JP6570955B2 - ホッパ及び組合せ計量装置 - Google Patents

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Description

本発明は、上部開口から被計量物を受け入れ、下部開口に沿ってシャッタを摺動状態で開閉して被計量物の貯留及び排出を制御するホッパと、複数台の前記ホッパを組み合わせることにより、計量済みの被計量物を選択的に排出・集合させて所望重量の被計量物を得る組合せ計量装置に係り、特に、下部開口を開くシャッタと共に移動した被計量物がホッパ本体の内側面に付着する不都合を解消したホッパ及び該ホッパを利用した組合せ計量装置に関するものである。
下記特許文献1に開示された発明は、複数のホッパに供給された被計量物を計量し、計量結果に基づいて選定した被計量物をホッパから選択的に排出・集合させる組合せ計量装置に関するものである。この組合せ計量装置のホッパは、上下に開口を有するホッパ本体と、ホッパ本体の下部開口の縁部に接触した状態で開口平面に沿って直線方向にスライドして下部開口を開閉するすり切り方式のシャッタを備えており、特に前記スライド方向と直交しない方向の溝をシャッタの上面に設けたことを特徴としている。この発明によれば、粘着性のある被計量物を取り扱う場合であっても、シャッタに設けた溝の効果により、シャッタに被計量物が付着しにくくなるものとされている。
特開平9−184751号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された組合せ計量装置のホッパによれば、シャッタに設けた溝のためにシャッタに被計量物が付着しにくくなる効果は得られるとしても、ホッパ本体の内側面に被計量物が付着して落下しにくくなる不具合は解消することができなかった。すなわち、ホッパ本体の下部開口に接した状態で開閉を行うすり切り方式のシャッタにおいて、ホッパ本体内にある被計量物を落下させるためには、シャッタの上に被計量物を載せた状態でシャッタを高速度で開方向に移動させ、被計量物をシャッタから引き剥がすようにして落下させなければならない。しかし、シャッタがこのように動作した場合、ホッパ本体の内側面のうち、シャッタが下部開口に出没する側にあたる部分に、シャッタとともに高速度で移動した被計量物が強く押し付けられるため、付着して落下しにくくなってしまう場合があるという問題があった。
本発明は、上に説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、ホッパ本体の下部開口の端面に接した状態で開閉を行うすり切り方式のシャッタを有するホッパにおいて、シャッタを開く際にシャッタと共に移動した被計量物をホッパ本体の内側面に付着しにくくすることを目的としている。
請求項1に記載されたホッパ11,12,13は、
上部開口16から被計量物Wが供給されて下部開口17から被計量物Wを排出し、内壁に上下方向の縦溝18が設けられたホッパ本体15と、
前記下部開口17に沿って移動可能に設けられて前記下部開口17を開閉するシャッタ22と、
を具備するホッパ11,12,13であって、
前記ホッパ本体15の下部開口17を囲む内側面のうち、前記シャッタ22が前記下部開口17に出没する側にあたる部分が、前記下部開口17に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面40とされ、前記シャッタが前記下部開口17に出没する側にあたる部分の反対側の部分が、垂直面42とされたことを特徴としている。
請求項2に記載されたホッパ11,12,13は、請求項1記載のホッパ11,12,13において、
前記傾斜面40と鉛直面の間の角度が10°以下であることを特徴としている。
請求項3に記載された組合せ計量装置1は、
複数台の請求項1記載のホッパ11,12,13が高さ方向に並べて配置され、被計量物Wを順次下方に落下させて最下部の前記ホッパ13に計量済みの被計量物Wが収納されるように構成した単位計量部10を複数備えており、
