JP6567962B2 - 液圧ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、マスタシリンダとレギュレータとを含んで構成される車両用の液圧ブレーキシステムに関する。
下記の特許文献1には、加圧した作動液をブレーキ装置に供給するマスタシリンダと、そのマスタシリンダに調圧された作動液を供給するレギュレータと、レギュレータに供給する作動液の液圧を調整するための増圧制御弁および減圧制御弁とを含んで構成される液圧ブレーキシステムが記載されている。マスタシリンダは、(A-1)内部を2つの液室に区画形成するとともに開口が形成された区画部を有するハウジングと、(A-2)そのハウジングの区画部の後方側に収容され、ブレーキ操作部材に連結されてそのブレーキ操作部材の操作によって前進させられる入力ピストンと、(A-3)ハウジングの区画部の前方側に収容されて後端に鍔が形成された本体部を有する加圧ピストンと、(A-4)入力ピストンと加圧ピストンとの間に、区画部の開口を利用して形成されたピストン間室と、(A-5)加圧ピストンの前方に形成され、ブレーキ装置に供給される作動液が加圧ピストンの前進によって加圧される加圧室と、(A-6)加圧ピストンの鍔と区画部との間に区画形成され、加圧ピストンに前進させる力を付与するための作動液がレギュレータから導入される入力室と、(A-7) 加圧ピストンの鍔の前方に設けられ、鍔を挟んで入力室と対向する対向室とを備えている。
そして、そのマスタシリンダは、(I) 連通切換弁を閉状態としてピストン間室と対向室との連通を遮断するとともに、低圧源遮断弁を開状態として対向室を低圧源に連通することで、ピストン間室の液圧を利用して加圧ピストンを前進させる第1加圧状態と、(II) 連通切換弁を開状態としてピストン間室と前記対向室との連通を許容するとともに、低圧源遮断弁を閉状態としてピストン間室と対向室とを低圧源から遮断することで、入力室の液圧のみに依拠して加圧ピストンを前進させる第2加圧状態との間で、選択的に切り換えられるように構成されている。
特開2013−208987号公報
上記のように構成された液圧ブレーキシステムにおいて、例えば、ブレーキ操作がなされたことを条件として本システムの制御装置が起動したような場合には、ブレーキ操作が開始された後、ブレーキ操作がなされた状態のままで第1加圧状態から第2加圧状態に切り換えることになる。上記特許文献1に記載のシステムは、その切換の際に、ピストン間室の液圧変化を抑制することで、操作フィーリングの変化を抑制するように構成されている。一方、上記のように構成された液圧ブレーキシステムにおいて、例えば、ブレーキ操作がなされている状態で、当該システムの異常や失陥が検出された場合には、ブレーキ操作がなされた状態のままで第2加圧状態から第1加圧状態に切り換える必要がある。例えば、その加圧状態の切換の際に、入力室の液圧を急激に低下させてしまうと、制動力も同様に低下させてしまう虞がある。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ操作がなされた状態のままで第2加圧状態から第1加圧状態に切り換える際の不自然さを軽減することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材に操作が行なわれている状態でマスタシリンダを第2加圧状態から第1加圧状態に切り換える場合、連通切換弁を遮断した状態で、減圧制御弁を制御してレギュレータのパイロット圧室の液圧を漸減させるとともに、低圧源遮断弁を制御してマスタシリンダの対向室の液圧を漸減させる制御を実行するように構成される。
本発明の液圧ブレーキシステムは、レギュレータのパイロット圧室の液圧を漸減させて、マスタシリンダの入力室の液圧を漸減させることで、制動力を徐々に低下させことができ、制動力の低下を運転者に認識させることができる。したがって、本発明の液圧ブレーキシステムによれば、運転者に制動力を増加させるブレーキ操作を行う猶予を与えることが可能である。また、本発明の液圧ブレーキシステムは、低圧源遮断弁を制御してマスタシリンダの対向室の液圧を漸減させることで、その対向室の液圧が急激に低下することに伴う操作フィーリングの変化を抑え、運転者に与える違和感を軽減することが可能である。
請求可能発明の実施例である液圧ブレーキシステムを搭載した車両の概略を示す図である。 図1に示すレギュレータの断面図である。 実施例の液圧ブレーキシステムの要部を模式的に示す図である。 図1に示す制御装置としてのECUにおいて実行される失陥時状態切換制御プログラムのフローチャートを示す図である。 図4に示す失陥時状態切換制御プログラムにおいて実行される第2パイロット圧漸減制御サブルーチンのフローチャートを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<液圧ブレーキシステムの構成>
(a)全体構成
実施例の車両用液圧ブレーキシステムは、ハイブリッド車両に搭載され、ブレーキオイルを作動液とする液圧ブレーキシステムである。本液圧ブレーキシステムは、図1に示すように、大まかには、(a) 4つの車輪10に設けられ、それぞれがブレーキ力を発生させる4つのブレーキ装置12と、(b) ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル14の操作が入力されるとともに、加圧された作動液を各ブレーキ装置12に供給するマスタシリンダ16と、(c) マスタシリンダ16と4つのブレーキ装置12の間に配置されたアンチロックユニット18〔ABS〕と、(d) 作動液を低圧源であるリザーバ20から汲み上げて加圧することにより、高圧の作動液を供給する高圧源装置22と、(e) 高圧源装置22から供給される作動液を調圧してマスタシリンダ16に供給するレギュレータ24と、(f) レギュレータ24に供給される作動液の圧力を調整するための電磁式の増圧リニア弁[SLA]26および減圧リニア弁[SLR]28と、(g) それらの装置,機器,弁を制御することで当該液圧ブレーキシステムの制御を司るブレーキ電子制御ユニット[ECU]30とを含んで構成されている。なお、4つの車輪10は、左右前後を表わす必要のある場合に、右前輪10FR,左前輪10FL,右後輪10RR,左後輪10RLと表わすこととする。また、4つのブレーキ装置12等の構成要素も、左右前後を区別する必要がある場合に、車輪10と同様の符号を付して、12FR,12FL,12RR,12RL等と表わすこととする。ちなみに、[ ]の文字は、図面において表わす場合に用いる符号である。
(b)ブレーキ装置およびABSユニット
各車輪10に対応して設けられたブレーキ装置12は、車輪10とともに回転するディスクロータ,キャリアに保持されたキャリパ,キャリパに保持されたホイールシリンダ,キャリパに保持されてそのホイールシリンダによって動かされることでディスクロータを挟み付けるブレーキパッド等を含んで構成されたディスクブレーキ装置である。また、ABSユニット18は、各車輪に対応して設けられて対をなす増圧用開閉弁および減圧用開閉弁,ポンプ装置等を含んで構成されたユニットであり、スリップ現象等によって車輪10がロックした場合に作動させられて、車輪のロックが持続することを防止するための装置である。
(c)マスタシリンダ
i)マスタシリンダの構造
