JP6581951B2 - 電気光学装置の駆動方法 - Google Patents
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Description
また、電気光学装置に対して、表示サイズの小型化や表示の高精細化が要求されることが多い。表示サイズの小型化と表示の高精細化とを両立するためには、画素回路を微細化する必要があるので、電気光学装置を例えばシリコン集積回路に設ける技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
一方、データ信号を出力する回路は、データ線を短時間で充電するために、その駆動能力が高められている。このように高い駆動能力を有する回路において、非常に細かい精度でデータ信号を出力させることは困難である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、細かい精度のデータ信号を必要としない一方で、発光素子に供給する電流を精度良く制御することが可能な電気光学装置の駆動方法を提供することにある。
この構成において、前記画素回路は、前記第1トランジスターと前記発光素子との間でオンまたはオフする第3トランジスターを有し、前記駆動回路は、前記第2期間に続く第3期間に、前記第3トランジスターをオンさせる態様が好ましい。この態様によれば、データ信号のシフト電位が第1トランジスターのゲートに書き込まれた後に、発光素子に電流が供給される。
前記画素回路は、前記第1トランジスターのゲート・ソース間の電圧を保持する第3保持容量を含んでも良い。この第3保持容量については、当該第1トランジスターの寄生容量でも良いし、別途設けた容量素子でも良い。
なお、本発明は、電気光学装置のほか、電気光学装置の駆動方法や、当該電気光学装置を有する電子機器として概念することも可能である。電子機器としては、典型的にはヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)や電子ビューファイダーのなどの表示装置が挙げられる。
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置10の構成を示す斜視図である。
電気光学装置10は、例えばヘッドマウント・ディスプレイにおいて画像を表示するマイクロ・ディスプレイである。電気光学装置10の詳細については後述するが、複数の画素回路や当該画素回路を駆動する駆動回路などが例えばシリコン基板に形成された有機EL装置であり、画素回路には、発光素子の一例であるOLEDが用いられている。
電気光学装置10は、表示部で開口する枠状のケース72に収納されるとともに、FPC(Flexible Printed Circuits)基板74の一端が接続されている。FPC基板74には、半導体チップの制御回路5が、COF(Chip On Film)技術によって実装されるとともに、複数の端子76が設けられて、図示省略された上位回路に接続される。当該上位回路から複数の端子76を介して画像データが同期信号に同期して供給される。同期信号には、垂直同期信号や、水平同期信号、ドットクロック信号が含まれる。また、画像データは、表示すべき画像の画素の階調レベルを例えば8ビットで規定する。
制御回路5は、電気光学装置10の電源回路とデータ信号出力回路との機能を兼用するものである。すなわち、制御回路5は、同期信号にしたがって生成した各種の制御信号や各種電位を電気光学装置10に供給するほか、デジタルの画像データをアナログのデータ信号に変換して、電気光学装置10に供給する。
このうち、表示部100には、表示すべき画像の画素に対応した画素回路110がマトリクス状に配列されている。詳細には、表示部100において、m行の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、3列毎にグループ化された(3n)列のデータ線14が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線12と互いに電気的な絶縁を保って設けられている。そして、m行の走査線12と(3n)列のデータ線14との交差部に対応して画素回路110が設けられている。このため、本実施形態において画素回路110は、縦m行×横(3n)列でマトリクス状に配列されている。
なお、同一行の走査線12と同一グループに属する3列のデータ線14との交差に対応した3つの画素回路110は、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の画素に対応して、これらの3画素が表示すべきカラー画像の1ドットを表現する。すなわち、本実施形態では、RGBに対応したOLEDの発光によって1ドットのカラーを加法混色で表現する構成となっている。
また、電気光学装置10には、デマルチプレクサ30での選択タイミングに合わせてデータ信号Vd(1)、Vd(2)、…、Vd(n)が、1、2、…、n番目のグループに対応して制御回路5によって供給される。なお、データ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位の最高値をVmaxとし、最低値をVminとする。