複数の前記単位計量部10から計量済みの被計量物Wを選択的に排出して集合させることにより所望の重量の被計量物Wを得ることを特徴としている。
請求項1に記載されたホッパによれば、ホッパ本体の下部開口をシャッタが閉止している状態において、上部開口から被計量物を投入すると、被計量物はホッパ本体内でシャッタの上に載る。この状態で下部開口が開く方向にシャッタを移動すると、シャッタの上に載った被計量物はシャッタと共に移動してホッパ本体の内側面に押し付けられる。ここで、ホッパ本体の内側面のうち、シャッタが下部開口に出没する側にあたる部分は、下部開口に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面となっている。すなわち、下部開口の下方から鉛直上方を見上げる視線を想定した場合、その視線は前記内側面と平行ではなく、当該傾斜面を直接視認するものとなる。このため、シャッタの駆動力で傾斜面に押し付けられた被計量物には、傾斜面からの反力で斜め下方に向けた力が働くとともに、重力も作用し、被計量物は傾斜面に付着せずに剥がれて下部開口から下方に落下する。
このホッパによれば、傾斜面の傾斜角度、すなわち傾斜面と鉛直面の間の角度がある一定の値よりも大きくなると、傾斜面とシャッタのなす角度が鋭角に近づき、下部開口に沿って移動するシャッタと傾斜面との間の隙間が大きくなる。従って、シャッタが下部開口を開放する動作に伴い、この隙間に被計量物が挟まって圧縮されるため、被計量物が傾斜面に強く付着してしまう。しかもシャッタが開閉する速度は一般的に非常に速いため、先に説明した傾斜面からの反力等にも係わらず、被計量物は傾斜面から剥がれて落下する機会を失い、落下しない場合が生じるようになる。
請求項2に記載されたホッパによれば、ホッパ本体の内側面の下部に設けた傾斜面と、仮想的な鉛直面との間の角度を、本願発明者が実験から決定した値である10°以下とした。このため、シャッタが下部開口を開放した際、被計量物がシャッタと傾斜面の隙間に挟まって傾斜面に強く付着し落下しにくくなる不具合が発生することはなく、シャッタの開放により前述した作用で被計量物を確実に落下させることができる。
請求項3に記載された組合せ計量装置によれば、上述したホッパを高さ方向に並べて配置した単位計量部を複数備えており、複数の単位計量部から計量済みの被計量物を選択的に排出・集合させて所望の重量の被計量物を得ることができる。このような組合せ計量装置において、各単位計量部の各ホッパは、少なくとも受け入れた被計量物を計量し、計量済みの被計量物を排出を控えて保持する等の機能を有している必要がある。ここで、各ホッパは、被計量物がホッパ本体に付着しにくいため、最終的に排出された被計量物の重量と測定値との誤差が少なく、可及的に正確な組合せ計量を実現することができる。
本発明の第1実施形態である組合せ計量装置の全体斜視図である。 第1実施形態である組合せ計量装置において3個のホッパを有する単位計量部の側面図である。 第1実施形態におけるホッパのホッパ本体の側面図である。 第1実施形態におけるホッパのホッパ本体の平面図である。 第1実施形態におけるホッパのホッパ本体の底面図である。 図4のA−A切断線における断面図である。 図4のB−B切断線における断面図である。 第1実施形態におけるホッパの効果を示す実験データのグラフである。 第1実施形態におけるホッパの効果を示す実験データのグラフである。 第2実施形態のホッパ本体を図4のA−A切断線と同様の切断線で切断した場合の断面図である。 第3実施形態のホッパ本体を図4のA−A切断線と同様の切断線で切断した場合の断面図である。
本発明の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の組合せ計量装置1を示している。組合せ計量装置1は、設置面上に設置される基台2と、基台2の上に取り付けられ、後述する各種構成部分が取り付けられる略直方体状の筐体3を本体フレームとしている。
