm/3μm)したら、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5を降下(H→L)させればよい。
また、ポリゴンミラー116の反射面116bを10面とし、その回転速度をVr(rpm)とすると、各原点信号ZP1、ZP3、ZP5の周波数は、10Vr/60(Hz)となる。したがって、時間間隔がTs1=Ts2=Ts3に安定した場合、時間間隔Ts1は、60/(30Vr)秒となる。一例として、ポリゴンミラー116の基準の回転速度Vrを8000rpmとすると、時間間隔Ts1は、60/(30・8000)秒=250μSとなる。
図15のように、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5のOn時間(Hレベルの継続時間)Toaは、ポリゴンミラー116からのレーザ光(ビーム)LBが基板P上にスポット光として投射される期間(投射期間)であるが、時間間隔Ts1よりも短く設定する必要がある。そこで、例えば、On時間Toaを200μSに設定すると、この間に10000カウントするためのクロック信号CLKの周波数は、10000/200=50(MHz)となる。このようなクロック信号CLKに同期して、描画データ(ビットマップ上の「0」または「1」)から生成される走査ラインLに対応した描画ビット列データ(10000ビット分)Sdwが、描画用光学素子150に出力される。なお、図3のように、描画ユニットU1、U3、U5の各々に、描画用光学素子106が設けられる構成では、走査ラインL1に対応した描画ビット列データSdwは描画ユニットU1の描画用光学素子106に送られ、走査ラインL3に対応した描画ビット列データSdwは描画ユニットU3の描画用光学素子106に送られ、走査ラインL5に対応した描画ビット列データSdwは描画ユニットU5の描画用光学素子106に送られる。
本第2の実施の形態では、3つの走査ラインL1、L3、L5の各々に対応した描画データから生成される描画ビット列データSdwが、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5(または原点信号ZP1、ZP3、ZP5)に同期して順番に描画用光学素子150のOn/Offのために供給される。
図16は、そのような描画ビット列データSdwを生成する回路の一例を示し、該回路は、生成回路(描画データ生成回路)501、503、505と、OR回路GT4とを有する。生成回路501は、メモリ部BM1、カウンタ部CN1、および、ゲート部GT1を備え、生成回路503は、メモリ部BM3、カウンタ部CN3、および、ゲート部GT3を備え、生成回路505は、メモリ部BM5、カウンタ部CN5、および、ゲート部GT5を備える。この生成回路501、503、505、および、OR回路GT4は、制御部18の一部を構成する。
メモリ部BM1、BM3、BM5は各描画ユニットU1、U3、U5が描画露光すべきパターンに対応したビットマップデータを一次記憶するメモリである。カウンタ部CN1、CN3、CN5は、各メモリ部BM1、BM3、BM5内のマップデータのうち、次に描画すべき1走査ライン分のビット列(例えば、10000ビット)を1ビットずつクロック信号CLKに同期したシリアルデータDL1、DL3、DL5として、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5がOnの期間中に出力させるためのカウンタである。
各メモリ部BM1、BM3、BM5内のマップデータは、不図示のアドレスカウンタ等によって、1走査ライン分のデータごとシフトされる。そのシフトは、例えば、メモリ部BM1であれば、1走査ライン分のシリアルデータDL1を出力し終わった後で、次にアクティブとなる描画ユニットU3の原点信号ZP3が発生したタイミングで行われる。同様に、メモリ部BM3内のマップデータのシフトは、シリアルデータDL3が出力し終わった後で、次にアクティブとなる描画ユニットU5の原点信号ZP5が発生したタイミングで行われ、メモリ部BM5内のマップデータのシフトは、シリアルデータDL5が出力し終わった後で、次にアクティブとなる描画ユニットU1の原点信号ZP1が発生したタイミングで行われる。
このようにして順次生成される各シリアルデータDL1、DL3、DL5は、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5のOn期間中に開かれるゲート部GT1、GT3、GT5を通って、3入力のOR回路GT4に印加される。OR回路GT4は、シリアルデータDL1→DL3→DL5→DL1・・・の順に繰り返し合成したビットデータ列を描画ビット列データSdwとして描画用光学素子150のOn/Offのために出力する。なお、図3のように、描画ユニットU1、U3、U5の各々に、描画用光学素子106が設けられる構成では、ゲート部GT1から出力されるシリアルデータDL1を描画ユニットU1内の描画用光学素子106に送り、ゲート部GT3から出力されるシリアルデータDL3を描画ユニットU3内の描画用光学素子106に送り、ゲート部GT5から出力されるシリアルデータDL5を描画ユニットU5内の描画用光学素子106に送ればよい。
