JP6580506B2 - 粘着剤組成物及び粘着剤層付偏光板 - Google Patents
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Description
偏光板などの光学フィルムは、通常、収縮率の異なる部材を積層して構成される。そのため、温度及び湿度の変化により光学フィルムに反りが発生し、粘着剤層と光学フィルムとの界面で浮き、剥がれ、及び発泡が発生することがある。また、温度及び湿度の変化により光学フィルムが収縮又は膨張しようとして応力が発生する。この応力が粘着剤層で緩和されない場合、粘着剤層に応力が残留する。そして、粘着剤層に残留した応力が不均一になると、例えば液晶表示装置において光漏れが生じ、いわゆる白抜けが発生することがある。
以上のことから、粘着剤組成物には、浮き、剥がれ、及び発泡を抑制できる性質、並びに白抜けの抑制に優れる粘着剤層を形成できることが求められている。
また、発明者らが検討したところ、特許文献2に記載の粘着剤組成物は、偏光板の含水率によって使用環境における劣化に対する耐性及び白抜けが著しく悪化する場合があるため、使用できる偏光板が限られる。特に、偏光板の含水率が5質量%を超えると、イソシアネート化合物が水分と反応して失活してしまい、架橋反応が十分に進まず、使用環境における劣化に対する耐性及び白抜けの抑制に劣る。そのため、特許文献2に記載の粘着剤組成物は、含水率が5質量%を超える偏光板に使用できなかった。
このように、偏光板の含水率によらず、使用環境における劣化に対する耐性と、高い水準で白抜けの抑制と、を満足する粘着剤組成物は知られていない。
<1> カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.1質量%〜5質量%含有する(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して8質量部〜30質量部のイソシアネート化合物と、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部のカルボジイミド化合物と、を含む、粘着剤組成物。
<3> 更に、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.05質量部〜3質量部のシランカップリング剤を含む<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4> 前記(メタ)アクリル系重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%〜0.5質量%含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<6> 架橋後のゲル分率が65質量%〜92質量%である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<7> 含水率が5質量%を超える偏光板を被着体に貼着する際に用いられる<1>〜<6>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「粘着剤層」とは、実質的に架橋した後の層であって、例えば固形状又はゲル状の層を意味する。
本明細書において「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方の意味を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方の意味を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方の意味を包含する概念である。
本発明の粘着剤組成物は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.1質量%〜5質量%含有する(メタ)アクリル系重合体と、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して8質量部〜30質量部のイソシアネート化合物と、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部のカルボジイミド化合物と、を含む。
偏光板などの基材に含まれる水分が多い場合、基材由来の水分とイソシアネート化合物とが反応し、イソシアネート化合物が失活してしまい、(メタ)アクリル系重合体の架橋反応が進行しにくくなる。そのため、基材の含水率によらず、使用環境における劣化に対する耐性、すなわち、高温低湿環境下、高温高湿環境下、及び高温環境下と低温環境下とに繰り返し曝されるような過酷な環境下での使用において浮き、剥がれ、及び発泡が生じにくい性質を有し、白抜けの抑制に優れる粘着剤層は知られていなかった。
本発明の粘着剤組成物は、特定の(メタ)アクリル系重合体に対して、特定量のイソシアネート化合物と、特定量のカルボジイミド化合物と、を含むため、(メタ)アクリル系重合体の架橋反応において、水分によるイソシアネート化合物の失活が起きたとしても、カルボキシ基とカルボジイミド化合物との架橋反応が進行する。そのため、水分による(メタ)アクリル系重合体の架橋反応の阻害が起こり難いと考えられる。また、水分が少なくイソシアネート化合物が失活しない場合であっても、架橋反応が進行し適度な凝集力を有する粘着剤層が形成できる。よって、偏光板などの基材の含水率によらず、使用環境における劣化に対する耐性(以下、耐久性ともいう)及び白抜けの抑制に優れた粘着剤層を形成できると考えられる。
以下に粘着剤組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.1質量%〜5質量%含有する(メタ)アクリル系重合体を含む。
粘着剤組成物が前記(メタ)アクリル系重合体を含むことで、(メタ)アクリル系重合体と、後述のイソシアネート化合物及び後述のカルボジイミド化合物の少なくとも一方と、が反応して(メタ)アクリル系重合体の架橋が進行する。そのため、本発明の粘着剤組成物は、粘着剤層を形成できる。
(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位以外にも、水酸基を有する単量体に由来する構成単位、及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましく、更に他の単量体に由来する構成単位を含有していてもよい。
