以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
<ブロック共重合体>
本発明のブロック共重合体は、2種以上のビニルモノマーを用いて重合された共重合体である。具体的には後述する一般式(1)で表わされる構造単位を含むAブロックと、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有し、アミン価が20〜150mgKOH/gであることを特徴としている。該Aブロックは「Aセグメント」、及びBブロックは「Bセグメント」と言い換えることもできる。
本発明において、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーのことをいい、「ビニルモノマーに由来する構造単位」とはビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合になった構造単位をいう。また、「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルの少なくとも一方」をいい、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」をいい、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクロイルの少なくとも一方」をいう。
本発明のブロック共重合体の各種構成成分等について以下説明する。
(Aブロック)
Aブロックは、下記一般式(1)で表わされる構造単位を含むポリマーブロックである。
[一般式(1)において、nは1〜10の整数である。R1は水素原子又はメチル基である。R2は炭素数が1〜10のアルキレン基である。R3は炭素数が1〜10のアルキレン基である。]
一般式(1)のnは、1〜7の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
R2で示される炭素数が1〜10であるアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。R2は、炭素数が1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
R3で示される炭素数が1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等が挙げられる。R3は、炭素数が1〜8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が3〜8のアルキレン基であることがより好ましい。
一般式(1)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン1mol付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン2mol付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン3mol付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン4mol付加物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン5mol付加物等が挙げられる。
Aブロックは、前述の一般式(1)で示される構造単位のみであってもよいし、他の構造単位が含まれていてもよい。一般式(1)で示される構造単位の含有量は、Aブロック全体100質量%中において10〜100質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることが更に好ましい。
Aブロックに含まれ得る他の構造単位は、一般式(1)で表される構造単位を形成するビニルモノマー、及び後述のBブロックを形成するビニルモノマーの両方と共重合し得るビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。芳香族不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Aブロックに含まれ得る他の構造単位は、下記一般式(4)で表される構造単位であることが好ましい。
[式中、R13は、水素原子又はメチル基である。R14は、置換基を有していてもよい炭素数が1〜10のアルキル基である。]
R14で示される炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R14は、置換基を有していてもよい炭素数が1〜5のアルキル基であることが好ましい。R14で示される炭素数1〜10のアルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、例えばアリール基が挙げられる。アリール基の炭素数は、通常6〜12であり、6〜9であることが好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基の位置は、特に限定されない。置換基の数は、通常1〜3個であり、1個であることが好ましい。
また、Aブロックは、酸性基を有する構造単位を有していてもよいが、その割合が多くなると、溶媒、アルカリ可溶性樹脂との親和性が低くなるおそれがある。そのため、酸性基を有する構造単位の割合は、ブロック共重合体の全体の酸価がアミン価より低くなる割合とすることが好ましく、ブロック共重合体の全体の酸価が25mgKOH/g未満となる割合とするのがより好ましい。酸性基を有する構造単位を形成し得るモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、Aブロックは、アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含まないことが好ましい。Aブロックが、アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含む場合、Aブロックにおけるアミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーの含有量は、Aブロック全体100質量%中1質量%以下であることが好ましい。
Aブロックで用いられるビニルモノマーは、1種又は2種以上を使用することができる。Aブロックの構造単位は、ランダム共重合、ブロック共重合体等の何れの態様で含まれていてもよい。例えば、Aブロックが、A’ブロックからなる構造単位とA’’ブロックからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(Bブロック)
Bブロックは、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むポリマーブロックである。
3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位としては特に制限はないが、例えば下記一般式(2)で表される構造単位が挙げられる。
[一般式(2)において、R4は水素原子又はメチル基である。R5は炭素数が1〜10のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜10のアルキル基である。]
