JP6580139B2 - 機械化学的調節用工具および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全般的には、シリンダボアのトライボロジー特性を向上させるための装置および方法に関し、さらに詳細には、機械化学的表面仕上げのための装置および方法に関する。
移動するピストン組立体パーツとシリンダボアとの間の摩擦は内燃機関における機械エネルギー損失の最大部分を占める。摩擦はピストンリングの摩耗も生じさせ、ピストンリングの摩耗は圧縮シーリングおよびオイル消費に影響を及ぼす。したがって一般的に、利用の第一日目からエンジンの全耐用年数にわたって最適なトライボロジー特性を保持しつつ低摩擦を有し且つ可能な限り摩耗を経験しないシリンダボア表面を提供することが要求される。
低摩擦表面を提供するための先行技術によるアプローチは、PVDならびにCVDのコーティング、プラズマスパッタリング、固体潤滑剤膜、およびポリマー結合された固体潤滑剤コーティングの使用を含む。かくして米国特許出願公開第2005/0214540号ではピストンのためのPVD/CVDコーティングについて、米国特許第4,629,547号ではプラズマスパッタリングにより得られる低摩擦ホウ素含有膜について、説明されている。特定の固体膜潤滑剤の利用が、かなりの期間にわたり知られてきた。以下では、その数例についてのみ提示することとする。米国特許第1,654,509号では、ベアリングに対する耐摩耗性コーティングを作るための、金属結合剤に埋め込まれた黒鉛の使用について説明されている。英国特許出願公開第776502(A)号では、リン、硫黄、セレン、またはハロゲン原子を含有する気化された反応性物質を用いて処理することにより形成された保護膜について説明されている。英国特許出願公開第782263号では、アルカリ金属シアン化物、アルカリ金属シアネート、および活性硫黄を含む融解塩浴において、500℃を越える温度に鉄鋼パーツを加熱することによる鉄鋼パーツの硫化が、摩耗および焼き付きに対する耐性を改善することが示されている。国際公開第03/091479(A)号では、適切な添加剤を含むオイル内で加熱することによるピストンリングおよびピストンに対する化学処理が説明されている。米国特許第5,363,821号では、噴霧塗布の後に熱的固定を施すことにより、シリンダボア壁部において耐摩耗性コーティングを作るためにポリマー担体/バインダに組み込まれた黒鉛、MoS、BN固体潤滑剤を使用することについて、開示されている。特開第2004−76914号では、モリブデンおよび硫黄をポリアミドイミド樹脂マトリックス内に封入することにより低摩擦コーティングを生成するための方法が開示されている。
純粋な潤滑剤物質として、または担体物質中の潤滑剤として、潤滑剤が表面上に堆積されることは、大部分の固体潤滑剤システムに対して一般的である。潤滑剤の堆積の後に、異なる種類の後処理(通常は熱処理)が行われ得る。かくして潤滑剤は、潤滑されるべき表面上の層として提供されるであろう。
機械化学的な処理、トライボケミカル反応による調節を使用することによる低摩擦表面を作るための製造方法については、米国特許出願公開第2013/0104357(A1)号または米国特許出願公開第2010/0272931(A1)号で説明されている。この方法は、耐熱性金属ジカルコゲナイド固体潤滑剤前駆体を含有する処理流体が存在する中で、十分に高い負荷を印加しながら、硬質工具を構成要素表面に対して擦りつけることを含む。トライボケミカル反応による調節は、表面粗さ、耐摩耗性、および摩擦低減に関して顕著な改善がもたらされることが示されている。他の従来の固体潤滑剤システムとは対照的に、係る方法で作製された表面組成は、元々の表面の改変として作られ、したがって、元々提供された表面と一体化された部分となる。
トライボケミカル反応による調節処理は、製造時の慣らし処理とみなすことができる。エンジンの慣らし運転またはなじみ運転は、表面の不整を潤滑化し、擦り合わされる様々なパーツ間の局所的圧力を低減する。特に平坦タペットカムエンジンに対してリング/ボアシステムおよびバルブトレインは、主な懸念とされるポイントである。エンジンの慣らし運転は、新規または再構築されたエンジンの出力および耐久性を最大化するための、これらのエンジンをトレーニングするための確立された手順である一方で、構成品製造の間の専用の仕上げ操作として、構成品レベルにおいて係るトレーニングを実施することは、未だかつて試みられたことがなかった。係る実施により、個別的に各構成品に対する処理条件の最適化を行うことが可能となり、それにより処理効果の最大化が可能となる。
この新型の表面処理は、最初は、非常に硬質な作用砥石が装備された標準的なホーニング工具を使用して実施された。標準的なホーニング工具の例は、例えば、米国特許第1,955,362号および米国特許第2,004,949,号で見出され得る。一方、トライボケミカル反応による調節は、従来のホーニング加工とは対照的に、非研削的な方法であるため、ホーニング砥石が硬質表面の作用砥石で置き換えられた先行技術に係るホーニング機材に基づく操作は、理想的とは言いがたい方法であった。例えば、工具の準備に法外に長い時間が必要であり、工具の使用可能寿命が過剰に短すぎ、処理安定性は低く、処理の結果は設定毎に大きく変動するものであることが、知られていた。
本技術提示の全般的な目的は、改善された処理の効率性および再現性を有する方法および装置を提供することである。
これらの目的は、添付の独立請求項に係る装置および方法により達成される。好適な実施形態は、従属請求項に定められている。全般的に、第1の態様では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具は、主要軸およびn個(nは1以上)の作用突起部を有するシャフトと、力印加機構と、を含む。力印加機構は、主要軸から離間する方向に向けられた作用力を作用突起部に対して印加するよう構成されている。作用突起部は、800HVを越えるビッカース硬さ数および200GPaを越えるヤング率を有する耐摩耗性物質を含む。各作用突起部は、主要軸に対して平行に、略細長い接触表面を有する。接触表面は主要軸から離間する方向に面し、接触表面は精密研磨され、実質的に非研削的で、1μmより小さい表面粗さRを有する。接触表面は、主要軸に対して垂直な断面において凸状湾曲を有する。凸状湾曲は、前記の接触表面の各地点において、その地点から主要軸までの最短距離に等しいかまたはそれよりも小さい曲率半径を有する。主要軸を中心とする円周方向における作用突起部の幅はr/2nよりも小さい。ただしrは接触表面と主要軸との間の最大距離である。各作用突起部に印加される作用力は、少なくともP×L×r/2nである。ただしP=10Paであり、Lは、主要軸に対して平行な、作用突起部の接触表面の長さである。
本技術の1つの特長は、トライボケミカル反応による調節が、均一且つ再現可能な接触圧力で実行可能であることである。他の特長については、本明細書において以下で説明される代表的な実施形態との関連で説明する。
本発明については、本発明のさらなる目的および特長とともに、以下の添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、もっともよく理解され得る。