以上のように、描画用光学素子150(或いは106)のOn/Offは、高速なクロック信号CLK(例えば50MHz)に応答する必要があるが、ユニット選択用光学素子50、58、66は、描画イネーブル信号SP1、SP3、SP5(または原点信号ZP1、ZP3、ZP5)に同期して、On/Offを行えばよく、その応答周波数は、先の数値例の場合、時間間隔Toa(またはTs1)が200μSであったので10KHz程度でよく、透過率が高く安価なものを利用できる。なお、タイミング計測部180内のカウンタで計数されたり、図16中のカウンタ部CN1、CN3、CN5で計数されるクロック信号CLKの周波数をFcc、光源装置12からのレーザ光LBのパルス発振の基本周波数をFsとすると、nを1以上(好ましくはn≧2)の整数として、n・Fcc=Fsの関係を満たすように設定するのがよい。
以上、図13を用いた光導入光学系40aと複数の描画ユニットU1、U3、U5の動作、および図14〜16を用いた各描画ユニットU1、U3、U5による描画タイミング等について説明したが、光導入光学系40bと複数の描画ユニットU2、U4、U6についても同様である。簡単に説明すると、レーザ光LBが入射する描画ユニットUは、例えば、描画ユニットU2→描画ユニットU4→描画ユニットU6→描画ユニットU2、というように、順次切り換わる。したがって、制御部18は、同様に、描画ユニットU2の描画データ→描画ユニットU4の描画データ→描画ユニットU6の描画データ→描画ユニットU2の描画データというように、光導入光学系40bの描画用光学素子150に送るオンオフ信号を決定する描画データを順次切り換える。そして、制御部18は、順次切り換えた描画データに基づいて光導入光学系40bの描画用光学素子150を制御する。または、図16に示したような回路構成で3つの走査ライン分の描画データを合成した描画ビット列データSdwを生成して描画用光学素子150に供給する。これにより、各描画ユニットU2、U4、U6は、走査ラインL2、L4、L6に沿って、強度が変調したレーザ光LBを基板Pに照射することで、描画データに基づくパターンを基板P上に描画することができる。
以上の上記第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態の効果に加え、以下の効果が得られる。すなわち、光導入光学系40a内に1つの描画用光学素子150を設け、該描画用光学素子150を初段のユニット選択用光学素子50より光源装置12a側に配置し、1つの描画用光学素子150で、複数の描画ユニットU1、U3、U5から基板Pに照射されるレーザ光LBの強度をパターンに応じて変調させる。同様に、光導入光学系40b内に1つの描画用光学素子150を設け、該描画用光学素子150を初段のユニット選択用光学素子50より光源装置12b側に配置し、1つの描画用光学素子150で、複数の描画ユニットU2、U4、U6から基板Pに照射されるレーザ光LBの強度をパターンに応じて変調させる。これにより、音響光学変調素子の数を減らすことができ、コストが低廉になる。
なお、上記第2の実施の形態では、レーザ光LBを3振り分けする描画ヘッド14で説明したが、上記第1の実施の形態の変形例で説明したように、レーザ光LBを5振り分けする描画ヘッド14であってもよい(図9および図10参照)。また、図9および図10の場合は、光源装置12は1つなので、描画用光学素子150も1つとなる。
[第2の実施の形態の変形例]
上記第2の実施の形態は、以下のように変形してもよい。上記第2の実施の形態では、描画用光変調器として描画用光学素子150を光導入光学系40a、40bに設けたが、本変形例では、描画用光学素子150に代えて、光源装置12(12a、12b)内にそれぞれ描画用光変調器を設ける。なお、上記第2の実施の形態と同一の構成については同様の符号を付したり、図示を省略したりし、異なる部分のみ説明する。また、光源装置12a、12bに描画用光変調器を設けた光源装置をそれぞれ光源装置12A、12Bと呼び、光源装置12Aと光源装置12Bとは同一の構成を有するので、光源装置12Aについてのみ説明する。
図17は、本変形例の光源装置(パルス光源装置、パルスレーザ装置)12Aの構成を示す図である。ファイバーレーザ装置としての光源装置12Aは、DFB半導体レーザ素子200、DFB半導体レーザ素子202、偏光ビームスプリッタ204、描画用光変調器としての電気光学素子206、この電気光学素子206の駆動回路206a、偏光ビームスプリッタ208、吸収体210、励起光源212、コンバイナ214、ファイバー光増幅器216、波長変換光学素子218、波長変換光学素子220、複数のレンズ素子GL、およびクロック発生器222aを含む制御回路(制御回路部)222を備える。
