JP6269799B2 - 電気光学装置および電子機器 - Google Patents
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Description
このため、画素回路におけるトランジスターの特性を補償する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
本発明のいくつかの態様の目的の一つは、カラー画像を表示する際の問題点を解決することができる技術を提供することにある。
本発明の態様によれば、第1データ信号の電位振幅と第2データ信号の電位振幅とが同じであっても、第1データ線に供給されたときの電位振幅と、第2データ線に供給されたときの電位振幅とを互いに異ならせることができる。
また、上記態様において、前記第1データ線の電位を保持する第1保持部と、前記第2データ線の電位を保持する第2保持部と、前記第1レベルシフト回路は、前記第1入力端子と前記第1データ線との間に電気的に介挿された第1容量素子を含み、前記第2レベルシフト回路は、前記第2入力端子と前記第2データ線との間に電気的に介挿された第2容量素子を含む第2の構成としても良い。
この構成によれば、第1画素回路と第2画素回路とに対して互いに異なる色に対応させて、第1データ線の電位振幅と第2データ線の電位振幅とが異なる場合であっても、共通端子に供給されたデータ信号をデマルチプレクサで分配する構成で済む。
このようにすると、第1データ線の電位振幅と第2データ線の電位振幅とが異なる場合であっても、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器を共用することができる。
この電気光学装置10は、例えばHMD(Head Mount Display)などにおいてカラー画像を表示するマイクロ・ディスプレイである。電気光学装置10の詳細については後述するが、複数の画素回路や当該画素回路を駆動する駆動回路などが例えば半導体シリコン基板に形成された有機EL装置であり、画素回路には、発光素子の一例であるOLEDが用いられる。
制御回路5は、電気光学装置10の電源回路とデータ信号出力回路との機能を兼用するものである。すなわち、制御回路5は、同期信号にしたがって生成した各種の制御信号や各種電位(電圧)を電気光学装置10に供給するほか、デジタルの画像データをアナログのデータ信号に変換して、電気光学装置10に供給する。
OLEDについての詳細な構造の説明は省略するが、概略すれば、画素回路毎に個別に設けられる画素電極(アノード)と、画素回路のすべてにわたって共通で光透過性を有する共通電極(カソード)とで白色有機EL層を挟持した構成である。そして、OLEDの出射側(カソード側)にはRGBのいずれかに対応したカラーフィルターが重ねられる。このようなOLEDにおいて、アノードからカソードに電流が流れると、有機EL層において白色光が発生する。このときに発生した白色光は、カソードを透過し、カラーフィルターによる着色を経て観察者側に視認される。
G>R>B
の順で異なっているためである。このため、OLEDの発光によって白色を表現する場合には、OLEDを最高輝度で発光させるときの印加電圧を、比視感度とは逆に、
B>R>G
の順に高める必要がある。
なお、OLEDへの印加電圧がRGB毎に相違する理由としては、比視感度のほかにも、適用されるカラーフィルターの光学特性(波長/透過率特性や、当該特性におけるカットオフ周波数など)がRGB毎に相違することなども挙げられる。
ここで、表示すべき画像の画素の階調レベルをRGB毎に例えば8ビットで規定して256階調(1ドットでみたときに1677万色)を表現する場合、データ線への電位、すなわち上記トランジスターのゲート電位を、RGB毎に256階調で刻む必要がある。
上述したように、データ線の電位振幅はRGBで互いに異なっている。このため、RGBの画像データをアナログ信号に変換するD/AコンバーターについてRGBで共用する場合、データ線の電位が最小振幅においても256階調で刻まれるように、最大振幅を8ビットよりも多い例えば10ビットで規定する構成となる。
しかしながら、このような構成では、ルックアップテーブルとしてRGBの3種類が必要となるだけでなく、10ビットの伝送経路も必要となり、構成がそれだけ複雑化する。
そこで、本実施形態では、RGBの階調レベルについては8ビットで共通とし、当該8ビットのデジタルデータを変換したデータ信号の電位振幅を、RGB毎のOLEDへの印加電圧に合わせて異なる比率で圧縮されるようにシフトしてデータ線に供給する構成とした。
このうち、表示部100には、表示すべき画像の画素に対応した画素回路110がマトリクス状に配列されている。詳細には、表示部100において、m行の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、例えば3列毎にグループ化された(3n)列のデータ線14が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線12と互いに電気的な絶縁を保ちつつ交差するように設けられている。そして、m行の走査線12と(3n)列のデータ線14との交差に対応する位置に画素回路110が設けられている。
