JP6579132B2 - 電位分布の推定方法および電位分布の推定装置 - Google Patents

電位分布の推定方法および電位分布の推定装置

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Description

本発明は、電位分布の推定方法および電位分布の推定装置に関する。
一般に、界面での現象を、正確に観察あるいは測定することには困難が伴う。図1は、2枚の重なった金属板に電圧が印加されて電流が流れている様子を示す図である。また、図2は、溶液に浸漬された金属板が腐食する様子を示す図である。
例えば、図1に示すように、金属板Aの上に金属板Bが重なった状態で電圧が印加されて電流が流れている場合、金属板間に複数の通電部(図1では、3つの通電部)があるとき、合計した電流値Itotalは測定可能であるものの、通電部のそれぞれの位置を特定し、通電部毎にそれぞれ流れている電流値(I、I、I)を正確に求めることは困難である。
例えば、スポット溶接を行う場合、溶接する2枚の鋼板に既に溶接点があると、既存の溶接点に電流が流れて(分流)、新たな溶接点に流れる電流が少なくなるため、溶接が出来なくなる場合がある。このような場合、分流量を正確に把握できれば、新たな溶接に必要な電流を推定することが可能となる。
また、図2に示すように、溶液に浸漬された金属板が腐食している場合、アノード部では酸化反応が起きており、金属板表面から溶液へ金属板の原子Mが陽イオンMn+となって溶解する。また、カソード部では還元反応が起きている。つまり、アノード部では金属板から溶液へ、カソード部では溶液から金属板へ電流が流れている。ここで電流が流れている部位および電流値がわかれば、腐食している場所およびその程度を知ることができるが、金属板表面から外部の環境へ流れている電流を直接正確に測定することは困難である。なお、図2は、金属板表面に溶液が接触して腐食する様子を示している。
図1に示す場合では、特許文献1に、一方の金属板表面の電位分布を測定し、その電位分布から通電部の位置を測定する技術が開示されている。
特開2007−139750号公報
特許文献1に開示されている技術は、重ねられた2枚の金属板に電流が流れた場合、どちらか一方の金属板表面に複数の導線を接続し、その導線によって電位分布を測定し、その電位分布から通電部の位置を測定する技術である。しかし、この技術では、導線の間隔が広くなった場合に、測定による誤差が大きくなり、求められる電流値の、実際に流れている電流値に対する誤差が大きくなることが分かった。
また、図1のような場合は、前記の通り通電部のそれぞれの位置を特定し、通電部毎にそれぞれ流れている電流値を正確に求めることは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外部の環境に電流が流れ出す金属板表面の電位分布をより精度よく推定できる電位分布の推定方法および電位分布の推定装置を提供することを目的とする。また、推定された電位分布から、鋼板の通電点から外部に流れ出す電流を、より精度よく推定することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
[1]金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する方法であって、前記裏面の電位分布を測定により求め、前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点の位置と前記表面の通電点の位置を決定し、前記通電点の電位と金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求め、前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定する、電位分布の推定方法。
[2]前記測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、[1]に記載の電位分布の推定方法。
[3]前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、前記境界条件とした通電点の電位を補正し、境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板の電位分布を求める、[1]または[2]に記載の電位分布の推定方法。
[4]金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する方法であって、前記裏面の電位分布を測定により求めるステップ1と、前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点の位置と前記表面の通電点の位置を決定するステップ2と、前記通電点の電位と前記金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求めるステップ3と、前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定するステップ4とを有する、電位分布の推定方法。
