JP6575756B2 - 析出強化型ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば発電タービンブレード用に適した析出強化型ステンレス鋼の製造方法に関するものである。
従来、発電用タービン部品や航空機機体部品には、高強度の鉄基合金が利用されており、例えば、発電用タービン部品には、高Cr鋼が種々の部品に利用されている。
タービン部品の中でも、特に強度が要求される蒸気タービンの低圧最終段動翼には、強度と耐酸化性、耐食性を兼ね備えた合金として、重量で12%程度のCrを含む12Cr鋼が利用されている。発電効率向上のためには、翼長を長くした方が有利であるが、12Cr鋼では強度の制限から約1メートルが翼長の限界となっている。
強度と耐食性・耐酸化性を併せ持つ合金として高強度ステンレス鋼がある。高強度ステンレス鋼の代表的な合金としてPH13−8Mo等のマルテンサイト系析出強化型ステンレス鋼が知られている(特許文献1)。更に強度を上げるために、析出強化元素としてTiを添加した高強度ステンレス鋼も提案されている(特許文献2)
特開2005−194626号公報 特開2014−201792号公報
マルテンサイト系析出強化型ステンレス鋼は、焼入れ後のマルテンサイトマトリックスに、微細な金属間化合物を析出させることにより、高い強度を得る。これらの特性を実現するには、合金組成の最適化だけでなく、マトリックスの微細結晶粒制御も重要である。結晶粒が微細になるほど金属は高い強度と靱性を持つ。蒸気タービン動翼の長大化、あるいは航空機用途への適用のために、より高い強度と靱性を実現するには、結晶粒の微細化が課題となる。
本発明の目的は、結晶粒を効果的に微細化できるマルテンサイト系析出強化型ステンレス鋼(以下、析出強化型ステンレス鋼と記す)の製造方法を提供することである。
例えば、タービンブレードの製造工程における鍛造工程を一般的に大きく分けると、鋼塊を熱間鍛造して鋼片を製造する第一の鍛造工程と、さらに得られた鋼片を型打ち鍛造加工で、タービンブレードを製造する第二の鍛造工程とに分けることができる。本発明者らの検討により、ブレード等の最終製品の結晶粒の大きさは中間素材である鋼片または鋼片を熱間鍛造した熱間鍛造材(上述した第一の鍛造工程による熱間鍛造材)の結晶粒の大きさに大きく依存することを判明した。さらに結晶粒微細化は合金組成と合わせて、適切な鍛造温度の制御が有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:0.25%以下、Mn:0.25%以下、Cr:10.5〜13.0%、Ni:10.0〜12.0%、Mo:1.5〜2.5%、Al:1.0〜2.0%、Ti:0.1〜0.6%、残部はFe及び不純物からなる析出強化型ステンレス鋼の鋼塊または鋼片を875〜1050℃で加熱した後、鍛造率20〜95%、鍛造開始温度は920℃以下、鍛造終了温度は750℃以上にて熱間鍛造工程を行う析出強化型ステンレス鋼の製造方法である
前記熱間鍛造工程の前工程として1050℃を超え1200℃以下の温度に加熱した後鍛造する粗鍛造工程を行うことができる。
前記熱間鍛造工程の後に、熱間鍛造材を用いて型打ち鍛造を行うことができる。
好ましくは型打ち鍛造材が発電用タービンブレードの製造に適用することができる。
本発明によれば、鍛造工程の加熱温度および鍛造温度を制御することにより、微細な結晶粒を有する析出強化型ステンレス鋼の熱間鍛造材を製造できる。この熱間鍛造材を型打ち鍛造出発材として製造される熱間鍛造製品は微細結晶粒となり、その強度・靱性の向上が期待できる。例えば、発電用タービン部品に用いることで、発電効率の向上が期待できる。また、航空機部品として用いた場合には、機体の軽量化に寄与することが可能である。
