JP6569350B2 - 磁気抵抗効果デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を利用した磁気抵抗効果デバイスに関する。
(強磁性共鳴の説明)
強磁性体の磁化は、印加された磁界に対して動くため、振動する外部交流磁界が印加された場合、強磁性体の磁化は、外部交流磁界の周波数に応じて振動する。例えば、非特許文献1にあるように、印加された外部交流磁界の周波数が、強磁性体の持つ共鳴周波数に近い時、振動する強磁性体の磁化の振幅は非常に大きくなることが知られており、この現象は強磁性共鳴(FMR)と呼ばれている。強磁性共鳴において、印加される外部交流磁界の周波数に対する、強磁性体の磁化の振幅のスペクトルは、共鳴周波数にピークを持つ形状となっている。
磁気抵抗効果素子として、非磁性導電層が強磁性層で挟まれたGMR(Giant Magneto Resistive Effect)素子や、非磁性絶縁層が強磁性層で挟まれたTMR(Tunnel Magneto Resistance Effect)素子などが知られている。磁気抵抗効果素子に外部交流磁界が印加されると、磁化自由層の磁化の変化に応じて、磁化固定層の磁化と磁化自由層の磁化のなす角度が変化し、磁気抵抗効果により磁気抵抗効果素子の抵抗が変化する。そのため、印加される外部交流磁界の周波数に対する、磁気抵抗効果素子の抵抗変化のスペクトルは、磁化自由層の磁化の共鳴周波数にピークを持つ形状となる。また、このスペクトルの半値幅は、例えば、数十MHzから数GHzとなる。
(スピン注入磁化発振素子の説明)
一方、TMR素子やGMR素子のような磁気抵抗効果素子に、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する直流電流が流れるとき、スピントルクにより磁化自由層の磁化が振動する現象が知られている。この磁化自由層の磁化の振動は、磁気抵抗効果により磁化の振動周波数に応じた交流信号として出力させることができる。例えば、特許文献1や特許文献2などでは、磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流を印加し、高周波帯域の出力を取り出す発振器として磁気抵抗効果素子を用いることが提案されている。このような磁気抵抗効果素子は特にスピン注入磁化発振素子と呼ばれる。スピントルクによる磁化の振動では、一般的に磁化自由層の磁化の振動周波数は数〜数十GHzの高周波帯域である。また、振動する磁化自由層の磁化の振幅を、周波数のスペクトルで表すと、磁化自由層の磁化の共鳴周波数に対応したピークを持つ形状となる。さらに、磁気抵抗効果による抵抗変化を周波数のスペクトルにとると、同様に磁化自由層の磁化の共鳴周波数にピークを持つ形状となる。このスペクトルの半値幅は、例えば、数MHzから数百MHzであり、一般的に、上述した外部交流磁界による磁化自由層の磁化の振動による抵抗変化のスペクトルの半値幅よりも小さくなる。
特許第4677589号 特許第5443783号
J. −M. L. Beaujour et al., J. Appl. Phys. 99, 08N503 (2006)
スピン注入磁化発振素子は、水晶発振器の置き換えや無線通信用送信機などの用途が考えられる。ただし、それらの用途に用いるためには高出力が必要となり、既存のスピン注入磁化発振素子では、この要求を満足できない。スピン注入磁化発振素子が高出力化できない理由として、TMR素子とGMR素子には、スピン注入磁化発振素子として、それぞれ異なる問題点がある。スピントルクによる磁化の振動は、磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度を大きくするほど振幅が大きくなるという特徴があるが、GMR素子は、磁気抵抗効果が小さいため、磁化自由層の磁化が大きく振動しても、取り出すことができる電気的な高周波出力は小さいという問題がある。一方、スピントルクによる磁化の振動を起こすためには、磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する非常に大きな電流を流す必要があるが、TMR素子は耐圧が小さく、大きな電流密度の電流を流すと素子が壊れてしまうため、大きな電流密度の電流を流して磁化自由層の磁化を大きく発振させることはできないという問題がある。本発明は、高い発振出力を実現できる磁気抵抗効果デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、第1の磁化自由層、第1の磁化固定層および前記第1の磁化自由層と前記第1の磁化固定層との間に配置された非磁性導電層を有する第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁化自由層、第2の磁化固定層および前記第2の磁化自由層と前記第2の磁化固定層との間に配置された非磁性絶縁層を有する第2の磁気抵抗効果素子とを有し、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層が磁気的に結合しており、前記第1の磁気抵抗効果素子には、前記第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されることを第1の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、磁化自由層と磁化固定層の間に非磁性導電層を有するGMR素子には大きな電流密度を有する電流を流すことが可能であり、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子に、第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1の磁化自由層の磁化を大きく振動させることができる。第1の磁化自由層と磁気的に結合した第2の磁化自由層の磁化は、振動する第1の磁化自由層の磁化に対応した振動磁界を受けるため、第2の磁化自由層の磁化も大きく振動させることができる。そのため、第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度が、第1の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度よりも小さくても、第2の磁化自由層の磁化を振動させることができるので、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子の大電流印加による破壊を防ぐことができる。また、第2の磁気抵抗効果素子は、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子であるので、第2の磁気抵抗効果素子から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子から高い発振出力を得ることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層に外部磁場を印加する磁場印加機構を有することを第2の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層に外部磁場を印加する磁場印加機構を有することで、第1の磁化自由層の磁化と第2の磁化自由層の磁化を、磁場印加機構から印加される外部磁場の方向に向けることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化固定層の磁化方向に平行な直線と前記第1の磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度よりも、前記第2の磁化固定層の磁化方向に平行な直線と前記第2の磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線の方向のなす角度が大きいことを第3の特徴とする。なお、本発明において、「磁化方向に平行な直線と外部磁場の方向に平行な直線のなす角度」とは、磁化方向に平行な直線と外部磁場の方向に平行な直線がなす角度のうち小さいほうの角度である。
