JP6576767B2 - 逆入力遮断装置 - Google Patents

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本発明は、入力軸に入力される動力を出力軸に伝達するとともに、出力軸から入力軸へ逆入力を遮断する逆入力遮断装置に関する。
従来には、逆入力を遮断する装置として、ウォームギアを利用した逆入力防止機構や、テーパ型摩擦部材とボールカム機構を用いた逆入力遮断装置がある。ボールカム機構を用いた逆入力遮断装置として、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。この逆入力遮断装置は、図11に示すように、入力軸1と、その入力軸に軸端面を対向して同軸上に配置された出力軸2と、静止部材3に形成された摩擦面3aとの間で円錐クラッチ4を形成する摩擦面5aが設けられたクラッチディスク5と、前記円錐クラッチ4が結合する方向にクラッチディスクを付勢する弾性部材8とを備えたものである。
そして、入力側トルクカム手段6にて、入力軸1とクラッチディスク5の相対回転によりクラッチディスク5を円錐クラッチ4が結合解除する方向に移動させ、出力側トルクカム手段7にて、クラッチディスク5と出力軸2の相対回転によりクラッチディスク5を円錐クラッチ4が結合する方向に移動させるものである。入力側トルクカム手段6は、円錐クラッチ4の結合解除状態で入力軸の回転トルクをクラッチディスク5に伝達し、出力側トルクカム手段7は、クラッチディスク5と出力軸2の対向面間に組込まれてクラッチディスク5と出力軸2の相互間で回転トルクを伝達する。
このように構成することによって、円錐クラッチ4の結合によって出力軸2から入力軸1への逆入力を遮断するようにしている。また、入力側トルクカム手段6及び出力側トルクカム手段7はボールカム機構を用い、弾性部材8は皿バネを使用している。
なお、クラッチディスク5や静止部材3はケーシング10に収納され、入力軸1及び出力軸2は、それぞれ、このケーシング10に軸受11,12を介して回転自在に支持されている。入力軸1にはその出力軸2側の端部に大径のフランジ部1aが設けられ、このフランジ部1aとクラッチディスク5との間に入力側トルクカム手段6が配置される。
出力軸2は、入力軸側の端部に雄スプライン13が設けられた軸本体2bと、内径面に雌スプライン14が設けられたフランジ部2aとを有し、フランジ部2aの雌スプライン14と、軸本体2bの雄スプライン13とが噛合されてなる。また、軸本体2bのフランジ部2aの近傍にはバネ部材受け用鍔部2cが設けられ、このバネ部材受け用鍔部2cに皿ばねからなる弾性部材8が受けられている。
特開2006−57804号公報
前記図11に示すような逆入力遮断装置では、入力軸1と出力軸2の位相差により発生するボールカム機構の推力を利用する。したがって、入力側からの入力トルクと出力側から入力されるトルクに大きな差がある場合には、クラッチディスク5の摩擦面5aは静止部材側の摩擦面3aとの間にクリアランスを保つことができ、入力トルクを効率的に出力軸へと伝達することができる。しかしながら、そのトルク差が小さくなってくると入出力側のボールカム推力差が減少し、摩擦部材(クラッチディスク5の摩擦面5a)は静止部材側の摩擦面3aとの間のクリアランスを保つことができなくなって、出力軸2への伝達効率が悪化する問題があった。
図12は、入力軸負荷トルクと軸方向推力との関係を示している。この場合、ボールカム推進力(入力側−出力側)と皿ばね荷重(弾性部材8の荷重)との交点よりも入力軸負荷トルクが小さい範囲が、摩擦部材接触領域(伝達効率悪化領域)となり、前記交点よりも入力軸負荷トルクが大きい範囲が、摩擦部材非接触領域となる。
本発明は、入力側からのトルクと出力側からのトルクの差が小さくなった場合でも摩擦部材と静止系との間のクリアランスを保つことができ、入力側からの伝達効率を向上することができる逆入力遮断装置を提供する。
