A.一実施形態
[1.構成]
(1−1.全体構成)
図1は、車両12とこの発明の一実施形態に係る車両診断システム14とを含む車両診断するにあたっての全体を表す全体システム10の概略的な構成を示すブロック図である。
(1−2.車両12)
本実施形態の車両12は、駆動用エンジン及び走行モータ(いずれも図示せず)を有するハイブリッド車としての自動四輪車である。或いは、車両12は、走行モータを有さずエンジンのみを有するガソリン車、電気自動車(燃料電池車を含む。)等の車両であってもよく、また、自動二輪車、自動三輪車等の車両であってもよい。
車両12は、車両12を制御するための複数の電子制御装置20a、20b、…(以下「第1、第2ECU20a、20b、…」又は「ECU20a、20b…」といい、「ECU20」と総称する。)を有する。なお、図1では、図面の簡略化のために、2つのECU20a、20bのみを示している。ECU20の数としては、例えば、2〜数百個が想定される。
ECU20の例としては、例えば、エンジン電子制御装置(以下「エンジンECU」という。)、モータ電子制御装置(以下「モータECU」という。)、車両挙動安定電子制御装置(以下「VSA ECU」という。)、アンチロックブレーキシステム電子制御装置(以下「ABS ECU」という。)、電動パワーステアリング電子制御装置(以下「EPS ECU」という。)、バッテリ電子制御装置(以下「バッテリECU」という。)、メータ電子制御装置(以下「メータECU」という。)、エアコンディショナ電子制御装置(以下「エアコンECU」という。)、補助拘束システム電子制御装置(以下「SRS ECU」という。)、イモビライザ電子制御装置(以下「イモビライザECU」という。)等を挙げることができる。
各ECU20は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部等を有する。また、各ECU20は、通信バス22を介して接続され、車内ネットワーク24を構成する。本実施形態における車内ネットワーク24は、F−CAN(Controller Area Network)又はB−CANである。或いは、K−LINE、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay等のその他のネットワークに対して本発明を適用することもできる。通信バス22は、車室内に設けられたデータリンクコネクタ26(例えば、USBコネクタ)を有する。車両12の外部の装置は、車内ネットワーク24に対してデータリンクコネクタ26を介して接続される。
また、第1ECU20aには、イグニッションスイッチ28(以下「IGSW28」という。)が接続されており、第1ECU20aは、IGSW28のオンオフに応じて起動し、その他のECU(第2ECU20b及び図示しないその他のECU群)のオンオフを制御する。
(1−3.車両診断システム14)
車両診断システム14は、診断装置16及びデータ収集装置18を有する。
(1−3−1.診断装置16)
(1−3−1−1.概要)
診断装置16は、データ収集装置18の各種設定(動作設定等)を行うと共に、データ収集装置18が車両12から収集した収集データDc(収集データDc´)を解析して故障診断等の各種の診断作業を行う。収集データDcは、車両運転に関わる多数の運転パラメータデータDp(以下「パラメータデータDp」ともいう。)を比較的長時間にわたって収集したデータである。対して、収集データDc´は、収集データDcから局所的に抽出された比較的短時間のデータである。図1に示すように、診断装置16は、入力部30、演算部32、記憶部34、表示部36及びデータ収集装置18に接続するためのコネクタ38を有する。
診断装置16は、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ又はスマートフォンから構成することができる。
記憶部34は、後述するファイル作成機能90(図3参照)により作成される1以上の解析ファイル34aを保存する。また、記憶部34は、後述するように、解析ファイル34aの収集データDcの中から診断のために利用するパラメータデータDpのみを選択して見やすく表示するための診断ファイル34bを予め記憶する。診断ファイル34bは、グラフ表示の際に使用する診断セットを含む。診断セットについても後述する。更に、記憶部34は、本実施形態で使用する各種情報及びプラグラムを記憶すると共に、各種情報を一時的に保存する。
(1−3−1―2.各種機能)
図2は、診断装置16及びデータ収集装置18が有する各種機能を示す図である。図3は、診断装置16が有する解析準備機能74の各種機能を示す図である。図2に示すように、診断装置16は、収集条件設定機能70、データ収集装置通信機能72、解析準備機能74、データ解析機能76及び表示制御機能78を有する。各機能70、72、74、76、78は、記憶部34に記憶されたプログラムが演算部32によって実行されること等により実現される。
収集条件設定機能70は、データ収集装置18がパラメータデータDpを収集する条件(例えば、パラメータデータDpの種類、項目、取得回数、取得時間等)であるデータ収集条件を設定する機能である。
データ収集装置通信機能72は、データ収集装置18との間の通信に関連した機能であり、収集条件送信機能80及び収集データ読出し機能82を有する。収集条件送信機能80は、データ収集装置18に対してデータ収集条件を送信する機能である。収集データ読出し機能82は、データ収集装置18から収集データDcを読み出す機能である。
解析準備機能74は、故障診断前に解析ファイル34aを作成するための機能である。図3に示すように、解析準備機能74は、マーカー条件設定機能84、マーキング機能86、時間範囲設定機能88及びファイル作成機能90を有する。
マーカー条件設定機能84は、収集データDcに対してマーカーMを付す際に必要な成立条件Mc(以下「マーカー条件Mc」という。)を設定するための機能である。マーカー条件設定機能84は、入力画面を表示部36に表示し、入力部30により入力又は選択された入力事項をマーカー条件Mcとして記憶部34に記憶する。マーカー条件設定機能84は、マーカー条件Mcを設定するための機能として、パラメータ選択機能92、判定条件設定機能94、組合せ条件設定機能96、マーカー数設定機能98及び最終判定設定機能100を更に有する。
パラメータ選択機能92は、マーカー条件Mcに入れる運転パラメータPを選択する機能である。判定条件設定機能94(以下「第1設定機能94」ともいう。)は、パラメータ選択機能92により選択された運転パラメータPの判定条件を設定する機能である。組合せ条件設定機能96(以下「第2設定機能96」ともいう。)は、パラメータ選択機能92により複数の運転パラメータPが選択された場合に、複数の運転パラメータPの組合せ条件(and条件やor条件等)を設定する機能である。マーカー数設定機能98(以下「第3設定機能98」ともいう。)は、収集データDcに付するマーカーMの数の上限数Mmaxを設定する機能である。最終判定設定機能100(以下「第4設定機能100」ともいう。)は、パラメータ選択機能92により複数の運転パラメータPが選択された場合に、第1設定機能94における判定が最後に行われる運転パラメータP(以下「最終判定パラメータP」という。)を設定する機能である。マーカー条件設定機能84は、組み合わせ条件に含まれる運転パラメータPのうち最終判定パラメータPを除く運転パラメータPの判定条件が成立した後に最終判定パラメータPの判定条件が成立することを、マーカー条件Mcの成立条件とする。第1設定機能94、第2設定機能96及び第4設定機能100は、マーカー条件Mcを設定するための機能である。