磁気抵抗効果素子は、磁化固定層の磁化方向に平行な直線と磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度が小さいほど発振閾値電流密度が小さくなる。また、磁気抵抗効果素子は、磁化固定層の磁化方向に平行な直線と磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度が大きいほど磁化自由層の磁化の振動に対する抵抗変化が大きくなる。従って、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第2の磁気抵抗効果素子において、磁化固定層の磁化方向に平行な直線と磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度が、第1の磁気抵抗効果素子よりも大きいことで、第2の磁化自由層の磁化の振動に対する抵抗変化が大きくなるので、第2の磁気抵抗効果素子から高い発振出力を得ることができる。また、第1の磁気抵抗効果素子において、磁化固定層の磁化方向に平行な直線と磁化自由層に印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度が、第2の磁気抵抗効果素子よりも小さいことで、発振閾値電流密度が小さくなる。したがって、磁気抵抗効果デバイスの出力効率を向上させることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子は電気的に独立していることを第4の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子が電気的に独立しているため、第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子のそれぞれに、最適な条件で電流を印加することができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子が電気的に並列に接続されていることを第5の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子が電気的に並列に接続されることで、第1の磁気抵抗効果素子には、第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きな電流密度を有する電流が印加されるようにすることができるとともに、電流を印加する電源の数を抑制することができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子が電気的に直列に接続されており、前記第1の磁気抵抗効果素子の印加される電流の方向に垂直な断面の面積が、前記第2の磁気抵抗効果素子の印加される電流の方向に垂直な断面の面積よりも小さいことを第6の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子が電気的に直列に接続される構造をとることで、素子作製のプロセスが容易になるとともに、電流を印加する電源の数を抑制することができる。また、第1の磁気抵抗効果素子の印加される電流の方向に垂直な断面の面積が、第2の磁気抵抗効果素子の印加される電流の方向に垂直な断面の面積よりも小さいので、第1の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度を第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きくすることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化固定層との距離に対し、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層との距離の方が小さくなるように、前記第1の磁気抵抗効果素子の膜面内方向に、前記第2の磁気抵抗効果素子が配置されたことを第7の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁化自由層と第2の磁化固定層との距離に対し、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層との距離の方が小さくなるように第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子を配置することで、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層の磁気的結合を強くすることができる。さらに、第1の磁気抵抗効果素子の膜面内方向に、第2の磁気抵抗効果素子を配置することで、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層の磁気的結合をより一層強くすることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化固定層との距離に対し、前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層との距離の方が小さくなるように、前記第1の磁気抵抗効果素子の膜面直方向に、前記第2の磁気抵抗効果素子が配置されたことを第8の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、第1の磁化自由層と第2の磁化固定層との距離に対し、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層との距離の方が小さくなるように第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子を配置することで、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層の磁気的結合を強くすることができる。さらに、第1の磁気抵抗効果素子の膜面直方向に、第2の磁気抵抗効果素子を配置することで、素子作製プロセスを容易にできる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、前記第2の磁気抵抗効果素子を複数有し、前記第1の磁化自由層と前記複数の第2の磁気抵抗効果素子の各々の前記第2の磁化自由層とが磁気的に結合していることを第9の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、各々の第2の磁気抵抗効果素子同士が電気的に接続され、各々の第2の磁気抵抗効果素子からの出力が合算されることで、より高い発振出力を得ることができる。
本発明によれば、高い発振出力を実現できる磁気抵抗効果デバイスを提供することができる。
第1実施形態の磁気抵抗効果デバイスの概略図である。 第1実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の磁化状態の模式図である。 第1実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加された時の、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の磁化状態の模式図である。 第1実施形態の磁気抵抗効果デバイスを含む回路の模式図である。 第1実施形態の出力端子で出力される電圧の時間波形を示す図である。 第1の磁化自由層に印加される外部磁場と第1の磁化固定層の磁化の成す角度に対する第1の磁気抵抗効果素子の発振閾値電流密度の依存性を示すグラフである。 第2の磁化自由層の磁化と第2の磁化固定層の磁化の成す角度に対する第2の磁気抵抗効果素子の抵抗の依存性を示すグラフである。 第2実施形態の磁気抵抗効果デバイスの概略図である。 第2実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の磁化状態の模式図である。 第2実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加された時の、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子の磁化状態の模式図である。 第3実施形態の磁気抵抗効果デバイスの概略図である。 第3実施形態の磁気抵抗効果デバイスを含む回路の模式図である。 第4実施形態の磁気抵抗効果デバイスの概略図である。 第4実施形態の磁気抵抗効果デバイスを含む回路の模式図である。 第5実施形態の磁気抵抗効果デバイスの概略図である。 第5実施形態の磁気抵抗効果デバイスを含む回路の模式図である。
本発明を実施するための好適な形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
図1に、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100の概略図を示す。磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7とを有している。第1の磁気抵抗効果素子2は、第1の磁化自由層2a、第1の磁化固定層2cおよび第1の磁化自由層2aと第1の磁化固定層2cとの間に配置された非磁性導電層2bを有し、GMR素子として機能する。第2の磁気抵抗効果素子7は、第2の磁化自由層7a、第2の磁化固定層7cおよび第2の磁化自由層7aと第2の磁化固定層7cとの間に配置された非磁性絶縁層7bを有し、TMR素子として機能する。