加工率を説明するための模式図である。 1100℃鍛造鋼片の光学顕微鏡写真である。 950℃鍛造鋼片の光学顕微鏡写真である。 850℃鍛造鋼片の光学顕微鏡写真である。
先ず、本発明で規定する合金組成から説明する。化学成分は何れも質量%である。
C:0.06%以下
Cは、低合金鋼などでは、焼入れ硬さを向上させ、機械的特性を左右する元素であるのに対し、本発明においては不純物として規制されるべき元素である。CがCrと結合して炭化物を形成した場合、母相中のCr量が低下して耐食性が劣化する。そのため、Cは0.06%以下とする。好ましいCの上限は0.04%以下である。Cは0%でも良く、特に下限は規定しないが、不純物として含有される程度の量として0.001%程度含有されていても差し支えない。
Si:0.25%以下
Siは、脱酸元素として製造時に添加することができる。Siが0.25%を超えると、合金の強度を低下させる脆化相が析出しやすくなるため、Siの上限は0.25%とする。例えば、Siに代わる脱酸元素を添加する場合には、Siは0%であっても差し支えない。
Mn:0.25%以下
Mnは、Siと同様脱酸作用があり、製造時に添加することができる。Mnが0.25%を超えると高温における鍛造性を悪化させるため、Mnの上限は0.25%とする。例えば、Mnに代わる脱酸元素を添加する場合には、Mnは0%であっても差し支えない。
Cr:10.5〜13.0%
Crは合金の耐食性、耐酸化性の向上に不可欠な元素である。Crが10.5%未満では、合金の十分な耐食性、耐酸化性が得られないことから、下限は10.5%とする。またCrは、Niと同様にマルテンサイト変態温度を低下させる作用がある。過剰なCrの添加は、残留オーステナイト量の増加や、δフェライト相の析出による強度低下を引き起こすため、Crの上限を13.0%とする。なお、Cr添加の効果をより確実に得るには、Crの下限を10.8%とするのが好ましく、さらに好ましい下限は11.0%である。また、好ましいCrの上限は12.8%であり、さらに好ましい上限は12.5%である。
Ni:10.0〜12.0%
Niは、母相に固溶して合金の靱性を向上させる不可欠な元素である。母相の靱性を保つためには、少なくとも10.0%以上のNiが必要である。またNiは、オーステナイト相を安定化し、マルテンサイト変態温度を低下させる作用がある。そのため、Niを過剰に添加すると、マルテンサイト変態が不十分となり、残留オーステナイト量が多くなって合金の強度が低下してしまうため、Niの上限は12.0%とする。なお、Ni添加の効果をより確実に得るには、Niの下限を10.25%とするのが好ましい。また、好ましいNiの上限は11.25%であり、さらに好ましい上限は10.75%である。
Mo:1.5〜2.5%
Moは母相に固溶し、生地の固溶強化に寄与するとともに、耐食性の向上に寄与するため、必須添加する。Moが1.5%未満では、析出強化相に対して母相の強度が不十分であり、合金の延性、靱性が低下する。一方で、Moを過剰に添加した場合にはマルテンサイト温度の低下による残留オーステナイト量の増加、δフェライト相の析出が起こるため、強度が低下することから、Moの上限は2.5%とする。なお、Mo添加の効果をより確実に得るには、Moの下限を1.6%とするのが好ましく、さらに好ましい下限は1.75%である。また、好ましいMoの上限は2.4%であり、さらに好ましい上限は2.25%である。
Al:1.0〜2.0%