マスタシリンダ16は、ストロークシミュレータ一体型のマスタシリンダであり、概して言えば、ハウジング40の内部に、2つの加圧ピストンである第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設されるとともに、ストロークシミュレータ機構48が組み込まれている。なお、マスタシリンダ16に関する以下の説明において、便宜的に、図における左方を前方,右方を後方と呼び、同様に、後に説明するピストン等の移動方向について、左方に動くことを前進,右方に動くことを後退と呼ぶこととする。
ハウジング40は、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設される空間を有し、その空間は、前方側の端部が閉塞されるとともに、環状をなす区画部50によって前方室52と後方室54とに区画されている。第2加圧ピストン44は、前方に開口する有底円筒状をなしており、前方室52内において前方側に配設される。一方、第1加圧ピストン42は、有底円筒状をなすとともに後端に鍔56が形成された本体部58と、本体部58から後方に延びる突出部60とを有しており、本体部58が、前方室52内において第2加圧ピストン44の後方に配設されている。区画部50は、環状をなしていることから中央に開口62が形成されたものとされており、突出部60は、その開口62を貫通して後方室54に延び出している。入力ピストン46は、後方室54に、詳しく言えば、それの一部分が後方から後方室54の内部に臨み入るようにして、配設され、後方に配置されたブレーキペダル14が、リンクロッド64を介して、入力ピストン46に連結されている。
第1加圧ピストン42と第2加圧ピストン44との間には、詳しく言えば、第1加圧ピストン42の本体部58の前方には、2つの後輪10RR,10RLに対応する2つのブレーキ装置12RR,12RLに供給される作動液が第1加圧ピストン42の前進によって加圧される第1加圧室R1が、第2加圧ピストン44の前方側には、2つの前輪10FR,10FLに対応する2つのブレーキ装置12FR,12FLに供給される作動液が第2加圧ピストン44の前進によって加圧される第2加圧室R2が、それぞれ形成されている。一方、第1加圧ピストン42と入力ピストン46との間には、ピストン間室R3が形成されている。詳しく言えば、区画部50に形成された開口62から後方に延び出す突出部60の後端と、入力ピストン46の前端とが向かい合うようにして、つまり、開口62を利用して第1加圧ピストン42と入力ピストン46とが向かい合うようにして、ピストン間室R3が形成されているのである。さらに、ハウジング40の前方室52内には、突出部60の外周において、区画部50の前端面と、第1加圧ピストン42の本体部58の後端面、つまり、鍔56の後端面とによって区画されるようにして、レギュレータ24から供給される作動液が導入される環状の入力室R4が形成されている。さらにまた、本体部58の外周において、鍔56の前方に、その鍔56を挟んで入力室R4と対向する環状の対向室R5が形成されている。
第1加圧室R1,第2加圧室R2は、それぞれ、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44が移動範囲における後端に位置する際に、大気圧ポートP1,P2を介してリザーバ20と連通可能とされており、また、それぞれ、出力ポートP3,P4を介するとともにABSユニット18を介して、ブレーキ装置12と連通させられている。ちなみに、第1加圧室R1は、後に説明するレギュレータ24をも介してブレーキ装置12RR,12RLと連通させられている。なお、入力室R4は、入力ポートP5を介して、後に説明するレギュレータ24の調整圧ポートと連通させられている。
ピストン間室R3は、連通ポートP6と、対向室R5は、連通ポートP7と、それぞれ連通しており、それら連通ポートP6と連通ポートP7は、外部連通路である連通路70によって繋げられている。この連通路70の途中には、常閉型の電磁式開閉弁72、つまり、非励磁状態で閉弁状態となり、励磁状態で開弁状態となる開閉弁72が設けられており、開閉弁72が開弁状態とされた場合に、ピストン間室R3と対向室R5は連通させられる。それらピストン間室R3と対向室R5とが連通する状態では、それらによって、1つの液室、すなわち、反力室R6と呼ぶことのできる液室が形成されていると考えることができる。なお、開閉弁72は、ピストン間室R3と対向室R5との連通,非連通を切換える機能を有する連通切換弁であり、以下、「連通切換弁72」と呼ぶこととする。
また、マスタシリンダ16には、さらに2つの大気圧ポートP8,P9が設けられており、それらは、内部通路にて連通している。一方の大気圧ポートP8はリザーバ20に繋げられており、他方の大気圧ポートP9は、外部連通路である低圧路74を介して、連通切換弁72と対向室R5との間において連通路70に繋げられている。低圧路74には、常開型の電磁式開閉弁76、つまり、非励磁状態で開弁状態となり、励磁状態で閉弁状態となる開閉弁76が設けられている。この開閉弁76は、対向室R5をリザーバ20との連通を遮断する機能を有する低圧源遮断弁であり、以下、「低圧源遮断弁76」と呼ぶこととする。
ハウジング40は、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44,入力ピストン46が配設されている空間とは別の空間を有しており、ストロークシミュレータ機構48は、その空間と、その空間内に配設された反力ピストン80と、反力ピストン80を付勢する2つの反力スプリング82,84(いずれも圧縮コイルスプリングである)とを含んで構成されている。反力ピストン80の後方側には、バッファ室R7が形成されている(図では、殆ど潰れた空間として表わされている)。ブレーキペダル14の操作によって入力ピストン46が前進する際、バッファ室R7には、内部通路を介して、対向室R5の作動液、すなわち、反力室R6の作動液が導入され、その導入される作動液の量、すなわち、入力ピストン46の前進量に応じた反力スプリング82,84の弾性反力が反力室R6に作用することで、ブレーキペダル14に操作反力が付与される。また、本システムでは、連通路70に、反力室R6の作動液の圧力(以下、「反力圧PRCT」という場合がある。)を検出するもの、つまり、ブレーキペダル14に対する反力(ブレーキペダル12に加えられた操作力と考えることもできる。)を検出するための反力圧センサ[PRCT]86が設けられている。
ii)マスタシリンダの機能
