JP6578931B2 - リング形焼結磁石製造方法及びリング形焼結磁石製造用モールド - Google Patents

リング形焼結磁石製造方法及びリング形焼結磁石製造用モールド Download PDF

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Description

本発明は、モータ等に用いられるリング形焼結磁石を製造する方法、及び該方法で用いられるモールドに関する。
リング形焼結磁石は、円板状あるいは円柱状の焼結磁石に同心の穴が設けられたものである。モータに用いられるリング形焼結磁石は、磁極がリングの外側と内側で異なり且つ周方向には所定の角度毎に反転するように着磁される。また、用途によっては、リングの外側と内側で異なり周方向には同じ磁極となるように着磁したり、円板あるいは円柱で対向する2つの円形の平面が異なる磁極となるように着磁することもある。
特許文献1には、リング形焼結磁石の製造方法として、円柱状のキャビティを有するモールドの該キャビティの中心に円柱状の中子を配置した状態で該キャビティに焼結磁石の原料粉末を供給した(原料粉末供給工程)後、該原料粉末に磁界を印加することで配向し(配向工程)、中子を抜いた後に原料粉末を所定の焼結温度に加熱して焼結する(焼結工程)ことが記載されている。配向工程と焼結工程の間で中子を抜く理由は、焼結の際に生じる焼結収縮を中子が妨げ、焼結磁石に割れやひびが生じるためである。配向工程の後では原料粉末の粒子の方向が揃うことで粒子同士が磁気的に引きつけ合うため、中子を抜いた際に、原料粉末全体のリング形状はそのまま維持される。
焼結の際には通常、原料粉末に対して圧縮成形を行うが、上述の特許文献1の焼結磁石製造方法では焼結工程まで粉末に対して圧縮を行わない。このような圧縮を行わない焼結磁石の製造方法をPLP(press-less process)法と呼ぶ。PLP法により、圧縮のためのプレス機を用いる必要がないため無酸素雰囲気下で作業を行うことが容易になり、原料粉末の酸化の恐れがないため、原料粉末を微細に(粒径を小さく)することができる。原料粉末の粒径を小さくすることにより、得られる焼結磁石における結晶粒の平均粒径も小さくなり、それによって焼結磁石の保磁力を高くすることができる。
特開2007-134353号公報
PLP法では通常、配向工程及び焼結工程を効率的に行うために、多数のモールドにそれぞれ原料粉末を充填した後、それらモールドを台の上に積み重ねたり外容器に収容することでまとめたうえで、コイル内に収容して配向工程を行い、その後それらモールドをまとめた状態のままで焼結炉に収容して焼結工程を行う。そのため、中子を用いてリング形焼結磁石を製造しようとすると、配向工程と焼結工程の間に各モールドから中子を抜くために、配向工程後に各モールドを台上から降ろしたり外容器から取り出したうえで、各モールドについて中子を抜く作業を行わなければならない。また、その後再度それら多数のモールドを台上に積み重ねたり外容器に収容する作業を行わなければならない。これらは手間と時間を要する作業であり、リング形焼結磁石の製造コストを上昇させる。
本発明が解決しようとする課題は、手間と時間を要することなく、PLP法を用いてリング形焼結磁石を製造する方法、及び該方法で用いるモールドを提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係るリング形焼結磁石製造方法は、
a) 上部に開口を有するキャビティを備える本体と、前記キャビティの底面中央に載置される中子と、前記本体の上面に装着される蓋であって、該装着時に前記キャビティの底面中央に載置される前記中子に対応する位置に設けられ該中子の全体を収容可能な空洞を有する蓋とを有するモールドの、該キャビティの底面中央に載置された該中子の周囲の空間に、該中子の高さよりも低い高さまで充填された原料粉末により形成される原料粉末層を用意する原料粉末層形成工程と、
b) 前記キャビティの前記開口に前記蓋を、前記中子の前記原料粉末層からの突出部が前記空洞に収容されるように、且つ、下面が前記原料粉末層の表面に接するように、被せる開口閉鎖工程と、
