JP6579143B2 - 連続焼鈍ラインの運転停止方法、及び冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍ラインの運転停止方法、及び冷延鋼板の製造方法 Download PDF

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本発明は、連続焼鈍ラインの運転停止方法及び冷延鋼板の製造方法に関し、特に運転停止後に通板を再開した際における鋼板の破断を防止することのできる連続焼鈍ラインの運転停止方法、及び該連続焼鈍ラインの運転停止方法を用いた冷延鋼板の製造方法に関する。
鋼板の製造工程では、連続的に鋼板を搬送(通板)しながら焼鈍を行う連続焼鈍ラインが用いられる。
連続焼鈍ラインの構成例を図1に示す。この連続焼鈍ライン1は、縦型の焼鈍炉10を備える。焼鈍炉10の入側及び出側には、入側ルーパー8、出側ルーパー9、及び鋼板21の張力を制御するブライドルロール(以下、「BR」と略することがある。)11〜14が設けられる。焼鈍炉10は、入側から順に、加熱帯3、均熱帯4、並びに冷却帯(第1冷却帯5、第2冷却帯6及び第3冷却帯7からなる。)を備える。図1において、鋼板21は加熱帯3の下側から炉内に導入され、焼鈍炉10内を連続的に搬送されながら焼鈍が行われる。
連続焼鈍ライン1の運転中には、焼鈍炉10の設備故障及び焼鈍炉10の上流側や下流側の設備故障等の各種トラブルにより、連続焼鈍ライン1の運転を停止せざるを得ない場合がある。連続焼鈍ライン1の運転を停止する場合には、鋼板21の搬送(通板)停止及び鋼板21の張力制御の解除が行われる。また、鋼板の搬送停止時間が長い場合には、燃料費削減のために焼鈍炉10の運転(加熱)も停止し、炉内を降温、冷却する。
焼鈍炉10内が降温、冷却されるに伴い、炉内の鋼板21も降温されて熱収縮を起こす。鋼板21の熱収縮により、鋼板21の搬送及び張力制御を止めた後であっても、鋼板21に張力が発生する。熱収縮による発生する鋼板21の張力が過大であると、炉内で鋼板21が幅方向に座屈し、鋼板21の長手方向にシワ(一般に、「絞り」、「バックリング」等と称されることもある。)が入ってしまう。
ラインの運転停止の原因になった問題が解消されると、連続焼鈍ライン1の運転が再開される。具体的には、鋼板21の張力制御を行いながら搬送を行い、焼鈍炉10の加熱を再開する。このラインの運転再開時に、鋼板の再加熱等によって、前述したライン停止時に発生したバックリングが成長してしまう。バックリングの成長が顕著であると、鋼板の破断(板破断)につながる。板破断が発生した場合には、連続通板が不可能となり、ラインの運転を再度停止せざるを得なくなる。また、焼鈍炉10内で板破断が発生した場合には、炉内作業を行う必要がある。具体的には、焼鈍炉10の加熱を再度停止した後、炉内温度が常温近くに降温するまで待機し、炉内温度が十分に低下したところで炉内に人が立ち入って板破断箇所の点検等の各種作業を行った後に、ラインの運転を再開する必要がある。このように板破断が一度発生すると、長時間に亘ってラインを停止せざるを得なくなり、鋼板の生産性を大きく低下させる一因となる。
従来、連続焼鈍ラインの運転停止方法を開示した文献として、以下の特許文献1及び2が知られている。特許文献1には、連続焼鈍ラインの運転を停止させる際に、鋼板の搬送を停止させながら炉内の設定張力値を下げ、鋼板の搬送停止時に張力の過大及び過小のない適切な状態とすることが開示されている。特許文献2には、ストリップの搬送を停止させる際に、炉入側ブライドルロールを炉出側ブライドルロールに遅らせて停止することにより、炉入側ブライドルロールによるストリップの送り込み量と、炉出側ブライドルロールによるストリップの送り出し量との差分に相当する分だけ、ストリップを炉内に滞留させることが開示されている。
特開平05−070844号公報 特開昭62−077424号公報