シリンダボアの機械化学的処理のための工具の一実施形態の部分的断面図である。 作用突起部の一実施形態を示す図である。 作用突起部の摩擦力を説明する図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具の一実施形態の軸方向断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具の他の実施形態の軸方向断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具の他の実施形態の軸方向断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具の他の実施形態の軸方向断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具の他の実施形態の部分的断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具のさらに他の実施形態の部分的断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具のさらに他の実施形態の部分的断面図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための工具のさらに他の実施形態の部分的断面図である。 作用突起部の一実施形態の形状および特性を示す図である。 シリンダボアの機械化学的処理のための方法の一実施形態のステップを示すフローチャートである。 トライボケミカル反応処理による調節における1つの段階を示す図である。 トライボケミカル反応処理による調節における他の段階を示す図である。 トライボケミカル反応処理による調節におけるさらに他の段階を示す図である。 トライボケミカル反応処理による調節におけるさらに他の段階を示す図である。 トライボケミカル反応による調節による特長を示す図である。 トライボケミカル反応による調節による特長を示す図である。 通常のライナの表面粗さと、トライボケミカル反応による調節により処理されたライナの表面粗さと、を比較する図である。
すべての図面を通して、同じ参照番号は、同様のまたは対応する構成要素を示すために使用される。
トライボケミカル反応による調節によるシリンダボアの製造時の慣らし処理のための工具を提供するための1つの手法は、先行技術のホーニング加工機に共通のいくつかの特徴を有する加工機を使用することに基づく。シリンダボアの製造時の慣らし処理のためにホーニングに類似する加工機を使用するという発想は、かなり以前に、本発明者らにより想起されたものである。特に、係る処理が好適には、元のホーン(ホーニング砥石としても知られる)を1組の硬質表面作用突起部で置き換え、ホーニング油を、タングステン源および硫黄源を含有する特殊な処理流体で置き換えることにより、実行されるという点に関しては、以前に論じたことがある。しかし、産業上利用可能なプロセスを提供するために本質的な実際上の技術的設計要素については、これまでに開示されたことがない。
シリンダボアの製造時の慣らし処理に関するパイロット試運転が実施されたときには、処理の結果が設定毎に大きく異なること、および処理の全体的な安定性が全般に不十分であることが、見出された。詳細な分析を実施することにより、従来のホーニングと、トライボケミカル反応による調節処理と、の間の動作上の差異により、新しい要求が工具の設計に対して課されることが見出された。
1つの重要な差異は、作用砥石の摩耗特性である。通常のホーニング砥石(ホーンとも知られる)は基本的に消耗部品である。このことは、元々の取り付け時にホーニング砥石にわずかなずれが生じたとしても、いずれにせよ作用表面は、かなり短時間のうちに、ホーニング砥石の摩耗によりシリンダボアと一致するようになり得ることを意味する。また、1つのホーニング砥石が他のホーニング砥石よりもわずかに大きい半径で取り付けられており、そのために1つのホーニング砥石しかシリンダボアに接触しないという当初の状況が生じている場合、当該のホーニング砥石が摩耗することにより係る半径のずれが打ち消され、他のホーニング砥石は、短時間のうちにシリンダボアに対して接触することとなるであろう。
トライボケミカル反応による調節を実施するよう意図された作用砥石に対しては、状況が完全に異なる。トライボケミカル反応は、処理されるべき表面に対して作用表面を高圧下で擦りつけることにより通常生じる摩擦エネルギーにより、駆動される。正しい状況を提供するために、作用表面は非常に硬質でなければならない。このことは通常、作用表面が高い耐摩耗性を有することも意味する。作用表面上の摩耗が極度に低速であるため、効率的な調節動作が達成されるためには、作用砥石の、径方向の相対的位置に加えて、シリンダボアに対する相対的位置も、非常に正確に制御されなければならない。また摩耗が通常は無視可能であるため、作用表面の表面構造がすでに最初から非常に滑らかでなければならない。
このようにトライボケミカル反応による調節のための工具の一実施形態では、各作用突起部が接触表面を有する。この接触表面は、工具のシャフトの主要軸に対して平行な方向に沿って略細長い。換言すると、細長い接触表面は主要軸に対して整列されている。接触表面は、処理されるべき表面(例えばシリンダボアの内側表面)との接触が可能となるよう、主要軸から離間する方向に面する。接触表面は精密研磨され、実質的に非研削的である。トライボケミカル反応による調節は、物質の除去が最小化されるという利点を有するため、この点が、通常のホーンと対照的である。作用突起部の接触表面は、1μmより小さい、好適には0.1μmより小さい、さらに好適には0.05μmより小さい表面粗さR(ISO4287、ASME B46.1)を有する接触表面は、主要軸に対して垂直な断面において凸状湾曲を有する。凸状湾曲は、接触表面の各地点において、当該の地点から主要軸までの最短距離に等しいかまたはその最短距離よりも小さい曲率半径を有する。換言するとその湾曲は、主要軸を中心とする当該の距離に等しい半径を有するシリンダボアの内側表面よりも平坦であってはならない。このことにより、処理されるべき表面を研磨工具上の縁部に対して露出させるというリスクを発生させることなく、処理されるべき凹状表面に沿って接近した位置決めが可能となる。
トライボケミカル反応による調節のための工具は、好適には、ボア物質の通常の降伏応力値と同じオーダーの最大接触圧力を可能にすることが要求される。これは、800HVより大きいビッカース硬さ数(ISO6507、ASTM E384)および200GPaより大きいヤング率を有する物質から作られた接触表面を有する突起部を使用することにより、達成される。好適には、接触表面は1600HVより大きいビッカース硬さ数を有する。好適には、接触表面は400GPaより大きいヤング率を有する。好適な物質は、例えば、接着された金属炭化物、反応結合されたシリコン窒化物、加熱圧搾されたシリコン窒化物、焼結されたシリコン窒化物、ガス圧焼結されたシリコン窒化物、加熱圧搾された炭化ホウ素、高速度鋼、および同様の物質である。