c) 前記キャビティ内の原料粉末に磁界を印加することにより該原料粉末を配向する配向工程と、
d) 前記蓋が前記本体の下側になるように前記モールドの上下を反転することにより、前記中子の全体を前記空洞に収容するモールド反転工程と、
e) 前記キャビティ内の原料粉末を所定の焼結温度に加熱することにより該原料粉末を焼結する焼結工程と
をこの順で行うことを特徴とする。
本発明に係るリング形焼結磁石製造方法では、モールド反転工程で蓋が下側になるようにモールドの上下を反転することにより、中子が前記空洞に落下してキャビティから除去される。その際、モールド反転工程の前に行う配向工程によって原料粉末の粒子の方向が揃うことで粒子同士が磁気的に引きつけ合うため、中子がキャビティから除去されても、原料粉末全体のリング形状が維持される。
本発明に係るリング形焼結磁石製造方法によれば、モールド反転工程ではモールドの上下を反転するだけでよいため、複数のモールドを台上に積み重ねたり外容器に収容した場合であっても、それら複数のモールドに対して1個ずつ操作をする必要がなく、一挙に行うことができる。従って、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法は、特にこのような場合に中子除去の手間と時間を低減することができ、コストを下げることができる。
原料粉末層形成工程において、前記原料粉末層は以下の2つの方法のいずれかにより形成することができる。
第1の方法では、前記中子を前記キャビティの底面中央に配置した後に、該中子の周囲の空間に原料粉末を充填する。
第2の方法では、前記中子とは異なり前記キャビティの前記底面中央に配置した状態で該キャビティ内にある部分が前記中子と同形状である第2中子を該底面中央に配置し、該第2中子の周囲に原料粉末を充填し、前記原料粉末層の形態安定化処理を行った後、該第2中子を除去したうえで、前記中子を前記キャビティの底面中央に配置する。ここで形態安定化処理は、例えば、後述のように第2中子の周囲に充填された原料粉末をパンチ等によりキャビティ内に押し込むことで、原料粉末層がある程度それ自身で形状を保持できる程度に固めることにより行うことができる。
前記第2の方法は、以下に述べる粉末供給治具を用いて好適に実施することができる。当該粉末供給治具は、前記モールドの上に固定可能な上板と、該上板の該固定された状態において前記キャビティの前記開口に対応する位置に設けられた粉末供給口と、該上板の該固定された状態において前記キャビティ内で前記中子と同形状を有する前記第2中子と、該粉末供給口の外縁と該第2中子を接続する接続部とを有する。
この粉末供給治具は、モールドの上に固定した状態で粉末供給口から、第2中子の周囲の前記キャビティ内に原料粉末を供給する、という方法で使用する。その際、原料粉末をキャビティの開口よりも上側である上板のところまで供給したうえで、粉末供給口と同形状のパンチで原料粉末を押し込むことにより、前記形態安定化処理が行われる。この粉末供給治具を用いることにより、モールドに対する第2中子の位置を固定することができる。
原料粉末には、希土類元素R、鉄Fe及び硼素Bから成るR2Fe14Bを主相とするRFeB系合金の粉末や、希土類元素R及びコバルトCoから成るRCo5やR2Co17を主相とするRCo系合金の粉末等、従来の焼結磁石の原料粉末と同じものを用いることができる。焼結工程における焼結温度は、従来のPLP法の場合と同様の温度でよく、例えばRFeB系焼結磁石の場合では通常、800〜1100℃である。
本発明に係るリング形焼結磁石製造方法において、前記中子は前記キャビティの底面側に向かって断面積が小さくなるテーパ状の形状を有することが望ましい。これにより、モールド反転工程又は焼結工程において中子が蓋の空洞に落下し易くなる。
本発明に係るリング形焼結磁石製造方法において、前記中子は前記キャビティの底面側の端部に凹部を備えることができる。これにより、中子が蓋の空洞に落下した後、余分な合金粉末を凹部で受け、当該余分な合金粉末が焼結磁石のリングの穴の部分に残ることを防止することができる。
