JP6578728B2 - 高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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C :0.12%超、0.20%未満、
Si:0.25%以上、0.50%以下、
Mn:0.50%以上、1.20%未満、
P :0.0005%以上、0.020%以下、
S :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、0.07%以下、
N :0.0005%以上、0.0060%以下、
Nb:0.01%以上、0.04%以下、
Ti:0.005%以上、0.030%以下、
B :0.0005%以上、0.002%以下、
Cu:0.10%以上、0.40%以下、
Ni:0.10%以上、0.40%以下、
Cr:0.60%超、1.20%以下、
Mo:0.10%以上、0.40%以下、かつ、
残部:鉄及び不可避的不純物からなり、
ミクロ組織が、面積率で50%以上の焼戻しマルテンサイトを含む組織とし、さらに、
下記(1)式、(2)式、及び、(3)式で定義する値が、それぞれ、
free−Ti:0.0001%以上、
Ceq:0.50%以上、0.60%未満、及び、
Pcm:0.25%以上、0.30%以下
であり、
(i-1)降伏強度が960MPa以上で、引張強度が980MPa以上であり、
(i-2)−40℃でのVノッチシャルピー吸収エネルギーが47J以上であり、かつ、
(i-3)板厚が3.5mm以上、10mm以下である
ことを特徴とする高強度熱延鋼板。
free−Ti=Ti−3.417×N ・・・(1)
Ti、及び、Nは、それぞれの元素の質量%
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14 ・・・(2)
C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれの元素の質量%
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20
+Mo/15+V/10+5B ・・・(3)
C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、及び、Bは、それぞれの元素の質量%
V :0.001%以上、0.10%以下、
Ca:0.0005%以上、0.0040%以下、
Mg:0.0005%以上、0.0040%以下、
REM:0.0005%以上、0.0040%以下
の1種又は2種以上を含有する
ことを特徴とする前記[1]に記載の高強度熱延鋼板。
(ii-1)前記[1]又は[2]に記載の成分組成のスラブを1160℃以上、1240℃未満に加熱し、
(ii-2)仕上げ圧延入側温度が950℃以上、1100℃未満、かつ、仕上げ圧延出側温度が880℃以上、940℃未満となる熱間圧延を行い、
(ii-3)熱延鋼板を、550℃以上、650℃未満で、コイル状に巻き取り、200℃以下まで冷却し、その後、
(ii-4)平板に成形し、所定の長さに切断し、次いで、
(ii-5)880℃以上、940℃未満に再加熱して焼入れし、
(ii-6)400℃以上、550℃未満で焼戻す
ことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
C :0.12%超、0.20%未満、
Si:0.25%以上、0.50%以下、
Mn:0.50%以上、1.20%未満、
P :0.0005%以上、0.020%以下、
S :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、0.07%以下、
N :0.0005%以上、0.0060%以下、
Nb:0.01%以上、0.04%以下、
Ti:0.005%以上、0.030%以下、
B :0.0005%以上、0.002%以下、
Cu:0.10%以上、0.40%以下、
Ni:0.10%以上、0.40%以下、
Cr:0.60%超、1.20%以下、
Mo:0.10%以上、0.40%以下、かつ、
残部:鉄及び不可避的不純物からなり、
ミクロ組織が、面積率で50%以上の焼戻しマルテンサイトを含む組織とし、さらに、
下記(1)式、(2)式、及び、(3)式で定義する値が、それぞれ、
free−Ti:0.0001%以上、
Ceq:0.50%以上、0.60%未満、及び、
Pcm:0.25%以上、0.30%以下
であり、
(i-1)降伏強度が960MPa以上で、引張強度が980MPa以上であり、
(i-2)−40℃でのVノッチシャルピー吸収エネルギーが47J以上であり、かつ、
(i-3)板厚が3.5mm以上、10mm以下である
ことを特徴とする高強度熱延鋼板。