本発明の逆入力遮断装置は、入力軸と、その入力軸に軸端面を対向して同軸上に配置された出力軸と、前記入力軸と出力軸の対向面間に配置されて軸方向に移動可能とされ、外周には静止部材に形成された円錐形の固定摩擦面との間で円錐クラッチを形成する円錐形の可動摩擦面が設けられたクラッチディスクと、前記円錐クラッチが結合する方向にクラッチディスクを付勢する弾性部材と、前記入力軸とクラッチディスクの対向面間に組込まれ、その入力軸とクラッチディスクの相対回転によりクラッチディスクを円錐クラッチが結合解除する方向に移動させると共に、円錐クラッチの結合解除状態で入力軸の回転トルクをクラッチディスクに伝達する入力側トルクカム手段と、前記クラッチディスクと出力軸の対向面間に組込まれてクラッチディスクと出力軸の相互間で回転トルクを伝達すると共に、クラッチディスクと出力軸の相対回転によりクラッチディスクを円錐クラッチが結合する方向に移動させる出力側トルクカム手段とから成り、前記円錐クラッチの結合によって出力軸から入力軸への逆入力を遮断するようにした逆入力遮断装置において、前記円錐クラッチの結合解除状態において、前記クラッチディスクを吸着して、静止部材側の固定摩擦面とクラッチディスクの可動摩擦面との間に隙間を確保するための吸着手段を備え、前記吸着手段が、クラッチディスクを回転可能に支持するスラスト軸受と、クラッチディスクを吸着するための磁石とからなるものである。
本発明によれば、円錐クラッチの結合解除状態において、吸着手段にて静止部材側の固定摩擦面とクラッチディスクの可動摩擦面との間に隙間を確保することができる。しかも、吸着手段は、スラスト軸受と磁石とで構成することができ、構成の簡略化を図るとともに、安定して隙間を確保することができる。
前記入力側トルクカム手段はボールカム機構又はフェースカム機構のいずれかの機構にて構成され、前記出力側トルクカム手段はボールカム機構又はフェースカム機構のいずれかの機構にて構成されている。
また、前記スラスト軸受をニードルベアリングや滑り軸受にて構成することができる。
前記円錐クラッチを形成する円錐形の可動摩擦面を非磁性体にて構成したり、前記静止部材は、少なくとも円錐形の固定摩擦面を非磁性体にて構成したりできる。
本発明では、円錐クラッチの結合解除状態において、吸着手段にて静止部材側の固定摩擦面とクラッチディスクの可動摩擦面との間に隙間を確保することができ、これによって、入力側からの伝達効率を向上させることができる。
本発明に係る逆入力遮断装置の断面図である。 図1の逆入力遮断装置の要部拡大断面図である。 ボールカム機構にて構成したトルクカム手段の簡略構成図である。 ボールカム機構の拡大断面図である。 動力伝達状態のボールカム機構の拡大断面図である。 入力軸負荷トルクと軸方向推力との関係を示すグラフ図である。 他の実施形態を示す逆入力遮断装置の断面図である。 別の実施形態を示す逆入力遮断装置の断面図である。 フェースカム機構にて構成した入力側トルクカム手段を示し、(a)は結合状態の要部簡略図であり、(b)は結合解除状態の要部簡略図である。 フェースカム機構にて構成した出力側トルクカム手段を示し、(a)は逆入力が入力されていない状態の要部簡略図であり、(b)は入力遮断状態の要部簡略図である。 従来の逆入力遮断装置の断面図である。 入力軸負荷トルクと軸方向推力との関係を示すグラフ図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1と図2は本発明に係る逆入力遮断装置を示し、この装置は、入力軸21に入力される動力を出力軸に伝達するとともに、出力軸22から入力軸21へ逆入力を遮断するものである。
入力軸21と出力軸22とは、同一軸心上(同軸上)に配設され、相対向する軸端部が、それぞれ、ハウジング23に軸受24,25を介して回転自在に支持されている。入力軸21は、ハウジング23内に位置する軸端部にはフランジ部21aが設けられている。また、出力軸22は、ハウジング23内に位置する軸端部に雄スプライン26aが設けられた軸本体26と、内径面に雌スプライン27が設けられたフランジ部22aとを有し、フランジ部22aの雌スプライン27と、軸本体26の雄スプライン26aとが噛合されてなる。