トライボケミカル反応による調節の処理を実行するためには、接触圧力が大きくなければならない。通常の実際的な下限はおよそ10MPaであると考えられる。より小さい圧力に対しては、特定のシステムでは、トライボケミカル反応による調節の処理が存在し得るが、しかし、それは商業的なシステムにおける使用のためには一般に低速すぎると考えられる。例えば、遠心鋳造によるダクタイル鋳鉄(ASTM 536−84、DIN1693 GGG70)から作られたシリンダライナに対しては、好適な接触圧力は、当該物質の極限強さを越えない範囲内で、50MPaより高い圧力、さらに好適には100MPaより高い圧力、および最も好適には200MPaより高い圧力となるべきである。
トライボケミカル反応による調節を実施するために、従来のホーニング機材が使用され、ホーニング砥石が等しい形状の硬質表面の作用砥石で置き換えられた場合、いくつかの問題が生じることとなるであろう。ホーニング砥石は、処理されるべき表面に対する研削作用が最大化されるよう適応されている。したがってホーニング砥石は、一般に、広い接触表面を提示する。トライボケミカル反応を活性化させるにあたり要求される接触圧力範囲を達成するためには、処理されるべき表面に対して作用砥石を押圧するために要求される全体的な力は、実際、非常に大きいものとなる。工具は、非常に高い剛性を有するよう設計されなければならず、そのために、複雑度、コスト、および重量が大きくなってしまう。多数の先行技術に係るホーニング工具に対して、係る要求される力は、高額な設計上の改変がなければ達成が不可能である。
さらに、ホーニング砥石と同様の幾何学的形状を有する作用砥石を使用することは、前述のように、高い押圧を必要とする。この高い押圧は、処理されるべき表面に印加されるであろう。いくつかの応用例では、処理されるべき表面を支持する構造体はさほど剛性が高くなく、多数の応用例では、係る全体的な力は、処理されるべき対象物が変形するリスクを大きくし得る。したがって多くの応用例では、印加される全体的な力に対して許容される上限が存在することが要求される。同時に、トライボケミカル反応による調節を実行するためには、高い圧力が提供されなければならない。
これらの相反する要件を解決するためには、好適な接触圧力に関してトライボケミカル反応による調節処理の操業性領域内に保持され、その一方で、依然として、砥石を保持する加工機の動作負荷範囲内、および処理されるべき対象物に印加される最大許容力の範囲内に保持されるよう、突起部の寸法が選択されると好適である。一般的には、作用突起部は狭く作られる。
ホーニング砥石は通常、工具と、処理されるべき表面と、の間の接触表面の研削エリアを最大化するために、可能な限り広く作られる。したがって、狭いホーニング砥石は好適ではない。例えば米国特許第2,004,949号では、ホーニング砥石は、全体的円周エリアのおよそ25〜30%を占める。ホーニング砥石を比較的広く保つための他の理由は、接線方向力による砥石の破壊を回避することである。
一方、トライボケミカル反応により調節を行うよう意図された作用突起部は、まったく異なったものである。係る作用突起部においては、局所的圧力が主要な重要性を有し、したがって狭い接触表面が有利に使用され得る。トライボケミカル反応による調節のために意図された作用突起部における物質は極めて強靱であるため、接線方向力により作用突起部に亀裂が生じるリスクは依然として小さい。
好適な実施形態では、接触圧力を増加させるために接線方向の広がりが小さく保たれる一方で、軸方向における広がりが比較的大きく保たれるよう、作用砥石は好適には突起部として成形される。したがって本開示の作用砥石は、作用突起部として示され、トライボケミカル反応による調節の際の使用に対して好適である場合は、機械化学的処理のための作用突起部として示される場合もある。
特定的な最小限の力が各作用突起部上に印加されたときにトライボケミカル反応が始動されることが知られている。このことは、突起部幅に対して特定的な限定を課す。なぜなら、シリンダを変形させることなく同時に十分な接触圧力を達成するためには、適度に狭い突起部が必要とされるためである。実際、全突起部の接触表面の合計は、処理されるべきシリンダの円周の最大限でも約8%を占める。換言すると、円の円周の8%は約0.5r(rは半径)であるn個の狭い突起部のうちの各突起部は、0.5r/nまたはr/2nの最大幅を有する。これは、ホーニング動作の際に通常使用される幅よりも、実質的に小さい値となっている。好適には、この幅はr/4nより小さく、もっとも好適にはr/8nよりも小さい。各作用突起部上に印加される作用力は、少なくともP×L×r/2nであるべきである。なお、P=10Paであり、Lは、主要軸に対して平行な、作用突起部の接触表面の長さである。この作用力は、好適な幅の作用突起部上に提供される10MPaのオーダーの圧力に相当する。
極度に狭い作用突起部に関しては、処理されるべき表面に対して切断動作が生じ、一部欠損が生じるリスクが増大する。係る損傷を回避するために、作用突起部の先端部は、注意深く丸みを付けられるか、または切断を生じさせない他の任意の幾何的形状が提供されなければならない。
従来のホーニング砥石と、トライボケミカル反応による調節を行うための作用砥石と、の間で異なる、他の側面は、径方向における作用砥石摩耗のための補正である。ホーニング砥石は、前述のように、比較的急速に摩耗するため、シリンダボア表面に常に到達し続けるためには、半径における変化は、好適には、補正されなければならない。バネを利用する異なる先行技術に係るホーニング手法は、例えば米国特許第1,484,353号で、独国特許出願公開第102009030451(A1)号で、独国特許出願公開第102010032453(A1)号で、および独国特許出願公開第102011118588(A1)号で、見られる。係る特許の大部分では、バネがシャフトとホーニング砥石との間に装着されており、ホーニング砥石に摩耗が生じたとき、バネが拡張して摩耗に対する補正が行われる。このことは、従来のホーニングにおいて使用される接触圧力および摩耗速度では、完全な実現可能性を有する。背景技術でも言及した米国特許第1,955,362号および米国特許第2,004,949号では、ホーニング砥石は、径方向における制御が可能であるホルダ上に提供され、それにより、例えば摩耗に対する補正が可能となっている。しかし、係る補正は手動で行われる必要がある。
一方、トライボケミカル反応による調節では、接触力は実際に非常に高いが、その代わりに補正が必要とされる距離は非常に小さい。係る状況では、バネが、距離の補正および負荷の均等化の両方を提供するという解決策は、好適ではない。したがって好適な実施形態は、初期の距離補正の少なくとも一部はバネ以外の手段により行われるが、しかし微調整および/または任意の軽微な摩耗に対する補正はバネにより支援されるという解決策に基づくものである。
これらの点を考慮して、現在では、トライボケミカル反応工具による調節の接触表面が、好適には、主要シャフトに対して垂直方向に、および径方向に対して垂直に、向けられた傾斜軸周りに、主要シャフトに対して傾斜可能に取り付けられることが理解される。接触表面は、前述のように、好適には径方向に移動可能であるべきである。さらに、接触表面に対する作用力の印加は、好適には、接触表面の径方向位置に対して実質的に独立的であるべきである。
突起は、好適には、複数突起部アレイ状で組み立てられ、それにより、各個別の突起部に対して等しい負荷が提供され、形状が一致した状態でボア表面と接触を達成するための各突起部の動的な自動的整列が提供される。このことは、以下でさらに詳細に説明されるであろう。
