JP6570685B1 - 電力用半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本願の実施の形態1における電力用半導体装置を図1から図7に基づいて説明する。
図1は実施の形態1による電力用半導体装置の外観図、図2は電力用半導体装置を示す断面図である。
電力半導体モジュール1に固着される冷却器6は、アルミもしくは銅からなり放熱フィン3aが一体に形成された冷却板3とアルミダイキャストなどのジャケット4からなり、冷却板3とジャケット4とが接する密閉部にはゴムまたは金属などの弾性体からなるOリングなどの密閉部材5を介して組まれている。またジャケット4は水などの冷媒を通す通路となる凹部が形成され、冷却板3とジャケット4からなる冷却器6の内部には冷媒が通る空間部が形成されている。電力半導体モジュール1は、冷却器6の冷却板3に絶縁固着層7を介して加圧加熱し固着される。
電力半導体モジュール1が絶縁固着層7を介して冷却器6に加圧加熱されて固着された後に、ケース9は嵌合部10が溝状の緩和部8に挿入されるように配置される。その後、ケース9に形成された図示しない主配線と電力半導体モジュール1の端子2を接続して電力用半導体装置が構成される。
まず、図3(a)のように冷却板3とジャケット4は、予め溶接またはろう付けによって接合して冷却器6として組み立てる。冷却板3とジャケット4からなる冷却器6の冷却板3の上に絶縁固着層7を置く。次に、図3(b)のように絶縁固着層7の固着温度まで加熱された冷却器6に、同様に加熱された電力半導体モジュール1を加圧し固着させる。その後、図3(c)のようにケース9の嵌合部10を冷却板3の緩和部8に挿入するようにケース9を取り付け、電力半導体モジュール1に接続された端子2とケース9の配線とを接続する。
嵌合部10と冷却板3の材料の線膨張係数差が大きいと、逆に緩和部8の変形を大きくしてしまうため、冷却板3の材料の線膨張係数と可能な限り近い方が好ましい。
絶縁固着層7により、電力半導体モジュール1と冷却板3を固着させるため、各界面の接触熱抵抗が非常に小さくなる。そのため、電力半導体モジュール1から発生する熱を冷却器6から効率的に放熱でき、小型・高効率な電力用半導体装置を実現できる。
電力半導体モジュール1を加圧する際に、図示しない治具などで凸の変位を吸収する必要があるが、加圧の際に緩和部8がスムーズに変形することで冷却板3に余計な力が発生せず、複数の電力半導体モジュール1を均一に加圧できる。
工程順序においては、まず、図6(a)のように絶縁固着層7の固着温度まで加熱された冷却板3に、同様に加熱された電力半導体モジュール1を加圧・加熱して固着させる。次に、図6(b)のように冷却板3を溶接またはろう付けによってジャケット4に接合して取り付け、冷却器6として組み立てる。その場合、冷却板3が電力半導体モジュール1に接合し取り付けられたことで変形しており、ジャケット4に取り付けられる際に変形が矯正される。変形が矯正される際、絶縁固着層7にストレスが発生するため、信頼性の低下等が懸念される。
次に、本願の実施の形態2における電力用半導体装置を図8および図9に基づいて説明する。
図8は実施の形態2による電力用半導体装置の電力半導体モジュール1を冷却器6に実装した断面図、図9は電力用半導体装置のケース設置前の上面図である。
特に、冷却器6の水密のために、冷却板3とジャケット4をろう付け又は溶接などで接合する場合、ろう付け又は溶接時の治具構成および熱影響から、電力半導体モジュール1を前もって冷却板3に固着させることが難しい。
変形による絶縁固着層7へのストレスは、冷却板3の材質が同じ場合、冷却板3の剛性が高い方が大きくなる。しかし、緩和部8を完全に埋めない構造にすることで、ジャケット4が冷却板3の変形を拘束する力が弱まり、冷却板3の剛性を下げることができる。冷却板3の剛性が下がった結果、絶縁固着層7の信頼性が向上し、信頼性の高い製品を提供できる。
また、多くの場合、冷却板3に形成される放熱フィン3aとジャケット4の間に空間ができる。そのような場合の方が、本願の効果が大きく得られる。冷却器6を組み立てた際、冷却板3と一体に形成された放熱フィン3aとジャケット4の間に隙間が無ければ、電力半導体モジュール1を加圧・加熱する際、放熱フィン3aが加圧力を受けてしまうため、緩和部8の変形する余地がなくなる。そのため放熱フィン3aとジャケット4の間には隙間が必要である。この隙間は放熱フィン3aと放熱フィン3aの隙間よりも小さい隙間のほうがよい。
実施の形態2においても、電力半導体モジュール1を冷却器6に加圧固着する際、緩和部8が選択的に変形するため、冷却板3とジャケット4とが接する密閉部の変形を抑えることができ、良好な密閉を確保できる。また、緩和部8に嵌合部10を挿入することで、内圧または温度変化による冷却器6の変形を抑制し、緩和部8へのストレスを軽減することができる。
次に、本願の実施の形態3における電力用半導体装置を図10に基づいて説明する。
図10は実施の形態3による電力用半導体装置の断面図である。図10において、電力半導体モジュール1を冷却器6に実装した電力用半導体装置は、冷却板3の緩和部8上のケース9と冷却板3との間に、緩和部8の周りを囲むように液状パッキンなどのシール部13を設けたものである。また、冷却板3の緩和部8と図示しない冷却装置などの外部とをつなぐ排出経路14を冷却器6に設けたものである。その他の構成は実施の形態2の図8と同じに付き、同じまたは相当部分には同じ符号を付して説明を省略する。