[5]前記ステップ2で、測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、[4]に記載の電位分布の推定方法。
[6]前記ステップ4で、前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、前記境界条件とした通電点の電位を補正し、境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、前記ステップ3と、前記ステップ4を繰り返す、[4]または[5]に記載の電位分布の推定方法。
[7]金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する電位分布の推定装置であって、前記裏面の電位分布を測定する電圧計と、前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点と前記表面の通電点の位置を決定し、前記通電点の電位と金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求め、前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定する演算器とを具備する、電位分布の推定装置。
[8]前記演算器が、前記測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、[7]に記載の電位分布の推定装置。
[9]前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、前記演算器が、前記境界条件とした通電点の電位を補正し、境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板の電位分布を求める、[7]または[8]に記載の電位分布の推定装置。
本発明によれば、外部の環境に電流が流れ出す金属板表面の電位分布をより精度よく推定できる。そして、これにより、通電点の電位、通電点から外部の環境に流れ出す電流をより精度よく推定できる。
2枚の重なった金属板に電圧が印加されて電流が流れている様子を示す図である。 溶液に浸漬された金属板が腐食する様子を示す図である。 本発明を模式的に説明する図である。 本発明の処理手順の一例を示す図である。 本実施例を説明する図である。 本実施例において測定により求めた金属板裏面の電位分布を示す図である。 図6の電位分布から(1)式により求めたI(x,y,0)の分布を示す図である。 本実施例において、通電点A、Bの電位(通電点A、Bともに0V)を境界条件として数値計算により求めた金属板裏面の電位分布を示す図である。 本実施例において、補正した通電点A、Bの電位(通電点A:0.56×10-4V、通電点B:0.54×10-4V)を境界条件として数値計算により求めた金属板裏面の電位分布を示す図である。
本発明は、数値計算を利用することで、外部の環境に電流が流れ出す金属板表面の電位分布をより精度高く推定する方法に関する。そして、前記金属板表面の電位分布をより精度高く推定することで、前記金属板から外部の環境に流れ出す電流をより正確に求めることができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。
図3は、本発明を模式的に説明する図である。図3(a)は、2枚の重なった金属板(金属板1と金属板2)の表面を上から見た平面図、図3(b)は、2枚の重なった金属板を正面から見た正面図である。
図3に示すように、2枚の重なった金属板(金属板1と金属板2)に給電点をそれぞれ設け、この給電点間に電圧を印加し、金属板間の通電点に電流が流れる場合を考える。
金属板1の板厚をt、導電率をσとして、金属板1の幅方向、長さ方向、板厚方向を、それぞれx、y、z方向とする。また、金属板1のz=0の面を裏面、z=tの面を表面とする。そして、金属板1の表面から、外部の環境(金属板2)に電流Iが流れ出しているとする。図3には、通電点が模式的に示されているが、通常は通電点を事前に把握できない。したがって、金属板1の表面から金属板2に流れる電流の合計Iを知ることはできても、通電点に流れている電流の値をそれぞれ知ることは困難である。
また、金属板1の裏面には、x、y方向に所定の間隔で導線が接続されている。導線が接続された点を、測定点とも称する。図3には図示されないが、導線には電圧計が接続されており、この電圧計により金属板1の裏面の、導線が接続されたそれぞれの測定点の電位が測定され、裏面の電位分布を得ることができる。前記導線の間隔は、金属板1の裏面の電位分布を得ることができればよく、任意であるが、本実施形態では、金属板1の裏面のx、y方向に等間隔Δdで導線が接続されているものとする。また、給電点の電位は測定可能であり、その電位をVspとする。