ハウジング23は固定部材とされ、周壁30bと、この周壁30bの入力軸側の端部に設けられる側壁30aとを有する第1枠体30と、この第1枠体30の開口部を塞ぐ側壁31aからなる第2枠体31とからなる。
また、入力軸21のフランジ部21aと出力軸22のフランジ部22aとの間に、ハウジング23内に収納されるクラッチディスク(テーパ型摩擦部材)32が配置される。このクラッチディスク32の外周側には、ハウジング23の第1枠体30に内嵌固定されるリング状部材33が配置されている。リング状部材33は、その内径面に、入力軸側から順次拡径する円錐形状の固定摩擦面34が設けられている。この場合、リング状部材33は、第1枠体30のコーナ部(周壁30bと側壁30aとのコーナ部)に配置される。すなわち、リング状部材33の一方の端面33a(入力軸側の端面)が第1枠体30の側壁30aの内面に当接するとともに、リング状部材33の外周面33bが第1枠体30の周壁30bの内面に当接した状態となっている。このため、固定部材としてのハウジング23にリング状部材33が固定されることになって、このリング状部材33を静止部材と呼ぶことができる。
また、クラッチディスク32の外径面が、前記リング状部材33の固定摩擦面34に対応する円錐形の可動摩擦面35とされている。このため、クラッチディスク32とリング状部材33とで、円錐クラッチ36が形成される。
出力軸22の軸本体26の雄スプライン26aの近傍には、外鍔部からなる弾性部材受26bが設けられている。そして、この弾性部材受け26bと出力軸22のフランジ部22aとの間に皿ばねからなる弾性部材38が配置されている。この弾性部材38は、フランジ部22aを入力軸側へ弾性的に押圧するものである。
入力軸21とクラッチディスク32との間に入力側トルクカム手段40が設けられ、出力軸22とクラッチディスク32との間に出力側トルクカム手段41が設けられている。両トルクカム手段40、41は、この実施形態では、ボールカム機構M1を用いている。
すなわち、入力側トルクカム手段40は、入力軸側フランジ部21aの端面21cとクラッチディスク32の対向面32aのそれぞれに、周方向中央から周方向両端に至るに従って溝深さが次第に浅くなる複数のカム溝42、43を周方向に間隔をおいて形成し、そのカム溝42、43間にボール44を組込んだ構成としている。
入力側トルクカム手段40は、入力軸21とクラッチディスク32の相対回転によりクラッチディスク32に軸力を負荷して、そのクラッチディスク32の可動摩擦面35がリング状部材33の固定摩擦面34から離反する方向、すなわち、円錐クラッチ36が結合解除する方向にクラッチディスク32を軸方向に移動させ、前記円錐クラッチ36の結合解除後に、入力軸21の回転トルクをクラッチディスク32に伝えるようになっている。
入力側トルクカム手段40は、クラッチディスク32の可動摩擦面35がリング状部材33の固定摩擦面34に摩擦係合する円錐クラッチ36の結合状態(ロック状態)で図3に示す所定大きさの軸方向すきまδを有している。
出力側トルクカム手段41は、クラッチディスク32の端面32bと出力軸側フランジ部22aの対向面27aのそれぞれに、周方向中央から周方向両端に至るに従って溝深さが次第に浅くなる複数のカム溝45、46を周方向に間隔をおいて形成し、そのカム溝45,46間にボール47を組込んだ構成としている。
出力側トルクカム手段41においては、クラッチディスク32と出力軸22の相互間で回転トルクを伝達すると共に、そのクラッチディスク32と出力軸22の相対回転時に、クラッチディスク32に軸力を負荷して、円錐クラッチ36が強く結合する方向にクラッチディスク32を軸方向に移動させるようになっている。
上記出力側トルクカム手段41は、入力側トルクカム手段40より発生する軸力によってクラッチディスク32が軸方向に移動される際の移動量を吸収可能とする大きさの軸方向すきま(図示省略)を有している。このすきまは軸方向すきまδ(図4参照)と同等であり、円錐クラッチ36が解除されるのに必要な量は、クラッチディスク32の出力側にある弾性部材38の変形量で確保されている。