突起部の幾何学的形状は、好適には、微小であるが不可避である突起部摩耗に対する補正が行われ、且つ、工具の使用可能寿命にわたり一定したプロセスパラメータが保証されるよう、選択される。
突起部装着機構は、好適には、保守の際に突起部の容易な交換が可能となるよう、設計される。
図1では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具1の一実施形態が示されている。工具1は主要軸11を有するシャフト10を含む。工具1は少なくとも1つの作用突起部20を含む。本実施形態では、4つの作用突起部20が主要軸11の周りで均等に広がっている。これらの作用突起部20のうちの各作用突起部20は、この実施形態では、機械化学的処理のための作用突起部21である。
図1の実施形態で使用可能な作用突起部20の一実施形態が、図2においてより詳細に示されている。作用突起部20はこの実施形態では、接触部分25および基礎部分26を含む。基礎部分26は、ここでは、作用突起部20を装着するため、および、作用突起部20をより固くするために、使用される。
代替的な実施形態では、作用突起部の全体が単一部品として提供されてもよい。
作用突起部20は略細長い接触表面22を有する。接触表面22は、接触表面22の伸長方向Eに対して垂直(すなわち主要軸に対して垂直)な断面において凸状湾曲23を有する。凸状湾曲23は、接触表面22の各地点において、当該地点から主要軸までの最短距離r(図1に示す)に等しいかまたはそれよりも小さい曲率半径を有する。換言すると、接触表面22の凸状湾曲23は、主要軸から接触表面22までの距離r(図1)に等しい半径を有する円形のシリンダ表面と比較して少なくとも同程度の凸状となるべきである。この凸状湾曲23は、好適には、処理されるべきシリンダボアの内径に等しい半径を有する。かくして、接触表面とシリンダボアとの間の接触は、実質的に、接触表面22の幅に実質的に等しい事前決定された幅を有する線接触となるであろう。凸状湾曲23は、実質的に接触表面22の全延長に沿って一定である。それにより、作用突起部20と実質的に同一の長さを有する線接触を有することが可能となる。
作用突起部20の接触表面22は、主要延長Eに対して垂直な方向において狭い。前述のように、さらに以下で説明するように、接触表面22の幅87は、工具の円周のわずかな部分のみを占めるべきである。
図1に戻って参照すると、これらの作用突起部20のうちの各作用突起部20は、取り付け具32により、それぞれの突起部支持機構30に取り付けられる。この取り付けは、接触表面22が、主要軸11に対して、および、主要軸11に対して平行な伸長方向Eに対して、径方向に外向きとなるよう、なされる。突起部支持機構30は、主要軸11に対して径方向に向けられている、それぞれの支持体移動方向Dに移動可能である。突起部支持機構30は、主要工具の一体化された部品として、または別個の部品として、提供され得る。
それぞれの突起部支持機構30に対する作用突起部20の取り付け具32は、それぞれの傾斜軸24周りに作用突起部20が傾斜することが可能となるよう、構成される。傾斜軸24は、主要軸11に対して垂直方向に、およびそれぞれの支持体移動方向Dに対して垂直に、向けられる。本実施形態では、およそ±1.5°の枢動が可能である。
力印加機構2はアクチュエータ40を含み、アクチュエータ40は、シャフト10により支持され、それぞれの作用力Fを、それぞれの突起部支持機構30に対して印加するよう、構成される。それにより突起部支持機構30は、力印加機構2の一部とみなすことができる。作用力Fは、主要軸11に対して、径方向外向きに向けられる。少なくとも1つの作用突起部20を有するこの実施形態では、アクチュエータ40は、それぞれの作用力F(各作用力Fは同一の大きさである)を、それぞれの突起部支持機構30に対して印加するよう、構成される。
本実施形態ではアクチュエータ40は、円錐の動作を介して軸方向の力を径方向の力へと機構的に変換することに基づくものである。他の実施形態では、作用力Fを提供するための他の解決策が使用されてもよい。可能な他の実施形態は、磁気的および/または電気的な相互作用、および/または、例えば先行技術に係るものなどの他の機構的設計に基づくものであってもよい。力が印加される実際の詳細な方法は、本概念の基本的な部分に対して本質をなすものではない。本開示で示される実施形態は、作用力Fを提供するための解決策がいかにして実装され得るかを示す1つの具体例としてのみ、与えられたものである。しかし本実施形態では、アクチュエータ40は、シャフト10における中心孔12を通るよう提供されたロッド42を含む。螺刻穴を有する2つの円錐部44が、ロッド42の螺刻部分の周りに提供されている。ロッド42をその軸の周りに回転させると、ロッドの螺刻と円錐部の穴の螺刻との間の相互作用により、円錐部44は上方または下方に移動する。端部プレート46がロッド42の端部に取り付けられている。ロッド42が第1方向に回転されると、円錐部44は、特定の力により、図面における下方に付勢される。この力は径方向の力に変換され、この径方向の力は、突起部支持機構30上の傾斜表面34との相互作用により、作用力Fとして機能する。傾斜表面34は、好適には、円錐部44の形状と一致する円錐表面の一部である。この傾斜により、円錐部44の軸方向の力と、その結果として生成される、突起部支持機構30に対する作用力Fと、の間の関係が決定される。突起部支持機構30は径方向に移動可能であり、作用突起部20がシリンダボアと接触するまで、外向きに押される。したがって係る力印加機構2は先行技術から既知であり、ここでは、アクチュエータ設計の単に可能な1例として与えられる。
図1の実施形態では、突起部支持装置30は、前述のように、径方向に移動可能である。一方、突起部支持機構30に対する作用突起部20の装着が全部の作用突起部20に対して正確に等しくない場合、または、これらの作用突起部20もしくは突起部支持装置30の幾何学的寸法が完全に同一ではない場合、アクチュエータの動作は、同時に全部の作用突起部20とシリンダボアとの間の同時接触を生じさせないであろう。1組の作用突起部20および突起部支持機構30が、他の組よりもいくぶん長い場合もある。この実施形態では、係る長さの差異は、支持体移動方向Dに弾性を有する力印加機構2を使用することにより調整される。この実施形態では、力印加機構2は、アクチュエータ40と作用突起部20との間に配置された弾性部材36を含む。この特定の実施形態では、弾性部材36は、支持体移動方向Dに動作するバネ36により構成される。これらのバネは、コンパクト性を高めるために突起部支持機構30の凹陥部38内に提供されているが、弾性部材36の上部は、縁部支持機構30の主要外側表面37から外側に多少突出している。取り付け具32は、この実施形態では、弾性部材36の外側端部に提供され、その一方で、弾性部材36の内側端部は凹陥部38の底部により支持される。