DFB半導体レーザ素子(第1レーザ素子)200は、所定周波数Fsで俊鋭若しくは尖鋭のパルス状の種光(レーザ光)S1を発生し、DFB半導体レーザ素子(第2レーザ素子)202は、所定周波数Fsで緩慢(時間的にブロード)なパルス状の種光(レーザ光)S2を発生する。DFB半導体レーザ素子200が発生する種光S1と、DFB半導体レーザ素子202が発生する種光S2とは、エネルギーは略同一であるが、偏光状態が互いに異なり、ピーク強度は種光S1の方が強い。本変形例では、DFB半導体レーザ素子200が発生する種光S1の偏光状態をS偏光とし、DFB半導体レーザ素子202が発生する種光S2の偏光状態をP偏光として説明する。このDFB半導体レーザ素子200、202は、クロック発生器222aで生成されるクロック信号LTC(基本周波数Fs)に応答して、制御回路222の電気的な制御によって、発振周波数Fsで種光S1、S2を発光するように制御される。なお、このクロック信号LTCは、図16に示したカウンタ部CN1、CN3、CN5の各々に供給されるクロック信号CLKのベースとなるもので、クロック信号LTCをn分周(nは2以上の整数が好ましい)したものがクロック信号CLKとなる。また、クロック発生器222aは、クロック信号LTCの基本周波数Fsを±ΔFだけ調整する機能、すなわち、レーザ光LBのパルス発振の時間間隔を微調する機能も有する。これによって、例えば、スポット光の走査速度Vsが僅かに変動しても、基本周波数Fsを微調整することで、走査ラインLに渡って描画されるパターンの寸法(描画倍率)を精密に保つことができる。
偏光ビームスプリッタ204は、S偏光の光を透過し、P偏光の光を反射するものであり、DFB半導体レーザ素子200が発生した種光S1と、DFB半導体レーザ素子202が発生した種光S2とを、電気光学素子206に照射する。詳しくは、偏光ビームスプリッタ204は、DFB半導体レーザ素子200が発生したS偏光の種光S1を透過することで種光S1を電気光学素子206に照射し、DFB半導体レーザ素子202が発生したP偏光の種光S2を反射することで種光S2を電気光学素子206に照射する。
電気光学素子(変調部材)206は、種光S1、S2に対して透過性を有するものであり、例えば、電気光学変調器(EOM:Electro-Optic Modulator)が用いられる。EOMは、先の図16に示した描画ビット列データSdw(またはシリアルデータDLn)のOn/Off状態(H、またはL)に応答して、偏光ビームスプリッタ204を通ってきた種光S1、S2の偏光状態を駆動回路(駆動回路部)206aによって切り換えるものである。例えば、描画ビット列データSdw(またはDLn)がOff状態(L)のとき、電気光学素子206は、入射した種光S1またはS2の偏光状態を変えずにそのまま偏光ビームスプリッタ208に照射し、描画ビット列データSdw(またはDLn)がOn状態(H)のとき、電気光学素子206は入射した種光S1またはS2の偏光状態を変えて(偏光方向を90度変えて)偏光ビームスプリッタ208に照射する。したがって、電気光学素子206は、描画ビット列データSdw(またはDLn)がOn状態(H)のとき、S偏光の種光S1をP偏光の種光S1に変換し、P偏光の種光S2をS偏光の種光S2に変換する。
偏光ビームスプリッタ208は、P偏光の光は透過してレンズ素子GLを介してコンバイナ214に照射し、S偏光の光は反射させて吸収体210に照射する。励起光源212は励起光を発生し、該発生した励起光は、光ファイバー212aを介してコンバイナ214に導かれる。コンバイナ214は、偏光ビームスプリッタ208から照射された種光と励起光とを合成して、ファイバー光増幅器(光増幅器)216に出力する。ファイバー光増幅器216は、励起光によって励起されるレーザ媒質がドープされている。したがって、合成された種光および励起光が伝送するファイバー光増幅器216内では、励起光によってレーザ媒質が励起されることにより種光が増幅される。ファイバー光増幅器216内にドープされるレーザ媒質としては、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)、ツリウム(Tm)等の希土類元素が用いられる。この増幅された種光は、ファイバー光増幅器216の射出端216aから所定の発散角を伴って放射され、レンズ素子GLによって収斂またはコリメートされて波長変換光学素子218に入射する。
波長変換光学素子(第1の波長変換光学素子、波長変換光学部材)218は、第2高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)によって、入射した種光(波長λ)を、波長がλの1/2の第2高調波に変換する。波長変換光学素子218として、疑似位相整合(Quasi Phase Matching:QPM)結晶であるPPLN(Periodically Poled LiNbO3)結晶が好適に用いられる。なお、PPLT(Periodically Poled LiTaO3)結晶等を用いることも可能である。
波長変換光学素子(第2の波長変換光学素子、波長変換光学部材)220は、波長変換光学素子218が変換した第2高調波(波長λ/2)と、波長変換光学素子218によって変換されずに残留した種光(波長λ)との和周波発生(Sum Frequency Generation:SFG)により、波長がλの1/3の第3高調波を発生する。この第3高調波が、370mm以下の波長帯域にピーク波長を有する紫外線光(レーザ光LB)となる。