マーキング機能86は、収集データDcの時間軸に含まれる各時点のうち、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMを付する機能であり、マーカー条件Mcが成立した時点の時間情報にマーカーMを付する。一例として、マーカー条件Mcが成立する時点の時間情報を記録する。なお、本明細書では、収集データDcの時間軸に含まれる各時点のうち、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMを付することを、単に「時間軸にマーカーMを付する」ともいう。
時間範囲設定機能88は、マーカー条件Mcが成立した時点を基準にして各運転パラメータPの挙動を確認するために必要と推定される時間範囲を設定する機能であり、マーカーMの箇所(時間情報)を基準にした前後の所定時間範囲を設定する。なお、この所定時間範囲は、基準よりも前の時間範囲と後の時間範囲とをそれぞれ独立して設定可能である。
ファイル作成機能90は、解析ファイル34a(図1参照)の作成に関連する機能であり、データ抽出機能102及びデータ保存機能104を有する。データ抽出機能102は、収集データDcに付されたマーカーMの箇所を基準にして所定時間範囲分の収集データDc´を抽出する機能である。この所定時間範囲は、時間範囲設定機能88により設定される。データ保存機能104は、収集データDc´を抽出する毎に個別の解析ファイル34aを作成して保存する機能である。
図2に戻り、診断装置16の機能説明を続ける。データ解析機能76は、収集データDc´を用いて故障診断を行うための機能であり、表示選択機能106を有する。表示選択機能106は、パラメータデータDpが収集された運転パラメータPのうち表示部36(図1参照)に表示する運転パラメータPを選択する機能である。
表示制御機能78は、表示部36の表示内容を制御する機能である。例えば、表示選択機能106における選択結果に基づいて、選択された運転パラメータPのグラフ284(図16参照)のみを表示部36に表示する。
(1−3−2.データ収集装置18)
(1−3−2−1.概要)
データ収集装置18は、車両12のデータリンクコネクタ26を介して車内ネットワーク24に接続されて、車両運転時におけるパラメータデータDpを収集する。図1に示すように、データ収集装置18は、入力部50、演算部52、記憶部54、表示部56及びデータリンクケーブル58を有する。
(1−3−2−2.各種機能)
図2に示すように、データ収集装置18は、診断装置通信機能110及びデータ収集機能112を有する。各機能110、112は、記憶部54に記憶されたプログラムが演算部52によって実行されること等により実現される。
診断装置通信機能110は、診断装置16との間の通信に関連した機能であり、収集条件読出し機能114及び収集データ送信機能116を有する。収集条件読出し機能114は、データ収集装置18がデータ収集条件を診断装置16から読み出す機能である。収集データ送信機能116は、データ収集装置18が収集した収集データDcを診断装置16に送信する機能である。
データ収集機能112は、車両12のパラメータデータDpの収集に関連した機能であり、要求信号特定機能118、データ要求機能120及びデータ受信・記憶機能122を有する。要求信号特定機能118は、送信するデータ要求信号Sreqを特定する機能である。データ要求機能120は、パラメータデータDpを要求する対象であるECU20(以下「対象ECU20tar」という。)に対して、収集するように指定された特定項目のパラメータデータDpを要求する機能である。データ受信・記憶機能122は、データ要求信号Sreqに応じて各対象ECU20tarが出力した各パラメータデータDpを受信し、収集データDcとして記憶部54に記憶する機能である。
[2.収集データDc]
本実施形態における収集データDcは、故障診断に用いられるものであり、車両12に取り付けられたデータ収集装置18が記録した各種ECU20の作動状態を表す各運転パラメータPの時系列データである。各収集データDcは、それぞれを区別するために、データ収集日時と関連付けられて記録されている。収集データDcは、ユーザが診断装置16の収集条件設定機能70を用いて設定するデータ収集条件に基づいて作成される。
[3.故障診断]
次に、本実施形態における故障診断に関する各種作業及び処理について説明する。
(3−1.作業の流れ)
図4は、本実施形態において実施される故障診断作業の流れを示すフローチャートである。図4に示すステップS1〜ステップS3の作業は、車両12から各種パラメータデータDpを収集する作業である。ステップS4〜ステップS7の作業は、マーカー条件Mcを設定して収集データDc´を抽出し、解析ファイル34aに保存する作業である。ステップS8〜ステップS10の作業は、解析ファイル34aを用いて車両12の故障診断をする作業である。
図4に示す一連の作業の前に、作業者は、データ収集装置18に予めデータ収集条件を設定しておく。この際、図1に示すように、データ収集装置18のデータリンクケーブル58のコネクタ64を診断装置16のコネクタ38に接続して、診断装置16とデータ収集装置18とを接続する。そして、診断装置16の収集条件設定機能70(図2参照)を利用して、データ収集装置18に対してデータ収集条件を設定する。データ収集条件の設定後、作業者は、データリンクケーブル58のコネクタ64をコネクタ38から外して、診断装置16とデータ収集装置18とを切り離す。
ステップS1において、作業者は、車両12に対してデータ収集装置18を取り付ける。この際、データ収集装置18のデータリンクケーブル58のコネクタ64を車両12のデータリンクコネクタ26に接続する。ステップS2において、車両12のユーザは、データ収集装置18を搭載した車両12を所定期間、例えば数日〜数週間走行させる。この間、データ収集装置18は、データ収集条件で指定されたECU20にデータ要求信号Sreqを送信し、ECU20が出力する各パラメータデータDpを収集し、収集データDcとして記憶部54に記憶する。収集期間経過後、ステップS3において、作業者は、車両12からデータ収集装置18を取り外す。
ステップS4において、作業者は、再度、データ収集装置18のデータリンクケーブル58のコネクタ64を診断装置16のコネクタ38に接続して、診断装置16とデータ収集装置18とを接続する。このとき、データ収集装置18から診断装置16に対して、収集データDcに関する情報(収集されている運転パラメータPの種類や収集先のECU20の種類等)が送信される。
ステップS5において、作業者は、入力部30を操作して表示部36に図5に示す操作画面123を表示させる。そして、図6〜図8に示す詳細設定画面140にて、診断対象となる故障の発生に関係すると考えられる運転条件をマーカー条件Mcとして設定する。ステップS6において、作業者は、マーキングプログラムの実行を指示する。マーキングプログラムが実行されると、収集データDcの時間軸に含まれる各時点のうち、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMが付される。このとき、収集データDcは順次読み出され、マーカー条件Mcが成立する毎に、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMが付される。そして、マーカーMが付された時点を基準として所定時間分の収集データDc´が抽出され、解析ファイル34aに保存される。
ステップS7において、作業者がマーカー条件Mcを変更しない場合(ステップS7:YES)、処理はステップS8に移行する。一方、作業者がマーカー条件Mcを変更する場合(ステップS7:NO)、処理はステップS5に戻る。
ステップS8において、作業者は、図13に示す操作画面123´にて診断に用いる解析ファイル34a及び解析用にグラフとして画面に表示する運転パラメータPを選択する。通常、運転パラメータPは複数選択される。ステップS9において、作業者は、診断装置16に対して、グラフ表示プログラムの実行を指示する。グラフ表示プログラムが実行されると、図16に示すようにステップS8の選択に応じたパラメータデータDpがグラフ284として表示部36に表示される。