なお、走査線駆動回路20は、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)のほかにも、当該走査信号に同期した各種の制御信号を行毎に生成して表示部100に供給するが、図2においては図示を省略している。また、フレームの期間とは、電気光学装置10が1カット(コマ)分の画像を表示するのに要する期間をいい、例えば同期信号に含まれる垂直同期信号の周波数が120Hzであれば、その1周期分の8.3ミリ秒の期間である。
ここで、j番目のグループに属する(3j−2)、(3j−1)、(3j)列に対応したトランスミッションゲート34の入力端は互いに共通接続されて、その共通端子にそれぞれデータ信号Vd(j)が供給される。
j番目のグループにおいて左端列である(3j−2)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(1)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(1)がLレベルであるとき)にオン(導通)する。同様に、j番目のグループにおいて中央列である(3j−1)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(2)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(2)がLレベルであるとき)にオンし、j番目のグループにおいて右端列である(3j)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(3)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(3)がLレベルであるとき)にオンする。
したがって、本実施形態において、各列のトランジスター45、46は、制御信号/GiniがLレベルであるときに一斉にオンし、制御信号/GiniがHレベルであるときに一斉にオフする構成となっている。
なお、保持容量50については、図2では表示部100の外側に設けられているが、これはあくまでも等価回路であり、表示部100の内側、または、内側から外側にわたって設けられも良いのはもちろんである。また、図2では省略しているが、保持容量50の容量をCdtとする。電位Vssは、論理信号である走査信号や制御信号のLレベルに相当する。
なお、iは、画素回路110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、1以上m以下の整数である。
この画素回路110には、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)が供給される。ここで、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)は、それぞれi行目に対応して走査線駆動回路20によって供給されるものである。このため、走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)は、i行目であれば、着目している(3j−2)列以外の他の列の画素回路にも共通に供給される。
トランジスター121にあっては、ソースノードが給電線116に接続され、ドレインノードがトランジスター124のソースノードに接続されている。ここで、給電線116には、画素回路110において電源の高位側となる電位Velが給電される。
トランジスター124にあって、ゲートノードにはi行目に対応した制御信号Gel(i)が供給され、ドレインノードがOLED130のアノードに接続されている。
ここで、トランジスター121が第1トランジスターに相当し、トランジスター122が第2トランジスターに相当し、トランジスター124が第3トランジスターに相当する。
Cdt>Crf1>>Cpix
となるように設定される。
すなわち、CdtはCrf1よりも大きく、CpixはCdtおよびCrf1よりも十分に小さくなるように設定される。
なお、保持容量132としては、トランジスター121のゲートノードgに寄生する容量を用いても良いし、シリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いても良い。
OLED130は、上記シリコン基板において、アノードと光透過性を有するカソードとで白色有機EL層を挟持した素子である。そして、OLED130の出射側(カソード側)にはRGBのいずれかに対応したカラーフィルターが重ねられる。
このようなOLED130において、アノードからカソードに電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが有機EL層で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。このときに発生した白色光は、シリコン基板(アノード)とは反対側のカソードを透過し、カラーフィルターによる着色を経て、観察者側に視認される構成となっている。
図4を参照して電気光学装置10の動作について説明する。図4は、電気光学装置10における各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、この図において、電圧振幅を示す縦スケールは、説明便宜のために必ずしも一致していない(以下の図13、図20においても同様である)。
1水平走査期間(H)での動作は、各行の画素回路110にわたって共通である。そこで以下については、i行目が水平走査される走査期間において、特にi行(3j−2)列の画素回路110について着目して動作を説明する。
