JP6570800B2 - 目標追尾装置 - Google Patents

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    • G01S13/66Radar-tracking systems; Analogous systems

Description

この発明は、航空機や飛しょう体等の目標を観測するためのレーダやカメラ等のセンサの受信信号から、目標の個数及び各目標の運動諸元を推定する目標追尾装置に関するものである。
従来より、センサ受信信号の時系列から、目標の個数及び運動諸元(位置、速度、加速度等の運動を特徴付ける値)を推定する技術が複数知られている。なお、ここで、センサ受信信号とは、センサによって取得された目標の観測情報を指し、例えばレーダにおける目標からの反射電波強度であり、また例えば赤外線カメラにおける各画素における光量である。
従来、このような目標追尾装置として、例えば、1個の目標が2個の目標に分離する場合を想定した技術として、前提とする目標の個数及び前提とする運動モデルが異なる追尾アルゴリズムを複数並列し、センサ受信信号の時系列から得られた各追尾アルゴリズムの結果を混合し、目標の個数及び運動諸元を推定する技術があった。
Y. Bar-Shalom, K.C. Chang, H.A.P. Blom, "Tracking of Splitting Targets in Clutter Using an Interacting Multiple Model Joint Probabilistic Data Association Filter, " Proceedings of the 30th Conference on Decision and Control, pp.2043-2048, Brighton, Dec. 1991.
しかしながら、上記非特許文献1に記載された技術では、分離前を仮定したモデルと、分離後を仮定したモデルとを並列に実行することにより、演算量が大きくなるという課題があった。例えば非特許文献1で開示されている技術では、初めに1個の目標が2個に分離しその後は2個を維持する場合、最低でも「目標数1を維持」「目標数1から2へ増加」「目標数2を維持」といったように、目標個数が維持及び増減する場合の数と同数の追尾アルゴリズムを並列実行する必要がある。その結果、目標個数の変動が複雑なほど演算量が組み合わせ的に増大するという課題があった。
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、出現する位置、移動速度、出現する時刻、消滅する時刻が未知、かつ目標が未知の時刻に分離する場合において、目標の個数及び各目標の運動諸元を、少ない演算量で推定することのできる目標追尾装置を提供することを目的とする。
この発明に係る目標追尾装置は、過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に、現在時刻の第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標と異なる第2目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻の第2目標の運動諸元確率分布を予測する第2目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標が観測領域内に存在する確率と第2目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、第1目標運動諸元予測部と第2目標運動諸元予測部と存在確率予測部の出力と目標検出信号情報とを基に、現在時刻の第1目標と第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率と第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えたものである。
この発明に係る目標追尾装置は、過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に現在時刻の第1目標の運動諸元確率分布を予測すると共に、過去の時刻の第1目標と異なる第2目標の運動諸元確率分布を基に現在時刻の第2目標の運動諸元確率分布を予測し、これらの予測結果を用いて、現在時刻の第1目標と第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率と第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出するようにしたものである。これにより、目標の個数及び各目標の運動諸元を少ない演算量で推定することができる。
この発明の実施の形態1の目標追尾装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1の目標追尾装置を適用する観測条件を示す説明図である。 この発明の実施の形態1の目標追尾装置のハードウェア構成図である。 この発明の実施の形態1の目標追尾装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1の目標追尾装置の更新処理部の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1の目標追尾装置の存在確率予測部における第1目標と第2目標の存在確率の予測値を算出する際に前提とする確率過程を表す状態遷移図である。 この発明の実施の形態2の目標追尾装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態2の目標追尾装置における第2〜N目標運動諸元予測部の構成図である。 この発明の実施の形態2の目標追尾装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3の目標追尾装置を示す構成図である。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
以下の説明においては、一例としてこの発明の実施の形態1に係る目標追尾装置を、未知の時刻に出現する1個の目標が、ある時刻において別の目標1個を分離射出する場合を対象として適用したものとする。
なお以降では、分離する側の目標を「第1目標」、分離される側の目標を「第2目標」と記載する。すなわち、ある時刻に第1目標が出現し、その後ある時刻に第1目標が第2目標を分離射出する場合について目標追尾装置を適用した場合について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る目標追尾装置とその周辺装置の構成図である。
図1に示すように、目標追尾装置100はセンサ200から入力を受け、表示器300に出力を送る。目標追尾装置100は、第1目標運動諸元予測部1、第2目標運動諸元予測部2、存在確率予測部3、更新処理部4、推定値算出部5を備えている。
なお、以降では、センサ200が目標追尾装置100に入力する時間の区切りを「時刻フレーム」と記載し、処理において最新の時刻フレームを「現時刻フレーム」、現時刻フレームから1時刻フレーム過去の時刻フレームを「前時刻フレーム」と称する。
図2は、実施の形態1に係る目標追尾装置100を適用する観測条件を表している。図2において、横軸は観測時間、縦軸はセンサ観測領域内の位置を表す。
図2における検出信号201は「各時刻フレームにおいてセンサ200によって検出された信号」を表し、センサ200から目標追尾装置100に送られるデータである。例えばセンサ200が既存のレーダ装置の場合、検出信号201は、各受信ビームの信号強度をしきい値処理することで得られる、しきい値を超えた信号強度及び受信ビームの位置、ドップラ速度等である。また、例えばセンサ200がカメラの場合、検出信号201は、各画素の光量データをしきい値処理することで得られる、しきい値を超えた光量及び画素の位置等である。図2における検出信号201では、各観測時刻でセンサ200から出力された検出信号201の位置成分を描画している。
なお検出信号201は、しきい値処理を通さないセンサの受信信号としてもよい。すなわち、しきい値を極小値に設定した場合の検出信号として、レーダであれば全受信ビームの信号強度データを目標追尾装置100に入力してもよい、またカメラであれば全画素の光量データを目標追尾装置100に入力してもよい。
図2における失検出202は「目標が存在するにもかかわらず検出信号201として観測されなかった事象」を表す。例えば目標が小型であるために、目標からの受信信号の強度が、検出のためのしきい値を下回った場合に失検出202が生じる。目標追尾装置100はこのような失検出202が起こり得ることを前提とする。
図2における誤検出203は、「目標以外に起因する不要な検出信号」である。例えば、地形に由来する受信信号や、機器内部の雑音等が検出のしきい値を超えた場合、誤検出203が生じる。目標追尾装置100はこのような誤検出203が起こり得ることを前提とする。
図2における第1目標航跡204は、第2目標を分離する側の目標の軌道を表す。目標追尾装置100は、第1目標航跡204が未知の時刻に未知の位置に出現し、未知の速度で移動し、未知の時刻に第2目標を分離し、未知の時刻に消滅することを前提とする。
図2における第2目標航跡205は、分離される側の目標の軌道を表す。目標追尾装置100は、第2目標航跡205が未知の時刻に第1目標航跡から分離され、未知の速度で移動し、未知の時刻に消滅することを前提とする。
なお、目標追尾装置100では、目標1個に由来する検出信号201は高々1個を前提とする。また分離とは、第1目標と第2目標が異なる検出信号201としてセンサ200から出力されることと定義する。
以下、図1における各機能ブロックの構成について説明する。
センサ200は、目標の位置を観測するための装置から構成される。例えば、レーダ装置に対し目標追尾装置100を適用する場合、センサ200はパルス送信装置、送受切替機、アンテナ、受信機、及び信号処理装置等の既存の装置を備える。また例えば、カメラに対し目標追尾装置100を適用する場合、センサ200は集光装置、受光装置、画像処理装置等の既存の装置を備える。センサ200は、第1目標運動諸元予測部1と更新処理部4へ検出信号201を送るよう構成されている。
第1目標運動諸元予測部1は、センサ200から、目標検出信号情報である検出信号201を受け取ると共に、更新処理部4から前時刻フレーム(過去の時刻)における第1目標の運動諸元確率分布4aを受け取り、現時刻フレーム(現在時刻)における第1目標の運動諸元確率分布の予測値1aを、更新処理部4へ送る。
ここで「第1目標の運動諸元確率分布」とは、第1目標の運動諸元がある値となる確率を表す分布であり、例えば3次元空間内の位置及び速度を推定対象の運動諸元とする場合、運動諸元確率分布は位置3次元と速度3次元の合計6次元空間内の確率密度分布である。
第2目標運動諸元予測部2は、更新処理部4から前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aと前時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bを受け取り、第2目標の運動諸元確率分布の予測値2aを、更新処理部4へ送る。
ここで「第2目標の運動諸元確率分布」とは、第2目標の運動諸元がある値となる確率を表す分布である。
存在確率予測部3は、更新処理部4から前時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと、前時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを受け取り、第1目標の存在確率の予測値3aと、第2目標の存在確率の予測値3bを、更新処理部4へ送る。
ここで「存在確率」とは、目標が観測可能範囲内に存在する可能性の大きさを表す0以上1以下の値である。
更新処理部4は、センサ200からの検出信号201と、第1目標運動諸元予測部1からの第1目標の運動諸元確率分布の予測値1aと、第2目標運動諸元予測部2からの第2目標の運動諸元確率分布の予測値2aと、存在確率予測部3からの第1目標の存在確率の予測値3aと第2目標の存在確率の予測値3bとを受け取る。これにより、更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aと、現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bと、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと、現時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを演算し、その演算結果を推定値算出部5に送る。また、更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aを、前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率として、第1目標運動諸元予測部1と第2目標運動諸元予測部2へ送る。また更新処理部4は、現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bを、前時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率として、第2目標運動諸元予測部2へ送る。また更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと現時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを、前時刻フレームにおける第1目標の存在確率と前時刻フレームにおける第2目標の存在確率として、存在確率予測部3へ送る。
推定値算出部5は、更新処理部4から、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aと、現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bと、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと、現時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを受け取る。そして推定値算出部5は、現時刻フレームにおける運動諸元推定値5aを求め、これを表示器300へ送る。
ここで「運動諸元推定値」とは、観測領域内に存在すると推定された各目標の運動諸元である。例えば運動諸元として位置及び速度を推定する場合、推定値算出部5にて第1目標のみが存在すると推定されたならば、運動諸元推定値は第1目標の位置及び速度である。また推定値算出部5にて第1目標と第2目標が存在すると推定されたならば、運動諸元推定値は、第1目標の位置及び速度と第2目標の位置及び速度である。また推定値算出部5にて、一つも目標が存在しないと推定されたならば、運動諸元推定値は値無しを表すデータである。
表示器300は、推定値算出部5から送出された運動諸元推定値5aを利用者に表示するための既存の装置から構成される。例えば、映像を表示するディスプレイ等である。また、運動諸元推定値5aを利用者に表示するために画像として記録する装置や、別の情報と合成するための処理装置も表示器300の一例である。表示器300は、推定値算出部5から、現時刻フレームにおける運動諸元推定値5aを受け取り、各目標の運動諸元等の情報を利用者に表示する。
図3は、実施の形態1に係る目標追尾装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図示の目標追尾装置100は、演算装置101、記録装置102、入力インタフェース103、出力インタフェース104、バス105で構成されている。演算装置101は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)といったプロセッサからなる。記録装置102は、HDD(Hard Disck Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置、またはフラッシュメモリ等である。入力インタフェース103は、USB(Universal Serial Bus)、イーサネット(登録商標)等である。出力インタフェース104は、DVI(Digital Visual Interface:登録商標)、HDMI(High−Definition Multimedia Interface:登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、イーサネット(登録商標)等である。バス105は、演算装置101〜出力インタフェース104を相互に接続するための通信路である。
図1における第1目標運動諸元予測部1〜推定値算出部5は、それぞれの機能に対応したプログラムが記録装置102に格納され、演算装置101によって処理に対応したプログラムが読み出されて実行されることで実現される。また、演算装置101は、プログラムの実行中に、記録装置102に入出力値及び処理中間データの書き込み、読み出し及び削除を行う。また、センサ200からの検出信号201は入力インタフェース103を介して目標追尾装置100に取り込まれるとする。すなわち、第1目標運動諸元予測部1及び更新処理部4は、入力インタフェース103を介して検出信号201を取得する。さらに、推定値算出部5からの出力は、出力インタフェース104を介して表示器300に送られるとする。すなわち、推定値算出部5からの運動諸元推定値は出力インタフェース104を介して表示器300に送信される。
次に、図4と図5のフローチャートを用いて、実施の形態1に係る目標追尾装置100の動作を説明する。図4は、第1目標運動諸元予測部1、第2目標運動諸元予測部2、存在確率予測部3、更新処理部4、推定値算出部5それぞれの現時刻フレームにおける動作を示したフローチャートである。図5は、更新処理部4の現時刻フレームにおける動作を示したフローチャートであり、図4のステップST4の動作をより詳細に表したものである。
図4及び図5による目標追尾装置100の動作を説明するための第1の準備として、以降の動作説明における前提を以下に示す。
以降では、各目標の運動諸元として、3次元位置空間内の位置と、3次元速度空間内の速度成分を推定する場合について説明する。また、3次元位置空間の座標系は、直交なXYZ座標軸とし、目標速度を表す速度成分もXYZ軸の各方向とする。なお、目標追尾装置100における運動諸元はこの例に限らず、例えば2次元の平面内を移動する目標に対しては2次元位置空間内の位置と2次元速度空間内の速度を運動諸元と仮定してもよい。また例えば、目標の加速度も推定する場合は、加速度成分を運動諸元に含めてもよい。また直交座標系の代わりに、極座標等を用いてもよい。
また、以降では、目標は等速直進運動するとの前提を基に運動諸元を予測する。なお、目標追尾装置100における前提はこの例に限らず、等速直進運動の代わりに、例えば等加速度直進、等角速度旋回運動等を前提に運動諸元を予測してもよい。
また、以降では、センサ200から目標追尾装置100に入力される検出信号201は、検出された信号の位置と、検出された信号の強度とする。なお、目標追尾装置100における入力の前提はこれに限らず、例えばセンサ200がレーダ装置を含む場合、検出された信号のドップラ成分を目標追尾装置100の入力としてもよい。また例えばセンサ200がカメラを含む場合、検出された信号の表色系別の光量を目標追尾装置100の入力としてもよい。
また、以降では、センサ200から目標追尾装置100に入力される検出信号201に対し、失検出202と誤検出203が生じることを前提とする。
また、以降では、運動諸元確率分布を、ガウス分布の線形結合として近似する(厳密には「ガウス分布の確率密度関数の線形結合として近似する」であるが、以降では表記の簡略化のため「ガウス分布の確率密度関数」を「ガウス分布」と記述する)。なお、目標追尾装置100における運動諸元確率分布を近似する方法はこれ限らず、例えば、B. Vo, B. Vo, D. Phung, “Labeled Random Finite Sets and the Bayes Multi-Target Tracking Filter, ” IEEE Trans. on Signal Processing, vol.62, no.24, pp.6554-6567, Dec. 2014.(以下、これを文献1という)に記載されているように、運動諸元確率分布を、重みをもった粒子として近似する手法を用いてもよい。
次に、図4及び図5による目標追尾装置100の動作を説明するための第2の準備として、以降の動作説明における記号の定義を以下に示す。
以降では、現時刻フレームにおける目標追尾装置100の動作を説明する。また、現時刻フレームの番号をkとし「時刻k」と表す。また、前時刻フレームの番号をk−1とし「時刻k−1」と表す。
Figure 0006570800
ここで、x(1)、x(2)、x(3)は位置のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を表し、x(4)、x(5)、x(6)は速度のX軸方向成分、Y軸方向成分、Z軸方向成分を表す。また右上添え字のTは、行列の転置を表す。このような運動諸元を表すベクトルを以降では「状態ベクトル」と呼ぶ。
Figure 0006570800