本発明における(メタ)アクリル系重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.1質量%〜5質量%含有する。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位のカルボキシ基は、後述のイソシアネート化合物のイソシアネート基、及びカルボジイミド化合物のカルボジイミド基と反応することができる。このため、本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体の架橋が進行し、粘着剤層を形成できる。
カルボキシ基を有する単量体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、及びω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が0.1質量%以上であることで、カルボキシ基と、後述のイソシアネート化合物及びカルボジイミド化合物の少なくとも一方との架橋反応が効果的に進行する。このため、本発明の粘着剤組成物は、耐久性に優れる。一方、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が5質量%以下であることで、本発明の粘着剤組成物はゲル化せずに塗布することができる。
本発明における(メタ)アクリル系重合体は、前述のカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位に加え、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有することが好ましい。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の水酸基は、後述のイソシアネート化合物のイソシアネート基、及びカルボジイミド化合物のカルボジイミド基と反応することができる。そのため、本発明の粘着剤組成物は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まない場合に比べて架橋後のゲル分率が上昇し、さまざまな使用環境における発泡及び白抜けをより抑制できる傾向がある。
水酸基を有する単量体としては、例えば、置換基として水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、及び水酸基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基を有する単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水酸基を有する単量に由来する構成単位の含有率が0.01質量%以上であると、後述のイソシアネート化合物との反応が効果的に進行し、粘着剤層とした場合の白抜けをより抑制できる傾向がある。一方、水酸基を有する単量に由来する構成単位の含有量が1質量%以下であると、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎず、さまざまな使用環境における剥がれがより抑制されて耐久性に優れる傾向がある。
本発明における(メタ)アクリル系重合体は、更に、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することが好ましい。(メタ)アクリル系重合体がアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有することで、粘着力を容易に調整できる。
本明細書において「アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位」とは、アルキル(メタ)アクリレートが付加重合して形成された構成単位を意味する。
アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル系重合体は、凝集力及び粘着力の観点から、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を全構成単位に対して99.5質量%以下含有することが好ましい。
その他の構成単位を構成する単量体の種類は、特に制限されない。
その他の構成単位を構成する単量体としては、具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される環状基を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルが挙げられる。また、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。また、グリシジル基、アミド基又はN−置換アミド基、三級アミノ基などの、水酸基以外の官能基を有する単量体が挙げられる。
本発明における(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、70万〜200万であることが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)が70万以上であると、粘着剤層の凝集力が上昇しさまざまな使用環境における発泡を抑制でき、耐久性に優れる傾向がある。一方、重量平均分子量(Mw)が200万以下であると塗布の際の作業性に優れる傾向がある。
(1)(メタ)アクリル系重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件にて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定する。
測定装置:高速GPC(型番:HLC−8220 GPC、東ソー株式会社製)
検出器:示差屈折率計(RI)(HLC−8220に組込、東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL GMHXL(東ソー株式会社製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
注入量:100μL
流量:0.6mL/分
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算でき、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算できる。
以下に代表的な単量体の単独重合体のガラス転移温度を示す。なお、単量体の単独重合体のガラス転移温度は、セルシウス温度(℃)で表す。
本発明における(メタ)アクリル系重合体の合成方法は、特に制限されない。例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合に代表される公知の重合方法で、単量体を重合して製造できる。これらの中でも、重合方法としては、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル、及び2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)が挙げられる。