便宜的に、例えばRに対応する(3j−2)列目のデータ線14を第1データ線としたときに、Gに対応する(3j−1)列目のデータ線14を第2データ線と呼ぶ場合がある。画素回路110については、Rのデータ線14(第1データ線)に対応するものが第1画素回路となり、Gのデータ線14(第2データ線)に対応するものが第2画素回路となる。
また、電気光学装置10には、デマルチプレクサ30での選択タイミングに合わせてデータ信号Vd_1、Vd_2、…、Vd_nが、制御回路5から1、2、…、n番目のグループに対応した共通端子78を介し供給される。
なお、列で区別する場合、Rのデータ線14(第1データ線)に対応する保持容量50が第1保持部となり、Gのデータ線14(第2データ線)に対応する保持容量50が第2保持部となる。
保持容量50としては、データ線14に寄生する容量を用いても良いし、この寄生容量と、データ線14を構成する配線と別途の配線とで絶縁体(誘電体)を挟持することによって形成した容量素子との合成容量を用いて良い。ここで、保持容量50の容量をCdtとする。
なお、走査線駆動回路20は、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)のほかにも、当該走査信号に同期した各種の制御信号を行毎に生成して表示部100に供給するが、図2においては図示を省略している。また、フレームの期間とは、電気光学装置10が1カット(コマ)分の画像を表示するのに要する期間をいい、例えば同期信号に含まれる垂直同期信号の周波数が120Hzであれば、その1周期分の8.3ミリ秒の期間である。
j番目のグループにおいて左端列である(3j−2)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(1)がHレベルである(制御信号/Sel(1)がLレベルである)第1期間のときにオン(導通)する。同様に、j番目のグループにおいて中央列である(3j−1)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(2)がHレベルである(制御信号/Sel(2)がLレベルである)第2期間のときにオンし、j番目のグループにおいて右端列である(3j)列に設けられたトランスミッションゲート34は、制御信号Sel(3)がHレベルであるとき(制御信号/Sel(3)がLレベルであるとき)にオンする。
なお、レベルシフト回路40について列で区別する場合、Rの列に対応した保持容量41、トランスミッションゲート42、トランジスター43、保持容量44およびトランジスター45が、第1レベルシフト単位回路となり、Gの列に対応したものが、第2レベルシフト単位回路となる。
なお、ノードnについて列で区別する場合、Rの列に対応したものが第1入力端子となり、Gの列に対応したものが第2入力端子となる。
なお、電圧については、保持容量の両端電圧や、ゲート・ソース間の電圧、OLED130におけるアノード・カソード間の電圧のように特に断らない限り、電位Gndをゼロボルトの基準とする。
ここで、保持容量44について、便宜的に一端をデータ線14の側とし、他端をトランスミッションゲート42の側とする。このとき、保持容量44の一端は、データ線14のほか、トランジスター45のドレインノードにも接続される一方、保持容量44の他端は、トランジスター43のドレインノードにも接続されている。ここで、説明の便宜上、保持容量44の容量をCref1とし、保持容量44の他端をノードhとする。また、保持容量44について列で区別する場合、Rの列に対応したものが第1容量素子となり、Gの列に対応したものが第2容量素子となる。
なお、iは、画素回路110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、1以上m以下の整数である。
また、トランジスター121のドレインノードは、トランジスター123を介してOLED130のアノードAdに電気的に接続されている。トランジスター121が飽和領域で動作する場合、当該トランジスター121は、ゲート・ソース間の電圧に応じた電流をOLED130に供給する。
このため、トランジスター121が駆動トランジスターに相当している。
トランジスター124にあっては、ゲートノードには制御信号Gel(i)が供給され、ドレインノードがトランジスター125のソースノードとOLED130のアノードAdとにそれぞれ接続されている。
トランジスター125にあって、ゲートノードにはi行目に対応した制御信号Gorst(i)が供給され、ドレインノードは電位Vorstを給電する給電線16に接続されている。
