JP6574173B2 - アルキルフルオロアルキルスルホネートによるアルキル化 - Google Patents

アルキルフルオロアルキルスルホネートによるアルキル化 Download PDF

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Description

本発明は、一般に、化学技術の分野に関するものであり、特に、アルキルフルオロアルキルスルホネート(alkyl fluoroalkyl sulfonate)を使用して医薬品有効成分(API)またはその中間体を調製するための方法に関する。特に、本発明は、塩基の存在下で、求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、化合物を調製するための方法に関する。本発明はまた、アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製するための方法に関する。本発明はさらに、アルキルフルオロアルキルスルホネートを含む化学反応における塩基の使用に関する。本明細書に記述する方法および使用は、化合物、それらの反応物または中間体を調製すること、特に、APIまたは反応物、例えば、エベロリムス、およびその調製に使用される反応物または試薬を調製することに適している。
スルホン酸エステルは、置換反応において求核剤に対する反応性が高いので、合成有機化学において有用である。優れたスルホネート脱離基の例は、トリフルオロメタンスルホネート基であり、その基において、極めて電気陰性度の大きいフッ素原子が、アニオン性脱離基を特に安定にする。原理上は、任意のフッ化アルキルスルホネート、例えば、トリフルオロエチルスルホネート、ノナフルオロブチルスルホネートなども、反応性が高い脱離基として適用し得る。
トリフルオロメタンスルホネート基(CFSO ;別名トリフレート(triflate))は、不活性アニオンとしても、非常に良い脱離基としても機能することができるので、合成有機化学において特に有益である。アニオンの比較的良好な利便性、安全性、および安定性は、合成有機化学における、脱離基としてのトリフルオロメタンスルホネート基の有用性を高める。トリフルオロメタンスルホネート基をアルコールに導入するのによく使用される試薬は、反応性が高いトリフリン酸無水物((CFSOO)であり、これは、トリフルオロメタンスルホン酸のP媒介脱水によって調製することができる(Hendrickson J. B., Sternbach D. D., Bair K. W., Acc Chem Res, 1977, 10, 306)。
アルキルフルオロアルキルスルホネート、特に、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレートという名でも知られる)は、様々な手順を使用することにより調製することができる。例えば、アルキルフルオロアルキルスルホネートは、アルコールを適切なフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させることによって得ることができる(Hendrickson J. B., Sternbach D. D., Bair K. W., Acc Chem Res, 1977, 10, 306)。
アルキルフルオロアルキルスルホネートは、医薬品有効成分として作用する化合物の合成において利用することもできる。2つの例を挙げると、エベロリムスおよびウミロリムス(商品名Biolimus(登録商標))は、フルオロアルキルスルホネートの化学的性質を適用することによって調製することができる。エベロリムス(RAD−001)、すなわち、式(1)の40−O−(2−ヒドロキシ)−エチル−ラパマイシンは、ストレプトミセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)によって産生される既知のマクロライド系抗生物質であるラパマイシン(シロリムス)の合成誘導体である。エベロリムスは、細胞内mTOR(「哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin)」)を阻害する、免疫抑制剤および抗癌剤である。エベロリムスは、細胞内受容体FKBP12(FK506結合タンパク質12)との相互作用を介して、および特異的mRNAの翻訳を調節することによって効果を発揮する。エベロリムスは、商品名Zortress(登録商標)(米国)およびCertican(登録商標)(米国以外)で臓器移植用医薬品として、ならびに、腫瘍学においてAfinitor(登録商標)として、Novartisによって販売されている。
WO2012/066502は、シロリムス(ラパマイシン)を、塩基、好ましくは2,6−ルチジンの存在下で、ジクロロメタン中、4または8当量の2−(t−ブチルジメチルシリル)オキシエチルトリフレートと反応させて、その後、t−ブチルジメチルシリル保護基を切断することによってエベロリムスを調製する方法を開示している。2つのステップについての全収率は、せいぜい45%である。収率がはるかに低い実施例が多く存在する。例えば、トルエンが、アルキル化ステップのための溶媒として使用された場合、ラパマイシンからエベロリムスへの2つのステップの反応の収率は、30%未満に下がる。酢酸エチルが、アルキル化ステップのための溶媒として使用された場合、収率は、約30%に下がる。WO2012/103959は、塩基、例えば、2,6−ルチジン、トリス(2−メチルプロピル)アミン、またはN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下での、不活性溶媒における、ラパマイシンと2−(t−ヘキシルジメチルシリルオキシ)エチルトリフレートとの反応に基づく、エベロリムスを調製する方法を開示している。次いで、得られたシリル化中間体は、シリル基の切断を受け、エベロリムスを得ることができる。その文献に記載されている唯一の実施例は、全収率53%の、ラパマイシンからエベロリムスへの変換を示す。ここで、ラパマイシンを、70℃で、15%の1,2−ジメトキシエタンと85%のトルエンとを含む溶媒混合物において、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、4当量の前もって形成された2−(t−ヘキシルジメチルシリルオキシ)エチルトリフレート(トリフレートは、トリス(2−メチルプロピル)アミンを塩基として使用して調製された)と反応させる。この反応の一つの欠点は、高い温度での、トリフレートエステルおよびラパマイシンの低い安定性である。さらなる欠点は、環境上問題のある溶媒である1,2−ジメトキシエタンの使用である。そうして形成された中間体は、次いで、メタノール中、塩酸によるシリル基の切断を受ける。Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals, 42, 29-41 (1999)における論文は、エベロリムスの合成におけるモノ−tert−ブチルジフェニルシリル保護基を開示している。US2005/192311A1およびUS2009/292118A1は、ウミロリムス(40−O−[(2’−エトキシ)エチル]−ラパマイシン)を調製するための方法を開示している。ウミロリムスは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下でトリフレート試薬を反応させることによるアルキル化反応を介して、ラパマイシン(シロリムス)から調製される(1つのアルキル化ステップの収率は、30〜45%の範囲である)。
本発明の目的は、より短い時間で、より高い収率で、さらには改善された、より経済的で、簡易化された様式で化合物を調製することにおける、アルキルフルオロアルキルスルホネートの使用を可能にする、新規のアルキル化法を提供することである。本発明の特定の態様は、エベロリムス、またはその調製に関連する試薬を調製するために適用することができる。
フルオロアルキルスルホネート基、特に、トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロエチルスルホネート、およびノナフルオロブチルスルホネートは、優れた脱離基なので、塩基の存在下での、この官能基を含む反応物のin situ分解は、それらの適用の潜在的な問題である。反応物、例えば、フルオロアルキルスルホネート、例えば、アルキルトリフルオロメタンスルホネートの分解は、プロセス収率を低下させるか、または、過剰なアルキルフルオロアルキルスルホネート試薬、例えば、アルキルトリフルオロメタンスルホネート試薬が必要な場合、プロセスのコストを増加させる。そのような分解は、例えば、反応においてよく用いられる第三級アミン塩基の第四級化によって、またはスルホネート脱離基の脱離によって起こり得る。分解および副反応問題は、より長い反応時間を要する求核置換反応に特徴的である。そのような反応の一例は、立体障害のあるアルコールのアルキル化である。反応混合物における副反応は、すぐに開始する可能性があり、反応が長くなればなるほど、反応効率および収率への影響が大きくなる。例えば、この問題は、反応が終了するのに1時間超、2時間超、10時間超、とりわけ、18時間超、例えば、24時間超かかる場合に、特に明白である。
前述の目的を解決するために、本開示は、請求項1に記載の方法を提供する。本発明はさらに、請求項8に記載の方法、および請求項28に記載の、アルキルフルオロアルキルスルホネートを含む反応における特に規定された塩基の使用を提供する。好ましい実施形態を、従属請求項に記述する。
驚くべきことに、塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させる、化合物を調製する方法において、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基は、アルキルフルオロアルキルスルホネート試薬への反応性の大幅な低下を示すことが判明した。上述の式の塩基を選択することは、反応混合物におけるフルオロアルキルスルホネート試薬の不必要な分解を防ぎ、反応混合物における大過剰なアルキルフルオロアルキルスルホネート試薬の必要性を低減し、反応の経済性および収率を高め、方法を安価にする。加えて、塩基の助けによってアルキルフルオロアルキルスルホネート試薬の安定性を守ることによって、反応自体がよりクリーンになり、そのことによって、次の精製ステップがより容易かつより効率的になる。ある種の保護基と組み合わせて塩基を選択することは、方法の効率をさらに高め得る。