本発明における粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して8質量部〜30質量部のイソシアネート化合物を含む。
本発明におけるイソシアネート化合物は、架橋剤として機能する。
イソシアネート化合物はカルボキシ基と架橋反応する。このため、本発明の粘着剤組成物において、イソシアネート化合物と、前記(メタ)アクリル系重合体のカルボキシ基と、が架橋反応し、粘着剤層が形成される。
更に、イソシアネート化合物は水酸基と架橋反応する。このため、本発明の粘着剤組成物において前記(メタ)アクリル系重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有する場合、イソシアネート化合物と(メタ)アクリル系重合体の水酸基と、が架橋反応し、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有しない場合に比べて架橋後のゲル分率が上昇する。これにより、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有する場合は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有しない場合に比べて、さまざまな使用環境における発泡及び白抜けをより抑制できる。
本発明の粘着剤組成物は、従来の粘着剤組成物と比べてイソシアネート化合物の含有量が多いため、凝集力が高く、偏光板などの基材の寸法変化を抑えることができるため、耐久性及び白抜けの抑制に優れた粘着剤層を形成できる。更に、前述の特定量のイソシアネート化合物と、後述の特定量のカルボジイミド化合物とを併用することで、基材の含水率に関わらず、耐久性及び白抜けの抑制に優れる。
イソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート化合物の含有量が8質量部以上であることで、粘着剤層の凝集力が高くなり偏光板などの基材の寸法変化を抑えられるため、白抜けの抑制に優れる。一方、イソシアネート化合物の含有量が30質量部以下であることで、タック性を確保できるため偏光板を液晶セルなどの被着体に貼着する際に被着体との密着性に優れるため、耐久性に優れる。
前記比率(NCO/NCN)が25以上であると、より耐久性に優れる。一方、前記比率(NCO/NCN)が150以下であると、より白抜けの抑制に優れる。
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部のカルボジイミド化合物を含む。
本発明におけるカルボジイミド化合物は、架橋剤として機能する。
カルボジイミド化合物はカルボキシ基と架橋反応する。このため、本発明の粘着剤組成物において、カルボジイミド化合物と、前記(メタ)アクリル系重合体のカルボキシ基と、が架橋反応し、粘着剤層が形成される。
更に、カルボジイミド化合物は水酸基と架橋反応する。このため、本発明の粘着剤組成物において前記(メタ)アクリル系重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有する場合、カルボジイミド化合物と(メタ)アクリル系重合体の水酸基とが架橋反応し、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まない場合に比べて架橋後のゲル分率が上昇する。これにより、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有する場合は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含有しない場合に比べて、さまざまな使用環境における発泡及び白抜けをより抑制できる。
本発明の粘着剤組成物は、更に、特定量のカルボジイミド化合物と、前述の特定量のイソシアネート化合物と、を併用することで、基材の含水率に関わらず、耐久性及び白抜けの抑制に優れる。
更には、これらの化合物の重合体、及びこれらの化合物と共重合可能な単量体との共重合体であるポリカルボジイミドなどが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボジイミド化合物の含有量が0.1質量部以上であると、基材の含水率に関わらず十分に架橋が進行するため、白抜けを抑制できる。一方、カルボジイミド化合物の含有量が0.5質量部以下であると、タック性を確保できるため偏光板を液晶セルなどの被着体に貼着する際に被着体との密着性に優れるため、耐久性に優れる。
本発明の粘着剤組成物は、更にシランカップリング剤を含んでいてもよい。粘着剤組成物がシランカップリング剤を含む場合、粘着剤層とした際の耐久性をより向上させることができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、粘着剤層とした際の耐久性をより向上させることができる。
粘着剤組成物は、前述の(メタ)アクリル系重合体、前述のイソシアネート化合物、前述のカルボジイミド化合物、及び必要に応じて含まれる前述のシランカップリング剤以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、架橋触媒、キレート剤、溶剤、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤、酸化防止剤、(メタ)アクリル系重合体以外の重合体が挙げられる。
粘着剤組成物がこれらの他の成分を含む場合、当該他の成分の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲内において、適宜設定できる。
本発明の粘着剤組成物の架橋後のゲル分率は、65質量%〜92質量%であることが好ましい。
ゲル分率が65質量%以上であるとより白抜けの抑制に優れる。一方、ゲル分率が92質量%以下であるとより耐久性に優れる。
粘着剤組成物の架橋後のゲル分率は、上記と同様の観点から、70質量%〜90質量%がより好ましく、75質量%〜90質量%が更に好ましい。
(1)精密天秤にて質量を正確に測定した250メッシュの金網(100mm×100mm)に、架橋後の粘着剤組成物(粘着剤層)を約0.15g貼付し、ゲル分が漏れないように、貼付した粘着剤層を内側にして、金網を5回折り畳み、試料とする。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mlに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を正確に測定する。