図1に示すように、筐体3の上面の前方側には、複数(この例では10個)の振動搬送トラフ4が互いに平行に並べられ、前方に向けて下向きに傾斜して取り付けられている。振動搬送トラフ4は樋状に形成された断面コ字状の部材である。図示はしないが、筐体3の内部であって、各振動搬送トラフ4と対応する前方上方の位置には、複数(この例では10個)の電磁式の振動装置が横方向に一定間隔で一列に並んで配置されている。各振動装置は、筐体3の上面に形成された貫通孔を介して各振動搬送トラフ4にそれぞれ連結されている。各振動装置は、筐体3の後方斜め上方と前方斜め下方との間で各振動搬送トラフ4を往復して振動させることにより、振動搬送トラフ4上の被計量物を前方へと振動搬送する。
図1に示すように、筐体3の上面には、筐体3の上面よりも一回り小さい面積である平板状の被計量物投入テーブル5が筐体3の上面との間に所定の間隔をおいて支持台6を介して取付けられている。被計量物投入テーブル5は、その後方側が水平で、その前方側が振動搬送トラフ4の後端部の上方に位置しており、振動搬送トラフ4の傾斜に沿ってほぼ平行に下方へ向くように傾斜している。この一連に連なった水平底板部5a及び傾斜底板部5bの長方形状の外周に沿って、縁板5cがほぼ直角方向に取付けられており、被計量物投入テーブル5の内部に必要量の被計量物を積載することができる。
図1に示すように、被計量物投入テーブル5の傾斜底板部5bには、各振動搬送トラフ4に対応した位置に、被計量物を各振動搬送トラフ4へ落下させるための開口部7がそれぞれ設けられている。開口部7は、横方向の幅が振動搬送トラフ4の幅よりやや狭く、且つ、縦方向の長さが、振動搬送トラフ4の底板の長手方向の上端よりやや下方から、振動搬送トラフ4の長手方向のほぼ中央までの長さの長方形状に形成されている。
図1に示すように、この長方形状の開口部7の長手方向に平行な縁部には、ガイド縁部7aが下方に延設されている。このガイド縁部7aは、下方の振動搬送トラフ4の側板よりも下方に達しているため、開口部7からから下方に落下した被計量物は振動搬送トラフ4の外へこぼれることなく、確実に振動搬送トラフ4内に落下する。
図1に示すように、この開口部7の縦方向の前端は、傾斜底板部5bの前側の縁板5cの下端から上端近傍に達する位置まで設けられている。このように前側の縁板5cにまで開口部7を連続させれば、作業者はこの縁板5cの開口部7から振動搬送トラフ4の前方部分を見通して振動搬送トラフ4内の被計量物の存在の有無を確認することができ、その開口部7へ被計量物を投入すべきか否かの判断をすることが容易となる。
被計量物投入テーブル5の最も高い位置である水平底板部5aの上には、図示しないシュート、コンベヤあるいは人手によって被計量物が供給される。この水平底板部5a上の被計量物を作業者が前方へ押し出し、各開口部7へと押し込むか、あるいは手投入して、各振動搬送トラフ4へ供給する。
図1及び図2に示すように、各振動搬送トラフ4の前端の下方、かつ筐体3の前面3aには、単位計量部10が設けられている。この実施形態では、振動搬送トラフ4は10系列あるため、単位計量部10も振動搬送トラフ4ごとに設けられて10基となっている。この単位計量部10は、以下に説明するように複数のホッパから構成されるものであり、振動搬送トラフ4の前端から落下した被計量物を収容し、これを計量し、計量後の被計量物を組合せ計量の排出タイミングを図りつつ保持する装置である。
図1及び図2に示すように、単位計量部10は、振動搬送トラフ4から落下して供給される被計量物を収容するプールホッパ11と、各プールホッパ11の下方に設けられ、各プールホッパ11から落下した被計量物を収容して計量する計量ホッパ12と、各計量ホッパ12の下方に設けられ、各計量ホッパ12から落下した被計量物を収容するタイミングホッパ13とを有している。