ステップS10において、作業者が表示対象となる解析ファイル34a又は運転パラメータPを変更しない場合(ステップS10:YES)、処理はステップS11に移行する。一方、作業者が表示対象とする解析ファイル34a又は運転パラメータPを変更する場合(ステップS10:NO)、処理はステップS8に戻る。
ステップS11において、作業者がマーカー条件Mcを変更しない場合(ステップS11:YES)、一連の処理は終了する。一方、作業者がマーカー条件Mcを変更する場合(ステップS11:NO)、処理はステップS5に戻る。
(3−2.マーカー条件Mcの設定)
図4のステップS5で行われるマーカー条件Mcの設定作業について、図5〜図9を用いて説明する。図5は、マーカー条件表示部126を含む操作画面123を示す図である。図6〜図8は、マーカー条件Mcを構成する個別の条件を設定する詳細設定画面140を示す図である。図9は、マーカー条件Mcが設定されたマーカー条件表示部126を示す図である。なお、以下で説明する操作画面123及び詳細設定画面140の表示処理やマーカー条件Mcの設定処理は、図3に示すマーカー条件設定機能84及び時間範囲設定機能88で処理される。
(3−2−1.操作画面123)
作業者は、診断装置16の入力部30(キーボード、マウス、タッチパネル等)を操作して、故障診断用のプログラムを起動する。すると、診断装置16の表示部36には操作画面123が表示される。この段階で操作画面123には、図5に示すメニュー選択ボタン124a〜124cを含む初期画面(図示せず)が表示される。作業者が入力部30を操作してボタン124bを選択すると、メニュー125が表示される。更にメニュー125の「マーカー設定」を選択すると、図5に示すようにマーカー条件表示部126を含む操作画面123に遷移する。
ここで、操作画面123の説明をする。図5に示すように、操作画面123は、メニュー選択ボタン124a〜124c、メニュー125及びマーカー条件表示部126を有する。
メニュー選択ボタン124a〜124cは、複数のメニュー(「ハードウェア設定」、「ハードウェア管理」及び「不具合解析」)を選択するためのボタンである。図4のステップS5のように、各種設定画面にてマーカーMを付するためのマーカー条件Mcを設定する際には、ボタン124b(ハードウェア管理)を選択する。また、後述するが、図4のステップS8のように、グラフ表示のために解析ファイル34a及び運転パラメータPを選択する際には、ボタン124c(不具合解析)を選択する。
メニュー125は、ボタン124bが選択された場合に表示されるものであり、実行できる機能の一覧を表示する。一覧表示された各機能は、入力部30により選択可能である。
マーカー条件表示部126(以下「条件表示部126」ともいう。)は、マーカー条件式欄127(以下「条件式欄127」ともいう。)、ファイル欄128、参照ボタン129、機種選択欄130、マーカー条件一覧131(以下「条件一覧131」ともいう。)、設定読込ボタン132、設定保存ボタン133、詳細設定ボタン134及び解析実行ボタン136を有する。
条件式欄127は、マーカー条件Mcの条件式(組合せ条件)を表示する。本実施形態において、条件式は、Aグループ及びBグループにより構成される。Aグループは、A1〜A4という文字により表わされる。A1〜A4には運転パラメータPの判定条件が設定される。A1〜A4の組み合わせの判定条件はand条件である。Bグループは、B1〜B3という文字により表わされる。B1〜B3には運転パラメータPの判定条件が設定される。B1〜B3の組み合わせの判定条件はor条件である。
参照ボタン129は、作業者により操作される。作業者が入力部30を介して参照ボタン129を操作すると、データ収集装置18に保存される全ファイルの一覧が別画面(図示せず)にて表示される。作業者が入力部30を介して一覧から1つのファイルを選択すると、ファイル欄128は、選択されたファイル名を表示する。機種選択欄130は、選択されたファイルの機種名を表示する。
条件一覧131は、その時点で設定されているマーカー条件Mcの情報を表示する。故障診断用のプログラムを起動してから最初に条件表示部126が表示された時点で、条件一覧131は、マーカー条件Mcの既定条件を表示する。図5に示す条件一覧131は、この既定条件を表示している。
設定読込ボタン132は、予め記憶部34に記憶されている条件設定ファイル(図示せず)から既定のマーカー条件Mcを読み込んで設定するためのボタンである。作業者が設定読込ボタン132を操作すると、条件設定ファイルの選択画面(図示せず)が表示される。作業者が入力部30を介して選択画面から1つのマーカー条件Mcを選択すると、選択された条件設定ファイルからマーカー条件Mcが読み出され、条件一覧131に表示される。
設定保存ボタン133は、条件一覧131に表示されるマーカー条件Mcを記憶部34に保存するためのボタンである。作業者が設定保存ボタン133を操作すると、条件一覧131に表示されるマーカー条件Mcが記憶部34に保存される。この際、別画面(図示せず)が表示され、作業者によりファイル名と保存先とが設定される。
詳細設定ボタン134は、条件一覧131に表示されるマーカー条件Mcを編集するためのボタンである。作業者が詳細設定ボタン134を操作すると、図6に示す詳細設定画面140が別画面にて表示される。
作業者は、マーカー条件Mcを設定する際に、設定読込ボタン132又は詳細設定ボタン134を操作する。作業者は、設定読込ボタン132を操作することにより既定のマーカー条件Mcを設定することができ、詳細設定ボタン134を操作することにより独自のマーカー条件Mcを設定することができる。
解析実行ボタン136は、マーキング処理を実行するためのボタンである。作業者が解析実行ボタン136を操作すると、条件一覧131に表示されるマーカー条件Mcによりマーキング処理(図10参照)が実行される。
(3−2−2.詳細設定画面140)
上述したように、図5に示す操作画面123が表示された状態で、詳細設定ボタン134が操作されると、図6に示す詳細設定画面140が表示される。詳細設定画面140は、マーカー条件Mcを詳細に設定するための画面である。
図6に示すように、詳細設定画面140は、詳細設定部142、全般設定ボタン146、Aグループ設定ボタン148、Bグループ設定ボタン150、OKボタン170及びキャンセルボタン172を有する。
詳細設定部142は、マーカー条件Mcの設定事項を表示する。詳細設定部142の表示内容は、各設定ボタン146、148、150の操作に応じて遷移する。
全般設定ボタン146は、詳細設定部142に対して図6に示す設定内容142aを表示させるためのボタンである。設定内容142aについては後述する。Aグループ設定ボタン148は、詳細設定部142に対して図7に示す設定内容142bを表示させるためのボタンである。設定内容142bについては後述する。Bグループ設定ボタン150は、詳細設定部142に対して図8に示す設定内容142cを表示させるためのボタンである。設定内容142cについては後述する。
OKボタン170は、詳細設定部142で設定されたマーカー条件Mcを確定させるためのボタンである。作業者がOKボタン170を操作すると、図6〜図8に示す設定内容142a〜142cで設定されたマーカー条件Mcがチェックされ、エラーが無ければ設定内容が確定される。確定後、詳細設定画面140は閉じられ、図9に示すマーカー条件表示部126を含む操作画面123(図5参照)が表示される。キャンセルボタン172は、マーカー条件Mcの設定をキャンセルするためのボタンである。
(3−2−2−1.設定内容142a)