しかし特許文献1に記載の技術では、鋼板の搬送を完全に停止する前に張力が0に近い状態まで引き下げられることから、通板時に必要な張力が鋼板に付与されず、通板時に鋼板の蛇行が発生しうる。鋼板が蛇行することにより、鋼板が焼鈍炉の炉内壁に衝突し、板疵の発生や板破断等が起こりうるという問題がある。また特許文献1の技術では、鋼板の搬送停止後に張力制御を解除して炉内の鋼板の張力を0とした後に、焼鈍炉の内外で鋼板を余らせる動作を行っていない。よって、鋼板の熱収縮によって炉内の鋼板に張力が発生した際に、炉内へ引き込まれる余剰分の鋼板長さを確保していないことから、熱収縮時のバックリングの発生という問題は解決されない。
特許文献2に記載の技術では、ストリップの通板を完全に停止させる前にブライドルロールを停止して炉内張力制御を解除しており、通板時に必要な張力がストリップに付与されず、ストリップの蛇行の問題が発生する。特に特許文献2では、余らせたストリップを炉内に貯留させることとしており、蛇行したストリップが炉内壁に衝突する危険性が高い。このように、特許文献2に記載された技術では、ストリップを炉内に貯留することにより熱収縮時のバックリングの発生という問題は解消されるものの、ライン停止時に鋼板が蛇行し、鋼板が炉内壁と衝突することによって板疵や板破断が発生するという問題を解消することができない。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、焼鈍炉の加熱を停止した後の鋼板の熱収縮によるバックリングの発生を防止し、且つ鋼板の搬送を停止する際の鋼板の蛇行を防止することのできる連続焼鈍ラインの運転停止方法、及び該連続焼鈍ラインの運転停止方法を用いた冷延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]焼鈍炉と、焼鈍炉の入側に設けられて焼鈍炉への鋼板の送り込み量を調節する炉入側ブライドルロールと、焼鈍炉の出側に設けられて焼鈍炉からの鋼板の送り出し量を調節する炉出側ブライドルロールと、を有する連続焼鈍ラインの運転停止方法であって、鋼板の搬送を停止した後に、焼鈍炉内における鋼板の張力制御を解除し、次いで前記炉入側ブライドルロール及び前記炉出側ブライドルロールの少なくとも一方から、前記焼鈍炉に向かって鋼板を送り込む連続焼鈍ラインの運転停止方法。
[2]焼鈍炉に向かって送り込まれた鋼板を、前記炉入側ブライドルロール及び/又は前記炉出側ブライドルロールと前記焼鈍炉との間に滞留させる[1]に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
[3]鋼板の搬送を停止した後に焼鈍炉の加熱を停止する場合、焼鈍炉への鋼板の送り込みは、炉内温度が加熱停止時の炉内温度よりも低くなる以前に行われる[1]又は[2]に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
[4]焼鈍炉に向かって送り込まれる鋼板の長手方向長さは、焼鈍炉の加熱停止後に鋼板の熱収縮によって炉内に引き込まれる鋼板の長手方向長さ以上とする[1]から[3]までのいずれか一つに記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
[5]炉入側ブライドルロールの入側及び炉出側ブライドルロールの出側に、入側ルーパー及び出側ルーパーを備え、炉入側ブライドルロール及び/又は炉出側ブライドルロールから焼鈍炉に向かって送り込まれる長さに相当する長さの鋼板が、入側ルーパー及び/又は出側ルーパーから炉入側ブライドルロール及び/又は炉出側ブライドルロールへと払い出される[1]から[4]までのいずれか一つに記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
[6]連続焼鈍ラインの運転を停止させる必要がある場合には、[1]から[5]までのいずれか一つに記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法を用いて連続焼鈍ラインの運転を停止させた後に、連続焼鈍ラインの運転を再開する冷延鋼板の製造方法。
本発明によると、焼鈍炉の加熱を停止した後の鋼板の熱収縮によるバックリングの発生を防止し、且つ鋼板の搬送を停止する際の鋼板の蛇行を防止することができる。