以上のように、図16に示した描画データ生成回路から送出される描画ビット列データSdw(またはDLn)を、図17の電気光学素子206に印加する構成とした場合、描画ビット列データSdw(またはDLn)がOff状態(L)のとき、電気光学素子206は、入射した種光S1またはS2の偏光状態を変えずにそのまま偏光ビームスプリッタ208に照射するので、偏光ビームスプリッタ208を透過する種光は、DFB半導体レーザ素子202からの種光S2となる。したがって、光源装置12Aから最終的に出力されるレーザ光LBは、DFB半導体レーザ素子202からの種光S2と同じ発振プロファイル(時間特性)を有する。すなわち、レーザ光LBは、パルスのピーク強度が低く、時間的にブロードな鈍った特性となる。ファイバー光増幅器216は、そのようにピーク強度が低い種光S2に対する増幅効率が低いため、光源装置12Aから出力されるレーザ光LBは露光に必要なエネルギーまで増幅されない光となる。したがって、この場合は、露光という観点から見れば、実質的に光源装置12Aはレーザ光LBを射出していないのと同じ結果となる。但し、各走査ラインL1〜L6に沿ってパターン描画が行われない期間(非投射期間)では、種光S2由来の紫外域のレーザ光LBが僅かな強度であっても放射され続けるので、走査ラインL1〜L6が、長時間、基板P上の同じ位置に照射されるような状況(例えば、搬送系のトラブルによる基板Pの緊急停止等)が生じる場合は、光源装置12Aのレーザ光LBの射出窓に可動シャッターを設けて、射出窓を閉じるようにするとよい。
一方、図17の電気光学素子206に印加する描画ビット列データSdw(またはDLn)がOn状態(H)のとき、電気光学素子206は、入射した種光S1またはS2の偏光状態を変えて偏光ビームスプリッタ208に照射するので、偏光ビームスプリッタ208を透過する種光は、DFB半導体レーザ素子200からの種光S1となる。したがって、光源装置12Aから出力されるレーザ光LBは、DFB半導体レーザ素子200からの種光S1に由来して生成されたものとなる。DFB半導体レーザ素子200からの種光S1はピーク強度が強いため、ファイバー光増幅器216によって効率的に増幅され、光源装置12Aから出力されるレーザ光LBは、基板Pの露光に必要なエネルギーを持つ。
このように、光源装置12A内に、描画用光変調器としての電気光学素子206を設けたので、上記第2の実施の形態において描画用光学素子150を制御するのと同様に、電気光学素子206を制御することで、上記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。つまり、レーザ光LBが入射する描画ユニットUの描画データ(或いは図15、図16中の描画ビット列データSdw)に基づいて、電気光学素子206をオンオフにスイッチング(駆動)することで、初段のユニット選択用光学素子50に入射するレーザ光LBの強度、すなわち、基板P上に照射されるレーザ光LBの走査スポットの強度を描画すべきパターンに応じて変調させることができる。
なお、光源装置12Aは、DFB半導体レーザ素子202および偏光ビームスプリッタ204を有しない構造であってもよい。この場合は、電気光学素子206には、DFB半導体レーザ素子200からの種光S1のみが照射される。そして、描画データに基づいて電気光学素子206をオンオフにスイッチングすることで、初段のユニット選択用光学素子50に入射するレーザ光LBの強度を変調させることができる。しかしながら、この構成を採用すると、種光S1のファイバー光増幅器216への入射周期性が描画すべきパターンに応じて大きく乱される。すなわち、ファイバー光増幅器216にDFB半導体レーザ素子202からの種光S1が入射しない状態が続いた後に、ファイバー光増幅器216に種光S1が入射すると、入射直後の種光S1は通常のときよりも大きな増幅率で増幅され、ファイバー光増幅器216からは、規定以上の大きな強度を持つビームが発生するという問題がある。そこで、本変形例では、好ましい態様として、ファイバー光増幅器216に種光S1が入射しない期間に、DFB半導体レーザ素子202からの種光S2(ピーク強度が低いブロードなパルス光)をファイバー光増幅器216に入射することで、このような問題を解決している。
また、電気光学素子206をスイッチングするようにしたが、描画データ(描画ビット列データSdw)に基づいて、DFB半導体レーザ素子200、202を駆動するようにしてもよい。つまり、制御回路222は、描画データ(描画ビット列データSdw、またはDLn)に基づいて、DFB半導体レーザ素子200、202を制御して、基本周波数Fsでパルス状に発振する種光S1、S2を選択的(択一的)に発生させる。この場合は、偏光ビームスプリッタ204、208、電気光学素子206、および吸収体210は不要となり、DFB半導体レーザ素子200、202のいずれか一方から選択的にパルス発振される種光S1、S2の一方が、直接コンバイナ214に入射する。このとき、制御回路222は、DFB半導体レーザ素子200からの種光S1と、DFB半導体レーザ素子202からの種光S2とが同時にファイバー光増幅器216に入射しないように、各DFB半導体レーザ素子200、202の駆動を制御する。すなわち、基板Pにレーザ光LBを照射する場合は、種光S1のみがファイバー光増幅器216に入射するようにDFB半導体レーザ素子200を制御する。また、基板Pにレーザ光LBを照射しない場合には、種光S2のみがファイバー光増幅器216に入射するようにDFB半導体レーザ素子202を制御する。この基板Pにレーザ光LBを照射するか否かは、描画データ(描画ビット列データSdwのHまたはL)に基づいて決定される。