Figure 0006570800
時刻kにおける第n目標(n=1、2)の存在確率を

Figure 0006570800
とし、時刻k−1における第n目標の存在確率を

Figure 0006570800
とする。また、時刻k−1の存在確率から算出された、第n目標の時刻kにおける存在確率の予測値は

Figure 0006570800
とする。
時刻kにおける第n目標(n=1、2)の運動諸元確率分布を

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
と表す。なおガウス分布を

Figure 0006570800

Figure 0006570800
また、時刻k−1の運動諸元確率分布から算出した、時刻kにおける第n目標(n=1、2)の運動諸元確率分布の予測値を

Figure 0006570800
と表し、この分布をガウス分布の線形結合で近似し

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
以下、図4のフローチャートにおける各ステップの処理について説明する。
ステップST1において、第1目標運動諸元予測部1は、検出信号201と、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布から、時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値を算出する。
時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値を構成するガウス分布は2種類に分類される。一つは「時刻kより過去において第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布から算出する。もう一つは「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布であり、時刻kより過去の時刻フレームにおける検出信号201から算出する。
以下、「時刻kより過去において第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は添え字「S」を付け

Figure 0006570800
と表し、「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は添え字「B」を付け

Figure 0006570800
と表す。
まず「時刻kより過去において第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は、Jk−1|k−1 (1)個あり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (1)である。Φは、目標が等速直進運動するとのモデルに基づき状態ベクトルを時刻k−1から時刻kへ遷移させる行列であり、