ところで、側壁31aとリング状部材33との間にリング体49が介在され、このリング体49に、吸着手段50が配置されている。すなわち、リング体49は、その一方の端面49aがリング状部材33の出力軸側の端面33cに当接し、その外周面49bが第1枠体30の周壁30bの内周面に当接し、その他方の端面49cが側壁31aの内面に当接している。
そして、リング体49には、その内径面49dと端面49aとのコーナ部に周方向切欠部51が設けられ、この周方向切欠部51に、吸着手段50を構成するリング状の磁石52とスラスト軸受53とが嵌合されている。この場合、磁石52が出力軸側に配設され、スラスト軸受53が入力軸側に配設されている。この磁石52とスラスト軸受53とで前記吸着手段50を構成する。また、図1ではスラスト軸受53としてニードルベアリング54を用いた。
スラスト軸受53の外面53aが、リング体49の端面49cよりも、クラッチディスク32側に突出している。また、リング体49の内径面49d、磁石52の内径面、及びスラスト軸受53の内径面は、出力軸22のフランジ部22aの外径面27bの外径寸法よりも大きく設定されている。
前記のように構成された逆入力遮断装置では、入力軸21の停止状態では、クラッチディスク32は弾性部材38の弾性力によって、入力軸21側へ押圧される。これによって、図1に示すように、クラッチディスク32の外径面の可動摩擦面35が、リング状部材33の固定摩擦面34に圧接し、円錐クラッチ36が結合状態に保持される。この状態では、入力側トルクカム手段40は、図4に示すように、カム溝42、43の中央部にボール44が位置し、出力側トルクカム手段41は、カム溝45、46の中央部にボール44が位置する状態である。また、図1に示す入力軸21の停止状態では、吸着手段50のスラスト軸受53の外端面53aと、クラッチディスク32の出力軸側の端面32bとの間に隙間Sが設けられている。
そして、この結合状態において、入力軸21の動力(回転力)が入力されれば、円錐クラッチ36が結合状態に保持されている状態であるので、この円錐クラッチ36と、入力軸21とが相対回転することになって、図5に示すように、フランジ部21aに設けられたカム溝42とクラッチディスク32に形成されたカム溝43が周方向に位相がずれ、入力側トルクカム手段40に軸力が発生する。この軸力はクラッチディスク32に負荷されるため、クラッチディスク32は弾性部材38の弾性に抗して入力軸21のフランジ部21aから離反する方向に移動する。
このように、クラッチディスク32が入力軸21のフランジ部21aから離反する方向に移動すれば、スラスト軸受53の外端面53aと、クラッチディスク32の出力軸側の端面32bとの間の隙間Sが詰められ、スラスト軸受53の外端面53aとクラッチディスク32の出力軸側の端面32bとが当接する状態となって、図2に示すように、クラッチディスク32の外径面の可動摩擦面35と、リング状部材33の内径面の固定摩擦面34との間に隙間S1が生じる。すなわち、クラッチディスク32の可動摩擦面35がリング状部材33の固定摩擦面34から離反して、円錐クラッチ36が結合解除状態(ロック解除状態)となる。
このため、入力軸21に入力された動力は入力側トルクカム手段40のボール44を介してクラッチディスク32に伝達され、そのクラッチディスク32から出力側トルクカム手段41を介して出力軸22に伝達されて出力軸22が入力軸21と同方向に回転する。しかも、クラッチディスク32はスラスト軸受53にて回転可能に支持され、安定した回転を得ることができる。
入力軸21から出力軸22への動力伝達状態において、入力軸21が停止すると、弾性部材38の押圧力によりクラッチディスク32が入力軸21のフランジ部21aに向けて移動する。
このとき、入力側トルクカム手段40のボール44はフランジ部21aに形成されたカム溝42の傾斜状の溝底面を押圧すると共に、クラッチディスク32に設けられたカム溝43の傾斜状の溝底面がボール44を押圧するため、クラッチディスク32は軸方向に移動しつつ回転し、その回転によってボール44は図4に示すように、カム溝43、44の溝深さが最も深い安定した状態に保持されると共に、クラッチディスク32の可動摩擦面35は図1に示すようにリング状部材33の固定摩擦面34に接触(圧接)する。すなわち、円錐クラッチ36が結合状態となる。