通常の状態では、上記連通切換弁72は、開弁状態、上記低圧源遮断弁76は、閉弁状態にあり、ピストン間室R3と対向室R5とによって、上記反力室R6が形成されている。本マスタシリンダ16では、第1加圧ピストン42を前方に移動させるべくピストン間室R3の作動液の圧力が作用する第1加圧ピストン42の受圧面積(対ピストン間室受圧面積)、すなわち、第1加圧ピストン42の突出部60の後端面の面積と、第1加圧ピストン42を後方に移動させるべく対向室R5の作動液の圧力が作用する第1加圧ピストン42の受圧面積(対対向室受圧面積)、すなわち、第1加圧ピストン42の鍔56の前端面の面積とが、等しくされている。したがって、ブレーキペダル14を操作して入力ピストン46を前進させても、操作力、すなわち、反力室R6の圧力によっては、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進せず、マスタシリンダ16によって加圧された作動液がブレーキ装置12に供給されることはない。その一方で、入力室R4に高圧源装置22からの作動液の圧力が導入されると、その作動液の圧力に依存して第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進し、入力室R4の作動液の圧力に応じた圧力に加圧された作動液が、ブレーキ装置12に供給される。つまり、本マスタシリンダ16によれば、通常状態(通常時)において、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依存せずに高圧源装置22からマスタシリンダ16に供給される作動液の圧力、つまり、レギュレータ24からマスタシリンダ16に供給される作動液の圧力に依存した大きさのブレーキ力を、ブレーキ装置12が発生させるのである。
本システムが搭載されている車両は、上述したようにハイブリッド車両であり、当該車 両においては、回生ブレーキ力が利用できる。そのため、ブレーキ操作に基づいて決定されるブレーキ力から回生ブレーキ力を減じた分のブレーキ力を、ブレーキ装置12によって発生させればよい。本システムは、上記高圧源圧依存制動力発生状態が実現されることから、ブレーキ操作力に依存しないブレーキ力をブレーキ装置12が発生させることができる。そのような作用から、本システムは、ハイブリッド車両に好適な液圧ブレーキシステムなのである。
一方、電気的失陥時には、上記連通切換弁72および低圧源遮断弁76は励磁されず、連通切換弁72は、閉弁状態、上記低圧源遮断弁76は、開弁状態とされ、ピストン間室R3は密閉されるとともに対向室R5は大気圧に開放される。その状態では、ブレーキペダル14に加えられた操作力は、ピストン間室R3の作動液を介して第1加圧ピストン42に伝達され、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は前進する。つまり、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依存した大きさのブレーキ力をブレーキ装置12が発生させるのである。なお、入力室R4に、マスタ圧PMSTによって調圧された作動液がレギュレータ24から導入されれば、第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44は、レギュレータ24からマスタシリンダ16に供給される作動液の圧力と操作力との両方によって前進させられ、それら両方に依存した大きさのブレーキ力、つまり、レギュレータ24からマスタシリンダ16に供給される作動液の圧力に依存した大きさのブレーキ力と操作力に依存した大きさのブレーキ力とが足し合わされたブレーキ力をブレーキ装置12が発生させることになる。
(d)高圧源装置
高圧源装置22は、リザーバ20から作動液を汲み上げるポンプ90と、そのポンプ90を駆動するポンプモータ92と、ポンプ90から吐出された作動液を加圧された状態で蓄えるアキュムレータ[ACC]94とを含んで構成される。ポンプモータ92は、アキュムレータ94に蓄えられている作動液の圧力(以下、「高圧源圧PACC」という場合がある。いわゆる「アキュムレータ圧」である。)が、高圧源圧センサ[PACC]96の検出値に基づいて、予め定められた範囲内にあるように制御される。
(e)レギュレータ
i)レギュレータの構造
レギュレータ24は、自身に供給される作動液の液圧(パイロット圧)に応じて機械的に作動するパイロット式の圧力制御弁であり、そのパイロット圧に応じて高圧源装置22の液圧を調圧し、その調圧した作動液をマスタシリンダ16の入力室R4に供給するものである。
レギュレータ24の構造について、図2をも参照しつつ、詳しく説明する。レギュレータ24は、大まかには、ハウジング100と、そのハウジング100内に設けられたスプール弁機構102およびパイロットピストン104とを含んで構成されている。図において左右に延びる中心軸線が、レギュレータ24の軸線、詳しく言えば、ハウジング100の軸線であり、軸線方向における右側を一端側、左側を他端側と呼ぶこととする。また、パイロットピストン104等の移動方向について、一端側に向かって動くことを前進,他端側に向かって動くことを後退と呼ぶ場合がある。
スプール弁機構102は、スプール110と、そのスプール110を摺動可能に保持するスプール保持筒112とを備えている。スプール保持筒112は、ハウジング100内に嵌入され、ハウジング100の一端側に固定されている。つまり、そのスプール保持筒112をも含んでハウジングが構成されていると考えることもできる。
スプール110の一端側には、スプール保持筒112およびハウジング100によって、調整圧室R8が区画形成されている。スプール弁機構102は、スプール110が他端側の移動端にある場合に、リザーバ20と調整圧室R8とを連通するとともに、高圧源装置22と調整圧室R8との連通を遮断する。そして、スプール110の一端側への移動によって、リザーバ20と調整圧室R8との連通を遮断するとともに、高圧源装置22と調整圧室R8とを連通するようになっている。以下に、スプール弁機構102の構成について詳しく説明する。
スプール110は、スプール保持筒112の他端側から延び出しており、それらスプール110とスプール保持筒112との間に配設された圧縮コイルスプリングである離間スプリング114によって、他端側に向かって付勢されている。また、スプール110の他端側には、パイロットピストン104が配設されており、そのパイロットピストン104も、離間スプリング116によって他端側に向かって付勢されている。スプール110は、ハウジング110の他端に当接したパイロットピストン104に当接した位置が、可動範囲における他端側の移動端である。スプール110がその位置に位置する場合には、調整圧室R8は、スプール保持筒112に形成された内部ポート118,ハウジング100に形成された内部通路120等を介して、リザーバ20にマスタシリンダ16を介して連通させられた大気圧ポートP10に連通している。
ハウジング100には、大気圧ポートP10のほかに、高圧源装置22から作動液が供給される高圧ポートP11、および、調整圧室R8の調圧された作動液をマスタシリンダ16の入力室R4に供給するための調整圧ポートP12が設けられている。スプール保持筒112には、それらポートP11,P12に連通するための内部ポート122,124が形成されている。なお、調整圧ポートP12に連通するための内部ポート124は、調整圧室R8に、内部通路によって調整圧室R8に連通している。そして、スプール110が他端側の移動端にある場合には、調整圧ポートP12に連通するための内部ポート124がスプール110の外周面で塞がれており、調整圧室R8と高圧源装置22との連通は遮断されている。
そして、スプール110が一端側に移動することによって、スプール110の外周面に形成された凹所により2つの内部ポート122,124が連通させられる。つまり、調整圧室R8と高圧源装置22とが連通させられるのである。なお、その場合には、大気圧ポートP10に連通するための内部ポート118は、スプール110の外周面で塞がれ、調整圧室R8とリザーバ20との連通が遮断される。