Figure 0006570800
である。τは時刻k−1と時刻k間の経過時間を表す。またQは、目標が等速直進運動するとのモデルの曖昧さを表す行列であり、6行6列のパラメタである。
次に、「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は、時刻k−1における検出信号201であるzk−1 (j1)(j1=1、2、…、Mk−1)と、時刻k−2における検出信号201であるzk−2 (j2)(j2=1、2、…、Mk−2)の組み合わせから算出されるMk−1×Mk−2個のガウス分布であり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここで、winitは重み係数の初期値を表すパラメタであり、τk−1は時刻k−2と時刻k−1間の経過時間、Pinitはガウス分布共分散行列の初期値を表す6行6列のパラメタである。

Figure 0006570800

Figure 0006570800
上記によって算出された、「時刻kより過去において第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布と、「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布を合わせた合計Jk|k−1 (1)個のガウス分布、すなわち

Figure 0006570800
が、時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値である(記号∪は和集合を表す)。なお、第1目標運動諸元確率分布の予測値における各々の重み係数は、このステップの最後に、以下の式を満たすように規格化されているものとする。

Figure 0006570800
ステップST2において、第2目標運動諸元予測部2は、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布と、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から、時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値を算出する。
時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値を構成するガウス分布は2種類に分類される。一つは「時刻kより過去において第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から算出する。もう一つは「時刻kにおいて第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布から算出する。
以下、「時刻kより過去において第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は添え字「S」を付け、

Figure 0006570800
と表し、「時刻kにおいて第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は添え字「B」を付け、

Figure 0006570800
と表す。
まず「時刻kより過去において第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は、Jk−1|k−1 (2)個あり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (2)である。またΦ、QはステップST1と同じである。
次に、「時刻kにおいて第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は、Jk−1|k−1 (1)個あり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (1)である。また、winitとPinitは前述と同じである。またΓは、「第2目標の分離直後の移動方向」を与える6行6列のパラメタであり、例えば

Figure 0006570800
である。ここでα、α、αはそれぞれ、第1目標の移動方向からのX軸回転角、Y軸回転角、Z軸回転角を表すパラメタである。またΓは、「第2目標の分離直後の速度」を与える6行6列のパラメタであり、例えば

Figure 0006570800
である。ここでρは、第1目標速度に対する、第2目標速度の比率を表すパラメタである。
なお、第2目標の分離直後の速度成分に関するパラメタ、例えばα〜α及びρは複数通り設定してもよい。その場合、Jk−1|k−1、B (2)は第2目標の初期速度に関するパラメタの組み合わせ個数倍となる。
上記によって算出された「時刻kより過去において第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布と「時刻kにおいて第2目標が分離された」との可能性を表すガウス分布を合わせた合計Jk|k−1 (2)個のガウス分布、すなわち

Figure 0006570800
が、時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値である。なお、第2目標運動諸元確率分布の予測値における重み係数は、このステップの最後に、以下の式を満たすように規格化されているものとする。

Figure 0006570800
ステップST3において、存在確率予測部3は、時刻k−1における第1目標の存在確率と、時刻k−1における第2目標の存在確率から、時刻kにおける第1目標の存在確率の予測値と、時刻kにおける第2目標の存在確率の予測値を算出する。図6は、ステップST3において各目標の存在確率を予測する際に用いる確率過程のモデルを表している。以下、図6に従って第1目標及び第2目標の存在確率を予測する処理について説明する。
図6では、各目標の存在有無が異なるS1〜S4の4状態間を、特定の確率で観測時刻フレーム間を遷移するモデルを表す。S1は「第1目標も第2目標も存在しない状態」を表す。S2は「第1目標が存在し、第2目標が存在しない状態」を表す。S3は「第1目標も第2目標も存在する状態」を表す。S4は「第1目標が存在せず、第2目標は存在する状態」を表す。なおS0は初期状態を表し、この例では観測開始時の時刻フレームにおいてS1から状態が開始することを示している。
また図6において、状態間の矢印は遷移の経路を表している。例えば遷移経路TR12は、S1からS2への遷移であり、「第1目標が出現し、第2目標は出現しない」との遷移を表す。また例えば遷移経路TR22は、S2からS2への遷移であり、「第1目標は消滅せず存在し続ける、第2目標は出現しない」との遷移を表す。
なお、図6のモデルでは、「第2目標は第1目標の後に出現する」ことを前提とし、一部の状態間遷移を禁止している。例えば、S1からS4への経路は存在し得ないと仮定している。これは、「分離する側である第1目標が存在しない場合、分離される側である第2目標は出現し得ない」との考えに基づく。また、S1からS3への遷移経路、S4からS2への遷移経路、S4からS3への遷移経路も同様の考えに基づき禁止している。
上記のような遷移経路を持つ図6のモデルに関して、それぞれの遷移が起こる確率を考える。以下では、第1目標が時刻フレーム間に出現する確率を

Figure 0006570800
とし、第1目標が時刻フレーム間に消滅する確率を

Figure 0006570800
とする。また、第2目標が時刻フレーム間に出現する確率を

Figure 0006570800
とし、第2目標が時刻フレーム間に消滅する確率を

Figure 0006570800
とする。これらの確率p (n)、p (n)(n=1、2)は、事前設定したパラメタとしても、観測条件に応じて時間的に変動する値としてもよい。
これらの確率p (n)、p (n)(n=1、2)によって、各経路の遷移が生じる確率は以下のように表せる。
TR11の確率:1−p (1)
TR12の確率:p (1)
TR21の確率:(1−p (1))(1−p (2)
TR22の確率:p (1)(1−p (2)
TR23の確率:p (1) (2)
TR32の確率:p (1)(1−p (2)
TR33の確率:p (1) (2)
TR34の確率:(1−p (1))p (2)
TR24の確率:(1−p (1))p (2)
TR44の確率:p (2)
TR41の確率:(1−p (2)
また、時刻k−1における第1目標の存在確率rk−1|k−1 (1)と、時刻k−1における第2目標の存在確率rk−1|k−1 (2)より、時刻k−1が状態S1〜S4である各々の確率は以下のように表せる。
時刻k−1にS1である確率:
(1−rk−1|k−1 (1))(1−rk−1|k−1 (2)
時刻k−1にS2である確率:
k−1|k−1 (1)(1−rk−1|k−1 (2)
時刻k−1にS3である確率:
k−1|k−1 (1)k−1|k−1 (2)
時刻k−1にS4である確率:
(1−rk−1|k−1 (1))rk−1|k−1 (2)
よって、時刻kにおいて第1目標が存在する確率の予測値は、「時刻kにおける第1目標の存在確率の予測値」=「S1からTR12で遷移する確率」+「S2からTR22で遷移する確率」+「S3からTR32で遷移する確率」+「S2からTR23で遷移する確率」+「S3からTR33で遷移する確率」である。これを数式で表すと

Figure 0006570800
となる。
また、時刻kにおいて第2目標が存在する確率の予測値も同様に、「時刻kにおける第2目標の存在確率の予測値」=「S2からTR24で遷移する確率」+「S3からTR34で遷移する確率」+「S4からTR44で遷移する確率」+「S2からTR23で遷移する確率」+「S3からTR33で遷移する確率」である。これを数式で表すと

Figure 0006570800
となる。
よってステップST3では、図6のモデルを基に、式(29)と式(30)によって時刻kにおける第1目標の存在確率の予測値と、第2目標の存在確率の予測値を算出する。
ステップST4において、更新処理部4は、時刻kにおける検出信号201と、時刻kにおける第1目標の運動諸元確率分布の予測値と、時刻kにおける第2目標の運動諸元確率分布の予測値と、時刻kにおける第1目標の存在確率の予測値と、時刻kにおける第2目標の存在確率の予測値から、時刻kにおける第1目標の運動諸元確率分布と、時刻kにおける第2目標の運動諸元確率分布と、時刻kにおける第1目標の存在確率と、時刻kにおける第2目標の存在確率を算出する。
なお、ステップST4における処理は文献1にて開示されている処理と同様である。
図5は、ステップST4における処理フローをさらに詳細に記したものである。以下、図5のステップST41〜ST44における処理を説明する。なお以降のステップST4に関する説明では、一般化された記述として、最大N個の目標の第n目標(n=1、2、…、N)に対する処理として記述する。ただし実施の形態1ではN=2である。
ステップST41では、第n目標の存在確率の予測値

Figure 0006570800
から、目標番号の部分集合ごとの信頼度

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ステップST41における、部分集合信頼度は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここで、上式右辺にある