前記本体、前記蓋及び前記中子にはいずれも、所望の形状への機械加工が容易であって製造し易く、且つ焼結工程時に原料粉末との焼き付きが生じ難いという点で、カーボン材料製のものを好適に用いることができる。カーボン材料としては、炭素質押出材、黒鉛質押出材、黒鉛質型押材、等方性黒鉛材、炭素繊維強化炭素複合材(C/Cコンポジット)等を用いることができる。
また、原料粉末層形成工程において、前記中子の周囲の前記開口に対応する形状を有するパンチで前記原料粉末を前記キャビティの底面側に押し込むことが望ましい。これにより、原料粉末の充填密度を高くすることができると共に、前記第2の方法における形態安定化処理を行うことができる。このパンチには、機械加工が容易であって製造し易いという点で、モールドと同様のカーボン材料製のものを好適に用いることができる。
本発明に係るリング形焼結磁石製造用モールドは、
上部に開口を有するキャビティを備える本体と、
前記キャビティの底面中央に載置される中子と、
前記本体の上面に装着される蓋であって、該装着時に前記キャビティの底面中央に載置される前記中子に対応する位置に設けられ、該装着された状態で上下を反転したときに該中子の全体を収容可能な空洞を有する蓋と
を備えることを特徴とする。
本発明に係るリング形焼結磁石製造方法及びリング形焼結磁石製造用モールドにより、手間と時間を要することなく、PLP法を用いてリング形焼結磁石を製造することができる。
本発明に係るリング形焼結磁石製造用モールドの一実施例における、本体の上面図(a-1)及びA-A'縦断面図(a-2)、蓋の上面図(b-1)及びB-B'縦断面図(b-2)、並びに中子の上面図(c-1)及び側面図(c-2)。 本実施例のリング形焼結磁石製造用モールドの本体のキャビティに中子を配置して蓋を装着し、蓋を上側としたとき(a)及び蓋を下側としたとき(b)の状態を示す縦断面図。 本実施例のリング形焼結磁石製造用モールドを用いた、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法の第1実施例を示す図。 第1実施例の配向工程以降において、複数のリング形焼結磁石製造用モールドを台上にまとめた状態であって、蓋を上側としたとき(a)及び蓋を下側としたとき(b)の状態を示す縦断面図。 本発明に係る粉末供給治具の一実施例を示す上面図(a)及びC-C'縦断面図(b)、並びに該粉末供給治具を本実施例のリング形焼結磁石製造用モールドの本体に装着した状態を示すC-C'縦断面図(c)。 本実施例のリング形焼結磁石製造用モールドの本体に粉末供給治具を装着した状態で用いるパンチを示す下面図(a)、側面図(b)及びD-D'縦断面図(c)、並びに該パンチを用いて原料粉末をキャビティに押し込む状態を示す縦断面図(d)。 本実施例のリング形焼結磁石製造用モールド及び粉末供給治具を用いた、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法の第2実施例を示す図。 本実施例のリング形焼結磁石製造方法及びリング形焼結磁石製造用モールドを用いて製造したリング形焼結磁石の写真。
図1〜図8を用いて、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法及びリング形焼結磁石製造用モールドの実施例を説明する。
図1に、本発明に係るリング形焼結磁石製造用モールドの一例を示す。このリング形焼結磁石製造用モールド10(以下、「モールド10」と略記する)は、本体11と、蓋12と、中子13を有する。これら本体11、蓋12、及び中子13はいずれもカーボン材料(等方性黒鉛材)から成り、それぞれ以下の構成を有する。