上記パイロットピストン104の他端側には、ハウジング100とによって、第1パイロット圧室R9が区画形成されている。第1パイロット圧室R9は、ハウジング100に形成された第1パイロット圧ポートP13,P14に、内部通路によって連通しており、図1からも解るように、それら第1パイロット圧ポートP13,P14のそれぞれを介して、マスタシリンダ16の第1加圧室R1,後輪のブレーキ装置12RL,12RRと連通している。したがって、第1パイロット圧室R9は、マスタシリンダ16からブレーキ装置12RL,12RRへの作動液の供給経路の一部となっている。つまり、第1パイロット圧室R9には、マスタシリンダ16から後輪側の車輪10RL,10RRに対応するブレーキ装置12RL,12RRに供給される作動液、つまり、マスタ圧PMSTの作動液が、第1パイロット圧PPLT1の作動液として導入される。したがって、パイロットピストン104は、第1パイロット圧室R9の作動液の圧力、すなわち、第1パイロット圧PPLT1の作用によって、スプール110とともに前進する構成とされている。
また、パイロットピストン104は、一端側に有底穴130が形成されている。一方、スプール保持筒112の他端側は、一端側に比較して、外径の小さな小外径部132とされている。その小外径部130の外径は、有底穴130の直径と同じほぼ同じ大きさとされており、その有底穴130の内側に、スプール保持筒112の小外径部132が入り込んだ状態となっている。そして、パイロットピストン104とスプール110との間、詳しくは、パイロットピストン104の有底穴130と、スプール110およびスプール保持筒112の他端側の面とによって、第2パイロット圧室R10が区画形成されている。その第2パイロット圧室R10は、ハウジング100に形成された第2パイロット圧ポートP15,P16に連通しており、それら第2パイロット圧ポートP15,P16のそれぞれを介して、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28と連通している。したがって、第2パイロット圧室R10には、それら増圧リニア弁26,減圧リニア弁28によって圧力が調整された作動液が、第2パイロット圧PPLT2の作動液として導入される。したがって、スプール110は、第2パイロット圧室R10の作動液の圧力、すなわち、第2パイロット圧PPLT2の作用によって前進する構成とされてり、制御ピストンとして機能するものとなっている。
なお、パイロットピストン104には、内部に緩衝ピストン140が軸線方向に摺動可能に保持されている。その緩衝ピストン140は、圧縮コイルスプリングである緩衝スプリング142によって弾性的に支持されている。その緩衝ピストン140の先端側(一端側)の空間は、第2パイロット圧室R10と連通しており、その第2パイロット圧PPLT2に生じた圧力振動を抑える機能を有している。ちなみに、緩衝ピストン140が設けられたパイロットピストン104の内部空間は、大気圧ポートP10に連通しており、作動液の液圧は、常に大気圧とされている。
スプール保持筒112の小外径部132の外周側には、パイロットピストン104およびハウジング100とによって、調整圧室R8と連通するもう1つの調整圧室R11が区画形成されている。つまり、パイロットピストン104は、その調整圧室R11の作動液の液圧によって、他端側へ向かう力が付与されるようになっている。以下の説明において、スプール110の一端側に設けられた調整圧室R8を、第1調整圧室R8と、パイロットピストン104の一端側に設けられた調整圧室R11を、第2調整圧室R11と呼ぶこととする。なお、それら調整圧室R8,R11と入力室R4とを連通させるべく、調整圧ポートP12と入力ポートP5とを繋ぐ液通路であるサーボ通路150には、レギュレータ24によって調圧されて入力室R4に供給される作動液の液圧であるサーボ圧(調整圧)PSRVを検出する調整圧センサとしてのサーボ圧センサ[PSRV]152が設けられている。
また、ハウジング100には、内部通路によって高圧ポートP11と連通するもう1つの高圧ポートP17が設けられており、図1から解るように、この高圧ポートP17は増圧リニア弁26およびリリーフ弁154に連通している。さらに、ハウジング100には、内部通路によって大気圧ポートP10と連通するもう1つの大気圧ポートP18が設けられており、図1から解るように、この大気圧ポートP18は、リリーフ弁154に連通している。したがって、高圧源装置22からの高圧源圧PACCの作動液は、レギュレータ24を介して増圧リニア弁26に供給され、その高圧源圧PACCが設定以上の圧力となった場合に、高圧源装置22からの作動液は、レギュレータ24を介して、リザーバ20に流れるようにされている。
ii)レギュレータの機能
本レギュレータ24では、増圧リニア弁26と減圧リニア弁28とによって第2パイロット圧室R10の作動液の圧力である第2パイロット圧PPLT2が増加させられた場合に、スプール110が、その第2パイロット圧PPLT2によって付勢されて他端側の移動端から一端側に移動する。この移動によって、スプール弁機構102が高圧源装置22と調整圧室R8,R11とを連通させることで、マスタシリンダ16の入力室R4に供給される作動液の圧力、すなわち、サーボ圧PSRVが上昇させられる。その一方で、サーボ圧PSRVの上昇で、調整圧室R8の作動液の圧力も上昇し、スプール110が、サーボ圧PSRVによって付勢される。つまり、第2パイロット圧PPLT2によってスプール110を前進させる力と、サーボ圧PSRVによってスプール110を後退させる力とがバランスする状態が維持されて、マスタシリンダ16に供給される作動液の圧力であるサーボ圧PSRVが第2パイロット圧PPLT2に応じた大きさに調圧される。なお、スプール110の第2パイロット圧室R10の液圧(第2パイロット圧PPLT2)を受ける受圧面積と、スプール110の第1調整圧室R8の液圧(サーボ圧PSRV)を受ける受圧面積とは、ほぼ等しくされており、サーボ圧PSRVは、第2パイロット圧PPLT2とほぼ同じ大きさに調圧される(厳密にいえば、サーボ圧PSRVは、第2パイロット圧PPLT2より僅かに小さくなる)。
ちなみに、第1パイロット圧室R9には、マスタ圧PMSTの作動液が、第1パイロット圧PPLT1の作動液として導入されるが、マスタシリンダ16の増圧比、すなわち、サーボ圧PSRVに対するマスタ圧PMSTの比は、ほぼ1とされている。そして、パイロットピストン104には、第1パイロット圧室R9の液圧(第1パイロット圧PPLT1=マスタ圧PMST)による前進させる向きの力,第2パイロット圧室R10の液圧(第2パイロット圧PPLT2)による後退させる向きの力,第2調整圧室R11の液圧(サーボ圧PSRV)による後退させる向きの力が作用する。本レギュレータ24では、後退させる向きの力が、前進させる力より大きくなるため、パイロットピストン104は前進せず、第2パイロット圧PPLT2による調圧が行われている場合、第1パイロット圧PPLT1に依拠した力を、スプール110には作用させないようになっている。