Figure 0006570800

Figure 0006570800
続いてステップST42では、時刻kにおける検出信号

Figure 0006570800
と、部分集合信頼度

Figure 0006570800
と、第n目標の運動諸元確率分布の予測値

Figure 0006570800
から、写像ごとの信頼度

Figure 0006570800
と、写像ごとの第n目標の運動諸元確率分布

Figure 0006570800
を算出する。なお、上記にて、信頼度及び重み係数の記号に付けられたプライム(「´」)は、規格化される前の値であることを表す記号として用いる。規格化の方法はステップST43にて後述する。
Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ステップST42によって算出される値は以下の式より求まる。

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ここで、各変数の算出式は以下のとおりである。

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
なお式(41)におけるRは、検出信号の位置成分に対する誤差共分散を表す6行6列のパラメタである。また式(39)におけるpk、DTは、時刻kにおいて目標が失検出せずに検出される確率を表すパラメタであり、式(39)におけるβk、FLSは、時刻kにおける単位体積当たりの誤検出個数を表すパラメタである。
また式(39)におけるλ(z (θ(n)、4))は、検出信号の強度成分z (θ(n)、4)に対する、「強度成分z (θ(n)、4)の検出信号が目標である確率」÷「強度成分z (θ(n)、4)の検出信号が誤検出である確率」を表す尤度比である。このλ(z (θ(n)、4))の具体的な値は、センサの種類によって異なり、例えば検出信号がレーダ装置によって取得された値ならば、D. Lerro,Y. Bar-Shalom,“Automated Tracking with Target Amplitude Information,”American Control Conference 1990,pp.2875-2880,San Diego,May 1990.(以下、文献2という)に記載の受信信号強度モデルより設定できる。
続いてステップST43では、写像ごとの信頼度

Figure 0006570800
と、写像ごとの第n目標の運動諸元確率分布における重み係数

Figure 0006570800
をそれぞれ規格化し、

Figure 0006570800


Figure 0006570800
を算出する。
ステップST43における規格化は以下の式により行う。

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
続いてステップST44では、規格化された写像ごとの信頼度

Figure 0006570800
と、重み係数が規格化された写像ごとの第n目標の運動諸元確率分布

Figure 0006570800
から、時刻kにおける第n目標の存在確率

Figure 0006570800
と、時刻kにおける第n目標の運動諸元確率分布

Figure 0006570800
を算出し、ステップST4の処理を終える。
ステップST44によって算出される値は以下の式から求める。

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ここで、

Figure 0006570800
とする。また式(46)右辺における

Figure 0006570800

Figure 0006570800
なお、運動諸元確率分布を表すガウス分布の個数はステップST4を実行するごとに単調増加するため、ステップST4の後に、各目標の運動諸元確率分布の形状を簡略化する処理を追加してもよい。具体的には、B. Vo, W. Ma,“The Gaussian mixture probability hypothesis density filter,”IEEE Trans. Signal Process.,vol.54,no.11,pp.4091-4104,Nov. 2006.(以下、文献3という)に記載されているような、重み係数が一定値より小さいガウス分布の削除や、平均値が類似しているガウス分布同士を合成し一つのガウス分布にする処理等である。
以降、図4のフローチャートについての説明に戻る。
ステップST5において、推定値算出部5は、時刻kにおける第1目標の存在確率に対し、存在確率しきい値を超えるか否かの判定を行う。すなわち、以下の式の真偽を判定する。

Figure 0006570800
ここで、rTh (1)は「第1目標の存在確率がこの値より大ならば、第1目標は存在すると推定する」意味を持つパラメタである。上記判定が真ならばステップST6を実行し、偽ならばステップST7に移行する。
ステップST6において、推定値算出部5は、時刻kにおける第1目標の運動諸元確率分布より、時刻kにおける第1目標の運動諸元を推定する。
Figure 0006570800
ここで、iExは「第1目標の運動諸元確率分布を構成するガウス分布のうち、重み係数が最大のガウス分布の番号」を表す。すなわち数式で表すと、

Figure 0006570800
である。
ステップST7において、推定値算出部5は、時刻kにおける第2目標の存在確率に対し、存在確率しきい値を超えるか否かの判定を行う。すなわち、以下の式の真偽を判定する。

Figure 0006570800
ここで、rTh (2)は「第2目標の存在確率がこの値より大ならば、第2目標は存在すると推定する」意味を持つパラメタである。上記判定が真ならばステップST8を実行し、偽ならば時刻kにおける目標追尾装置100の動作を終了する。
ステップST8において、推定値算出部5は、時刻kにおける第2目標の運動諸元確率分布より、時刻kにおける第2目標の運動諸元を推定する。

Figure 0006570800
ここで、iExは「第2目標の運動諸元確率分布を構成するガウス分布のうち、重み係数が最大のガウス分布の番号」を表す。すなわち数式で表すと、