図1は、連続焼鈍ラインの構成の一例を示す模式図である。 図2は、ライン停止時の連続焼鈍ラインの構成の一例を示す模式図である。 図3は、ライン停止時における、時間と各種通板速度及び各種張力との関係を示すグラフである。
まず、図2を用いて、本発明が適用される連続焼鈍ライン1について説明する。
連続焼鈍ライン1は、鋼板21を連続的に通板しながら焼鈍することのできる焼鈍炉10を備える。図1の例では、上下方向に複数パス通板される縦型の焼鈍炉10が用いられる。焼鈍炉10は、入側から順に加熱帯3、均熱帯4、第1冷却帯5、第2冷却帯6、及び第3冷却帯7を順に有する。図示していないものの、加熱帯3及び均熱帯4にはバーナ加熱のための輻射管が配置されており、ラインの運転中の焼鈍炉内(単に、「炉内」ともいう。)は高温に保たれている。尚、焼鈍炉の構成及び加熱方式等はこれらの例に限定されるものではない。
焼鈍炉10内には、鋼板21を巻きつけて通板する炉内ロールが複数設けられる。鋼板21を安定通板するために、炉内ロールとして、ロール両端部よりもロール中央部の直径を大きくしたクラウン形状のロールを採用することが望ましい。尚、炉内ロールの回転条件を調節することにより、炉内における鋼板21の搬送速度や張力を調節することができる。
焼鈍炉10の入側と出側とには、それぞれ炉入側ブライドルロール12、及び炉出側ブライドルロール13が配置される。炉入側BR12は、通板時においてロールの回転により焼鈍炉10への鋼板21の送り込み量を調節する機能を有し、炉出側BR13は、ロールの回転により焼鈍炉10から出側への鋼板21の送り出し量を調節する機能を有する。炉入側BR12と炉出側BR13との回転速度差を調節することにより、焼鈍炉10内の鋼板21に発生する張力を制御することができる。尚、ブライドルロールの構造は、図2に図示されているものに限定されるものではない。
図2の例では、炉入側BR12の入側に入側ルーパー8が設けられ、炉出側BR13の出側に出側ルーパー9が設けられる。これらのルーパーは、鋼板を複数パス通板させる構造を有し、ルーパーにおけるローラの位置(高さ)を調節して1パスの長さを変更することにより、鋼板21の貯蔵及び払い出しを行うことができる。
尚、入側ルーパー8の入側にはルーパー入側BR11が設けられていてもよく、出側ルーパー9の出側にはルーパー出側BR14が設けられていてもよい。ルーパー入側BR11と炉入側BR12とによって入側ルーパー8における鋼板21の張力が制御され、炉出側BR13とルーパー出側BR14とによって出側ルーパー9における鋼板21の張力が制御される。尚、ルーパー入側BR11、炉入側BR12、炉出側BR13、及びルーパー出側BR14を総称して、単にブライドルロールと称することもある。
次に、本発明に係る連続焼鈍ライン1の運転停止方法について説明する。
まず、連続焼鈍ライン1の運転時には、鋼板21が張力制御を受けながら張力をかけられた状態で連続的に通板される。また、加熱帯3及び均熱帯4はそれぞれ加熱され、焼鈍炉10の内部は高温状態にある。
本発明において連続焼鈍ライン1の運転を停止する場合には、まず鋼板21の通板を停止して、次いで鋼板21の張力制御を解除して炉内の鋼板21にかかる張力を0とし、最後に入側ルーパー8及び出側ルーパー9の少なくとも一方を用いて、焼鈍炉10に向かって鋼板21を送り込む作業を行う。
具体的に、連続焼鈍ラインの運転を停止する際の手順について図3を用いて説明する。図3は、ラインの運転停止時における、時間と各種通板速度及び各種張力との関係を示すグラフである。
まず、連続焼鈍ラインを運転し炉内の通板速度が一定となっている状態から、時間t1において鋼板の搬送停止を開始し、徐々に鋼板の搬送速度を低下させる。その後、鋼板の搬送速度(焼鈍炉内の搬送速度、炉入側BR通過時の搬送速度、及び入側ルーパーにおける搬送速度)は漸次減少し、時間t2において搬送速度が0となり鋼板の搬送が完全に停止する。
本発明では、鋼板の搬送を完全に停止させた時点では、まだ焼鈍炉内の鋼板の張力制御を行い、鋼板に張力がかかった状態とする。具体的に図3に示されているように、通板を完全に停止したt2においても、焼鈍炉内(及び入側ルーパー)において鋼板には一定の張力がかけられている。鋼板の搬送を停止した直後に炉内の鋼板にかかる残存張力は、鋼板の搬送が完全に停止する直前(t2の直前)において鋼板が蛇行しない程度の大きさの張力であればよく、例えば焼鈍ラインの通常運転時(例えば図2の時間t1以前の状態)の張力の20〜50%程度であればよい。