一方、電気的失陥時等には、第1パイロット圧PPLT1による調圧が行われる。また、この場合、第2パイロット圧室R10は、大気圧に開放されている。第1パイロット圧PPLT1の作動液として導入された作動液の圧力であるマスタ圧PMSTが増加した場合に、パイロットピストン104は、前進させられて、スプール110に当接した状態でそのスプール110とともに前進し、スプール110は他端側の移動端から一端側に移動する。この移動によって、スプール弁機構102が高圧源装置22と調整圧室R8,R11とを連通させることで、マスタシリンダ16の入力室R4に供給される作動液の圧力、すなわち、サーボ圧PSRVが上昇させられる。その一方で、サーボ圧PSRVの上昇で、第1調整圧室R8の作動液の圧力と、第2調整圧室R11の作動液の圧力も上昇し、パイロットピストン104およびスプール110が、サーボ圧PSRVによって付勢される。つまり、第1パイロット圧PPLT1によってパイロットピストン104およびスプール110を前進させる力と、サーボ圧PSRVによってパイロットピストン104およびスプール110を後退させる力とがバランスする状態が維持されて、マスタシリンダ16に供給される作動液の圧力であるサーボ圧PSRVが第1パイロット圧PPLT1に応じた大きさに調圧される。
スプール110は、スプール保持筒112に対するクリアランスを狭めることで、作動液の液漏れを抑えるため、その外径は、比較的小さなものとされている。それに対して、パイロットピストン104の外径は、そのスプール110の外径により大きくされている。つまり、パイロットピストン104の他端側において第1パイロット圧PPLT1を受ける受圧面積AP_rは、スプール110のサーボ圧PSRVを受ける受圧面積ASPより大きくされているのである。そのため、パイロットピストン104を作動させるためのマスタ圧が大きくなることはない。一方で、パイロットピストン104の他端側において第1パイロット圧PPLT1を受ける受圧面積AP_rは、スプール110の第1調整圧室R8の液圧(サーボ圧PSRV)を受ける受圧面積ASPとパイロットピストン104の一端側において第2調整圧室R11の液圧(サーボ圧PSRV)を受ける受圧面積AP_f1とを足し合わせた面積と、ほぼ等しくされており、サーボ圧PSRVは、第1パイロット圧PPLT1とほぼ同じ大きさに調圧されるのである(厳密にいえば、サーボ圧PSRVは、第1パイロット圧PPLT1より僅かに小さくなる)。
f)増圧リニア弁および減圧リニア弁
増圧リニア弁26,減圧リニア弁28は、一般的な電磁式リニア弁であり、構造の図示については省略する。増圧リニア弁26は、高圧源装置22とレギュレータ24との間に配設された常閉型の電磁式リニア弁であり、コイルに通電される励磁電流が大きくなるほど、開度(例えば、閉弁状態から開弁状態への移行のし易さ)が高くなり、開弁圧が高くなる。なお、増圧リニア弁26は、前後の差圧が一定である場合には、供給電流を大きくすれば、流量が大きくなる。一方、減圧リニア弁28は、レギュレータ24と低圧源であるリザーバ20との間に配設された常開型の電磁式リニア弁であり、コイルに通電される励磁電流が大きくなるほど、開度(例えば、閉弁状態から開弁状態への移行のし易さ)が低くなり、開弁圧が高くなる。
増圧リニア弁26,減圧リニア弁28は、レギュレータ24を挟んで、詳しく言えば、レギュレータ24の第2パイロット圧室R10を挟んで、直列的に配置されており、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の各々に供給される励磁電流を制御することにより、第2パイロット圧室R10の作動液の圧力を制御することができるのである。このような増圧リニア弁26,減圧リニア弁28の機能によれば、本システムでは、それら増圧リニア弁26,減圧リニア弁28を含んで、作動液の液圧を制御によって任意の高さに調整して、その作動液を第2パイロット圧室R10に作動液を供給する液圧調整装置が構成されていると考えることができるのである。
g)制御系
本システムの制御、つまり、ブレーキ制御は、ブレーキECU30によって行われる。ブレーキECU30は、大まかには、高圧源装置22(詳しくは、それが有するモータ92)の制御を行い、また、増圧リニア弁26および減圧リニア弁28の制御を行う。ブレーキECU30は、中心的な要素であるコンピュータと、高圧源装置22のモータ92,増圧リニア弁26,減圧リニア弁28等をそれぞれ駆動するための駆動回路(ドライバ)とを含んで構成されている。
ブレーキECU30には、反力圧PRCT,高圧源圧PACC,サーボ圧PSRVを、制御に必要な情報として取得するため、上述の反力圧センサ86,高圧源圧センサ96,サーボ圧センサ152が接続されている。また、本システムには、ブレーキペダル14の操作量を検出するストロークセンサ[δPDL]210,増圧リニア弁26や減圧リニア弁28に流れる電流を検出する電流センサ(図示省略)等が接続されている。そして、本システムにおけるECU30による制御は、ここで挙げた各種のセンサの検出値に基づいて行われる。
なお、ブレーキECU30には、ブレーキ制御に現時点で使用可能なリソーセスが登録されるようになっている。そのリソーセスには、例えば、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28,連通切換弁72,低圧源遮断弁74,ポンプ90,ポンプモータ92,アンチロックユニット18の各開閉弁等の正常に動作している機器類、反力圧センサ86,高圧源圧センサ96,サーボ圧センサ152等の正常に検出可能なセンサ類、正常な大きさに維持されているアキュムレータ圧等、種々の要素が含まれる。そして、ブレーキECU30は、後に詳しく説明するが、その登録されているリソーセス等に基づいて、正常な制御が実行可能か否か、あるいは、正常な制御が不可能な場合に、現時点で実行可能な制御を判断し、その制御を実行するようになっている。
<液圧ブレーキシステムの作動>
(A)通常時における作動および制御
本液圧ブレーキシステムが搭載された車両では、通常、ブレーキ操作量センサ160の検出値に基づいて取得されたブレーキ操作量δPDLと、反力圧センサの検出値PRCTに基づいて取得されたブレーキ操作力FPDLとの両者に基づいて、必要とされるブレーキ力である必要ブレーキ力が算出される。その必要ブレーキ力から回生ブレーキシステムで発生させられる回生ブレーキ力を減算したものが、必要液圧ブレーキ力として決定される。本液圧ブレーキシステムは、この必要液圧ブレーキ力を発生させるべく作動する。
まず、マスタシリンダ16の作動に関して言えば、通常の状態では、先に説明したように、ECU30は、連通切換弁72および低圧源遮断弁76を励磁し、連通切換弁72を開弁状態、低圧源遮断弁76を閉弁状態とする(第2加圧状態)。ちなみに、図3に、本液圧ブレーキシステムの要部を模式的に示している。そして、入力室R4にレギュレータ24からの作動液の圧力を導入して、その作動液の圧力に依存して第1加圧ピストン42,第2加圧ピストン44を前進させ、入力室R4の作動液の圧力に応じた圧力に加圧された作動液(マスタ圧PMSTの作動液)を、ブレーキ装置12に供給する。つまり、通常状態においては、ECU30は、前述の必要液圧ブレーキ力を発生させるべく、入力室R4の液圧、つまり、サーボ圧PSRVを制御するのである。つまり、ECU30は、レギュレータ24の第2パイロット圧PPLT2を制御して、調整圧室R8の液圧を第2パイロット圧PPLT2に応じた大きさに調圧することで、サーボ圧PSRVを制御する状態を実現するのである。なお、以下の説明において、調整圧室R8の液圧を第2パイロット圧PPLT2に応じた大きさに調圧する状態を第2調圧状態と呼ぶ場合があり、また、第2加圧状態、かつ、第2調圧状態である状態を、第2状態と呼ぶ場合がある。