Figure 0006570800
である。
以上のように構成された実施の形態1によれば、次の効果が得られる。
実施の形態1では、第2目標運動諸元予測部2において、現時刻における第2目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第2目標の運動諸元確率分布の他に、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布からも算出するように構成した。
この構成により、慣性の法則に基づいた予測値、すなわち第1目標から第2目標が分離された際、分離直後の第2目標の位置や速度等の運動諸元は第1目標に近しいとの物理法則に則った第2目標の運動諸元確率分布の予測値が得られる。その予測値を基に更新処理部4、推定値算出部5によって算出された第2目標の運動諸元推定値の精度は、例えば、文献1及びD.B. Reid,“An Algorithm for Tracking Multiple Targets,”IEEE Trans. Automatic Control,vol.24,no.6,pp.843-854,Dec.,1979.(以下、文献4という)で開示されているような、各目標の運動諸元予測値を別の目標の運動諸元予測値を用いずに推定する従来技術に比べ、現実の物理法則に近いモデルに基づく予測値から得られた推定値であるため、真の運動諸元との誤差が小さい。すなわち、分離から観測時間が短い場合でも、または失検出により第2目標の検出回数が少ない場合でも、文献1及び文献4で開示されている技術に比べ、より精度のよい第2目標の運動諸元を得ることができる。
また、存在確率予測部3において、第1目標の存在確率の予測値を算出する際に第2目標の存在確率を用い、第2目標の存在確率の予測値を算出する際に第1目標の存在確率を用いるよう構成した。
この構成により、第1目標が出現した後に第2目標が出現する、との前提に基づく各目標の存在確率の予測値が得られる。その予測値を基に更新処理部4、推定値算出部5によって推定された各目標の運動諸元の個数すなわち目標の個数は、例えば文献1及び文献4で開示されているような、各目標が出現、消滅する確率過程が、別の目標の出現、消滅する確率過程と独立であることを前提に推定する従来技術に比べ、実際の目標出現の順序を模したモデルに基づく予測値から得られた推定値であるため、実際の目標個数との誤差が小さい。すなわち、失検出、誤検出が発生する状況において観測時間が短い場合でも、文献1及び文献4で開示されている技術に比べ、実際に存在している目標の運動諸元を推定できずに見落とす頻度、及び存在しない目標の推定値を出力する頻度を減らすことができる。
また実施の形態1では、第1目標運動諸元予測部1と第2目標運動諸元予測部2において、目標ごとに運動諸元確率密度分布の予測値を算出し、存在確率予測部3において、目標ごとに存在確率の予測値を算出し、更新処理部4において、目標ごとに運動諸元確率分布と存在確率を算出し、推定値算出部5にて、目標ごとの運動諸元推定値を算出するよう構成した。
この構成により、各時刻フレームにおいて推定された各運動諸元が第1目標と第2目標のいずれの運動諸元であるか推定された結果が得られる。すなわち、第1目標と第2目標が存在すると判定された場合に、文献3で開示されているように「第1目標または第2目標の運動諸元」を複数推定する従来技術と異なり、分離前の運動を維持する「第1目標の運動諸元」と、第1目標から分離される「第2目標の運動諸元」が区別されて得られる。
この効果は特に、分離後の目標を優先順位を設定する際に重要である。例えば、放物線軌道で運動する目標から別の目標が射出される条件に適用した場合、分離前と同様に放物線軌道で運動する第1目標と、分離時に加速度を伴って射出される第2目標とを区別できる。そのため、例えば放物線軌道を維持する第1目標に対する関心が高く、第1目標を追加観測する必要がある場合、第2目標を誤って追加観測する事態を避けることができる。
また実施の形態1では、存在確率予測部3において、図6のモデルに基づく式(29)及び式(30)によって存在確率を予測するよう構成した。
この構成により、目標1個が2個に分離し、目標個数が0個〜2個の間で変動する観測条件において、非特許文献1で開示されているような、目標個数が維持、変動する場合の数、すなわち図6における遷移経路TR11〜TR44の本数と同数の追尾アルゴリズムを並列実行する必要のある従来技術に比べ、式(29)及び式(30)により、少ない演算量で各目標の運動諸元を推定することができる。
また実施の形態1では、第2目標運動諸元予測部2において、現時刻における第2目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布と、前時刻における第2目標の運動諸元確率分布から算出するように構成した。
この構成により、観測時間が短い、または第1目標の失検出等により第1目標の運動諸元が絞り込まれていない場合においても、第2目標の可能性のある運動諸元を予測し、第2目標の有無を推定することができる。よって、例えば、特開2005−214665号公報(以下、特許文献1という)で開示されているような、分離する側の目標すなわち第1目標の運動諸元を「本航跡」として一つの運動諸元に絞り込んだ後に、分離される側の目標すなわち第2目標の運動諸元の推定を開始する従来技術と異なり、第1目標が出現した後に短時間で第2目標を分離した場合においても、第2目標の運動諸元を推定することができる。
以上説明したように、実施の形態1の目標追尾装置によれば、過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に、現在時刻の第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標と異なる第2目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻の第2目標の運動諸元確率分布を予測する第2目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標が観測領域内に存在する確率と第2目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、第1目標運動諸元予測部と第2目標運動諸元予測部と存在確率予測部の出力と目標検出信号情報とを基に、現在時刻の第1目標と第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率と第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えたので、目標の個数及び各目標の運動諸元を少ない演算量で推定することができる。
また、実施の形態1の目標追尾装置によれば、第2目標運動諸元予測部は、過去の時刻における第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻における第2目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻における第2目標の運動諸元確率分布を予測するようにしたので、精度の良い第2目標の運動諸元を得ることができる。
また、実施の形態1の目標追尾装置によれば、存在確率予測部は、第1目標の有無と第2目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出するようにしたので、少ない演算量で各目標の運動諸元を推定することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、未知の時刻に出現した1個の目標が、未知の時間に2個へ分離し得ることを前提に、各目標の運動諸元確率分布と存在確率を逐次算出し、各時刻における各目標の運動諸元を推定するようにしていた。
しかし、目標の種類によっては、1個の目標が3個以上の目標に分離する場合が起こり得る。このような場合、実施の形態1の構成では、実際には3個以上の目標が存在するにもかかわらず、目標個数が最大2個との前提に基づき運動諸元を推定するよう動作するため、最大でも2個の目標の運動諸元しか得られないという課題がある。
そこで、この実施の形態2では、1個の目標が最大N個の目標に分離することを前提に、各目標の運動諸元確率分布と存在確率を算出し、各目標の運動諸元を推定する。ここで最大目標個数Nはパラメタである。
なお、以降では、分離する側の目標を「第1目標」、分離される側のN−1個の目標を「第n目標(n=2、3、…、N)」と記載する。すなわち、ある時刻に第1目標が出現し、その後ある時刻に第1目標が第n目標を分離射出する場合について目標追尾装置を適用した場合について説明する。なお、各目標が出現する時刻は同時でなくてもよいとする。
図7は、実施の形態2に係る目標追尾装置100aとその周辺装置の構成図である。図7に示すように、目標追尾装置100aはセンサ200から入力を受け、表示器300へ出力を送るよう構成されている。ここで、センサ200及び表示器300は実施の形態1と同様の構成である。また、実施の形態2の目標追尾装置100aは、第1目標運動諸元予測部1、第2〜N目標運動諸元予測部6、存在確率予測部30、更新処理部40、推定値算出部50を備えている。ここで、第1目標運動諸元予測部1は実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
図8は、図7における第2〜N目標運動諸元予測部6の構成をより詳細に表したものである。図8に示すように、第2〜N目標運動諸元予測部6は、N−1個の第2〜N目標運動諸元予測部6−n(n=2、3、…、N)から構成される。
以下、図7、図8における各機能ブロックの構成について説明する。第2〜N目標運動諸元予測部6は、更新処理部40から、前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布40aと、前時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布40bを受け取り、第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値6aを、更新処理部40へ送る。なお、ここで、「第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布」とは、第2目標から第N目標までの各々の運動諸元確率分布を表すとする。
また、第2〜N目標運動諸元予測部6の内部における、第2〜N目標運動諸元予測部6−n(n=2、3、…、N)の各々は、更新処理部40から前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布40aと、第n目標の運動諸元確率分布40b−n(n=2、3、…、N)を受け取り、第n目標の運動諸元確率分布の予測値6a−n(n=2、3、…、N)を、更新処理部40へ送る。
存在確率予測部30は、更新処理部40から前時刻フレームにおける第1目標の存在確率40cと、前時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の存在確率40dを受け取り、第1目標の存在確率の予測値30aと、第2目標〜第N目標の存在確率の予測値30bを、更新処理部40へ送る。なお、ここで、「第2目標〜第N目標の存在確率」とは、第2目標から第N目標までの各々の存在確率を表すとする。
更新処理部40は、センサ200からの検出信号201と、第1目標運動諸元予測部1からの第1目標の運動諸元確率分布の予測値1aと、第2〜N目標運動諸元予測部6からの第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値6aと、存在確率予測部30からの第1目標の存在確率の予測値30aと第2目標〜第N目標の存在確率の予測値30bとを受け取る。これにより、更新処理部40は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布40aと、現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布40bと、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率40cと、現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の存在確率40dとを算出し、この算出結果を推定値算出部50に送る。また、更新処理部40は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布40aを前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率として、第1目標運動諸元予測部1と第2〜N目標運動諸元予測部6へ送る。また更新処理部40は、現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布40bを前時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の運動諸元確率として、第2〜N目標運動諸元予測部6へ送る。また、更新処理部40は、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率40cと現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の存在確率40dを、前時刻フレームにおける第1目標の存在確率と前時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の存在確率として、存在確率予測部30へ送る。
推定値算出部50は、更新処理部40から、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布40aと、現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布40bと、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率40cと、現時刻フレームにおける第2目標〜第N目標の存在確率40dを受け取り、現時刻フレームに各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値50aを算出する。
また、実施の形態2の目標追尾装置のハードウェア構成については、図3に示す構成で実現される。すなわち、図7における第1目標運動諸元予測部1、第2〜N目標運動諸元予測部6、存在確率予測部30、更新処理部40、推定値算出部50は、それぞれの機能に対応したプログラムが記録装置102に格納され、演算装置101によって処理に対応したプログラムが読み出されて実行されることで実現される。各部の構成については実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、図9のフローチャートを用いて、実施の形態2に係る目標追尾装置100aの動作の詳細を説明する。図9は、第1目標運動諸元予測部1、第2〜N目標運動諸元予測部6、存在確率予測部30、更新処理部40、推定値算出部50の現時刻フレームにおける動作を示したフローチャートである。
なお、以降の説明における前提は、目標個数の違い以外は実施の形態1と同一とする。すなわち、推定対象の運動諸元は3次元位置空間内の位置と速度とし、座標系は直交座標系とし、目標の運動は等速直進と前提し、検出信号201は検出された信号の位置と強度を表す値とし、運動諸元確率分布はガウス分布の線形結合で近似するものとする。
また以降の説明における記号の定義は実施の形態1と同様とする。なお実施の形態1では目標番号を表す「n」を1以上2以下と定義したが、実施の形態2ではnの範囲を1以上N以下とする。
以下、図9の各ステップについて説明する。
第1目標運動諸元予測部1が行うステップST1は実施の形態1における図4のステップST1と同一処理である。次に、ステップST9でn=2として、ステップST10において、第2〜N目標運動諸元予測部6の内部にある第2〜N目標運動諸元予測部6−nは、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布と、時刻k−1における第n目標運動諸元確率分布から、時刻kにおける第n目標運動諸元確率分布の予測値を算出する。ここで「n」は2以上N以下の整数であるため、ステップST9において、n=2とし、また、ステップST11でn=Nかの判定を行い、そうでない場合はステップST12でnを1増加してステップST10に戻る処理を、n=2からn=Nまで繰り返す。
ステップST10における計算は、実施の形態1におけるステップST2における計算の入出力を、「第2目標」から「第n目標」に置き換えたものと同一である。
すなわち、このステップST9では、「時刻kより過去において第n目標が分離された」との可能性を表すガウス分布

Figure 0006570800
と、「時刻kにおいて第n目標が分離された」との可能性を表すガウス分布

Figure 0006570800
を算出する。
まず「時刻kより過去において第n目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は以下の式より算出される。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (n)である。
次に、「時刻kにおいて第n目標が分離された」との可能性を表すガウス分布は、以下の式により算出される。