free−Ti=Ti−3.417×N ・・・(1)
Ti、及び、Nは、それぞれの元素の質量%
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14 ・・・(2)
C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれの元素の質量%
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20
+Mo/15+V/10+5B ・・・(3)
C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、及び、Bは、それぞれの元素の質量%
V :0.001%以上、0.10%以下、
Ca:0.0005%以上、0.0040%以下、
Mg:0.0005%以上、0.0040%以下、
REM:0.0005%以上、0.0040%以下
の1種又は2種以上を含有する
ことを特徴とする。
(ii-1)本発明鋼板の成分組成のスラブを1160℃以上、1240℃未満に加熱し、
(ii-2)仕上げ圧延入側温度が950℃以上、1100℃未満、かつ、仕上げ圧延出側温度が880℃以上、940℃未満となる熱間圧延を行い、
(ii-3)熱延鋼板を、550℃以上、650℃未満で、コイル状に巻き取り、200℃以下まで冷却し、その後、
(ii-4)平板に成形し、所定の長さに切断し、次いで、
(ii-5)880℃以上、940℃未満に再加熱して焼入れし、
(ii-6)400℃以上、550℃未満で焼戻す
ことを特徴とする。
C:0.12%超、0.20%未満
Cは、鋼板の強度を確保する元素であり、焼入れ時の強度(硬さ)に最も寄与する元素である。0.12%以下では、所要の強度が得られないので、Cは0.12%超とする。好ましくは0.13%以上である。一方、0.20%以上では、強度が過大になるとともに延性が低下し、また、溶接性や靱性が劣化するので、Cは0.20%未満とする。好ましくは0.17%以下である。
Siは、脱酸材及び強化元素として、さらにアーク溶接時の溶接部形状改善に寄与する元素である。0.25%未満では添加効果が十分に発現しないので、Siは0.25%以上とする。好ましくは0.28%以上である。一方、0.50%を超えると、鋼板表面にSiスケール(欠陥)が多量に発生し、表面性状が低下するとともに、靱性が低下する懸念があるので、Siは0.50%以下とする。好ましくは0.45%以下である。
Mnは、主として焼入れ性を高めるとともに、鋼板強度を高める元素である。0.50%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Mnは0.50%以上とする。好ましくは0.70%以上である。一方、1.20%以上では、靱性及び溶接性が劣化するので、Mnは1.20%未満とする。好ましくは1.10%未満、より好ましくは1.0%未満である。
Pは、鋼板強度の向上に寄与する元素であるが、延性及び靱性を阻害する元素でもある。少ないほど好ましいが、0.0005%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、Pは0.0005%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。一方、0.020%を超えると、延性及び靱性が著しく低下するので、Pは0.020%以下とする。好ましくは0.010%以下である。
Sは、MnSを生成して、延性、溶接性、靱性を阻害する元素である。少ないほど好ましいが、0.0005%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、Sは0.0005%以上とする。好ましくは0.0007%以上である。一方、0.010%を超えると、延性、溶接性、及び、靱性が著しく低下するので、Sは0.010%以下とする。好ましくは0.004%以下である。
Alは、脱酸材として機能する元素である。0.01%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Alは0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上である。一方、0.07%を超えると、靱性と溶接性が低下するので、Alは0.07%以下とする。好ましくは0.04%以下である。
Nは、鋼中でBNを形成して固溶Bを低減し、焼入れ性を阻害する元素である。少ないほど好ましいが、0.0005%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、Nは0.0005%以上とする。好ましくは0.0010%以上である。一方、0.0060%を超えると、焼入れ性が劣化するので、Nは0.0060%以下とする。好ましくは0.0050%以下である。