本体11は、板状の本体基材110を有し、該本体基材110の上面を開口として、径がφ1であって厚みt1が本体基材110よりも薄い円板(円柱)状のキャビティ111を2個有する。キャビティ111の個数は2個には限らず、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、本体基材110の上面には、後述のように蓋12に設けられた突起122と嵌合する孔112が2個設けられている。孔112(及び突起122)は、後述のように本体11に対する蓋12の位置を固定するために、最低2個あればよく、3個以上であってもよい。
蓋12は、板状の蓋基材120を有し、該蓋基材120を貫通するように、径がφ1よりも小さいφ2である円柱形の空洞121を2個有する。蓋基材120及び空洞121は厚みt2を有し、この厚みはキャビティ111の厚みt1よりも厚い。また、蓋基材120の一方の面には、本体11の孔112と嵌合する突起122が設けられている。空洞121はキャビティ111と同数設け、突起122は孔112と同数とする。空洞121は、孔112と突起122を嵌合させるように蓋12を本体11に取り付けたときに、キャビティ111の平面形状の中央に配置されるように、蓋基材120に形成されている。なお、本実施例では蓋基材120を貫通するように空洞121を設けたが、中子13の全体を収容することができるのであれば、空洞121が蓋基材120を貫通する必要はない。
中子13は、キャビティ111よりも厚く、空洞121の高さよりも薄い厚みt3を有する。中子13のうち、キャビティ111の底面に載置したときにキャビティ111の開口から上方に突出する部分は円柱状の形状を有し、それよりもキャビティ111の底面側では該底面に向かって断面積が小さくなるテーパ状の形状を有する。以下、キャビティ111の開口から上方に突出する円柱形の部分を突出部131と呼び、テーパ状の部分をテーパ部132と呼ぶ。突出部131の径(すなわち、中子13全体の最大径)φ3は空洞121の径φ2よりも僅かに(本実施例では0.2mm。通常、0.1〜0.3mm程度。)小さい。このように、中子13の厚みt3及び最大径φ3がいずれも空洞121よりも小さいため、空洞121は中子13の全体を収容することが可能である。キャビティ111の底面側となる端部13Aは、径がφ4(<φ3)であり、該端部13Aを上側(蓋12を下側)としたときに余分な原料粉末が落下して貯留されるよう、凹部133が設けられている。
上記径φ1〜φ4及び厚みt1〜t3の値は、本実施例ではφ1=39.9mm、φ2=27.3mm、φ3=27.1mm、φ4=22.5mm、t1=4.5mm、t2=4.6mm、t3=6.6mmとした。凹部133は径22.2mm、深さ1mmとした。これらの数値はあくまでも一例であり、作製するリング形焼結磁石に応じて適宜変更可能である。
図2に、本体11のキャビティ111内に中子13を配置したうえで、本体11に蓋12を装着した状態を示す。同図の(a)は本体11を下側、蓋12を上側とした状態を示し、(b)は本体11を上側、蓋12を下側とした状態を示している。(a)では、中子13はキャビティ111の底面に載置され、テーパ部132がキャビティ111内にあり、突出部131が蓋12の空洞121内にある。この状態から上下を反転して(b)の状態にすると、中子13が落下して該中子13の全体が空洞121に収容される。
次に、図3を参照しつつ、上記実施例のモールド10を用いた本発明に係るリング形焼結磁石製造方法の第1実施例を説明する。
まず、本体11のキャビティ111の底面中央に中子13を載置する(a)。次に、本体11の上面に治具21を載置する(b)。この治具21は、本体11のキャビティ111と同じ円形の孔が空けられた、中子13の突出部131と同程度の厚みを有する板状の部材である。なお、この治具21には、前述の第2中子は設けられていない。これにより、治具21及び中子13の突出部131によって、リング状の開口が形成される。この開口から、原料粉末Pをキャビティ111内の中子13以外の部分、及びその上の治具21の孔内の中子13以外の部分に供給する(c)。そして、この開口と同じ平面形状を有するパンチ22を該開口から治具21の孔内に挿入することにより、該孔内の原料粉末Pをキャビティ111内に押し込む(d)。なお、パンチ22から原料粉末Pに付与される圧力は、プレス機を用いて原料粉末の圧縮成形を行う場合の圧力よりも十分に小さくする。これにより、キャビティ111内に押し込まれた原料粉末の密度を、自然充填の場合(例えばRFeB系の原料粉末であれば約1.8g/cm3)よりも高く、圧縮成形を行った場合よりも低い値(同・3.2〜3.8g/cm3)とする。その後、治具21及びパンチ22を除去する(e)。以上の操作により、キャビティ111内に中子13が配置され、該中子13以外の部分が原料粉末Pで満たされた原料粉末層が形成される(原料粉末層形成工程)。