よく使用される塩基、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリス(2−メチルプロピル)アミンの立体障害の増加が、塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させる方法において、アルキルフルオロアルキルスルホネートの安定性に大きな影響を及ぼすことに驚いた。本明細書に記述する立体障害のある塩基は、市販されておらず、したがって、ほとんど注意を払われていなかった。特に、本発明に従って使用される好ましい塩基は、ここに示すような副反応を防ぐことと関連して選択される塩基として認識されていない。
以下の項目にまとめた、本発明の態様、有利な特徴、および好ましい実施形態は、それぞれ単独で、または組み合わさって、本発明の目的を解決することに寄与する。
1.塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、化合物を調製するための方法であって、塩基が、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基である、方法。
2.アルキルフルオロアルキルスルホネートのフルオロアルキルスルホネート部分が、少なくとも1つのフルオリドによって置換されているC1〜C4アルキルを含み、好ましくは、アルキルフルオロアルキルスルホネートが、アルキルトリフルオロメチルスルホネート、アルキルトリフルオロエチルスルホネート、またはアルキルノナフルオロブチルスルホネート、特に、アルキルトリフルオロメタンスルホネートである、項目1に記載の、求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、化合物を調製するための方法。
3.アルキルフルオロアルキルスルホネートのアルキル部分が官能基で置換されており、官能基が保護基で保護されている、項目1または2に記載の、化合物を調製するための方法。
4.求核剤が、官能基−OH、NH2、または−SH、好ましくは−OHを有する、項目1から3のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
5.アルキルフルオロアルキルスルホネートが、式(2)
(式中、
・PGは、保護基であり、
・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
の化合物である、項目1から4のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
6.アルキルフルオロアルキルスルホネートのフルオロアルキルスルホネート部分が、トリフルオロメチルスルホネート、トリフルオロエチルスルホネート、またはノナフルオロブチルスルホネートであり、特に、フルオロアルキルスルホネートが、トリフルオロメチルスルホネートである、項目1から5のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
7.保護基を除去するステップをさらに含む、項目3から6のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
8.塩基の存在下でアルコールをフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させることによって、アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製するための方法であって、塩基が、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基である、方法。
9.式(2)の化合物が調製され、前記方法が、式(3)
(PGは、保護基である)
の化合物をフルオロアルキルスルホン酸無水物、好ましくはトリフルオロメチルスルホン酸無水物と反応させるステップを含む、項目8に記載の、アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製するための方法。
10.塩基に対する式(3)の化合物のモル比が、0.5〜2の間、好ましくは0.80〜1の間、より好ましくは約0.9である、項目9に記載の、式(2)の化合物を調製するための方法。
11.−10℃〜25℃の間、好ましくは約0℃の温度での、項目9または10に記載の、式(2)の化合物を調製するための方法。
12.方法に使用する溶媒が、非プロトン性有機溶媒である、項目9から11のいずれか1項目に記載の、式(2)の化合物を調製するための方法。
13.方法が、トルエン、トリフルオロメチルトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ヘプタン、ペンタン、アセトニトリル、およびtert−ブチルメチルエーテルからなる群から選択される溶媒中で行われ、好ましくは、溶媒がトルエンである、項目1から7のいずれか1項目に記載の、塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、化合物を調製するための方法、または、項目8から12のいずれか1項目に記載の、アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製するための方法。
14.求核剤が、ラパマイシンである、項目1から7のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
15.化合物が、エベロリムスであり、方法が、
(a)塩基の存在下でラパマイシンを式(2)
(式中、
・PGは、保護基であり、
・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
の化合物と反応させるステップと、
(b)保護基を除去してエベロリムスを得るステップと
を含む、項目1から7および14のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
16.LGが、トリフルオロメチルスルホネート、トリフルオロエチルスルホネート、またはノナフルオロブチルスルホネート、特に、トリフルオロメチルスルホネートである、項目15に記載の、化合物を調製するための方法。
17.式(2)の化合物を調製するステップをさらに含む、項目15に記載の、化合物を調製するための方法。
18.式(2)の化合物が、項目9から13のいずれか1項目に従って調製される、項目16に記載の、化合物を調製するための方法。
19.25℃〜70℃の間、好ましくは40℃〜50℃の間、特に45℃の温度での、項目14に記載の、化合物を調製するための方法。
20.ステップ(a)において、ラパマイシンを25℃〜70℃の間、好ましくは40℃〜50℃の間、特に45℃の温度で反応させる、項目15から17のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
21.トルエン、トリフルオロメチルトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ヘプタン、ペンタンおよびそれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、特に、トルエンである非プロトン性有機溶媒中で、ラパマイシンを反応させる、項目14から20のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
22.保護基が、酸で除去される、項目7または15から21のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
23.保護基が、HF−ピリジン、フッ化アンモニウム、HF−トリエチルアミン、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、またはそれらの組合せで、好ましくはHF−ピリジンまたはヘキサフルオロイソプロパノールで除去される、項目7または15から22のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
24.保護基が、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトン、ヘプタン、メタノール、アセトニトリル、およびヘキサフルオロイソプロパノールからなる群から選択される溶媒、特に、テトラヒドロフランまたはヘキサフルオロイソプロパノール中で除去される、項目7または15から23のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
25.保護基が、−78℃〜70℃の間、好ましくは0℃〜70℃の温度で除去される、項目7または15から24のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
26.保護基が、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ベンズヒドリル、ジメトキシルトリチル、およびジフェニルメチルからなる群から選択される、好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、およびジフェニルメチルからなる群から選択される、より好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、またはtert−ブチルジフェニルシリル、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである、項目3から25のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
27.方法で使用する溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、および1−メチル−2−ピロリジンを含まない、項目1から26のいずれか1項目に記載の方法。
28.アルキルフルオロアルキルスルホネートを含む化学反応における、式NR1R2R3(式中、
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
を有する塩基の使用。