図6に示す設定内容142aは、メモ欄158、抽出時間設定欄160、162、マーカー数設定欄164及び最終判定設定欄166を有する。メモ欄158は、設定内容142aの簡易的な説明(図示せず)を表示する。
抽出時間設定欄160、162は、収集データDc´を抽出する(「切出す」ともいう。)時間幅を設定するためのボタンを有する。抽出時間設定欄160は、マーカーMが付された時点よりも前の時間範囲を設定するためのボタンを有し、抽出時間設定欄162は、マーカーMが付された時点よりも後の時間範囲を設定するためのボタンを有する。抽出時間設定欄160、162のボタンが操作されると、複数の時間候補が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つの時間を選択できる。選択された時間は抽出時間設定欄160、162に表示される。
マーカー数設定欄164は、収集データDcに付するマーカーMの数の上限数Mmaxを設定するためのボタンを有する。マーカー数設定欄164のボタンが操作されると、複数の上限数Mmaxの候補が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つの上限数Mmaxを選択できる。選択された上限数Mmaxはマーカー数設定欄164に表示される。
最終判定設定欄166は、Aグループ及びBグループに設定される運転パラメータPのうち、最終判定パラメータPを設定するためのボタンを有する。最終判定設定欄166のボタンが操作されると、A1〜A4の文字とB1〜B3の文字群が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つを選択できる。選択された文字又は文字群は最終判定設定欄166に表示される。
なお、最終判定パラメータPは、設定された各運転パラメータPのうちで最終判定タイミングをいずれかに指定する必要がなければ設定の必要はない。設定が無い場合は、順番に関係なく、各運転パラメータPの条件が揃った時点にマーカー条件Mcが付される。
(3−2−2−2.設定内容142b)
図7に示す設定内容142bにおいては、4つの運転パラメータPの判定条件(A1〜A4)を個々に設定可能である。設定内容142bで設定されるA1〜A4の判定条件はand条件(A1 and A2 and A3 and A4)で組み合わされる。つまり、A1〜A4の判定条件が全て成立した段階で、Aグループの判定条件は成立する。なお、本実施形態では、A1〜A4のいずれかに運転パラメータPの設定が必須である。
設定内容142bは、メモ欄176、通信設定欄178、ECU設定欄180、運転パラメータ設定欄182、判定条件設定欄184、判定設定値入力欄186、実判定値欄188、単位欄190及び説明欄192を有する。なお、図7においては、図面の見易さの観点で、A1の各欄178、180、182、184、186、188、190、192のみに符号を付し、A2〜A4の各欄178、180、182、184、186、188、190、192には符号を付していない。
メモ欄176は、設定内容142bの簡易的な説明(図示せず)を表示する。通信設定欄178は、通信規格を設定するためのボタンを有する。通信設定欄178のボタンが操作されると、複数の通信規格(F−CAN、B−CAN、K−LINE等)の候補が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つの通信規格を選択できる。選択された通信規格は通信設定欄178に表示される。
ECU設定欄180は、ECUを設定するためのボタンを有する。ECU設定欄180のボタンが操作されると、複数のECUの候補が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つのECUを選択できる。選択されたECUはECU設定欄180に表示される。ECUの候補が並んだプルダウンメニューでは、車両12において、通信設定欄178で設定された通信規格により接続される各ECU20であり、且つ、収集データDcに含まれるパラメータデータDpの収集先であるECU20のみが表示される。
運転パラメータ設定欄182は、マーカー条件Mcに入れる運転パラメータPを設定するためのボタンを有する。運転パラメータ設定欄182のボタンが操作されると、複数の運転パラメータPの候補を並べた一覧(図示せず)が別画面にて表示される。作業者が、入力部30を操作していずれかの運転パラメータPを指示すると、指示された運転パラメータPが選択される。選択された運転パラメータPに対応するプログラムラベルが運転パラメータ設定欄182に表示される。
別画面にて表示される一覧には、各車種の車両12が取得できる全ての運転パラメータPの名称が含まれる。データ収集装置18がデータリンクケーブル58を介して診断装置16に接続されると、データ収集装置18から診断装置16に対して、収集データDcに含まれる運転パラメータPの情報が送信される。診断装置16の演算部32(パラメータ選択機能92)は、データ収集装置18から送信される運転パラメータPの情報(種類情報)を、記憶部34に予め記憶された全ての運転パラメータPの情報(種類情報)と照合する。そして、一覧画面において、収集データDcに含まれる運転パラメータPを通常表示し、収集データDcに含まれない運転パラメータPをグレーアウトにて表示する。通常表示される運転パラメータPは選択可能であり、グレーアウトにて表示される運転パラメータPは選択不可である。なお、単に選択可能な運転パラメータPのみを表示し、選択不可な運転パラメータPを非表示としてもよい。また、一覧はプルダウンメニューで示されてもよい。
判定条件設定欄184は、運転パラメータPの判定条件を設定するためのボタンを有する。判定条件設定欄184のボタンが操作されると、複数の判定条件の候補が並んだプルダウンメニュー(図示せず)が表示される。その中から1つの判定条件を選択できる。選択された判定条件は判定条件設定欄184に表示される。運転パラメータ設定欄182で設定された運転パラメータPがビット情報である場合、例えば0又は1のいずれかで示される運転パラメータPである場合は、プルダウンメニューには、「0」、「1」、「0」から「1」への変化時、「0」から「1」への変化時、という判定条件が表示される。一方、運転パラメータ設定欄182で設定された運転パラメータPが2ビット以上の情報である場合、プルダウンメニューには、等号、不等号(等号付きを含む)、「Lo」から「Hi」への変化時、「Hi」から「Lo」への変化時、という判定条件が表示される。
判定設定値入力欄186は、運転パラメータPの判定値を設定するための入力欄であり、テンキー等で具体的な数値が入力される。判定設定値入力欄186は、運転パラメータ設定欄182で設定された運転パラメータPが2ビット以上の情報である場合に入力可能となる。
実判定値欄188は、判定設定値入力欄186に入力された判定値に基づいて特定される実判定値を表示する。単位欄190は、運転パラメータ設定欄182で設定された運転パラメータPの単位を表示する。運転パラメータPと単位は予め紐付けされている。説明欄192は、運転パラメータ設定欄182で設定された運転パラメータPの説明(名称等)を表示する。
(3−2−2−3.設定内容142c)
図8に示す設定内容142cにおいては、3つの運転パラメータPの判定条件(B1〜B3)を個々に設定可能である。設定内容142cで設定されるB1〜B3の判定条件はor条件(B1 or B2 or B3)で組み合わされる。つまり、B1〜B3の判定条件のいずれかが成立した段階で、Bグループの判定条件は成立する。