次に、本願の実施の形態4における電力用半導体装置を図11に基づいて説明する。
図11は実施の形態4による電力用半導体装置の断面図である。図11において、電力半導体モジュール1を冷却器6に実装した電力用半導体装置は、冷却板3のジャケット4が接する側に緩和部8を設け、嵌合部10はジャケット4と一体に設けて緩和部8に挿入するようにしたものである。その他の構成は実施の形態2の図8と同じに付き、同じまたは相当部分には同じ符号を付して説明を省略する。
次に、本願の実施の形態5における電力用半導体装置を図12に基づいて説明する。
図12は実施の形態4による電力用半導体装置の断面図である。図12において、電力半導体モジュール1を冷却器6に実装した電力用半導体装置は、冷却板3とジャケット4との間の冷媒が通る空間部に、放熱フィン3aよりも剛性が高く、放熱フィン3aの長さよりも長いストッパー15を設けたものである。図12においては、ストッパー15は冷却板3と一体に構成したが、ジャケット4側と一体に構成しても、別体でもよい。その他の構成は実施の形態2の図8と同じに付き、同じまたは相当部分には同じ符号を付して説明を省略する。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
6:冷却器、7:絶縁固着層、8:緩和部、9:ケース、10:嵌合部、
11:抑制板、12:接合部、13:シール部、14:排出経路、15:ストッパー。
Claims (13)
- 電力半導体モジュールと、冷却板とジャケットとで構成され、内部に冷媒が通る空間部が形成された冷却器と、前記電力半導体モジュールを前記冷却器の冷却板に加圧固着させる絶縁固着層と、前記電力半導体モジュールの端子と接続する配線が設けられたケースとを備え、前記冷却板には前記冷却板と前記ジャケットとが接する密閉部より内側に形成された溝状の緩和部を設け、前記ケースには前記緩和部の溝に挿入される嵌合部を設けたことを特徴とする電力用半導体装置。
- 前記冷却板と前記ジャケットとが接する密閉部には、弾性体からなるOリングが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
- 前記冷却板と前記ジャケットとが接する密閉部は、溶接又はろう付けによって接合された接合部で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力用半導体装置。
- 前記嵌合部の幅は、前記緩和部の幅よりも小さくしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
- 前記嵌合部は、前記ケースと一体に成形されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
- 前記ケースと前記冷却板との間の前記緩和部の周りにシール部を設けると共に、前記緩和部と外部とをつなげる排出経路を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
- 前記冷却板には、前記冷却器の内部空間に延びる放熱フィンが設けられたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
- 前記冷却板に設けられた前記放熱フィンの先端は平坦であることを特徴とする請求項7に記載の電力用半導体装置。
- 前記放熱フィンと前記ジャケットの間に、前記放熱フィン間の隙間よりも小さい隙間があることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電力用半導体装置。
- 前記冷却板と前記ジャケットとの間の空間部に、前記放熱フィンよりも長く且つ剛性の高いストッパーを設けたことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
- 電力半導体モジュールと、冷却板とジャケットとで構成され、内部に冷媒が通る空間部が形成された冷却器と、前記電力半導体モジュールを前記冷却器の冷却板に加圧固着させる絶縁固着層と、前記電力半導体モジュールの端子と接続する配線が設けられたケースとを備え、前記冷却板の前記ジャケットが接する側に、前記冷却板と前記ジャケットとが接する密閉部より内側に形成された溝状の緩和部を設け、前記ジャケットには前記緩和部の溝に挿入される嵌合部を設けたことを特徴とする電力用半導体装置。
- 冷却板とジャケットが接する密閉部を溶接またはろう付けによって接合して冷却器として組み立てる工程、前記冷却器の冷却板の上に絶縁固着層を置く工程、前記絶縁固着層の固着温度まで加熱された前記冷却器に電力半導体モジュールを加圧し固着させる工程、前記電力半導体モジュールの端子と接続する配線が設けられたケースの嵌合部を、前記密閉部より内側の前記冷却板に形成された溝状の緩和部に挿入して前記ケースを取り付ける工程を備えた電力用半導体装置の製造方法。
- 冷却板の上に絶縁固着層を置いて前記絶縁固着層の固着温度まで前記冷却板を加熱する工程、加熱された前記冷却板に電力半導体モジュールを加圧し固着させる工程、前記冷却板を溶接またはろう付けによってジャケットに接合して冷却器として組み立てる工程、前記電力半導体モジュールの端子と接続する配線が設けられたケースの嵌合部を、前記冷却板と前記ジャケットが接する密閉部より内側の前記冷却板に形成された溝状の緩和部に挿入して前記ケースを取り付ける工程を備えた電力用半導体装置の製造方法。
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