なお、保持容量132としては、トランジスター121のゲートノードgに寄生する容量を用いても良いし、シリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いても良い。
また、本実施形態において電気光学装置10はシリコン基板に形成されるので、トランジスター121〜125の基板電位については、図3において省略されているが、電位Velとしている。
OLED130は、上記シリコン基板において、アノードと光透過性を有するカソードとで白色有機EL層を挟持した素子であり、OLED130の出射側(カソード側)にはRGBのうち、対応する色のカラーフィルターが重ねられる。このようなOLED130において、アノードからカソードに電流が流れると、アノードから注入された正孔とカソードから注入された電子とが有機EL層で再結合して励起子が生成され、白色光が発生する。このときに発生した白色光は、シリコン基板(アノード)とは反対側のカソードを透過し、カラーフィルターによる着色を経て、観察者側に視認される構成となっている。
この図に示されるように、当該画素回路110における保持容量132と、(3j−2)列目の保持容量44、50とは合成容量C1で表すことができる。ここで、合成容量C1は、保持容量44の容量Cref1と、保持容量50の容量Cdtと、保持容量132の容量Cpixとを用いて図10における式(1)のように表すことができる。
なお、容量Cpixは、容量Cref1、Cdtに対して無視できるほどに小さい場合がある。この場合、式(1)で示される容量C1については、Cref1・Cdt/(Cref1+Cdt)に近似することができる。
また、便宜上、レベルシフト回路40における保持容量41の容量Cref2を、図10における式(2)のようにイコールC2とする。
本実施形態では、kを次式(3)のように、合成容量C1と容量C2との和に対する容量C2の比で表すことにする。
k=C2/(C1+C2) …(3)
図4を参照して電気光学装置10の動作について説明する。図4は、電気光学装置10における各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
この図に示されるように、走査信号Gwr(1)〜Gwr(m)が順次Lレベルに切り替えられて、1フレームの期間において1〜m行目の走査線12が1水平走査期間(H)毎に順番に走査される。
1水平走査期間(H)での動作は、各行の画素回路110にわたって共通である。そこで以下については、i行目が水平走査される走査期間において、特にi行(3j−2)列の画素回路110について着目して動作を説明することにする。
なお、図4において、i行目に対し1行前の(i−1)行目に対応する走査信号Gwr(i-1)、制御信号Gel(i-1)、Gcmp(i-1)、Gorst(i-1)の各々については、i行目に対応する走査信号Gwr(i)、制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)よりも、それぞれ時間的に1水平走査期間(H)だけ時間的に先行した波形となる。
説明の便宜上、初期化期間の前提となる発光期間から説明する。図4に示されるように、i行目の発光期間では、走査信号Gwr(i)がHレベルである。また、論理信号である制御信号Gel(i)、Gcmp(i)、Gorst(i)のうち、制御信号Gel(i)がLレベルであり、制御信号Gcmp(i)、Gorst(i)がHレベルである。
このため、図5に示されるようにi行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする一方、トランジスター122、123、125がオフする。したがって、トランジスター121におけるゲート・ソース間の電圧Vgsに応じた電流Idsが、OLED130に供給される。後述するように本実施形態では、発光期間における電圧Vgsは、トランジスター121の閾値電圧から、ノードhの電位シフト量に応じた分だけシフトした値であり、ノードhの電位シフト量は、データ信号の電位および一定の電位Vrefによって定まる。このため、OLED130には、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
また、図5においては、動作説明で重要となる経路を太線で示している(以下の図6〜図8においても同様である)。
次にi行目の走査期間に至ると、(b)の初期化期間が開始する。図4に示されるように、(a)の発光期間と比較して(b)の初期化期間では、制御信号Gel(i)がHレベルに、制御信号Gorst(i)がLレベルに、それぞれ変化する。
このため、図6に示されるように、i行(3j−2)列の画素回路110においてはトランジスター124がオフし、トランジスター125がオンする。これによってOLED130に供給されていた電流Idsの経路が遮断されるとともに、OLED130のアノードAdが電位Vorstにリセットされる。