工具1が処理されるべきシリンダボアに導入され、アクチュエータが作用力Fを提供するよう作動されると、突起部支持機構30は、第1作用突起部20がシリンダボアの内側表面と接触するまで、外向きに押圧される。対応するバネが圧縮を開始すると、工具を反対方向に移動させる力が生じる。全部の作用突起部20は、遅かれ早かれ、シリンダボアに接触し、次にバネにより工具1の位置が調整され、最終的には、全部の作用突起部20に対して、実質的に同一の力が印加されることとなるであろう。次に一般的な場合では、工具の軸11はシリンダボアの軸に完全一致するわけではないが、係るずれは通常、非常に小さく、その変位は無視可能である。一方、全部の作用突起部20は、同一の接触力にさらされる。
調整量は通常、非常に小さいため、弾性部材36は比較的高いバネ定数を有し得る。試験では、作用突起部の実際の設計に応じて2MN/mのオーダーのバネ定数が要求され得ることが示されている。一般に、少なくともK×L×r/2nのバネ定数を有する弾性部材を有することが好適である。ただしrは、接触表面と主要軸との間の最大距離であり、Lは、作用突起部の接触表面の、主要軸に対して平行な長さであり、Kは、少なくともK=1010N/mの、より好適には少なくともK=5×1010N/mの、最も好適には少なくともK=1011N/mの、定数である。このことは、1mmの圧縮によるバネの張力が、あたかも、トライボケミカル反応の発生を達成するにあたり要求される十分な力を与えるものとして、解釈され得る。好適なバネの種類は板バネおよび波形バネである。
通常の弾性移動は非常に小さく、通常は1mmよりも小さい。これらの移動は通常、異なる作用突起部の間の差異を、および/または、不可避な摩耗を、補正するためにのみ使用される。作用突起部20は現時点で実質的に同一の力でシリンダボアと接触する状態にある。したがって弾性部材は好適には少なくとも1mmの、好適には少なくとも5mmの、自由長を有する。
軸方向における整列も重要である。作用突起部20がシリンダボアに対して絶対的に平行でない場合、接触表面22の作用突起部20のわずかな部分のみが実際にシリンダボアと接触することとなるであろう。これが、傾斜軸24周りの傾斜を可能にすることに関する主要な理由である。したがって好適には、全作用突起部のうちの各作用突起部は、主要軸に対して径方向に向けられたそれぞれの突起部移動方向に移動可能である。さらに、力印加機構が全作用突起部のうちの各作用突起部に機械的に取り付けられており、それぞれの作用突起部は、それぞれの傾斜軸周りに傾斜することが可能である。このそれぞれの傾斜軸は、主要軸に対して垂直に向けられており、それぞれの突起部移動方向に対して垂直である。本実施形態では傾斜軸24はさらに、主要軸11の方向において、接触表面22の中間点と同一レベルに位置決めされている。このことは、作用突起部20の枢動特性が、その瞬間における移動方向が上方かまたは下方かには依存することなく、同様となることを意味する。本実施形態では、作用突起部20は、単一の取り付け具32により、それぞれの突起部支持機構30に取り付けられる。このことは、突起部支持機構30から作用突起部20に対して印加される力の全部が1地点に印加されることを意味する。本実施形態では、単一の取り付け具32は傾斜軸24と一致する。結果的に、突起部支持機構30は、傾斜軸24周りのトルクを生じさせることなく、それぞれの作用突起部20に対して力を印加するよう構成されることとなる。作用突起部20が、突起部支持機構30により印加される作用力の働きにより、シリンダボアと接触するとき、まさに最初の接触は、多くの場合、2つの端部のいずれか一方である。作用突起部20とシリンダボアとの間の接触力は傾斜軸24周りのトルクを形成させ、それにより、作用突起部20がシリンダボアと整列されることとなるであろう。係るトルクは、作用突起部20の全体がシリンダボアと接触するまで継続するであろう。作用突起部20の全体がシリンダボアと接触する状況では、これらの接触力に起因するトルクは、互いに打ち消し合う。換言すると、この機構により、作用突起部20が自動的に整列することとなる。係る整列は印加される作用力の大きさによらない。
先行技術に係るホーニング機材のバネに基づく解決策と比較すると、係る先行技術に係るバネ負荷では、作用負荷ならびに高さ補正のために、および可能な整列機構のために、同一のバネが使用される。このことは、それぞれの高さ調整または傾斜動作が作用負荷に対して影響を及ぼし、作用負荷もまた高さ調整または傾斜動作に影響を及ぼすことを意味する。係る相互依存性は、工具が比較的短い時間的期間で摩耗することにより負荷における差異が均等化されるホーニング用途では許容される。一方、摩耗がほとんど無視可能なトライボケミカル反応による調節に関しては、作用負荷ならびに高さの調整、および傾斜整列は、好適には、それぞれ別個の起源から提供される。好適には、主要な高さ調整は基本的にアクチュエータにより提供され、その一方で、作用負荷は基本的に弾性部材により提供される。
図1の実施形態では、作用突起部は、ホーニングヘッド部の従来のホーンの場所と同様に、工具に対して直接的に装着されているが、突起部全体に均等な負荷配分を提供するバネ懸架装置が重要な役割を果たす固定具の使用が追加されている。
この概念は、対向する突起部間での望ましくない高さの差異に対する増加された許容値を可能にする。さらに、結果的に、シリンダボアと接触する突起部が良好な状態で軸方向に整列されることとなる。この手法では、ホーニング処理で一般的に行われるホーニング砥石の慣らしのステップが除外される。したがって工具の接触表面は、要求される接触特性を達成するためには、シリンダボア形状との関係でも、設計され得る。
動作時には、追加的な力が作用突起部に対して作用する。好適な実施形態では、安定動作のためには、摩擦力が整列に対してあまり大きい影響を及ぼすべきではない。図3では、シリンダボア壁部50と接触して移動するときの作用突起部20が図示されている。この実施形態では、枢動点または傾斜軸24から作用表面すなわち作用突起部の接触表面22までの距離hが作用突起部の長さLよりも顕著に小さいことが示されている。距離hが長さLよりも顕著に小さくない場合には、摩擦力Ffrに起因するトルクにより、行程方向Sにおける各行程において、作用突起部20の前進するA縁部および後退するB縁部に対して、不均等な負荷が生じ、その結果、シリンダボア表面の摩損および工具の擦過損傷のリスクが生じてしまうこととなるであろう。作用突起部20に印加される垂直力Fに正規化された、前進するA縁部と後退するB縁部との間の負荷における差異は、接触状態にある表面に対する摩擦係数μに、傾斜軸24とシリンダボア表面52との間の距離hを掛け、作用突起部の長さLで割った値に比例する。境界潤滑領域において摩擦係数がおよそ0.1であると仮定すると、比h/Lを0.1より小さく保つことが望ましい。その場合、前進するA縁部および後退するB縁部に対する負荷における差異は1%を越えることはないであろう。換言すると、好適な実施形態では、傾斜軸24−接触表面22間の最短距離と、伸長方向における接触表面22の長さLと、の間の比は、0.1より小さい。それにより、突起部保持器の基部における枢動システムが、上り行程および下り行程の間にも、突起部の自動的整列を提供する。
図1の実施形態では、4つの作用突起部が主要軸の周りに均等に広げられていた。シリンダボアに挿入された係る構成が図4Aで概略的に示されている。作用突起部20の接触表面22は、工具1とシリンダボア50との間の唯一の接触点である。