(4)下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率(質量%)=(Z−X)/(Y−X)×100
但し、Xは金網の質量(g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の浸漬前の質量(g)、Zは浸漬後乾燥させた、粘着剤層を貼付した金網の質量(g)である。
本発明の粘着剤組成物の用途は、特に制限されないが、粘着剤層を介して偏光板を被着体に貼着する用途に用いることが好ましい。具体的には、例えば、偏光板を液晶セルに貼着する用途、及び偏光板を位相差フィルムなどの光学フィルムに貼着する用途が挙げられる。中でも、耐久性及び白抜けの抑制が特に要求される、偏光板を液晶セルに貼着する用途に好適に用いることができる。
特に、従来の粘着剤組成物は、偏光板の含水率が5質量%を超える場合、偏光板由来の水分によりイソシアネート化合物が失活して(メタ)アクリル系重合体の架橋反応が進行しにくくなるため耐久性及び白抜けの抑制に劣る。これに対し本発明の粘着剤組成物は、水分による(メタ)アクリル系重合体の架橋反応の阻害が起こり難いため、偏光板の含水率が5質量%を超える場合においても耐久性及び白抜けの抑制に優れた粘着剤層を形成できる。このため、本発明の粘着剤組成物は、含水率が5質量%を超える偏光板に対しても好適に用いることができる。
偏光板を1.0cm×4.0cmに裁断し試験片とし、この試験片の質量Fを精密に測定する。水分気化装置(例えば、株式会社三菱化学アナリテック製、VA−200型)を用い、150℃で試験片から水分を気化させ、気化した水分量Wをカールフィッシャー水分計(例えば、株式会社三菱化学アナリテック製、CA−200型)で測定する。
偏光板の含水率は、上記で測定された試験片の質量F及び水分量Wを、下記式に代入して算出することができる。
偏光板の含水率(質量%)=0.1×(W/F) …式
W:水分計の示した水分量(μg)
F:秤量した試験片の質量(mg)
本発明における粘着剤層付偏光板は、偏光板と、既述の本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層と、を備える。
粘着剤層付偏光板は、上記の粘着剤層を備えるため、偏光板の含水率によらず、耐久性及び白抜けの抑制に優れる。
すなわち、偏光板は、偏光子単独の1層構造であってもよく、偏光子の片面に保護フィルムを有する2層構造であってもよく、偏光子の両面に保護フィルムを有する3層構造であってもよい。
なお、偏光子と保護フィルムとの間、保護フィルムと粘着剤層との間、及び偏光子と粘着剤層との間に、位相差フィルムなどの光学機能性層、接着剤層及び易接着層などの層を有していてもよい。
また、粘着剤層付偏光板の最も外側の面は、剥離フィルムで保護されていてもよい。
粘着剤層側の面と反対側の面を剥離フィルムで保護する場合、剥離フィルムとしては、ハードコートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの表面保護フィルムが挙げられる。
また、偏光板の含水率は、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
偏光板の含水率は、既述の方法により測定することができる。
なお、乾燥の条件としては、例えば、熱風乾燥機を用いて70℃〜120℃で1分間〜3分間乾燥する条件が挙げられる。
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)88.65質量部、メチルアクリレート(MA)9.50質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.15質量部、アクリル酸(AA)1.70質量部、有機溶媒として酢酸エチル110質量部を入れて混合した後、反応器内を窒素置換した。その後、反応器内の混合物を撹拌しながら70℃に昇温した後に、アゾビスジメチルバレロニトリル(AIBN)0.04質量部と酢酸エチル40質量部を逐次添加し、6時間保持して重合反応させた。重合反応終了後、酢酸エチルで希釈し固形分を24.0質量%に調整した。このようにして(メタ)アクリル系重合体の溶液を得た。
各製造例B〜Jでは、製造例Aにおける単量体の組成を表1に示すように変更するとともに、有機溶媒の量を調整することで、表1に示すように、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量を調整したこと以外は、製造例Aと同様の方法により、(メタ)アクリル系重合体の溶液を調製した。
得られた(メタ)アクリル系重合体の単量体組成(単位:質量%)及び重量平均分子量(Mw、単位:万)を表1に示す。
重量平均分子量(Mw)は、既述の方法で測定したものである。
表1中の「PHEA」はフェノキシエチルアクリレートを表す。
―粘着剤組成物の調製―
(メタ)アクリル系重合体として製造例Aで得た(メタ)アクリル系重合体の溶液を416.67質量部(固形分として100.0質量部)と、イソシアネート化合物としてコロネートLを18.7質量部(東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、有効成分として14.0質量部)と、カルボジイミド化合物としてカルボジライトV−05を0.3質量部(日清紡ケミカル株式会社製、有効成分としては0.3質量部)と、シランカップリング剤としてKBM−403を0.1質量部(信越化学工業株式会社製、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、有効成分としては0.1質量部)と、を十分に撹拌混合して粘着剤組成物を得た。
上記で得られた粘着剤組成物をシリコーン系剥離剤で表面処理された剥離フィルム(藤森工業株式会社製、100E−0010NO23)の表面処理面に、乾燥後の塗布量が20g/cm2となるように塗布した。
次に、これを100℃で90秒間の条件で熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させ、剥離フィルム上に塗布層を形成した。続いて、トリアセチルセルロース(TAC)/ポリビニルアルコール(PVA)/TAC構造の偏光板の一方の面と前記剥離フィルム上の塗布層とを重ねて貼り合せ、35℃、45%RHの条件下で96時間養生させ、剥離フィルム/粘着剤層/偏光板の積層構造を有する粘着剤層付偏光板を作製した。
なお、粘着剤層付偏光板は、含水率が6.5質量%の偏光板Aと含水率が2.8質量%の偏光板Bとを用いて、2種類の粘着剤層付偏光板を作製した。