R5で示される炭素数が1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基などのアルキレン基等が挙げられる。R5は、炭素数が1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
R6及びR7で示される炭素数が1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R6及びR7は、それぞれ独立して炭素数が1〜5のアルキル基であることが好ましい。R6及びR7で示される炭素数が1〜10のアルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、例えばアリール基が挙げられる。アリール基の炭素数は、通常6〜12であり、好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基の位置は、特に限定されない。置換基の数は、通常1〜3個であり、1個であることが好ましい。
一般式(2)で表される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位としては特に制限はないが、例えば下記一般式(3)で表される構造単位が挙げられる。
[一般式(3)において、R8は水素原子又はメチル基である。R9は炭素数が1〜10のアルキレン基である。R10、R11及びR12は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数が1〜10のアルキル基である。Z−は対イオンを表す。]
R9で示される炭素数が1〜10のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等のアルキレン基等が挙げられる。R9は、炭素数が1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
R10、R11及びR12で示される炭素数が1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、炭素数が1〜5のアルキル基であることが好ましい。R10、R11及びR12で示される炭素数が1〜10のアルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アリール基が挙げられる。アリール基の炭素数は、通常6〜12であり、6〜9であることが好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基の位置は、特に限定されない。置換基の数は、通常1〜3個であり、1個であることが好ましい。
Z−としては、ハロゲン化物イオン、アルキルカルボキシレートイオン、ニトロキシドイオン、アルキルスルフェートイオン、スルホネートイオン、ホスフェートイオン、アルキルホスフェートイオン等が挙げられる。
一般式(3)で表される構造単位を形成し得るモノマーの具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムフロリドが挙げられる。
Bブロックは、前述の一般式(2)及び一般式(3)で示される構造単位のみであってもよいし、他の構造単位が含まれていてもよい。一般式(2)及び一般式(3)で示される構造単位の含有量は、Bブロック全体100質量%中において80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましい。
4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位は、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーを重合することによって、又は3級アミノ基を有するビニルモノマーを重合し、次いで3級アミノ基の一部を4級化することによって得ることができる。
共重合体中に含まれる3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基の合計モル当量数に対する、4級アンモニウム塩基のモル当量数の割合(mol%)は、分散する顔料の種類により異なるが、5〜85mol%であることが好ましく、5〜60mol%であることがより好ましく、5〜15mol%であることが更に好ましい。上記割合(mol%)が低くなると、顔料表面への吸着性が十分ではない場合があり、上記割合(mol%)が高くなると乾燥再溶解性、アルカリ現像性が低下するおそれがある。なお、3級アミノ基の一部を4級化することによって4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を得る場合は、上記割合(mol%)を「4級化率」というものとする。
Bブロックに含まれ得る他の構造単位は、一般式(2)及び一般式(3)で表される構造単位を形成するビニルモノマー、及び前述のAブロックを形成するビニルモノマーの両方と共重合し得るビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。芳香族不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Bブロックで用いられるビニルモノマーは、1種又は2種以上を使用することができる。Bブロックの構造単位は、ランダム共重合、ブロック共重合体等の何れの態様で含まれていてもよい。例えば、Bブロックが、B’ブロックからなる構造単位とB’’ブロックからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(ブロック共重合体)
ブロック共重合体のアミン価は、20〜150mgKOH/gである。ブロック共重合体のアミン価がこの範囲になるように、Bブロックに3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位が含まれていることが好ましい。ブロック共重合体のアミン価の下限値は、30mgKOH/gであることが好ましく、40mgKOH/gであることがより好ましい。ブロック共重合体のアミン価の上限値は、120mgKOH/gであることが好ましく、100mgKOH/gであることがより好ましい。
Aブロックの含有量は、ブロック共重合体全体100質量%中において50〜95質量%であることが好ましく、55〜80質量%であることがより好ましく、60〜70質量%であることが更に好ましい。
Bブロックの含有量は、ブロック共重合体全体100質量%中において5〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることが更に好ましい。
ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)の下限値は3,000であることが好ましく、5,000であることがより好ましい。ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)の上限値は40,000であることが好ましく、30,000であることがより好ましい。
ブロック共重合体は、分子量分布(PDI)が1.05〜2.20であることが好ましく、1.05〜2.00であることがさらに好ましい。なお、本発明において、分子量分布(PDI)とは、(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))/(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn))によって求められるものである。