金属板1と金属板2との間に電流が流れると、流れる電流の大きさに見合った電位が金属板1の裏面に発生する。この裏面の電位を電圧計で測定し、電位分布を求める。この時、基準点あるいは任意の測定点の電位を基準(0V)として測定点の電位を測定し、金属板裏面の電位分布を求めればよい。
そして、前記測定により求めた裏面の電位分布から、金属板1の表面から外部の環境に電流が流れ出す点(通電点)を決定する。通電点を決定するために、まず測定により求めた裏面の電位分布から、下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求める。そして、前記I(x,y,0)が周囲より大きな値(極大値)、または周囲より小さな値(極小値)を極値とし、極値となる点を裏面の極値点とする。裏面の極値点の位置を求め、極値点に対応する金属板1の表面の位置を通電点とする。
通電点は、鋼板の表面から外部の環境へ電流が流れ出している点に相当する。本発明では、通電点と極値点は、金属板1をはさんで同じ位置にあり、すなわち極値点の座標(x,y,0)に対して、通電点の座標は(x,y,t)である。
この時点で極値点の電位も求められ、その電位を電位V(x,y,0)とする。
ここで、(1)式は、基本的には電位差から電流を求める式である。本発明では、この段階で正確な電流値を求める必要はない。金属板の裏面内の相対的な電流値の大小がわかれば、極値点の座標を求めることができる。さらに、抵抗に相当する係数はすべてのI(x,y,0)で同じなので、(1)式では抵抗に相当する係数を省略する。
また、本発明の極値とは、周囲よりも電流値が大きくなっている、または小さくなっている測定点の電流値のことである。そして、給電点に印加された電圧の方向により、正の値または負の値を取る。正または負の極値は、極値点から外部へ流れ出る電流の大きさに相当する値となる。
さらに、通電点は複数存在することがあり、その場合、複数の極値が存在しうる。複数の極値が存在する場合は、それぞれの極値は、流れ出す電流の大きさによって、それぞれ異なりうる。
上記のようにして決定した通電点のx座標およびy座標をX,Yとすると、金属板1表面の通電点の座標は(X,Y,t)となる。
そして、この通電点の電位を任意の値Vcal(X,Y,t)、金属板1の給電点の電位Vsp(設定値)を境界条件として、数値計算により金属板1の電位分布を求め、そこからさらに金属板1の表面、裏面の電位分布を求める。この際の数値計算は、公知の方法、例えば金属板1を微小要素に分割して各要素の電位を差分法により求めればよい。
上記数値計算により、金属板1の表面、裏面の電位分布が新たに求められ、そして極値点の電位Vcal(X,Y,0)が求められる。このVcal(X,Y,0)と、測定により求められた極値点の電位V(X,Y,0)を下記(2)式により対比する。
rは、測定された電位に対する、数値計算で求められた電位の誤差を表している。rが許容範囲内である場合、金属板1は、数値計算で求められた電位分布となっていると考える。すなわち、rが許容範囲内である場合、金属板1の表面の電位分布は、数値計算で求めた金属板の表面の電位分布であると推定する。
ここで、極値が複数ある場合、数値計算に使用する通電点の電位Vcal(X,Y,t)を、極値の数だけ設定する。そして、数値計算では、設定されたVcal(X,Y,t)をすべて使用する。
さらに、極値が複数ある場合は、それぞれの極値に対してrを求め、すべてのrが許容範囲内である場合に、金属板1の表面の電位分布は、数値計算で求めた金属板の表面の電位分布であると推定する。
rが許容範囲内ではない場合には、境界条件とした通電点の電位を補正して、再度数値計算を行う。この時、補正係数αを下記(3)式によって定義する。
補正係数αから、境界条件であるVcal(X,Y,t)を下記(4)式で補正する。補正後の通電点の電位をVcal'(X,Y,t)とする。
そして、上記補正後の通電点の電位Vcal'(X,Y,t)と給電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板1の表面および裏面の電位分布を求め、極値点の電位Vcal'(X,Y,0)を求める。このVcal'(X,Y,0)と、V(X,Y,0)とを対比し、V(X,Y,0)に対するVcal'(X,Y,0)の比率をrとして、rが許容範囲内となるまで、通電点の電位の補正と、該補正した通電点の電位と給電点の電位を境界条件とする数値計算を繰り返す。そして、rが許容範囲内になった場合に、数値計算で求められた表面の電位分布が、金属板1の表面の電位分布であると推定する。
極値が複数ある場合は、すべての極値についてαを計算し、Vcal'(X,Y,t)を求める。
なお、rが許容範囲内となった後も、境界条件とした通電点の電位の補正と、該補正した通電点の電位と給電点の電位を境界条件とする数値計算を繰り返してもよい。これにより、数値計算で求められる金属板1の表面の電位分布の精度をより高くすることができる。