本発明において、Alは強度向上に必須な元素である。AlはNiと結合して金属間化合物を形成し、これらがマルテンサイト組織中に微細に析出することで高い強度特性が得られる。強化に必要な析出量を得るためには、1.0%以上のAlを含有させることが必要である。一方で、Alを過剰に添加すると、金属間化合物の析出量が過剰になり、母相中のNi量が低下して靱性を低下させるため、Alの上限は2.0%とする。なお、Al添加の効果をより確実に得るには、Alの下限を1.2%とするのが好ましく、さらに好ましい下限は1.35%である。また、好ましいAlの上限は1.8%であり、さらに好ましい上限は1.75%である。
Ti:0.1〜0.6%
TiはAlと同様な役割を果たし、Niと結合して金属間化合物を形成し、マルテンサイト組織中に微細に析出することで高い強度特性を獲得する。本発明のTiとAl複合添加の場合、必要な析出量を得るためには、0.1%以上のTiを含有させることが必要である。一方で、Tiを過剰に添加すると、金属間化合物の析出量が過剰になり、母相中のNi量が低下して靱性を低下させるため、Tiの上限は0.6%とする。なお、Ti添加の効果をより確実に得るには、Tiの下限を0.15%とするのが好ましく、さらに好ましい下限は0.20%である。また、好ましいTiの上限は0.55%であり、さらに好ましい上限は0.50%である。
残部はFe及び不純物
残部はFe及び製造中に不可避的に混入する不純物元素である。代表的な不純物元素としては、S、P、Nなどが挙げられる。これらの元素は少ない方が望ましいが、例えば、一般的な設備で製造する際に低減できる量として、各元素0.05%以下であれば差支えない。
本発明では、前述した組成を有するマルテンサイト系析出強化型ステンレス鋼の鋼塊または鋼片を875〜1050℃で加熱した後、鍛造率20〜95%にて熱間鍛造工程を行う。本発明の最大の特徴は、熱間鍛造の加熱温度、さらに鍛造開始温度および終了温度の制御により、効率的に鋼片の結晶粒を微細化することである。尚、この熱間鍛造工程は上述の第一の鍛造工程に相当する。
本発明は加熱温度制御により、好ましくは鍛造開始温度が920℃以下、鍛造終了温度は750℃以上とする。
本発明の熱間鍛造方法の素材は、鋼塊でも良いし鋼片であっても良い。本発明を適用するタイミングとしては、最終寸法の鋼片とする仕上げ鍛造に適用することが好ましい。本発明で得られる鋼片を出発材として、その後に例えばタービンブレード等の最終形状に型打ち鍛造(上述の第二の鍛造工程に相当する)を行うと、出発材の鋼片の結晶粒が微細化されているため、型打ち鍛造後の型打ち鍛造材の結晶粒も微細化できる。
本発明で規定する加熱温度は従来の鍛造の変形抵抗を重視する鋼片鍛造の鍛造温度に比べてやや低温である。例えば、本発明で規定する加熱温度における鍛造を“低温熱間鍛造工程”と記すと、本発明を適用する具体的な一例としては、
(1)鋼塊−低温熱間鍛造工程(鋼片)−型打ち鍛造
(2)鋼塊−(高温加熱)粗熱間鍛造工程(鋼片)−低温熱間鍛造工程(鋼片)−型打ち鍛造
である。高温加熱での粗熱間鍛造、本発明の低温鍛造は複数回繰返しても良いが、前述したように、型打ち鍛造前の最終形状とする仕上げ鍛造のタイミングで適用することが最も効果的である。
なお、本発明で規定する加熱温度は熱間鍛造する前に、鋼塊あるいは鋼片を加熱する炉の設定温度とすればよい。その場合、鋼塊あるいは鋼片全体が均一な加熱温度に加熱されるには、加熱保持時間を1〜3時間とすれば良い。
鍛造する鋼塊や鋼片の鍛造温度が高い場合、変形抵抗が低く、鍛造加工が容易である一方、加工材料の再結晶粒成長が発達し、鍛造材料の結晶粒が粗大となる。一方、鍛造温度が低いと再結晶粒成長を抑制できるが、変形抵抗が大きくなり、鍛造加工設備に大きな負荷を与える。更に、鍛造温度が過度に低い場合、材料変形がマクロ的不均一となり、鍛造材料の内質に悪影響が生じる。