Figure 0006570800
である。ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (1)である。またΦ、Q、winit、Pinit、Γ、Γの定義は実施の形態1と同一である。
上記の式(56)〜式(61)によって算出された、「時刻kより過去において第n目標が出現した」との可能性を表すガウス分布と、「時刻kにおいて第n目標が出現した」との可能性を表すガウス分布を合わせた合計Jk|k−1 (n)個のガウス分布、すなわち

Figure 0006570800
が、時刻kにおける第n目標運動諸元確率分布の予測値である。なお、第n目標運動諸元確率分布の予測値における重み係数は、このステップの最後に、以下の式を満たすように規格化されているものとする。

Figure 0006570800
ステップST13において、存在確率予測部30は、時刻k−1における第k−1における第1目標の存在確率と、時刻k−1における第2目標〜第N目標の存在確率から、時刻kにおける第1目標の存在確率の予測値と、時刻kにおける第2目標〜第N目標の存在確率の予測値を算出する。
ステップST13における、各目標の存在確率を予測する際に用いるモデルは、図6における「第2目標」を「第n目標(n=2、…、N)」としたモデルを用いる。この拡張されたモデルにおいて、「第n目標と第n´目標の存在確率は互いに独立(n及びn´=2、…、Nかつn≠n´)」との前提を置くと、第1目標の存在確率の予測値は

Figure 0006570800
より算出される。また、第n目標の存在確率の予測値は

Figure 0006570800
より算出される。
ここで、p (1)及びp (1)は実施の形態1と同じである。また第n目標が時刻フレーム間に出現する確率をp (n)とし、第n目標が時刻フレーム間に消滅する確率をp (n)とした。これらの確率はp (n)、p (n)は、事前設定したパラメタとしても、観測条件に応じて時間的に変動する値としてもよい。
ステップST13の次の処理であるステップST4は実施の形態1における図4のステップST4と、目標の最大個数以外は同一処理である。すなわち、実施の形態1のステップST4の処理の説明では、目標の番号を表すnの最大値Nを2としたが、実施の形態2では、このNを目標個数の最大値を表すパラメタNに置き換えた場合の処理と同一である。
ステップST5は実施の形態1における図4のステップST5と同一処理である。また、ステップST6は実施の形態1における図4のステップST6と同一処理である。
次に、ステップST14でn=2として、ステップST15で、推定値算出部50は、時刻kにおける第n目標の存在確率に対し、存在確率しきい値を超えるか否かの判定を行う。すなわち、以下の式の真偽を判定する。

Figure 0006570800
ここで、rTh (n)は「第n目標の存在確率がこの値より大ならば、第n目標は存在すると推定する」意味を持つパラメタである。上記判定が真ならばステップST16を実行し、偽でかつステップST17でn=Nであれば時刻kにおける2〜N目標に関する目標追尾装置100aの動作を終了する。一方、ステップST17においてn≠NであればステップST18でnを1増加してステップST15に戻り、ステップST17でn=Nになるまでこれを繰り返す。
ステップST16において、推定値算出部50は、時刻kにおける第n目標の運動諸元確率分布より、時刻kにおける第n目標の運動諸元を推定する。なおここで「n」は2以上N以下の整数である。
Figure 0006570800
ここで、iExは「第n目標の運動諸元確率分布を構成するガウス分布のうち、重み係数が最大のガウス分布の番号」を表す。すなわち数式で表すと、