図4は、本発明の処理手順の一例を示す図である。図4のフローに従って処理手順例を説明する。
まず、Step01で、電流が流れ出している金属板表面とは反対の裏面の電位分布を、電圧計で測定して求める。
次に、Step02で、Step01で測定により求めた裏面の電位分布から、通電点を決定する。
そして、Step03で、Step02で決定した通電点の電位と、金属板に設けられた給電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板の電位分布を求め、そこからさらに金属板の表面および裏面の電位分布を求める。
Step04では、Step03で数値計算により求めた金属板裏面の電位分布における極値点の電位と、Step01で測定により求めた金属板裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行い、前記測定により求めた極値点の電位に対する、前記数値計算により求めた極値点の電位の比が、許容範囲内であるか否かを判定する。そして、許容範囲内である場合には、数値計算により求めた金属板の表面の電位分布を、外部の環境に電流が流れ出す金属板表面の電位分布と推定し、Step05でその結果を出力する。前記Step02〜Step04は適宜演算器を用いて行えばよく、上記処理手順は、金属板裏面の電位分布を測定する電圧計と、前記演算器を具備する電位分布の推定装置により実施することができる。
Step04で測定により求めた極値点の電位に対する、前記数値計算により求めた極値点の電位の比が、許容範囲内にはない場合には、境界条件とした通電点の電位を補正し、境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点と給電点の電位を境界条件として、前記Step03と前記Step04を繰り返す。
以上説明したように、本発明は、数値計算により求められた金属板の電位分布が、測定された金属板の裏面の電位分布と一致するように、境界条件を決めて、外部の環境に電流が流れ出す金属板表面の電位分布、通電点の電位、通電点から流れる電流をより精度よく推定するものである。
本発明を確かめるために行った実施例について、以下に説明を行う。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
図5は、本実施例を説明する図である。金属板として普通鋼の鋼板を用いた。図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ鋼板の表面を上から見た上面図、鋼板を正面から見た正面図、鋼板の裏面を下から見た下面図である。
ここで、本発明が想定するのは、前記図3に示されるような、重なった金属板間に電流が流れる場合であるが、前述したように、通電点の位置およびその電位は通常は不明である。そこで、ここでは、図3の金属板2を外して、金属板1に2か所の通電点を想定し、図5に示すように、給電点と通電点にそれぞれ導線を接続した。そして、通電点の電位、通電点に流れる電流がそれぞれ分かるようにして、上記の方法で、通電点の電位、通電点を流れる電流を推定して本発明の効果を確認した。
図5に示すように、金属板1の幅方向、長さ方向、板厚方向を、それぞれx、y、z方向とする。金属板1の幅、長さ、板厚は、それぞれ100,100,10(以下寸法単位はmm)で、z=0が金属板1の裏面、z=10が鋼板の表面である。給電点の座標(x,y,z)は、(0,50,5)、通電点A、Bの座標は、それぞれ(20,70,10)、(70,20,10)である。図5に示すように、給電点と通電点に導線をはんだ付けで接続して、給電点から金属板1を通って通電点へ電流が流れるようにした。また、電源と通電点の間に抵抗を接続し、通電点A、Bの電位を調整した。また、金属板1の裏面には、x、y方向にそれぞれ5mm間隔(Δd=5)で、電位測定用の導線を接続した。そして、通電点Aと基準点、通電点Bと基準点の間に電流計を設置し、通電点A、Bに実際に流れる電流を測定した。
図5で、任意のx=Xの面を流れる電流I(X)は、数値計算で求められた金属板1の電位分布より、以下のように計算で求められる。
ここで、σは金属板1の導電率である。i、j、kはx、y、z方向の数値解析での格子番号で、Δx、Δy、Δzはx、y、z方向の格子間の距離である。格子(i+1)とiのx座標をx(i+1)、x(i)とすると、
である。図5に示される実施例の場合、Xが20mm未満の位置でI(X)を求めれば通電点AおよびBを流れる電流の合計が推定でき、Xが20mmより大きく、70mm未満の位置でI(X)を求めれば、通電点Bを流れる電流が分かる。通電点AおよびBを流れる合計の電流から、通電点Bを流れる電流を引くと、通電点Aに流れる電流が求められる。