なお、図4において、i行目に対し1行前の(i−1)行目に対応する走査信号Gwr(i-1)、制御信号Gel(i-1)の各々については、i行目に対応する走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)よりも、それぞれ時間的に1水平走査期間(H)だけ時間的に先行した波形となる。
説明の便宜上、初期化期間の前提となる発光期間から説明する。図4に示されるように、i行目の発光期間では、走査信号Gwr(i)がHレベルであり、制御信号Gel(i)はLレベルである。
このため、図5に示されるようにi行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする一方、トランジスター122がオフする。したがって、トランジスター121は、保持容量132によって保持された電圧、すなわちゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流IdsをOLED130に供給する。後述するように発光期間におけるゲートノードgの電位は、階調レベルに応じた電位のデータ信号を保持容量44、50の容量比に応じてレベルシフトした値であるので、電圧Vgsについては、階調に応じた電圧ということになる。このため、トランジスター121は、階調レベルに応じた電流を供給するので、OLED130は、当該電流に応じた輝度で発光することになる。
また、図5においては、動作説明で重要となる経路を太線で示している(以下の図6〜図9、図14〜図17、図21〜図24においても同様である)。
次にi行目の走査期間に至ると、まず、(b)の初期化期間が開始する。初期化期間では、発光期間と比較して、制御信号Gel(i)がHレベルになる。
このため、図6に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110においてはトランジスター124がオフする。これによってOLED130に供給される電流の経路が遮断されるので、OLED130は、オフ(非発光)状態となる。
一方、初期化期間においては制御信号/GiniがLレベルになるので、レベルシフト回路40においては、図6に示されるようにトランジスター45、46がそれぞれオンする。このため、保持容量44の一端であるデータ線14は電位Viniに、保持容量44の他端であるノードhは電位Vrefに、それぞれ初期化される。
初期化期間の後、第2期間として(d)の書込期間に至る。書込期間では、走査信号Gwr(i)がLレベルの状態で走査信号/GiniがHレベルになるので、レベルシフト回路40ではトランジスター45、46がそれぞれオフする。
このため、図8に示されるように、(3j−2)列目のデータ線14からi行(3j−2)列の画素回路110におけるゲートノードgに至るまでの経路は、フローティング状態になるものの、保持容量50の他端が電位Vssに接地され、保持容量132の他端が給電線116に接続されているので、トランスミッションゲート34のオンによってデータ信号が供給されるまで、電位Viniに維持される。
一方、制御回路5は、データ信号の電位の切り替えに合わせて制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)を順番に排他的にHレベルとする。なお、図4では省略しているが、制御回路5は、制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)とは論理反転の関係にある制御信号/Sel(1)、/Sel(2)、/Sel(3)についても出力している。これによって、デマルチプレクサ30では、各グループにおいてトランスミッションゲート34がそれぞれ左端列、中央列、右端列の順番でオンする。
一方、ゲートノードgは、保持容量44の一端にデータ線14を介して電気的に接続された状態にあるので、電位Viniから、ノードhの電位変化分ΔVに容量比k1を乗じた値だけ、ノードhの変化方向にシフトした値となる。
なお、容量比k1は、Crf1/(Cdt+Crf1)である。厳密にいえば、保持容量132の容量Cpixも考慮しなければならないが、容量Cpixは、容量Crf1、Cdtに比較して十分に小さくなるように設定しているので、無視している。
このとき、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateは、データ信号の電位範囲ΔVdata(=Vmax−Vmin)に容量比k1を乗じた値に圧縮される。例えば、Crf1:Cdt=1:9となるように保持容量44、50の容量を設定したとき、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateをデータ信号の電位範囲ΔVdataの1/10に圧縮することができる。
また、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateを、データ信号の電位範囲ΔVdataに対してどの方向にどれだけシフトさせるかについては、電位Vini、Vrefで定めることができる。これは、データ信号の電位範囲ΔVdataが、電位Vrefを基準にして容量比k1で圧縮されるとともに、その圧縮範囲が電位Viniを基準にシフトされたものが、ゲートノードgの電位範囲ΔVgateとなるためである。