偏光板の含水率は、23℃、50%RHの雰囲気下で偏光板を保持する時間により調整した。また、偏光板の含水率は、既述の方法により算出した。なお、含水率の算出において、水分気化装置として株式会社三菱化学アナリテック製のVA−200型を用い、カールフィッシャー水分計として株式会社三菱化学アナリテック製のCA−200型を用いた。
偏光板Aに形成した粘着剤層のゲル分率と、偏光板Bに形成した粘着剤層のゲル分率をそれぞれ測定した。ゲル分率の測定結果を表1に示す。
上記で得られた粘着剤層付偏光板を、吸収軸に対して長辺が45°になるようにカットし、54mm×96mm(長辺)の試験片(4.3インチ)を用意した。この試験片から剥離フィルムを剥離した。剥離により露出した粘着剤層の表面を、厚さ1.1mmの無アルカリガラス板(EagleXG、コーニング社製)の片面に密着させることにより、試験片をガラス板上に重ね、ラミネーターを用いて貼付して積層体とした。次に、この積層体にオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm2、20分)を施し、23℃、65%RHの条件下で24時間放置した。その後、高温低湿条件のDry環境(80℃、0%RH)、又は高温高湿条件のWET環境(60℃、90%RH)にそれぞれ500時間放置した。あるいは、高温低温を繰返す(−40℃に30分間放置した後、85℃に30分放置することを1サイクルとして300サイクル繰り返す)H/S環境に投入した。放置時間が経過した後、発泡、浮き、剥れの状態を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果を表1に示す。
A:発泡、浮き、剥れが全くみられなかった。
B:発泡、浮き、剥れが若干みられたが、許容範囲であった。
C:発泡、浮き、剥れが顕著にみられた。
上記耐久性の評価方法における試験片のサイズを230mm×410mm(18.5インチ)に変更した試験片を2枚用意し、それぞれの試験片の吸収軸が直交するように、Twisted Nematic(TN)方式の液晶パネルの両面に、ラミネーターを用いて貼り付け、白抜け評価用サンプルを作製した。次に、このサンプルにオートクレーブ処理(50℃、5kg/m2、20分)を施し、23℃、50%RHの条件下で24時間放置した。その後、ドライ環境(70℃、0%RH)下に500時間放置した。放置後、23℃、50%RHの条件下でそれぞれ液晶モニターのバックライト上に置き、白抜けの状態を目視で観察した。評価結果を表1に示す。
A:白抜けがまったく認められなかった。
B:白抜けが若干認められたが、許容範囲であった。
C:白抜けが大きく認められた。
実施例2〜実施例14及び比較例1〜比較例7では、実施例1における(メタ)アクリル系重合体、イソシアネート化合物、及びカルボジイミド化合物の種類、並びに配合量を表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。
なお、比較例8、9では、実施例1におけるカルボジイミド化合物の代わりに、エポキシ化合物又はキレート化合物を表1に示す配合量で使用した以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得た。
得られた各粘着剤組成物を用い、実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光板を作製し各評価を行った。結果を表1に示す。
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
コロネートL:商品名コロネートL、東ソー株式会社製、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(トリレンジイソシアネートの誘導体)
V−05:商品名カルボジライトV−05、日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド化合物
V−07:商品名カルボジライトV−07、日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド化合物
V−09:商品名カルボジライトV−09、日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド化合物
T−X:商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学株式会社製、エポキシ系架橋剤
TC−100:商品名オルガチックスTC−100、マツモトファインケミカル株式会社製、チタンアセチルアセトネート(金属キレート系架橋剤)
Claims (8)
- カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を、全構成単位に対して0.1質量%〜5質量%含有する(メタ)アクリル系重合体と、
前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して8質量部〜30質量部のイソシアネート化合物と、
前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.1質量部〜0.5質量部のカルボジイミド化合物と、
を含む、粘着剤組成物。 - 前記カルボジイミド化合物に対する前記イソシアネート化合物の比率が、質量基準で、25〜150である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 更に、前記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して0.05質量部〜3質量部のシランカップリング剤を含む請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0.1質量%〜0.5質量%含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が、70万〜200万である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 架橋後のゲル分率が65質量%〜92質量%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 含水率が5%を超える偏光板を被着体に貼着する際に用いられる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 偏光板と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層と、を備える粘着剤層付偏光板。
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