次に、本体11のキャビティ111内の中子13と蓋12の空洞121の位置を合わせて、本体11の上に蓋12を装着する(f)。これにより、中子13の突出部131が蓋12の空洞121内に収容されると共に、キャビティ111の開口が閉鎖される(開口閉鎖工程)。
次に、キャビティ111内の原料粉末Pに磁界を印加することにより、原料粉末Pを配向する((g)、配向工程)。
次に、蓋12が下側になるように、モールド10の上下を反転する(h)。これにより、本体11のキャビティ111内の中子13は、重力によってその全体が空洞121内に落下するため、キャビティ111内には原料粉末Pのみが残る。その際、先の配向工程によって原料粉末Pの粒子の方向が揃っているため、粒子同士が磁気的に引きつけ合い、中子13が無くとも原料粉末P全体でリング状の形状が維持される。また、中子13は本体11側に向かって断面積が小さくなるテーパ部132を有するため、原料粉末Pとの動摩擦力を生じることなくスムーズに落下する。なお、原料粉末Pとの静止摩擦力により、反転時には中子13が落下しないこともあるが、その場合にも、次の焼結工程における昇温中に、原料粉末Pと中子13との静止摩擦力が低下することにより、中子13が落下する。
次に、キャビティ111内の原料粉末Pを所定の焼結温度に加熱することにより、原料粉末Pを焼結する(i)。その後、キャビティ111から焼結体を取り出して、焼結温度よりも低い所定温度で加熱する時効処理等の後処理を行うことにより、焼結磁石が得られる。なお、焼結工程における昇温により強磁性が消失するため、実際に焼結磁石として使用する際には、焼結磁石に磁界を印加して着磁する。
上記リング形焼結磁石製造方法の第1実施例の説明では1個のモールド10にのみ着目して説明したが、開口閉鎖工程の後に、図4(a)に示すように多数のモールド10を本体載置台31上に積み重ね、配向工程以降ではこれら多数のモールド10をまとめて取り扱ってもよい。この場合、一番上のモールド10の蓋12の上には蓋載置台32を載置しておき、モールド反転工程の後には蓋載置台32で多数のモールド10を保持するようにするとよい(図4(b))。これら本体載置台31及び蓋載置台32の代わりに、多数のモールド10の全体を外容器に収容するようにしてもよい。
次に、図5を参照しつつ、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法の第2実施例(後述)で用いる粉末供給治具40を説明する。粉末供給治具40は、上板41と、モールド10の2個のキャビティ111に対応して設けられた2個の粉末供給口42と、粉末供給口42の中央に配置された第2中子43と、粉末供給口42の外縁と第2中子43を接続する接続部44を有する。第2中子43は、前記中子13と同様の突出部431及びテーパ部432を有する。上板41の下面には、モールド10の本体11と同じ平面形状を有する凹部であるモールド本体固定部45が設けられている。接続部44は、上板41に垂直に設けられた薄板状の部材から成り、1組の粉末供給口42及び第2中子43に対して2個設けられている。上板41、第2中子43及び接続部44はSUS製である。
粉末供給治具40は、モールド本体固定部45にモールド10の本体11を嵌めることにより、該本体11に固定することができる(図5(c))。モールド本体固定部45に本体11を嵌めたときに、粉末供給口42がキャビティ111の直上に配置され、第2中子43がキャビティ111内に配置されるように、これら粉末供給口42及び第2中子43の位置が定められている。