一方、代替的な設計も存在する。図4Bでは、1つの作用突起部20のみを有する、工具1の一実施形態が示されている。対抗作用する力を有するために、対抗支持機構54がシャフト10に接続される。対抗支持機構54は、径方向外向きに向けられた接触エリア56を有する。この接触エリア56は、作用突起部20の接触表面22の接触エリアよりも大きく、好適には、作用突起部20の接触表面22の接触エリアよりも顕著に大きい。この実施形態では、接触エリア56は、接触エリア22よりも少なくとも1桁大きい。すると、シリンダボアに対して対抗支持機構54から印加される圧力は、トライボケミカル反応による真の調節を達成するために要求される圧力と比較して、小さくなる。対抗支持機構54は、実際の処理に寄与することなく、対抗作用する力を提供するのみである。係る構成は、例えば作用突起部20が極端に高額であるかまたは製造が困難であるとき、有利となり得る。
図4Cでは、他の代替的な実施形態が示されている。この図面では、2つの作用突起部20が使用されており、対抗支持機構54は2つの接触エリア56を含む。この実施形態では、対抗支持機構54は単に側面支持を提供するのみであり、作用突起部20に印加される作用力のあらゆる曲げ作用が低減される。またここでは、接触エリア56の面積は、好適には、作用突起部20の接触表面22よりも、顕著に大きい。
対抗支持機構54に対する必要性を除去するためには、シャフト10の周りに広がった少なくとも3つの作用突起部20が、図4Dで示されているように、提供される。
図4A〜図4Dでは、接触表面22の幅87が、処理されるべきシリンダの円周C(工具の円周と同一である)と比較して、非常に小さいことが、容易に注目にされる。接触エリアがこのように小さいことが、ホーニングと、トライボケミカル反応による調節と、の間の基本的な差異である。
図5では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具1の他の実施形態が示されている。この実施形態では、突起部支持機構30は、支持体移動方向Dにおいても弾性を示す。この実施形態では、突起部支持機構30の弾性部材36は、突起部支持機構30の本体において、軸方向に向けられたスリット33を含む。したがって本体の全体が、径方向の調整可能性を提供することに加えて、作用突起部20の傾斜動作を可能にするバネとして、作用するであろう。この実施形態では、作用突起部20はその長さ全体に沿って支持機構30に接続されている。このことは、作用力が作用突起部20のすべての部分に伝えられることを意味する。一方、作用突起部20がスリット33のパターンに対して中心に取り付けられているため、突起部支持機構30は、ここでも、傾斜軸24周りのトルクをまったく生じさせることなく、それぞれの作用突起部20に対して力を印加するよう、構成される。この手法では、作用突起部20の容易な取り付けが可能であり、作用負荷が印加されるときに作用突起部20に対して曲げ作用がまったく加わらない。従来のホーニング機材が、係る実施形態を提供するよう、容易に変更可能であるとも考えられる。
本実施形態では、アクチュエータ40は、円錐部44と同一の部品として提供されたロッド42を有する。突起部支持機構30に力が印加されると、ロッド42が軸方向で下方に押圧され、それにより、この押圧力は、突起部支持機構30に印加される径方向の力に変換される。アクチュエータ40のこの実施形態は、本開示で示される他のすべての実施形態に適用可能である。同様に、図1で示されたアクチュエータの実施形態は、代替物として、図5の基礎となる実施形態とともに使用可能である。
図6では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具1のさらに他の実施形態が示されている。この実施形態では、弾性部材36は、調整ネジ62により事前に張力が印加されている板バネ60を含む。このようにして、高さ補正距離は、調整ネジ62を事前に調整することにより、最小化され得る。したがって、弾性部材36を含むために必要とされる空間は非常に小さいものとなり得る。
図7では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具1のさらに他の実施形態が示されている。この実施形態では、弾性部材36は波形バネ64を含む。作用突起部20は、波形バネ64に対して中心となる地点で接続され、枢動は、この取り付け具32周りに生じる。それにより波形バネ64の位置は固定される。バネ装置36を含むために必要である空間も、ここでは、非常に小さいものとなる。
図8では、シリンダボアの機械化学的処理のための工具1のさらに他の実施形態が示されている。この実施形態では、弾性部材36は、作用突起部20と主要突起部支持構造体30との間の接続物質として弾性物質の層66を含む。係る手法の1つの利点は、作用突起部20と主要支持構造体30との間の空間が充填されており、そのため、係る体積内に粒子が進入し、動作に混乱を生じさせることがないことである。バネ作用は通常、理想的ではない。なぜなら、弾性物質体積の1つの部分が圧縮されると他の部分の特性に影響が及ぶ場合があるためである。
一方、係る実施形態は代わって他の解決策のいずれかと一緒に使用されると好適であり得る。例えば、中心バネおよび中心主要接続点を、弱い弾性物質の中心における空隙に有することは、優秀なバネ作用と、例えば研削材粒子がバネ機構内に入り込むことに対する保護と、の両方を提供するであろう。
トライボケミカル反応による調節の作用突起部が非常に硬質な物質から作られているため、作用突起部の摩耗は実際に非常に小さい。したがって突起部の形状は、突起部の寿命の大部分にわたり、かなりの程度まで保たれる。したがって突起部の実際の設計に関する考慮は、前述のように、有利である。機械化学的処理のための作用突起部21の一実施形態が図9で示されている。機械化学的処理のための作用突起部21は基礎部分80と、より狭い上部部分81と、を含む。上述のように、主要軸を中心とする円周または接線の方向Tにおける作用突起部の幅87は、好適には、r/2nよりも小さい。なお、rは接触表面と主要軸との間の最大距離である。上部部分81の最外部部分は接触表面22を構成する。接触表面は、工具上部半径84により示される曲率を有する。この曲率は、好適には、処理されるべきシリンダボアの半径に正確に等しく、それにより、シリンダボア表面と作用突起部との間の一致した摩擦接触が提供される。その結果、工具摩耗のリスクが低減される。接線方向Tにおける接触表面22の縁部82は丸みを帯びている。これは2つの理由で有利である。第1に、接触表面22とシリンダライナとの間の摺動が、鋭利な縁部によりライナ上の不整が捕捉されるリスクを生じさせることなく、より滑らかとなる。第2に、処理の間に存在する処理液体が接触エリアへと押し込まれることとなるであろう。接触表面22が主要軸に対して垂直な断面において凸状湾曲を有することが図9で容易に見られる。凸状湾曲は、接触表面の各地点において、当該の地点から主要軸までの最短距離に等しいかまたはその距離よりも小さい曲率半径を有する。
狭い接触表面は、工具の準備も支援する。先行技術のホーニング砥石と同一の幾何学的形状およびサイズを有する作用砥石の工具準備は、不当に長い時間が必要となるであろう。