上述したようにOLED130は、アノードAdとカソードとで有機EL層を挟持した構成であるので、アノード・カソードの間には、図において破線で示されるように容量Coledが並列に寄生する。発光期間においてOLED130に電流が流れていたときに、当該OLED130のアノード・カソード間の両端電圧は当該容量Coledによって保持されるが、この保持電圧は、トランジスター125のオンによってリセットされる。このため、本実施形態では、後の発光期間においてOLED130に再び電流が流れるときに、当該容量Coledで保持されている電圧の影響を受けにくくなる。
なお、本実施形態において、電位Vorstについては、当該電位Vorstと共通電極118の電位Vctとの差がOLED130の発光閾値電圧を下回るように設定される。このため、初期化期間(次に説明する補償期間および書込期間)において、OLED130はオフ(非発光)状態である。
なお、本実施形態では、電位Vrefについては、データ信号の最高値である電位V(0)と一致するように、すなわち、
V(0)=Vref …(4)
となるように設定される。
ここで、初期化期間において、j番目のグループに属する左端列のトランスミッションゲート34が制御信号Sel(1)によってオンする場合、図6に示されるように、データ信号Vd_jが保持容量41の一端であるノードnに供給されて、保持容量41によって保持される。
なお、初期化期間(および後の補償期間)では、制御信号GcplがLレベルであり、各列におけるトランスミッションゲート42はオフしているので、データ信号の供給はノードhの電位に影響を与えない。
Vini<Vel−|Vth| …(5)
となるように設定される。
上述したようにトランジスター121はPチャンネル型である。トランジスター121において、ソースノードの電位を基準とした閾値電圧Vthは負であり、高低関係の説明で混乱が生じるのを防ぐために、閾値電圧については、絶対値の|Vth|で表し、大小関係で規定することにする。
i行目の走査期間では、(b)の初期化期間の後に(c)の補償期間となる。図4に示されるように、(b)の初期化期間と比較して(c)の補償期間では、走査信号Gwr(i)および制御信号Gcmp(i)がLレベルとなり、制御信号GrefがHレベルに維持された状態で制御信号/GiniがHレベルになる。
このため、図7に示されるように、レベルシフト回路40においては、トランジスター43が引き続きオンするので、ノードhが電位Vrefに維持される。
一方、トランジスター45がオフし、i行(3j−2)列の画素回路110ではトランジスター122がオンすることによって、ゲートノードgがデータ線14に電気的に接続されるので、当該データ線14からゲートノードgに至る経路までは、補償期間の開始当初においては電位Viniとなる。
このため、トランジスター121にはドレイン電流が流れて、ゲートノードgおよびデータ線14を充電する。詳細には、電流が、給電線116→トランジスター121→トランジスター123→トランジスター122→(3j−2)列目のデータ線14という経路で流れる。このため、トランジスター121のオンによって互いに接続状態にあるデータ線14からゲートノードgに至る経路は、電位Viniから上昇する。
ただし、上記経路に流れる電流は、ゲートノードgが電位(Vel−|Vth|)に近づくにつれて流れにくくなるので、補償期間の終了に至るまでに、データ線14およびゲートノードgは電位(Vel−|Vth|)で飽和する。したがって、保持容量132の両端で保持される電圧、すなわちトランジスター121のゲート・ソース間の電圧は、補償期間の終了に至るまでにトランジスター121の閾値電圧|Vth|となる。
補償期間では、初期化期間から引き続いて制御信号GcplがLレベルであるから(制御信号/GcplがHレベルであるから)、トランスミッションゲート42がオフしている。また、デマルチプレクサ30を介して供給されたデータ信号Vd_jは、保持容量41によって保持される。このとき、データ信号Vd_jの電位をVdataとすると、図11(a)に示されるように、保持容量41の一端であるノードnは電位Vdataとなる。
なお、保持容量44の他端、すなわち合成容量C1の一端であるノードhは、トランジスター43のオンによって電位Vrefである。また、補償期間の終了時においては、上述したように、また、図11(b)に示されるようにゲートノードgは電位(Vel−|Vth|)で飽和する。
i行目の走査期間では、(c)の補償期間の後に(d)の書込期間となる。図4に示されるように、(d)の書込期間では、制御信号GrefがLレベルになる一方で、制御信号GcplがHレベルになる(制御信号/GcplがLレベルになる)。
また、本実施形態では、書込期間において制御信号Sel(1)、Sel(2)、Sel(3)がHレベルになることはない(制御信号/Sel(1)、/Sel(2)、/Sel(3)がLレベルになることはない)。
このため、図8に示されるように、各列においては、トランスミッションゲート34がオフした状態で、トランスミッションゲート42がオンするので、合成容量C1の一端であるノードhは、補償期間における電位Vrefからシフトする。