図3〜図5に示すように、プールホッパ11のホッパ本体15は、上面と下面が略四角形に開口した中空角筒状に合成樹脂で形成されている。ホッパ本体15は、上部開口16よりも下部開口17がやや小さくなっており、図4に示すように、ホッパ本体15の内壁には被計量物が粘着しにくいように上下方向の縦溝18が設けられている。ホッパ本体15は、下部開口17に沿って前後方向に鍔部19が延設されている。なお、鍔部19は総称であり、前後に張り出した形状の異なる鍔部の一方を鍔部19a、他方を鍔部19bと称する。図1及び図2に示すように、筐体3の前面には、5基の単位計量部10ごとに取り付け用の枠体20が前方に突出して取り付けられているが、ホッパ本体15は該枠体20に対し鍔部19において固定ピン21をもって取り付けられている。
図6及び図7に示すように、ホッパ本体15の下部開口17には、略長方形の平板状であり、ホッパ本体15の下部開口17を塞ぐサイズのシャッタ22が、下部開口17に接して配置されている。本実施形態の各ホッパ11,12,13は、平板状のシャッタ22がホッパ本体15の下部開口17を囲む周状の底面に接触した状態で開口平面に沿って前後方向に直線的にスライドし、下部開口17を開閉するタイプであり、このタイプをすり切り方式と称する。なお、このすり切り方式であるシャッタ22の具体的な案内構造及び駆動機構は任意の構造で構成できるが、以下にその一例を説明する。
図2に示す筐体3の内部には、図示しないシリンダが配置されている。このシリンダのロッド23は、筐体3の前面3a(図1参照)を貫通して突出しており、ホッパ本体15の下部開口17をすり切り式に開閉する前記シャッタ22の後端に連結されている。図1及び図2に示すように、筐体3の前面3aと、枠体20の前板20aとの間には、シャッタ22を案内保持する部材として、互いに平行に一対のガイド軸24,24が渡設されており(図2では奥側の一方のガイド軸24のみが現れている。)、シャッタ22は一対のガイド軸24,24の上にスライド自在に配置されている。従って、シリンダを駆動すれば、シャッタ22は、その上面とホッパ本体15の下部開口17の平面とが一致した状態で、ガイド軸24に沿って前後方向にスライドし、ホッパ本体15の下部開口17を開閉することができる。
図6に示すプールホッパ11のように、又は図2に示す後述するタイミングホッパ13のように、シャッタ22の前端がホッパ本体15の一方の鍔部19bの位置にくるまでシリンダがシャッタ22を筐体3の方向に引き込めば、ホッパ本体15の下部開口17はすり切り式に開かれる。また図6とは逆に、図2に示すプールホッパ11のように、シャッタ22の前端が他方の鍔部19aの位置にくるまでシリンダがシャッタ22を押し出せば、下部開口17はすり切り式に閉じられる。
プールホッパ11の下方にある計量ホッパ12のホッパ本体15は、プールホッパ11のホッパ本体15と同一形状である。計量ホッパ12のホッパ本体15は、図2に示すように、プールホッパ11のホッパ本体15と前後の向きが逆になる向きに支持されている。
図1及び図2に示すように、筐体3の前面に配置された円板状の連結板25には、ホッパ支持体26(図2参照)が着脱自在に連結されている。このホッパ支持体26には、前方に向かって一対のガイド軸24,24が互いに平行に取り付けられている(図2では、図1における各一対のガイド軸のうちの奥側の1本のガイド軸24、すなわち手前側の1本のガイド軸24のみが現れている。)。このホッパ支持体26には、ホッパ本体15が取り付けられており、また、ガイド軸24とホッパ本体15の間にはシャッタ22が配置されている。シャッタ22のサイズ等はプールホッパ11の場合と同一である。シャッタ22は、筐体3内に設けられて連結板25に接続された図示しないシリンダに連結されており、その上面とホッパ本体15の下部開口17とを一致させた状態で、シリンダの駆動力によってガイド軸24に沿って前後方向に直線的にスライドすることができる。