前述のように、接触表面22は、好適には、非常に滑らかな表面仕上げを有し、そのために工具摩損のリスクは低減される。接触表面の幅87は、好適には、小さく、それにより、高い工具圧力での動作が可能な狭い作用突起部21が提供されることとなる。前述のように、主要軸を中心とする円周または接線の方向Tにおける作用突起部20の幅87は、好適には、r/2nよりも小さい。なお、rは接触表面22と主要軸との間の最大距離である。好適な工具幅87は、多くの実際的な用途では、1〜5mmのオーダーである。上部部分81の高さ83は、比較的大きく、それにより、比較的長い摩耗ゾーンが提供されることとなる。このことは、例えば、不可避の摩耗により理想的な形状からの形状変化が生じた場合、接触表面22および縁部82の再成形を可能にする。機械化学的処理のための作用突起部21は、それにより、何度も繰り返し使用することが可能である。作用突起部高さ83は1〜10mmであり、さらに好適には2〜5mmである。上部部分81の側面が垂直であるため、接触表面22の幅は、係る再成形および/または再研磨の後、変化しない。全体的高さ85を小さく保つことにより、機械化学的処理のための作用突起部21は、より小さい接触表面の曲率半径を有する小型シリンダに対して使用することが可能である。機械化学的処理のための作用突起部21の広い86基部80は有利である。なぜなら、それにより振動が低減され、工具基部が、接触表面がシリンダボアに対して径方向に整列されることも、支援するためである。
図10は、シリンダボアの機械化学的処理のための、さらに詳細には、シリンダボアの製造時の慣らし処理のための、方法の1例のステップを示すフローチャートである。この処理はステップ200から始まる。処理されるべきシリンダブロックまたはシリンダライナが提供される。ステップ210では、機械化学的処理のための工具が、シリンダブロックまたはシリンダライナのシリンダボアに挿入される。機械化学的処理のための工具は、略細長い接触表面を有する少なくとも1つの作用突起部を含む。作用突起部(単数または複数)は、シリンダボアの主要軸に対して、および主要軸に対して平行な伸長方向に対して、径方向外向きに向けられている。接触表面は、接触表面の伸長方向に対して垂直な断面において凸状湾曲を有する。凸状湾曲は、実質的に接触表面の全延長に沿って一定である。ステップ220では、それぞれの作用力が、それぞれの突起部支持機構を介して、作用突起部に対して印加される。なお突起部支持機構は、主要軸に対して径方向に向けられたそれぞれの支持体移動方向に移動可能である。ステップ222では、接触表面が接触表面の全長に沿ってシリンダボアの内側表面と接触するよう、作用突起部の位置が調整される。この調整は、印加される力により作用突起部を移動方向に移動させ、それぞれの傾斜軸周りに作用突起部を傾斜させることにより、実行される。傾斜軸は、主要軸に対して垂直に、および、支持体移動方向に対して垂直に、向けられる。ステップ230では、シリンダボアの内側表面のトライボケミカル反応による調節が、主要軸周りに工具を回転させ、シリンダボア内で主要軸に沿って工具を平行移動させることにより、実行される。工具の突起部とボア表面との間の接触圧力は、好適には、シリンダボアライナの原料となる物質の極限強さの1%〜100%の範囲内に維持される。好適には、この方法はステップ232も含み、ステップ232では、トライボケミカル反応による調節を実行するステップの間、処理流体がシリンダボアの内側表面に提供される。
処理液体は、好適には、ベースオイルと、トライボ膜生成のために必要となる1組の添加剤と、を含む。ベースオイルとして、適切な粘度グレードのミネラルオイル、ポリアルファオレフィン、脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールが使用され得る。使用されるベースオイルの好適な粘度範囲は、100℃において、1〜20cStの範囲である。添加剤として、耐熱性金属のチオカーバメート、チオリン酸エステル、チオキサントンを含むがこれらに限定されない、いくつかの金属錯体が、好適には、使用される。他の適切な添加剤としては、ホウ酸、ホウ酸エステル、リン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛、無灰ジチオリン酸、無灰ジチオカルバミン酸、耐熱性金属ジカルコゲナイド、耐熱性金属ジカルコゲナイドから作られた無機フラーレン様ナノ粒子、カーボンナノ粒子、および同様の化学物質が挙げられる。処理流体は、酸化防止剤、防蝕剤、および洗浄剤も含み得る。処理流体の他の好適なクラスは、ISO6743/7M系列の金属加工流体などの、乳化可能な水溶性の製品である。係るエマルジョンを使用する利点は、より高い処理速度を可能にするその優れた冷却能力である。可溶性オイルでは特定のEP機能が、例えば水相におけるタングステン酸アンモニウムと、油相における、有機多硫化物、硫化オレフィン、または硫化脂肪などの活性硫黄源と、を使用することにより、水相に直接的に含まれ得る。好適な処理流体配合の1例が表1に与えられている。
Figure 0006580139
処理は、好適には最適な度合いの処理が到達されたときに、ステップ299で終了する。
好適には、少なくとも1つの作用突起部は、少なくとも3つの作用突起部である。それにより、それぞれの作用力が、主要軸周りに広げられた少なくとも3つの作用突起部に印加されることとなる。それぞれの作用力は、同一の大きさである。
トライボケミカル反応による調節は、上述のように、最適な表面状態が到達されるまで、継続されるべきである。図11A〜図11Dでは、トライボケミカル反応による調節のプロセスが概略的に示されている。図11Aでは、未処理状態のシリンダボア表面の1部分が示されている。表面は通常、ホーニングパターン91の谷部により隔てられた、物質の粗い高平部90を含む。次に、トライボケミカル反応による調節が適用される。しばらく後、表面状態は、図11Bの図面におけるような様相を示し得る。磨き仕上げにより、粗い高平部に対する平坦化が開始される。一方、高平部90は粗い部分を依然としてかなり有している。平坦化された部分では、固体潤滑剤トライボ膜92の成長が開始している。固体潤滑剤トライボ膜は、高度に概略的な図面により結論できるように、物質層の追加によるものではなく、それに代わって、原料物質の組成が継続的に変化し続けることによるものである。この段階は、処理不十分の表面に相当する。
図11Cの図面では、トライボケミカル反応による最適な調節状態の処理を有するシリンダボア表面が示されている。高平部の大部分は磨き仕上げが施されて、固体潤滑剤トライボ膜92によりカバーされた平坦高平部93となっている。固体潤滑剤トライボ膜92は比較的大きいエリア上で密着する。一方、ホーニングパターン91の主要部分は、温存されている。このことは、表面が使用されるときに摩耗粒子および液体潤滑剤が存在することを可能にする。
トライボケミカル反応による調節が過剰に行われる場合もある。図11Dの図面では、係る過剰処理された表面が示されている。ホーニングパターンは完全に失われ、完全にカバーする固体潤滑剤トライボ膜92が形成されている。亀裂開始94が始まる可能性もある。係る表面は、使用には適さない。