このため、保持容量41で蓄積された電荷、詳細には電位Vdataと容量C2との積に相当する電荷は、トランスミッションゲート42のオンによって電位Vrefに対応した電荷を蓄積していた合成容量C1と、自身の容量C2とに再分配されるので、図12における式(6)が成立する。
式(6)を、Vnodeについて解くと、図において式(7)のように表すことができる。
ここで、ノードhにおける初期化期間から書込期間に至る電位シフト量をΔVhとしたとき、Vnodeについては式(8)に示されるように表すことができる。
なお、電位シフト量ΔVhについては、上昇方向を正としたとき、本実施形態では、下降方向に変化するので、負である。
すなわち、電位シフト量ΔVgについては、式(11)に示されるように、容量Cdt、Cref1、Cpix、および、ノードhの電位シフト量ΔVhで定まる。電位シフト量ΔVhは、式(10)に示したように電位Vdata、Vrefおよび比kで定まる。このうち、電位Vdataはデータ信号の電位であり、階調レベルが「0」に対応するV(0)から階調レベルが「255」に対応するV(255)まで段階的に変化するが、それ以外は一定値であるので、電位シフト量ΔVgは、階調レベルに応じた定まることになる。
式(11)においてΔVhの係数をpとすると、ゲートノードgの電位シフト量ΔVgについては、式(12)のように簡略化して表すことができる。このため、シフト後におけるゲートノードgの電位Vgについては、図11(d)、または、図12の式(14)のように表すことができる。
なお、ゲートノードgにおける電位シフト量ΔVgについては、式(9)および式(11)から、式(13)のように表すことができる。電位シフト量ΔVgについては、上昇方向を正としたとき、本実施形態では、電位シフト量ΔVhと同様に、下降方向に変化するので、負である。
また、補償期間の終了時においてトランジスター121の電圧Vgsは、閾値電圧|Vth|からゲートノードgの電位シフト量だけシフト値(|Vth|−p・ΔVh)となる。
i行目の書込期間の終了した後、1水平走査期間の間をおいて発光期間に至る。この発光期間では、上述したように制御信号Gel(i)がLレベルになるので、i行(3j−2)列の画素回路110においては、トランジスター124がオンする。
ゲート・ソース間の電圧Vgsは(|Vth|−p・ΔVh)であり、トランジスター121の閾値電圧から、データ信号の電位に応じた分だけシフトした値である。このため、OLED130には、先の図5に示したように、階調レベルに応じた電流がトランジスター121の閾値電圧を補償した状態で供給されることになる。
さらに、このようなi行目の動作は、実際には、1フレームの期間において1、2、3、…、(m−1)、m行目の順番で実行されるとともに、フレーム毎に繰り返される。
図において、Aは閾値電圧|Vth|が大きいトランジスターを、Bは閾値電圧|Vth|が小さいトランジスターを、それぞれ示している。なお、図14において、ゲート・ソース間の電圧Vgsは、実線で示される特性と電位Velとの差である。また、図において、縦スケールの電流は、ソースからドレインに向かう方向を正(上)とした対数で示されている。
次に、2つのトランジスターが属する画素回路110へのデータ信号の電位が同じ場合、つまり同じ階調レベルが指定された場合に、書込期間においては、動作点Aa、Baからの電位シフト量は、ともに同じ|ΔVg|(=|p・ΔVh|)である。このため、トランジスターAについては動作点がAaからAbに移動し、トランジスターBについては動作点がBaからBbに移動するが、電位シフト後の動作点における電流は、トランジスターA、Bともに、ほぼ同じIdsで揃うことになる。
上述したように制御回路5から電位Vdataのデータ信号Vd_jが供給されたときに、ノードhにおける電位シフト量ΔVhについては、式(10)のように表される。ここで、データ信号の電位Vdataは、V(0)からV(255)までにわたって変化する。ただし、式(4)で示したように電位Vrefについてはデータ信号のV(0)と一致するように設定されているので、データ信号の電位VdataがV(0)であるとき、式(10)の右辺括弧内はゼロになる。このため、データ信号の電位がV(0)であれば、電位シフト量ΔVhについてもゼロになるので、ノードhの電位は、図13に示されるように、RGBの各々について、V(0)(=Vref)からシフトしないことになる。
したがって、式(12)で示される電位シフト量ΔVgについてもゼロであるから、式(13)で示されるゲートノードgの電位Vgは、補償期間の終了時における電位(Vel−|Vth|)から変化しない。このため、データ信号の電位がV(0)であれば、発光期間では、RGBの各色にわたってOLED130に電流が流れないので、良好な黒の表示が可能になる。