設定内容142cは、メモ欄196、使用チェック欄198、通信設定欄200、ECU設定欄202、運転パラメータ設定欄204、判定条件設定欄206、判定設定値入力欄208、実判定値欄210、単位欄212及び説明欄214を有する。なお、図8においては、図面の見易さの観点で、B1の各欄200、202、204、206、208、210、212、214のみに符号を付し、B2、B3の各欄200、202、204、206、208、210、212、214には符号を付していない。
メモ欄196は、設定内容142cの簡易的な説明(図示せず)を表示する。使用チェック欄198は、Bグループの判定条件を使用する際にチェックを付するチェック欄である。使用チェック欄198にチェックが付されていない場合、Bグループの判定条件はマーカー条件Mcに含まれない。
各欄200、202、204、206、208、210、212、214は、図7に示す設定内容142bの各欄178、180、182、184、186、188、190、192と同じである。このためその説明を省略する。
(3−2−3.設定結果)
図6〜図8のいずれかに示す詳細設定画面140において、OKボタン170が操作されると、詳細設定画面140を用いて設定されたマーカー条件Mcのチェック処理が行われる。ここでは、詳細設定画面140(設定内容142b、142c)を用いて設定された運転パラメータPが、収集データDcに含まれる運転パラメータPと照合される。照合結果が一致した場合は、詳細設定画面140(設定内容142a〜142c)を用いて設定された設定情報が、マーカー条件Mcとして確定される。このとき詳細設定画面140は閉じられる。図9に示すように、操作画面123のマーカー条件表示部126には、詳細設定画面140を用いて設定されたマーカー条件Mcが表示される。
(3−3.マーキングプログラムの実行)
(3−3−1.マーキングプログラムによる処理の全体の流れ)
図4のステップS6で行われるマーキングプログラムの実行作業について、図10、図12A、図12Bを用いて説明する。図10は、診断装置16で実行されるマーキングプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。図12Aは、マーカー判定処理の終了時に表示されるサブ画面220を示す図であり、図12Bは、解析ファイル34aの作成後に表示されるサブ画面230を示す図である。
図9に示す条件表示部126に含まれる解析実行ボタン136が操作されると、診断装置16の演算部32は記憶部34からマーキングプログラムを読み出し実行する。すると、図10に示す処理が実行される。図10に示すステップS21〜ステップS27の処理は、主にマーキング機能86(図3参照)で処理され、ステップS28の処理は、主にファイル作成機能90(図3参照)で処理される。
図10に示すステップS21において、マーカー条件式が設定されているか否かが判定される。ここでは、図9に示す条件一覧131のAグループに少なくとも1つの運転パラメータPが設定されているか否かが判定される。マーカー条件Mcが設定されている場合(ステップS21:YES)、処理はステップS22に進む。一方、マーカー条件Mcが設定されていない場合(ステップS21:NO)、マーキングプログラムの処理は終了する。
ステップS22において、マーカー条件Mcに含まれる運転パラメータPのパラメータデータDpが収集データDcにあるか否かが判定される。具体的には、図9に示す条件一覧131のAグループ又はBグループで設定されている運転パラメータPのパラメータデータDpの有無が判定される。診断装置16とデータ収集装置18とが接続されると、診断装置16は、データ収集装置18から収集データDcに含まれる運転パラメータPの情報を取得する。このため、診断装置16は運転パラメータPの照合が可能である。パラメータデータDpがある場合(ステップS22:YES)、処理はステップS23に進む。一方、パラメータデータDpがない場合(ステップS22:NO)、マーキングプログラムの処理は終了する。
ステップS23において、診断装置16は、データ収集装置18から収集データDcを記録時間順に読み出し、収集データDcをサンプリングする。サンプリングされるのは、一定時間毎の収集データDcである。この一定時間をサンプリング時間tsという。
ステップS24において、診断装置16は、後述するマーカー判定処理(図11参照)を行い、読み出した収集データDcにおいてマーカー条件Mcが成立する場合には、収集データDcの時間軸に含まれる各時点のうち、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMを付す。
ステップS25において、所定のパラメータデータDpを記憶する。例えば、Aグループ又はBグループの判定条件に、「0(OFF)」から「1(ON)」への変化時、「1(ON)」から「0(OFF)」への変化時、「Lo」から「Hi」への変化時、「Hi」から「Lo」への変化時のいずれかが設定されているとする。具体的には、図9に示す条件一覧131のAグループ又はBグループに上記判定条件が設定されているとする。これらの判定条件は、判定時のデータと判定時よりも前のデータとを比較するものである。このため、常に最新のサンプリングデータよりも1つ前のサンプリングデータが必要である。ステップS25では、診断装置16は、上記判定条件が設定された運転パラメータPに関して、収集データDcの読み出し時に、最新のサンプリングデータを記憶部34に一時的に記憶する。記憶されたサンプリングデータは、次回のマーカー判定処理(ステップS24)で使用される。
ステップS26において、収集データDcの読み出しが終了したか、又は、マーカーカウンタCが上限数Mmax以上になったか否かが判定される。上限数Mmaxには、図6のマーカー数設定欄164で設定された上限数Mmaxが設定される。収集データDcが終了したか、又は、マーカーカウンタCが上限数Mmax以上になった場合(ステップS26:YES)、処理はステップS27に進む。一方、収集データDcが終了しておらず、且つ、マーカーカウンタCが上限数Mmax未満である場合(ステップS26:NO)、処理はステップS23に戻る。
ステップS27において、マーカー条件Mcの変更の有無が確認される。この時点で、マーカーMを付する処理は終了しており、図12Aに示すサブ画面220が表示部36に表示される。サブ画面220には、マーカーMの通し番号と、マーカーMが付された日時情報との一覧222が表示される。マーカーMが付された日時情報というのは、マーカー条件Mcを満たす各パラメータデータDpのデータ収集日時であり、収集データDcの時間軸の各時点に相当する。ところで、マーカー条件Mcによるデータの絞り込みが適当でない場合にマーカーMの数が多くなることがある。このため、マーカーMの数が予想に反して多い場合に、マーカー条件Mcを変更してもよい。作業者はマーカー条件Mcを変更する場合に、サブ画面220のキャンセルボタン226を操作する。キャンセルボタン226が操作された場合(ステップS27:NO)、マーキングプログラムの処理は終了する。一方、作業者は解析ファイル34aを作成する場合に、サブ画面220の切出しボタン224を操作する。切出しボタン224が操作された場合(ステップS27:YES)、処理はステップS28に進む。
ステップS28において、解析ファイル34aが作成される。ここでは、マーカーMが付された時点を基準にして、図6の抽出時間設定欄160、162で設定された時間幅の収集データDc´が抽出される。そして、抽出された収集データDc´毎に解析ファイル34aが作成され保存される。ステップS28で作成された各解析ファイル34aは1つのフォルダにまとめて保存される。収集データDc´の抽出(切出し)及び解析ファイル34aの作成が終了すると、図12Bに示すサブ画面230が表示される。OKボタン232が操作されると、マーキングプログラムの処理は終了する。
(3−3−2.マーカー判定処理)