ECU30は、必要液圧ブレーキ力に基づいて目標サーボ圧PSRV を決定し、サーボ圧センサ152の検出値に基づいて取得される実サーボ圧PSRVが目標サーボ圧となるように、それら目標サーボ圧PSRV と実サーボ圧PSRVとの偏差ΔPSRVに基づくフィードバック制御を行うようになっている。具体的には、偏差ΔPSRVが、増圧閾値ΔPより大きい場合には増圧モードとされ、減圧閾値ΔPより小さい場合には減圧モードとされ、減圧閾値ΔP以上かつ増圧閾値ΔP以下である場合には保持モードとされる。
増圧モードでは、減圧リニア弁28が閉弁され、増圧リニア弁26の制御によって、第2パイロット圧室R10に作動液を供給し、第2パイロット圧PPLT2が増加させられる。その増圧リニア弁26への供給電流ISLAが、前後の差圧に応じた開弁電流ISLA-OPENと、上記の偏差ΔPSRVとに基づいて、次式に従って決定される。
SLA=ISLA-OPEN+KSLA・ΔPSRVSLA:制御ゲイン
なお、前後の差圧は、例えば、高圧源圧センサ96の検出値と第2パイロット圧室圧PPLT2(実サーボ圧PSRV)との差から求めることができ、開弁電流ISLA-OPENは、その差圧と開弁電流ISLA-OPENとの関係を示すマップデータから求めるようにすることができる。
減圧モードでは、増圧リニア弁26が閉弁され、減圧リニア弁28の制御によって、第2パイロット圧PPLT2が低下させられる。その減圧リニア弁28の供給電流ISLRが、前後の差圧に応じた開弁電流ISLR-OPENと、上記の偏差ΔPSRVとに基づいて、次式に従って決定される。
SLR=ISLR-OPEN−KSLR・ΔPSRVSLR:制御ゲイン
また、保持モードでは、増圧リニア弁26,減圧リニア弁28が閉状態とされ、第2パイロット圧PPLT2が維持される。なお、その際の増圧リニア弁26,減圧リニア弁28への供給電流は、第2パイロット圧が目標サーボ圧に応じた大きさに達した場合の差圧作用力が作用しても閉状態を保持し得る大きさとされる。ちなみに、増圧モードにおける減圧リニア弁28への供給電流、および、減圧モードにおける増圧リニア弁26への供給電流も同様である。
(B)失陥時における作動
一方、電気的失陥時には、ECU30による制御は行われない。つまり、連通切換弁72および低圧源遮断弁76は励磁されず、連通切換弁72が閉弁状態、低圧源遮断弁76が開弁状態とされる(第1加圧状態)。つまり、ブレーキペダル14に加えられた操作力を、ピストン間室R3の作動液を介して第1加圧ピストン42に伝達させ、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依存した大きさのブレーキ力をブレーキ装置12が発生させるのである。なお、出力ポートP3からは、ブレーキ操作力に依存して加圧された作動液が供給される。その加圧された作動液が、レギュレータ24の第1パイロット圧室R9に導入されることにより、レギュレータ24では、第1パイロット圧PPLT1(マスタ圧PMST)による調圧が行われ、アキュムレータ94に高圧の作動液が残存している限り、マスタ圧MSTに応じたサーボ圧PSRVの作動液がレギュレータ24からマスタシリンダ16の入力室R4に供給される。その供給により、ブレーキ操作力と高圧源装置22から供給されてレギュレータ24によって調圧された作動液の圧力との両方に依存した大きさのブレーキ力が、各車輪10のブレーキ装置12において発生させられることになる。なお、以下の説明において、調整圧室R8の液圧を第1パイロット圧PPLT1に応じた大きさに調圧する状態を第1調圧状態と呼ぶ場合がある。また、第1調圧状態で、かつ、第2調圧状態にない状態を、詳しく言えば、第1加圧状態かつ第1調圧状態である状態,第1加圧状態でアキュムレータ94に高圧の作動液が残存せずレギュレータ24が作動していない状態を、第1状態と呼ぶ場合がある。
(C)ブレーキ操作中における第2状態から第1状態への切換
本車両においては、本液圧ブレーキシステムが正常である場合には、イグニッションスイッチ166がOFFである場合には第1状態にあり、ONである場合に第2状態とされる。つまり、本液圧ブレーキシステムが搭載された車両が走行している場合には、第2状態にある。詳しく言えば、マスタシリンダ16においては、連通切換弁72および低圧源遮断弁76が励磁されて、連通切換弁72が開弁状態、低圧源遮断弁76が閉弁状態とされとされている(第2加圧状態)。そして、運転者によりブレーキ操作がなされると、レギュレータ24において第2パイロット圧PPLT2に応じた調圧が行われ(第2調圧状態)、その第2パイロット圧PPLT2に応じたサーボ圧PSRVの作動液がマスタシリンダ16の入力室R4に供給される。
そして、先にも述べたように、例えば、アキュムレータ圧の低下や、目標サーボ圧PSRV と実サーボ圧PSRVとの差が大きい等、本液圧ブレーキシステムにおいて異常や失陥が検出された場合には、第2状態から第1状態に切り換えられるようになっている。しかしながら、ブレーキ操作がなされた状態で、本液圧ブレーキシステムにおいて失陥が検出された場合に、即座に第1状態としてしまうと、すでに、ブレーキ操作力に依拠せずに、レギュレータ24によって調圧された作動液の圧力のみに依存した大きさのブレーキ力を発生させているため、ブレーキ操作力に依拠した大きさのブレーキ力を発生させる状態とする際に問題が生じることになる。詳しく言えば、レギュレータ24において、第2パイロット圧PLT2を0とすべく減圧リニア弁28を即座に開弁してしまうと、サーボ圧PSRVが急激に低下して、制動力が低下してしまう虞があるのである。
そこで、本液圧ブレーキシステムは、ブレーキペダル14が踏み込まれた状態で、何らかの異常や失陥が生じて第2状態から第1状態に切り換える場合、上記のような問題に対処するための制御として失陥時状態切換制御が実行されるようになっている。本液圧ブレーキシステムでは、その失陥時状態切換制御として、複数の制御を実行可能とされており、前述したリソーセスに基づいて、それら複数の制御のうちで現在の状況下で実行可能なものの中から最適なものが選択され、実行されるようになっている。
(i)第2パイロット圧漸減制御
例えば、増圧リニア弁26の故障やアキュムレータ圧の低下等が生じても、減圧リニア弁28および連通切換弁72が正常である場合、つまり、リソーセスに減圧リニア弁28および連通切換弁72が登録されている場合には、失陥時状態切換制御として、第2パイロット圧漸減制御が実行される。その第2パイロット圧漸減制御では、まず、連通切換弁72が非励磁状態とされて閉弁状態とされ、ピストン間室R3が密閉される。つまり、ブレーキペダル14に加えた力が、ピストン間室R3の作動液を介して第1加圧ピストン42に伝達され、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依拠した大きさのブレーキ力をブレーキ装置12が発生させる状態とされる。