ゲートノードgで示される電位シフト量ΔVgについても、式(11)の右辺におけるΔVhに比例するので、図13に示されるようにB、R、Gの順でVrefに対して低くなる。
ここで、ゲートノードgの電位シフト量ΔVgについては、式(13)で示されるので、合成容量C1と容量C2(=Cref2)とで定まる係数部分をRGB毎に設定すれば良いことになる。
kG<kR<kB
となるように保持容量41の容量Cref2を、RGB毎に要求されるゲートノードgの電位Vgに合わせて設定すれば良いことになる。
本発明は、上述した実施形態や応用例などの実施形態等に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を適宜に組み合わせることもできる。
実施形態においては、各列において保持容量41(容量Cref2)およびトランスミッションゲート42を設けたが、これらは、必ずしも必要ではない。これは、保持容量44を介したノードhの電位変化によって、データ線14(ゲートノードg)の電位が変化すれば良いからである。
各列において保持容量41およびトランスミッションゲート42を設けない場合であっても、データ線14(ゲートノードg)の電位Vgは、式(14)に示されるように、補償期間の終了時における(Vel−|Vth|)から、ノードhにおける電位シフト量ΔVh、すなわち当該構成では(Vdata−Vref)に係数pを乗じた分だけシフトすることになる。ここで、係数pは、式(11)の右辺においてΔVhの係数部分である。
したがって、当該構成において保持容量132の容量Cpixが無視できるほどに小さい場合、容量Cref1と容量Cdtとの比を適切に設定すれば良いことになる。
実施形態において、データ信号を供給する制御回路5については電気光学装置10とは別体としたが、制御回路5についても、走査線駆動回路20やデマルチプレクサ30、レベルシフト回路40とともに、半導体シリコン基板に集積化しても良い。
実施形態においては、電気光学装置10を半導体シリコン基板に集積した構成としたが、他の半導体基板に集積した構成しても良い。例えば、SOI基板であっても良い。また、ポリシリコンプロセスを適用してガラス基板等に形成しても良い。
実施形態において、i行目でいえば書込期間において制御信号Gcmp(i)をHレベルとしたが、Lレベルとしても良い。すなわち、トランジスター123をオンさせることによる閾値補償とノードゲートgへの書き込みとを並行して実行する構成としても良い。
実施形態では、データ線14を3列毎にグループ化するとともに、各グループにおいてデータ線14を順番に選択して、データ信号を供給する構成としたが、グループを構成するデータ線数については「2」であっても良いし、「4」以上であっても良い。
また、データ信号については、デマルチプレクサ30によって分配する構成でなくても、制御回路5から供給されたデータ信号を一旦、保持容量41に保持させ、この後、トランスミッションゲート42のオンによってデータ線14に保持容量44を介して供給する構成であっても良い。また、保持容量41およびトランスミッションゲート42を設けない場合であれば、電位Vrefに初期化したノードhに、書込期間においてデータ信号を供給する構成としても良い。
上述した実施形態等では、画素回路110におけるトランジスター121〜125をPチャンネル型で統一したが、Nチャンネル型で統一しても良い。また、Pチャンネル型およびNチャンネル型を適宜組み合わせても良い。
実施形態等では、カラー表示のために、OLEDをRGBの三色に対応させたが、例えばY(黄)を加えた四色としても良いし、RGB以外の色でも良い。また、フルカラーの画像を表示する必要がない場合、例えば電光掲示版のように文字情報を表示する場合、例えばGRの二色に対応させても良い。
実施形態等では、電気光学素子として発光素子であるOLEDを例示したが、例えば無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)など、電流に応じた輝度で発光するものであれば良い。
次に、実施形態等や応用例に係る電気光学装置10を適用した電子機器について説明する。電気光学装置10は、画素が小サイズで高精細な表示な用途に向いている。そこで、電子機器として、HMDを例に挙げて説明する。
電気光学装置10Lの画像表示面は、図16において左側となるように配置している。これによって電気光学装置10Lによる表示画像は、光学レンズ302Lを介して図において9時の方向に出射する。ハーフミラー303Lは、電気光学装置10Lによる表示画像を6時の方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
電気光学装置10Rの画像表示面は、電気光学装置10Lとは反対の右側となるように配置している。これによって電気光学装置10Rによる表示画像は、光学レンズ302Rを介して図において3時の方向に出射する。ハーフミラー303Rは、電気光学装置10Rによる表示画像を6時方向に反射させる一方で、12時の方向から入射した光を透過させる。