29.アルキルフルオロアルキルスルホネートのフルオロアルキルスルホネート部分が、少なくとも1つのフルオリドによって置換されているC1〜C4アルキルを含み、好ましくは、アルキルフルオロアルキルスルホネートが、アルキルトリフルオロメチルスルホネート、アルキルトリフルオロエチルスルホネート、またはアルキルノナフルオロブチルスルホネート、特に、アルキルトリフルオロメチルスルホネートである、項目28に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
30.アルキルフルオロアルキルスルホネートのアルキル部分が官能基で置換されており、官能基が保護基で保護されている、項目28または29に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
31.官能基が、−OH、−SH、または−NH2基、好ましくは、−OHである、項目30または31に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
32.アルキルフルオロアルキルスルホネートが、アルキルトリフルオロメタンスルホネートである、項目28から31のいずれか1項目に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
33.アルキルフルオロアルキルスルホネートが、式(2):
(式中、
・PGは、保護基であり、
・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
のアルキルフルオロアルキルスルホネートである、項目28から32に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
34.フルオロアルキルスルホンスルホネートが、トリフルオロメチルスルホネート、トリフルオロエチルスルホネート、またはノナフルオロブチルスルホネートであり、特に、フルオロアルキルスルホネートが、トリフルオロメチルスルホネートである、項目33に記載の、式NR1R2R3を有する塩基の使用。
35.塩基が、式(4)
(式中、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
または式(5)
(式中、Rは、アルキルである)
を有する、項目1から27のいずれか1項目に記載の方法、または項目28から34のいずれか1項目に記載の使用。
36.R4およびR5が、両方ともエチルまたは両方ともブチルであり、Rが、イソプロピルである、項目35に記載の方法、または項目35に記載の使用。
37.R4、R5が、プロピルである、項目35もしくは36に記載の方法、または項目35もしくは36に記載の使用。
38.塩基が、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンである、項目1から27のいずれか1項目に記載の方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
39.塩基が、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンであり、保護基が、tert−ブチルジフェニルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、およびトリチルからなる群から選択され、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
40.塩基が、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンであり、保護基が、トリチルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
41.ラパマイシンに対するアルキルトリフルオロメタンスルホネートのモル比が、4〜1.5の間、好ましくは2〜3の間、より好ましくは2.5である、項目14から27または36から39のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法。
42.塩基が、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンであり、保護基が、tert−ブチルジフェニルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、およびトリチルからなる群から選択され、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
43.塩基が、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンであり、保護基が、トリチルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
44.塩基が、N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンであり、保護基が、tert−ブチルジフェニルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、およびトリチルからなる群から選択され、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
45.塩基が、N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンであり、保護基が、トリチルである、項目3から13もしくは15から27のいずれか1項目に記載の、化合物を調製するための方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
46.塩基が、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンである、項目1から27のいずれか1項目に記載の方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
47.塩基が、N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンである、項目1から27のいずれか1項目に記載の方法、または項目28から33のいずれか1項目に記載の使用。
48.請求項1から7、14から27、または35から47のいずれか1項に従って化合物を調製するステップと、その化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤と混合するステップとを含む、医薬製剤を調製するための方法。
49.化合物が、エベロリムスである、項目48に記載の方法。
驚くべきことに、本発明者らは、塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、化合物を調製するための方法であって、塩基が、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基である、方法を発見した。同じ塩基を、アルキルフルオロアルキルスルホネートを最終の化合物、または後で使用する試薬として調製する方法において使用することができる。アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製するために、対応するアルコールを、塩基の存在下で、フルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させる。実際のところ、塩基は、副反応が起こることを防ぐことによって、反応の効率を高めると思われるので、試薬としてのアルキルフルオロアルキルスルホネートを含む任意の化学反応において塩基として使用する場合に有益であると思われる。
本明細書に規定する塩基は、通常とは異なる塩基であるが、他の塩基と比較して、反応混合物におけるアルキルフルオロアルキルスルホネートの安定性を驚くほどに高める。今までのところ、2,6−ルチジン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような塩基が、化学文献において、類似のアルキル化法のために開示されている。しかし、前記塩基は、反応の間に、アルキルフルオロアルキルスルホネートを分解させ、そのことは、不必要な副生成物の形成につながる。他方で、本明細書に示す塩基の使用は、あまり副反応を起こすことなく、化学合成を進めさせ、それゆえ、形成される副生成物が少ない。前述の塩基を含む新規の方法によって、収率がより高くなり、不純物が少なくなり、そのことは、化学反応の生成物を単離および精製する後処理をより容易に、かつより効率的にする。
本開示による、塩基の置換基R4、R5およびRは、一緒になって、シクロアルキルを形成するアルキル、またはR4およびR5である。本明細書で使用する用語「アルキル」は、直鎖または分枝状(1回、所望および可能ならば、1回以上の)炭素鎖C2〜C10アルキル、例えば、C2〜C5アルキル、特に、分枝状C2〜C5アルキル(例えば、イソプピル)または直鎖状C2〜C5アルキル(例えば、エチル)を意味する。用語「C2〜C10」は、最大で10個まで、とりわけ、最大で5個までの炭素原子を有する部分を意味し、前記部分は、分枝状(1回または複数回)または直鎖状であり、末端または非末端炭素を介して結合する。C2〜C10アルキルは、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、またはn−ヘプチル、好ましくはC2〜C5アルキル、特に、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、とりわけ、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、好ましくは、エチル、イソプロピルまたはn−ブチルである。一実施形態において、R4およびR5は、両方ともエチルである。別の実施形態において、R4およびR5は、両方ともブチルである。あるいは、「シクロアルキル」は、R4およびR5アルキルが、例えば、C5またはC6炭素原子の環を形成する場合を意味する。可能なシクロアルキルの一例は、シクロヘキシルである。詳細には、最良の結果を示し、それゆえ本発明において好ましい塩基を、以下に示す。