図1に示すように、第1の磁気抵抗効果素子2はさらに第1の反強磁性層2dを有し、第2の磁気抵抗効果素子7はさらに第2の反強磁性層7dを有している。
図1に示すように、磁気抵抗効果デバイス100では、第1の磁気抵抗効果素子2に電流を印加するために、第1の磁気抵抗効果素子2の積層方向の両側には第1の上部電極1および第1の下部電極4が接続されている。また、第2の磁気抵抗効果素子7に電流を印加するとともに、出力を取り出すために、第2の磁気抵抗効果素子7の積層方向の両側には第2の上部電極6および第2の下部電極8が接続されている。
また、図1に示すように、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は、同一平面上に、絶縁体5を挟んで隣り合って配置されており、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。さらに、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は、それぞれ同じ順序で、下から反強磁性層、磁化固定層、非磁性層(非磁性導電層2bまたは非磁性絶縁層7b)、磁化自由層という配置で構成されている。このように、第1の磁化自由層2aと第2の磁化固定層7cとの距離に対し、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aとの距離の方が小さくなるように第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。また、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aは磁気的に結合しており、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eは磁気的に結合している。
第1の上部電極1、第1の磁気抵抗効果素子2および第1の下部電極4は、絶縁体5により、第2の上部電極6、第2の磁気抵抗効果素子7および第2の下部電極8と電気的に隔離されている。
また、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aに外部磁場を印加する磁場印加機構3を有している。磁場印加機構3は、例えば永久磁石である。
第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aは強磁性を示す層であり、その材料は、例えば、高い磁気抵抗変化率を得るため、Fe、Co、Ni、FeCoまたはCoFeB等の強磁性体である高スピン分極率材料であり、垂直磁気異方性を持たせるため、Pt、Pd等が含まれる場合もある。第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aは、膜面内方向に磁気異方性をもつ面内磁化膜でも良く、膜面直方向に磁気異方性をもつ垂直磁化膜でも良い。非磁性導電層2bの材料は、巨大磁気抵抗(GMR)効果が発現するよう、例えば、CuまたはAgである。非磁性絶縁層7bの材料は、トンネル磁気抵抗(TMR)効果が発現するよう、例えば、AlO(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)またはMgAl等である。また、第1の磁化固定層2cと第2の磁化固定層7cは強磁性を示す層であり、その材料は、高い磁気抵抗変化率を得るため、例えば、Fe、Co、Ni、FeCoまたはCoFeB等の強磁性体である高スピン分極率材料であり、垂直磁気異方性を持たせるため、Pt、Pd等が含まれる場合もある。第1の磁化固定層2cと第2の磁化固定層7cは、膜面内方向に磁気異方性をもつ面内磁化膜でも良く、膜面直方向に磁気異方性をもつ垂直磁化膜でも良いが、対応する磁化自由層の磁気異方性と同じ磁気異方性をもつことが好ましい。第1の反強磁性層2dと第2の反強磁性層7dの材料は、交換バイアス効果が発現するよう、例えば、PtMn、IrMnまたはFeMn等の反強磁性材料である。また、第1の反強磁性層2dのブロッキング温度は、第2の反強磁性層磁7dよりも低い。例えば、第1の反強磁性層2dの材料をIrMn、第2の反強磁性層磁7dの材料をPtMnとすることができる。また、第1の反強磁性層2dと第2の反強磁性層磁7dとで同じ反強磁性材料を用い、第1の反強磁性層2dの膜厚を第2の反強磁性層膜厚よりも薄くすることでブロッキング温度を異ならせることもできる。磁場印加機構3を構成する永久磁石の材料は、例えば、CoPtまたはFePtである。さらに、絶縁体5の材料は、例えばAlO(酸化アルミニウム)、MgO(酸化マグネシウム)またはSiO(酸化シリコン)である。
図2は、第1実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態の模式図である。また、図3は、第1実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子2に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加され、一方、第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態の模式図である。ここでは、第1の磁化自由層2a、第2の磁化自由層7a、第1の磁化固定層2cおよび第2の磁化固定層7cが面内磁化膜である例で説明する。図2および図3において、第1の磁化自由層2a、第1の磁化固定層2c、第2の磁化自由層7a、第2の磁化固定層7cの磁化ベクトルは、それぞれ白抜き矢印を用いて、第1の磁化自由層2aの磁化2e、第1の磁化固定層2cの磁化2f、第2の磁化自由層7aの磁化7e、第2の磁化固定層7cの磁化7fとして示される。
第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態について以下に述べる。第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aには、磁場印加機構3から外部磁場3aが印加される。第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eは外部磁場3aと同じ方向に向く。
第1の磁化固定層2cの磁化2fは、第1の反強磁性層2dとの交換バイアス効果により、固定されており、外部磁場3aと平行かつ逆の方向を向いている。また、第2の磁化固定層7cの磁化7fは、第2の反強磁性層7dとの交換バイアス効果により、固定されており、外部磁場3aと直交する方向を向いている。このように、第1の磁化固定層2cの磁化2fの方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化7fの方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度が大きくなっている。
第1の磁化固定層2cの磁化2f及び第2の磁化固定層7cの磁化7fを固定する方法について説明する。第1の反強磁性層2d、第1の磁化固定層2c、非磁性導電層2b及び第1の磁化自由層2aと、第2の反強磁性層7d、第2の磁化固定層7c、非磁性絶縁層7b及び第2の磁化自由層2aを成膜した後、2回の磁場中アニール処理を行う。第1のアニール処理では、第1の反強磁性層2dのブロッキング温度および第2の反強磁性層7dのブロッキング温度よりも、アニール温度を高くする。第1のアニール処理において、アニール中及びアニール温度からの冷却中に、積層膜全体に外部磁場3aと直交する方向にアニール磁場が印加される。第1のアニール処理後、第1の磁化固定層2cの磁化2fおよび第2の磁化固定層7cの磁化7fは、それぞれ、第1の反強磁性層2dと第2の反強磁性層7dとの交換バイアス効果により、どちらとも外部磁場3aと直交する方向に固定される。次に、第2のアニール処理を行い、このときのアニール温度は第2の反強磁性層7dのブロッキング温度よりも低いが、第1の反強磁性層2dのブロッキング温度よりも高くする。第2のアニール処理においては、アニール中及びアニール温度からの冷却中に、積層膜全体に外部磁場3aと平行かつ逆向きにアニール磁場が印加される。第2のアニール処理後、第1の反強磁性層2dとの交換バイアス効果により、第1の磁化固定層2cの磁化2fは外部磁場3aと平行かつ逆の方向に固定されるが、第2の磁化固定層7cの磁化7fが固定される方向は変わらない。2回のアニール処理後、第1の磁化固定層2cの磁化2fは、外部磁場3aと平行かつ逆の方向に固定され、第2の磁化固定層7cの磁化7fは、外部磁場3aと直交する方向に固定される。