Nbは、再結晶を抑制し、結晶粒粗大化を抑制する元素である。結晶粒の微細化は、降伏強度の向上及び靱性の向上に寄与する。0.01%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Nbは0.01%以上とする。好ましくは0.015%以上である。一方、0.04%を超えると、靱性及び延性が低下するうえ、スラブ加熱時に全量が溶体化しない懸念があるので、Nbは0.04%以下とする。好ましくは0.035%以下である。
Tiは、Nbと同様、再結晶を抑制し、結晶粒粗大化を抑制する元素である。また、高温でTiNを形成してNを固定し無害化し、BNの析出を抑制して固溶Bの確保に寄与する元素である。0.005%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Tiは0.005%以上とする。好ましくは0.010%以上である。一方、0.030%を超えると、靱性、溶接性、及び、延性が低下するので、Tiは0.030%以下とする。好ましくは0.025%以下である。
Bは、焼入れ性を著しく高める元素である。0.0005%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Bは0.0005%以上とする。好ましくは0.0007%以上である。一方、0.002%を超えると、添加効果が飽和し、また、靱性が低下するので、Bは0.002%以下とする。好ましくは0.0015%以下である。
Cuは、焼入れ性を高めて強度の向上に寄与する元素である。0.10%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Cuは0.10%以上とする。好ましくは0.20%以上である。一方、0.40%を超えると、靱性や溶接性が低下し、さらに、高温割れの懸念が高くなるので、Cuは0.40%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
Niは、焼入れ性を高め強度の向上に寄与するとともに、靱性の向上や、Cuによる粒界割れの抑制に寄与する元素である。0.10%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Niは0.10%以上とする。好ましくは0.20%以上である。一方、0.40%を超えると、高価な元素であることから鋼板価格が上昇するので、Niは0.40%以下とする。好ましくは0.35%以下である。
Crは、焼入れ性を高め強度の向上に寄与するとともに、Cu、Niとの複合添加で耐食性の向上に寄与する元素である。また、焼戻し時の軟化を遅滞する作用をなす元素でもある。0.60%以下では、添加効果が十分に発現しないので、0.60%超とする。好ましくは0.80%以上である。一方、1.20%を超えると、溶接性や靱性が低下するので、Crは1.20%以下とする。好ましくは1.10%以下である。
Moは、焼入れ性を高め強度の向上に寄与するとともに、焼戻し時の軟化を遅滞する作用をなす元素である。0.10%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Moは0.10%以上とする。好ましくは0.15%以上である。一方、0.40%を超えると、高価な元素であることから鋼板価格が上昇するので、0.40%以下とする。好ましくは0.35%以下である。
Vは、析出強化により強度の向上に寄与する元素である。0.001%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Vは0.001%以上とする。好ましくは0.003%以上である。一方、0.10%を超えると、溶接性及び靱性が低下するので、Vは0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。
Mg:0.0005%以上、0.0040%以下
REM:0.0005%以上、0.0040%以下
Ca、Mg、及び、REMは、非金属介在物を球状化して、靱性の向上及び延性の低下の抑制に寄与する元素である。Ca、Mg、及び、REMのいずれも、0.0005%未満では、添加効果が十分に発現しないので、いずれの元素も、0.0005%以上とする。好ましくは、いずれの元素も0.0008%以上である。
ミクロ組織は、焼戻しマルテンサイトを主組織とする。即ち、ミクロ組織は、面積率で50%以上の焼戻しマルテンサイトを含む組織とする。焼入れままのマルテンサイトが主組織であると、靱性に劣る懸念があり、また、ベイナイトやフェライトが主組織であると、強度が不足する懸念がある。それ故、ミクロ組織の主組織は、強度と靱性に優れる焼戻しマルテンサイトである必要がある。