固定摩擦面34に可動摩擦面35が接触する状態において、出力軸22に動力が入力(逆入力)されると、円錐クラッチ36が結合状態に保持されている状態であるので、この円錐クラッチ36と、出力軸22とが相対回転することになって、クラッチディスク32に形成されたカム溝45と、フランジ部22aに設けられたカム溝46とが周方向に位相がずれ、出力側トルクカム手段41に軸力が発生する。この軸力はクラッチディスク32に負荷されるため、クラッチディスク32を入力軸側へ押し込む力となる。このため、可動摩擦面35が固定摩擦面34に強く押し付けられて円錐クラッチ36の結合力は増大され、その円錐クラッチ36によって入力軸入力軸21への逆入力の伝達が遮断される。
このように、本発明では、吸着手段50を設けて、図1に示すように、入力軸21がクラッチディスク32を出力軸22側へ押し出したときに、このクラッチディスク32を吸着手段50にて吸着する構造である。このため、入力軸21からのトルクが低下した状態でも、クラッチディスク32の可動摩擦面35とリング状部材33の固定摩擦面34との間の隙間(クリアランス)S1を保つことができて、図6に示すように、伝達効率悪化領域を狭くする。なお、図6において、皿ばね荷重とは、弾性部材38による弾性力荷重である。
図6は、入力軸負荷トルクと軸方向推力との関係を示している。この場合、吸着手段50を有さないときのボールカム推力差(入力側−出力側)が、吸着手段50の吸着力によって、上昇することになる。(ボールカム推進力差)+(吸着手段50の吸着力)の線と皿ばね荷重との交点が、グラフの左側へ移動することになって、伝達効率悪化領域を狭くする。図6において、摩擦部材接触領域とは、クラッチディスク32の可動摩擦面35とリング状部材33の固定摩擦面34とが接触している領域であり、摩擦部材非接触領域とはクラッチディスク32の可動摩擦面35とリング状部材33の固定摩擦面34とが接触していない領域である。この図6からわかるように、吸着手段50を有する場合、摩擦部材非接触領域が広くなって、摩擦部材接触領域が狭くなることが分かる。
なお、リング体49としては、クラッチディスク32を吸着させないために、非磁性体であることが望ましい。また、入出力軸21,22のトルク差が極めて小さくなった場合には、皿ばねからなる弾性部材38によってクラッチディスク32を図1の位置に戻す必要があるため、吸着手段50の磁石52の吸着力は皿ばね(弾性部材38)の離反力と同程度かやや低めに設定する。そのように設定することで入力軸負荷トルクが小さくなった際に弾性部材38の弾性復元力でクラッチディスク32を図1のロック位置(結合状態)に戻すことができる。
本発明では、円錐クラッチ36の結合解除状態において、吸着手段50にて静止部材側の固定摩擦面34とクラッチディスク32の可動摩擦面35との間に隙間を確保することができ、これによって、入力側からの伝達効率を向上させることができる。しかも、入力軸21に動力(回転駆動力)が付与されて、この動力が出力軸22に伝達される際には、クラッチディスク32はスラスト軸受53を介して安定して回転するので、精度よく動力が入力軸21から出力軸22に伝達される。
図1に示す逆入力遮断装置では、スラスト軸受53としてニードルベアリング54を用いていたが、図7に示す逆入力遮断装置では、スラスト軸受53として焼結含有軸受(すべり軸受)55を用いている。焼結含有軸受とは、金属粉を円筒状に押し固め(成形)、融点より低い温度で加熱(焼結)して潤滑油を含浸したすべり軸受である。
このように、焼結含有軸受55を用いても、円錐クラッチ36の結合解除状態において、吸着手段50にて静止部材側の固定摩擦面34とクラッチディスク32の可動摩擦面35との間に隙間を確保することができ、前記図1に示す逆入力遮断装置と同様の作用効果を奏する。この場合、回転トルクはニードルベアリング54を用いた場合と比較して高くなるが、構造がよりシンプルになり、組立性も向上し、部品コストを抑えることができる利点がある。
