JP6585579B2 - インプラント - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたインプラントは、人工歯根部と、この人工歯根部に固着されるアバットメントと、から構成されている。
上記人工歯根部は、例えば、チタン製であり、顎骨に螺合される雄ネジ部が形成された歯根部本体と、この歯根部本体の基端側から軸方向に突出される支柱部と、この支柱部の基端部に設けられた略器形状の受部と、から構成されている。
上記アバットメントは、例えば、レジン製であり、上記人工歯根部の支柱部によって貫通される貫通孔が形成されている。また、上記アバットメントの下端側は上記受部に対応した形状となっている。上記アバットメントには、人工の歯であるクラウンが固着される。
まず、顎骨に下穴をあけ、この下穴に上記人工歯根部を螺合・設置する。それにより上記人工歯根部の支柱部と受部が粘膜を貫通した状態となる。
次に、上記人工歯根部に上記アバットメントを取り付ける。すなわち、上記アバットメントの貫通孔に上記人工歯根部の支柱部を圧入させ、上記アバットメントの下端と上記人工歯根部の受部が当接するまで押し込む。
なお、特許文献1には記載されていないが、上記人工歯根部に上記アバットメントを確実に固定するために接着剤が塗布されていて、その状態で上記アバットメントが上記人工歯根部に圧入される。
次に、上記アバットメントに人工の歯であるクラウンを被冠させる。
上記したように、上記人工歯根部と上記アバットメントを確実に固定するために接着剤を用いるが、上記アバットメントを上記人工歯根部に圧入する際、余剰の接着剤がアバットメントに掻き出されて粘膜側に流出してしまうことが懸念される。上記接着剤は吸水性であり細菌が繁殖しやすく、上記接着剤が粘膜側に流出するとそこに含まれている細菌によってインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎のリスクが高まってしまうという問題があった。
又、請求項2記載のインプラントは、請求項1記載のインプラントにおいて、上記接着剤充填用隙間の少なくとも一部は凸凹状に形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3記載のインプラントは、請求項2記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分と上記インプラントポストの貫通孔の反雄ネジ部側部分の少なくとも一方には凹凸が形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4記載のインプラントは、請求項1〜請求項3の何れかに記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部は多角柱形状を成しており、上記インプラントポストの貫通孔の断面形状は多角形形状をなしていることを特徴とするものである。
又、請求項5記載のインプラントは、請求項4記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分は雄ネジ部側部分以上の角数の多角柱形状であり、上記インプラントポストの貫通孔の反雄ネジ部側部分の断面形状は雄ネジ部側部分の断面形状の角数以上の多角形形状であることを特徴とするものである。
又、請求項6記載のインプラントは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの上記雄ネジ部と上記支柱部との間には治具によって把持される被把持部が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7記載のインプラントは、請求項6記載のインプラントにおいて、上記被把持部の雄ネジ部側には雄ネジ部より大径の円柱形状部が形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項2記載のインプラントは、請求項1記載のインプラントにおいて、上記接着剤充填用隙間の少なくとも一部は凸凹状に形成されているので、これら凹凸部の隙間に浸入し固化された接着剤によって上記フィクスチャと上記インプラントポストを強固に固定できる。
又、請求項3記載のインプラントは、請求項2記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分と上記インプラントポストの貫通孔の反フィクスチャ側部分の少なくとも一方には凹凸が形成されているので、簡易な構成により上記フィクスチャと上記インプラントポストを強固に固定できる。
又、請求項4記載のインプラントは、請求項1〜請求項3の何れかに記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部と上記インプラントポストの貫通孔は多角形形状をなしているので、簡易な構成により上記フィクスチャと上記インプラントポストの回り止めを実現できる。