図3の例では、鋼板の搬送速度を落としているt1からt2に至るまで、炉内の鋼板の張力も同様に漸次減少させている。t1からt2の間における鋼板の張力は、減速した鋼板に蛇行や板絞り等の問題が生じない程度の張力であればよい。例えば、減速中の鋼板に蛇行や板絞り等の問題等が生じないのであれば、t1からt2に至るまで、炉内の鋼板の張力をほとんど下げずにt1以前の張力を維持したままとしてもよい。
t2において鋼板の搬送を完全に停止させてから一定時間経過した後に、時間t3において炉内の鋼板の張力制御を解除して、炉内の鋼板にかかる張力を0とする。具体的には、炉入側BR、炉出側BR、及び焼鈍炉内に設置された炉内ロールの回転条件等を調節すればよい。尚、t2からt3までの時間は、鋼板の搬送が完全に停止したのを確認してから張力制御を解除するまでの操作等にかかる時間であって、特に限定されるものではない。
本発明では、鋼板の搬送速度を減少させている間(時間t1からt2までの間)も、特に炉内の鋼板の張力制御を完全に解除せずに、通板性を確保するために必要な大きさの張力をかけている。これにより、搬送速度を落とす際に鋼板が蛇行することを防止することができ、蛇行した鋼板が炉内壁等に衝突して板疵や板破断の問題が発生することを防止できる。
時間t3にて炉内の鋼板の張力を0とした後に、時間t4において炉入側BRを用いて鋼板を焼鈍炉側へと送り込む。これにより図3では、t4以降において、炉入側BRでの搬送速度が一時的に上昇する。尚、詳細については後述するが、炉入側BRから送り込まれる分の鋼板を入側ルーパーによって払い出すことにより、図3のt4以降において入側ルーパーでの搬送速度も一時的に上昇する。
例えば、炉内における鋼板の張力制御を行ったまま(炉内の鋼板の張力が残ったまま)の状態で、ブライドルロールから焼鈍炉へ向けて鋼板の送り込みを行うと、炉内に残存した張力によって送り込んだ鋼板の大部分が焼鈍炉内へ引き込まれる。このように、炉内へ大量の鋼板が引き込まれると、炉内に滞留した鋼板が炉内壁と衝突し、板疵や板破断といった問題が発生する。
本発明では図3のように、t3で炉内における鋼板の張力制御を解除した後に鋼板の送り込みを行うことにより、鋼板が張力によって炉内へと引っ張り込まれることが防止される。これにより、BRから送り込まれた鋼板を、焼鈍炉の内部ではなく外部に位置させることが可能となる。具体的には図2の鋼板滞留部15で示すように、炉入側BR12と焼鈍炉10との間に、鋼板が滞留することになる。鋼板滞留部15を設けることにより、焼鈍炉10の加熱停止後に炉内の温度が低下して鋼板の熱収縮が発生した際にも、鋼板滞留部15から鋼板21が炉内へと供給されるので、炉内の鋼板21にバックリングが発生することを防止できる。
図示していないものの、炉出側BR13を通常のライン運転時とは逆向きに回転して、炉出側BR13から焼鈍炉10へ向かって鋼板21を送り込むこともできる。この場合、焼鈍炉10と炉出側BR13との間に、送り込まれた鋼板が位置し、鋼板滞留部が形成される。
上述のように本発明では、焼鈍炉10の加熱停止後の熱収縮を見込んで余らせた鋼板21を、焼鈍炉10の内部でなく焼鈍炉10の外部に位置させることができる。よって、滞留した鋼板21が炉内壁に接触することを防ぎ、接触による板疵や板破断の発生を確実に防止することができる。
鋼板滞留部15においては、滞留させた鋼板21にシワや疵等が発生しないように、十分な広さを備えた鋼板の設置スペースや、適当な鋼板の収容設備等を設けることが好ましい。
尚、炉内における鋼板の張力制御を解除した後であっても、現実には炉内の張力は完全には0とならず、若干の張力が炉内の鋼板に残存することもある。この際に残存する張力の大きさは、BRによって鋼板の送り込みを行った際に、炉内壁に接触しない程度の長さの鋼板が炉内へ引き込まれる大きさであればよい。