本発明の逆入力遮断装置では、静止部材側の固定摩擦面34とクラッチディスク32の可動摩擦面35とは、接触(圧接)と非接触との繰り返し使用となる。このため、固定摩擦面34と可動摩擦面と35に凝着(焼き付き)が生じるおそれがある。このため、固定摩擦面34と可動摩擦面35とを異種材料(金属に限定しない)とするのが望ましい。この場合、クラッチディスク32が吸着手段50によって吸着される必要があるので、クラッチディスク32を、可動摩擦面35を非磁性体として、他を磁性体とするのが好ましい。
従って、図8では、クラッチディスク32を磁性体からなる円盤状の本体部32Aと、この本体部32Aの外径面に連設されるリング状の非磁性体からなる外周部構成体32Bとで形成し、この外周部構成体32Bの外径面でもって摩擦面35としている。これによって、可動摩擦面35が非磁性体となる。このように構成されても、円錐クラッチ36の結合解除状態において、吸着手段50にて静止部材側の固定摩擦面34とクラッチディスク32の可動摩擦面35との間に隙間を確保することができ、前記図1に示す逆入力遮断装置と同様の作用効果を奏する。
また、リング状部材33の固定摩擦面34に非磁性体を用いる場合においても、リング状部材33自体を非磁性体にて構成しても、固定摩擦面34のみを非磁性体にて構成してもよい。なお、磁性体としては、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト等の一般的に用いられるものを使用でき、非磁性体として、アルミ合金、銅合金又はステンレス鋼等の内から選択することができる。
ところで、前記各実施形態では、入力側トルクカム手段40及び出力側トルクカム手段41としてボールカム機構M1を用いていたが、図9及び図10に示すようなフェースカム機構M2を用いてもよい。図9は入力側トルクカム手段40を示し、図10は出力側トルクカム手段41を示している。
図9に示す入力側トルクカム手段40は、クラッチディスク32側にカム溝60a、60bを設け、入力軸21にフランジ部21aに突起61a、61bを設けたものである。カム溝60a、60b及び突起61a、61bは周方向に沿って所定ピッチでそれぞれ複数個設けられている。
円錐クラッチ32の結合状態において、図9(a)に示す状態から入力軸21が回転すれば、入力軸21とクラッチディスク32との間に相対回転が生じる。これによって、突起61aがカム溝60aの底面を摺動して、クラッチディスク32が出力軸側へ移動する。これによって、静止部材側の固定摩擦面34とクラッチディスク32の可動摩擦面35との間に隙間が形成される円錐クラッチの結合解除状態となる。なお、前記と逆回転であれば、突起61bがカム溝60bの底面を摺動して、クラッチディスク32が出力軸側へ移動する
入力軸21から出力軸22への動力伝達状態において、入力軸21が停止すると、弾性部材38の押圧力によりクラッチディスク32が入力軸21のフランジ部21aに向けて移動する。このとき、突起61aがカム溝60aの底面を摺動して、図9(a)の状態、つまり、円錐クラッチ36の結合状態に戻る。なお、前記と逆回転であれば、突起61bがカム溝60bの底面を摺動して、円錐クラッチ36の結合状態に戻る。
また、図10に示す出力側トルクカム手段41では、出力軸22のフランジ部22aに突起61a、61bが形成され、クラッチディスク32にカム溝60a、60bが形成されている。
固定摩擦面34に可動摩擦面35が接触する状態において、出力軸22に動力が入力(逆入力)されると、円錐クラッチ36が結合状態に保持されている状態であるので、この円錐クラッチ36と、出力軸22とが相対回転することになって、これによって、突起61aがカム溝60aの底面を摺動して、クラッチディスク32が入軸側へ移動する。このため、可動摩擦面35が固定摩擦面34に強く押し付けられて円錐クラッチ36の結合力は増大され、その円錐クラッチ36によって入力軸21への逆入力の伝達が遮断される。なお、前記と逆回転であれば、突起61bがカム溝60bの底面を摺動して、クラッチディスク32が入軸側へ移動する。