又、請求項5記載のインプラントは、請求項4記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分は雄ネジ部側部分以上の角数の多角形形状であり、上記インプラントポストの貫通孔の反フィクスチャ側部分はフィクスチャ側部分以上の角数の多角形形状であるので、上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分をその径に対して横断面面積が大きくなり、強度を高めることができる。
又、請求項6記載のインプラントは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のインプラントにおいて、上記フィクスチャの上記雄ネジ部と上記支柱部との間には治具によって把持される被把持部が設けられているので、上記フィクスチャを容易に設置又は除去することができる。
又、請求項7記載のインプラントは、請求項6記載のインプラントにおいて、上記被把持部の雄ネジ部側には雄ネジ部より大径の円柱形状部が形成されているので、この円柱形状部において顎骨との隙間を小さくし、上記顎骨と上記雄ネジ部との間の隙間に上記顎骨の再生を阻害する軟組織が侵入してしまうことを防止できる。
この一実施の形態によるインプラント1は、図1に示すように、フィクスチャ3と、このフィクスチャ3に取り付けられるインプラントポスト5と、から構成されている。上記フィクスチャ3は、例えば、顎骨7に形成された下穴9の雌ねじ部に螺合され、そこに上記インプラントポスト5が取り付けられ、さらに、そのインプラントポスト5に人工の歯であるクラウン(図1中仮想線で示す)11が被冠・固定される。
なお、上記雌ねじ部は下穴9に予め形成されていることになるが、上記雄ねじ部13にセルフタップ機能を持たせるようにしてもよい。
上記雄ねじ部13の図2(a)中上側にはテーパ部14を挟んで円柱形状部15が形成されている。この円柱形状部15の外径は上記雄ねじ部13の外径以上に設定されている。上記下穴9の上端には若干大径に形成されておりそこに上記円柱形状部15が着座される。それによって、上記下穴9内への軟組織の侵入を防止している。仮に、上記軟組織が上記下穴9内に侵入してしまうと、上記軟組織によって上記下穴9内での上記顎骨7の再生が阻害されてしまう。
なお、上記フィクスチャ3の寸法は、一例として、全長(図2(a)中上下方向の大きさ)が18mm、雄ネジ部13の外径が3mm、上記支柱部19の高さ(図2(a)中上下方向の大きさ)が8mm、上記支柱部19の粗面部23は先端(図2(a)中上端)から4mmまでの範囲となっている。
上記インプラントポスト5が上記支柱19に取り付けられる際、図1に示すように、上記貫通孔29の上記滑面部31に上記支柱19の上記滑面部21が圧入されて、上記インプラントポスト5が上記支柱19に取り付けられることになる。
なお、上記粗面部33は、例えば、先端(図3(b)中上端)から4mmまでの範囲となっている。
また、例えば、図1に示すように、上記支柱部19と上記貫通孔29との間の先端側(図1中上側)には接着剤充填用隙間34が形成される。
ちなみに、図4、図5に示す場合は粘膜35の厚さが異なっている。
図4に示すように、上記インプラントポスト5を目一杯圧入する場合には、上記支柱部19の先端側(図4中上側)が上記インプラントポスト5の図4中上側に突出されてしまうが、その突出された部分(図4中仮想線で示す)は、例えば、切削によって除去される。一方、図5に示すように、上記スンプラントポスト5の滑面部31を支柱部19の滑面部21に目一杯圧入しない場合には、上記インプラントポスト5の貫通孔29の図5中上側に空間39が生じることになる。
なお、図5に示す場合には、上記空間39にも上記接着剤37が充填される。
また、圧入部分には隙間がないことから、歯周病菌等のインプラント1内部への進入を防止することができる。
インプラント1の顎骨7への設置作業は、次のようにして行われる。
まず、上記顎骨7に、図示しないドリルによって下穴9が穿孔される。
次に、上記下穴9にフィクスチャ3の雄ネジ部13を螺合させて、上記顎骨7に上記フィクスチャ3を設置する。このとき、図示しない治具によって被把持部17を掴み、上記フィクスチャ3を回転させることで、上記雄ネジ部13の螺合を行う。
次に、上記支柱部19の先端側が上記インプラントポスト5から突出すれば、この突出した部分を切削して除去する。
次に、上記接着剤37を図4、図5中上側から上記フィクスチャ3の支柱部19と上記インプラントポスト5の貫通孔29との間の接着剤充填用隙間34に充填する。図5に示すように、上記インプラントポスト5の貫通孔29の上側に空間39が生じる場合は、この空間39にも上記接着剤37を充填する。
上記貫通孔29の滑面部31に上記支柱部19の滑面部21を圧入しているので、充填した接着剤37が上記圧入側に流入することはなく、また、プラントポスト5の図4、図5中下側から粘膜35側へと漏れ出てしまうこともない。当然のことながら、歯周病菌等がインプラント1内部への進入することもない。
まず、フィクスチャ3にインプラントポスト5を固定する際、上記インプラントポスト5の貫通孔29の滑面部31に上記フィクスチャ3の支柱部19の滑面部21を圧入するようにし該圧入部への接着剤37の流入を規制しているので、上記支柱部19と上記インプラントポスト5のとの間の接着剤充填用隙間34に充填された接着剤37が粘膜35側へ漏れ出ることを防止することができ、それによって、接着剤37に繁殖する歯周病菌等に起因するインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎のリスクを減少させることができる。