図6(a)〜(c)に、リング形焼結磁石製造方法の第2実施例で用いるパンチ51を示す。パンチ51は、粉末供給口42の形状と同じ断面形状を有する。粉末供給治具40の接続部44に対応する位置には、切り込み511が設けられている。なお、図6(b)は、(a)に矢印Bで示した方向から見た側面図、(c)は、(a)に一点鎖線で示した断面D-D'の図である。パンチ51は、図6(d)に示すように、モールド10の本体11に粉末供給治具40を固定した状態で、切り込み511の位置を粉末供給治具40の接続部44に合わせることで、粉末供給口42に挿入可能である。
図7を参照しつつ、本発明に係るリング形焼結磁石製造方法の第2実施例を説明する。まず、モールド10の本体11の上に粉末供給治具40を装着することにより、第2中子43をキャビティ111の底面中央に配置する(a)。次に、粉末供給治具40の粉末供給口42から、キャビティ111内の第2中子43の周囲及び該粉末供給口42内に原料粉末Pを供給する(b)。そして、パンチ51を粉末供給口42から挿入することにより、粉末供給口42内の原料粉末Pをキャビティ111内に押し込むことにより、原料粉末層を形成すると共に当該原料粉末層の形態を安定化させる(形態安定化処理、(c)、図6(d))。
その後、粉末供給治具40を本体11から外すことにより、第2中子43をキャビティ111内から除去する(d)。その際、先に形態安定化処理を行っていることから、第2中子43が無くとも原料粉末層のリング形状が維持される。続いて、第2中子43を除去したところに中子13を配置する(e)。これにより、原料粉末層形成工程が完了する。その後の開口閉鎖工程(f)、配向工程(g)、モールド反転工程(h)、及び焼結工程(i)は第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
図8に、第2実施例の方法で製造されたRFeB系焼結磁石の一例の写真を示す。リング形状の焼結磁石が得られていることがわかる。
本発明は上記実施例には限定されない。
例えば、上記実施例では、中子11の突出部131以外の部分の形状をテーパ状としたが、中子11全体を円柱状としてもよい。あるいは、中子11全体を円柱以外の三角柱、四角柱、六角柱等の形状としてもよく、それらの形状を用いる場合に突出部131以外の部分の形状をテーパ状としてもよい。さらには、キャビティ111の形状を円柱以外の三角柱、四角柱、六角柱等の形状としてもよい。
10…リング形焼結磁石製造用モールド
11…本体
110…本体基材
111…キャビティ
112…孔
12…蓋
120…蓋基材
121…空洞
122…突起
13…中子
131…突出部
132…テーパ部
133…凹部
13A…中子の端部
21…治具
22、51…パンチ
31…本体載置台
32…蓋載置台
40…粉末供給治具
41…上板
42…粉末供給口
43…第2中子
431…第2中子の突出部
432…第2中子のテーパ部
44…第2中子の接続部
45…凹部
511…切り込み

Claims (12)

  1. a) 上部に開口を有するキャビティを備える本体と、前記キャビティの底面中央に載置される中子と、前記本体の上面に装着される蓋であって、該装着時に前記キャビティの底面中央に載置される前記中子に対応する位置に設けられ該中子の全体を収容可能な空洞を有する蓋とを有するモールドの、該キャビティの底面中央に載置された該中子の周囲の空間に、該中子の高さよりも低い高さまで充填された原料粉末により形成される原料粉末層を用意する原料粉末層形成工程と、
    b) 前記キャビティの前記開口に前記蓋を、前記中子の前記原料粉末層からの突出部が前記空洞に収容されるように、且つ、下面が前記原料粉末層の表面に接するように、被せる開口閉鎖工程と、
    c) 前記キャビティ内の原料粉末に磁界を印加することにより該原料粉末を配向する配向工程と、
    d) 前記蓋が前記本体の下側になるように前記モールドの上下を反転することにより、前記中子の全体を前記空洞に収容するモールド反転工程と、