やがて走査信号Gwr(i)がHレベルになり、トランジスター122がオフする。これによって書込期間が終了して、ゲートノードgの電位は、シフトされた値に確定する。
i行目の書込期間の終了した後、間をおいて第3期間としての発光期間に至る。この発光期間では、上述したように制御信号Gel(i)がLレベルになるので、i行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする。このため、先の図5に示したように、ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流Idsがトランジスター121によってOLED130に供給されるので、当該OLED130は、当該電流に応じた輝度で発光することになる。
なお、図4においては、制御信号Sel(1)がHレベルになったことによってi行(3j−2)列の画素回路110におけるゲートノードgが、電位Viniからレベルシフトしている点、および、i行(3j−2)列と同列であって1行前の(i−1)行(3j−2)列のゲートノードが、電位Viniからレベルシフトしている点が、それぞれ示されている。
これに対して、本実施形態においては、データ線14の電位変化範囲についても、データ信号の電位範囲ΔVdataに対し狭められるので、容量Cprsを介した影響を抑えることができる。
第1実施形態において、トランジスター121の閾値電圧が画素回路110毎にばらついていると、表示画面の一様性を損なうような表示ムラが発生する。そこで、次にトランジスター121における閾値電圧のばらつきを補償した第2実施形態について説明する。なお、以下においては説明の重複を避けるために、第1実施形態との相違する部分を中心に説明することにする。
この図に示した第2実施形態が第1実施形態(図2参照)と相違する点は、第1に、給電線16が設けられている点、第2に、レベルシフト回路40の一部が異なる点、および、第3に、画素回路110の構成並びに動作が異なる点、にある。
第2の相違点については、第1実施形態におけるトランジスター46(図2参照)が、図11におけるトランジスター43に置き換わっている。 このトランジスター43のゲートには、制御信号Grefが、制御回路5から各列にわたって共通に供給される。
このうち、トランジスター123にあっては、ゲートノードにi行目に対応した制御信号Gcmp(i)が供給され、ソースノードがトランジスター121のドレインノードに接続されている。また、トランジスター123のドレインノードは、トランジスター121のゲートノードgに接続されている。
一方、トランジスター125にあっては、ゲートノードにi行目に対応した制御信号Gorst(i)が供給され、ソースノードがOLED130のアノードに接続されている。また、トランジスター125のドレインノードは、対応する列の給電線16に接続されている。
なお、トランジスター123、125の基板電位についても、トランジスター121、122、14と同様に電位Velとしている。
図13を参照して第2実施形態に係る電気光学装置10の動作について説明する。図13は、第2実施形態における動作を説明するためのタイミングチャートである。
この図に示されるように、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)が順次Lレベルに切り替えられて、1フレームの期間において1〜m行目の走査線12が1水平走査期間(H)毎に順番に走査される点については、第1実施形態と同様である。ただし、第2実施形態ではi行目の走査期間が、第1実施形態と比較して、(b)で示される初期化期間と(d)で示される書込期間との間に、(c)で示される補償期間が挿入されている。このため、第2実施形態では、時間の順でいえば(発光期間)→初期化期間→補償期間→書込期間→(発光期間)というサイクルの繰り返しとなる。
第2実施形態では、図13に示されるように、i行目の発光期間では走査信号Gwr(i)がHレベルである。また、論理信号である制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)のうち、制御信号Gel(i)がLレベルであり、制御信号Gcmp(i)、Gorst(i)がHレベルである。
このため、図14に示されるようにi行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする一方、トランジスター122、123、125がオフする。したがって、トランジスター121は、ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流IdsをOLED130に供給する。
後述するように、第2実施形態において発光期間での電圧Vgsは、トランジスター121の閾値電圧から、データ信号の電位に応じてレベルシフトした値である。このため、OLED130には、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
i行目の走査期間に至って、まず(a)の初期化期間が開始する。初期化期間では、発光期間と比較して、制御信号Gel(i)がHレベルに、制御信号Gorst(i)がLレベルに、それぞれ変化する。
このため、図15に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110においてはトランジスター124がオフし、トランジスター125がオンする。これによってOLED130に供給される電流の経路が遮断されるとともに、OLED130のアノードが電位Vorstにリセットされる。