本発明において、3級アミノ基の一部を4級化することによって4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を得る場合、Mw、Mn及びPDIは、特に明示がないものは4級化前のMw、Mn及びPDIとみなす。
ブロック共重合体のAブロックは、一般式(1)で表される構造単位の側鎖にエステル結合部分及び末端水酸基を有することから、溶媒、バインダー樹脂との高い親和性を有すると考えられる。一方、Bブロックは、側鎖に3級アミノ基に加え4級アンモニウム塩基を有することから、顔料との高い親和性を有すると考えられる。ブロック共重合体においては、Aブロックに含まれる一般式(1)で表される部分構造と、Bブロックに含まれる3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位及び4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位とが局在化する。よって、溶媒中において、Aブロックを構成する一般式(1)で表される部分構造の側鎖が、溶媒、バインダー樹脂と好適に相互作用し、それとは独立にBブロックを構成する3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基が、顔料と好適に相互作用することができるため、ブロック共重合体は、顔料の分散性、分散体の保存安定性、乾燥再溶解性及びアルカリ現像性の全てが優れる。よって、ブロック共重合体は、顔料等の分散剤として好適に使用することができる。
(ブロック共重合体の製造方法)
本発明のブロック共重合体の製造方法は、特に限定はなく、例えばリビングラジカル重合法等のブロック重合法が挙げられる。本発明のブロック共重合体は、該ブロック重合法によって、ブロックを構成するモノマーを順次重合反応させることにより得られる。
本発明のブロック共重合体の製造方法は、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのビニルモノマーを重合してもよく;Bブロックを先に製造し、BブロックにAブロックのモノマーを重合してもよく;または、ビニルモノマーの重合反応によって、AブロックとBブロックとを別々に製造した後、AブロックとBブロックとをカップリングさせてもよい。例えば、本発明のブロック共重合体の製造方法としては、リビングラジカル重合法で、Aブロック及びBブロックのうちの一方のブロックを構成するモノマーを重合して、一方のブロックを重合する工程と、一方のブロックを重合した後、Aブロック及びBブロックのうちの他方のブロックを構成するビニルモノマーを重合して、他方のブロックを重合する工程とを備えた製造方法が挙げられる。
また、上述の製造方法により、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマー以外の、AブロックとBブロックのビニルモノマーを重合し、次いで3級アミノ基の一部を公知の方法で4級化することによって、本発明のブロック共重合体を製造することもできる。なお、3級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーの一部を先に4級化した後に、AブロックとBブロックのビニルモノマーを重合し、本発明のブロック共重合体を製造することもできる。4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等のアルキル化剤を挙げることができる。4級化剤由来のアルキル基は、4級化に使用した4級化剤の反応量によって、4級化により導入されたアルキル基を推定できる。
上記リビングラジカル重合法とは、ラジカル重合の簡便性と汎用性を保ちつつ、分子構造の精密制御を可能にする重合法である。リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法)、硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法)、有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等の方法がある。ATRP法は、アミン系錯体を使用するため、酸性基を有するビニルモノマーの酸性基を保護せず使用することができない場合がある。RAFT法は、多種のモノマーを使用した場合、低分子量分布になりづらく、かつ硫黄臭や着色等の不具合がある場合がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
TERP法とは、有機テルル化合物を重合開始剤として用い、ラジカル重合性化合物を重合させる方法であり、例えば、国際公開2004/14848号及び国際公開2004/14962号に記載された方法である。
具体的には、下記(a)〜(d)を用いて重合する方法が挙げられる。
(a)一般式(5)で表される有機テルル化合物、
(b)一般式(5)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤の混合物、
(c)一般式(5)で表される有機テルル化合物と一般式(6)で表される有機ジテルル化合物の混合物、又は
(d)一般式(5)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び一般式(6)で表される有機ジテルル化合物の混合物、
のいずれかを用いて重合する。
[式(5)中、R13は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R14及びR15は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R16は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。]
(R13Te)2 …(6)
[式(6)中、R13は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。]
一般式(5)で示される有機テルル化合物は、具体的には(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート、(2−トリメチルシロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(3−トリメチルシリルプロパルギル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート等を例示することができる。
一般式(6)で示される化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−s−ブチルジテルリド、ジ−t−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等を例示することができる。
アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができる。例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等を例示することができる。
一般式(5)の化合物の使用量は、目的とするポリマーの物性により適宜調節すれば良いが、通常、モノマー1molに対し一般式(5)の化合物を0.05〜50mmolとするのがよい。