free−Ti:0.0001%以上
下記(1)式で定義するfree−Tiは、所要の機械特性(降伏強度、引張強度、吸収エネルギー)を得るうえで重要な指標であり、0.0001%以上確保する必要がある。
free−Ti=Ti−3.417×N ・・・・・(1)
Ti、及び、Nは、それぞれの元素の質量%
下記(2)式で定義するCeqは、所要の機械特性(降伏強度、引張強度、吸収エネルギー)と、所要の靱性及び溶接性を両立させるために重要な指標であり、“0.50%以上、0.60%未満”とする必要がある。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14 ・・・(2)
C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれの元素の質量%
下記(3)式で定義するPcmは、Ceqと同じく、本発明鋼板において、所要の機械特性(降伏強度、引張強度、吸収エネルギー)と、靱性及び溶接性を両立させるために重要な指標であり、“0.25%以上、0.30%以下”とする必要がある。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20
+Mo/15+V/10+5B ・・・(3)
C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、及び、Bは、それぞれの元素の質量%
降伏強度(YP):960MPa
引張強度(TS):980MPa
降伏強度は960MPa以上とし、引張強度は980MPa以上とする。本発明鋼板では、上記成分組成と、後述する製造条件をともに満足することにより、降伏強度960MPa以上と引張強度980MPa以上を実現することができる。この強度レベルを確保することができれば、長尺化、大型化するクレーンのブームなどの、建設機械の部材に適した鋼板となり、部材板厚の薄肉化による軽量化や部材強度の向上による吊上げ運搬容量の拡大を図ることが可能となる。
−40℃でのVノッチシャルピー吸収エネルギーを47J以上とする。吸収エネルギーが大きいほど、脆性破壊に対する抵抗が高い。そして、脆性破壊が発生する否かの目安が、一般に、47Jである。鋼部材が47J以上の吸収エネルギーを備えていれば、鋼部材を使用する温度環境において、脆性破壊が発生し難い。
本発明鋼板の板厚は、3.5mm以上、10mm以下とする。板厚が3.5mm未満であると、建設機械の構造部材には不向きなので、板厚は3.5mm以上とする。一方、板厚が10mmを超えると、焼入れ・焼戻し効果が内部まで浸透しないので、板厚は10mm以下とする。
(ii-1)本発明鋼板の成分組成のスラブを1160℃以上、1240℃未満に加熱し、
(ii-2)仕上げ圧延入側温度が950℃以上、1100℃未満、かつ、仕上げ圧延出側温度が880℃以上、940℃未満となる熱間圧延を行い、
(ii-3)熱延鋼板を、550℃以上、650℃未満で、コイル状に巻き取り、200℃以下まで冷却し、その後、
(ii-4)平板に成形し、所定の長さに切断し、次いで、
(ii-5)880℃以上、940℃未満に再加熱して焼入れ、
(ii-6)400℃以上、550℃未満で焼戻す
ことを特徴とする。
スラブ加熱温度:1160℃以上、1240℃未満
本発明鋼板の成分組成の溶鋼を、常法により鋳造し、熱間圧延に供する鋼片(スラブ)とする。この鋼片は、鋼塊を鍛造又は圧延したものでもよいが、生産性の点から、連続鋳造で製造したものが好ましい。また、鋼片を薄スラブキャスターなどで製造したものでもよい。
1160℃以上、1240℃未満に加熱した鋼片(スラブ)を粗圧延後、仕上げ圧延に供する。その際、仕上げ圧延入側温度は、950℃以上、1100℃未満とする。仕上げ圧延入側温度は、後述する仕上げ圧延出側温度と同様に、低いほど、鋼板組織の結晶粒が微細になり、降伏強度や靱性の改善に効果があり、低いほど望ましいが、950℃未満であると、後述する仕上げ圧延出側温度が880℃未満となる懸念があるので、仕上げ圧延の入側温度は950℃以上とする。好ましくは960℃以上である。
仕上げ圧延出側温度は、仕上げ圧延入側温度と同様に、低いほど、鋼板組織の結晶粒が微細になり、降伏強度や靱性の改善に効果があり、低いほど望ましいが、仕上げ圧延出側温度が880℃未満であると、仕上げ圧延時の圧下荷重が上昇して、圧延機の圧下荷重上限に達することがあり、特に、広幅の鋼板の圧延で問題となるので、仕上げ圧延出側温度は880℃以上とする。
仕上げ圧延で圧延した、880℃以上、940℃未満の鋼板を、ランナウトテーブルで冷却し、550℃以上、650℃未満でコイル状に巻き取る。巻取温度が550℃未満では、鋼板の強度が高くなりすぎて、次工程のレベラーで平板に成形する工程で、圧下力が過大になって、成形できなくなるので、巻取温度は550℃以上とする。