また、このHMD300において、視差を伴う両眼画像のうち、左眼用画像を電気光学装置10Lに表示させ、右眼用画像を電気光学装置10Rに表示させると、装着者に対し、表示された画像があたかも奥行きや立体感を持つかのように知覚させることができる(3D表示)。
Claims (9)
- デジタルの画像データをアナログのデータ信号に変換し、前記データ信号を出力する制御回路と、
前記制御回路に電気的に接続された第1入力端と、第1出力端と、を備えた第1スイッチと、
前記制御回路に電気的に接続された第2入力端と、第2出力端と、を備えた第2スイッチと、
前記第1スイッチの前記第1出力端に電気的に接続された第1端を備えた第1容量と、
前記第2スイッチの前記第2出力端に電気的に接続された第2端を備えた第2容量と、
前記第1容量の前記第1端に電気的に接続された第3入力端と、第3出力端と、を備えた第3スイッチと、
前記第2容量の前記第2端に電気的に接続された第4入力端と、第4出力端と、を備えた第4スイッチと、
前記第3スイッチの前記第3出力端に電気的に接続された第3端と、第4端と、を備えた第3容量と、
前記第4スイッチの前記第4出力端に電気的に接続された第5端と、第6端と、を備えた第4容量と、
前記第3容量の前記第4端に電気的に接続された第1配線と、
前記第4容量の前記第6端に電気的に接続された第2配線と、
前記第1配線に電気的に接続された第7端を備えた第5容量と、
前記第2配線に電気的に接続された第8端を備えた第6容量と、
第3配線と、
前記第1配線と前記第3配線とが交差する第1位置に対応して設けられた第1画素回路と、
前記第2配線と前記第3配線とが交差する第2位置に対応して設けられた第2画素回路と、を有し、
前記第1画素回路および前記第2画素回路の各々は、
発光素子と、
前記発光素子に電気的に接続されたときに前記発光素子に供給する電流を制御する第1トランジスターと、
前記第1配線または前記第2配線と前記第1トランジスターのゲートとの間に配置され、前記第1配線または前記第2配線と前記第1トランジスターの前記ゲートとのオンおよびオフを制御する第2トランジスターと、
前記第1トランジスターの前記ゲートに電気的に接続された画素容量と、を含むことを特徴とする電気光学装置。 - 前記第5容量の容量値に対する前記第3容量の容量値の比は、前記第6容量の容量値に対する前記第4容量の容量値の比と異なる比であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記第1容量に供給する前記データ信号は、前記第1容量、前記第3スイッチ、前記第3容量、前記第1配線及び前記第5容量により第1圧縮率で圧縮されて第1圧縮信号となり、
前記第1圧縮信号が前記第3容量の前記第3端に供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。 - 前記第2容量に供給する前記データ信号は、前記第2容量、前記第4スイッチ、前記第4容量、前記第2配線及び前記第6容量により、前記第1圧縮率とは異なる第2圧縮率で圧縮されて第2圧縮信号となり、
前記第2圧縮信号が前記第4容量の前記第5端に供給されることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。 - 前記第1圧縮信号は、前記第3容量、前記第1配線及び前記第5容量により、第3圧縮率で圧縮されて第3圧縮信号となり、
前記第3圧縮信号は、前記第1画素回路の前記第1トランジスターの前記ゲートに供給されることを特徴とする請求項3または4に記載の電気光学装置。 - 前記第2圧縮信号は、前記第4容量、前記第2配線及び前記第6容量により、第4圧縮率で圧縮されて第4圧縮信号となり、
前記第4圧縮信号は、前記第2画素回路の前記第1トランジスターの前記ゲートに供給されることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。 - 前記第1画素回路における前記第1トランジスターの前記ゲートの電位シフト量は、前記第3容量の前記第3端の電位シフト量を、前記第1画素回路の前記画素容量と前記第5容量との並列容量と、前記第3容量と、で内分したシフト量となることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置。
- 前記制御回路は、前記第3スイッチをオンにし、前記第3容量の前記第3端に蓄積していた第1電荷と、前記第1容量の前記第1端に蓄積していた前記データ信号に相当する第2電荷と、を前記第1容量、前記第3容量、前記第5容量及び前記第1画素回路の前記画素容量に再分配することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電気光学装置。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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