このように、本変形例においても、音響光学変調素子の数を減らすことができ、コストが低廉になる。
なお、本変形例の光源装置12A、12Bを、上記第1の実施の形態の光源装置12a、12bに用いてもよい。この場合は、光源装置12A、12Bから出力されるDFB半導体レーザ素子200からの種光S1の出力タイミングと、各描画ユニットU1〜U6の描画用光学素子106のスイッチングとを、描画データ(描画ビット列データSdw)に基づいて制御してもよい。
[第3の実施の形態]
次に、図18を参照して、第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態では、第2の実施の形態の変形例で説明した光源装置12A(図17参照)、12Bを用いることを前提とする。但し、第3の実施の形態に適するように、図17の光源装置12Aの制御回路222内のクロック発生器222aは、図18に示す描画制御用の制御ユニット(制御回路500)からの倍率補正情報CMgに応じて、クロック信号LTCの時間間隔を部分的(離散的)に伸縮する機能を備える。同様に、光源装置12Bの制御回路222内のクロック発生器222aも、倍率補正情報CMgに応じて、クロック信号LTCの時間間隔を部分的(離散的)に伸縮する機能を備える。なお、光源装置12B、光導入光学系40b、および、描画ユニットU2、U4、U6の動作は、光源装置12A、光導入光学系40a、および、描画ユニットU1、U3、U5の動作と同様なので、光源装置12B、光導入光学系40b、および、描画ユニットU2、U4、U6の動作については説明を省略する。また、上記第2の実施の形態の変形例と同一の構成については同様の符号を付したり、図示を省略したりし、異なる部分のみ説明する。
図18において、1つの光源装置12Aからのレーザ光(ビーム)LBは、先の図12、図13の構成と同様に、ユニット選択用光学素子50、58、66を介して、それぞれ3つの描画ユニットU1、U3、U5に供給される。ユニット選択用光学素子50、58、66の各々は、図14、図15で説明した描画イネーブル(On)信号SP1、SP3、SP5に応答して択一的にレーザ光LBを偏向(スイッチング)し、描画ユニットU1、U3、U5のいずれか1つにレーザ光LBを導く。なお、先に説明したように、各走査ラインに沿ってパターン描画が行われない期間(非投射期間)で、種光S2由来の紫外域のレーザ光LBが僅かな強度であっても放射され続け、各走査ラインが長時間に渡って基板P上の同じ位置に照射されるような状況が生じる場合を考慮して、光源装置12Aのレーザ光LBの射出窓には可動シャッターSSTが設けられる。
図14で示したように、各描画ユニットU1、U3、U5の原点センサーSz1、Sz3、Sz5からの原点信号ZP1、ZP3、ZP5は、描画ユニットU1、U3、U5ごとの描画データを生成する生成回路(描画データ生成回路)501、503、505に供給される。生成回路501は、図16中のゲート部GT1、メモリ部BM1、カウンタ部CN1等を含み、カウンタ部CN1は光源装置12Aの制御回路222(クロック発生器222a)から出力されるクロック信号LTCをベースに作られるクロック信号CLK1を計数するように構成される。
同様に、生成回路503は、図16中のゲート部GT3、メモリ部BM3、カウンタ部CN3等を含み、カウンタ部CN3はクロック信号LTCをベースに作られるクロック信号CLK3を計数するように構成され、生成回路505は、図16中のゲート部GT5、メモリ部BM5、カウンタ部CN5等を含み、カウンタ部CN5はクロック信号LTCをベースに作られるクロック信号CLK5を計数するように構成される。
それらのクロック信号CLK1、CLK3、CLK5は、各生成回路501、503、505と光源装置12Aとの間のインターフェースとして機能する制御回路500によって、クロック信号LTCを1/n(nは2以上の整数)分周して作られる。そのクロック信号CLK1、CLK3、CLK5の各カウンタ部CN1、CN3、CN5への供給は、描画イネーブル(On)信号SP1、SP3、SP5(図15参照)に応答して、いずれか1つに制限される。すなわち、描画イネーブル信号SP1がOn(H)のときは、クロック信号LTCを1/n分周したクロック信号CLK1のみがカウンタ部CN1に供給され、描画イネーブル信号SP3がOn(H)のときは、クロック信号LTCを1/n分周したクロック信号CLK3のみがカウンタ部CN3に供給され、描画イネーブル信号SP5がOn(H)のときは、クロック信号LTCを1/n分周したクロック信号CLK5のみがカウンタ部CN5に供給される。