図10のステップS24で行われるマーカー判定処理について、図11を用いて説明する。図11は、マーキングプログラム実行時に行われるマーカー判定処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すマーカー判定処理は、収集データDcがサンプリングされる毎に行われる。
ステップS31において、タイマTの設定値からサンプリング時間tsを減じた値が、タイマTに設定される。本実施形態では、収集データDcの時間軸において、マーカー条件Mcが成立した時点から、所定のマーカー停止時間tpが経過していない時点には、マーカーMを付さないようにしている。タイマTは、サンプリングされた収集データDcが、マーカー条件Mcが成立した最新の時点から、マーカー停止時間tp以上経過した時点のものであるか否かを判定するために使用される。タイマTの初期値は0であり、マーカー条件Mcの成立時にマーカー停止時間tpが設定される(後述のステップS38)。
ステップS32において、タイマTの値が0以下であるか否かが判定される。つまり、サンプリングされた収集データDcが、マーカー条件Mcが成立した最新の時点から、マーカー停止時間tp以上経過したものであるか否かが判定される。タイマTの値が0以下である場合(ステップS32:YES)、処理はステップS33に進む。一方、タイマTの値が0より大きい場合(ステップS32:NO)、マーカー判定処理は終了する。
ステップS33において、Aグループの条件が成立するか否かが判定される。本実施形態では、図9に示すようにA1〜A3が設定され、更に最終判定パラメータPとしてA3が設定されている。このため、ステップS33ではA1〜A3のうちA1及びA2に設定された運転パラメータPの判定条件が成立するか否かが判定される。両判定条件が成立する場合(ステップS33:YES)、処理はステップS34に進む。一方、いずれかの判定条件又は両判定条件が成立しない場合(ステップS33:NO)、マーカー判定処理は終了する。
ステップS34において、Bグループの条件が成立するか否かが判定される。本実施形態では、図9に示すようにB1のみが設定されている。このため、ステップS34ではB1に設定された運転パラメータPの判定条件が成立するか否かが判定される。判定条件が成立する場合(ステップS34:YES)、処理はステップS35に進む。一方、判定条件が成立しない場合(ステップS34:NO)、マーカー判定処理は終了する。
ステップS35において、最終判定パラメータPであるA3の条件が成立するか否かが判定される。A3に設定された運転パラメータPの判定条件が成立する場合(ステップS35:YES)、処理はステップS36に進む。一方、判定条件が成立しない場合(ステップS35:NO)、マーカー判定処理は終了する。
ステップS36において、サンプリングされた収集データDcの時間軸にマーカーMが付される。ステップS37において、マーカーカウンタCに1が加算される。ステップS38において、タイマTにマーカー停止時間tpが設定される。以上でサンプリングされた収集データDcに対するマーカー判定処理は終了する。
(3−4.グラフ表示する運転パラメータPの設定)
図4のステップS8で行われる解析ファイル34a及び運転パラメータPの選択作業について、図13〜図15を用いて説明する。図13及び図15は、症状設定ファイル選択部240を含む操作画面123´を示す図である。図14は、ファイル作成画面270を示す図である。
(3−4−1.操作画面123´)
作業者は入力部30を操作して表示部36に操作画面123´を表示させる。ここで、操作画面123´の説明をする。図13に示すように、操作画面123´は、メニュー選択ボタン124a〜124c、メニュー238及び症状設定ファイル選択部240を有する。症状設定ファイル選択部240は、ボタン124c(図5参照)が操作された場合に表示される。
症状設定ファイル選択部240は、ファイル欄242、参照ボタン244、機種選択欄246、症状設定ファイル一覧248(以下「ファイル一覧248」ともいう。)、新規作成ボタン250、編集ボタン252、削除ボタン254、グラフ出力ボタン258及びCSV出力ボタン260を有する。
参照ボタン244は、作業者により操作される。作業者が入力部30を介して参照ボタン244を操作すると、解析ファイル34aの一覧が別画面(図示せず)にて表示される。作業者が入力部30を介して一覧から1つの解析ファイル34aを選択すると、ファイル欄242は、選択された解析ファイル34aの名称(ファイル名)を表示する。機種選択欄246は、機種名を表示する。
ファイル一覧248は、診断ファイル34b(図1参照)の一覧を表示する。各診断ファイル34bのファイル名は診断症状の識別名であり、各診断ファイル34bには、ファイル名に関連する1以上の運転パラメータPを示す情報(診断セット)が保存される。ファイル一覧248に表示される診断症状の識別名のいずれかが入力部30を介して選択されると、その識別名は反転表示される。
なお、診断ファイル34bで設定する各運転パラメータPは、マーカー条件Mcで収集された収集データDc(解析ファイル34a)中の、例えば数百の運転パラメータPについて、診断症状に関連する情報を厳選して比較検討しやすく表示できるように選択・設定するものである。この観点から通常は、診断ファイル34bは、マーカー条件Mcで選択される運転パラメータPと、その関連パラメータを数個組み合わせて設定する場合が多い。
新規作成ボタン250は、診断ファイル34bを新たに作成するためのボタンである。編集ボタン252は、既存のファイルを基にして、診断ファイル34bを作成するためのボタンである。削除ボタン254は、診断ファイル34bを削除するためのボタンである。なお、新規作成ボタン250は、既存の診断ファイル34bを読み込んで、この中の各運転パラメータPについての削除や追加を行う際にも使用される。
グラフ出力ボタン258は、運転パラメータPのパラメータデータDpを、表示部36に表示させるためのグラフ表示プログラムの実行ボタンである。CSV出力ボタン260は、運転パラメータPのパラメータデータDpを、CSVファイルにして保存するためのボタンである。
表示又は出力するグラフの指定方法は2通りある。1つはファイル一覧248にある既存の診断ファイル34bを選択する方法である。1つは新たに診断ファイル34bを作成する方法である。前者の場合、作業者は、ファイル一覧248からいずれかの診断症状(故障症状等の診断の対象となる症状)の識別名を選択し、グラフ出力ボタン258を操作する。後者の場合、作業者は新規作成ボタン250を操作し、図14に示すファイル作成画面270により診断対象となる故障の発生に関係すると考えられる運転パラメータPを含む診断セットを作成して新たな診断ファイル34bに保存する。そして、症状設定ファイル選択部240に表示される新たな診断ファイル34bの識別名を選択し、グラフ出力ボタン258を操作してグラフ表示プログラムを起動する。
すると、ファイル欄242に表示される解析ファイル34aから、ファイル一覧248で選択された診断ファイル34bの診断セットで指定される運転パラメータPのパラメータデータDpが抽出され、グラフ284(図16参照)が表示される。
(3−4−2.ファイル作成画面270)
図14は、ファイル作成画面270を示す図である。ファイル作成画面270は、新規の診断ファイル34bに保存する診断セットを作成するための画面である。ファイル作成画面270は、運転パラメータ一覧272、チェック欄274、ファイル名入力欄276、保存ボタン278及びキャンセルボタン280を有する。
運転パラメータ一覧272は、選択可能な運転パラメータPの一覧を表示する。チェック欄274は、選択する運転パラメータPにチェクを付すための入力欄である。運転パラメータPの横にあるチェック欄274にチェックが付されると、その運転パラメータPが選択される。