そして、その後、レギュレータ24において第2パイロット圧PPLT2を減少させるのであるが、前述のように、減圧リニア弁28を即座に開弁して制動力が急激に低下してしまわないように、減圧リニア弁28が、それの開度が徐々に大きくなるように制御される。具体的には、減圧リニア弁28への供給電流が、漸減させられるようになっている。なお、増圧リニア弁26がリソーセスにあれば、その増圧リニア弁26への供給電流は0とされ、閉弁させられる。その第2パイロット圧PPLT2が漸減させられることにより、サーボ圧PSRVも漸減させられ、制動力の低下を、運転者に認識させることができ、運転者にブレーキペダル14を踏み増しする猶予を与えることが可能である。
また、第1状態においては、低圧源遮断弁76を開弁して、ブレーキ操作に対して、ストロークシミュレータ48による反力は付与されないようになっている。第2状態から第1状態に切り換える場合、低圧源遮断弁76を閉弁状態から開弁状態に切り換える必要がある。しかしながら、低圧源遮断弁76を即座に開弁してしまうと、ストロークシミュレータ48に連通されていた対向室R5が、リザーバ20に連通され、その液圧が急激に低下することになる。つまり、第1加圧ピストン42が対向室R5の作動液の液圧に依拠して受けていた後退させる方向の力が急激に低下するため、第1加圧ピストン42が前進させられることになる。そして、第1加圧ピストン42の前進によりピストン間室R3の液圧も低下し、ブレーキペダル14に作用している反力が小さくなって、ブレーキペダル14が入り込んでしまうような感覚を運転者に与えてしまうのである。
そこで、上記の第2パイロット圧漸減制御の実行時において、低圧源遮断弁76,サーボ圧センサ152,反力圧センサ86も正常である場合、つまり、リソーセスに減圧リニア弁28,低圧源遮断弁76,サーボ圧センサ152,反力圧センサ86が登録されている場合には、対向室R5の液圧をも漸減させるようになっている。具体的には、低圧源遮断弁76に対してデューティ制御が行われ、デューティ比〔本実施例では、ON時間のサイクル時間に対する比率 Ton/(Ton+Toff)である〕が、サーボ圧PSRVと反力圧PRCTとの差(PSRV−PRCT)に基づいて制御される。詳しくは、サーボ圧PSRVと反力圧PRCTとの差が小さくなるほど、ON時間Tonが短くされ、その差が0となった時に、デューティ比が0、つまり、OFF状態(開弁状態)とされるようになっている。
(ii)第2パイロット圧維持制御
また、本液圧ブレーキシステムは、失陥時状態切換制御として、ブレーキペダルを戻し始めるまで、第2パイロット圧PPLT2を低下させずに失陥が検出された時点の液圧で維持する第2パイロット圧維持制御を実行可能とされている。その第2パイロット圧維持制御は、減圧リニア弁28,連通切換弁72,低圧源遮断弁76が正常であるのに加えて、ポンプ90,ポンプモータ92が正常であり、アキュムレータ94が十分に蓄圧されている場合、つまり、リソーセスに減圧リニア弁28,連通切換弁72,低圧源遮断弁76,ポンプ90,ポンプモータ92,アキュムレータ圧が登録されている場合に、実行されるようになっている。
第2パイロット圧維持制御は、まず、減圧リニア弁28が閉状態とされて第2パイロット圧PPLT2が維持され、サーボ圧PSRVが低下しないようにされる。また、上記第2パイロット圧減圧制御と同様に、連通切換弁72が閉弁状態とされ、ブレーキペダル14に加えられた操作力に依拠した大きさのブレーキ力をブレーキ装置12が発生させる状態とされる。そして、第2パイロット圧維持制御が実行され始めた後に、ブレーキペダル14が踏み増しされた場合には、マスタシリンダ16においてブレーキペダル14に加えられた操作力に依拠して加圧された第1加圧室R1の液圧PMSTが、レギュレータ24の第1パイロット圧室R9に導入されることになる。つまり、レギュレータ24においては、第1パイロット圧PPLT1(=マスタ圧PMST)によってパイッロットピストン104が前進させられ、それにより第2パイロット圧室R10の作動液を介してスプール110も前進させられる。したがって、スプール110の前進によって調整圧室R8,R11が高圧源装置22に連通させられ、サーボ圧PSRVが上昇させられるのである。
また、第2パイロット圧維持制御では、低圧源遮断弁76は閉弁状態のままとされる。それにより、対向室R5が、ストロークシミュレータ48に連通させられており、第2パイロット圧維持制御が実行されている場合、ストロークシミュレータ48は、ブレーキペダル14に操作反力を付与するようになっている。なお、この第2パイロット圧維持制御では、連通切換弁72および低圧源遮断弁76が、ブレーキペダル14が戻されるのに合わせて開弁され、第1状態とされる。
この第2パイロット圧維持制御によって、先に述べたサーボ圧PSRVの低下による制動力の低下を引き起こすことなく、運転者によるブレーキペダル14の踏み増し操作に対応して、制動力を大きくすることが可能である。
(D)制御プログラム
上述の失陥時状態切換制御は、ECU30が、図4にフローチャートを示す失陥時状態切換制御実行プログラムを実行することによって行われる。なお、このプログラムは、短い時間ピッチ(例えば、数μsec〜数十μsec)で繰り返し実行される。
このプログラムにおいては、液圧ブレーキシステムが先に述べた第1状態と第2状態とのいずれの状態にあるかを示すフラグである状態フラグFLが用いられる。状態フラグFLは、第2状態にある間は、フラグ値が0とされ、第1状態に切り換えられると、フラグ値が1とされるものである。
失陥時状態切換制御実行プログラムでは、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)において、本システムに異常が発生しているか否かが判定され、S2において、状態フラグFLのフラグ値が確認される。システムに異常が生じており、かつ、状態フラグFLのフラグ値が0である場合にのみ、S3以下の処理が行われる。そして、S3において、ブレーキ操作が行なわれているか否かの判定が行われ、ブレーキ操作が行なわれていない場合には、S4において、第1状態に切り換えられるとともに、S5において、状態フラグFLのフラグ値が1とされる。一方、ブレーキ操作が行なわれている場合には、S6以下において、失陥時状態切換制御を経て第1状態に切り換えられる。
失陥時状態切換制御が実行される場合には、S6において、リソーセスが確認され、そのリソーセスに基づいて、複数の失陥時状態切換制御のうちから最適なものが選択されるようになっている。最初に、S7において、リソーセスに減圧リニア弁28および連通切換弁72があるか否かが判定される。それら減圧リニア弁28と連通切換弁72との両者がリソーセスにある場合には、第2パイロット圧漸減制御と第2パイロット圧維持制御のいずれかが行われ、減圧リニア弁28と連通切換弁72とのいずれか、あるいは、両者がリソーセスにない場合には、S8において、記載は省略するが、第2パイロット圧漸減制御と第2パイロット圧維持制御と異なる他の失陥時状態切換制御が実行されるようになっている。
減圧リニア弁28と連通切換弁72との両者がリソーセスにある場合には、S9において、リソーセスにポンプ90,ポンプモータ92,アキュムレータ圧があるか否かが判定される。それらすべてが揃っている場合には、S10において、第2パイロット圧維持制御が実行され、揃っていない場合には、S11において、第2パイロット圧漸減制御が実行される。