    e) 前記キャビティ内の原料粉末を所定の焼結温度に加熱することにより該原料粉末を焼結する焼結工程と
    をこの順で行うことを特徴とするリング形焼結磁石製造方法。
  2. 前記原料粉末層形成工程において、前記中子を前記キャビティの底面中央に配置した後に、該中子の周囲の空間に原料粉末を充填することを特徴とする請求項1に記載のリング形焼結磁石製造方法。
  3. 前記原料粉末層形成工程において、前記中子とは異なり前記キャビティの前記底面中央に配置した状態で該キャビティ内にある部分が前記中子と同形状である第2中子を該底面中央に配置し、該第2中子の周囲に原料粉末を充填し、前記原料粉末層の形態安定化処理を行った後、該第2中子を除去したうえで、前記中子を前記キャビティの底面中央に配置することを特徴とする請求項1に記載のリング形焼結磁石製造方法。
  4. 前記原料粉末層形成工程において、前記モールドの上に固定可能な上板と、該上板の該固定された状態において前記キャビティの前記開口に対応する位置に設けられた粉末供給口と、該上板の該固定された状態において前記キャビティ内で前記中子と同形状を有する前記第2中子と、該粉末供給口の外縁と該第2中子を接続する接続部とを有する粉末供給治具を前記モールドの上に固定した状態で、前記粉末供給口から、前記第2中子の周囲の前記キャビティ内に原料粉末を供給することを特徴とする請求項3に記載のリング形焼結磁石製造方法。
  5. 前記中子が、前記キャビティの底面側に向かって断面積が小さくなるテーパ状の形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリング形焼結磁石製造方法。
  6. 前記中子が前記キャビティの底面側の端部に凹部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリング形焼結磁石製造方法。
  7. 前記原料粉末層形成工程において、前記中子の周囲の前記開口に対応する形状を有するパンチで前記原料粉末を前記キャビティの底面側に押し込むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリング形焼結磁石製造方法。
  8. 前記パンチがカーボン製であることを特徴とする請求項7に記載のリング形焼結磁石製造方法。
  9. 上部に開口を有するキャビティを備える本体と、
    前記キャビティの底面中央に載置される中子と、
    前記本体の上面に装着される蓋であって、該装着時に前記キャビティの底面中央に載置される前記中子に対応する位置に設けられ、該装着された状態で上下を反転したときに該中子の全体を収容可能な空洞を有する蓋と
    を備えることを特徴とするリング形焼結磁石製造用モールド。
  10. 前記中子が、前記キャビティの底面中央に載置されるときに前記キャビティの底面側となる側に向かって断面積が小さくなるテーパ状の形状を有することを特徴とする請求項9に記載のリング形焼結磁石製造用モールド。
  11. 前記中子が前記キャビティの底面中央に載置されるときに前記キャビティの底面側となる端部に凹部を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載のリング形焼結磁石製造用モールド。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載のリング形焼結磁石製造用モールドの前記キャビティに焼結磁石の原料粉末を供給する際に用いる治具であって、
    前記モールドの上に固定可能な上板と、
    前記上板の前記固定された状態において前記キャビティの前記開口に対応する位置に設けられた粉末供給口と、
    前記上板の前記固定された状態において前記キャビティ内で前記中子と同形状を有する第2中子と、
    前記粉末供給口の外縁と前記第2中子を接続する接続部と
    を備えることを特徴とする粉末供給治具。
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