OLED130は、上述したようにアノードとカソードとで有機EL層を挟持した構成であるので、アノード・カソードの間には、実際には図において破線で示されるように容量Coledが並列に寄生する。発光期間においてOLED130に電流が流れていたときに、当該OLED130のアノード・カソード間の両端電圧が当該容量Coledによって保持されるが、この保持電圧は、トランジスター125のオンによってリセットされる。このため、第2実施形態では、後の発光期間においてOLED130に再び電流が流れるときに、当該容量Coledで保持されている電圧の影響を受けにくくなる。
なお、第2実施形態において、電位Vorstについては、当該電位Vorstと共通電極118の電位Vctとの差がOLED130の発光閾値電圧を下回るように設定される。このため、初期化期間(次に説明する補償期間および書込期間)において、OLED130はオフ(非発光)状態である。
また、第2実施形態において電位Vrefについては、データ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位に対して、後の書込期間においてノードhの電位が上昇変化するような値に、例えば最低値Vminよりも低くなるように設定される。
i行目の走査期間では、次に(c)の補償期間となる。補償期間では初期化期間と比較して、走査信号Gwr(i)および制御信号Gcmp(i)がLレベルとなる。一方、補償期間では、制御信号GrefがHレベルに維持された状態で制御信号/GiniがHレベルになる。
このため、図16に示されるように、レベルシフト回路40においては、トランジスター43がオンした状態でトランジスター45がオフすることによって、ノードhが電位Vrefに固定される。一方、i行(3j−2)列の画素回路110ではトランジスター122がオンすることによって、ゲートノードgがデータ線14に電気的に接続されるので、補償期間の開始当初においてゲートノードgは電位Viniとなる。
ただし、上記経路に流れる電流は、ゲートノードgが電位(Vel−|Vth|)に近づくにつれて流れにくくなるので、補償期間の終了に至るまでに、データ線14およびゲートノードgは電位(Vel−|Vth|)で飽和する。したがって、保持容量132は、補償期間の終了に至るまでにトランジスター121の閾値電圧|Vth|を保持することになる。
補償期間が終了すると、制御信号Gcmp(i)がHレベルになるので、トランジスター121のダイオード接続が解除される一方、制御信号GrefがLレベルになるので、トランジスター43がオフになる。このため、(3j−2)列目のデータ線14からi行(3j−2)列の画素回路110におけるゲートノードgに至るまでの経路はフローティング状態になるものの、当該経路における電位は、保持容量50、132によって(Vel−|Vth|)に維持される。
このため、ゲートノードgの電位は、補償期間における電位(Vel−|Vth|)から、ノードhの電位変化分ΔVに容量比k1を乗じた値だけ、上昇方向にシフトした値(Vel−|Vth|+k1・ΔV)となる。このとき、トランジスター121の電圧Vgsで絶対値で表現すると、閾値電圧|Vth|からゲートノードgの電位上昇したシフト分だけ減じた値(|Vth|−k1・ΔV)となる。
第2実施形態では、i行目の書込期間の終了した後、1水平走査期間の間をおいて発光期間に至る。この発光期間では、上述したように制御信号Gel(i)がLレベルになるので、i行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする。ゲート・ソース間の電圧Vgsは、(|Vth|−k1・ΔV)であるから、OLED130には、先の図14に示したように、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
このような動作は、i行目の走査期間において、(3j−2)列目の画素回路110以外のi行目の他の画素回路110においても時間的に並列して実行される。さらに、このようなi行目の動作は、実際には、1フレームの期間において1、2、3、…、(m−1)、m行目の順番で実行されるとともに、フレーム毎に繰り返される。
次に、第2実施形態によれば、トランジスター125をオンさせる期間、すなわちOLED130のリセット期間として、走査期間よりも長い期間、例えば第2実施形態では2水平走査期間を確保することができるので、発光期間においてOLED130の寄生容量に保持された電圧を十分に初期化することができる。
図において、Aは閾値電圧|Vth|が大きいトランジスターを、Bは閾値電圧|Vth|が小さいトランジスターを、それぞれ示している。なお、図18において、ゲート・ソース間の電圧Vgsは、実線で示される特性と電位Velとの差である。また、図18において、縦スケールの電流は、ソースからドレインに向かう方向を正(上)とした対数で示されている。
次に、2つのトランジスターが属する画素回路110へのデータ信号の電位が同じ場合、つまり同じ階調レベルが指定された場合に、書込期間においては、動作点Aa、Baからの電位シフト量は、ともに同じk1・ΔVである。このため、トランジスターAについては動作点がAaからAbに移動し、トランジスターBについては動作点がBaからBbに移動するが、電位シフト後の動作点における電流は、トランジスターA、Bともに、ほぼ同じIdsで揃うことになる。