図4に、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100を含む回路の模式図を示す。第1の磁気抵抗効果素子2に直流電流を印加するため、第1の入力端子9と第1の上部電極1は電気的に接続されており、第1の下部電極4はグランドに接続されている。第2の磁気抵抗効果素子7に直流電流を印加するため、第2の入力端子12はバイアス・ティー10の直流端子を経由し、第2の上部電極6と電気的に接続されている。また、第2の磁気抵抗効果素子7から出力を取り出すため、出力端子11はバイアス・ティー10の交流端子を経由し、第2の上部電極6と電気的に接続されている。第2の下部電極8はグランドに接続されている。このように、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に独立している。バイアス・ティー10は、第2の入力端子12から印加される直流電流が出力端子11に混入することを防ぐとともに、第2の磁気抵抗効果素子7で発生する出力が、第2の入力端子12に混入することを防ぐことを目的として備えられる。
ここで、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100の動作原理を説明する。図2は、第1の入力端子9に第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度より小さい電流密度を有する直流電流が印加され、第2の入力端子12に第2の磁気抵抗効果素子7の発振閾値電流密度より小さい電流密度を有する直流電流が印加されているときの磁化状態を示している。このとき、第1の磁化自由層2aの磁化2eは振動しないため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも振動しない。結果として、出力端子11では出力電圧が発生しない。一方、図3は、第1の入力端子9から第1の磁気抵抗効果素子2に、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加され、第2の入力端子12から第2の磁気抵抗効果素子7に、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度よりも小さく、第2の磁気抵抗効果素子7の発振閾値電流密度よりも小さい電流密度を有する直流電流が印加されているときの磁化状態を示している。第1の磁気抵抗効果素子2にその発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されると、第1の磁化自由層2aの磁化2eは振動するため、第1の磁化自由層2aの磁化2eと磁気的に結合している第2の磁化自由層7aの磁化7eも振動し、結果として、図5に示されるように、出力端子11では高周波の交流出力電圧(発振出力)が発生する。
磁化自由層と磁化固定層の間に非磁性導電層を有するGMR素子には大きな電流密度を有する電流を流すことが可能であり、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子2に、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1の磁化自由層2aの磁化2eを大きく振動させることができる。第1の磁化自由層2aと磁気的に結合した第2の磁化自由層7aの磁化7eは、振動する第1の磁化自由層2aの磁化2eに対応した振動磁界を受けるため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも大きく振動させることができる。そのため、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度が、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度よりも小さくても、第2の磁化自由層7aの磁化7eを振動させることができるので、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子7の大電流印加による破壊を防ぐことができる。また、第2の磁気抵抗効果素子7は、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子であるので、第2の磁気抵抗効果素子7から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aに外部磁場3aを印加する磁場印加機構3を有するので、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eを、磁場印加機構3から印加される外部磁場3aの方向に向けることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁化固定層2cの磁化方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度が大きいので、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。また、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度が小さくなる。したがって、磁気抵抗効果デバイス100の出力効率を向上させることができる。この点について、以下に詳細に説明する。なお、「磁化方向に平行な直線と外部磁場の方向に平行な直線のなす角度」とは、磁化方向に平行な直線と外部磁場の方向に平行な直線がなす角度のうち小さいほうの角度である。
図6は、第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場3aと第1の磁化固定層2cの磁化2fの成す角度θ1に対する第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度jcの依存性を示すグラフである。このグラフで示されるように、外部磁場3aと第1の磁化固定層2cの磁化2fの成す角度が0度、もしくは、180度に近づくほど、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度の絶対値は小さくなる。
図7は、第2の磁化自由層7aの磁化7eと第2の磁化固定層7cの磁化7fの成す角度θ2に対する第2の磁気抵抗効果素子7の抵抗Rの依存性を示すグラフである。第2の磁化自由層7aの磁化7eと第2の磁化固定層7cの磁化7fの成す角度が90度に近づくほど、第2の磁化自由層7aの磁化7eと第2の磁化固定層7cの磁化7fの成す角度の変化に対する、第2の磁気抵抗効果素子7の抵抗変化が大きくなる。第1の磁気抵抗効果素子2に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時、第2の磁化自由層7aの磁化7eは、第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aと同じ方向をむく。ここで、このときの第2の磁化自由層7aの磁化7eと第2の磁化固定層7cの磁化7fの成す角度を初期角度と定義する。第1の磁気抵抗効果素子2に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されたとき、第1の磁化自由層2aの磁化2eの振動に応じて、第2の磁化自由層7aの磁化7eは振動し、第2の磁化自由層7aの磁化7eと第2の磁化固定層7cの磁化7fの成す角度も初期角度を中心に振動する。これにより、第2の磁気抵抗効果素子7の抵抗値が振動する。そのため、第2の磁気抵抗効果素子7は、初期角度が90度に近いほど、すなわち、第2の磁化固定層7cの磁化7fの方向に平行な直線7gと、第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度が大きいほど、第2の磁化自由層7aの磁化7eの振動に対する抵抗変化が大きくなり、高い発振出力が得られる。
なお、図6に示す角度θ1と発振閾値電流密度jcとの関係は、第1の磁化自由層2aおよび第1の磁化固定層2cが共に垂直磁化膜の場合にも成り立ち、第1の磁化自由層2aおよび第1の磁化固定層2cの一方が面内磁化膜であり他方が垂直磁化膜の場合にも成り立つ。また、図7に示す角度θ2と抵抗Rとの関係は、第2の磁化自由層7aおよび第2の磁化固定層7cが共に垂直磁化膜の場合にも成り立ち、第2の磁化自由層7aおよび第2の磁化固定層7cの一方が面内磁化膜であり他方が垂直磁化膜の場合にも成り立つ。
磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁化固定層2cの磁化方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度が大きい。そのため、第1の磁気抵抗効果素子2は、発振閾値電流密度を小さくすることに関して相対的に有利な構造であり、第2の磁気抵抗効果素子7は、磁化自由層の磁化の振動に対し、抵抗変化を大きくして高い発振出力を得ることに相対的に有利な構造である。したがって、磁気抵抗効果デバイス100は、発振閾値電流を小さくしつつ、高い発振出力を得ることができ、高い出力効率を実現することができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に独立しているので、第1の磁気抵抗効果素子2、および第2の磁気抵抗効果素子7のそれぞれに、最適な条件で電流を印加することができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁化自由層2aと第2の磁化固定層7cとの距離に対し、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aとの距離の方が小さくなるように、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。そのため、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aの磁気的結合を強くすることができる。また、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に、第2の磁気抵抗効果素子7を配置することで、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aの磁気的結合をより一層強くすることができる。
次に、第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態に対する同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図8に、第2実施形態の磁気抵抗効果デバイス200の概略図を示す。図8に示すように、磁気抵抗効果デバイス200では、第1の磁気抵抗効果素子2に電流を印加するために、第1の磁気抵抗効果素子2の積層方向の両側には第1の上部電極1および第1の下部電極4が接続されている。また、第2の磁気抵抗効果素子7に電流を印加するとともに、出力を取り出すために、第2の磁気抵抗効果素子7の積層方向の両側には第2の上部電極6および第2の下部電極8が接続されている。
また、図8に示すように、第1の磁気抵抗効果素子2は、絶縁体5を挟んで、第2の磁気抵抗効果素子7の直上に配置されている。第2の磁気抵抗効果素子7は第2の下部電極8側から、第2の反強磁性層7d、第2の磁化固定層7c、非磁性絶縁層7b、第2の磁化自由層7aの順序の配置で構成されている。一方、第1の磁気抵抗効果素子2は第1の下部電極4側から、第1の磁化自由層2a、非磁性導電層2b、第1の磁化固定層2c、第1の反強磁性層2dの順序の配置で構成されている。つまり、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7とでは、反強磁性層、磁化固定層、非磁性層(非磁性導電層2bまたは非磁性絶縁層7b)および磁化自由層の、同じ方向から見た配置の順序が反対になっている。このように、第1の磁化自由層2aと第2の磁化固定層7cとの距離に対し、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aとの距離の方が小さくなるように、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。また、ここでは、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aは磁気的に結合しており、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eは磁気的に結合している。
第1の上部電極1、第1の磁気抵抗効果素子2および第1の下部電極4は、絶縁体5により、第2の上部電極6、第2の磁気抵抗効果素子7および第2の下部電極8と電気的に隔離されている。
さらに、磁気抵抗効果デバイス200は、第1の磁化自由層2aに外部磁場を印加する第1の磁場印加機構13と、第2の磁化自由層7aに外部磁場を印加する第2の磁場印加機構14を有している。第1の磁場印加機構13および第2の磁場印加機構14は、例えば永久磁石である。第1の磁場印加機構13および第2の磁場印加機構14を構成する永久磁石の材料は、例えば、CoPtまたはFePtである。
図9は、第2実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態の模式図である。また、図10は、第2実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子2に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加され、一方、第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態の模式図である。ここでは、第1の磁化自由層2a、第2の磁化自由層7a、第1の磁化固定層2cおよび第2の磁化固定層7cが面内磁化膜である例で説明する。
第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7に発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されていない時の、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態について以下に述べる。第1の磁化自由層2aには、第1の磁場印加機構13から第1の外部磁場13aが印加される。第1の磁化自由層2aの磁化2eは第1の外部磁場13aと同じ方向に向く。一方、第2の磁化自由層7aには、第1の磁場印加機構14から第2の外部磁場14aが印加される。第2の磁化自由層7aの磁化7eは第2の外部磁場14aと同じ方向に向く。このとき、第1の外部磁場13aと第2の外部磁場14aの方向は、互いに逆向きとなっている。
第1の磁化固定層2cの磁化2fは、第1の反強磁性層2dとの交換バイアス効果により、固定されており、第1の外部磁場13aと平行かつ逆の方向を向いている。また、第2の磁化固定層7cの磁化7fは、第2の反強磁性層7dとの交換バイアス効果により、固定されており、第2の外部磁場14aと直交する方向を向いている。このように、第1の磁化固定層2cの磁化2fの方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される第1の外部磁場13aの方向に平行な直線13bのなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化7fの方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される第2の外部磁場14aの方向に平行な直線14bのなす角度が大きくなっている。第1の磁化固定層2cの磁化2f及び第2の磁化固定層7cの磁化7fを固定する方法は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100の場合と同じである。
磁気抵抗効果デバイス200に接続される回路は、図4に示す第1実施形態のものと同じである。
磁気抵抗効果デバイス200では、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100とは異なり、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aが膜面直方向に配置されているため、外部磁場14aは外部磁場13aに対して逆の方向に印加され、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eは、互いに逆方向を向くように磁気的結合する。