そもそも、本願発明の場合には、従来のように、支柱部19に接着剤37を塗布した後、インプラントポスト5を圧入するのではなく、圧入後に、接着剤充填用隙間34に接着剤37を充填するようにしているので、余分な接着剤37が粘膜35側に掻き出されるようなこともない。
また、上記支柱部19と貫通孔29は、多角形(この一実施の形態の場合は六角形)の横断面形状となっているので、簡易な構成により上記フィクスチャ3と上記インプラントポスト5の回り止めを実現できる。
また、上記支柱部19は上記雄ネジ部13よりも小径となっているので、上記支柱部19に応力が集中し、仮に上記フィクスチャ3が破損したとしても上記支柱部19が破損するだけとなり、顎骨7に螺合された上記雄ネジ部13の破損が防止され、これにより、破損した場合であっても上記フィクスチャ3の撤去を容易に行うことができる。上記被把持部17は、上記支柱部19が破損した際の上記フィクスチャ3の撤去においても効果的である。
支柱部の基端側よりも先端側をより角数の多い多角柱形状とすることも考えられる。例えば、基端側を六角柱、先端側を十二角柱とすることが考えられる。このような構成とすると、上記支柱部の先端側は、その径に対して横断面面積が大きくなるので、強度を高めることができる。
また、接着剤充填用隙間が、図6(a)中下側から上側に向かって徐々に広くなるように構成する、或いは、段階的に広くなるように構成する、場合も考えられる。
また、圧入部についてもテーパ状にする等様々な構成が考えられる。
また、フィクスチャの支柱部の先端側の径を小さくすることのみによって接着剤充填用隙間を形成する場合や、インプラントポストの貫通孔の先端側の径を大きくすることのみによって接着剤充填用隙間を形成する場合も考えられる。
また、凹凸がフィクスチャの支柱部とインプラントポストの貫通孔の何れか一方に設けられている場合も考えられる。この場合は、構成がより簡易なものとなる。
また、インプラントポストの材質は、様々な場合が考えられる。特に、高分子ポリマーで弾性のあるものは、フィクスチャの支柱部への圧入が容易である。
その他、各構成要素の形状、大きさ、材質などは一例であり、上記一実施の形態に記載されるものではない。
3 フィクスチャ
5 インプラントポスト
13 雄ネジ部
15 円柱形状部
17 被把持部
19 支柱部
21 滑面部(支柱部の雄ネジ部側部分)
23 粗面部(支柱部の反雄ネジ部側部分)
29 貫通孔
31 滑面部(貫通孔のフィクスチャ側部分)
33 粗面部(貫通孔の反フィクスチャ側部分)
34 接着剤充填用隙間
Claims (7)
- 顎骨に螺合される雄ネジ部と粘膜を貫通し外部に突出される支柱部とからなるフィクスチャと、
上記支柱部により貫通される貫通孔が形成され該貫通孔の雄ネジ部側部分に上記支柱部の雄ネジ部側部分が圧入されることにより上記フィクスチャに固定されるインプラントポストと、
を具備し、
上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分と上記インプラントポストの貫通孔の反雄ネジ部側部分との間には接着剤充填用隙間が設けられていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1記載のインプラントにおいて、
上記接着剤充填用隙間の少なくとも一部は凸凹状に形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項2記載のインプラントにおいて、
上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分と上記インプラントポストの貫通孔の反雄ネジ部側部分の少なくとも一方には凹凸が形成されていることを特徴とするインプラント。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載のインプラントにおいて、
上記フィクスチャの支柱部は多角柱形状を成しており、上記インプラントポストの貫通孔の断面形状は多角形形状をなしていることを特徴とするインプラント。 - 請求項4記載のインプラントにおいて、
上記フィクスチャの支柱部の反雄ネジ部側部分は雄ネジ部側部分以上の角数の多角柱形状であり、
上記インプラントポストの貫通孔の反雄ネジ部側部分の断面形状は雄ネジ部側部分の断面形状の角数以上の多角形形状であることを特徴とするインプラント。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載のインプラントにおいて、
上記フィクスチャの上記雄ネジ部と上記支柱部との間には治具によって把持される被把持部が設けられていることを特徴とするインプラント。 - 請求項6記載のインプラントにおいて、
上記被把持部の雄ネジ部側には雄ネジ部より大径の円柱形状部が形成されていることを特徴とするインプラント。
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