すなわち、これらの塩基は、それぞれ、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミン、およびN,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンである。本開示において、イソブチルおよび2−メチルプロピルは、互換可能である。本明細書に記述する塩基は、例えば、Liebigs Ann. Chem. 1985, 2178-2193またはLiebigs Ann. Chem. 1974, 1543-1549に記載されている方法に従って、調製することができる。
本発明によれば、塩基は、塩基の存在下で求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させる方法において使用される。本発明の文脈において求核剤は、反応性の求核性部分を有する出発物質である。求核剤および反応性求核部分は、反応において、電子対を求電子剤に供与して、化学結合を形成する任意の化学種である。任意の中性求核剤が、本開示の方法に適している。求核剤は、例えば、酸素求核剤、例えば、水、アルコール、過酸化水素;硫黄求核剤、例えば、硫化水素、チオール(RSH)であり、窒素求核剤としては、アンモニア、アジド、アミン、および亜硝酸イオンが挙げられる。本発明の文脈において、求核剤をアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させて、求核剤にアルキル基を付加する。求核剤との反応は、その後の反応物、中間体、または最終化合物を生成することができる。化合物での反応性の求核性部分は、化合物の唯一の反応性基であり得る。求核剤、すなわち、出発物質は、場合により保護基で保護されている、他の反応性基を有することができる。求核性部分を含む出発物質は、例えば、17g/mol〜10000g/molのモル質量を有することができる。出発化合物が、ポリマーである場合、モル質量は、10000g/molを超える可能性があり、例えば、50000g/molまでであり得る。本発明の方法は、800g/mol〜1500g/molの間、特に、900〜1000g/molの間のモル質量の化合物に有効に適用することができる。特に、本開示の方法は、ラパマイシン(シロリムス)が出発物質として使用された場合に、適用することができる。
本明細書において、「フルオロアルキルスルホネート」は、少なくとも1つのフッ化C1〜C4アルキル成分を含む、式−O−S(O)−フルオロアルキルのスルホネート基を意味する。C1〜C4フルオロアルキル成分が、よりフッ化されているほど、より良い脱離基を形成し、それゆえ、不適切に選択された塩基によってより分解しやすくなることが明らかである。最良の脱離基は、パーフルオロアルキルスルホネートである。好ましい実施形態において、トリフルオロメチルスルホネート、ノナフルオロブチルスルホネート、またはトリフルオロエチルスルホネートが使用される。本開示の方法における求核剤に対するアルキルフルオロアルキルスルホネートのモル比は、典型的には、4〜1.5の間、好ましくは2〜3の間、より好ましくは約2.5である。
アルキルフルオロアルキルスルホネートを形成するためにフルオロアルキルスルホン酸でエステル化されたアルコールのアルキル部分を、先に定義した用語「アルキル」によって表す。アルキルフルオロアルキルスルホネートのアルキル部分(すなわち、アルコール部分)は、さらに置換することができる。一実施形態において、アルキル部分は、官能基で置換され、官能基は、例えば、−OH、−SH、または−NH2基であり得る。官能基が、−OHもしくは−NH2、または任意の他の反応性基である場合、それを保護基に保護させることが最善であり、さもなければ、官能基は、さらなる副反応を引き起こし得る。一実施形態において、アルキルフルオロアルキルスルホネートのアルキル部分は、−OHで置換されたエタンである。主要な実施形態において、−OH基は、保護基によって保護される。好ましい実施形態において、本明細書で使用するアルキルフルオロアルキルスルホネートは、アルキルトリフルオロメチルスルホネート、アルキルノナフルオロブチルスルホネート、またはアルキルトリフルオロエチルスルホネート、特に、アルキルトリフルオロメチルスルホネートである。アルキル部分が、PG−O−エチル−である場合、アルキルフルオロアルキルスルホネートは、式(2)の化合物を形成する。特に、試薬PG−O−エチル−トリフルオロメチルスルホネート、PG−O−エチル−ノナフルオロブチルスルホネート、またはPG−O−エチル−トリフルオロエチルスルホネートを、本開示の方法において使用することができ、特に、試薬は、PG−O−エチル−トリフルオロメチルスルホネートである。保護基は、例えば、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ベンズヒドリル、ジメトキシルトリチルであり得る。保護基を、場合により、以下の参考文献に従って導入することができる。WO2007/124898A1、2007またはOrg. Lett., 2006, 8, 5983-5986に従ってtert−ブチルジメチルシリル;Tetrahedron Lett., 2000, 41, 4197-4200に従ってtert−ブチルジフェニルシリル;J. Med. Chem. 2006, 49, 2333-2338に従ってトリイソプロピルシリル;WO2012/103959A1、2012に従ってジメチル−tert−ヘキシルシリル;Org. Biomol. Chem., 2012, 10, 1300に従ってベンズヒドリル;およびJ. Org. Chem. 1992, 57, 6678-6680に従ってトリチル。上述および下述の反応において、いかなる場合でも、保護基を、たとえ、特に述べていなくても、適切な場合または所望により、所与の反応に関与することを意図するものではない官能基を保護するために使用することができ、適切なまたは所望の段階で導入および/または除去することができる。したがって、保護基の使用を含む反応は、保護および/または脱保護について特に述べられていない反応を本明細書に記述している場合でも、可能ならば含まれる。特に文脈で示されていなければ、本開示の範囲内で、特定の所望の最終生成物の構成成分ではない、容易に除去できる基のみを、「保護基」と示す。そのような保護基による官能基の保護、保護基自体、ならびに、それらの導入および除去に適した反応は、例えば、標準の参考文献、例えば、J. F. W. McOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", Third edition, Wiley, New York 1999、"The Peptides"; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、"Methoden der organischen Chemie" (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。
アルキルフルオロアルキルスルホネートは、分解に敏感であり、潜在的に、求核性出発物質も、用いられる反応条件下で安定でないので、有利には、該方法のために選択される溶媒は、使用されるアルキルフルオロアルキルスルホネートまたは求核剤に対して非反応性であり、用いられる反応条件下で、それ自体、非反応性である溶媒である。概して、溶媒は、非プロトン性有機溶媒、好ましくは、非極性非プロトン性溶媒のような、不活性溶媒であってもよい。そのような非反応性溶媒の例としては、限定されないが、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン、オクタン、それらの混合物などからなる群から選択されるものを含めた脂肪族、環状、または芳香族炭化水素;限定されないがジクロロメタンからなる群から選択されるものを含めた塩素化炭化水素、4〜10個の炭素原子および1〜3個の酸素原子を有する脂肪族(直鎖または分枝状)または環状エーテル、ならびにアルキルニトリル、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、溶媒は、トルエン、トリフルオロメチルトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ヘプタン、ペンタン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、またはそれらの混合物である。より好ましくは、溶媒は、トルエンである。溶媒は、場合によっては、完全に水分をなくすことができ、したがって、乾燥剤によって保存または処理することができる。加えて、溶媒は、例えば、窒素またはアルゴンのような不活性ガスによって脱気することができる。反応の温度は、反応混合物に装入される試薬に応じて調整することができるが、好ましくは、−80℃〜90℃、より好ましくは−50℃〜70℃の範囲となる。最善の反応条件に応じて、反応温度は、−10℃〜25℃、または25℃〜50℃に設定することができる。
好ましくは、反応に使用される溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1−メチル−2−ピロリジンジメトキシエタン、または類似の極性非プロトン性溶媒を含まない。前記極性非プロトン性溶媒は、反応性を高めるために、求核置換反応においてよく使用される。しかし、本発明の方法において、前記溶媒を回避することができる。極性非プロトン性溶媒は、副反応を促進し、それゆえ、アルキルフルオロアルキルスルホネート反応物の分解を促進する。加えて、上に挙げた極性非プロトン性溶媒を含まない溶媒の使用は、人間の健康および環境の利益になる。
本発明の好ましい実施形態
本発明の好ましい実施形態は、医薬品活性成分(API)、特に、エベロリムスの調製のための本発明の方法に関する。アルキルフルオロアルキルスルホネートを含む化学反応で通常使用されている塩基を、本明細書で特定した塩基に替えることによって、エベロリムスなどのAPIを、より効率的な方式で、不純物をあまり含むことなくより高い収率で調製することができることを示した。これらの態様は、APIの不純物プロファイルが特に重要である医薬品の分野で特に重要である。加えて、より良いプロセス効率は、プロセスの規模の拡大を容易にし、その拡大は、要求を満たすことができる生産量につながり得る。
エベロリムスを調製するための方法は、第1に、中間体の保護をもたらすことができ、そこでは、塩基の存在下でラパマイシンをアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させ、ここで、塩基は、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基である。下記の第2のステップのすべての詳細が適用される。