磁気抵抗効果デバイス200は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100に対して、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eの磁気的な結合の状態が異なるため、第1の磁化自由層2aの磁化2eの振動に対する、第2の磁化自由層7aの磁化7eの振動の状態は異なる。例えば、第1の磁化自由層2aの磁化2eが時計回りに振動する場合、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100では、第2の磁化自由層7aの磁化7eは時計回りに振動するが、磁気抵抗効果デバイス200では、第2の磁化自由層7aの磁化7eは反時計回りに振動する。上記の点を除いて、磁気抵抗効果デバイス200の動作原理は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同様に、磁気抵抗効果デバイス200においても、磁化自由層と磁化固定層の間に非磁性導電層を有するGMR素子には大きな電流密度を有する電流を流すことが可能であり、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子2に、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1の磁化自由層2aの磁化2eを大きく振動させることができる。第1の磁化自由層2aと磁気的に結合した第2の磁化自由層7aの磁化7eは、振動する第1の磁化自由層2aの磁化2eに対応した振動磁界を受けるため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも大きく振動させることができる。そのため、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度が、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度よりも小さくても、第2の磁化自由層7aの磁化7eを振動させることができるので、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子7の大電流印加による破壊を防ぐことができる。また、第2の磁気抵抗効果素子7は、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子であるので、第2の磁気抵抗効果素子7から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。
磁気抵抗効果デバイス200は、第1の磁化自由層2aに第1の外部磁場13aを印加する第1の磁場印加機構13と、第2の磁化自由層7aに第2の外部磁場14aを印加する第2の磁場印加機構14を有するので、第1の磁化自由層2aの磁化2eを第1の磁場印加機構13から印加される第1の外部磁場13aの方向に向けることができ、第2の磁化自由層7aの磁化7eを第2の第2の磁場印加機構14から印加される第2の外部磁場14aの方向に向けることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス200は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同様に、第1の磁化固定層2cの磁化方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場3aの方向に平行な直線3bのなす角度が大きいので、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。また、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度が小さくなる。したがって、磁気抵抗効果デバイス200の出力効率を向上させることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス200は、第1の磁化自由層2aと第2の磁化固定層7cとの距離に対し、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aとの距離の方が小さくなるように、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。そのため、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aの磁気的結合を強くすることができる。さらに、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に、第2の磁気抵抗効果素子7を配置することで、素子作製プロセスを容易にできる。
次に、第3実施形態について、第2実施形態と異なる部分について説明し、第2実施形態に対する同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図11に、第3実施形態の磁気抵抗効果デバイス300の概略図を示す。図11に示すように、磁気抵抗効果デバイス300では、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に直列に接続されている。第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7に電流を印加するとともに、出力を取り出すために、第1の磁気抵抗効果素子2の積層方向の上側には、上部電極15が接続されており、第2の磁気抵抗効果素子7の積層方向の下側には、下部電極17が接続されている。さらに、第1の磁気抵抗効果素子2の印加される電流の方向に垂直な断面積が、第2の磁気抵抗効果素子7よりも小さくなっている。
また、図11に示すように、第1の磁気抵抗効果素子2は、非磁性導電バッファ層16を挟んで、第2の磁気抵抗効果素子7の直上に配置されている。非磁性導電バッファ層16の材料は、例えばAu、CuまたはAgである。第2の磁気抵抗効果素子7は下部電極17側から、第2の反強磁性層7d、第2の磁化固定層7c、非磁性絶縁層7b、第2の磁化自由層7aの順序の配置で構成されている。一方、第1の磁気抵抗効果素子2は非磁性導電バッファ層16側から、第1の磁化自由層2a、非磁性導電層2b、第1の磁化固定層2c、第1の反強磁性層2dの順序の配置で構成されている。つまり、第2実施形態の磁気抵抗効果デバイス200と同様に、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7とでは、反強磁性層、磁化固定層、非磁性層(非磁性導電層2bまたは非磁性絶縁層7b)および磁化自由層の、同じ方向から見た配置の順序が反対になっている。このように、第1の磁化自由層2aと第2の磁化固定層7cとの距離に対し、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aとの距離の方が小さくなるように、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。また、ここでは、第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aは磁気的に結合しており、第1の磁化自由層2aの磁化2eと第2の磁化自由層7aの磁化7eは磁気的に結合している。
図12は、第3実施形態の磁気抵抗効果デバイス300を含む回路の模式図である。第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7に直流電流を印加するため、入力端子18と上部電極15は電気的に接続されており、下部電極17はグランドに接続されている。また、直流電流は、入力端子18より、バイアス・ティー10の直流端子及び上部電極15を経由し、第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7に印加される。また、出力を取り出すため、出力端子11はバイアス・ティー10の交流端子を経由し、上部電極15と電気的に接続されている。第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に直列に接続されているため、それぞれには同じ大きさの電流が流れる。但し、第1の磁気抵抗効果素子2は第2の磁気抵抗効果素子7よりも、印加される電流の方向に垂直な断面積が小さい。そのため、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度は、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度よりも大きい。バイアス・ティー10は、入力端子18から印加される直流電流が出力端子11に混入することを防ぐとともに、出力が、入力端子18に混入することを防ぐことを目的として備えられる。磁気抵抗効果デバイス300のその他の構成や、第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態は、第2実施形態の磁気抵抗効果デバイス200と同じである。