第2実施形態においては、各列の保持容量44の他端、すなわちノードhに、デマルチプレクサ30によってデータ信号を直接供給する構成とした。このため、各行の走査期間においては、制御回路5からデータ信号が供給される期間イコール書込期間となるので、時間的な制約が大きい。
そこで次に、このような時間的な制約を緩和することができる第3実施形態について説明する。なお、以下においては説明の重複を避けるために、第2実施形態との相違する部分を中心に説明することにする。
この図に示した第3実施形態が図11に示した第2実施形態と相違する点は、主としてレベルシフト回路40の各列において保持容量41およびトランスミッションゲート42が設けられている点にある。
なお、各列のトランスミッションゲート42は、制御回路5から供給される制御信号GcplがHレベルであるとき(制御信号/GcplがLレベルであるとき)に一斉にオンする。
図20を参照して第3実施形態に係る電気光学装置10の動作について説明する。図20は、第3実施形態における動作を説明するためのタイミングチャートである。
この図に示されるように、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)が順次Lレベルに切り替えられて、1フレームの期間において1〜m行目の走査線12が1水平走査期間(H)毎に順番に走査される点については、第2実施形態と同様である。また、第3実施形態ではi行目の走査期間が、(b)で示される初期化期間と(c)で示される補償期間と(d)で示される書込期間との順となっている点についても、第2実施形態と同様である。なお、第3実施形態において(d)の書込期間は、制御信号GcplがLからHレベルになるとき(制御信号/GcplがLレベルになったとき)から走査信号がLからHレベルになるときまでの期間である。
第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、時間の順でいえば(発光期間)→初期化期間→補償期間→書込期間→(発光期間)というサイクルの繰り返しとなる。ただし、第3実施形態では、第2実施形態と比較して、データ信号の供給期間イコール書込期間ではなく、データ信号の供給が書込期間よりも先行している点において相違している。詳細には、第3実施形態では、(a)の初期化期間と(b)の補償期間とにわたって、データ信号が供給され得る点において第2実施形態と相違している。
第3実施形態では、図20に示されるように、i行目の発光期間では走査信号Gwr(i)がHレベルであり、また、制御信号Gel(i)がLレベルであり、制御信号Gcmp(i)、Gorst(i)がHレベルである。
このため、図21に示されるようにi行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする一方、トランジスター122、123、125がオフするので、当該画素回路110における動作は基本的に第2実施形態と同様となる。すなわち、トランジスター121は、ゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流IdsをOLED130に供給することになる。
i行目の走査期間に至って、まず(b)の初期化期間が開始する。
第3実施形態において初期化期間では、発光期間と比較して、制御信号Gel(i)がHレベルに、制御信号Gorst(i)がLレベルに、それぞれ変化する。
このため、図22に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110においてはトランジスター124がオフし、トランジスター125がオンする。これによってOLED130に供給される電流の経路が遮断されるとともに、トランジスター124のオンによってOLED130のアノードが電位Vorstにリセットされるので、当該画素回路110における動作は基本的に第2実施形態と同様となる。
第3実施形態では電位Vrefについては、データ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位に対して、第2実施形態と同様に、後の書込期間においてノードhの電位が上昇変化するような値に設定される。
ここで、初期化期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンする場合、図22に示されるように、データ信号Vd(j)が保持容量41の一端に供給されるので、当該データ信号は、保持容量41によって保持される。
i行目の走査期間においては、次に(c)の補償期間となる。第3実施形態において補償期間では、初期化期間と比較して、走査信号Gwr(i)がLレベルに、制御信号Gcmp(i)がLレベルに、それぞれ変化する。
このため、図23に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110ではトランジスター122がオンして、ゲートノードgがデータ線14に電気的に接続される一方、トランジスター123のオンによって、トランジスター121がダイオード接続となる。
したがって、電流が、給電線116→トランジスター121→トランジスター123→トランジスター122→(3j−2)列目のデータ線14という経路で流れるので、ゲートノードgは、電位Viniから上昇し、やがて(Vel−|Vth|)に飽和する。したがって、第3実施形態においても、保持容量132は、補償期間の終了に至るまでにトランジスター121の閾値電圧|Vth|を保持することになる。