図2に示す連結板25は、筐体3内に計量器として固定された図示しないロードセルに支持されているので、このロードセルには、計量ホッパ12のホッパ本体15、ホッパ支持体26、ガイド軸24、シャッタ22、筐体3内のシリンダ、連結板25等の各荷重が定常的に加わり、この定常負荷にホッパ本体15内の被計量物Wによる荷重が付加されることになる。
図2に示すように、計量ホッパ22において、シャッタ22の前端が、ホッパ本体15の前側にある他方の鍔部19bの位置にくるまで、シリンダがシャッタ22を引き込めば、下側開口17はすり切り式に閉じられる。また図示はしないが、図2とは逆に、シャッタ22の後端が、ホッパ本体15の前側にある他方の鍔部19bの位置にくるまで、シリンダがシャッタ22を筐体3から離れる方向に押し出せば、ホッパ本体15の下部開口17はすり切り式に開かれる。
各計量ホッパ12の下方に設けられたタイミングホッパ13は、先に説明したプールホッパ11と全く同一の構成であるので、その説明は省略する。
図1に示すように、横方向に並んだ複数の単位計量部10の各タイミングホッパ13の下方には、2つのコンベア30が同一線状に沿って所定間隔をおいて左右に配置されている。左側のコンベア30は左側5個のタイミングホッパ13から排出される被計量物Wを受けて右端に搬送し、右側のコンベア30は右側5個のタイミングホッパ13から排出される被計量物Wを受けて左端に搬送する。
図1に示すように、2つのコンベア30,30の隙間の下方には、漏斗状の集合シュート31が設けられている。集合シュート31は、筐体3の前面から前方へ平行に突設された一対の支持材によって前方への引出しが自在な状態で支持されている。左右のコンベア30,30によって集められた被計量物Wは、集合シュート31によって一カ所に集められ、包装等の次工程に送られる。
以上の構成によれば、被計量物W投入テーブル5に被計量物Wを投入すれば、被計量物Wは、開口部7から振動搬送トラフ4へ落下し、振動搬送トラフ4の振動により先方に送られ、振動搬送トラフ4の前端からそれぞれ対応する単位計量部10のプールホッパ11へ落下収納される。被計量物Wは、プールホッパ11のシャッタ22が開くと、その下方の計量ホッパ12へ落下収納されて計量され、さらにタイミングホッパ13に落下して組合せ計量に適したタイミングで行われるシャッタ22の開放を待つ。組合せ計量に適した重量の組合せ、すなわち合計すれば所望の重量を得ることができる計量ホッパ12の組合せが選択されると、選択された単位計量部10のタイミングホッパ13のシャッタ22が開き、各タイミングホッパ13からの被計量物Wが被計量物Wコンベア30へ落とされ、中央の集合シュート31でひとまとまりに集合し、これにより所望重量の被計量物Wが得られる。
以上説明した実施形態の組合せ計量装置1では、単位計量部10を構成するプールホッパ11、計量ホッパ12、タイミングホッパ13は、同一形状のホッパ本体15を有するものとしたが、このホッパ本体15は、以下に説明するように本発明に固有の特殊な構造を備えており、そのため、前述したすり切り式のシャッタ22が下部開口17を開く際に、「発明が解決しようとする課題」で説明した被計量物Wがホッパ本体15の内側面に付着する不都合を解消している。
以下、ホッパ本体15の構造及びする切り式のシャッタ22との関係等について説明する。
図6は、シャッタ22とホッパ本体15との配置関係からみると、図2に示した単位計量部10におけるプールホッパ11又はタイミングホッパ13を示しているが、ホッパ本体15の下部開口17にシャッタ22が出没する位置とホッパ本体15の向きとの関係で見れば、ホッパ本体15の向きがプールホッパ11又はタイミングホッパ13とは左右反対である計量ホッパ12を意味しているとも言える。