概して、エベロリムスを調製するための方法は、
(a)式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基の存在下で、ラパマイシンを式(2)の化合物
(式中、
・PGは、保護基であり、
・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
と反応させるステップ(下記の第2のステップ)と、
(b)保護基を除去してエベロリムスを得るステップと
を含む。この方法に、式(2)の化合物を調製する第1のステップを加えることができる。
第1のステップにおいて、反応物、すなわち、アルキルフルオロアルキルスルホネートは、先に規定した塩基の存在下でアルコールをフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させる方法によって調製することができる。一般に、他の塩基、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンでも、このステップに使用することができる。そのような方法は、式(2)
(式中、LGは、フルオロアルキルスルホネート、すなわち、式−O−S(O)−フルオロアルキルの脱離基を表し、PGは、保護基である)の化合物の調製を可能する。好ましくは、LGは、トリフルオロメチルスルホネート、ノナフルオロブチルスルホネート、またはトリフルオロエチルスルホネートである。特定の実施形態において、LGは、トリフルオロメチルスルホネートを表す。この反応は、式(3)
(PGは、保護基である)の化合物を、以下の方式でフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させるステップを含む方法によって行うことができる。
好ましい実施形態において、フルオロアルキルスルホン酸無水物は、トリフルオロメチルスルホン酸無水物、ノナフルオロブチルスルホン酸無水物、またはトリフルオロエチルスルホン酸無水物である。特に、フルオロアルキルスルホン酸無水物は、トリフルオロメチルスルホン酸無水物である。フルオロアルキルスルホン酸無水物を選択することによって、−O−S(O)−フルオロアルキルで表される対応するフルオロアルキルスルホネート脱離基(LG)は、式(2)の化合物上で得られる。塩基は、求核性の弱い任意の適切な塩基であり得るが、生成物の安定性を確保するために、反応収率を高めるために、副生成物の形成を低減するために、および精製をより簡単にするために、好ましくは、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基が使用される。特に好ましい塩基は、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミン、またはN,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンである。塩基に対する式(3)の化合物のモル比は、0.5〜2の間、好ましくは0.80〜1の間、より好ましくは約0.9である。該方法における反応温度は、−10℃〜25℃の間、好ましくは約0℃に調整される。使用される溶媒は、上記の溶媒、すなわち、不活性溶媒、例えば、非プロトン性有機溶媒、好ましくは非極性非プロトン性溶媒である。好ましくは、溶媒は、トルエン、トリフルオロメチルトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ヘプタン、ペンタン、アセトニトリル、およびtert−ブチルメチルエーテル、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、溶媒は、トルエンである。
式(2)の化合物を調製する方法で使用される保護基は、上記した通り、当業者が、一般的な教科書的参考文献に基づいて選択する任意の保護基である。以下の保護基すなわち、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ベンズヒドリル、ジメトキシルトリチル、およびジフェニルメチルが、特に好ましく、好ましくは、保護基は、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ジメトキシルトリチル、およびジフェニルメチルからなる群から選択され、より好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、またはtert−ブチルジフェニルシリル、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである。式(2)の化合物を調製するための一般的指針として、手順は、以下のものに類似し得る:
− 溶媒中(0.57M)の保護されたエチレングリコール誘導体(1当量)の溶液に、アミン塩基(1.05〜1.14当量)を添加した。次いで、溶液を0℃まで冷却し、温度を−2℃〜2℃の間に維持するように、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.97〜1.0当量)を滴下添加した。反応物を、周囲温度まで温め、さらに1時間撹拌した。GC−MS分析は、この時間の後、トリフレート形成が完了したことを示した。
式(2)の化合物を調製するための方法は、tert−ブチルジメチルシリルである保護基と、トルエンである溶媒と、N,N−ジイソプロピルエチルアミンである塩基との組合せ、または、tert−ブチルジフェニルシリルである保護基と、トルエンである溶媒と、N,N−ジイソプロピル−ペンタン−3−アミンである塩基との組合せで、最もうまくいく。
第2のステップにおいて、求核剤のラパマイシンは、塩基の存在下で、式(2)の化合物によってアルキル化され、ここで、塩基は、式NR1R2R3(
・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルである)
の塩基である。
特に好ましい塩基は、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミン、またはN,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンである。ラパマイシンを式(2)の化合物と反応させる方法は、上記の非プロトン性有機溶媒において、25℃〜70℃の間、好ましくは、40℃〜50℃の間、特に40℃の温度で最もうまく行われる。特に、該方法は、トルエン、トリフルオロメチルトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ヘプタン、ペンタン、またはそれらの混合物において、うまくいく。反応に最も好ましい溶媒は、トルエンである。方法に適した保護基としては、それらに限定されないが、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ヘキシルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ジメトキシルトリチル、およびベンズヒドリルが挙げられる。反応は、例えば、以下の方法に類似し得る:
− 上述の第1のステップで調製したトリフレート(1.5〜5当量)の溶液に、塩基(1.73〜5.75当量)、その後、ラパマイシン(1当量)を添加した。さらに、溶媒を、洗浄するために使用して、ラパマイシンについて最終濃度を0.11Mにした。反応物を、適切な温度まで加熱し、HPLCによってモニタリングした。
このステップの反応条件の最良の組合せは、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン塩基と、tert−ブチルジフェニルシリル保護基と、トルエンである溶媒との組合せである。第2のステップの上述の特定の条件により選択される最良の温度は、約40℃〜50℃の間である。
反応混合物における保護された中間体は、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製することができる。特に、この技法は、シリルで保護されたエベロリムスの粗製の反応混合物を精製するのに適している。精製に使用される溶媒は、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルなどのエステルと、n−ヘプタン、n−ヘキサン、ヘプタン異性体、ヘキサン異性体、またはそれらの混合物などの非極性脂肪族溶媒との混合物であり得る。これらの溶媒系は、粗製生成物の十分な溶解度、その分離および溶出を確実にする。トルエンおよびメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロパノールおよびエタノールをベースにした系は、次善の溶媒強度、共溶媒の溶解度、またはこれらの溶媒における粗製生成物の溶解度により失敗する。5体積%まで(例えば、1〜5体積%)の極性およびプロトン性共溶媒、例えば、水またはメタノールの添加は、シラノール基の酸性度を弱めることによって、固定相での標的分子の安定性を高める。加えて、反応混合物は、副生成物として形成した塩化合物の沈殿または結晶化によって前処理することができる。その後、副生成物を、シリカゲルに吸着させ、濾過によって除去することができ、その後に、順相シリカゲルクロマトグラフィーに基づいて精製することができる。選択的沈殿(結晶化)および吸着法は、固定相の長期的安定性を改善し、実行と実行の間のうんざりする定置洗浄の必要性、または塩化合物の除去のための、使い捨てフィルターカートリッジによる反応混合物の追加の前処理の必要性を回避することができる。純度の改善は、許容される選択性を示す固定相の選択によって実現される。全体として、反応ステップと反応ステップの間の精製は、出発物質の不純物の化学変換から生じる特定の副生成物の効率的な除去を可能にする。最終化合物の純度は、既にこの段階での前記副生成物の除去の効率にも依存する。
この精製ステップは、重大な不純物エチル−エベロリムスの前駆体を約0.2%のレベルに制御することを可能にする。同時に、それは、精製プロセスの間ずっと、標的生成物の安定性を確実にする。加えて、それは、堅固なプロセスであり、工業環境において、十分な商業的バッチに規模を拡大できる。