そこで、本発明においては、本発明で規定する組成の合金において、結晶粒微細化効果と材料変形の均一化の両立が図れる加熱温度範囲として、875〜1050℃とする。加熱温度の下限が875℃未満の場合、材料変形がマクロ的不均一となる。また、加熱温度の上限が1050℃を超えると結晶粒微細化効果が得られない。加熱温度の好ましい下限は880℃であり、さらに好ましくは885℃である。また、加熱温度の好ましい上限は1030℃であり、さらに好ましくは1000℃である。
上記の加熱温度を制御することを通じて、鍛造開始温度920℃以下、鍛造造終了温度を750℃以上の温度範囲にすることが良い。さらに好ましい鍛造開始温度は910℃以下、鍛造終了温度は780℃以上である。尚、本発明において、鍛造開始温度とは鍛造を開始する際の鍛造材料の表面温度であり、鍛造終了温度とは鍛造が終了した際の鍛造材料の表面温度である。この表面温度は、鍛造材料の加圧される面とすればよい。
また、本発明においては、鍛造率も重要となる。鍛造率が低いと、鍛造材料の局部的な変形を生じて再結晶が不十分で結晶粒が粗大となる。鍛造率の増加と共に材料変形が均一になり、再結晶が十分発達して結晶粒の微細化に有利となる。しかし、過度な塑性加工が材料の割れを引き起こすことになる。そこで、本発明においては、本発明で規定する組成の合金において、結晶粒微細化効果と材料変形の均一化の両立が図れる鍛造率の範囲として、20〜95%とする。鍛造率が20%未満の場合、結晶粒が粗大化する。また、鍛造率が95%を超えると割れが生じる。鍛造率の好ましい下限は30%であり、さらに好ましくは40%である。また、好ましい鍛造率の上限は92%であり、さらに好ましくは90%である。なお、本発明の鍛造率は熱間鍛造工程の鍛造1回あたりの鍛造率である。
なお、鍛造率は図1に示すA0、A1を用い、鍛造率(%)=(A0−A1)/A0×100で定義する。ここで、A0は鍛造前の鋼片の端面の投影面積であり、A1は鍛造後の鋼片の端面の投影面積である。
本発明においては、前記熱間鍛造工程の前工程として1050℃を超え1200℃以下の温度に加熱した後、鍛造する粗鍛造工程を行うことができる。上記(2)の工程で“(高温加熱)粗熱間鍛造工程(鋼片)”として示すのがこの粗鍛造工程に相当する。粗鍛造工程では、加熱温度をやや高め(上記本発明の熱間鍛造工程の加熱温度875〜1050℃に対して)として析出強化型ステンレス鋼の熱間加工性を高め、例えば、据込み鍛造等により、仕上げ鍛造用の鋼片とすることができる。
粗鍛造工程の加熱温度を1050℃を超え1200℃以下の温度範囲とするのは、変形抵抗が低く加工が容易であるし、変形均一性も良好だからである。粗鍛造工程の加熱温度が1050℃以下であると変形抵抗が高く、生産性に不利である。一方、粗鍛造工程の加熱温度が1200℃を超えると、結晶粒が粗大化し過ぎて、後に行う本発明の熱間鍛造工程を施しても結晶粒微細化効果が得にくくなる。そのため、本発明では、粗鍛造工程の加熱温度を1050℃を超え1200℃以下の温度とする。
本発明では、前記熱間鍛造工程の後に、1050〜1150℃で加熱した後型打ち鍛造を行うことができる。本発明では、前記の熱間鍛造工程により、結晶粒を微細化した鋼片とすることができるため、この結晶粒微細化鋼片を用いて、型打ち鍛造を行うと型打ち鍛造材の結晶粒も微細化することができる。この型打ち鍛造は、例えば、微細な結晶粒が求められる発電用タービンブレードの型打ち鍛造に好適である。
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