一般式(5)の化合物とアゾ系重合開始剤を併用する場合、通常、一般式(5)の化合物1molに対してアゾ系重合開始剤0.01〜10molとするのがよい。
一般式(5)の化合物と一般式(6)の化合物を併用する場合、通常、一般式(5)の化合物1molに対して一般式(6)の化合物0.01〜100molとするのがよい。
一般式(5)の化合物、一般式(6)の化合物及びアゾ系重合開始剤を併用する場合、通常、一般式(5)の化合物と一般式(6)の化合物の合計1molに対してアゾ系重合開始剤0.01〜100molとするのがよい。
重合反応は、無溶媒でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒あるいは水性溶媒を使用し、上記混合物を撹拌して行なってもよい。使用できる有機溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン等を例示することができる。また、水性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等を例示することができる。
反応温度、反応時間は、得られるポリマーの分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。TERP法は、低い重合温度及び短い重合時間であっても高い収率と精密な分子量分布を得ることができる。
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、目的とするポリマーを分離することができる。
<顔料分散組成物>
本実施形態に係る顔料分散組成物は、上記のブロック共重合体を含有する分散剤と顔料及び分散媒体とを含む。顔料分散組成物は、バインダー樹脂等を含んでいてもよい。
顔料分散組成物において、分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して5質量部〜200質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましく、10質量部〜50質量部であることがさらに好ましい。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよいが、有機化合物を主成分とする有機顔料が特に好ましい。顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の各色の顔料が挙げられる。顔料の構造は、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。顔料分散組成物に含まれる顔料は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、187、200、202、208、210、215、224、254、255、264等の赤色顔料;C.I.Pigment Yellow 1、3、5、6、14、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、93、97、98、104、108、110、138、139、147、150、151、154、155、166、167、168、170、180、188、193、194、213等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、43等の橙色顔料;C.I.Pigment Blue 15、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60等の青色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料;C.I.Pigment Violet 23、32、50などの紫色顔料等が挙げられる。顔料は、これらの中でも、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 15:6、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58等が好ましい。
顔料分散組成物における顔料の含有量の上限値は、顔料分散組成物の固形分全量中において、通常80質量%であり、70質量%であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。また、顔料分散組成物における顔料の含有量の下限値は、顔料分散組成物の固形分全量中において、通常10質量%であり、20質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂は、例えば、重合体であってもよい。バインダー樹脂が重合体である場合、重合体を構成するモノマーの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン(p−メチルスチレン)、2−メチルスチレン(o−メチルスチレン)、3−メチルスチレン(m−メチルスチレン)、4−メトキシスチレン(p−メトキシスチレン)、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン等の芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)等が挙げられる。バインダー樹脂は、カルボキシル基含有不飽和モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であることが好ましい。このような共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸ベンジルとの共重合体等が挙げられる。バインダー樹脂と顔料との親和性の観点からは、バインダー樹脂は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ベンジルとの共重合体であることが特に好ましい。カルボキシル基含有不飽和モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体において、(メタ)アクリル酸の含有量は、全モノマー成分中、通常5質量%〜90質量%であり、10質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂のMwは、3,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましく、5,000〜20,000であることがさらに好ましい。バインダー樹脂のMwが3,000以上であると、顔料分散組成物から形成された塗布膜の耐熱性、膜強度等が良好となり、Mwが100,000以下であると、この塗布膜のアルカリ水溶液による現像性がより一層良好となる。
バインダー樹脂の酸価は、20mgKOH/g〜170mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、90mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがさらに好ましい。バインダー樹脂の酸価が20mgKOH以上/gであると、顔料分散組成物を塗布膜としたときのアルカリ現像性がより一層良好となり、170mgKOH/g以下であると耐熱性が良好となる。
顔料分散組成物に含まれるバインダー樹脂は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