ファイル名入力欄276は、保存する診断ファイル34bのファイル名として診断症状の識別名を入力するための入力欄である。保存ボタン278は、診断ファイル34bの保存時に操作されるボタンである。ファイル名入力欄276にファイル名が入力され、1以上のチェック欄274にチェックが付された状態で、保存ボタン278が操作されると、チェックを付された運転パラメータPの組合せからなる診断セットが新規の診断ファイル34bとして保存される。そして、図15に示すように、ファイル一覧248に新たに作成した診断ファイル34bのファイル名が追加される。作業者はこのファイルを選択してグラフを表示させることもできる。
(3−5.グラフ表示)
図16は、5つの運転パラメータPのパラメータデータDpを示すグラフ284である。5つの運転パラメータPは、エンジン回転数、アクセルペダル操作量、車速、スロットル開度、ブレーキスイッチのON/OFF信号である。これらの運転パラメータPは「ブレーキオーバーライド」という車両の制御機能に関連するものであり、「ブレーキオーバーライド」が作動したかどうかを診断するためのものである。「ブレーキオーバーライド」というのは、アクセルペタルが踏み込まれている状態でブレーキペダルが同時に操作された場合に、ブレーキを優先的に作動させ、スロットルを閉じてエンジン回転数を抑制する機能である。
グラフ284は、横軸を時間(データ収集日時)[sec]とし、縦軸を各運転パラメータPの単位とする。グラフ284には、収集データDc´に含まれるパラメータデータDpのうち、診断ファイル34bにより選択された運転パラメータPのパラメータデータDpが、抽出された時間分だけ表示される。ここでは、マーカーMが付された時点を基準にして、10[sec]前から、20[sec]後までの各パラメータデータDpが表示される。図16では各パラメータデータDpが別々のグラフで表示される例を示すが、1つの画面に複数のパラメータデータDpが時間軸を揃えて表示されてもよい。
作業者は、グラフ284に基づいて診断症状や不具合等の診断をすることができる。ここで具体的な診断例を説明する。ディーラがユーザから「アクセルを踏み込んでいるのにエンジン回転数が上がらないことがある」というクレームを受けたとする。作業者は、このクレームの現象が発生しそうな運転状況を想定してマーカー条件Mcとして設定し、抽出された各パラメータデータDpのうちファイル一覧248の症状設定ファイルで選別された運転パラメータPのみをグラフ284として表示し、診断を試みる。
本実施形態では、作業者はユーザからのクレームに対して更に色々な質問で状況を確認し、例えば「走行がギクシャクする感じがする。」、「ATのシフトショック(自動変速時のショック)とは違うようだ。」等の情報を得ている。これらの情報からは、不具合発生ではなく、「ブレーキオーバーライド」の作動が想定される。このため、作業者は、図6〜図8に示す詳細設定画面140を介して、ブレーキオーバーライドに関するマーカー条件Mcを設定している。そして、グラフ284を検討し、「ブレーキオーバーライド」の作動したポイントを確認できたので、今回のクレームは不具合でないことを判断できる。
例えば、作業者は、図16で示されるグラフ284から、ユーザの運転操作状況を次の(1)〜(3)のように読み取ることができ、その結果、「ブレーキオーバーライド」の作動したポイントを確認することができる。
(1)ブレーキペタルが踏まれて車速が緩減速している状態(ブレーキスイッチON)で、ブレーキペタルと共にアクセルペタルが踏まれてスロットル開度が上昇し始める。次に、
(2)ブレーキペダルから足が離れる等により、ブレーキペダルが一瞬戻された後に再度踏まれている(ブレーキスイッチOFFからON)。このとき、アクセルペタルが踏み込まれている状態のときに後からブレーキペダルが踏み込まれて同時に操作されているため、(=「ブレーキオーバーライド」の作動条件が揃って)ブレーキ優先となり、スロットルが強制的に閉じられる。次に、
(3)アクセルペタルが踏まれたままブレーキペタルが戻された状態(ブレーキスイッチONからOFFの最終判定位置)以後は、スロットル開度がアクセルペタルの操作量に応じた開度まで徐々に上昇する。
以上の検討結果に基づき、作業者はユーザに対して、グラフ284を提示すると共に、「通常はあまり行われない操作、すなわちブレーキペタルを踏んだままでアクセルペタルを踏むといった操作の中で、ごく稀に発生する安全機能が作動したことが原因である。」という説明をすることもできるため、故障でなかったことを容易に理解してもらうことが可能になる。
以上のように、本実施形態によれば、マーカー条件Mcが成立する前後の各運転パラメータPの変化状況が把握できるため、不具合解析に好適である。
[4.本実施形態のまとめ]
診断装置16は、収集データDcの時間軸にマーカーMを付すためのマーカー条件Mcを設定するマーカー条件設定機能84(マーカー条件設定部)と、マーカー条件Mcが成立した時点にマーカーMを付するマーキング機能86(マーキング部)と、マーカーMを基準にした前後の所定時間範囲分の収集データDcを抽出し、マーカーM毎の解析ファイル34aに保存するファイル作成機能90(ファイル保存部)とを備える。マーカー条件設定機能84は、収集データDcに含まれる運転パラメータPを選択可能に表示するパラメータ選択機能92(パラメータ選択部)と、パラメータ選択機能92により選択された運転パラメータPの判定条件を設定する判定条件設定機能94(判定条件設定部)と、パラメータ選択機能92により複数の運転パラメータPが選択された場合に、複数の運転パラメータPの組合せ条件を設定する組合せ条件設定機能96(組合せ条件設定部)とを備える。
本実施形態によれば、データ収集装置18で収集した大量の運転パラメータデータDpを解析するにあたって、故障車両のユーザから得た不具合の情報を参考にし、及び/又は、確認したい運転状況等を予め想定して、データ収集装置18で収集した運転パラメータデータDpに対して、マーカー条件Mcを設定することにより、解析したいデータのみを解析対象の解析ファイル34aとして抽出することができる。このため、収集データDcを収集開始時のデータから順にチェックする必要がなく、抽出部分のみを優先してチェックすることが可能になり、運転パラメータデータDpの解析工数を大幅削減することができる。
また、診断装置16は、マーカー条件Mcを設定する際に、収集データDcに含まれる運転パラメータPを、選択可能に表示する。例えば、運転パラメータPの一覧を表示し、そのうち、収集データDcに含まれる運転パラメータPを通常表示して選択可能にし、収集データDcに含まれない運転パラメータPをグレーアウトで表示する等により、選択不可にする。このため、作業者は設定可能な運転パラメータPを容易に選択することができる。
また、診断装置16は、マーカーM毎に収集データDcを抽出して解析ファイル34aに保存する一方で、データ収集装置18に記憶された収集データDcはもとのままである。このため、抽出した収集データDc´が適切でなく再度別条件でマーカーMの設定が必要な場合、何度でも別条件でのデータ抽出を行うことができる。したがって、繰り返しの解析が容易となり、難問な不具合解析を効率的に行うことができる。
診断装置16は、所定時間範囲のうち、マーカーMよりも前の時間範囲と後の時間範囲とをそれぞれ独立して設定する時間範囲設定機能88(時間範囲設定部)を備える。この構成によれば、不具合状況に応じた適切な時間範囲を設定することができる。
更に、マーカー条件設定機能84は、マーカーMの数の上限数Mmaxを設定するマーカー数設定機能98(マーカー数設定部)を備え、マーキング機能86は、収集データDcに付したマーカーMの数が上限数Mmaxに到達した場合に、マーカーMを付する処理を中止する。この構成では、マーカー条件Mcによる絞り込みが不足している場合に、マーカーMの数が上限数Mmaxに達して、マーカーMを付する処理が停止する。すなわち、マーカー条件Mcによる絞り込みが不足していることを、マーカーMを付する処理が停止することにより早めに把握することができる。このため、マーカー条件Mcに段階的に条件を追加する等、徐々にマーカー条件Mcを絞り込むような解析が容易になる。