基準点を接地点にとり、基準点の電位を0Vとした。基準点に対する給電点の電位(Vsp)、通電点Aの電位(V(20,70,10))、通電点Bの電位(V(70,20,10))を、それぞれ1.0×10-4V、0.60×10-4V、0.50×10-4Vと設定した。測定された金属板裏面の電位分布を図6に示す。なお、図6に示す電位分布は、基準点に対する分布であるが、裏面の任意の点を基準として測定しても構わない。金属板裏面と設置点との電位差が大きい場合、裏面内の点を基準点とした方が、精度よく電位分布を測定できる。この電位分布から上述の(1)式によって求めたI(x,y,0)の分布を図7に示す。
図7に示されるように、(x,y)座標が、(20,70)、(70,20)で、I(x,y,0)が正の極値となっており、通電点A、Bの(x,y)座標と対応していることが分かる。つまり、通電点の(x,y,z)座標が、(20,70,10)、(70,20,10)であることが、金属板1の裏面の電位分布の測定結果から分かる。なお、(x,y)座標が(5,50)で、I(x,y,0)が負の極値となっているのは、給電点の影響である。また、このとき測定された通電点A、Bの裏面の電位、すなわち極値点の電位V(20,70,0)、V(70,20,0)は、それぞれ0.697×10-4V、0.672×10-4Vである。rが1に近ければ、計算結果と測定値とが近似していることになるので、ここでは、(2)式のrの許容範囲を0.98以上1.02以下として、2つの極値点のrがどちらも許容範囲を満たす場合の金属板1の表面の電位分布を推定する。
[推定−1回目]
上記のとおり通電点の位置が確認できたので、次に通電点の電位を設定する。まず、通電点A、Bの基準点に対する電位(Vcal(20,70,10),Vcal(70,20,10))を0Vとし、前記通電点A、Bの電位と給電点の電位(Vsp)1.0×10-4Vを境界条件として、数値計算により鋼板の表面および裏面の電位分布を求め、金属板1の裏面の極値点の電位を求める。図8に、前記数値計算により求めた金属板1の裏面の電位分布を示す。前記数値計算により求めた極値点の電位Vcal(20,70,0)、Vcal(70,20,0)は、それぞれ0.319×10-4V、0.286×10-4Vとなった。このとき、測定により求めた極値点の電位に対する、前記数値計算により求めた極値点の電位の比rは、それぞれ下記のように求められる。
上記の比rは、どちらも許容範囲(0.98以上1.02以下)内とならなかったため、上述した(3)式及び(4)式によって、境界条件である通電点A、Bの電位を補正する。
[推定−2回目]
補正する通電点A、Bの電位を以下に示す。
上記補正された通電点A、Bの電位(0.56×10-4V、0.54×10-4V)と給電点の電位(Vsp)1.0×10-4Vを境界条件として、数値計算により求めた金属板1の裏面の電位分布を図9に示す。この数値計算により求められた極値点の電位は、それぞれ0.687×10-4V、0.670×10-4Vとなり、このとき、測定により求められた極値点の電位に対する、前記数値計算により求められた極値点の電位の比rは、それぞれ下記に示すとおりとなり、どちらのrも許容範囲(0.98以上1.02以下)内となった。
rが許容範囲内となっても、さらに補正を繰り返すことで、電位分布の精度をより高くすることができる。そこで、さらに3回補正を繰り返し、上記の2回の推定結果も含め、合計5回の推定を行った結果を表1に示す。
表1中の初期値は、通電点A、Bの電位は設定値、極値点A、Bの電位および通電点A、Bの電流は測定値、である。
表1から分かるように、本発明を適用することで、外部の環境に電流が流れ出す鋼板表面の電位分布を精度よく推定でき、通電点の電位、通電点から流れ出る電流をより精度よく推定できる。さらに、境界条件を補正した数値計算による推定を繰り返すことで、これらの推定値を測定値により近づけることも可能である。
今回は、通電点の電位をあらかじめ設定して本発明の効果を確認したが、実際には通電点の電位を知ることは困難である。しかし、本発明によれば、極値点の電位を計算で初期値(測定値)に近づけることによって、通電点の電位をより正確に知ることができる。
また、前記したように、鋼板表面の電位から、鋼板表面から外部環境に流れ出す電流の大きさを推定することも可能である。基本的には、電位分布から電流値を求めることが可能であるが、測定環境に応じて適切な補正項を設けることで、より正確に鋼板表面から外部環境に流れ出す電流を推定することができる。
本発明では、金属板の裏面に導線をはんだ付けしたが、実際に電位分布を推定する場合は、はんだ付けをすることが困難な場合が想定される。そのような場合は、あらかじめ複数の導線を有する測定治具を用意し、その治具を適宜金属板裏面に密着させて裏面の電位を測定し、電位分布を求めても良い。

Claims (9)

  1. 金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する方法であって、
    前記裏面の電位分布を測定により求め、
    前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点の位置と前記表面の通電点の位置を決定し、
    前記通電点の電位と金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求め、