Figure 0006570800
である。
以上のように構成された実施の形態2によれば、次の効果が得られる。
実施の形態2では、第2〜N目標運動諸元予測部6において、現時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布及び前時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布から算出すように構成した。また、存在確率予測部30において、現時刻における第2目標〜第N目標の存在確率の予測値を、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布及び前時刻における第2目標〜第N目標の存在確率から算出するように構成した。
この構成により、1個の目標から最大N−1個の目標が分離され得る場合、すなわち第1目標から第2目標〜第N目標が分離され得る場合においても、第1目標及び第2目標〜第N目標の有無と、第1目標及び第2目標〜第N目標のうち存在すると判定された運動諸元の推定値が得られる。この効果は特に、未知の時刻に出現する航空機等の目標から、未知個数の別目標が分離射出され得る場合、または目標の分離が未知の回数起こり得る場合においても、分離後の最大目標個数がN個を超えないとの前提さえ妥当であれば、各時刻における各目標の運動諸元が推定できる点が大きな効果として得られるものである。
また実施の形態2では、第2〜N目標運動諸元予測部6において、現時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の他に、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布からも算出するように構成した。
この構成により、慣性の法則に基づく予測値、すなわち第1目標から第2目標〜第N目標が分離された際、分離直後の第2目標〜第N目標の位置や速度等の運動諸元は第1目標に近しいとの物理法則に則った第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値が得られる。その予測値を基に更新処理部40、推定値算出部50によって推定された第2目標〜第N目標の運動諸元の推定精度は、例えば、文献1及び文献4で開示されているような、各目標の運動諸元予測値を別の目標の運動諸元予測値と独立に推定する従来技術に比べ、現実の物理法則に近いモデルに基づく予測値から得られた推定値であるため、真の運動諸元との誤差が小さい。すなわち、分離から観測時間が短い場合でも、または失検出202により第2目標の検出回数が少ない場合でも、文献1及び文献4で開示されている技術に比べ、より精度のよい第2目標〜第N目標の運動諸元を得ることができる。
また、実施の形態2では、存在確率予測部30において、第1目標の存在確率の予測値を算出する際に第2目標〜第N目標の存在確率を用い、第2目標〜第N目標の存在確率の予測値を算出する際に第1目標の存在確率を用いるよう構成した。
この構成により、第1目標が出現した後に第2目標〜第N目標が出現する、との前提に基づく各目標の存在確率の予測値が得られる。その予測値を基に更新処理部40、推定値算出部50によって推定された各目標の運動諸元の個数、すなわち目標の個数は、例えば文献1及び文献4で開示されているような、各目標が出現、消滅する確率過程が、別の目標の出現、消滅する確率過程と独立であることを前提に推定する従来技術に比べ、実際の目標出現の順序に近いモデルに基づく予測値から得られた推定値であるため、真に存在する目標個数との誤差が小さい。すなわち、失検出202と誤検出203が発生する状況において観測時間が短い場合でも、文献1及び文献4で開示されている技術に比べ、実際に存在している目標の運動諸元を推定できずに見落とす頻度、及び存在しない目標の推定値を出力する頻度を減らすことができる。
また実施の形態2では、第1目標運動諸元予測部1と第2〜N目標運動諸元予測部6において、目標ごとに運動諸元確率密度分布の予測値を算出し、存在確率予測部30において、目標ごとに存在確率の予測値を算出し、更新処理部40において、目標ごとに運動諸元確率分布と存在確率を算出し、推定値算出部50にて、目標ごとの運動諸元推定値を算出するよう構成した。
この構成により、各時刻フレームにおいて推定された各運動諸元が第1目標と第2目標〜第N目標のいずれの運動諸元であるか推定された結果が得られる。すなわち、第1目標と第2目標〜第N目標が存在すると判定された場合に、文献3で開示されているようにN個の「第1目標または第2目標〜第N目標のいずれかの運動諸元」を推定する従来技術と異なり、分離前の運動を維持する「第1目標の運動諸元」と、第1目標から分離される「第n目標の運動諸元(n=2、…、N)」が区別されて得られる。
また実施の形態2では、存在確率予測部30において、図6を拡張したモデルに基づく式(64)及び式(65)によって存在確率を予測するよう構成した。
この構成により、目標1個が最大N−1個の別目標を分離し、目標個数が0個〜N個の間で変動する観測条件において、非特許文献1で開示されているような、目標個数が維持、変動する場合の数と同数の追尾アルゴリズムを並列実行する従来技術に比べ、式(64)及び(65)により、少ない演算量で各目標の運動諸元を推定することができる。
また実施の形態2では、第2〜N目標運動諸元予測部6において、現時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布と、前時刻における第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布から算出するように構成した。
この構成により、観測時間が短い、または第1目標の失検出等により第1目標の運動諸元が絞り込まれていない場合においても、第2目標〜第N目標の可能性のある運動諸元を予測し、第2目標〜第N目標の有無を推定することができる。よって、特許文献1で開示されているような、分離する側の目標すなわち第1目標の運動諸元を決定した後に、分離される側の目標すなわち第2目標〜第N目標の運動諸元の推定を開始する従来技術と異なり、第1目標が出現した後に短時間で第2目標〜第N目標を分離した場合においても、第2目標〜第N目標の運動諸元を推定することができる。
以上説明したように、実施の形態2の目標追尾装置によれば、過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に、現在時刻の第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、第1目標と異なる第n目標(nは2以上N以下の整数)に関し、過去の時刻の第n目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻の第n目標の運動諸元確率分布を予測する第2〜N目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標が観測領域内に存在する確率と過去の時刻の第n目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と現在時刻に第n目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、第1目標運動諸元予測部と第2〜N目標運動諸元予測部と存在確率予測部の出力と目標検出信号情報とを基に、現在時刻における第1目標及び第n目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率と現在時刻に第n目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えたので、実施の形態1の効果に加えて、1個の目標から2個以上の目標が分離される場合でも確実に目標の個数及び各目標の運動諸元を推定することができる。
また、実施の形態2の目標追尾装置によれば、第2〜N目標運動諸元予測部は、過去の時刻における第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻における第n目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻における第n目標の運動諸元確率分布を予測するようにしたので、精度の良い第n目標の運動諸元を得ることができる。
また、実施の形態2の目標追尾装置によれば、存在確率予測部は、第1目標の有無と第n目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に第n目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出するようにしたので、少ない演算量で各目標の運動諸元を推定することができる。
実施の形態3.
実施の形態1では、未知の時刻に出現した1個の目標が、未知の時間に1個から2個へ分離し得ることを前提に、各目標の運動諸元確率分布と存在確率を逐次算出し、各時刻における各目標の運動諸元を推定するようにしていた。
しかし、目標の種類によっては、2個の目標が結合し1個の目標となる場合が起こり得る。例えば、給油機等への航空機や船舶等のドッキングが挙げられる。
また、目標同士が接近し、目標間の距離が、センサ200の分解能に比べ十分小さくなった場合、センサ200から出力される検出信号の見かけ上、1個の目標として観測される場合が起こり得る。このような場合も、センサ200における見かけ上は目標同士が結合したと言える。
上記のような目標が結合する場合に対応するため、実施の形態3では、第1目標の運動諸元確率分布の予測値を、過去の第1目標の運動諸元確率分布と、過去の第2目標の運動諸元確率分布から算出する構成とする。
なお、以降では、結合される側の目標を「第1目標」、結合する側の目標を「第2目標」として説明を行う。また、出現が早い目標を第1目標とし、出現が遅い目標を第2目標とする。同時に2個の目標が出現する場合は、いずれを第1目標及び第2目標とするかは任意とする。すなわち、ある時刻に第1目標が出現し、以降の時刻に第2目標が出現し、さらにその後の時刻に第1目標へ第2目標が結合した場合について、目標追尾装置を適用した場合について説明する。なお、第2目標は第1目標と結合せずに消滅する場合も起こり得るとする。
図10は、実施の形態3に係る目標追尾装置100bの構成図である。図10に示すように、目標追尾装置100bはセンサ200から入力を受け、表示器300へ出力を送るよう構成されている。目標追尾装置100bは、第1目標運動諸元予測部10と、第2目標運動諸元予測部20と、存在確率予測部3と、更新処理部4と、推定値算出部5を備えている。なお、第1目標運動諸元予測部10及び第2目標運動諸元予測部20以外の構成は図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、センサ200及び表示器300についてもその構成は実施の形態1と同様である。ただし、センサ200からの検出信号201が第2目標運動諸元予測部20に対しても入力されるようになっている点と、更新処理部4から出力される第2目標の運動諸元確立分布4bが第1目標運動諸元予測部10にも入力されるようになっている点が実施の形態1の構成とは異なっている。
以下、図10における各機能ブロックの構成について説明する。
第1目標運動諸元予測部10は、センサ200から検出信号201を受け取ると共に、更新処理部4から前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aに加えて、第2目標の運動諸元確率分布4bを受け取り、更新処理部4へ現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布の予測値10aを送る。
第2目標運動諸元予測部20は、センサ200から検出信号201を受け取ると共に、更新処理部4から前時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bを受け取り、更新処理部4へ現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布の予測値20aを送る。
更新処理部4は、センサ200からの検出信号201と、第1目標運動諸元予測部10からの現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布の予測値10aと、第2目標運動諸元予測部20からの現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布の予測値20aとを受け取る。そして更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aと、現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bと、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと、現時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを、推定値算出部5に送る。また、更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率分布4aを、前時刻フレームにおける第1目標の運動諸元確率として、第1目標運動諸元予測部10へ送る。また、更新処理部4は、現時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率分布4bを、前時刻フレームにおける第2目標の運動諸元確率として、第1目標運動諸元予測部10と第2目標運動諸元予測部20へ送る。さらに更新処理部4は、現時刻フレームにおける第1目標の存在確率4cと現時刻フレームにおける第2目標の存在確率4dを、前時刻フレームにおける第1目標の存在確率と前時刻フレームにおける第2目標の存在確率として、存在確率予測部3へ送る。
また、実施の形態3の目標追尾装置のハードウェア構成については、図3に示す構成で実現される。すなわち、図10における第1目標運動諸元予測部10〜推定値算出部5は、それぞれの機能に対応したプログラムが記録装置102に格納され、演算装置101によって処理に対応したプログラムが読み出されて実行されることで実現される。各部の構成については実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、実施の形態3に係る目標追尾装置100bの動作を説明する。なお、動作フローチャートについて図面上は図4に示した実施の形態1と同様であるため、図4を援用して実施の形態3の動作を説明する。
なお、以降の説明における前提は、第1目標と第2目標が結合するとの前提以外は実施の形態1と同一とする。すなわち、推定対象の運動諸元は3次元位置空間内の位置と速度とし、座標系は直交座標系とし、目標の運動は等速直進と前提し、検出信号201は検出された信号の位置と強度を表す値とし、運動諸元確率分布はガウス分布の線形結合で近似するものとする。
また以降の説明における記号の定義は実施の形態1と同様とする。
以下、実施の形態3における図4の各ステップについて説明する。
ステップST1において、第1目標運動諸元予測部10は、検出信号201と、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布と、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から、時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値を算出する。
時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値を構成するガウス分布は3種類に分類される。一つ目は「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合しない」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布から算出する。二つ目は「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布であり、時刻kより過去の時刻フレームの検出信号201から算出する。三つ目は「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合する」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第1目標運動諸元確率分布と、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から算出する。
以下、一つ目の「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合しない」との可能性を表すガウス分布は添え字「S」を付け

Figure 0006570800
と表し、二つ目の「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は添え字「B」を付け

Figure 0006570800
と表し、三つ目の「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合する」との可能性を表すガウス分布は添え字「M」を付け

Figure 0006570800
と表す。
まず、「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合しない」との可能性を表すガウス分布はJk−1|k−1 (1)個あり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (1)である。またΦ、Qは実施の形態1におけるステップST1での定義と同一である。
Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ここで、winit、τk−1、Pinitは実施の形態1におけるステップST1での定義と同一である。
Figure 0006570800
Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
である。また、Pk−1|k−1 (1、jM)は時刻k−1における結合後のガウス分布共分散行列を表し

Figure 0006570800
である。またcは、時刻k−1における結合後の運動諸元に、結合前の第1目標の運動諸元が及ぼす影響の大きさを表すスカラ値であり、cは、時刻k−1における結合後の運動諸元に、結合前の第2目標の運動諸元が及ぼす影響の大きさを表すスカラ値である。c及びcはパラメタであり、例えば第1目標と第2目標の想定される質量等を設定する。
Figure 0006570800
上記式(72)〜式(82)によって算出された、「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合しない」との可能性を表すガウス分布と、「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布と、「時刻kより過去において第1目標が出現し、時刻kにおいて第2目標と結合する」との可能性を表すガウス分布を合わせた合計Jk|k−1 (1)個のガウス分布、すなわち

Figure 0006570800
が、時刻kにおける第1目標運動諸元確率分布の予測値である(記号∪は和集合を表す)。なお、第1目標運動諸元確率分布の予測値における各々の重み係数は、このステップの最後に、以下の式を満たすように規格化されているものとする。

Figure 0006570800
次に、ステップST2において、第2目標運動諸元予測部20は、検出信号201と、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から、時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値を算出する。
時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値を構成するガウス分布は2種類に分類される。一つは「時刻kより過去において第2目標が出現した」との可能性を表すガウス分布であり、時刻k−1における第2目標運動諸元確率分布から算出する。もう一つは「時刻kにおいて第2目標が出現した」との可能性を表すガウス分布であり、時刻kより過去の時刻フレームにおける検出信号201から算出する。
以下、「時刻kより過去において第2目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は添え字「S」を付け