顔料分散組成物において、バインダー樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜200質量部であることが好ましく、10質量部〜100質量部であることがより好ましく、10質量部〜50質量部であることがさらに好ましい。
分散媒体としては、例えば従来公知の有機溶媒を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート等のグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテート等のアルキルアセテート類;アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシプロパノール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の1価又は多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンの等の芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等の鎖状又は環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。有機溶媒は、顔料等の分散性、分散剤の溶解性、顔料分散組成物の塗布性等の観点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類、1価又は多価アルコール類であることが好ましい。顔料分散組成物に含まれる溶媒は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
顔料分散組成物中の分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。顔料分散組成物中の分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、顔料分散組成物中の分散媒体の含有量の下限値は、顔料分散組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常70質量%であり、80質量%であることが好ましい。
上記分散媒体は、顔料分散組成物から形成される析出物を溶解、除去するための溶媒として使用できる。
顔料分散組成物は、顔料、分散剤、バインダー樹脂、分散媒体等を、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いて混合することによって得られる。顔料分散組成物は、混合後に濾過することが好ましい。
顔料分散組成物は、必要に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、光重合性モノマー、光重合開始剤、顔料誘導体、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。光重合性モノマーとしては、バインダー樹脂と相溶性のあるエチレン性不飽和二重結合を少なくとも2つ有する化合物等が好ましい。このような化合物としては、アルカリ可溶性を有し、1分子内に1つ以上の酸性基と2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく、1分子内に1つ以上の酸性基と3つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物がさらに好ましい。エチレン性不飽和二重結合を少なくとも2つ有する化合物としては、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。1分子内に1つ以上の酸性基と2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、酸性基含有多官能性(メタ)アクリレートがより好ましく、3官能以上の酸性基含有多官能性(メタ)アクリレートが特に好ましい。酸性基としては、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。酸性基は、アルカリ現像性及び樹脂組成物の取り扱い性をより一層向上させる観点からカルボキシ基が好ましい。
顔料誘導体としては、例えば、上記の顔料の骨格構造に、直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して、スルホン酸基、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基などが置換したものが挙げられる。上記の顔料と顔料誘導体とを併用することで、顔料の分散性、分散安定性などをより一層向上させることができる。
顔料分散組成物をスピンコート法、ロールコート法、スリットコート法等の方法により基板上に塗布することにより、基板上に顔料分散組成物の塗布膜を形成することができる。顔料分散組成物を基板の上に塗布した後、必要に応じて乾燥(脱溶媒処理)等を施してもよい。
上記の通り、ブロック共重合体は、AブロックとBブロックとを有し、ブロック共重合体のアミン価は、20mgKOH/g〜150mgKOH/gである。斯かるブロック共重合体を含む顔料分散組成物は、アルカリ現像性及び乾燥再溶解性に優れている。
顔料分散組成物を、例えばカラーフィルタのパターニング材等として用いる場合、顔料分散組成物は、アルカリ現像性に優れるため、現像残りが生じて、カラーフィルタの色度、コントラスト及び寸法精度が低下することを抑制することができる。
また、顔料分散組成物は、乾燥再溶解性に優れるため、顔料分散組成物が塗布装置等に付着して、乾燥し、析出物が発生した場合に、この析出物は、溶媒に速やかに溶解し、溶媒等を用いて析出物を簡便に洗浄することができる。また、この析出物が顔料分散組成物に混入しても、析出物は顔料分散組成物に溶解する。よって、析出物が画像形成に支障を与えることを抑制することができる。
本実施形態に係る顔料分散組成物が、アルカリ現像性及び乾燥再溶解性に優れる理由の詳細は定かではないが、例えば、次のように考えることができる。本実施形態に係る顔料分散組成物は、上記のブロック共重合体を含有する分散剤を含む。ブロック共重合体において、局在化した3級アミノ基と4級アンモニウム塩基が顔料の表面に強固に吸着していることから、本実施形態に係る顔料分散組成物の乾燥後においても顔料の凝集力が弱いこと、局在化した一般式(1)で表わされる部分構造の側鎖にエステル結合部分及び末端水酸基を有していることで溶媒やバインダー樹脂と相互作用すること、局在化した一般式(1)で表わされる部分構造の側鎖にエステル結合部分及び末端水酸基を有していることでAブロックのガラス転移温度が比較的低くいことから、本実施形態に係る顔料分散組成物は乾燥後においても速やかに溶媒やアルカリ水溶液に溶解するものと考えられる。以上のような理由により、顔料分散組成物は、アルカリ現像性及び乾燥再溶解性に優れていると考えられる。
顔料分散組成物は、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、実施例及び比較例における各種物性測定は、下記の方法に従って行った。
(重合率)
NMR(商品名:AVANCE500、ブルカー・バイオスピン社製)を用いて、1H−NMRを測定し、モノマーのビニル基とポリマーのエステル側鎖のピーク面積比から重合率を算出した。