これによって、各生成回路501、503、505の各々から順番に出力されるシリアルデータDL1、DL3、DL5はそれぞれゲート部GT1、GT3、GT5を介して、制御回路500内に設けられた3入力のOR回路GT4によって加算され、描画ビット列データSdwとなって光源装置12A内の電気光学素子206に供給される。なお、生成回路501、503、505、および、制御回路500は、制御部18の一部を構成する。
以上の構成は、基本的に図17を用いて説明した光源装置12Aの利用法と同じであるが、本実施の形態では、3つの描画ユニットU1、U3、U5の各々の走査ライン(描画ライン)L1、L3、L5によって描画されるパターンのスポット走査方向(Y方向)の描画倍率を、個別に微調整する機能を設ける。その機能のために、本実施の形態では、描画ユニットU1、U3、U5毎に、描画倍率の補正量に関する情報mg1、mg3、mg5を一時的に記憶するメモリ部BM1a、BM3a、BM5aが設けられる。このメモリ部BM1a、BM3a、BM5aは、図18では独立したものとして図示したが、生成回路501、503、505の各々に設けられたメモリ部BM1、BM3、BM5の一部としてもよい。この補正量に関する情報mg1、mg3、mg5も描画情報の一部を構成する。
補正量に関する情報mg1、mg3、mg5は、例えば、各走査ラインL1、L3、L5によって描画されるパターンのY方向の寸法を、どれ位の比率で伸縮させるかのレート(ppm)に対応したものである。一例として、各走査ラインL1、L3、L5によって描画可能なY方向の領域の長さを30mmとした場合、それを±200ppm(±6μmに相当)だけ伸縮させたい場合、情報mg1、mg3、mg5には、±200という数値が設定される。なお、情報mg1、mg3、mg5は、レートではなく直接的な伸縮量(±ρμm)で設定しても構わない。また、情報mg1、mg3、mg5は、走査ラインL1、L3、L5の各々に沿った1ライン分の描画データ(シリアルデータ)毎に逐次設定し直してもよいし、複数ライン分の描画データ(シリアルデータ)の送出毎に設定し直してもよい。このように、本実施の形態では、基板PをX方向(長尺方向)に送りつつ、走査ラインL1、L3、L5の各々に沿ってパターン描画が行われている間に、動的にY方向の描画倍率を変えることが可能となり、基板Pの変形や面内歪が判る場合には、それに起因した描画位置精度の劣化を抑えることができる。さらに重ね合わせ露光の際には、既に形成された下地のパターンの変形に対応して重ね精度を大幅に向上させることができる。
図19は、図18に示した描画装置のうち、代表して描画ユニットU1による標準的なパターン描画の際の各部の信号状態とレーザ光LBの発振状態とのタイムチャートを示す。図19において、2次元のマトリックスGmは、描画すべきパターンPPの描画マップ(ビットマップ)を示し、基板P上での1グリッド(1画素単位)は、例えばY方向の寸法Pyを3μm、X方向の寸法Pxを3μmに設定される。また、図19において、矢印で示すL1−1、L1−2、L1−3、・・・L1−6は、基板PのX方向の移動(長尺方向の副走査)に伴って、走査ラインL1によって順次描画される描画ラインを示し、各走査ラインL1−1、L1−2、L1−3、・・・L1−6のX方向の間隔は、例えば1画素単位の寸法Px(3μm)の1/2となるように、基板Pの搬送速度が設定される。
さらに、基板P上に投射されるスポット光SPのXY方向の寸法(スポットサイズ)は、1画素単位と同程度か、それよりも少し大きめとする。よって、スポット光SPのサイズは、実効的な直径(ガウス分布の1/e2の幅、またはピーク強度の半値全幅)として、3〜4μm程度に設定され、走査ラインLに沿ってスポット光SPを連続的に投射する際は、例えばスポット光の実効的な直径の1/2でオーバーラップするように、レーザ光LBの発振周波数Fs(パルス時間間隔)とポリゴンミラー116によるスポット光SPの走査速度Vsとが設定されている。すなわち、光源装置12A内の偏光ビームスプリッタ208から射出される種光をビームLse(図18)とすると、この種光ビームLseは、制御回路222(クロック発生器222a)から出力されるクロック信号LTCの各クロックパルスに応答して図19のように射出される。
そのクロック信号LTCと、図18中の生成回路501内のカウンタ部CN1に供給されるクロック信号CLK1とは、1:2の周波数比に設定され、クロック信号LTCが100MHzの場合、図18中の制御回路500の1/2分周器によって、クロック信号CLK1は50MHzに設定される。なお、クロック信号LTCとクロック信号CLK1の周波数比は整数倍であればよく、例えばクロック信号CLK1の設定周波数を半分の25MHzに落とすと共に、スポット光の走査速度Vsも半分に落とすように設定してもよい。
図19に示す描画ビット列データSdwは、生成回路501から出力されるシリアルデータDL1に相当し、ここでは、例えばパターンPPの走査ラインL1−2上のパターンに対応している。光源装置12A内の電気光学素子206は、描画ビット列データSdwに応答して偏光状態を切り換えるので、種光ビームLseは、描画ビット列データSdwがOn状態(「H」)の間は、図17中のDFB半導体レーザ素子200からの種光S1によって生成され、描画ビット列データSdwがOff状態(「L」)の間は、図17中のDFB半導体レーザ素子202からの種光S2によって生成される。