Figure 0006570800
と表し、「時刻kにおいて第2目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は添え字「B」を付け

Figure 0006570800
と表す。
まず、「時刻kより過去において第2目標が出現した」との可能性を表すガウス分布は、Jk−1|k−1 (2)個あり、それぞれの重み係数、ガウス分布平均値、ガウス分布共分散行列は以下の式から算出する。

Figure 0006570800
ここでj=1、2、…、Jk−1|k−1 (2)である。またΦ、Qは実施の形態1におけるステップST1での定義と同一である。
Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800

Figure 0006570800
ここで、winit、τk−1、Pinitは実施の形態1におけるステップST1での定義と同一である。
Figure 0006570800

Figure 0006570800
上記式(87)〜式(92)によって算出された、「時刻kより過去において第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布と、「時刻kにおいて第1目標が出現した」との可能性を表すガウス分布を合わせた合計Jk|k−1 (2)個のガウス分布、すなわち

Figure 0006570800
が、時刻kにおける第2目標運動諸元確率分布の予測値である(記号∪は和集合を表す)。なお、第2目標運動諸元確率分布の予測値における各々の重み係数は、このステップの最後に、以下の式を満たすように規格化されているものとする。

Figure 0006570800
これ以降のステップST3〜ステップST8は実施の形態1におけるステップST3〜ステップST8と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以上のように構成された実施の形態3によれば、次の効果が得られる。
実施の形態3では、第1目標運動諸元予測部10において、現時刻における第1目標の運動諸元確率分布の予測値を、前時刻における第1目標の運動諸元確率分布の他に、現時刻における第2目標の運動諸元確率分布からも算出するように構成した。
この構成により、慣性の法則に基づいた目標同士が結合する場合の予測値、すなわち第1目標と第2目標が結合する際、結合直後の第1目標の位置や速度等の運動諸元は、第1目標と第2目標の運動諸元に依存するとの物理法則に則った第1目標の運動諸元確率分布の予測値が得られる。その予測値を基に更新処理部4及び推定値算出部5によって推定された第1目標の運動諸元の推定精度は、例えば文献1及び文献4で開示されているような、各目標の運動諸元予測値を別の目標の運動諸元予測値と独立に推定する従来技術に比べ、現実の物理法則に近いモデルに基づく予測値から得られた推定値であるため、真の運動諸元との誤差が小さい。すなわち、結合から観測時間が短い場合でも、または失検出202により結合後の第1目標の検出回数が少ない場合でも、文献1及び文献4で開示されている技術に比べ、より精度のよい結合後の第1目標の運動諸元を得ることができる。
以上説明したように、実施の形態3の目標追尾装置によれば、過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻の第1目標とは異なる目標である第2目標の運動諸元確率分布と、目標の観測情報である目標検出信号情報を基に、現在時刻の第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第2目標の運動諸元確率分布と目標検出信号情報を基に、現在時刻の第2目標の運動諸元確率分布を予測する第2目標運動諸元予測部と、過去の時刻の第1目標が観測領域内に存在する確率と過去の時刻の第2目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と現在時刻に第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、第1目標運動諸元予測部と第2目標運動諸元予測部と存在確率予測部の出力と目標検出信号情報とを基に、現在時刻における第1目標及び第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率と現在時刻に第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えたので、実施の形態1の効果に加えて、目標同士が結合するような場合でも目標の個数及び各目標の運動諸元を推定することができる。
また、実施の形態3の目標追尾装置によれば、存在確率予測部は、第1目標の有無と第2目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出するようにしたので、少ない演算量で各目標の運動諸元を推定することができる。
なお、上記各実施の形態では、目標の運動諸元を推定するための現在時刻として最新の時刻フレームとしたが、現在時刻をどの時刻フレームとするかは適宜選択が可能である。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
以上のように、この発明に係る目標追尾装置は、航空機や飛しょう体等の目標を観測するためのレーダやカメラ等のセンサの受信信号から、目標の個数及び各目標の運動諸元を推定する構成に関するものであり、目標が分離したり結合したりする場合の各目標の運動諸元を推定するのに適している。
1,10 第1目標運動諸元予測部、1a,10a 第1目標の運動諸元確率分布の予測値、2,20 第2目標運動諸元予測部、2a,20a 第2目標の運動諸元確率分布の予測値、3,30 存在確率予測部、3a,30a 第1目標の存在確率の予測値、3b,30b 第2目標の存在確率の予測値、4,40 更新処理部、4a,40a 第1目標の運動諸元確率分布、4b 第2目標の運動諸元確率分布、4c,40c 第1目標の存在確率、4d,40d 第2目標の存在確率、5,50 推定値算出部、5a 運動諸元推定値、6 第2〜N目標運動諸元予測部、6a 第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布の予測値、40b 第2目標〜第N目標の運動諸元確率分布、100,100a,100b 目標追尾装置、200 センサ、201 検出信号、202 失検出、203 誤検出、204 第1目標航跡、205 第2目標航跡、300 表示器。

Claims (8)

  1. 過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に、現在時刻の前記第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、
    過去の時刻の前記第1目標と異なる第2目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻の前記第2目標の運動諸元確率分布を予測する第2目標運動諸元予測部と、
    過去の時刻の前記第1目標が観測領域内に存在する確率と前記第2目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と前記第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、
    前記第1目標運動諸元予測部と前記第2目標運動諸元予測部と前記存在確率予測部の出力と前記目標検出信号情報とを基に、現在時刻の前記第1目標と前記第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率と前記第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、
    前記更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えた目標追尾装置。
  2. 前記第2目標運動諸元予測部は、過去の時刻における前記第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻における前記第2目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻における前記第2目標の運動諸元確率分布を予測することを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
  3. 前記存在確率予測部は、前記第1目標の有無と前記第2目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に前記第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の目標追尾装置。
  4. 過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と目標の観測情報である目標検出信号情報とを基に、現在時刻の前記第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、
    前記第1目標と異なる第n目標(nは2以上N以下の整数)に関し、過去の時刻の前記第n目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻の前記第n目標の運動諸元確率分布を予測する第2〜N目標運動諸元予測部と、
    過去の時刻の前記第1目標が観測領域内に存在する確率と過去の時刻の前記第n目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と現在時刻に前記第n目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、
    前記第1目標運動諸元予測部と前記第2〜N目標運動諸元予測部と前記存在確率予測部の出力と前記目標検出信号情報とを基に、現在時刻における前記第1目標及び前記第n目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率と現在時刻に前記第n目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、
    前記更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えた目標追尾装置。
  5. 前記第2〜N目標運動諸元予測部は、過去の時刻における前記第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻における前記第n目標の運動諸元確率分布を基に、現在時刻における前記第n目標の運動諸元確率分布を予測することを特徴とする請求項4記載の目標追尾装置。
  6. 前記存在確率予測部は、前記第1目標の有無と前記第n目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に前記第n目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出することを特徴とする請求項4または請求項5記載の目標追尾装置。
  7. 過去の時刻の第1目標の運動諸元確率分布と、過去の時刻の前記第1目標とは異なる目標である第2目標の運動諸元確率分布と、目標の観測情報である目標検出信号情報を基に、現在時刻の前記第1目標の運動諸元確率分布を予測する第1目標運動諸元予測部と、
    過去の時刻の前記第2目標の運動諸元確率分布と前記目標検出信号情報を基に、現在時刻の前記第2目標の運動諸元確率分布を予測する第2目標運動諸元予測部と、
    過去の時刻の前記第1目標が観測領域内に存在する確率と過去の時刻の前記第2目標が観測領域内に存在する確率とを基に、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と現在時刻に前記第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値とを算出する存在確率予測部と、
    前記第1目標運動諸元予測部と前記第2目標運動諸元予測部と前記存在確率予測部の出力と前記目標検出信号情報とを基に、現在時刻における前記第1目標及び前記第2目標の運動諸元確率分布と、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率と現在時刻に前記第2目標が観測領域内に存在する確率とを算出する更新処理部と、
    前記更新処理部の出力を基に、現在時刻に各目標が観測領域内に存在するかを判定し、存在すると判定された目標の運動諸元推定値を算出する推定値算出部とを備えた目標追尾装置。
  8. 前記存在確率予測部は、前記第1目標の有無と前記第2目標の有無とに関する状態間の確率遷移モデルに従って、現在時刻に前記第1目標が観測領域内に存在する確率の予測値と、現在時刻に前記第2目標が観測領域内に存在する確率の予測値を算出することを特徴とする請求項7記載の目標追尾装置。
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