また、補償期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンする場合、図23に示されるように、データ信号Vd(j)が保持容量41によって保持される。
また、補償期間が終了すると、制御信号Gcmp(i)がHレベルになるので、トランジスター121のダイオード接続が解除される。
第3実施形態において書込期間では、制御信号GcplがHレベルとなる(制御信号/GcplがLレベルとなる)。このため、図24に示されるように、レベルシフト回路40においてトランスミッションゲート42がオンするので、保持容量41に保持されたデータ信号が保持容量44の他端であるノードhに供給される。このため、ノードhは、補償期間における電位Vrefから、電位(Vref+ΔV)に変化する。
なお、容量比k2は、Cdt、Crf1、Crf2の容量比である。上述したように、保持容量132の容量Cpixについては無視している。
また、第2実施形態において電位Vrefについては、例えばデータ信号Vd(1)〜Vd(n)が取り得る電位に対して、後の書込期間においてノードhの電位が上昇変化するような値に、例えば最低値Vminよりも低くなるように設定される。
また、このとき、トランジスター121の電圧Vgsで絶対値で表現すると、閾値電圧|Vth|からゲートノードgの電位上昇したシフト分だけ減じた値(|Vth|−k2・ΔV)となる。
第3実施形態では、i行目の書込期間の終了した後、1水平走査期間の間をおいて発光期間に至る。この発光期間では、上述したように制御信号Gel(i)がLレベルになるので、i行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする。
ゲート・ソース間の電圧Vgsは(|Vth|−k2・ΔV)であり、トランジスター121の閾値電圧からデータ信号の電位によってレベルシフトした値である。このため、OLED130には、先の図21に示したように、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
このような動作は、i行目の走査期間において、(3j−2)列目の画素回路110以外のi行目の他の画素回路110においても時間的に並列して実行される。さらに、このようなi行目の動作は、実際には、1フレームの期間において1、2、3、…、(m−1)、m行目の順番で実行されるとともに、フレーム毎に繰り返される。
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、発光期間においてOLED130の寄生容量に保持された電圧を十分に初期化することができるほか、トランジスター121の閾値電圧が画素回路110毎にばらついても、表示画面の一様性を損なうような表示ムラの発生を抑えられる結果、高品位の表示が可能になる。
例えば、補償期間においてゲート・ソース間電圧Vgsが閾値電圧に近づくにつれ、トランジスター121に流れる電流が低下するので、ゲートノードgを電位(Vel−|Vth|)に収束するまで時間を要するが、第3実施形態では、第2実施形態と比較して図20に示されるように補償期間を長く確保することができる。このため、第3実施形態によれば、第2実施形態と比較して、トランジスター121の閾値電圧のばらつきを、精度良く補償することができる。
また、データ信号の供給動作についても低速化することができる。
本発明は、上述した実施形態や応用例などの実施形態等に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。
実施形態において、データ信号を供給する制御回路5については電気光学装置10とは別体としたが、制御回路5についても、走査線駆動回路20やデマルチプレクサ30、レベルシフト回路40とともに、シリコン基板に集積化しても良い。
実施形態においては、電気光学装置10をシリコン基板に集積した構成としたが、他の半導体基板に集積した構成しても良い。また、ポリシリコンプロセスを適用してガラス基板等に形成しても良い。いずれにしても、画素回路110が微細化して、トランジスター121において、ゲート電圧Vgsの変化に対しドレイン電流が指数関数的に大きく変化する構成に有効である。
実施形態等では、データ線14を3列毎にグループ化するとともに、各グループにおいてデータ線14を順番に選択して、データ信号を供給する構成としたが、グループを構成するデータ線数については「2」であっても良いし、「4」以上であっても良い。
また、グループ化せずに、すなわちデマルチプレクサ30を用いないで各列のデータ線14にデータ信号を一斉に線順次で供給する構成でも良い。ここで、第1実施形態において、デマルチプレクサ30を用いないで各列のデータ線14にデータ信号を一斉に線順次で供給する構成とした場合、保持容量44の他端であるノードhがデータ信号出力回路(制御回路5)における出力端に接続される。データ信号出力回路の出力インピーダンスが低いとき、データ信号が出力されない期間においてノードhが接地レベルになるので、これを初期電位に用いることができる。
上述した実施形態等では、画素回路110におけるトランジスター121〜125をPチャネル型で統一したが、Nチャネル型で統一しても良い。また、Pチャネル型およびNチャネル型を適宜組み合わせても良い。