連続焼鈍ライン1の運転停止時には、焼鈍炉10の加熱停止も行われることがある。焼鈍炉の加熱停止のタイミングは特に制限されず、通板の停止前であってもよいし通板の停止後であってもよい。但し、通板中の鋼板21の温度制御を確実に行うという観点からは、通板の停止後に焼鈍炉10の加熱停止を行うことが望ましい。通板を停止させた後に焼鈍炉10の加熱を停止させると、通板時のように温度の低い鋼板21が炉内へ新たに進入することがなく、加熱停止直後には一時的に炉内温度が上昇する。その後、加熱を停止された炉内温度はピークアウトしてやがて低下に転じるようになり、加熱停止から一定時間が経過した後の炉内温度は、加熱停止直後の炉内温度よりも低い温度まで低下する。炉内の鋼板は、焼鈍炉の加熱停止直後の温度よりも低くなった時点から熱収縮を起こし始めるので、熱収縮時のバックリングを確実に防止するという観点からは、焼鈍炉の加熱停止後であって炉内温度が加熱停止時よりも低くなる以前に、ブライドルロールから焼鈍炉への鋼板の送り込みを行うことが好ましい。
焼鈍炉10に向かって送り込まれる鋼板21の長手方向長さは、焼鈍炉10の加熱停止後における鋼板21の熱収縮によって炉内に引き込まれる鋼板21の長手方向長さ以上とすることが好ましい。これにより、鋼板21の熱収縮が発生しても、その分だけ鋼板滞留部15から炉内へ鋼板21が供給されるので、炉内で鋼板21が不足してバックリング等が発生することが防止される。尚、熱収縮によって炉内に引き込まれる鋼板21の長さは、焼鈍炉10の加熱停止後からラインの運転再開までの間にどの程度炉内温度が下がることを許容するかによって、適宜変更される。また、焼鈍炉10に向かって送り込まれる鋼板21の長手方向長さと、鋼板滞留部15における鋼板21の長手方向長さとは、張力制御解除後の炉内に僅かに残存した張力によって引き込まれる鋼板の長さ分だけ相違するものの、略同一の値である。
より具体的に、焼鈍炉10に向かって送り込まれる鋼板21の長手方向長さは、通板停止時に炉内に収容される鋼板の長手方向長さ(炉内長)、鋼板の熱膨張係数、及び加熱停止直後の炉内温度とライン運転再開直前の炉内温度との差(炉内温度差)を用いて計算することができる。具体的には、以下の式(1)を満たすように、鋼板滞留部15における鋼板の長さを設定すればよい。
L ≧ l×a×ΔT ・・・・・(1)
L:鋼板滞留部における鋼板の(長手方向)長さ[m]
l:炉内長[m]
a:熱膨張係数[1/℃]
ΔT:炉内温度差[℃]
但し、焼鈍炉10の入側と出側の両方に鋼板滞留部を設ける際には、前述した鋼板滞留部における鋼板の長さ(L)としては、入側の鋼板滞留部の長さと出側の鋼板滞留部の長さとの和とする。
ブライドルロールから焼鈍炉へ向かって鋼板を送り込む際には、ブライドルロールから送り込まれた長さに相当する長さの鋼板を、ルーパーからブライドルロールへ払い出すことが好ましい。具体的に、図2の炉入側BR12から焼鈍炉10へと鋼板21を送り込む際には入側ルーパー8から炉入側BR12へと鋼板21を払い出し、炉出側BR13から焼鈍炉10へと鋼板21を送り込む際には出側ルーパー9から炉出側BR13へと鋼板21を払い出せばよい。
このように、入側ルーパー8から炉入側BR12へ、及び/又は出側ルーパー9から炉出側BR13へ鋼板21を払い出すことにより、炉入側BR12の入側及び/又は炉出側BR13の出側の鋼板21に過張力がかかることを防止し、炉入側BR12の入側及び/又は炉出側BR13の出側の鋼板21にバックリングが起こることを防止することができる。ルーパーからBRへ払い出す鋼板の長さは、BRから焼鈍炉へ送り出す鋼板の長さと略同一であればよく、より具体的には、ルーパーとBRとの間の鋼板に過張力がかからない程度の長さに調節すればよい。
本発明は、低炭素鋼板(例えば炭素含有率が0.10質量%以下)や極低炭素鋼板(例えば炭素含有率が0.005質量%以下)の通板ラインに適用されることが特に好ましい。これらの鋼板は、連続焼鈍ラインの運転再開時に特にバックリングに起因した板破断が起こりやすいところ、本発明を適用することによって確実に板破断を防止することができる。