更に、マーカー条件設定機能84は、パラメータ選択機能92により複数の運転パラメータPが選択された場合に、判定条件が最後に判定される最終判定パラメータPを設定する最終判定設定機能100(最終判定設定部)を備える。そして、組み合わせ条件に含まれる運転パラメータPのうち最終判定パラメータPを除く運転パラメータPの判定条件が成立した後に最終判定パラメータPの判定条件が成立することを、マーカー条件Mcの成立条件とする。この構成によれば、最終判定パラメータPの判定条件が成立した時点を基準にしたデータを抽出することができる。重要な運転パラメータPを最終判定パラメータPとすることにより、収集データDcのサンプリング周期内での抽出基準位置が影響するような場合にも有効な収集データDcを抽出することができる。
診断装置16は、車両12の診断症状毎に運転パラメータPの組合せ情報を診断セットとして記憶する診断ファイル34b(記憶部)と、診断セットの識別名を表示すると共に選択する表示選択機能106(診断セット選択部)と、選択された診断セットに対応する運転パラメータデータDpを解析ファイル34aから抽出して表示部36に表示する表示制御機能78(表示制御部)とを備える。この構成によれば、解析ファイル34aに記憶される運転パラメータデータDpを診断する際に、解析ファイル34aに記憶される膨大な運転パラメータデータDpの中から、診断用として表示すべき運転パラメータデータDpの選択を簡単に行うことができる。
B.別実施形態
上記実施形態では、運転パラメータPの判定条件をand条件で組み合わせたAグループ、及び、or条件で組み合わせたBグループがマーカー条件Mcに含まれる例を説明した。マーカー条件Mcには別の条件を設定することも可能である。例えば、以下で説明するように、マーカー条件Mcが、条件継続時間や計算式を含んでもよい。
[1.構成]
図1で示す診断装置16は、図3で示す解析準備機能74及びマーカー条件設定機能84に代わり、図17で示すような解析準備機能74´及びマーカー条件設定機能84´を有してもよい。図17は、診断装置16が有する解析準備機能74´の各種機能を示す図である。図17においては、図3に示す解析準備機能74の機能と同じ機能に同じ符号を付している。解析準備機能74´は、解析準備機能74が有する各機能に加えて、判定時間設定機能290及び計算式設定機能292を有する。
判定時間設定機能290(以下「第5設定機能290」ともいう。)は、第1設定機能94及び第4設定機能100で設定された条件が成立したときに判定すべき条件成立の継続時間を設定する機能である。なお、継続時間に加えて条件成立回数も設定可能である。計算式設定機能292(以下「第6設定機能292」ともいう。)は、計算式を設定する機能である。第5設定機能290及び第6設定機能292は、マーカー条件Mcを設定するための機能である。
[2.マーカー条件Mcの設定]
(2−1.詳細設定画面140´)
本実施形態では、図18〜図21の設定画面を用いてマーカー条件Mcの設定を行う。図18〜図21は、マーカー条件Mcを設定する詳細設定画面140´を示す図である。図18〜図21においては、図6〜図8に示す詳細設定画面140の部品と同じ部品に同じ符号を付している。
図18に示すように、詳細設定画面140´は、詳細設定部142、全般設定ボタン146、Aグループ設定ボタン148、Bグループ設定ボタン150、Cグループ設定ボタン152、Dグループ設定ボタン154、特殊計算設定ボタン156、OKボタン170及びキャンセルボタン172を有する。
Cグループ設定ボタン152は、詳細設定部142に対して図18に示す設定内容142dを表示させるためのボタンである。設定内容142dについては後述する。Dグループ設定ボタン154は、詳細設定部142に対して図19に示す設定内容142eを表示させるためのボタンである。設定内容142eについては後述する。特殊計算設定ボタン156は、詳細設定部142に対して図20、図21に示す設定内容142fを表示させるためのボタンである。設定内容142fについては後述する。
(2−1−1.設定内容142d)
図18に示す設定内容142dは、メモ欄300及び継続時間入力欄302を有する。メモ欄300は、設定内容142dの簡易的な説明(図示せず)を表示する。
継続時間入力欄302は、Aグループ及びBグループに設定された全ての運転パラメータPの判定条件が成立してからの継続時間を設定するための入力欄であり、テンキー等で具体的な数値が入力される。全ての判定条件が成立してからこの継続時間が経過した時点でマーカー条件Mcが成立したものと判定される。
(2−1−2.設定内容142e)
図19に示す設定内容142eにおいては、2つの運転パラメータPの判定条件(D1、D2)を個々に設定可能である。設定内容142eで設定されるD1、D2の判定条件はor条件(D1 or D2)で組み合わされる。つまり、D1、D2の判定条件のいずれかが成立することが必須である。更に、図19に示す設定内容142eにおいては、D1、D2のor条件が成立してからの継続時間と、成立回数を設定可能である。
図19に示す設定内容142eは、メモ欄332、使用チェック欄334、通信設定欄336、ECU設定欄338、運転パラメータ設定欄340、判定条件設定欄342、判定設定値入力欄344、実判定値欄346、単位欄348、説明欄350、継続時間入力欄352及びカウンタ入力欄354を有する。メモ欄332は、設定内容142eの簡易的な説明(図示せず)を表示する。
使用チェック欄334は、図8に示す使用チェック欄198と同じである。また、各欄336、338、340、342、344、346、348、350は、図7に示す設定内容142bの各欄178、180、182、184、186、188、190、192と同じである。このためその説明を省略する。
継続時間入力欄352は、D1又はD2に設定された運転パラメータPの判定条件が成立してからの継続時間を設定するための入力欄であり、テンキー等で具体的な数値が入力される。カウンタ入力欄354は、D1又はD2に設定された運転パラメータPの判定条件の成立回数を設定するための入力欄であり、テンキー等で具体的な数値が入力される。D1又はD2に設定された運転パラメータPの判定条件が成立してから継続時間入力欄352で設定された継続時間が経過した時点でカウンタ値に1が加算される。カウンタ値がカウンタ入力欄354で設定された条件成立回数に達した時点で、マーカー条件Mcが成立したものと判定される。
(2−1−3.設定内容142f)
図20及び図21に示す設定内容142fにおいては、2つの計算条件(X1、X2)を個々に設定可能である。計算条件X1には、同じ種類の2つの運転パラメータP(E1、E2)の減算式(E1−E2)を設定可能である。計算条件X2には、運転パラメータP(F1)の変化率を計算するために必要なサンプリング数を設定可能である。
X1の計算で使用する2つの運転パラメータP(E1、E2)は、通信設定欄308、ECU設定欄310、運転パラメータ設定欄312、単位欄314を用いて設定される。X2の計算で使用する運転パラメータP(F1)は、通信設定欄320、ECU設定欄322、運転パラメータ設定欄324で設定される。また、サンプリング回数は、サンプリング回数入力欄328で設定される。
C.その他の実施形態
本発明は上記実施形態の他に様々な実施形態が可能である。例えば、マーカー条件Mcの設定時に、診断ファイル34bを作成してもよい。この場合、図7及び図8に示す詳細設定画面140でOKボタン170が操作されたときに、Aグループ及びBグループに含まれる運転パラメータPを診断セットとして、診断ファイル34bが作成されるようにすることができる。