本開示の概念が、特長を説明するために、シリンダライナのトライボケミカル反応処理による調節のために使用されてきた。WC−Co超硬合金を含む突起部が、自動車内燃機関のためのシリンダライナの表面上に二硫化タングステントライボコーティングを形成するために使用された。製造13L高耐久性ディーゼルエンジンのためのシリンダライナが、本明細書で記載のように変更されたホーニングヘッドを有するNagelホーニング加工機を使用して、本明細書で記載の方法にしたがって処理された。突起部とライナとの間の接触圧力は100〜500MPaの範囲内であり、さらにはそれよりも低い範囲となることさえあった。処理流体は、2重量%のタングステンと、100℃で2cStの動粘度を有する炭化水素溶媒中に担持された2重量%の活性硫黄と、を含んだ。
処理済みライナのトライボケミカル特性が、未処理状態ライナのトライボケミカル特性と比較された。ピストンリング/シリンダライナの摩擦および摩耗に対するトライボケミカル反応による調節の効果を評価するために、往復摩擦計が使用された。垂直荷重および摩擦力が歪みゲージを用いて測定された。ピストンリングは同一エンジンからの圧縮リングであった。
摩擦測定が50Nの負荷、25mmの行程長さ、25〜375rpmのスピードで実行された。リング/ライナのトライボ接触は、新しいSAE30エンジンオイルにより潤滑された。各スピード方式は20秒間維持された。摩耗試験は、より過酷な条件、すなわち「使い古された」SAE30オイル、360Nの負荷、900rpmのスピードを使用して、実行された。試験期間は4時間であった。両方の試験が室温で実行された。
これらの実験では、調節されたライナに対する摩擦およびリング摩耗における顕著な低減が示された(図12A〜図12B参照)。図12Aでは、通常のライナに対する(曲線300)、および本概念によるライナに対する(曲線301)、異なるスピードにおけるサイクル平均された摩擦定数が示されている。改善は、驚くべきである。図12Bでは、通常のライナに対するリング摩耗302およびライナ摩耗303が、本発明にしたがって処理されたライナに対するリング摩耗304およびライナ摩耗305と、並行して示されている。
図13では、トライボケミカル反応による調節後のシリンダライナの表面粗さプロファイルにおける変化が提示されている。曲線306は通常のライナに相当し、曲線307は処理済みライナに相当する。以下のような特性における変化、すなわち、(i)平均粗さ深さR、相加平均粗さR、ピーク粗さRpk、コア粗さP、における低減、および、(ii)ISO13565およびISO25178に基づく、高さ分布の負歪度Sskが常に増加する状態での、低減されたピーク高さと低減された谷部深さとの比Spk/Svkにおける低減、が認められる。
結論として、固定機構が等しい負荷、自動整列、摩耗に対する補正、および突起部の保守可能性を提供する状態で、0.1μmより小さいR、800HVより大きいビッカース硬さ数、および200GPaを越えるヤング率を有する、硬質で、滑らかで、非研削的な作用突起部を使用し、機械化学表面仕上げ概念(すなわちトライボ膜形成が、作用突起部とボア表面との間の高い接触圧力により起動されるという概念)に依存し、トライボ膜形成のための原料として使用される1つまたは複数の有効成分を含有する処理流体を配備する、改良されたホーニング加工機の支援により、シリンダブロックおよび/またはシリンダライナに適用されるシリンダボアの製造時慣らし処理のための方法は、低減されたR、R、Rpk、R、およびSpk/Svkを有するボアの改良された表面粗さプロファイルと、ボア表面上における固体潤滑剤トライボ膜の形成と、をもたらす。
上記の実施形態は、本発明のいくつかの具体例として理解されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく様々な改変、組み合わせ、および変化がこれらの実施形態に加えられ得ることが、当業者には理解されるであろう。特に、異なる実施形態における異なる部分的解決策は、技術的に可能である場合、他の構成において組み合わされることが可能である。一方、本発明の範囲は、添付の請求項により定められる。

Claims (6)

  1. 主要軸(11)を有するシャフト(10)と、
    n≧1である、n個の作用突起部(20)と、
    前記主要軸(11)から径方向外向きに向けられた作用力(F)を前記作用突起部(20)に印加するよう構成された力印加機構(2)と、
    を含み、
    前記作用突起部(20)は、800HVを越えるビッカース硬さ数および200GPaを越えるヤング率を有する耐摩耗性物質を含み、
    各作用突起部(20)は、前記主要軸(11)から離間する方向に面する、前記主要軸(11)に対して平行な、略細長い、接触表面(22)を有し、前記接触表面(22)は研磨され、実質的に非研削的であり、1μmより小さい表面粗さRを有し、
    前記接触表面(22)は前記主要軸(11)に対して垂直な断面において凸状湾曲を有し、前記凸状湾曲は、前記接触表面(22)の各地点において、前記地点から前記主要軸(11)までの最短距離に等しいかまたは前記最短距離より小さい曲率半径を有し、
    前記主要軸(11)を中心とする円周方向における前記接触表面(22)の幅(87)はr/2nより小さく、ただしrは前記接触表面(22)と前記主要軸(11)との間の最大距離であり、
    各作用突起部(22)に印加される前記作用力(F)は、少なくともP×L×r/2nであり、ただしP=10Paであり、Lは、前記主要軸(11)に対して平行な、前記作用突起部(20)の前記接触表面(22)の長さである、
    シリンダボアの機械化学的処理のための工具(1)。
  2. 前記力印加機構(2)は、前記シャフト(10)により支持され且つ前記作用力(F)を提供する能力を有するアクチュエータ(40)と、前記アクチュエータ(40)と前記作用突起部(20)との間に配置された弾性部材(36)と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の工具。
  3. 前記弾性部材(36)は少なくともK×L×r/2nのバネ定数を有し、ただしK=1010N/mであることを特徴とする、請求項2に記載の工具。
  4. 前記弾性部材(36)は少なくとも1mmの自由長を有することを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の工具。
  5. 前記作用突起部(20)のそれぞれは、前記主要軸(11)に対して径方向に向けられたそれぞれの突起部移動方向に移動可能であることと、前記力印加機構(2)は前記作用突起部(20)のそれぞれに機械的に取り付けられ、それによりそれぞれの前記作用突起部(20)はそれぞれの傾斜軸(24)周りに傾斜することが可能であり、前記傾斜軸(24)は、前記主要軸(11)に対して垂直に、および前記それぞれの突起部移動方向に対して垂直に、向けられていることと、を特徴とする、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の工具。
  6. 前記力印加機構(2)は、前記傾斜軸(24)周りのトルクをまったく発生させることなく、前記作用突起部(20)のそれぞれに対して前記作用力(F)を印加するよう構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の工具。
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