JP6570067B2 - ケーソンの着底方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、この従来の方法では、ケーソンを着底させる際該ケーソンに作用する波浪によって、当該ケーソンが動揺することで、係留索に過大な張力が作用して該係留索が破断したり、また、着底直前でケーソンが動揺することで、据付位置の精度が低下するなどの問題が発生していた。
請求項1の発明では、ケーソンを着底させる際には、施工時の波浪周期に基づいて、ケーソン内の各隔室への注水量、すなわち、各隔室に対応する圧送ポンプ(水中ポンプ)からの単位時間当たりの注水量を各隔室毎に適切に設定して、波浪周期の如何に関わらず、沈降時のケーソンの動揺を抑制させた状態で、該ケーソンを沈降させることができる。
請求項2の発明は、ケーソン内の各隔室への注水量を各隔室毎に適切に設定して、該ケーソンを着底直前まで沈降させた後、ウィンチ操作により、動揺が抑制された状態のケーソンの据付位置を微調整するものである。
請求項3の発明では、ケーソンの沈降時の、波浪による動揺をさらに抑制することができる。
請求項4の発明は、ケーソンの大きさなど他の条件も関わってくるが、例えば、波浪周期6秒のときに、ケーソンの動揺を抑制するに適したものである。
図1に示すように、防波堤を構成するケーソン1〜3は、基礎マウンド5上に設置される。基礎マウンド5は波浪方向(沖側から陸側に向かう方向又はその反対方向)と直交する方向に延びる。基礎マウンド5上には、複数のケーソン1〜3が基礎マウンド5の延びる方向に沿って連続して設置される。ケーソン1〜3は、内部が空洞である函体で形成される。ケーソン1〜3内は、複数の補強リブ9、9により区画されて複数の隔室8a〜8cが設けられている。
まず、浮上ステップS1及び曳航ステップS2が実施される。すなわち、浮上ステップS1にて、製作ヤードで製作された新設ケーソン1を海上に浮かせて、曳航ステップS2にて、新設ケーソン1を設置場所まで曳航する。なお、浮上ステップS1では、新設ケーソン1内の各隔室8a〜8c内は排水されて基本的に空洞であるが、曳航ステップS2における曳航時の安定性等を考慮して、新設ケーソン1内の各隔室8a〜8c内に若干量注水される場合もある。
なお、本実施の形態では、第1既設ケーソン2上に複数のウィンチ10a、10bを配置して、これらのウィンチ10a、10bからのワイヤーロープ11a、11bを新設ケーソン1上の各係留部14、15に係留しているが、新設ケーソン1の上端に蓋本体を被せて、新設ケーソン1の蓋本体上に複数のウィンチを配置して、これらのウィンチからのワイヤーロープを第1既設ケーソン2上に配置した各係留部に係留してもよい。この形態の場合、後述する新設ケーソン1内の各隔室8a〜8cへの注水は、蓋本体に設けた各隔室8a〜8cに対応する開閉蓋を開けて注水するようになる。
これにより、新設ケーソン1を目標水深位置まで沈降させる際、新設ケーソン1の動揺をさらに抑制することができる。なお、第1注出ステップS3にて実施される、新設ケーソン1内の各隔室8a〜8cへの注水量をそれぞれ設定した具体的な注水形態は後で詳述する。
次に、着底後、新設ケーソン1の各隔室8a〜8c内の海水を捨石などに置き換えて、新設ケーソン1を安定させる。
例えば、新設ケーソン1内を複数の補強リブ9により、波浪方向に沿って3分割に区画して3つの隔室8a〜8cを設けた場合、新設ケーソン1内の各隔室8a〜8cへの注水形態は、以下に説明する第1〜第5の実施形態が採用される。これら第1〜第5の実施形態は、施工時の波浪周期に基づいて適宜選択される。なお、図1を参照して、新設ケーソン1内で、基礎マウンド5の延びる方向に沿って複数の補強リブ9で区画されている場合、基礎マウンド5の延びる方向に沿って隣接する隔室8a、8a(8b、8b)(8c、8c)への注水量は互いに相違することはない。
この第1の実施形態は、発明者らの鋭意研究によれば、新設ケーソン1の大きさが、基礎マウンド5が延びる方向の長さ寸法が20m、波浪方向に延びる長さ寸法が12m及び高さ寸法が16mであり、基礎マウンド5が延びる方向に沿って4つの隔室(全12の隔室)を備えている場合、波浪周期が6秒であるとき、新設ケーソン1の波浪による動揺を抑制することができるものである。
この第3の実施形態は、新設ケーソン1の大きさが、基礎マウンド5が延びる方向の長さ寸法が20m、波浪方向に延びる長さ寸法が12m及び高さ寸法が12mであり、基礎マウンド5が延びる方向に沿って4つの隔室(全12の隔室)を備えている場合、波浪周期が12秒であるとき、新設ケーソン1の波浪による動揺を抑制することができるものである。
以上のごとく、図3〜図6に示す第1〜第4の実施形態は、新設ケーソン1の波浪方向に沿う断面形状が、波浪方向中心線CLに対して対称となる場合であり、この種のケーソン1の場合は、新設ケーソン1への注水量を、新設ケーソン1の波浪方向中心線CLに対して、その波浪方向両側の注水量が略同じになるように設定するものである。
Claims (4)
- ケーソンを着底させる際の波浪周期に基づいて、該ケーソン内を区画して設けた複数の隔室への注水量をそれぞれ設定して、該ケーソンを沈降させることを特徴とするケーソンの着底方法。
- 前記ケーソンを、前記各隔室への注水量をそれぞれ設定して着底直前まで沈降させることを特徴とする請求項1に記載のケーソンの着底方法。
- 前記ケーソンへの注水量を、該ケーソンの波浪方向中心線に対して、その波浪方向両側の注水量が同じになるように設定することを特徴とする請求項1または2に記載のケーソンの着底方法。
- ケーソン内を、該ケーソンが着底したときの沖側から陸側に向かう方向に沿って少なくとも3分割に区画した隔室を設け、
中央に位置する隔室に対して、沖側に位置する隔室への注水量と、陸側に位置する隔室への注水量とを同じにして、
中央に位置する隔室への注水量を、沖側及び陸側の隔室への注水量よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケーソンの着底方法。
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