    前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、
    前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、
    前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定する、電位分布の推定方法。
  2. 前記測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、
    当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、請求項1に記載の電位分布の推定方法。
  3. 前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、
    前記境界条件とした通電点の電位を補正し、
    境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板の電位分布を求める、請求項1または2に記載の電位分布の推定方法。
  4. 金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する方法であって、
    前記裏面の電位分布を測定により求めるステップ1と、
    前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点の位置と前記表面の通電点の位置を決定するステップ2と、
    前記通電点の電位と前記金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求めるステップ3と、
    前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、
    前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、
    前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定するステップ4とを有する、電位分布の推定方法。
  5. 前記ステップ2で、測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、
    当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、請求項4に記載の電位分布の推定方法。
  6. 前記ステップ4で、前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、
    前記境界条件とした通電点の電位を補正し、
    境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、前記ステップ3と、前記ステップ4を繰り返す、請求項4または5に記載の電位分布の推定方法。
  7. 金属板の、外部の環境に電流が流れ出す面を表面、その反対の面を裏面としたとき、前記表面の電位分布を推定する電位分布の推定装置であって、
    前記裏面の電位分布を測定する電圧計と、
    前記測定により求めた裏面の電位分布から、前記裏面の極値点と前記表面の通電点の位置を決定し、
    前記通電点の電位と金属板に設けた給電点の電位を境界条件として、数値計算により求めた金属板の電位分布から、前記表面と前記裏面の電位分布を求め、
    前記数値計算により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位と、前記測定により求めた前記裏面の電位分布における極値点の電位との対比を行って、
    前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内である場合に、
    前記数値計算による前記表面の電位分布を、金属板表面の電位分布と推定する演算器とを具備する、電位分布の推定装置。
  8. 前記演算器が、前記測定により求めた裏面の電位分布から通電点の位置を決定するために、
    当該裏面の電位分布から下記(1)式によりI(x,y,0)の分布を求め、前記I(x,y,0)が極値となる位置を極値点とし、該極値点に対応する金属板表面の位置を通電点とする、請求項7に記載の電位分布の推定装置。
  9. 前記測定による極値点の電位に対する、前記数値計算による極値点の電位の比が許容範囲内にはない場合には、
    前記演算器が、前記境界条件とした通電点の電位を補正し、
    境界条件とした通電点の電位に代えて、当該補正後の通電点の電位を境界条件として、数値計算により金属板の電位分布を求める、請求項7または8に記載の電位分布の推定装置。
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