(重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(PDI))
GPC(商品名:HLC−8320GPC、東ソー社製、カラム:TSKgel α−3000、移動相:10mMリチウムブロミド/ジメチルホルムアミド溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から、分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウムの質量で表わしたものである。測定サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を0.1M塩酸/2−プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1M塩酸/2−プロパノール溶液の使用量(mL)
f:0.1M塩酸(2−プロパノール性)の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
(酸価)
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの重量を表わしたものである。測定サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を0.1M水酸化カリウム/2−プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価(A)を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1M水酸化カリウム/2−プロパノール溶液の使用量(mL)
f:0.1M水酸化カリウム(2−プロパノール性)の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
(分散安定性)
顔料分散組成物の製造直後と、40℃で7日間静置したものを、それぞれE型粘度計(商品名:TVE−22L、東機産業社製)を用い、1°34’×R24のコーンローターを使用して、25℃下、ローター回転数60rpmで粘度を測定した。その粘度変化を以下の基準により評価した。
A:粘度変化が+20%未満
B:粘度変化が+200%未満
C:粘度変化が+200%以上
(乾燥再溶解性)
表面を洗浄した50mm×30mmのガラス板上に、2μmの厚さで顔料分散組成物を塗布し、90℃で10分間乾燥して塗布膜を形成した。次に、ガラス板を溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に浸漬し、塗布膜の溶剤への溶解性を観察した。その溶解性を以下の基準により評価した。
A:浸漬5分未満に塗布膜がガラス板上から溶離している。
B:浸漬10分未満に塗布膜がガラス板上から溶離している。
C:浸漬10分後に塗布膜がガラス板上に残っている。
(アルカリ現像性)
表面を洗浄した50mm×30mmのガラス板上に、2μmの厚さで顔料分散組成物の塗布膜を形成し、90℃で10分間乾燥した。次に、塗布膜を形成したガラス板を1%水酸化カリウム水溶液に浸漬し、塗布膜の1%水酸化カリウム水溶液(アルカリ水溶液)中への溶解性を観察した。その溶解性を以下の基準により評価した。
A:浸漬1分未満に塗布膜がガラス板上から溶離している。
B:浸漬3分未満に塗布膜がガラス板上から溶離している。
C:浸漬3分後に塗布膜がガラス板上に残っている。
<共重合体の製造>
(実施例1)共重合体Aの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトン5mol付加物(商品名:プラクセルFM5、ダイセル化学社製、以下「PCL5」という)3.18g、メタクリル酸n−ブチル(商品名:アクリエステルB、三菱レイヨン社製、以下「BMA」という)2.31g、メタクリル酸(商品名:メタクリル酸MAA、三菱レイヨン社製、以下「MAA」という)0.23g、アゾビスイソブチニトリル(商品名:AIBN、大塚化学社製、以下「AIBN」という)0.0328g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PMA」という)3.81gを仕込み、アルゴン置換後、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート(以下「BTEE」という)0.30g、ジブチルジテルリド(以下「DBDT」という)0.18gを加え、60℃で12時間反応させた。重合率は98%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したメタクリル酸ジメチルアミノエチル(商品名:GE720(DAM)、三菱ガス化学社製、以下「DMAEMA」という)2.28g、AIBN 0.0164g、PMA 1.52gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。重合率は95%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換した塩化ベンジル(以下「BzCl」という)0.37g、PMA 1.48gの混合溶液を加え、60℃で20時間反応させた。NMRよりBzClのピーク消失を確認した。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Aを得た。4級アンモニウム塩基導入前のMwは10,300、PDIは1.92であった。共重合体Aのアミン価は73mgKOH/g、酸価は21mgKOH/gであった。共重合体Aの詳細を表1に示す。
(実施例2)共重合体Bの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにPCL5 3.18g、BMA 2.31g、MAA 0.23g、AIBN 0.0328g、PMA 3.81gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で16時間反応させた。重合率は99%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 2.28g、AIBN 0.0164g、PMA 1.52gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。重合率は99%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したBzCl 0.18g、PMA 0.72gの混合溶液を加え、60℃で20時間反応させた。NMRよりBzClのピーク消失を確認した。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Bを得た。4級アンモニウム塩基導入前のMwは10,300、PDIは1.92であった。共重合体Bのアミン価は87mgKOH/g、酸価は21mgKOH/gであった。共重合体Bの詳細を表1に示す。