エベロリムスの調製における次のステップは、保護基の切断である。したがって、エベロリムスを調製する方法は、
(a)塩基の存在下でラパマイシンを式(2)の化合物と反応させるステップと
(b)保護基を除去してエベロリムスを得るステップと
を含むことができる。エベロリムスを調製する方法は、さらに、得られたエベロリムスを含む医薬組成物を製剤化することに拡大することができる。
保護基の除去は、特に指定がない限り、酸または塩基、好ましくは、保護基の除去を引き起こすが、それと同時に、エベロリムスの化学分解を引き起こさない酸または塩基の非存在下、または通例的にその存在下で、当分野で既知の標準の反応条件、好ましくは、詳述した反応条件下で行うことができる。好ましくは、保護基は、酸で除去される。エベロリムスから保護基を除去するのに特に適した酸は、HF−ピリジン、HF−トリエチルアミン、フッ化アンモニウム、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、またはそれらの組合せであり、好ましくは、酸は、HF−ピリジン、またはヘキサフルオロイソプロパノールである。保護基の除去は、前の反応ステップで使用された同じ溶媒において行うことができる。しかし、溶媒は、保護基の除去を容易にするものに置き換えることができる。例として、保護基は、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトン、ヘプタン、メタノール、アセトニトリル、およびヘキサフルオロイソプロパノールからなる群から選択される溶媒、好ましくは、テトラヒドロフランまたはヘキサフルオロイソプロパノールにおいて除去することができる。保護基は、−78℃〜70℃の間、好ましくは0℃〜70℃の間の温度で除去される。脱保護反応は、場合により周囲温度で、テトラヒドロフラン中のHF−ピリジンで最もうまくいく。
驚くべきことに、特定の保護基は、本明細書に記述する特定の塩基と併用した場合に、全体の反応収率を高めることができることが判明した。そのような保護基は、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ベンズヒドリル、ジメトキシルトリチル、またはジフェニルメチルからなる群から選択することができ、好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、およびジフェニルメチルからなる群、より好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、およびtert−ブチルジフェニルシリルからなる群から選択され、特に、tert−ブチルジフェニルシリルである。トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリチル、ベンズヒドリル、またはジフェニルメチル保護基、好ましくは、tert−ブチルジメチルシリル、またはtert−ブチルジフェニルシリル、特に、tert−ブチルジフェニルシリル保護基との特定の組合せにおける、エベロリムスの調製のための本発明に記述する塩基の選択は、特に、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミン、またはN,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミン塩基、とりわけ、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンと組み合わせた場合に、エベロリムスの調製のための方法を、有利に高い収率で行うことを可能にする。
特定の実施形態において、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンおよび保護基tert−ブチルジフェニルシリルが、本開示による、エベロリムスを調製する方法のために選択される。
別の特定の実施形態において、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンおよび保護基tert−ブチルジメチルシリルが、エベロリムスを調製する方法のために選択される。
さらに別の実施形態において、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンおよび保護基トリチルが、エベロリムスを調製する方法のために選択される。
さらなる実施形態において、塩基N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンが、本開示の方法において、tert−ブチルジフェニルシリル保護基と併用される。N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンは、トリチル保護基と併用することもできる。
加えて、N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンを、本開示の方法において、tert−ブチルジフェニルシリル保護基と併用することができる。N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンとトリチル保護基との組合せも、本開示において特に想定している。N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンおよびN,N−ジイソプロピルノナン−5−アミンは、tert−ブチルジフェニルシリル保護基と一緒に使用することもできる。
脱保護反応が終了した後、後処理プロセスおよび精製が、得られた化合物の物理化学的特性に応じて、適切な場合に選択される。エベロリムスなどの化合物の場合において、反応混合物は、中和され、生成物(例えば、エベロリムス)は、非水混和性有機溶媒によって抽出され、有機相から単離される。単離後、生成物(すなわち、エベロリムス)は、当業者に既知の方法によって、さらに洗浄、乾燥、および精製することができる。本開示の方法における、好ましい保護基と場合により組み合わされる、請求項1に規定する塩基の使用によって、合成生成物の純度はより高い。このことは、必要とされる精製ステップが少なくなることで、精製をより簡易にする。得られた生成物は、さらなる合成のために、または最終製品として使用することができる。例えば、着色剤または酸化防止剤のような添加剤を添加することができる。例えば、エベロリムスの場合のような、生成物がAPIの場合、化合物を、酸化防止剤(例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(ブチルヒドロキシトルオールまたはBHTとしても知られる))でさらに安定化させること、大量に包装すること、および/または医薬組成物に配合することができる。医薬製剤に製剤化することは、一般に、得られたAPI、例えば、エベロリムスと、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤、例えば、適切な担体および/または希釈剤とを混合することを意味する。添加剤としては、それらに限定されないが、増量剤、結合剤、崩壊剤、流動調整剤、滑沢剤、糖もしくは甘味料、香料、保存料、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩、および/または緩衝剤が挙げられる。医薬組成物の形態、および投与経路に応じて、当業者は、適切な添加剤を選択する。医薬製剤の形態は、例えば、コーティング錠もしくは非コーティング錠、カプセル剤、(注射用)液剤、輸液、固形溶液、懸濁物、分散物、固体分散物、クリーム、ゲル剤、軟膏、ペースト剤、吸入粉末剤、フォーム剤、チンキ剤、坐剤、またはステント(もしくはステントの層)であり得る。同様に、当業者は、適切な投与経路を選択する方法を知っている:例えば、APIまたは医薬製剤を、経腸的もしくは非経口的に、または、例えば、ステントの場合のような局所送達について、医療機器を介して投与する。
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明を例示するのに役立つ一方で、反応ステップ、中間体、および/または遊離塩基形態の製品もしくは薬学的に許容されるその塩としての製品の調製方法の好ましい実施形態を示す。
[実施例1]
(TBSまたはtert−ブチルジメチルシリル保護基)
2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)エタノール(8.04g、43.8mmol)のトルエン(55g)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.94g、45.9mmol)を添加した。次いで、その透明な溶液を0℃に冷却し、温度を−2℃〜2℃の間に維持するように、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(11.97g、42.4mmol)を滴下添加した。添加後、洗浄のために、さらにトルエン(5g)を使用した。
30分後、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(7.871g、45.9mmol)を添加し、その後、トルエン(3g)、およびトルエン(18.4g)で洗浄したラパマイシン(10.0g、10.9mmol)を添加した。次いで、反応物を40℃にまで加熱し、この温度で42時間撹拌し、その時点で、HPLC分析によれば、5面積%未満のラパマイシンが残っていた。反応物を、周囲温度に冷却し、次いで、ピリジン(2.6g)を添加して、反応物をクエンチし、さらに30分間撹拌した。反応物を濾過し、酢酸イソプロピルで希釈した。有機溶液を、1Mクエン酸溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液、その後、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、2つに分けた。
この粗製残留物の半分(9.66g)にTHF(100mL)を添加し、次いで、この溶液を、0℃で、HFピリジン溶液(1:1、17.7g)に滴下添加した。洗浄するために、さらにTHF(20mL)を使用した。反応物を、45℃に1.5時間加熱し、次いで、周囲温度に冷却し、酢酸イソプロピル(150g)で希釈した。次いで、反応物を、8%炭酸水素ナトリウム水溶液にゆっくり添加し、さらに、酢酸イソプロピル(250g)で洗浄した。次いで、有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。