図6に示すように、実施形態では、ホッパ本体15の内側面のうち、シャッタ22が下部開口17に出没する側にあたる部分(図中左側の部分)が、下部開口17に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面40となっている。図6に示すように、このホッパ本体15は下部開口17の長径が100mm、高さが100mmであるが、傾斜面40の部分は高さで21mmであり、その傾斜角度、すなわち仮想的な鉛直面と傾斜面40との間の角度は、5°である。なお、この傾斜面40よりも上の部分(高さにして79mm)は、上部開口16に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面41となっており、上方に向けて広がっていることは先に説明した通りである。なお、ホッパ本体15の内側面のうち、シャッタ22が下部開口17に出没する側にあたる部分と反対側の部分(図中右側の部分)は、全高100mmのうち略半分までが垂直面42となっており、これより上は上部開口16に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面43となっている。
ホッパ本体15の下部開口17をシャッタ22で閉止している時、上部開口16から被計量物Wを投入すると、被計量物Wはホッパ本体15内でシャッタ22の上に載る。ここで下部開口17が開く方向にシャッタ22を移動すると、シャッタ22の上に載った被計量物Wはシャッタ22と共に移動してホッパ本体15の内側面に押し付けられる。被計量物Wが押し付けられるホッパ本体15の内側面は、下部開口17に向けて広がる傾斜面40となっている。すなわち、下部開口の下方から鉛直上方を見上げる視線を想定した場合、その視線は前記内側面と平行ではなく、当該傾斜面を直接視認するものとなる。このため、シャッタ22の駆動力で被計量物Wが傾斜面40に押し付けられても、この被計量物Wには傾斜面40からの反力で斜め下方に向けた力が働くとともに、重力も作用し、これらの力は総合して被計量物Wを傾斜面40から剥がそうとする方向に働く。よって、被計量物Wは傾斜面40に付着することなく、剥がれて下部開口17から下方に落下することができる。
しかしながら、このようなホッパにおいて、傾斜面40の傾斜角度、すなわち傾斜面40と鉛直面の間の角度については、効果が得られる限界又は有効な範囲が認識できる。
図8及び図9は、第1実施形態におけるホッパの効果を示す実験データのグラフである。この実験は、傾斜面40の有効な傾斜角度の範囲を確定するために行ったものであり、シャッタ22を閉めた計量ホッパ12のホッパ本体15に所定の計量サンプルである被計量物Wを質量ランダムに投入して計量を行い、質量表示値を記録する。次にこれを排出して風袋引きした容器で受けて測定秤で質量を測定し、投下質量値を得る。そして、質量表示値と投下質量値の重量差を算出する。この試行を20回行い、横軸を前記重量差(g)、縦軸を試行回数としてヒストグラムを表す。
図8に結果を示す第1実験では、傾斜角度が0°(内側面が垂直、すなわち従来例としての標準品)、5°、10°の3つのホッパ本体15(対象物)について、また図9に結果を示す第2実験では、傾斜角度が5°、10°、15°の3つのホッパ本体15(対象物)について、それぞれ規定回数だけ行った。被計量物Wの種類及びコンディションは全対象物、全試行について同一であり、ここでは豚バラベーコン短冊切り(幅20〜30mm×厚さ1.5mm×長さ35〜40mm)、袋開封後短冊切り、ほぐし完了まで80分とした。
図8に示す実験の結果では、傾斜角度5°では80%が±0.1gの範囲に収まっており、傾斜角度10°でも、傾斜角度5°の結果に比べれば不安定さはあるが、80%が±0.1gの範囲に収まっている。これに対し、標準品(従来例)では、70%しか±0.1gの範囲に収まらない上、被計量物Wの付着が3回も確認された。
図9に示す実験の結果では、傾斜角度5°では90%が±0.1gの範囲に収まっており、傾斜角度10°でも90%が±0.1gの範囲に収まっている。これに対し、傾斜角度15°では、±0.1gの範囲に収まったのは85%であった。