(実施例3)共重合体Cの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにPCL5 4.10g、BMA 3.00g、MAA 0.30g、AIBN 0.0328g、PMA 4.93gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で25時間反応させた。重合率は100%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 2.90g、AIBN 0.0164g、PMA 1.93gの混合溶液を加え、60℃で23時間反応させた。重合率は97%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したBzCl 1.87g、PMA 7.48gの混合溶液を加え、60℃で14時間反応させた。NMRよりBzClのピーク消失を確認した。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Cを得た。4級アンモニウム塩基導入前のMwは10,900、PDIは1.93であった。共重合体Cのアミン価は22mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。共重合体Cの詳細を表2に示す。
(実施例4)共重合体Dの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにPCL5 4.10g、BMA 3.00g、MAA 0.30g、AIBN 0.0328g、PMA 4.93gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で19時間反応させた。重合率は100%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 2.90g、AIBN 0.0164g、PMA 1.93gの混合溶液を加え、60℃で23時間反応させた。重合率は99%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したBzCl 0.93g、PMA 3.72gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。NMRよりBzClのピーク消失を確認した。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Dを得た。4級アンモニウム塩基導入前のMwは10,900、PDIは1.93、共重合体Dのアミン価は53mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。共重合体Dの詳細を表2に示す。
(実施例5)共重合体Eの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにPCL5 4.10g、BMA 3.00g、MAA 0.30g、AIBN 0.0328g、PMA 4.93gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で12時間反応させた。重合率は97%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 2.90g、AIBN 0.0164g、PMA1.93gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。重合率は96%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したBzCl 0.47g、PMA 1.88gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。NMRよりBzClのピーク消失を確認した。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Eを得た。4級アンモニウム塩基導入前のMwは10,900、PDIは1.93であった。共重合体Eのアミン価は76mgKOH/g、酸価は20mgKOH/gであった。共重合体Eの詳細を表2に示す。
(比較例1)共重合体Fの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにPCL5 3.18g、BMA 2.31g、MAA 0.23g、AIBN 0.0328g、PMA 3.81gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で20時間反応させた。重合率は99%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 2.28g、AIBN 0.0164g、PMA 1.52gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。重合率は97%であった。
反応終了後、反応溶液にPMA 20.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 384mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Fを得た。共重合体FのMwは10,300、PDIは1.92、アミン価は97mgKOH/g、酸価は21mgKOH/gであった。共重合体Fの詳細を表1に示す。
(比較例2)共重合体Gの製造
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコにトリエチレングリコールモノエチルエーテルモノメタクリレート(POLYSCIENCES社製)0.80g、BMA 3.70g、メタクリル酸メチル(三菱レイヨン社製)2.40g、メタクリル酸2−エチルヘキシル(三菱レイヨン社製)2.20g、AIBN 0.0328g、PMA 6.07gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE 0.30g、DBDT 0.18gを加え、60℃で16時間反応させた。重合率は99%であった。
得られた溶液に、予めアルゴン置換したDMAEMA 3.90g、AIBN 0.0164g、PMA 2.60gの混合溶液を加え、60℃で10時間反応させた。重合率は97%であった。
反応終了後、反応溶液にPMA 30.0gを加え、攪拌しているn−ヘプタン 576mL中に注いだ。析出したポリマーを吸引ろ過、乾燥することにより共重合体Gを得た。共重合体GのMwは、14,900、PDIは、1.46、アミン価は110mgKOH/gであった。共重合体Gの詳細を表1に示す。
<顔料分散組成物の製造>
顔料10質量部、分散剤3質量部、バインダー樹脂{メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸=80/20の質量比で重合させたもの、Mw=9800、PDI=1.93、酸価127mgKOH/g、固形分40質量%のPMA溶液}3質量部、メトキシプロパノール10質量部、及びPMA 74質量部となるように配合を調整し、遊星ボールミル(0.3mmジルコニアビーズ、2時間)で撹拌して、表1〜2に示す実施例6〜10及び比較例3〜4の顔料分散組成物を得た。分散剤としては、実施例1〜5及び比較例1〜2で得た共重合体A〜Gを用い、顔料にはC.I.Pigment Red 177(商品名:FASTGEN SuperRed ATY、DIC社製)又はC.I.Pigment Green 58(商品名:FASTOGEN Green A110、DIC社製)を用いた。
得られた顔料分散組成物の分散安定性、乾燥再溶解性及びアルカリ現像性を評価した。結果を表1及び表2に示す。