また本発明は、板厚の薄い材料(例えば板厚が0.60mm以下)や広幅の材料(例えば板幅が600mm以上)の通板ラインに適用されることが特に好ましい。これらの鋼板は、連続焼鈍ラインの運転再開時に特にバックリングに起因した板破断が起こりやすいところ、本発明を適用することによって確実に板破断を防止することができる。
本発明では、連続焼鈍ライン1の運転を停止し、停止原因となったトラブル等を解消した後、連続焼鈍ライン1の運転を再開する。連続焼鈍ライン1の運転再開時には、加熱帯3及び均熱帯4の温度を、鋼板21が再結晶することのできる温度(例えば500〜700℃)以上の温度領域まで昇温し、低速で通板を再開する。その後、途中で通板を停止させることなく、所定の通板速度となるまで通板速度を徐々に上昇させるとともに、通板速度上昇に合わせて加熱帯3及び均熱帯4の温度を徐々に所定の炉内温度まで上昇させる。
本発明の運転停止方法は、冷延鋼板の製造方法に適用することができる。これにより、冷延鋼板の製造中に連続焼鈍ラインでトラブル等が生じた場合であっても、ラインの運転停止から再開までの間に鋼板21に板疵や板破断が生じることを確実に防止することができる。板破断の発生を防止することで、炉内作業等により長時間に亘ってラインを再度停止せざるをえなくなることが防止され、鋼板の生産性が向上するので、鋼板の製造コストを下げることができる。また、ラインの停止−再開時の鋼板の熱収縮による板疵やしわの発生を抑えることができ、製造される鋼板の品質を維持することができる。
1 連続焼鈍ライン
3 加熱帯
4 均熱帯
5 第1冷却帯
6 第2冷却帯
7 第3冷却帯
8 入側ルーパー
9 出側ルーパー
10 焼鈍炉
11 ルーパー入側ブライドルロール
12 炉入側ブライドルロール
13 炉出側ブライドルロール
14 ルーパー出側ブライドルロール
15 鋼板滞留部
21 鋼板

Claims (6)

  1. 焼鈍炉と、焼鈍炉の入側に設けられて焼鈍炉への鋼板の送り込み量を調節する炉入側ブライドルロールと、焼鈍炉の出側に設けられて焼鈍炉からの鋼板の送り出し量を調節する炉出側ブライドルロールと、を有する連続焼鈍ラインの運転停止方法であって、
    鋼板の搬送を停止した後に、焼鈍炉内における鋼板の張力制御を解除し、次いで前記炉入側ブライドルロール及び前記炉出側ブライドルロールの少なくとも一方から、前記焼鈍炉に向かって鋼板を送り込む連続焼鈍ラインの運転停止方法。
  2. 焼鈍炉に向かって送り込まれた鋼板を、前記炉入側ブライドルロール及び/又は前記炉出側ブライドルロールと前記焼鈍炉との間に滞留させる請求項1に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
  3. 鋼板の搬送を停止した後に焼鈍炉の加熱を停止する場合、
    焼鈍炉への鋼板の送り込みは、炉内温度が加熱停止時の炉内温度よりも低くなる以前に行われる請求項1又は2に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
  4. 焼鈍炉に向かって送り込まれる鋼板の長手方向長さは、焼鈍炉の加熱停止後に鋼板の熱収縮によって炉内に引き込まれる鋼板の長手方向長さ以上とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
  5. 炉入側ブライドルロールの入側及び炉出側ブライドルロールの出側に、入側ルーパー及び出側ルーパーを備え、
    炉入側ブライドルロール及び/又は炉出側ブライドルロールから焼鈍炉に向かって送り込まれる長さに相当する長さの鋼板が、入側ルーパー及び/又は出側ルーパーから炉入側ブライドルロール及び/又は炉出側ブライドルロールへと払い出される請求項1から4までのいずれか一項に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法。
  6. 連続焼鈍ラインの運転を停止させる必要がある場合には、請求項1から5までのいずれか一項に記載の連続焼鈍ラインの運転停止方法を用いて連続焼鈍ラインの運転を停止させた後に、連続焼鈍ラインの運転を再開する冷延鋼板の製造方法。
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