残留物を、酢酸イソプロピルで希釈し、ブチルヒドロキシトルオール(BHT;0.2%m/m)を添加し、エベロリムスの収率を、外部標準に対して、HPLC分析によって決定した(2.96g、57%)。
[実施例2]
(TBDPSまたはtert−ブチルジフェニルシリル保護基)
2−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)エタノール(13.1g、43.8mmol)のトルエン(51g)溶液に、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(8.7g、50.3mmol)を添加した。次いで、その透明な溶液を0℃に冷却し、温度を−2℃〜2℃の間に維持するように、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(12.3g、43.8mmol)を滴下添加した。添加後、洗浄のために、さらにトルエン(5g)を使用した。
1.5時間後、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(8.7g、50.3mmol)を添加し、その後、トルエン(3g)、およびトルエン(18g)で洗浄したラパマイシン(10.0g、10.9mmol)を添加した。次いで、反応物を40℃にまで加熱し、この温度で22.5時間撹拌し、その時点で、HPLC分析によれば、5面積%未満のラパマイシンが残っていた。反応物を、周囲温度に冷却し、次いで、ピリジン(1.0mL)を添加して、反応物をクエンチし、さらに30分間撹拌した。反応物を濾過し、酢酸イソプロピルで希釈した。有機溶液を、1Mクエン酸溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液、その後、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。粗製残留物(35.6g)にTHF(240mL)を添加し、次いで、この溶液を、0℃で、HFピリジン溶液(1:1、38.1g)に滴下添加した。反応物を、45℃に3.5時間加熱し、次いで、周囲温度に冷却し、酢酸イソプロピル(300g)で希釈した。次いで、反応物を、8%炭酸水素ナトリウム水溶液にゆっくり添加し、さらに、酢酸イソプロピル(250g)で洗浄した。次いで、有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、酢酸イソプロピルで希釈し、BHT(0.2%m/m)を添加し、エベロリムスの収率を、外部標準に対して、HPLC分析によって決定した(6.81g、65%)。
[実施例3]
(ジメトキシトリチル保護基)
ステップ(a)
2−(ビス(4−メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)エタノール(3.049g、8.366mmol)をトルエン(10.2g)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(1.648g、9.621mmol)、その後、トルエン(0.5g)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.376ml、8.145mmol)、その後、トルエン(1g)を滴下添加した。反応混合物を室温にまで温め、この温度でさらに1時間撹拌した。次いで、さらにN,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(1.648g、9.621mmol)、その後、トルエン(1g)を添加した。次いで、ラパマイシン(2g、2.092mmol)を一度に添加し、トルエン(3.7g)で洗浄した。次いで、反応物を40℃に18時間加熱し、その後、周囲温度に冷却し、ピリジン(0.20g)を添加した。次いで、反応物を30分間撹拌し、酢酸イソプロピル(50mL)で希釈した。次いで、この有機相を、1Mクエン酸(2×40mL)、炭酸水素ナトリウム水溶液(8%、26g)、および最後に水(2×20mL)で洗浄し、その後、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。粗製生成物を、最小量のジクロロメタンに溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(15〜100%のヘプタン中酢酸エチル)によって精製し、所望の生成物を黄色油状物として得た。
ステップ(b)
次いで、この中間体を、アセトン(8.2mL)に溶解し、ヘプタン(9mL)、その後、水(4.6g)を添加した。次いで、二相性混合物を10℃に冷却し、酢酸(3.45mL)を滴下添加した。反応物を、この温度で18時間撹拌し、次いで、酢酸イソプロピル(15g)で希釈し、0℃に冷却した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液(15%、17g)を滴下添加し、相を分離した。水相を、酢酸イソプロピル(2×7.2g)で抽出し、合わせた有機画分を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮し、無色油状物を得た。
外部標準に対する、生成物エベロリムスのHPLC分析は、2つのステップにわたって、381mg、19%の収量・収率を示した。
[実施例4]
(ジメトキシトリチル保護基)
ステップ(a)を上述の通りに実施し、次いで、クロマトグラフィー後に得られた中間体を、ヘキサフルオロプロパノール(26mL)に溶解した。反応物を50℃で1.5時間加熱し、次いで、0℃に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(26mL)でクエンチした。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。外部標準に対する、生成物エベロリムスのHPLC分析は、2つのステップにわたって、621mg、31%の収量・収率を示した。
[実施例5]
(Tert−ブチル−ジフェニルシリル保護基)
ステップ(a)
2−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)エタノール(8.22g、27.3mmol)のトルエン(15g)溶液に、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(5.39g、31.4mmol)を添加した。次いで、その透明な溶液を0℃に冷却し、温度を−2℃〜2℃の間に維持するように、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(7.3g、26.0mmol)を滴下添加した。添加後、洗浄のために、さらにトルエン(5g)を使用した。
1.5時間後、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(5.39g、31.4mmol)を添加し、その後、トルエン(2.5g)、およびトルエン(12.5g)で洗浄したラパマイシン(10.0g、10.9mmol)を添加した。次いで、反応物を45℃にまで加熱し、この温度で21時間撹拌し、その時点で、HPLC分析によれば、5面積%未満のラパマイシンが残っていた。反応物を、周囲温度に冷却し、次いで、ピリジン(1.0mL)を添加して、反応物をクエンチし、さらに30分間撹拌した。反応物を濾過し、酢酸イソプロピルで希釈した。有機溶液を、1Mクエン酸溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液、その後、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。反応混合物を、2つに分け、その一方を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜100%のヘプタン中酢酸エチル)を使用して精製し、黄色油状物を約5.7g得た。
ステップ(b)
ピリジン(12.2g、154.4mmol)を0℃に冷却し、次いで、HFピリジン溶液65%(5.5g)の溶液を30分にわたって滴下添加した。次いで、得られた溶液を、周囲温度に温め、次いで、シリルで保護されたエベロリムス誘導体(5.7g)を、THF(120mL)溶液として、滴下添加した。黄色溶液を、40℃に2時間加熱し、次いで、周囲温度に冷却し、酢酸イソプロピル(150g)で希釈した。次いで、反応物を、8%炭酸水素ナトリウム水溶液(500g)にゆっくり添加し、さらに、酢酸イソプロピル(250g)で希釈した。次いで、有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。残留物を、酢酸イソプロピルで希釈し、ブチルヒドロキシトルオール(BHT:0.2%m/m)を添加し、エベロリムスの収率を、外部標準に対して、HPLC分析によって決定した(ラパマイシンから3.14g、60.0%)。次いで、この材料を、酢酸エチル/ヘプタンから再結晶化し、高い純度のエベロリムスを得た(2.05g、65%)。
[実施例6]
(トリチル保護基)
ステップ(a)
2−(トリチルオキシ)エタノール(10.7g、35.2mmol)のトルエン(42.8g)溶液に、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(7.0g、40.4mmol)を添加した。次いで、その透明な溶液を0℃に冷却し、温度を−2℃〜2℃の間に維持するように、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(10.0g、35.2mmol)を滴下添加した。
2時間後、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン(7.0g、40.4mmol)を反応混合物に添加し、その後、トルエン(14.4g)、およびトルエン(2.4g)で洗浄したラパマイシン(8.24g、8.79mmol)を添加した。次いで、反応物を40℃にまで加熱し、この温度で21時間撹拌し、その時点で、HPLC分析によれば、5面積%未満のラパマイシンが残っていた。反応物を、周囲温度に冷却し、次いで、ピリジン(0.8mL)を添加して、反応物をクエンチし、さらに30分間撹拌した。反応物を酢酸イソプロピルで希釈した。有機溶液を、1Mクエン酸溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液、その後、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濃縮した。反応混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中酢酸エチル)を使用して精製し、黄色油状物を得た(収量・収率、約6.85g、65%)。