このように、入力側トルクカム手段40及び出力側トルクカム手段41にフェースカム機構M2を用いても、ボールカム機構を用いたものと同様の動作が可能となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、吸着手段50の磁石として、合金磁石、フェライト磁石、希土類磁石等の種々の種類の磁石を用いることができる。また、吸着手段5のスラスト軸受として、スラスト玉軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円錐軸受等であってもよい。なお、スラスト軸受としては、クラッチディスク32を磁石にて吸着する必要があり、この吸着を妨げないものとする必要がある。弾性部材38として、前記実施形態では、皿ばねを用いたが、コイルスプリング等の他の弾性部材を用いてもよい。
21 入力軸
22 出力軸
32 クラッチディスク
34 固定摩擦面
35 可動摩擦面
36 円錐クラッチ
38 弾性部材
40 入力側トルクカム手段
41 出力側トルクカム手段
50 吸着手段
52 磁石
53 スラスト軸受
54 ニードルベアリング
55 すべり軸受
M1 ボールカム機構
M2 フェースカム機構

Claims (7)

  1. 入力軸と、その入力軸に軸端面を対向して同軸上に配置された出力軸と、前記入力軸と出力軸の対向面間に配置されて軸方向に移動可能とされ、外周には静止部材に形成された円錐形の固定摩擦面との間で円錐クラッチを形成する円錐形の可動摩擦面が設けられたクラッチディスクと、前記円錐クラッチが結合する方向にクラッチディスクを付勢する弾性部材と、前記入力軸とクラッチディスクの対向面間に組込まれ、その入力軸とクラッチディスクの相対回転によりクラッチディスクを円錐クラッチが結合解除する方向に移動させると共に、円錐クラッチの結合解除状態で入力軸の回転トルクをクラッチディスクに伝達する入力側トルクカム手段と、前記クラッチディスクと出力軸の対向面間に組込まれてクラッチディスクと出力軸の相互間で回転トルクを伝達すると共に、クラッチディスクと出力軸の相対回転によりクラッチディスクを円錐クラッチが結合する方向に移動させる出力側トルクカム手段とから成り、前記円錐クラッチの結合によって出力軸から入力軸への逆入力を遮断するようにした逆入力遮断装置において、
    前記円錐クラッチの結合解除状態において、前記クラッチディスクを吸着して、静止部材側の固定摩擦面とクラッチディスクの可動摩擦面との間に隙間を確保するための吸着手段を備え、前記吸着手段が、クラッチディスクを回転可能に支持するスラスト軸受と、クラッチディスクを吸着するための磁石とからなることを特徴とする逆入力遮断装置。
  2. 前記入力側トルクカム手段はボールカム機構又はフェースカム機構のいずれかの機構にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆入力遮断装置。
  3. 前記出力側トルクカム手段はボールカム機構又はフェースカム機構のいずれかの機構にて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆入力遮断装置。
  4. 前記スラスト軸受はニードルベアリングにて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の逆入力遮断装置。
  5. 前記スラスト軸受は滑り軸受にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の逆入力遮断装置。
  6. 前記円錐クラッチを形成する円錐形の可動摩擦面が非磁性体にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の逆入力遮断装置。
  7. 前記静止部材は、少なくとも円錐形の固定摩擦面が非磁性体にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の逆入力遮断装置。
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