なお、光源装置12Aの制御回路222内に、描画ビット列データSdwがOn状態(「H」)の間は、クロック信号LTCに応答してDFB半導体レーザ素子200から種光S1(俊鋭なパルス光)を発生させ、描画ビット列データSdwがOff状態(「L」)の間は、クロック信号LTCに応答してDFB半導体レーザ素子202から種光S2(ブロードなパルス光)を発生させるような駆動回路が設けられる場合は、図17、図18中に示した電気光学素子206、図17中に示した偏光ビームスプリッタ208、吸収体210は省略できる。
このように、種光ビームLseの各パルス光は、図17に示したクロック発生器222aで生成されるクロック信号LTCの各クロックパルスに応答して出力されるので、本実施の形態では、クロック発生器222a内に、クロック信号LTCのパルス間の時間(周期)を部分的に増減するための回路構成を設ける。その回路構成には、クロック信号LTCの源となる基準(標準)クロック発生器と、分周カウンタ回路と、可変遅延回路等が設けられる。
図20は、クロック発生器222a内の基準クロック発生器からの基準クロック信号TC0と、クロック信号LTCとの関係を示すタイムチャートであり、図17、図18中に示した倍率補正情報CMgに基づく補正が行われない状態を示す。クロック発生器222a内の可変遅延回路は、常に一定周波数Fs(一定の時間Td0)で生成される基準クロック信号TC0を、プリセット値に応じた時間DT0だけ遅延させて、クロック信号LTCとして出力する。したがって、例えば、基準クロック信号TC0が100MHz(Td0=10nS)であれば、プリセット値(遅延時間DT0)に変化が生じない限り、クロック信号LTCも100MHz(Td0=10nS)で生成され続けられる。
そこで、クロック発生器222a内の分周カウンタ回路によって、基準クロック信号TC0を計数し、その計数値が所定値Nvに達したら、可変遅延回路に設定されるプリセット値を一定量だけ変化させる構成にする。その様子を、図21のタイムチャートにより説明する。図21において、基準クロック信号TC0が分周カウンタ回路によってからNvまでカウントされるまで、可変遅延回路に設定されるプリセット値は遅延時間DT0である。その後、基準クロック信号TC0の1つのクロックパルスKnによって、分周カウンタ回路がNvまで計数すると、可変遅延回路に設定されるプリセット値は、直ちに遅延時間DT1に変更される。したがって、基準クロック信号TC0のクロックパルスKnの次に発生するクロックパルスKn+1以降に生成されるクロック信号LTCの各クロックパルス(K’n+1以降)は、一律に遅延時間DT1で生成される。
これによって、可変遅延回路に設定されるプリセット値を一定量変化させたときだけ、すなわち、クロック信号LTCのクロックパルスK’nとクロックパルスK’n+1との間だけが時間間隔Td1に変化し、それ以降のクロック信号LTCのクロックパルスの時間間隔はTd0となる。図21では、遅延時間DT1を遅延時間DT0よりも増加させて、クロック信号LTCの2つのクロックパルス間の時間をTd0よりも増加させたが、減少させることも同様に可能である。なお、分周カウンタ回路は、基準クロック信号TC0をNvまでカウントしたら零リセットされて、再びNvまでの計数を始める。
可変遅延回路に設定されるプリセット値の初期値を遅延時間DT0、遅延時間の変化量を±ΔDh、分周カウンタ回路が零リセットされる回数をNzとし、分周カウンタ回路がNvまで計数する度(零リセットされる度)に可変遅延回路に順次設定されるプリセット値の遅延時間をDTmとすると、遅延時間DTmは、DTm=DT0+Nz・(±ΔDh)、の関係に設定される。したがって、図21のように、零リセットの回数Nzが1(m=1)の間に設定される遅延時間DT1は、DTm=DT1=DT0±ΔDhとなり、次の零リセット(Nz=2、m=2)が発生した後に設定される遅延時間DT2は、DTm=DT2=DT0+2・(±ΔDh)となる。したがって、遅延時間の変化量±ΔDhは、クロック信号LTCのクロックパルスK’nとクロックパルスK’n+1との間の時間Td1の基準時間Td0からの差分に対応する。
以上のように、クロック信号LTCの特定の2つのクロックパルス間で時間間隔を変化させる動作は、分周カウンタ回路に設定される所定値Nvに応じて、1つの走査ライン(L1〜L6)の全長のうちの複数箇所で離散的に実施される。その様子を、図22に示す。図22は、走査ラインL1の全長に渡って、分周カウンタ回路の計数値が所定値Nvに達する度に零リセットされる複数の位置を補正点CPPとして表したものである。その補正点CPPの各々では、クロック信号LTCの特定の2つのクロックパルス間だけが、時間Td0に対して±ΔDhだけ時間伸縮される。