ステップ(b)
次いで、トリチルで保護されたエベロリムス誘導体(5.0g、4.165mmol)を、ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、58℃に3.5時間加熱した。次いで、反応物を周囲温度に冷却し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、真空中で濃縮した。この希釈/濃縮の手順をもう1回繰り返し、次いで、粗製生成物を、シリカゲル(25g)で濾過し、ヘプタン/酢酸エチルで溶出させた。ヘプタン/酢酸エチルから再結晶し、所望の生成物を白色結晶として得た(1.60g、40.1%)。外部標準に対する、母液のHPLC分析は、さらに12%の収率のエベロリムスがその中に含まれることを示した。
[実施例7]
塩基選択が与える、反応収率への効果の比較
ステップ1:
ステップ2:
塩基
塩基、保護基、および、アルキルフルオロアルキルスルホネート(すなわち、スルホン酸エステル)/ラパマイシンのモル比の様々な組合せを用いて、反応を、本明細書に記述した通りに行った。使用した溶媒は、必ずトルエンであった。ステップ1において、アルキルフルオロアルキルスルホネートを調製した。ステップ2において、ラパマイシンをアルキル化して、保護されたエベロリムスを調製した。「エベロリムス−PGのHPLC面積」欄は、得られた保護されたエベロリムスのレベルを示す。その後、保護基を切断し、エベロリムスを得た。「粗製エベロリムスの収率」欄は、全体の反応収率を示す。R、R4およびR5は、式(4)および式(5)の化合物の塩基における置換基を指す。例えば、R4=R5=エチルの場合、使用した塩基が、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンであったことを意味する。すべての反応は、95%超の変換をもたらした(5%未満のラパマイシンが残った)ことに留意することが重要である。
HPLC法面積%3:Macherey−Nagel CC 250/4 Nucleosil 120−3 C18 Cat.No.:721666.40、移動相:35分で80:20のメタノール:水から100:0のメタノール:水、流量1mL/分、検出波長=275nm。
収率は、純粋なエベロリムスの、外部標準に対するHPLC分析によって決定した
HPLC法の収率決定:Atlantis−dC18、3.0μm、長さ150mm、内径3.0mm(Waters no.186001307)または同等のカラム、移動相 酢酸アンモニウム試薬+水+メタノール+アセトニトリル(160+160+320+360)(V/V/V/V)、流量1.2ml/分
検出波長=278nm、実行時間=25分
結果は、トリス(2−メチルプロピル)アミンが、本開示によって含まれる2つの塩基(エントリー9、65%、およびエントリー10、61%)と比較して、粗製エベロリムスの実質的により低い収率(エントリー12、47%)を達成することを示す。さらに、本明細書に記述したような立体障害のある塩基の使用は、より小さい数の当量のアルキルフルオロアルキルスルホネートの使用を可能にする(エントリー11、使用したトリフレート2.5当量)。塩基としてのトリス(2−メチルプロピル)アミンと4当量のトリフレートを使用した、エントリー12に記述した反応は、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミンを使用する同様の反応よりも、40℃ではるかに遅く、95%超の変換を得るために、反応が、50℃で実施されなければならないのは、この理由による。明確にするために、もし、トリス(2−メチルプロピル)アミンの存在下の反応が、40℃で行われた場合、同時点で測定される収率は、本開示に規定した塩基の存在下で得られる収率と比較して、ずっと低い。塩基としてのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(エントリー13)で同じ観察を行った。反応を完了させるために、50℃の温度、および合計6当量のアルキルフルオロアルキルスルホネートを必要とした。この手順も、50%の収率で生成物をもたらし、それは、本開示により開示した2つの塩基を使用して得られたもの(エントリー9および10)よりもかなり低い。したがって、本開示に従って使用された塩基は、方法が、より穏やかな条件(すなわち、より低い反応温度)においてさえ、より高い収率を実現することを可能にした。加えて、より良い収率を実現するために、より小さいモル過剰のアルキルフルオロアルキルスルホネートが必要であった。

Claims (9)

  1. 塩基の存在下でラパマイシンをアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、エベロリムスを調製するための方法であって、前記塩基が、式NR1R2R3(
    ・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
    ・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルであり、前記アルキルは、直鎖または分枝状の炭素鎖C2〜C10アルキルである)
    の塩基であり、
    前記アルキルフルオロアルキルスルホネートが、HO−CH −CH −LGまたはPGO−CH −CH −LG(式中、PGは保護基であり、LGはフルオロアルキルスルホネートである)である、方法。
  2. 前記アルキルフルオロアルキルスルホネートのフルオロアルキルスルホネート部分が、少なくとも1つのフルオリドによって置換されているC1〜C4アルキルを含み、前記アルキルフルオロアルキルスルホネートのアルキル部分が官能基で置換されており、前記官能基が保護基で保護されている、請求項1に記載の、ラパマイシンをアルキルフルオロアルキルスルホネートと反応させるステップを含む、エベロリムスを調製するための方法。
  3. 前記保護基を除去するステップをさらに含む、請求項2に記載の、エベロリムスを調製するための方法。
  4. 塩基の存在下で、式(3):
    (式中、PGは、保護基である)
    で示されるアルコールをフルオロアルキルスルホン酸無水物と反応させることによって、式(2):
    (式中、
    ・PGは、保護基であり、
    ・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
    で示されるアルキルフルオロアルキルスルホネート化合物を調製するための方法であって、
    前記塩基が、式NR1R2R3(
    ・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
    ・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5が、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルであり、前記アルキルは、直鎖または分枝状の炭素鎖C2〜C10アルキルである)
    の塩基である、方法。
  5. (a)塩基の存在下でラパマイシンを式(2)
    (式中、
    ・PGは、保護基であり、
    ・LGは、フルオロアルキルスルホネートである)
    の化合物と反応させるステップと、
    (b)保護基を除去してエベロリムスを得るステップと
    を含み、前記LGが、トリフルオロメチルスルホネート、トリフルオロエチルスルホネート、またはノナフルオロブチルスルホネートである、請求項1から3のいずれか1項に記載の、エベロリムスを調製するための方法。
  6. アルキルフルオロアルキルスルホネートを含む化学反応における、式NR1R2R3(式中、
    ・R1およびR2は独立に、2−メチルプロピルまたはイソプロピルであり、
    ・R3は、−CH(R4)(R5)であり、ここで、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルであり、前記アルキルは、直鎖または分枝状の炭素鎖C2〜C10アルキルである)
    を有する塩基のエベロリムスの調製における使用であって、
    前記アルキルフルオロアルキルスルホネートが、HO−CH −CH −LGまたはPGO−CH −CH −LG(式中、PGは保護基であり、LGはフルオロアルキルスルホネートである)である、使用
  7. 前記塩基が、式(4)
    (式中、R4およびR5は、場合により連結して環を形成する、同一のまたは異なるアルキルであり、前記アルキルは、直鎖または分枝状の炭素鎖C2〜C10アルキルである)
    または、前記塩基が、式(5)
    (式中、Rは、アルキルである)
    を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の方法、または請求項6に記載の使用。
  8. 前記塩基が、N,N−ジイソプロピルペンタン−3−アミン、N,N−ジイソプロピルノナン−5−アミン、N,N−ジイソブチル−2,4−ジメチルペンタン−3−アミンであり、前記保護基が、tert−ブチルジフェニルシリル、ジメチルtert−ヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、およびトリチルからなる群から選択される、請求項2からのいずれか1項に記載の化合物を調製するための方法、または請求項に記載の使用。
  9. 請求項1から3およびまたはに従ってエベロリムスを調製するステップと、前記エベロリムスを、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤と混合するステップとを含む、医薬製剤を調製するための方法。
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