ここで、第3実施形態の磁気抵抗効果デバイス300の動作原理を説明する。入力端子18に、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度より小さく、第2の磁気抵抗効果素子7の発振閾値電流密度よりも小さい電流密度を有する直流電流が印加されているとき、第1の磁化自由層2aの磁化2eは振動しないため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも振動しない。結果として、出力端子11では出力電圧が発生しない。一方、入力端子18に、第1の磁気抵抗効果素子2の発振閾値電流密度より大きく、第2の磁気抵抗効果素子7の発振閾値電流密度より小さい電流密度を有する直流電流が印加されているとき、第1の磁化自由層2aの磁化2eは振動する。そのため、第1の磁化自由層2aと磁気的に結合している第2の磁化自由層7aの磁化7eも振動し、結果として、図5に示されるように、出力端子11では高周波の交流出力電圧(発振出力)が発生する。
第2実施形態の磁気抵抗効果デバイス200と同様に、磁気抵抗効果デバイス300においても、磁化自由層と磁化固定層の間に非磁性導電層を有するGMR素子には大きな電流密度を有する電流を流すことが可能であり、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子2に、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1の磁化自由層2aの磁化2eを大きく振動させることができる。第1の磁化自由層2aと磁気的に結合した第2の磁化自由層7aの磁化7eは、振動する第1の磁化自由層2aの磁化2eに対応した振動磁界を受けるため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも大きく振動させることができる。そのため、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度が、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度よりも小さくても、第2の磁化自由層7aの磁化7eを振動させることができるので、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子7の大電流印加による破壊を防ぐことができる。また、第2の磁気抵抗効果素子7は、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子であるので、第2の磁気抵抗効果素子7から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス300は、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に直列に接続される構造をとっている。そのため、素子作製プロセスが容易になるとともに、電流を印加する電源の数を抑制することができる。
次に、第4実施形態について、第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態に対する同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図13に、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス400の概略図を示す。
磁気抵抗効果デバイス400では、図13に示すように、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同様に、同一平面上に、絶縁体5を挟んで隣り合って配置されており、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に、第2の磁気抵抗効果素子7が配置されている。
第1実施形態との相違点として、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7は、共通の上部電極15に接続されており、さらに、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7は、共通の下部電極17に接続されている。
図14は、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス400を含む回路の模式図である。第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7に直流電流を印加するため、入力端子18と上部電極15は電気的に接続されており、下部電極17はグランドに接続されている。つまり、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に並列に接続されている。また、直流電流は、入力端子18より、バイアス・ティー10の直流端子及び上部電極15を経由し、第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7に印加される。また、出力を取り出すため、出力端子11はバイアス・ティー10の交流端子を経由し、上部電極15と電気的に接続されている。第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に並列に接続されているため、それぞれには同じ大きさの電圧が印加される。第1の磁気抵抗効果素子2はGMR素子であり、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子7よりも、単位面積当たりの抵抗が小さい。そのため、並列接続において、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7に同じ大きさの電圧が印加された場合、第1の磁気抵抗効果素子2は第2の磁気抵抗効果素子7よりも、印加される電流の電流密度が大きい。バイアス・ティー10は、入力端子18から印加される直流電流が出力端子11に混入することを防ぐとともに、出力が、入力端子18に混入することを防ぐことを目的として備えられる。磁気抵抗効果デバイス400のその他の構成や、第1の磁気抵抗効果素子2及び第2の磁気抵抗効果素子7の磁化状態は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
磁気抵抗効果デバイス400の動作原理は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同様に、磁気抵抗効果デバイス400においても、磁化自由層と磁化固定層の間に非磁性導電層を有するGMR素子には大きな電流密度を有する電流を流すことが可能であり、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子2に、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1の磁化自由層2aの磁化2eを大きく振動させることができる。第1の磁化自由層2aと磁気的に結合した第2の磁化自由層7aの磁化7eは、振動する第1の磁化自由層2aの磁化2eに対応した振動磁界を受けるため、第2の磁化自由層7aの磁化7eも大きく振動させることができる。そのため、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度が、第1の磁気抵抗効果素子2に印加される電流の電流密度よりも小さくても、第2の磁化自由層7aの磁化7eを振動させることができるので、TMR素子である第2の磁気抵抗効果素子7の大電流印加による破壊を防ぐことができる。また、第2の磁気抵抗効果素子7は、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子であるので、第2の磁気抵抗効果素子7から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子7から高い発振出力を得ることができる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス400は、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に並列に接続されることで、第1の磁気抵抗効果素子2には、第2の磁気抵抗効果素子7に印加される電流の電流密度より大きな電流密度を有する電流が印加されるようにすることができるとともに、電流を印加する電源の数を抑制することができる。
以上、本発明をその好適な実施の形態を参照して具体的に示し説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範疇において様々に変更可能である。
例えば、第1〜第4実施形態では、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7に直流電流が印加されることを想定しているが、第1の磁気抵抗効果素子2および第2の磁気抵抗効果素子7にパルス電流や、ランダムな波長で構成される電流が印加されても良い。この場合、バイアス・ティー10の代わりに、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組合せる手法等を用いることで、第2の入力端子12(もしくは、入力端子18)から出力端子11への信号の混入と第2の磁気抵抗効果素子7から第2の入力端子12(もしくは、入力端子18)への信号の混入を防ぐことが出来る。