真空誘導溶解で10kg、φ100×110Lの鋼塊を作製した。その化学組成を表1に示す。
上記の鋼塊を1200℃×5h均質化処理後室温まで炉冷した。これらの鋼塊を加熱炉に挿入し、加熱温度1100〜850℃で2時間保持後、取り出して、熱間鍛造した。鍛造は複数ヒートで施し、各熱間鍛造工程(各ヒート)の加熱温度と保持時間は同一とした。加熱温度は表2に示した。
加熱と鍛造の詳細は下記のとおりである。
1ヒート目:φ100mmからφ70mmまで鍛造。(鍛造率51%)
2ヒート目:1ヒート目鍛造完了後の鍛造材を再び加熱炉に入れて、同じ温度で2時間を保持後、φ70mmからφ50mmまで鍛造。(鍛造率49%)
3ヒート目:同条件で加熱後、φ50mmからφ35mmのまで鍛造して、鍛造加工を完了。(鍛造率1%)
なお、各ヒートの鍛造開始時点の鋼塊あるいは鋼片の温度(鍛造開始温度)と鍛造終了時点の鋼塊あるいは鋼片の温度(鍛造終了温度)を放射温度計で測定し、結果を表2に併示した。
鍛造完了後の鋼片を室温まで空冷した。φ35mmの鋼片L/2(Lは鋼片の全長)、D/4(Dは直径)位置からサンプルを採取し、ミクロ組織を観察した。本発明の鍛造温度と比較例の加熱温度で得た粒度番号を表2に示す。なお、結晶粒度番号の測定はASTM−E112で規定される方法により行ったもので、表2に示す数値は結晶粒度番号である。
マクロ組織不均一な鋼片では、その光学顕微鏡写真で、「不均一変形」という模様が観察される。なお、「不均一変形」模様とは。当該部分の結晶粒径が周辺の領域の結晶粒径の3倍以上であることが目安である。
加熱温度1100℃で鍛造した比較例(鍛造No.1)のミクロ組織を図2に示す。表2に示すように、粒度番号が1.8で、結晶粒が粗大である。これに対して、本発明の加熱温度範囲の熱間鍛造工程を適用した鍛造No.3のミクロ組織を図3に示す。その結晶粒度番号は5.9で、結晶粒が微細かつ均一である。
一方、加熱温度温度が低い850℃で鍛造した比較例(鍛造No.5)のミクロ組織を図4に示す。「不均一変形」が顕著であった。
以上の結果から、本発明の熱間鍛造工程を適用して得られた鋼片では、粒度番号が4以上の微細な結晶粒を有する析出強化型ステンレス鋼の熱間鍛造材を製造できる。この熱間鍛造材を出発材とすると微細結晶粒となり、その強度・靱性の向上が期待できる。例えば、発電用タービン部品に用いることで、発電効率の向上が期待できる。また、航空機部品として用いた場合には、機体の軽量化に寄与することが可能である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.06%以下、Si:0.25%以下、Mn:0.25%以下、Cr:10.5〜13.0%、Ni:10.0〜12.0%、Mo:1.5〜2.5%、Al:1.0〜2.0%、Ti:0.1〜0.6%、残部はFe及び不純物からなる析出強化型ステンレス鋼の鋼塊または鋼片を875〜1050℃で加熱した後、鍛造率20〜95%、鍛造開始温度は920℃以下、鍛造終了温度は750℃以上にて熱間鍛造工程を行う析出強化型ステンレス鋼の製造方法。
  2. 前記熱間鍛造工程の前工程として1050℃を超え1200℃以下の温度に加熱した後、鍛造する粗鍛造工程を行う請求項1に記載の析出強化型ステンレス鋼の製造方法。
  3. 前記熱間鍛造工程の後に、熱間鍛造材を用いて型打ち鍛造を行う請求項1または2に記載の析出強化型ステンレス鋼の製造方法。
  4. 前記型打ち鍛造により、発電用タービンブレード素材とする請求項に記載の析出強化型ステンレス鋼の製造方法。
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