傾斜面40の傾斜角度がある一定の値よりも大きくなると、傾斜面40とシャッタ22のなす角度が鋭角に近づき、下部開口17に沿って移動するシャッタ22と傾斜面40との間の隙間が大きくなる。従って、シャッタ22が下部開口17を開放する動作に伴い、この隙間に被計量物Wが挟まって圧縮されるため、被計量物Wが傾斜面40に強く付着してしまうと考えられる。しかもシャッタ22が開閉する速度は一般的に非常に速いため、先に説明した傾斜面40からの反力等にも係わらず、被計量物Wは傾斜面40から剥がれて落下する機会を失い、落下しない場合が生じるようになると考えられる。
しかしながら、先述した実験結果によれば、少なくともこの実験条件下では、前記傾斜面40の傾斜角度を10°以下とした場合、すり切り式のシャッタ22を開いた場合に被計量物Wがホッパ本体15の内側面に付着する不都合を有意に解消することができるものと判断できる。すなわち、シャッタ22が下部開口17を開放する動作を行った場合、この隙間に被計量物Wが挟まれて圧縮され、傾斜面40に付着する作用よりも、被計量物Wが傾斜面40から剥がれ落ちようとする作用の方が強くなり、被計量物Wが傾斜面40から剥がれて落下するものと考えられる。
以上説明した第1実施形態では、図6に示すように、下部開口17に向けて広がる傾斜面40と、上部開口16に向けて広がる傾斜面41が、尖った稜線45を以て交わる形態を特徴としていた。しかしながら、下部開口17に向けて広がる傾斜面40と、上部開口16に向けて広がる傾斜面41との接続態様はこれに限定されるものではない。
図10に示す第2実施形態は、基本的に図6に示した第1実施形態と同様の寸法、形状である下部開口17に向けて広がる傾斜面40と、上部開口16に向けて広がる傾斜面41を有しているが、両傾斜面40,41の境界が、高さ方向の寸法が5mmの垂直面46となっている点が異なる。
図11に示す第3実施形態も、基本的には図6に示した第1実施形態と同様の寸法、形状である下部開口17に向けて広がる傾斜面40と、上部開口16に向けて広がる傾斜面41を有しているが、両傾斜面40,41の境界が、R10の面取り部(曲面加工部)47として加工されている点が異なる。
第2及び第3実施形態とも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、以上説明した第1ないし第3実施形態のホッパ本体15を備えたホッパを有する組合せ計量装置1によれば、先に説明した組合せ計量において被計量物Wの計量精度を高くすることができるという効果が得られる。
1…組合せ計量装置
10…単位計量部
11…ホッパとしてのプールホッパ
12…ホッパとしての計量ホッパ
13…ホッパとしてのタイミングホッパ
15…ホッパ本体
16…上部開口
17…下部開口
22…シャッタ
W…被計量物

Claims (3)

  1. 上部開口(16)から被計量物(W)が供給されて下部開口(17)から被計量物を排出し、内壁に上下方向の縦溝(18)が設けられたホッパ本体(15)と、
    前記下部開口に沿って移動可能に設けられて前記下部開口を開閉するシャッタ(22)と、
    を具備するホッパ(11,12,13)であって、
    前記ホッパ本体の下部開口(17)を囲む内側面のうち、前記シャッタが前記下部開口に出没する側にあたる部分が、前記下部開口に向けて広がる方向に傾斜した傾斜面(40)とされ、前記シャッタが前記下部開口に出没する側にあたる部分の反対側の部分が、垂直面(42)とされたことを特徴とするホッパ(11,12,13)。
  2. 前記傾斜面(40)と鉛直面の間の角度が10°以下であることを特徴とする請求項1記載のホッパ(11,12,13)。
  3. 複数台の請求項1記載のホッパ(11,12,13)が高さ方向に並べて配置され、被計量物(W)を順次下方に落下させて最下部の前記ホッパに計量済みの被計量物が収納されるように構成した単位計量部(10)を複数備えており、
    複数の前記単位計量部から計量済みの被計量物を選択的に排出して集合させることにより所望の重量の被計量物を得ることを特徴とする組合せ計量装置(1)。
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