また例えば、第1〜第4実施形態では、磁場印加機構3、13、14に、永久磁石が用いられているが、これらの代わりに電磁石を用いても良い。この場合、電磁石に流す電流を変化させることで、可変の外部磁場を第1の磁化自由層2aと第2の磁化自由層7aに、それぞれ印加することが可能である。
また例えば、第1〜第4実施形態では、第1の反強磁性層2dと第2の反強磁性層7dを用いているが、これらを用いずに、第1の磁化固定層2cおよび第2の磁化固定層7cを、大きな磁気異方性を示す強磁性層で構成することも可能である。
また例えば、第1〜第4実施形態では、第1の磁化固定層2cの磁化2fは、第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場と平行かつ逆の方向に固定されており、第2の磁化固定層7cの磁化7fは、第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場と直交する方向に固定されているが、第1及び第2の磁化固定層の磁化の固定方向はこれに限定されず、第1の磁化固定層2cの磁化方向に平行な直線2gと第1の磁化自由層2aに印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度よりも、第2の磁化固定層7cの磁化方向に平行な直線7gと第2の磁化自由層7aに印加される外部磁場の方向に平行な直線のなす角度が大きい、という条件を満たせば、磁気抵抗効果デバイスの出力効率を向上させる効果が得られる。また、第1及び第2の磁化固定層の磁化の固定方向がこの条件を満たさない場合でも、GMR素子である第1の磁気抵抗効果素子に、第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する大きな電流を流すことで、第1及び第2の磁化自由層の磁化を大きく振動させ、大きな磁気抵抗効果を有するTMR素子である第2の磁気抵抗効果素子から大きな電気的出力を得ることができ、第2の磁気抵抗効果素子から高い発振出力を得ることができる。
また、第2実施形態では、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に第2の磁気抵抗効果素子7が配置され、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に独立しているが、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面直方向に第2の磁気抵抗効果素子7が配置され、かつ、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に並列に接続されるようにしてもよい。
また、第4実施形態では、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に第2の磁気抵抗効果素子7が配置され、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に並列に接続されているが、第1の磁気抵抗効果素子2の膜面内方向に第2の磁気抵抗効果素子7が配置され、かつ、第1の磁気抵抗効果素子2と第2の磁気抵抗効果素子7が電気的に直列に接続されるようにしてもよい。この場合、第1の磁気抵抗効果素子2の印加される電流の方向に垂直な断面の面積を、第2の磁気抵抗効果素子7の印加される電流の方向に垂直な断面の面積よりも小さくする。
また、第1〜第4実施形態では、1つの第1の磁気抵抗効果素子2に対し1つの第2の磁気抵抗効果素子7が配置されているが、第2の磁気抵抗効果素子7を複数有し、1つの第1の磁気抵抗効果素子2に対し複数の第2の磁気抵抗効果素子7が配置されるようにしてもよい。この場合、第1の磁化自由層2aと各々の第2の磁化自由層7aとは磁気的に結合しており、第1の磁化自由層2aの磁化2eと各々の第2の磁化自由層7aの磁化7eとが磁気的に結合している。図15に、第1実施形態における1つの第2の磁気抵抗効果素子7を複数の第2の磁気抵抗効果素子7に置き換えた、第5実施形態の磁気抵抗効果デバイス500を示す。また、図16は、第5実施形態の磁気抵抗効果デバイス500を含む回路の模式図である。磁気抵抗効果デバイス500では、第1の磁気抵抗効果素子2と複数の第2の磁気抵抗効果素子7とは電気的に独立しており、複数の第2の磁気抵抗効果素子7は電気的に並列に接続されている。
磁気抵抗効果デバイス500は、第2の磁気抵抗効果素子7を複数有し、第1の磁化自由層2aと複数の第2の磁気抵抗効果素子7の各々の第2の磁化自由層7aとが磁気的に結合しているので、各々の第2の磁気抵抗効果素子7同士が電気的に接続され、各々の第2の磁気抵抗効果素子7からの出力が合算されることで、より高い発振出力を得ることができる。
第5実施形態の磁気抵抗効果デバイス500は、第1実施形態における1つの第2の磁気抵抗効果素子7を複数の第2の磁気抵抗効果素子7に置き換えたものであるが、第2〜第4実施形態における1つの第2の磁気抵抗効果素子7を複数の第2の磁気抵抗効果素子7に置き換えるようにしてもよい。また、各々の第2の磁気抵抗効果素子7同士は電気的に並列に接続されていても直列に接続されていても良い。
1 第1の上部電極
2 第1の磁気抵抗効果素子
2a 第1の磁化自由層
2b 非磁性導電層
2c 第1の磁化固定層
2d 第1の反強磁性層
2e 第1の磁化自由層の磁化
2f 第1の磁化固定層の磁化
2g 第1の磁化固定層の磁化方向に平行な直線
3 磁場印加機構
3a 外部磁場
3b 外部磁場の方向に平行な直線
4 第1の下部電極
5 絶縁体
6 第2の上部電極
7 第2の磁気抵抗効果素子
7a 第2の磁化自由層
7b 非磁性絶縁層
7c 第2の磁化固定層
7d 第2の反強磁性層
7e 第2の磁化自由層の磁化
7f 第2の磁化固定層の磁化
7g 第2の磁化固定層の磁化方向に平行な直線
8 第2の下部電極
9 第1の入力端子
10 バイアス・ティー
11 出力端子
12 第2の入力端子
13 第1の磁場印加機構
13a 第1の外部磁場
13b 第1の外部磁場の方向に平行な直線
14 第2の磁場印加機構
14a 第2の外部磁場
14b 第2の外部磁場の方向に平行な直線
15 上部電極
16 非磁性導電バッファ層
17 下部電極
18 入力端子
100、200、300、400、500 磁気抵抗効果デバイス

Claims (2)

  1. 第1の磁化自由層、第1の磁化固定層および前記第1の磁化自由層と前記第1の磁化固定層との間に配置された非磁性導電層を有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    第2の磁化自由層、第2の磁化固定層および前記第2の磁化自由層と前記第2の磁化固定層との間に配置された非磁性絶縁層を有する第2の磁気抵抗効果素子とを有し、
    前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層が磁気的に結合しており、
    前記第1の磁気抵抗効果素子には、前記第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加され
    前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子が電気的に並列に接続されていることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
  2. 第1の磁化自由層、第1の磁化固定層および前記第1の磁化自由層と前記第1の磁化固定層との間に配置された非磁性導電層を有する第1の磁気抵抗効果素子と、
    第2の磁化自由層、第2の磁化固定層および前記第2の磁化自由層と前記第2の磁化固定層との間に配置された非磁性絶縁層を有する複数の第2の磁気抵抗効果素子とを有し、
    前記第1の磁化自由層と前記複数の第2の磁気抵抗効果素子の各々の前記第2の磁化自由層が磁気的に結合しており、
    前記第1の磁気抵抗効果素子には、前記第2の磁気抵抗効果素子に印加される電流の電流密度より大きく、発振閾値電流密度以上の電流密度を有する電流が印加されることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
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