そこで、基準クロック信号TC0を100MHz(Td0=10nS)、スポット光の主走査方向の実効的なサイズを3μm、走査ラインL1(L2〜L6も同様)の長さを30mmとし、レーザ光LBの2つの連続したパルス光によって基板Pに投射されるスポット光が主走査方向に半分程度(1.5μm)オーバーラップして描画されるものとすると、走査ラインL1の長さに渡って生成される基準クロック信号TC0のクロック数は20000個となる。また、遅延時間の変化量ΔDhは、基準の時間間隔Td0に対して十分に小さく、例えば2%程度に設定されるものとする。この条件のもとで、走査ラインL1に沿って描画されるパターンを、150ppmだけ主走査方向(Y方向)に伸縮させる場合、走査ラインL1の長さ30mmの150ppmは4.5μmに相当する。これらの描画倍率のレート150ppm、或いは実寸長4.5μmに関する情報は、図18中のメモリ部BM1aに情報mg1として保存される。
したがって、クロック信号LTCの20000個のクロックパルス列のうち、時間Td0に対してΔDhだけ時間伸縮させる補正点CPP(図22)の個数は、4.5μm/(1.5μm×2%)=150となり、図22に示した分周カウンタ回路に設定される最大の所定値Nvは、20000/150より、約133となる。
また、遅延時間の変化量ΔDhを5%にした場合、補正点CPPの個数は、4.5μm/(1.5μm×5%)=60となり、分周カウンタ回路に設定される最大の所定値Nvは、20000/60より、約333となる。このように、遅延時間の変化量ΔDhが10%未満と小さいため、その補正点CPPで描画すべきパターンが存在したとしても、そのパターンのサイズはスポット光のサイズよりも大きいため、補正点CPPでのスポット光の主走査方向の僅かな位置ずれによる描画誤差は無視できる。
以上のような遅延時間の変化量ΔDh、補正点CPPの個数、分周カウンタ回路による所定値Nvの設定等は、図18の制御回路500から出力される倍率補正情報CMg(ppm)に基づいて、図17に示した制御回路222内で演算され、クロック発生器222a内の分周カウンタ回路や可変遅延回路等に設定される。
以上の第3の実施の形態によれば、光源装置12Aからのレーザ光LBは、例えば3つの描画ユニットU1、U3、U5の各々に時分割で順番に供給することができ、各描画ユニットU1、U3、U5の走査ラインL1、L3、L5に沿った描画動作をシリアルに個別に行うことができることから、図18に示したように、描画ユニットU1、U3、U5毎に描画倍率の補正量に関する情報mg1、mg3、mg5を設定することができる。それによって、基板PのY方向の伸縮が一様ではなく、Y方向に分割したいくつかの領域毎に伸縮率が違っていても、それに対応するように各描画ユニットに最適な描画倍率の補正量を設定でき、基板Pの非線形な変形にも対応できるといった利点が得られる。
以上、被照射体(基板P)上に集光されるスポット光を走査してパターンを描画する装置に接続され、スポット光となるレーザ光(ビーム)LBを射出する光源装置12Aには、図17、図18に示すように、所定周期(Td0)のクロックパルス(クロック信号LTC)に応答して、発光時間が所定周期に対して短くピーク強度が高い俊鋭な第1パルス光(種光S1)を発生する第1半導体レーザ光源(200)と、クロックパルスに応答して、発光時間が所定周期よりも短く、且つ第1パルス光(種光S1)の発光時間よりも長くピーク強度が低いブロードな第2パルス光(種光S2)を発生する第2半導体レーザ光源(202)と、第1パルス光(種光S1)或いは第2パルス光(種光S2)を入射するファイバー光増幅器(216)と、描画すべきパターンの情報(描画ビット列データSdw)に基づいて、被照射体上にスポット光を投射する描画時には、第1パルス光(種光S1)をファイバー光増幅器(216)に入射させ、被照射体上にスポット光を投射しない非描画時には、第2パルス光(種光S2)をファイバー光増幅器(216)に入射させるように切り換える切換え装置が設けられる。その切換え装置は、第1パルス光(種光S1)と第2パルス光(種光S2)のいずれか一方を描画すべきパターン情報に基づいて選択する電気光学素子(206)、或いは、第1パルス光(種光S1)と第2パルス光(種光S2)のいずれか一方が発生するように、描画すべきパターン情報に基づいて第1半導体レーザ光源(200)と第2半導体レーザ光源(202)の駆動を制御する回路、で構成される。
本第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態またはその変形例や、上記第2の実施の形態にも適用可能である。つまり、第3の実施の形態で説明した、光源装置12Aの制御回路222内のクロック発生器222aが、図18に示す描画制御用の制御ユニット(制御回路500)からの倍率補正情報CMgに応じて、クロック信号LTCの時間間隔を部分的(離散的)に伸縮する機能を、上記第1の実施の形態またはその変形例の光源装置12や、上記第2の実施の形態の光源装置12に適用可能である。この場合は、光源装置12は、DFB半導体レーザ素子202、偏光ビームスプリッタ204、電気光学素子206、偏光ビームスプリッタ208、および、吸収体210を有しなくてもよい、つまり、光源装置12は、DFB半導体レーザ素子200が発光したパルス状の種光S1をファイバー光増幅器216で増幅させて、レーザ光LBとして射出するものであってよい。この場合は、光源装置12は、電気光学素子206を有しないので、生成回路501、503、505が生成したシリアルデータDL1、DL3、DL5は、描画ユニットUの描画用光学素子106または描画用光学素子150に送られる。