実施形態等では、電気光学素子として発光素子であるOLEDを例示したが、例えば無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)など、電流に応じた輝度で発光するものであれば良い。
次に、実施形態等や応用例に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。電気光学装置10は、画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、ヘッドマウント・ディスプレイを例に挙げて説明する。
まず、図25に示されるように、ヘッドマウント・ディスプレイ300は、外観的には、一般的な眼鏡と同様にテンプル310や、ブリッジ320、レンズ301L、301Rを有する。また、ヘッドマウント・ディスプレイ300は、図26に示されるように、ブリッジ320近傍であってレンズ301L、301Rの奥側(図において下側)には、左眼用の電気光学装置10Lと右眼用の電気光学装置10Rとが設けられる。
電気光学装置10Lの画像表示面は、図26において左側となるように配置している。これによって電気光学装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、電気光学装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
電気光学装置10Rの画像表示面は、電気光学装置10Lとは反対の右側となるように配置している。これによって電気光学装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、電気光学装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
また、このヘッドマウント・ディスプレイ300において、視差を伴う両眼画像のうち、左眼用画像を電気光学装置10Lに表示させ、右眼用画像を電気光学装置10Rに表示させると、装着者に対し、表示された画像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚させることができる(3D表示)。
Claims (2)
- 走査線と、
データ線と、
一端が前記データ線に接続された第1容量素子と、
一端の電位を保持する第2容量素子と、
前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた画素回路と、
を有し、
前記画素回路は、
第1トランジスターと、
発光素子と、
前記データ線と前記第1トランジスターのゲートとの間に接続され、オンまたはオフする第2トランジスターと、
前記第1トランジスターにおけるゲートとドレインとの間に接続され、オンまたはオフする第3トランジスターと、を含み、
前記第1トランジスターと前記発光素子とは、高位側の電源と低位側の電源との間で直列に接続された電気光学装置の駆動方法であって、
前記データ線に初期電位を供給するとともに、前記第1容量素子の他端に第1電位を供給する第1期間内に、前記第1容量素子の他端と前記第2容量素子の一端とを非接続とした状態で、前記第2容量素子の一端に入力端を介してデータ信号を供給し、
前記第1期間の後の第2期間に、前記データ線への初期電位の供給を停止するとともに、前記第1容量素子の他端に第1電位を供給した状態で前記第2トランジスターおよび前記第3トランジスターをオンさせ、
前記第2期間の後の第3期間に、前記第1容量素子の他端への前記第1電位の供給を停止して、前記第2容量素子の一端を、前記入力端とは非接続として前記第1容量素子の他端に接続する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。 - 走査線と、
データ線と、
一端が前記データ線に接続された第1容量素子と、
一端の電位を保持する第2容量素子と、
前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた画素回路と、
を有し、
前記画素回路は、
第1トランジスターと、
発光素子と、
前記データ線と前記第1トランジスターのゲートとの間に接続され、オンまたはオフする第2トランジスターと、
前記第1トランジスターにおけるゲートとドレインとの間に接続され、オンまたはオフする第3トランジスターと、を含み、
前記第1トランジスターと前記発光素子とは、高位側の電源と低位側の電源との間で直列に接続された電気光学装置の駆動方法であって、
第1期間に、前記データ線に初期電位を供給するとともに、前記第1容量素子の他端に第1電位を供給し、
前記第1期間の後の期間であって、前記データ線への初期電位の供給を停止するとともに、前記第1容量素子の他端に第1電位を供給した状態で前記第2トランジスターおよび前記第3トランジスターをオンさせる第2期間内に、前記第1容量素子の他端と前記第2容量素子の一端とを非接続とした状態で、前記第2容量素子の一端に入力端を介してデータ信号を供給し、
前記第2期間の後の第3期間に、前記第1容量素子の他端への前記第1電位の供給を停止して、前記第2容量素子の一端を、前記入力端とは非接続として前記第1容量素子の他端に接続する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
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