第2パイロット圧漸減制御は、図5にフローチャートを示す第2パイロット圧漸減制御実行サブルーチンが実行されることによって行われる。その第2パイロット圧漸減制御実行サブルーチンでは、まず、S21において、連通切換弁72をOFF状態として閉弁するとともに、減圧リニア弁28への目標供給電流ISLR を前回のプログラムの実行時の供給電流ISLRからΔIだけ減少させた値に決定する。なお、減圧リニア弁28に流れる電流を計測する電流センサがリソーセスにあれば、減圧リニア弁28への目標供給電流ISLR を、電流センサにより検出された実際の供給電流から減少させるようにしてもよい。また、増圧リニア弁26がリソーセスにあれば、その増圧リニア弁26への供給電流は0とされ、閉弁させられるようになっている。
次いで、S22において、減圧リニア弁28への供給電流ISLR が0か否かが判定され、0となった場合には、S23において、状態フラグFLのフラグ値が1とされ、第2パイロット圧漸減制御実行サブルーチンが終了するとともに、失陥時状態切換制御実行プログラムの1回の実行が終了する。
また、供給電流ISLR がまだ0となって場合には、S24において、リソーセスに低圧源遮断弁76,サーボ圧センサ152および反力圧センサ86があるか否かが判定される。それらが揃っている場合には、S25において、サーボ圧センサ152により検出されたサーボ圧PSRV(入力室R4の液圧である)と反力圧センサ86により検出された反力圧PRCT(対向室R5の液圧である)との差ΔPが演算される。そして、続くS26において、その差圧ΔPに基づいて、低圧源遮断弁76に対する目標デューティ比が決定され、低圧源遮断弁76がデューティ制御される。また、S27において、低圧源遮断弁76,サーボ圧センサ152および反力圧センサ86の1つでもリソーセスにない場合、S25において、低圧源遮断弁76がデューティ制御されるのであるが、この場合には、プログラムの実行ごとに設定値分だけデューティ比が小さくされる。以上で、第2パイロット圧漸減制御実行サブルーチンが終了するとともに、失陥時状態切換制御実行プログラムの1回の実行が終了する。
10:車輪 12:ブレーキ装置 14:ブレーキペダル〔ブレーキ操作部材〕 16:マスタシリンダ 18:アンチロックユニット[ABS] 20:リザーバ〔低圧源〕 22:高圧源装置〔高圧源〕 24:レギュレータ 26:増圧リニア弁〔増圧制御弁〕[SLA] 28:減圧リニア弁〔減圧制御弁〕[SLR] 30:ブレーキ電子制御ユニット〔制御装置〕[ECU] 40:ハウジング 42:第1加圧ピストン 44:第2加圧ピストン 46:入力ピストン 48:ストロークシミュレータ 50:区画部 56:鍔 58:本体部 60:突出部 70:連通路 72:連通切換弁 74:低圧路 76:低圧源遮断弁 86:反力圧センサ[PRCT] 96:高圧源圧センサ[PACC] 102:スプール弁機構 110:スプール〔制御ピストン〕 152:サーボ圧センサ[PSVR
R1:第1加圧室 R2:第2加圧室 R3:ピストン間室 R4:入力室 R5:対向室 R8:第1調整圧室 R10:第2パイロット圧室〔パイロット圧室〕 R11:第2調整圧室

Claims (1)

  1. 運転者によって操作されるブレーキ操作部材と、
    車輪に設けられ、自身に供給される作動液の圧力に応じた大きさの制動力を発生させるブレーキ装置と、
    (A-1)内部を2つの液室に区画形成するとともに開口が形成された区画部を有するハウジングと、(A-2)そのハウジングの前記区画部の後方側に収容され、前記ブレーキ操作部材に連結されてそのブレーキ操作部材の操作によって前進させられる入力ピストンと、(A-3)前記ハウジングの前記区画部の前方側に収容されて後端に鍔が形成された本体部を有する加圧ピストンと、(A-4)前記入力ピストンと前記加圧ピストンとの間に、前記区画部の開口を利用して形成されたピストン間室と、(A-5)前記加圧ピストンの前方に形成され、前記ブレーキ装置に供給される作動液が前記加圧ピストンの前進によって加圧される加圧室と、(A-6)前記加圧ピストンの前記鍔と前記区画部との間に区画形成され、前記加圧ピストンに前進させる力を付与するための作動液が導入される入力室と、(A-7) 前記加圧ピストンの前記鍔の前方に設けられ、前記鍔を挟んで前記入力室と対向する対向室とを備え、前記ピストン間室の作動液の圧力が作用する前記加圧ピストンの受圧面積と、前記対向室の作動液の圧力が作用する前記加圧ピストンの受圧面積とが等しくされたマスタシリンダと、
    前記ピストン間室と前記対向室とを接続するとともに、低圧源が接続された連通路と、
    その連通路の低圧源が接続された箇所より前記ピストン間室側の部分に設けられ、前記ピストン間室と前記対向室との連通を許容する開状態と、その連通を遮断する閉状態とを切り換える連通切換弁と、
    前記連通路と低圧源との間に設けられ、前記連通路を低圧源に連通させる開状態と、低圧源から遮断する閉状態とを切り換える低圧源遮断弁と、
    前記連通路の低圧源が接続された箇所より前記対向室側の部分に設けられ、前記連通路に接続された液室を有してその液室の作動液を弾性的に加圧するストロークシミュレータと、
    高圧の作動液を供給する高圧源と、
    その高圧源からの高圧の作動液を調整圧に調圧し、その調圧された作動液を前記マスタシリンダの前記入力室に供給するレギュレータであって、(B-1)制御ピストンと、(B-2)その制御ピストンの前方側に設けられ、前記調整圧に調圧される作動液が収容される調整圧室と、(B-3)前記制御ピストンの後方側に設けられたパイロット圧室とを有するレギュレータと、
    前記高圧源と前記パイロット圧室との間に設けられ、前記パイロット圧室の液圧を増圧させるための増圧制御弁と、
    前記パイロット圧室と低圧源との間に設けられ、前記パイロット圧室の液圧を減圧させるための減圧制御弁と、
    前記連通切換弁および前記低圧源遮断弁を制御してそれぞれの開状態と閉状態とを切り換えるとともに、前記増圧制御弁および前記減圧制御弁を制御して前記パイロット圧室の液圧を調整することで前記調整圧を制御する制御装置と
    を含んで構成された液圧ブレーキシステムであって、
    前記制御装置が、
    前記マスタシリンダを、(I) 前記連通切換弁を閉状態として前記ピストン間室と前記対向室との連通を遮断するとともに、前記低圧源遮断弁を開状態として前記対向室を低圧源に連通することで、前記ピストン間室の液圧を利用して前記加圧ピストンを前進させる第1加圧状態と、(II) 前記連通切換弁を開状態として前記ピストン間室と前記対向室との連通を許容するとともに、前記低圧源遮断弁を閉状態として前記ピストン間室と前記対向室とを低圧源から遮断することで、前記入力室の液圧のみを利用して前記加圧ピストンを前進させる第2加圧状態との間で、選択的に切り換えるように構成され、
    前記ブレーキ操作部材に操作が行なわれている状態で前記マスタシリンダを前記第2加圧状態から前記第1加圧状態に切り換える場合、前記連通切換弁を遮断した状態で、前記減圧制御弁を制御して前記レギュレータの前記パイロット圧室の液圧を漸減させるとともに、前記低圧源遮断弁を制御して前記マスタシリンダの前記対向室の液圧を漸減させる制御を実行する液圧ブレーキシステム。
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