コイル状に巻き取った鋼板を200℃以下まで冷却する。冷却温度が200℃を超えると、変態が十分に完了しない懸念があるので、鋼板を200℃以下に冷却し、変態を十分に完了させる。室温中に放置するなどの方法で200℃以下まで冷却する。好ましくは190℃以下に冷却する。冷却速度は特に限定されない。
200℃以下に冷却した鋼板を、レベラーに通板して、通常の条件で平板に成形し、所定の長さに切断する。次いで、切断した鋼板に対し熱処理(焼入れ、焼戻し)を施す。
切断した鋼板を880℃以上、940℃未満に再加熱して、焼入れを施す。再加熱温度が880℃未満では、鋼板組織がオーステナイトの単一組織とならないので、再加熱温度は880℃以上とする。
焼入れした鋼板を、400℃以上、550℃未満に再加熱して焼戻す。一般に、焼入れした鋼板を焼戻す場合、焼戻し温度の上昇とともに、降伏強度及び靱性が向上する。本発明鋼板においても同様で、400℃以上の焼戻しで、目的の降伏強度及び靱性を確保できるので、焼戻し温度は400℃以上とする。
表1に示す成分組成を有する鋼を溶製し、表2に示す条件で熱間圧延と熱処理を行った。熱処理後、熱延鋼板の機械特性及び靱性を測定した。表3に測定結果を示す。
Claims (3)
- 成分組成が、質量%で、
C :0.12%超、0.20%未満、
Si:0.25%以上、0.50%以下、
Mn:0.50%以上、1.20%未満、
P :0.0005%以上、0.020%以下、
S :0.0005%以上、0.010%以下、
Al:0.01%以上、0.07%以下、
N :0.0005%以上、0.0060%以下、
Nb:0.01%以上、0.04%以下、
Ti:0.005%以上、0.030%以下、
B :0.0005%以上、0.002%以下、
Cu:0.10%以上、0.40%以下、
Ni:0.10%以上、0.40%以下、
Cr:0.60%超、1.20%以下、
Mo:0.10%以上、0.40%以下を含み、
さらに
Mg:0.0005%以上、0.0040%以下、および
REM:0.0005%以上、0.0040%以下、
の1種又は2種を含み、かつ、
残部:鉄及び不可避的不純物からなり、
ミクロ組織が、面積率で50%以上の焼戻しマルテンサイトを含む組織とし、さらに、
下記(1)式、(2)式、及び、(3)式で定義する値が、それぞれ、
free−Ti:0.0001%以上、
Ceq:0.50%以上、0.60%未満、及び、
Pcm:0.25%以上、0.30%以下
であり、
(i-1)降伏強度が960MPa以上で、引張強度が980MPa以上であり、
(i-2)−40℃でのVノッチシャルピー吸収エネルギーが47J以上であり、かつ、
(i-3)板厚が3.5mm以上、10mm以下である
ことを特徴とする高強度熱延鋼板。
free−Ti=Ti−3.417×N ・・・(1)
Ti、及び、Nは、それぞれの元素の質量%
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5
+Mo/4+V/14 ・・・(2)
C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、及び、Vは、それぞれの元素の質量%
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20
+Mo/15+V/10+5B ・・・(3)
C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、及び、Bは、それぞれの元素の質量%
- 前記成分組成が、さらに、質量%で、
V :0.001%以上、0.10%以下、
Ca:0.0005%以上、0.0040%以下、
の1種又は2種を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
- 請求項1又は2に記載の高強度熱延鋼板を製造する製造方法であって、
(ii-1)請求項1又は2に記載の成分組成のスラブを1160℃以上、1240℃未満に加熱し、
(ii-2)仕上げ圧延入側温度が950℃以上、1100℃未満、かつ、仕上げ圧延出側温度が880℃以上、940℃未満となる熱間圧延を行い、
(ii-3)熱延鋼板を、550℃以上、650℃未満で、コイル状に巻き取り、200℃以下まで冷却し、その後、
(ii-4)平板に成形し、所定の長さに切断し、次いで、
(ii-5)880℃以上、940℃未満に再加熱して焼入れし、
(ii-6)400℃以上、550℃未満で焼戻す
ことを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
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